JP5202436B2 - 鞍乗型車両のブレーキディスク締付け構造 - Google Patents
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Description
この構成によれば、カラーのフランジ部とブレーキディスクとの間にバネ部材を介装し、カラーを貫通するボルトによってホイールにブレーキディスクをフローティングマウントするブレーキディスク締付け構造において、カラーのフランジ部側端部にボルト頭部を収容するボルト頭部収容凹部を設けたため、カラー内にボルト頭部を収容できる。これにより、フランジ部側端部からボルト頭部が出っ張らないため、ボルトの回動軌跡の全体に亘ってブレーキディスクの車体外側にスペースを確保でき、ブレーキディスクの車体外側に別の部品を配置するレイアウトの自由度を向上させることができる。
この場合、ボルト頭部収容凹部の径が筒部の径より小径であるため、フランジ部の厚さを超えて筒部のホイール側端部側までボルト頭部収容凹部の深さを確保できる。
この場合、テーパ面によってカラーを締め付けできるため、ボルトの軸方向だけでなく、ボルトの軸と垂直な方向にもカラーを確実に固定できる。また、ボルト頭部の座面のテーパ形状とカラーのテーパ形状が合わさることで、カラーを位置決めできる。
さらに、ピンスライド式キャリパをフロントフォークに締付けられたキャリパブラケットで支持する構成において、スポークに形成されたボスに締付けられるボルトの回動軌跡が、フロントフォークの下部とキャリパブラケットとの締付け部及びピンボルトとオーバーラップする場合に、ボルト頭部がカラー内に収容されるため、ボルト頭部がフロントフォークの下部とキャリパブラケットとの締付け部及びピンボルトの配置の邪魔にならない。これにより、ピンスライド式キャリパをフロントフォークに締付けられたキャリパブラケットで支持する構成において、前輪のホイールのスポークに形成したボスに、カラーを介してボルトによってブレーキディスクをフローティングマウントするブレーキディスク締付け構造を実現できる。
また、ボルト頭部のブレーキディスクからの出っ張り量がフランジ部の出っ張り量と略等しくなるため、ボルト頭部の配置の省スペース化を図ることができる。
さらに、テーパ面によってカラーを締め付けできるため、ボルトの軸方向だけでなく、ボルトの軸と垂直な方向にもカラーを確実に固定できる。
さらに、ピンスライド式キャリパをフロントフォークに締付けられたキャリパブラケットで支持する構成において、スポークに形成されたボスに締付けられるボルトの回動軌跡が、フロントフォークの下部とキャリパブラケットとの締付け部及びピンボルトとオーバーラップする場合に、ボルト頭部がカラー内に収容されるため、ボルト頭部がフロントフォークの下部とキャリパブラケットとの締付け部及びピンボルトの配置の邪魔にならない。これにより、ピンスライド式キャリパをフロントフォークに締付けられたキャリパブラケットで支持する構成において、前輪のホイールのスポークに形成したボスに、カラーを介してボルトによってブレーキディスクをフローティングマウントするブレーキディスク締付け構造を実現できる。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗型車両の前部を示す右側面図である。
鞍乗型車両10の車体フレームFは、車両前部に設けられるヘッドパイプ11と、ヘッドパイプ11の上部から車両後方へ延びるメインパイプ21と、ヘッドパイプ11の下部から後下方に延びた後、屈曲して後方へ略水平に延びるダウンパイプ22とを有している。エンジン23は、メインパイプ21とダウンパイプ22との間に支持されている。また、燃料タンク24は、エンジン23の上方に配置されている。
また、ブレーキ装置80は、前輪WFと後輪(図示略)とのブレーキを連動させる前後連動ブレーキシステムと、前輪WF及び後輪のブレーキがロックすることを回避するABSシステムとに接続されている。このABSシステムはECU(図示略)に接続されており、ECUの制御により駆動されるパワーユニット(図示略)が発生させる液圧によって作動する。
図2に示すように、ホイール50は、タイヤ26が取り付けられる円環状のリム51と、車軸19に軸支されて車軸19上で回転するハブ52と、リム51とハブ52とを連結するスポーク53とを備えて構成される。ホイール50は、リム51、ハブ52及びスポーク53が鋳造または鍛造によって一体に形成されたホイールである。
また、ブレーキディスク70は、ホイール50と同心に設けられ、径方向において車軸19とリム51との中間部に位置している。
ブレーキディスク70の各ディスク側取付部70Bと各基部53Aとの間には、リング状の車輪速センサロータ54が介装され、ボルト72によって共締めされている。車輪速センサロータ54は、ブレーキディスク70の内周側に位置している。
図3に示すように、ブレーキ装置80は、ブレーキディスク70と、ブレーキディスク70を両側から挟み込む一対のパッド81と、パッド81を収容するとともにパッド81を押圧してブレーキディスク70を制動するブレーキキャリパ82と、ブレーキキャリパ82をフロントフォーク16のアウターチューブ18に連結するキャリパブラケット83とを備えている。
