JP5201943B2 - 熱可塑性樹脂重合粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂重合粒子に関し、より詳しくは、結晶性ポリプロピレン成分に対してエチレン−高級α−オレフィン共重合体ゴム成分(CP)の含有量が高く、低分子量成分が少ないことで、べたつきやブリードアウトが抑制され、粘着性の問題が無くなり、粉体として取扱いやすいプロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体などの熱可塑性樹脂重合粒子に関する。
結晶性ポリプロピレンは、機械的性質、耐薬品性等に優れることから、各種成形分野に広く用いられている。しかしながら、結晶性ポリプロピレンでは、剛性は高くなるが、耐衝撃性が不足する。
このポリプロピレンの耐衝撃性を向上させるために、従来からポリプロピレンに、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)などの組成分布の狭いゴム状物質をブレンドすることが行われてきた。これらのゴム状物質は、近年、メタロセン触媒に代表される均一系触媒により製造され、これらのエチレン−高級α−オレフィン共重合体ゴム(α−オレフィンは炭素数4〜8のもの)をブレンドすることによる耐衝撃性の改良も開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
しかしながら、このようなゴム状共重合体は、組成によっては一般に形状が扱いにくく、結晶性樹脂のようにペレット化して用いることができないなど、ブレンド操作の際に支障をきたす。
また、従来のエチレン−高級α−オレフィン共重合体ゴムは、一般には溶液重合法で製造されている。溶液重合の場合、ポリマーが溶液に溶解するため、高分子量体を製造する場合には反応溶液が高粘度となって、生産性が低いという問題点があり、製造できる分子量に制限があった。また、溶液法等で得られるエチレン−高級α−オレフィン共重合体ゴムではポリマーを造粒工程で粒子化する必要があり、ポリマーの性状によっては、造粒できない場合もある。さらに、粒子化が難しい場合はベールとして市販されており、取り扱いに問題や制約が生じるなど問題があった。
一方で、メタロセン系触媒を用いて、ポリプロピレンなどの結晶性ポリマーを少量製造した後、引き続きエチレン−高級α−オレフィン共重合体ゴム成分(CP)を製造する連続重合法を用いたプロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体が知られている。(例えば、特許文献3〜7参照。)。
しかしながら、特許文献3では、溶媒を用いる液相重合で製造しており、この場合生成するCPが溶媒へ溶解し、ポリマーを単離するためには、溶媒を留去する必要があり、得られるポリマーは粒子としても用いることができない問題があった。
また、特許文献4では、エチレン−高級α−オレフィン共重合体ゴム成分(CP)の製造を気相重合で行うことで、重合粒子としてポリマーが得られているが、CPの含量は低いという問題があった。
さらに、特許文献5−7では、エチレン−高級α−オレフィン共重合体ゴム成分(CP)の含量は十分に高いものが得られているが、ベタツキを抑制してCPの分子量を所望の範囲に制御したものは得られていなかった。
このようなことから、エチレン−高級α−オレフィン共重合体ゴム成分(CP)の高い含有量を有し、さらに一定範囲の(CP)の分子量を有し、且つべたつきやブリードアウトが抑制され、粘着性の問題が無い、粉体として取扱いやすい熱可塑性樹脂重合粒子の出現が望まれていた。
特開平6−192500号公報 特開平6−192506号公報 特開平10−158351号公報 WO95−27740号公報 特表2007−505174号公報 特表2007−505175号公報 特表2007−505176号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、結晶性ポリプロピレン成分に対してエチレン−高級α−オレフィン共重合体ゴム成分(CP)の含有量が高く、低分子量成分が少ないことで、べたつきやブリードアウトが抑制され、粘着性の問題が無くなり、粉体として取扱いやすいプロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体などの熱可塑性樹脂重合粒子を提供することにある。ここで「重合粒子」とは、実質的に造粒工程を経ずに重合工程から得られた粒子を意味する。
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、担体に担持されたメタロセン触媒を用いた逐次重合反応によって、まず結晶性プロピレン重合体成分を製造し、次に、エチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも一種のコモノマーとを気相重合して得られる熱可塑性樹脂重合粒子は、エチレン−高級α−オレフィン共重合体ゴム(CP)成分の含量が極めて高いプロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体であって、その平均粒径を特定範囲に制御するとともにCPの分子量を一定範囲に制御することで、べたつきやブリードアウトが抑制され、粘着性の問題が無い、粉体として取扱いやすい重合粒子であることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、担持メタロセン触媒を用いた逐次重合によって得られるプロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体からなる熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法であって、前記担持メタロセン触媒の担体は、無機の微粒子状固体であり、結晶性プロピレン重合体成分を製造する第1工程、次いで、エチレンと炭素数4〜20のαオレフィンから選ばれる少なくとも一種のコモノマーとの共重合体成分(CP)を気相重合する第2工程を含み、かつプロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体は、下記(i)〜(iv)の要件を満たすことを特徴とする熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法が提供される。
(i)重合粒子の平均粒径が800〜3000μmであること、(ii)プロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体全量に対する共重合体成分(CP)の割合が50〜95質量%であること、(iii)共重合体成分(CP)のαオレフィン含量が1〜50質量%であること、(iv)テトラリン中、135℃で測定した共重合体成分(CP)の極限粘度[η]が0.5〜1.2dl/gであること。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記担体は、平均粒径が40〜120μmであることを特徴とする熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1又は2の発明において、プロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体全量に対する共重合体成分(CP)の割合が70〜95質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜3いずれかの発明において、プロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体全量に対する共重合体成分(CP)の割合が80〜95質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、共重合体成分(CP)のαオレフィン含量が20〜50質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、テトラリン中、135℃で測定した共重合体成分(CP)の極限粘度([η])が0.8〜1.2dl/gであることを特徴とする熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、αオレフィンが、1−ブテン、1−ヘキセン又は1−オクテンから選ばれることを特徴とする熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明によって得られる、前記熱可塑性樹脂重合粒子を含む樹脂組成物を射出成形して得られる成形体が提供される。
本発明の熱可塑性樹脂重合粒子は、組成面ではエチレンとα−オレフィンとの共重合体成分(CP)の含有量が特定の数値よりも高く、しかも該共重合体成分中のα−オレフィンの重合割合が特定の数値よりも高いので、物性面ではベタツキ感がなくブロッキング性が良好で、かつ重合パウダーの粉体性状がよい。また、担体に担持されたメタロセン触媒を用いた多段重合反応によって、プロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体を安定的かつ効率的に製造できるから、本発明の重合粒子は工業的な価値が大きい。
