JP5206214B2 - ポジ型感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(a)一般式(1)で表される構造を主成分とする樹脂を含有する。かかる樹脂は、加熱あるいは適当な触媒により、イミド環、オキサゾール環、その他の環状構造を有する樹脂となり得るものである。好ましい例として、ポリイミド前駆体のポリアミド酸やポリアミド酸エステル、ポリベンゾオキサゾール前駆体のポリヒドロキシアミドが挙げられる。環状構造を有することによって、硬化膜に優れた耐熱性および耐薬品性を付与する。ここで、主成分とは、一般式(1)中のn個の構造単位を樹脂の構造単位中50モル%以上有することを意味する。70モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(b)キノンジアジド化合物を含有する。キノンジアジド化合物としては、ポリヒドロキシ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合したもの、ポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合および/またはスルホンアミド結合したものなどが挙げられる。露光部と未露光部のコントラストの観点から、これらポリヒドロキシ化合物やポリアミノ化合物の官能基全体の50モル%以上がキノンジアジドで置換されていることが好ましい。このようなキノンジアジド化合物を用いることで、一般的な紫外線である水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)に感光するポジ型の感光性樹脂組成物を得ることができる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(c)一般式(2)で表されるアルコキシメチル基含有化合物を含有する。これらを2種以上含有してもよい。アルコキシメチル基は150℃以上の温度領域で架橋反応を生じるため、該化合物を含有することで、後述する現像後加熱処理により架橋し、硬化膜の耐薬品性を向上させることができる。また、架橋反応の温度領域が150℃以上であることで、パターン加工時のプリベーク工程での架橋反応を防ぐことができ、該化合物を含有した感光性樹脂組成物は高い感度を有する。一般式(2)で表されるアルコキシメチル基含有化合物は、アルコキシメチル基を6個以上有するため、硬化膜の架橋密度が高くなり、耐薬品性が向上する。また、従来公知の熱架橋剤に比べて、熱架橋剤分子中におけるアルコキシメチル基の分散が大きいため、硬化時の架橋反応性が高く、耐薬品性が向上する。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(d)熱分解開始温度が250℃以下である酸発生剤であって、一般式(3)または(4)で表される化合物を含有する。本発明に用いる(d)成分の酸発生剤は、後述する現像後加熱により酸を発生し、(a)成分の樹脂と(c)成分のアルコキシメチル基含有化合物との架橋反応の触媒となって架橋を促進するため、低温硬化においても架橋反応が十分進行し、硬化膜の耐薬品性を飛躍的に向上させることができる。また、(a)成分の樹脂のイミド環、オキサゾール環の環化を促進するため、低温硬化においても環化反応が十分に進行し、硬化膜の耐薬品性が向上する。本発明においては、(d)成分の酸発生剤の熱分解開始温度が250℃以下であることが重要である。熱分解開始温度が250℃を超えると、低温硬化において十分な酸が発生されず、架橋反応および環化反応が十分進行せず、硬化膜の耐薬品性が低下する。トリアリールスルホニウム塩のような熱安定性に優れた酸発生剤は、分解開始温度が高く、好ましくない。また、酸発生剤の熱分解開始温度は150℃以上が好ましく、150℃以上であることでパターン加工時のプリベーク工程での酸の失活を防ぐことができる。酸発生剤から発生する酸は強酸が好ましい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(e)溶剤を含有する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの極性の非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン類、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。溶剤の含有量は、(a)一般式(1)で表される構造を主成分とする樹脂100重量部に対して、好ましくは50重量部以上、より好ましくは100重量部以上であり、また、好ましくは2000重量部以下、より好ましくは1500重量部以下である。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、シラン化合物を含有することができる。シラン化合物を含有することにより、下地基板との接着性を向上させることができる。シラン化合物の具体例としては、N−フェニルアミノエチルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノエチルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノブチルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノブチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランや以下のシラン化合物を用いることができるがこれらに限定されない。
示差走査熱量測定装置(島津製作所(株)製、DSC−50)を用い、10℃/分の速度で400℃まで加熱したときの発熱ピークより、熱分解開始温度を求めた。
6インチシリコンウエハー上に、感光性樹脂組成物(以下ワニスと呼ぶ)をプリベーク後の膜厚が3μmとなるように塗布し、ついでホットプレート(東京エレクトロン(株)製、塗布現像装置Mark−7)を用いて、120℃で2分プリベークすることにより、感光性樹脂膜を得た。
大日本スクリーン製造(株)製ラムダエースSTM−602を使用し、プリベーク後および現像後の膜は、屈折率1.629で測定し、キュア膜は屈折率1.773で測定した。
露光機(GCA社製、i線ステッパーDSW−8570i)に、パターンの切られたレチクルをセットし、365nmの強度で露光時間を変化させて感光性樹脂膜をi線で露光した。