また、フォーク側取付部18Aは、径方向においてブレーキディスク70の外周よりも外側に位置している。また、フォーク側取付部18Bは、フォーク側取付部18Aの下方に形成され、側面視においてブレーキディスク70にオーバーラップする位置に設けられている。
ピンボルト85Aは、径方向においてブレーキディスク70の外周よりも外側に位置し、ピンボルト85Bは、ピンボルト85Aの下方に形成され、側面視においてブレーキディスク70にオーバーラップする位置に設けられている。
ブレーキキャリパ82は、ブレーキディスク70の外周側からディスク部70Aに嵌め込まれるようにして配置され、ブレーキキャリパ82内には、ディスク部70Aを両側から挟み込むように一対の板状のパッド81が装着されている。
また、ブレーキキャリパ82には、マスタシリンダ29に接続されたブレーキホース30が接続される接続部90Aと、上記パワーユニットに接続されたブレーキホース31が接続される連動側接続部90Bとが設けられている。
また、各ボス56が外側へ突出する高さは略等しくなっており、ブレーキディスク70はホイール50の側面と略平行に支持されている。各ボス56の先端56Aは、ハブ52の側端52Aよりも幅方向の内側に位置している。
さらに、締付け部83Bに締め込まれるブラケット固定ボルト61のネジ部61A及び、ピンボルト締付け部93に締め込まれるピンボルト85Bのネジ部85Cは、キャリパブラケット83の内側面83Cの近傍まで延びており、ネジ部61A及びネジ部85Cは十分な締め込み量が確保されている。
図5に示すように、カラー57は、ブレーキディスク70の取付け孔70Cに挿通される円筒状の筒部58と、筒部58の外側の端に形成されるフランジ部59とを有している。筒部58の外径は取付け孔70Cの内径よりも小さく形成されており、取付け孔70Cがボルト72によって締結された状態においても、筒部58と取付け孔70Cとが、ブレーキディスク70の径方向に相対的に変位可能となっている。
筒部58の中央には、ボルト72が挿通される孔58Aが形成されている。また、フランジ部59は、筒部58を外周側に円環状に突出させて形成され、ディスク側取付部70Bをブレーキディスク70の外側面の側からボス56に押さえ付けている。
すなわち、ブレーキディスク70は、その径方向及びボルト72の軸方向に変位可能に締結されており、車幅方向外側からカラー57を貫通するボルト72によってホイール50のボス56にフローティングマウントされている。
ボルト頭部収容凹部60の深さは頭部72Aの高さと略等しく形成されており、ボルト頭部収容凹部60の底部60Aに接してボス56に締付けられた頭部72Aは、その頂部72Bがフランジ部59の外側端部59Aと略面一になっている。すなわち、ボルト72の頭部72Aはフランジ部59から外側に出っ張っておらず、ボルト72は、カラー57の内部に形成されたスペースを利用して省スペースに配置されている。
さらに、ボルト72は、頭部72Aの中央に六角穴72Cを有した六角穴付きボルトであるため、頭部72Aをボルト頭部収容凹部60に収容した構成であっても、六角穴72Cに工具を挿入してボルト72を着脱できる。
図3及び図6に示すように、ホイール50の径方向においてブレーキキャリパ82と車軸19との間には、キャリパブラケット83の締付け部83B及びピンボルト85Bが位置している。
また、図3及び図6に示すように、ホイール50の回転に伴ってディスク側取付部70Bがピンボルト85Bの近傍を通る場合、頭部72A及びカラー57は、ピンボルト85B及びピンボルト締付け部93に接近し、側面視では、頭部72Aはピンボルト85B及びピンボルト締付け部93にオーバーラップしてキャリパブラケット83の内側面83Cの近傍を通過する。
これにより、ブレーキディスク70の車体外側の近傍までキャリパブラケット83の内側面83Cを延ばしてキャリパブラケット83の強度及び剛性を確保することができると共に、キャリパブラケット83に、締付け部83B、ブラケット固定ボルト61、ピンボルト85B、及び、ピンボルト締付け部93を配置できる。
また、ボルト頭部収容凹部60の径は筒部58の外径よりも小径に形成されているため、フランジ部59の厚さを超えて筒部58のホイール側端部側までボルト頭部収容凹部60の深さを確保できる。
上記実施の形態では、キャリパブラケット83は、正立式のフロントフォーク16の下部であるアウターチューブ18に締付けられるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、倒立式のフロントフォークの下部に設けられたインナーチューブに締付けられても良い。また、その他の細部構成についても任意に変更可能であることは勿論である。
以下、図7を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
なお、この第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態では、上記第1の実施の形態におけるブレーキディスク70を締付けるボルト72に代えて、テーパボルト172(ボルト)によってブレーキディスク70をボス56に締付けている。
テーパボルト172は、頭部172Aの座面172Dがテーパボルト172の先端側に向かって先細りのテーパ形状に形成されたボルトである。また、頭部172Aの中央には、六角穴172Cが形成されている。