以下、熱可塑性樹脂重合粒子、その製造方法、使用する触媒成分、熱可塑性樹脂重合粒子を用いた成形体等について、項目毎に詳細に説明する。
1.熱可塑性樹脂重合粒子
本発明のプロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体からなる熱可塑性樹脂重合粒子は、担体に担持されたメタロセン触媒を用いた多段重合反応によりCPの平均粒子径が特定の値の範囲になるように製造され、(i)重合粒子の平均粒径が800〜3000μm、(ii)プロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体全量に対する共重合体成分(CP)の割合が50〜95質量%、(iii)共重合体成分(CP)のαオレフィン含量が1〜50質量%、(iv)テトラリン中、135℃で測定した共重合体成分(CP)の極限粘度[η]が0.5〜1.2dl/gである。
熱可塑性樹脂重合粒子では、その粒径は、粒子の取り扱い並びに、粒子の付着性や粘着性と密接な関連を有している。平均粒径が小さすぎると粉体の移送等が難しい他、付着性が高くなり粒子ごとの凝集をおこしやすくなるので好ましくない。一方、大きすぎると、一粒子あたりの重量が重くなって移送しにくくなる他、他のポリオレフィン等との複合に用いる場合に混ざりにくくなる等の問題が生じるため好ましくない。したがって、熱可塑性樹脂重合粒子の粒径は、ある一定の範囲にすることが必要であり、例えば、800−3000μmであり、好ましくは800−2000μm、さらに好ましくは1000−2000μmである。
また、本発明において、共重合体成分(CP)の全重合粒子に対する割合の範囲は、50〜95質量%、好ましくは70〜95質量%、さらに好ましくは80〜95質量%である。共重合体成分(CP)の全重合粒子に対する割合の範囲が、この範囲内にあると改質材として好適なものとなる。また、本発明において共重合体成分(CP)のαオレフィン含量の範囲は、1〜50質量%、好ましくは20〜50質量%、さらに好ましくは25〜50質量%である。αオレフィン含量がこの範囲を外れるものは、CP成分のガラス転移温度が高くなり、低温における耐衝撃性が得られなくなるため、好ましくない。
ここでαオレフィンとは、炭素数4〜20のαオレフィンであり、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン−1、1−オクテン−1、1−デセン等が挙げられる。これらの中では、1−ブテン、1−ヘキセンが最も好ましい。この共重合体は、第三成分として、例えばプロピレンやジエン系モノマー等をさらに含有することができる。その場合、これらの第三成分の含有量は、20質量%以下が好ましい。
また、重合粒子中、べとつきの原因とされるゴムの低分子量成分の生成が極力少ない方が望ましい。具体的には、ゴム中の分子量5000以下の成分がゴム全体に対して0.8質量%以下であることが好ましい。なお、ここでゴム中の低分子量成分量とは、後述するCFC分析装置による測定における、40℃以下の溶出成分中の分子量5000以下の成分量のことをいう。
共重合体成分(CP)、すなわちエチレン−αオレフィン共重合体の極限粘度([η])の範囲は、0.5〜1.2dl/g、好ましくは0.8〜1.2dl/gである。一般に射出成形時の金型内での樹脂の充填や押出成形時のモータ負荷を考慮すると、物性を損なわない範囲で低分子量(すなわち極限粘度が小さいこと)化が成形加工の観点から望まれることから、本発明におけるエチレン−αオレフィン共重合体の極限粘度は1.2dl/g以下である。他方で、極端に低分子量化すると、力学物性に悪影響を及ぼすこと、あるいはべとつきの問題が発生することから、下限値は0.5dl/gである。ここで、極限粘度([η])は、テトラリン中、135℃で測定した値である。
2.熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法
(1)重合方法
本発明のプロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体からなる熱可塑性樹脂重合粒子は、結晶性プロピレン重合体成分(PP)を製造する第1工程、引き続き、エチレンと、炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも一種のコモノマーとの共重合体成分(CP)を製造する第2工程によって製造される。
この第1工程は、バルク重合法または気相重合法のどちらの重合法でも採用可能である。第2工程は、製造するエチレン−αオレフィン共重合体成分がゴム成分であり、溶媒中に溶出しないことが望ましいため、気相重合法を採用する。
また、重合形式は、それぞれ第1工程、第2工程とも回分法、および連続法どちらの方式も採用できる。本発明においては、前段と後段からなる2段重合が行われるが、場合によっては、それぞれの段階を更に分割することができる。特に、第2工程を2段以上に分割して多種類のゴム成分を作る方法も物性改良法の一つである。
(a)プロピレン重合体成分(PP)の製造
第1工程では、担持メタロセン触媒を使用して、結晶性プロピレン重合体成分(PP)を製造する。ここで、結晶性プロピレン重合体成分とは、プロピレンをモノマー単位として主に有し、かつ結晶性を有する成分を指し、具体的にはプロピレン単独重合体(プロピレンホモポリマー)またはプロピレンとα−オレフィンの共重合体(プロピレン−αオレフィン共重合体)などである。これらは、分析的には、例えば示差走査熱量測定(DSC)による測定で融解ピークが観測される重合体成分と定義できる。
すなわち、この工程は、プロピレン単独重合体(プロピレンホモポリマー)またはプロピレンとα−オレフィンの共重合体(プロピレン−αオレフィン共重合体)を、一段もしくは多段に製造する工程であり、結晶性プロピレン重合体成分(PP)の全重合量に対する割合の範囲は5〜50質量%であり、好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは5〜20質量%である。ここでαオレフィンとしては、エチレンを含みプロピレン以外の炭素数4〜20のαオレフィンであり、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン−1、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。これらの中では、エチレンが最も好ましい。αオレフィンを使用する場合、全モノマー(プロピレンとα−オレフィンの合計)に対して5質量%以下、好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下を使用する。
第1工程における重合温度は、30〜120℃、好ましくは50〜90℃程度である。重合圧力は0.1〜6MPa、好ましくは0.1〜4MPaである。また、重合体の流動性が適当なものとなるように分子量(MFR)調整剤を使用することが好ましく、調整剤としては水素が好ましい。MFR(試験条件:230℃、2.16Kg荷重)は、最終重合体の用途によるが、好ましい範囲としては0.1〜3000g/10分、好ましくは0.5〜2000g/10分、さらに好ましくは1〜1000g/10分である。
(b)エチレン−α−オレフィン共重合体成分(CP)の製造
本発明の第2工程は、この工程で製造するエチレン−αオレフィン共重合体成分がゴム成分であり、溶媒中に溶出しないことが望ましいことから、気相重合で行なう必要がある。気相重合プロセスとしては、公知の気相重合プロセスを用いることができるが、機械的に攪拌される縦型あるいは横型の気相重合プロセスが好ましい。
本発明の第2工程で生成させる共重合体成分(CP)のαオレフィン含量の範囲は、1〜50質量%、好ましくは20〜50質量%、さらに好ましくは25〜50質量%である。
ここでαオレフィンとしては、炭素数4〜20のαオレフィンであり、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン−1、1−オクテン−1、1−デセン等が挙げられる。これらの中では、1−ブテン、1−ヘキセンが最も好ましい。この共重合体は、第三成分として、例えばプロピレンやジエン系モノマー等をさらに含有することができる。その場合、これらの第三成分の含有量は、20質量%以下が好ましい。
本発明においては、αオレフィン含量が高く、べたつきやすい共重合体成分(CP)を高い含量で含む熱可塑性重合粒子を安定に生産できるように、べたつきやすい重合粒子の付着を防止することが必要である。
このため、第2工程では、好ましい量の共重合体成分(CP)を製造するために、重合時間を調整して行うことができる。本発明の第2工程で生成させる共重合体成分(CP)の全重合量に対する割合の範囲は、50〜95質量%、好ましくは70〜95質量%、さらに好ましくは80〜95質量%である。
第2工程の重合における重合温度は、30〜120℃、好ましくは50〜80℃程度である。重合圧力は0.1〜5MPa、好ましくは0.5〜2.5MPaである。重合圧力があまり高くなると、超臨界状態となってしまうことが知られているが、本発明における気相重合は、このような超臨界状態を含まない。