露光後の膜を東京エレクトロン(株)製Mark−7の現像装置を用い、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38%水溶液を用いて、現像後の膜厚がプリベーク後の膜厚の90%となるよう現像を行い、ついで純水でリンス処理し、振りきり乾燥した。
露光および現像後、露光部分が完全に溶出してなくなった露光量を感度とした。
上記方法で作製した感光性樹脂膜を、光洋サーモシステム(株)製イナートオーブンINH−21CDを用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度20ppm以下)、230℃で1時間熱処理し、硬化膜(耐熱性樹脂被膜)を得た。
上記方法で作製した硬化膜を、東京応化(株)製剥離液TOK−106に60℃で10分間浸漬処理を行った。処理後の膜について、光学顕微鏡を用いてクラックの有無を評価した。また、処理前後の膜厚を測定し、膜減り量を求めた。
9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)18.3g(0.05モル)をアセトン100mL、プロピレンオキシド17.4g(0.3モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに3−ニトロベンゾイルクロリド20.4g(0.11モル)をアセトン100mLに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させ、その後室温に戻した。析出した白色固体をろ別し、50℃で真空乾燥した。
乾燥窒素気流下、合成例1で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(a)14.5g(0.024モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(SiDA)0.37g(0.002モル)をN−メチルピロリドン(NMP)80gに溶解させた。ここに3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(ODPA)9.31g(0.030モル)をNMP10gとともに加えて、40℃で1時間反応させた。その後、末端封止剤として、4−エチニルアニリン0.47g(0.004モル)を加え、さらに40℃で1時間反応させた。その後、N,N’−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール5.95g(0.05モル)をNMP15gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、40℃で2時間攪拌した。反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を80℃の真空乾燥機で20時間乾燥し耐熱性樹脂前駆体のポリマーAを得た。
末端封止剤として、4−エチニルアニリン0.47g(0.004モル)のかわりに3−アミノフェノール0.44g(0.004モル)を用い、N,N’−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール量を5.95g(0.05モル)から7.14g(0.06モル)に変更した以外は合成例2と同様にして、耐熱性樹脂前駆体のポリマーBを得た。
乾燥窒素気流下、BAHF18.3g(0.05モル)をNMP50g、グリシジルメチルエーテル26.4g(0.3モル)に溶解させ、溶液の温度を−15℃まで冷却した。ここにジフェニルエーテルジカルボン酸クロリド14.7g(0.05モル)をγ−ブチロラクトン25gに溶解させた溶液を内部の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、6時間−15℃で撹拌を続けた。反応終了後、溶液を水3Lに投入して白色の沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥し耐熱性樹脂前駆体のポリマーCを得た。
乾燥窒素気流下、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル−1)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(本州化学工業(株)製、TrisP−PA)21.22g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド26.86g(0.10モル)、4−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド13.43g(0.05モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.18gを系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、ろ液を水に投入させた。その後、析出した沈殿をろ過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記式で表されるキノンジアジド化合物(b−1)を得た。
本州化学工業(株)製、TrisP−PA 169.6g(0.4モル)を、水酸化ナトリウム80g(2.0モル)を純水800gに溶解させた溶液に溶解させた。完全に溶解させた後、20〜25℃で36〜38%のホルマリン水溶液686gを2時間かけて滴下した。その後20〜25℃で17時間撹拌した。これに硫酸98gと水552gを加えて中和を行い、そのまま2日間放置した。放置後に溶液に生じた針状の白色結晶をろ過で集め、水100mLで洗浄した。この白色結晶を50℃で48時間真空乾燥した。
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(本州化学工業(株)製、TrisP−HAP)103.2g(0.4モル)を、水酸化ナトリウム80g(2.0モル)を純水800gに溶解させた溶液に溶解させた。完全に溶解させた後、20〜25℃で36〜38%のホルマリン水溶液686gを2時間かけて滴下した。その後20〜25℃で17時間撹拌した。これに硫酸98gと水552gを加えて中和を行い、そのまま2日間放置した。放置後に溶液に生じた針状の白色結晶をろ過で集め、水100mLで洗浄した。この白色結晶を50℃で48時間真空乾燥した。