ブレーキディスク70の取付け孔70Cに挿通されるカラー157は、第1の実施の形態のカラー57に、頭部172Aを収容するボルト頭部収容凹部160を形成したものである。ボルト頭部収容凹部160は、テーパボルト172のテーパ形状の座面172Dを受ける底部160Aを有し、この底部160Aは、座面172Dのテーパ形状に対応し、テーパボルト172を締め込んだ状態で座面172Dに密着するテーパ形状に形成されている。
第2の実施の形態では、テーパ形状の座面172Dと底部160Aとが密着した状態でカラー157を締め付けできるため、テーパボルト172の軸方向だけでなく、テーパボルト172の軸と垂直な方向、すなわち、ブレーキディスク70の回転方向にもカラー157をより確実に固定できる。また、ボルト頭部の座面のテーパ形状の座面172Dと底部160Aとが合わさることで、カラー157を位置決めすることができる。
16 フロントフォーク
18 アウターチューブ(フロントフォークの下部)
19 車軸
50 ホイール
53 スポーク
56 ボス
57 カラー
58 筒部
59 フランジ部
60、160 ボルト頭部収容凹部
60A、160A 底部
65 バネ部材
70 ブレーキディスク
70C 取付け孔
72 ボルト
72A、172A 頭部(ボルト頭部)
82 ブレーキキャリパ(ピンスライド式キャリパ)
83 キャリパブラケット
83B 締付け部
85B ピンボルト
172 テーパボルト(ボルト)
WF 前輪
X 回動軌跡
Claims (4)
- ブレーキディスク(70)のホイール(50)側への取付け孔(70C)に、該取付け孔(70C)に挿通される筒部(58)と、車幅方向外側端部にフランジ部(59)とを有するカラー(57,157)を挿通し、該カラー(57,157)の前記フランジ部(59)と前記ブレーキディスク(70)との間にバネ部材(65)を介装し、車幅方向外側から前記カラー(57,157)を貫通したボルト(72,172)で前記ブレーキディスク(70)を前記ホイール(50)にフローティングマウントする鞍乗型車両のブレーキディスク締付け構造において、
前記カラー(57,157)は前記筒部(58)のホイール側端部に底部(60A,160A)をさらに有し、
前記カラー(57,157)の前記筒部(58)及び前記底部(60A,160A)で囲まれる空間に前記ボルト(72,172)の頭部(72A,172A)が収容されるボルト頭部収容凹部(60,160)を設け、前記ボルト頭部収容凹部(60,160)の深さが前記頭部(72A,172A)の高さと略等しく形成され、
前記ホイール(50)は、車両のフロントフォーク(16)に車軸(19)を介して軸支される前輪(WF)であり、
前記ブレーキディスク(70)は前記ホイール(50)のスポーク(53)に形成されたボス(56)に取り付けられ、
前記フロントフォーク(16)には、前記ブレーキディスク(70)を挟むキャリパ(82)と、前記フロントフォーク(16)の下部(18)に締付けられるとともに前記キャリパ(82)を支持するキャリパブラケット(83)とが設けられ、
前記ブレーキディスク(70)と前記ボス(56)との間には、前記ブレーキディスク(70)の内周側且つ前記ブレーキディスク(70)よりも車幅方向内側に位置するリング状の車輪速センサロータ(54)が介装され、当該車輪速センサロータ(54)は車幅方向の外側へ屈曲した部分に孔(54A)を有し、当該孔(54A)は、前記カラー(57,157)の車幅方向の外側端部(59A)よりも車幅方向内側に位置し、
前記ブレーキディスク(70)に対向する前記キャリパブラケット(83)の内側面(83C)は、前記頭部(72A,172A)の近傍まで延び、当該内側面(83C)の下端に、前記車輪速センサロータ(54)の前記孔(54A)に対向して当該孔(54A)を検出する車輪速センサ(84)を設けたことを特徴とする鞍乗型車両のブレーキディスク締付け構造。 - 前記ボルト頭部収容凹部(60,160)の径を前記筒部(58)の径より小径とすると共に、前記ボルト頭部収容凹部(60,160)の深さを前記フランジ部(59)の厚さより大きくしたことを特徴とする請求項1記載の鞍乗型車両のブレーキディスク締付け構造。
- 前記ボルト(172)は、前記頭部(172A)がテーパ形状で、該テーパ形状に合わせて前記カラー(157)の前記底部(160A)がテーパ形状に形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の鞍乗型車両のブレーキディスク締付け構造。
- 前記キャリパ(82)は、ピンスライド式キャリパであり、
前記ピンスライド式キャリパ(82)と前記車軸(19)との間には、前記フロントフォーク(16)と前記キャリパブラケット(83)との締付け部(83B)と、前記キャリパブラケット(83)に立設されて前記ピンスライド式キャリパ(82)をスライド自在に支持するピンボルト(85B)とが設けられ、
前記ブレーキディスク(70)の前記ボルト(72,172)の回動軌跡(X)が、側面視で、前記フロントフォーク(16)の下部(18)と前記キャリパブラケット(83)との締付け部(83B)及び前記ピンボルト(85B)にオーバーラップすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の鞍乗型車両のブレーキディスク締付け構造。
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