重合時には、得られる重合体の流動性が適当なものとなるように分子量調整剤を使用することが好ましく、分子量調整剤としては、水素が好ましい。
(c)予備重合
本発明に用いられる触媒は、粒子性の改良のために、予めオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付すのが好ましい。
使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどを使用することが可能であり、特にプロピレンを使用するのが好ましい。
オレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的に或いは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。
予備重合時間は、特に限定されないが、5分〜24時間の範囲であるのが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が担体1質量部に対し、好ましくは0.01〜100質量部、より好ましくは0.1〜50質量部である。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行ってもよい。
予備重合温度は、特に制限されないが、通常0℃〜100℃、好ましくは10〜70℃、より好ましくは20〜60℃、特に好ましくは30〜50℃である。この範囲を下回ると反応速度が低下したり、活性化反応が進行しないという弊害が生じる可能性があり、上回ると予備重合ポリマーが溶解したり、予備重合速度が速すぎて粒子性状が悪化したり、副反応のため活性点が失活するという弊害が生じる可能性がある。
予備重合時には、有機溶媒等の液体中で実施することが好ましい。有機溶媒の種類は、特に制限されないが、例えばn−ヘキサン、n−ヘプタンなどを挙げることができる。予備重合時の固体触媒の濃度は、特に制限されないが、50g/L以上、好ましくは60g/L以上、より好ましくは70g/L以上である。濃度が高い方がメタロセンの活性化が進行し、高活性触媒となる。
(2)重合触媒
本発明の熱可塑性樹脂重合粒子を製造するに当っては、担持型のメタロセン系触媒が用いられる。
メタロセン触媒などのシングルサイト触媒は、チーグラー系触媒に比して、触媒活性が高く、生成重合体の分子量分布が狭く、共重合体では組成分布が均一となるなど、プロピレン系ブロック共重合体を製造するには、優れた触媒である。したがって、シングルサイト触媒としてのメタロセン系触媒による重合方法が選択される。
また、メタロセン触媒を担持型とすることによって、得られるポリマーが粒子状となり、反応器への付着やポリマー同士での融着が無くなるとともに、重合後の気力移送が可能となるという効果が得られるだけでなく、気相重合が可能となる。
(a)メタロセン錯体
本発明において用いられるメタロセン錯体としては、代表的なものとして共役五員環配位子を有する周期律表第4族の遷移金属化合物の架橋メタロセン錯体が挙げられ、これらのうち、第1工程ではプロピレン重合において、ある程度以上の立体規則性重合が可能なものが必要とされる。また、第2工程では、エチレンに対して高い活性を示すことに加えて、炭素数4以上のαオレフィンとの高い共重合性を示すものが好ましい。
以上の観点で、二つのシクロペンタジエニル誘導体部分を架橋した構造を有しているものが好ましく、さらに、好ましくは以下の(a−1)で表される架橋ビスインデニル錯体、以下の(a−2)で表される架橋シクロペンタジエニル−インデニル錯体、架橋シクロペンタジエニル−フルオレニル錯体、架橋シクロペンタジエニル−ヒドロアズレニル錯体、さらに、以下の(a−3)で表される架橋ビスヒドロアズレニル錯体、架橋ヒドロアズレニル−インデニル錯体等が挙げられる。
(a−1):
Figure 0005201943
(式中、R11及びR12は同じでも異なってもよく、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基又は置換された2−フルフリル基を表す。但し、R11及びR12のうち少なくとも1つは、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基又は置換された2−フルフリル基である。R13及びR14は同じでも異なってもよく、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン含有アリール基又は炭素数6〜20のケイ素含有アリール基を表す。Qは、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基を表す。X及びYはそれぞれ独立して、Mとσ結合を形成する配位子を表す。また、Mは周期律表第4族の遷移金属を表す。)
これらのメタロセン錯体の具体例としては、以下のものが例示される。
(1)ジクロロ ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウム、
(2)ジクロロ ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウム、
(3)ジクロロ ジフェニルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウム、
(4)ジクロロ ジメチルゲルミレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウム、
(5)ジクロロ ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
(6)ジクロロ ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
(7)ジクロロ ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
(8)ジクロロ ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
(9)ジクロロ ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル)(2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウム
(10)ジクロロ ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル)(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウム、
(11)ジクロロ ジフェニルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル)(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウム、
(12)ジクロロ ジメチルゲルミレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル)(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウム。
(a−2):
Figure 0005201943
(式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26及びR27は、それぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を表す。ただし、R21、R22、R23及びR24のいずれか1つ以上は、水素原子以外の置換基であり、かつ、隣接するR21、R22、R23及びR24は、互いに環を形成しない構造であり、R25及びR26は、環を形成してもよい構造である。nは0〜3であり、R28は、炭素数3〜6の二価の炭化水素基を表す。Qは、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基を表す。X及びYは、それぞれ独立して、Mとσ結合を形成する配位子を表す。Mは、周期律表第4族の遷移金属を表す。)
これらのメタロセン錯体の具体例としては、以下のものが例示される。