(a)成分である合成例2で得られたポリマーA10gに対し、(b)成分である合成例5で得られたキノンジアジド化合物[b−1]2.0g、(c)成分であるHMOM−TPHAP15g(商品名、本州化学工業(株)製、20%のγ−ブチロラクトン溶液として、架橋剤量3.0g)および(d)成分であるPAG−103(商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、熱分解開始温度:155℃)0.7gを(e)成分である乳酸エチル35gに溶解して感光性樹脂組成物のワニスを得た。このワニスを用いた硬化膜で耐薬品性評価を行ったところ、膜減り量は0.003μmであった。膜表面にクラックは見られず、良好な耐薬品性を示した。また、感度は85mJ/cm2であった。
実施例1において(d)成分であるPAG−103を加えなかった以外は実施例1と同様にしてワニスを得た。このワニスを用いた硬化膜の耐薬品性評価を行ったところ、膜減り量は0.048μmであり、膜表面にクラックは見られなかった。また、感度は80mJ/cm2であった。
実施例1において(c)成分であるHMOM−TPHAPを加えずに溶媒としてγ−ブチロラクトンを12g加えた以外は実施例1と同様にしてワニスを得た。このワニスを用いた硬化膜の耐薬品性評価を行ったところ、膜は全て溶解してしまった。また、感度は195mJ/cm2であった。
実施例1において(d)成分をWPAG−505(商品名、和光純薬(株)製、熱分解開始温度:371℃)0.7gとした以外は実施例1と同様にしてワニスを得た。このワニスを用いた硬化膜の耐薬品性評価を行ったところ、膜減り量は0.019μmであったが、膜表面にクラックが見られた。また、感度は75mJ/cm2であった。
実施例1において(c)成分を“ニカラック(登録商標)”MX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)4.0gとし、溶媒としてγ−ブチロラクトン12gを加えた以外は実施例1と同様にしてワニスを得た。このワニスを用いた硬化膜で耐薬品性評価を行ったところ、膜減り量は0.280μmであり、膜表面にクラックが見られた。また、感度は100mJ/cm2であった。
実施例1において(c)成分をTML−BPAF−MF(商品名、本州化学工業(株)製)3.0gとし、溶媒としてγ−ブチロラクトン12gを加えた以外は実施例1と同様にしてワニスを得た。このワニスを用いた硬化膜の耐薬品性評価を行ったところ、膜減り量は1.165μmであった。膜表面にクラックは見られなかった。また、感度は95mJ/cm2であった。
(a)成分である合成例3で得られたポリマーB10gに対し、(b)成分である合成例5で得られたキノンジアジド化合物[b−1]2.0g、(c)成分であるHMOM−TPHAP15g(商品名、本州化学工業(株)製、20%のγ−ブチロラクトン溶液として、架橋剤量3.0g)および(d)成分であるPAG−108(商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、熱分解開始温度:152℃)1.0gを(e)成分である乳酸エチル35gに溶解して感光性樹脂組成物のワニスを得た。このワニスを用いた硬化膜で耐薬品性評価を行ったところ、膜減り量は0.000μmであった。膜表面にクラックは見られず、良好な耐薬品性を示した。また、感度は80mJ/cm2であった。
実施例2において(d)成分であるPAG−108を加えなかった以外は実施例2と同様にしてワニスを得た。このワニスを用いた硬化膜の耐薬品性評価を行ったところ、膜減り量は0.040μmであった。膜表面にクラックは見られなかった。感度は75mJ/cm2であった。
(a)成分である合成例2で得られたポリマーA10gに対し、(b)成分であるキノンジアジド化合物[b−1]2.0g、(c)成分である合成例6で得られたHMOM−TrisP−PA3.0gおよび(d)成分であるPAG−203(商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、熱分解開始温度:204℃)0.7gを(e)成分であるγ−ブチロラクトン12gおよび乳酸エチル35gに溶解して感光性樹脂組成物のワニスを得た。このワニスを用いた硬化膜で耐薬品性評価を行ったところ、膜減り量は0.009μmであった。膜表面にクラックは見られなかった。また、感度は90mJ/cm2であった。
(a)成分である合成例4で得られたポリマーC10gに対し、(b)成分であるキノンジアジド化合物[b−1]2.0g、(c)成分である合成例7で得られたHEOM−TPHAP3.0gおよび(d)成分であるPAG−103(商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)0.7gを(e)成分であるγ−ブチロラクトン12gおよび乳酸エチル35gに溶解して感光性樹脂組成物のワニスを得た。このワニスを用いた硬化膜で耐薬品性評価を行ったところ、膜減り量は0.001μmであった。膜表面にクラックは見られなかった。また、感度は90mJ/cm2であった。
実施例4において(d)成分であるPAG−103を加えなかった以外は実施例4と同様にしてワニスを得た。このワニスを用いた硬化膜の耐薬品性評価を行ったところ、膜減り量は0.062μmであった。膜表面にクラックは見られなかった。また、感度は90mJ/cm2であった。
実施例4において(c)成分であるHEOM−TPHAPを加えなかった以外は実施例4と同様にしてワニスを得た。このワニスを用いた硬化膜の耐薬品性評価を行ったところ、膜減り量は0.444μmであり、膜表面にはクラックが見られた。また、感度は110mJ/cm2であった。
Claims (1)
- (a)一般式(1)で表される構造を主成分とする樹脂、(b)キノンジアジド化合物、(c)一般式(2)で表されるアルコキシメチル基含有化合物、(d)熱分解開始温度が250℃以下である酸発生剤および(e)溶剤を含有し、前記(c)一般式(2)で表されるアルコキシメチル基含有化合物の含有量は、(a)一般式(1)で表される構造を主成分とする樹脂100重量部に対して25〜60重量部であり、前記(d)熱分解開始温度が250℃以下である酸発生剤が一般式(3)または(4)で表される化合物であることを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
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