(1)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−メチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(2)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−t−ブチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(3)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−フェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(4)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(3−フェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(5)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(6)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(7)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(8)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(9)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(10)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,3,4−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(11)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(12)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−メチルシクロペンタジエニル)(4−(4−クロロフェニル)−2−メチル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(13)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−メチルシクロペンタジエニル)(4−(4−t−ブチルフェニル)−2−メチル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(14)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−メチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ハフニウム、
(15)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ハフニウム、
(16)ジクロロ{ジメチルシリレン(2−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニル}ハフニウム、
(17)ジクロロ{ジメチルシリレン(4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニル}ハフニウム、
(18)ジクロロ{ジメチルシリレン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)}ハフニウム。
(a−3):
Figure 0005201943
(式中、R31、R32、R34及びR35は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基又は炭素数1〜18のハロゲン化炭化水素基を示す。R33及びR36は、それぞれ独立して、それが結合する五員環に対して縮合環を形成する炭素数3〜10の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を示す。ただし、R33及びR36の少なくとも一方の炭素数は、5〜8であり、R33又はR36由来の7〜10員環から成る縮合環を形成する。R37及びR38は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基又は炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基を示す。m及びnは、それぞれ独立して0〜20の整数を示す。ただし、m及びnが同時に0となることはない。また、m又はnが2以上の場合、それぞれ、R37同士またはR38同士が連結して新たな環構造を形成していてもよい。Qは、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基を示し、X及びYは、助触媒と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子を示し、Mは、周期表4族の遷移金属を示す。)
これらのメタロセン錯体の具体例としては、以下のものが例示される。
(1)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウム、
(2)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム、
(3)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム、
(4)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム、
(5)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム、
(6)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム、
(7)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウム、
(8)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム、
(9)ジクロロ{1,1’−シラフルオレンビス(2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル)}ジルコニウム、
(10)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(11)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム。
(b)助触媒(活性化剤成分)
助触媒は、メタロセン錯体を活性化する成分で、メタロセン錯体の補助配位子と反応して当該錯体を、オレフィン重合能を有する活性種に変換させ得る化合物であり、具体的には、下記(b−1)〜(b−4)のものが挙げられる。特に好ましいのは(b−4)のイオン交換性層状珪酸塩である。
(b−1)アルミニウムオキシ化合物、
(b−2)成分(a)と反応して、成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸、
(b−3)固体酸、
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩。
(b−1)のアルミニウムオキシ化合物がメタロセン錯体を活性化できることは、周知であり、そのような化合物としては、具体的には次の各一般式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005201943
上記の各一般式中、Rは、水素原子または炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10、中でも炭素数1〜6の炭化水素基を示す。また、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
上記一般式のうち、一番目及び二番目の式(IV)(V)で表される化合物は、アルミノキサンとも称される化合物であって、これらの中では、メチルアルミノキサン又はメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記のアルミノキサンは、各群内および各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
上記一般式のうち、三番目の式(VI)で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと、一般式:RB(OH)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。
一般式中、R及びRは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。
(b−2)の化合物は、成分(a)と反応して、成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸であり、このようなイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などの有機ホウ素化合物との錯化物などが挙げられる。また、上記のようなルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。或いは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウムなどの金属ハロゲン化物などが例示される。
なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分(a)と反応して、成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。
ここで、成分(b−1)、成分(b−2)を担持する微粒子状担体としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、シリカアルミナ、シリカマグネシアなどの無機酸化物、塩化マグネシウム、オキシ塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化ランタンなどの無機ハロゲン化物、さらには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンジビニルベンセン共重合体、アクリル酸系共重合体などの多孔質の有機担体を挙げることができる。
(b−3)の固体酸としては、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシアなどが挙げられる。
(b−4)のイオン交換性層状化合物は、粘土鉱物の大部分を占めるものであり、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライトなど)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。
珪酸塩は、各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
(I)2:1型鉱物類:
モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどのスメクタイト族;バーミキュライトなどのバーミキュライト族;雲母、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母族;パイロフィライト、タルクなどのパイロフィライト−タルク族;Mg緑泥石などの緑泥石族。
(II)2:1リボン型鉱物類:
セピオライト、パリゴルスカイトなど。
珪酸塩は、上記の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であるのが好ましく、スメクタイト族であることがより好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。珪酸塩については、天然品または工業原料として入手したものは、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すのが好ましい。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。これらの処理を互いに組み合わせて用いてもよい。これらの処理条件には特に制限はなく、公知の条件が使用できる。
また、これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常、吸着水および層間水が含まれるため、不活性ガス流通下で加熱脱水処理するなどして、水分を除去してから使用するのが好ましい。なおこれらの化学処理の程度によってはイオン交換性が小さくなっている場合があるが、化学処理前の原料がイオン交換性層状珪酸塩であれば、特に問題ない。
(c)有機アルミニウム化合物
メタロセン触媒系に、必用に応じて使用される有機アルミニウム化合物としては、ハロゲンを含有しないものが使用され、具体的には一般式:
AlR3−i
(式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基、Xは、水素、アルコキシ基、iは、0≦i≦3の数を示す。但し、Xが水素の場合は、iは0≦i<3とする。)
で示される化合物が使用される。
具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、またはジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシドなどのアルコキシ含有アルキルアルミニウム、さらにはジエチルアルミニウムハライドなどのハライド含有アルキルアルミニウムが挙げられる。
これらのうち、特にトリアルキルアルミニウム、中でもトリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムが好ましい。
(d)担体
メタロセン触媒系において、必要に応じ適宜用いられる担体としては、各種公知の無機或いは有機の微粒子状固体を挙げることができる。担体の平均粒径は、通常5〜300μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは40〜120μmである。
無機固体の例示としては、多孔質酸化物が挙げられ、必要に応じて100〜1,000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられる。
具体的には、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThOなど、またはこれらの混合物、たとえばSiO−MgO、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−V、SiO−Cr、SiO−TiO−MgOなどが挙げられる。これらのうち、SiOまたはAlを主成分とするものが好ましい。
また、上記(b)助触媒のうち固体のものであれば、担体兼助触媒として使用することが可能であり、かつ好ましい。具体例としては、(b−3)固体酸や(b−4)イオン交換性層状珪酸塩などが挙げられる。特に(b−4)イオン交換性層状珪酸塩を担体兼助触媒として使用するのが好ましい。ブロック共重合体の粒子性状を向上させるためには、各種公知の造粒を行うのが好ましい。
有機固体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体、或いはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体もしくは共重合体の固体を例示することができる。
(e)触媒成分の接触
本発明においては、上記の成分(a)と成分(b)、及び必要に応じて成分(c)を接触させて重合触媒とする。その接触方法は、特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。また、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時またはオレフィンの重合時に行ってもよい。
(I) 成分(a)と成分(b)を接触させる。
(II) 成分(a)と成分(b)を接触させた後に、成分(c)を添加する。
(III) 成分(a)と成分(c)を接触させた後に、成分(b)を添加する。
(IV) 成分(b)と成分(c)を接触させた後に、成分(a)を添加する。
(V) その他、三成分を同時に接触させてもよい。
好ましい接触方法は、成分(b)と成分(c)を接触させた後、未反応の成分(c)を洗浄等で除去し、その後、再度必要最小限の成分(c)を成分(b)に接触させ、その後成分(a)を接触させる方法である。この場合のAl/遷移金属のモル比は、0.1〜1,000、好ましくは2〜10、より好ましくは4〜6の範囲である。
成分(a)と成分(c)を接触させる(その場合成分(b)が存在していてもよい)温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜80℃、特に好ましくは30〜60℃である。この温度範囲より低い場合は、反応が遅くなるし、また、高い場合は、成分(a)の分解反応が進行する。
また、成分(a)と成分(c)を接触させる(その場合成分(b)が存在していてもよい)場合には、有機溶媒を溶媒として存在させるのが好ましい。この場合の成分(a)の有機溶媒中での濃度は、高い方が良く、好ましくは3mM以上、より好ましくは4mM以上、特に好ましくは6mM以上である。
上記の触媒成分のうち成分(a)と成分(b)の使用量は、それぞれの組み合わせの中で最適な量比で用いられる。
成分(b)がアルミニウムオキシ化合物の場合は、Al/遷移金属のモル比は、通常10以上100,000以下、さらに100以上20,000以下、特に100以上10,000以下の範囲が適する。一方、成分(b)としてイオン性化合物或いはルイス酸を用いた場合は、対遷移金属のモル比は、0.1〜1,000、好ましくは1〜100、より好ましくは2〜10の範囲である。
成分(b)として、固体酸或いはイオン交換性層状珪酸塩を用いる場合は、成分(b)1gにつき、遷移金属錯体0.001〜10ミリモル、好ましくは0.001〜1ミリモルの範囲である。また、その場合成分(b)は、酸点を持つのが好ましい。酸点の量の下限については、成分(b)1gにつきpKa<−8.2以下の強酸点において、好ましくは30μモル、より好ましくは50μモル、特に好ましくは100μモルである。酸点の量は、特開2000−158707号公報の記載に従い、測定される。
3.プロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体である熱可塑性樹脂重合粒子を用いた成形体
本発明の熱可塑性樹脂重合粒子は、従来公知の成形法により、各種成形品、フィルム、シート、各種被覆材等に成形される。成形法としては通常の射出成形はもちろん、インサート成形、サンドイッチ成形、ガスアシスト成形等を行うことができるし、プレス成形、スタンピングモールド、回転成形などを行うこともできる。
フィルムやシートの成形法の例としては、空冷インフレーション成形、水冷インフレーション成形、Tダイによる無延伸成形、一軸延伸成形、二軸延伸成形、カレンダー成形等が用いることができる。また、これらフィルムやシートとして使用する場合に、多層構成中の層としての使用も可能である。容器成形としては、熱板成形、圧空成形、真空成形、真空圧空成形、ブロー成形、延伸ブロー成形が用いることができる。
本発明の成形体は、前記熱可塑性樹脂重合粒子を含む樹脂組成物を射出成形して得られるものである。射出成形に先立ち、他のポリプロピレン系樹脂、プロピレンブロック共重合体など公知のポリオレフィン樹脂、添加剤、フィラーなどの付加的成分を配合して樹脂組成物とすることができる。
付加的成分(任意成分)としては、フェノール系及びリン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の耐候劣化防止剤、有機アルミニウム化合物、有機リン化合物等の核剤、ステアリン酸の金属塩に代表される分散剤、キナクリドン、ペリレン、フタロシアニン、酸化チタン、カーボンブラック等の着色物質、マイカ、モンモリロナイト等の板状フィラー、短繊維ガラス繊維、長繊維ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ゾノライト等の繊維状フィラー、チタン酸カリウム、マグネシウムオキシサルフェート、窒化珪素、ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、ワラストナイト、炭酸カルシウム等の針状(ウイスカー)フィラー、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の粒状フィラー、ガラスバルーンのようなバルン状フィラー成分を例示できる。
樹脂組成物は、上記の各構成成分を押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等通常の混練機を用いて、設定温度180℃〜250℃にて混練することにより製造されるが、これらの中でも押出機、特に二軸押出機を用いて製造することが好ましい。
本発明において、重合粒子の共重合体成分であるエチレン−αオレフィン共重合体の極限粘度([η])の範囲は、前記のとおり0.5〜1.2dl/g、好ましくは0.8〜1.2dl/gである。極限粘度が1.2dl/g以下であるため、射出成形時の金型内で樹脂を充填しやすく押出成形時のモータ負荷も小さくなり成形加工性が高い。他方で、極端に低分子量化すると、力学物性に悪影響を及ぼすことあるいはべとつきの問題が発生するが、本発明におけるエチレン−αオレフィン共重合体の極限粘度の下限値は0.5dl/gであるため、力学物性やべとつきの問題は発生しない。
また、本発明においては、熱可塑性樹脂重合粒子の粒径の範囲が、800−3000μmであるため、粉体の移送が容易であり、付着性が低く粒子ごとの凝集をおこしにくく、他のポリオレフィン等と複合化する際に混ざりにくくなる等の問題がないから、成形加工が容易である。
<用途>
本発明の熱可塑性樹脂重合粒子は、高いゴム含量を有することから、これを含む成形体は、耐衝撃性に富み、各種の産業用資材として好適に用いられる。例えば、自動車の内外装部品の用途、電化製品の筐体や部品の用途、事務用品や建材等の各種用途、さらに各種の包装梱包材用途に有用である。特にバンパー、ロッカーモール、サイドモール、オーバーフェンダーをはじめとする自動車外装部品の用途に好適である。
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
実施例で評価したポリマー物性の測定方法などを以下に示す。
(1)MFRの測定:
ポリマー6gに熱安定剤(BHT)のアセトン溶液(0.6質量%)6gを添加した。次いで、上記のポリマーを乾燥した後、メルトインデクサー(230℃)に充填し、2.16Kg荷重の条件下に5分間放置した。その後、ポリマーの押し出し量を測定し、10分間当たりの量に換算し、MFRの値とした(単位はg/10分)。
(2)融点(Tm)の測定:
DSC(セイコー・インスツルメンツ社製・DSC6200型)を使用し、10℃/分で20〜200℃までの昇降温を1回行った後、10℃/分で2回目の昇温時の測定値により求めた。
(3)クロス分別(以下、CFCと称する。)
本発明の触媒を用いて得られるプロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体中の共重合体成分(ゴム状成分であり、以下、「CP」と称す。)の含有量、CP中のα−オレフィン重合割合は、以下の方法により求めた。
なお、以下の例は、CP中のαオレフィンとして、プロピレンを用いた場合(つまりエチレン−プロピレン共重合体と仮定した場合)のものであるが、1−ブテンなどのαオレフィンでも、以下の例に準じた方法を用いて求めるものとする。
(3−1)使用する分析装置
(i)クロス分別装置:
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100
(ii)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析:
FT−IR・パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して、代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは、光路長1mm・光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
(3−2)CFCの測定条件
(i)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)、
(ii)サンプル濃度:4mg/mL、
(iii)注入量:0.4mL、
(iv)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(v)分別方法:昇温溶出分別時の分別温度は、40,100,140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:質量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
(vi)溶出時溶媒流速:1mL/分
(3−3)FT−IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
(i)検出器:MCT、
(ii)分解能:8cm−1
(iii)測定間隔:0.2分(12秒)、
(iv)一測定当たりの積算回数:15回。
(3−4)測定結果の後処理と解析
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は、各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.4mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算は、森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式([η]=K×Mα)には、以下の数値を用いる。
(i)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時、
K=0.000138、α=0.70
(ii)プロピレン系ブロック共重合体のサンプル測定時、
K=0.000103、α=0.78
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、GPC−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレン及び13C−NMR測定などによりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレン共重合体(EPR)及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン重合割合(モル%)に換算して求める。
(3−5)CP含有量
本発明におけるブロック共重合体のCP含有量は、下記式(I)で定義され、以下のような手順で求められる。
CP含有量(質量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100・・・(I)
式(I)において、W40,W100は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:質量%)であり、A40,A100は、W40,W100に対応する各フラククションにおける実測定の平均エチレン含有量(単位:質量%)であり、B40,B100は、各フラクションに含まれるCPのエチレン含有量(単位:質量%)である。A40,A100,B40,B100の求め方は、後述する。
式(I)の意味は、以下の通りである。すなわち、式(I)右辺の第一項は、フラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれるCPの量を算出する項である。フラクション1がCPのみを含み、PPを含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来のCP含有量に寄与するが、フラクション1にはCP由来の成分の他に少量のPP由来の成分(極端に分子量の低い成分及びアタクチックポリプロピレン)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこでW40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、CP成分由来の量を算出する。例えば、フラクション1の平均エチレン含有量(A40)が30質量%であり、フラクション1に含まれるCPのエチレン含有量(B40)が40質量%である場合、フラクション1の30/40=3/4(即ち75質量%)はCP由来、1/4はPP由来ということになる。このように右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作は、フラクション1の質量%(W40)からCPの寄与を算出することを意味する。
右辺第二項も同様であり、各々のフラクションについて、CPの寄与を算出して加え合わせたものがCP含有量となる。
フラクション1〜3の平均エチレン含有量A40,A100,A140は、2945cm−1の吸光度のクロマトグラムにおける各データポイント毎の重量割合と、各データポイント毎のエチレン含有量(2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比から得られる)の積の総和によって得られる。
フラクション1の微分分子量分布曲線におけるピーク位置に相当するエチレン含有量をB40とする(単位は質量%である)。フラクション2については、ゴム部分が40℃ですべて溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本発明では、B100=100と定義する。B40,B100は、各フラクションに含まれるCPのエチレン含有量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由は、フラクションに混在するPPとCPを完全に分離・分取する手段がないからである。
種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40は、フラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果をうまく説明することができる。また、B100は、エチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、及びこれらのフラクションに含まれるCPの量がフラクション1に含まれるCPの量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、100と近似する方が実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。
そこで、B100=100として、解析を行うこととしている。従って、下記式(II)に従い、CP含有量を求めることができる。
CP含有量(質量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100・・・(II)
つまり、式(II)右辺の第一項であるW40×A40/B40は、結晶性を持たないCP含有量(質量%)を示し、第二項であるW100×A100/100は、結晶性を持つCP含有量(質量%)を示す。
共重合体成分中のエチレン含量は、式(II)で求めた共重合体成分の含有量を用いて、下記の式(III)で求められる。
共重合体成分中のエチレン含量(質量%)=(W40×A40+W100×A100+W140×A140)/[共重合体成分含有量(質量%)]・・・(III)
なお、上記3種類の分別温度を設定した意義は、次の通りである。本発明に係るCFC分析において、40℃とは、結晶性を持たないポリマー(例えば、CPの大部分、若しくはプロピレン重合体成分(PP)の中でも極端に分子量の低い成分及びアタクチックな成分)のみを分別するのに必要十分な温度条件である意義を有する。また、100℃とは、40℃では不溶であるが、100℃では可溶となる成分(例えばCP中、エチレン及び/又はプロピレンの連鎖に起因して結晶性を有する成分、及び結晶性の低いPP)のみを溶出させるのに必要十分な温度である。140℃とは、100℃では不溶であるが140℃では可溶となる成分(例えば、PP中特に結晶性の高い成分、及びCP中の極端に分子量が高くかつ極めて高いエチレン結晶性を有する成分)のみを溶出させ、かつ分析に使用するブロック共重合体の全量を回収するのに必要十分な温度である。なお、W140には、CP成分は全く含まれないか、存在しても極めて少量であり実質的には無視できることからCP含有量やエチレン含量の計算からは排除する。
(3−6)α−オレフィン重合割合
上記のことから、CP中のエチレン含有量は、次式によって求めることができる。
CP中のエチレン含有量(質量%)=(W40×A40+W100×A100)/[CP]
但し、[CP]は、先に求めたCP含有量(質量%)である。本発明において、α−オレフィン重合割合は、このエチレン重合割合から算出できる。
(4)重合粒子の平均粒径の測定
レッチェテクノロジー社製、粒度分布測定装置カムサイザーを使用してサンプル重合粒子約15−20gの粒子径を求めた。DIN66141のQ3(0.5)(質量基準による累積分布Q3(x)のX=0.5の値)の粒子径を平均粒径とした。
(5)共重合体成分(CP)の極限粘度([η])測定
CP成分の抽出は、以下の通り行った。300mLのフラスコに、重合粒子試料5gと、2,6−tert−ブチル−4−メチルフェノ−ル20mgと、キシレン500mLとを入れ、145℃の油浴上で加熱溶解させる。重合体試料が溶解した後、徐々に室温まで冷却した。析出した重合体を含むキシレン懸濁液を、グラスフィルタで濾過分離し、分離された溶液部から、5mmHg、50℃でキシレンを蒸発させることによりCP成分を得た。得られたCP成分の極限粘度([η])は、テトラリン中、135℃で測定した。
[実施例1]
(1)メタロセン錯体
ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(4−(4−t−ブチルフェニル)−2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル)}ジルコニウムの合成
a)4−(4−t−ブチルフェニル)−インデンの合成
1000mlのガラス製反応容器に、1−ブロモ−4−t−ブチル−ベンゼン(40g、0.19mol)、ジメトキシエタン(400ml)を加え、−70℃まで冷却した。ここにt−ブチルリチウム−ペンタン溶液(260ml、0.38mol、1.46mol/L)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しながら5時間攪拌した。再び−70℃まで冷却し、そこにトリイソプロピルボレート(46ml、0.20mol)のジメトキシエタン溶液(100ml)を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜攪拌した。
反応液に蒸留水(100ml)を加え、30分間攪拌した後、炭酸ナトリウム50gの水溶液(150ml)、4−ブロモインデン(30g、0.15mol)、テトラキス(トリフェニルフォスフィノ)パラジウム(5g、4.3mmol)を順に加え、その後、低沸成分を除去し80℃で5時間加熱した。
反応液を氷水(1L)中に注ぎ、そこから3回エーテル抽出を行い、エーテル層を飽和食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン(37g、収率98%)を淡黄色液体として得た。
b)2−ブロモ−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデンの合成
1000mlのガラス製反応容器に、4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン(37g、0.15mol)、ジメチルスルホキシド(400ml)、蒸留水(11ml)を加え、そこにN−ブロモスクシンイミド(35g、0.20mol)を徐々に加え、そのまま室温で1時間攪拌した。
反応液を氷水(1L)中に注ぎ、そこから3回トルエンで抽出を行った。トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、p−トルエンスルホン酸(4.3g、22mmol)を加え、水分を除去しながら2時間加熱還流させた。
反応液を分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−ブロモ−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン(46g、収率95%)を淡黄色固体として得た。
c)4−(4−t−ブチルフェニル)−2−(5−メチル−2−フリル)−インデンの合成
1000mlのガラス製反応容器に、メチルフラン(13.8g、0.17mol)、ジメトキシエタン(400ml)を加え、−70℃まで冷却した。ここにn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(111ml、0.17mol、1.52mol/L)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しながら3時間攪拌した。再び70℃まで冷却し、そこにトリイソプロピルボレート(41ml、0.18mol)を含むジメトキシエタン溶液(100ml)を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜攪拌した。
反応液に蒸留水(50ml)を加え、30分間攪拌した後、炭酸ナトリウム54gの水溶液(100ml)、2−ブロモ−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン(46g、0.14mol)、テトラキス(トリフェニルフォスフィノ)パラジウム(5g、4.3mmol)を順に加え、その後、低沸成分を除去しながら加熱し80℃で3時間加熱した。
反応液を氷水(1L)中に注ぎ、そこから3回エーテル抽出を行い、エーテル層を飽和食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ヘキサンで再結晶を行い4−(4−t−ブチルフェニル)−2−(5−メチル−2−フリル)−インデン(30.7g、収率66%)を無色結晶として得た。
d)ジメチルビス(4−(4−t−ブチルフェニル)2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル)シランの合成
1000mlのガラス製反応容器に、4−(4−t−ブチルフェニル)−2−(5−メチル−2−フリル)インデン(22g、66mmol)、THF(200ml)を加え、−70℃まで冷却した。ここにn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(42ml、67mmol、1.60mol/L)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しながら3時間攪拌した。再び−70℃まで冷却し、1−メチルイミダゾール(0.3ml、3.8mmol)を加え、ジメチルジクロロシラン(4.3g、33mmol)を含むTHF溶液(100ml)を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜攪拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(4−(4−t−ブチルフェニル)−2−(5−メチル−2−フリル)インデニル)シランの淡黄色固体(22g、収率92%)を得た。
e)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(4−(4−t−ブチルフェニル)−2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル)}ジルコニウムの合成
100mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(4−(4−t−ブチルフェニル)−2−(5−メチル−2−フリル)インデニル)シラン(11g、16mmol)、ジエチルエーテル(200ml)を加え、−70℃まで冷却した。ここにn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(20ml、32mmol、1.60mol/L)を滴下した。滴下後、室温に戻し3時間攪拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン(200ml),ジエチルエーテル(10ml)を加え、−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ジルコニウム(3.7g、16mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜攪拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン/ヘキサンで再結晶を行い、ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(4−(4−t−ブチルフェニル)−2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル)}ジルコニウムのラセミ体を黄橙色結晶(1.3g、収率9%)として得た。
(2)触媒調製
(a)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
撹拌翼と還流装置を取り付けた3Lセパラブルフラスコに、純水2250gを投入し、98%硫酸665gを滴下し、内部温度を90℃にした。そこへ、さらに市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製、ベンクレイSL、平均粒径:47.1μm)を400g添加後撹拌した。その後90℃で3時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、2Lの純水で5回洗浄した。
このようにして回収されたケーキを、5Lビーカー内において硫酸亜鉛7水和物423gを純水1523mlに溶解させた水溶液に加えて室温で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、2Lの純水で5回洗浄してケーキを回収し、これを120℃で終夜乾燥して296gの化学処理モンモリロナイトを得た。これを目開き74μmの篩にて篩い分けし篩上分を除去した。
(b)乾燥工程
上記(a)で得た化学処理モンモリロナイトを容積1Lのフラスコに入れ、200℃で3時間減圧乾燥させたところガスの発生が収まった。その後さらに2時間減圧乾燥して被処理モンモリロナイトを得た。
(c)被処理モンモリロナイトの有機アルミニウム処理
内容積1Lのフラスコに上記(b)で得た被処理モンモリロナイト10.0gを秤量し、ヘプタン65ml、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液35ml(25mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄したのち、溶媒量が100ml量に調整されたスラリーを得た。
(3)プロピレンによる予備重合
上記で調製し、トリイソブチルアルミニウム処理したモンモリロナイトのヘプタンスラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液1.7mLを加えて10分間、室温で撹拌した。
また、(1)で合成したジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(4−(4−t−ブチルフェニル)−2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル)}ジルコニウムのトルエン(60mL)溶液を、上記の1Lフラスコに加えて室温で60分間撹拌した。
次に、上記モンモリロナイトのヘプタンスラリーに、さらにヘプタン340mLを追加して内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入し、40℃でプロピレンを238.1mmol/hr(10g/hr)の一定速度で120分間にて供給した。プロピレン供給終了後、50℃に昇温して2時間そのまま維持し、その後残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。
回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液8.5mL(6.0mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒を回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は、1.89であった。
(4)ブロック重合
内容積3Lの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液2.76ml(2.02mmol)を加え、水素(300mL)、続いて液体プロピレン750gを導入し、65℃に昇温し、その温度を維持した。上記(3)で調製した予備重合触媒をノルマルヘプタンにスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)50mgを圧入し、重合を開始した。槽内温度を65℃に維持し、触媒投入30分間経過後に、残モノマーのパージを行い、アルゴンにて槽内を5回置換した。撹拌を停止させ、アルゴンをフローさせながら、テフロン(登録商標)管を槽内に差し込み、ポリプロピレンを少量抜き出した。90℃窒素気流下で30分間乾燥後に測定した結果、抜き出し量は14gであった。
一方、内容積14Lの撹拌式オートクレーブを、内温を90℃に調整し、1−ブテン(300mL)と水素(100mL)を導入した。さらにエチレンを圧入して3.5MPaとして、1−ブテンとエチレンの混合ガスを調製した。
上記プロピレン重合を行った3Lのオートクレーブを80℃に昇温し、予め調製しておいた1−ブテンとエチレンの混合ガスを導入した。内圧が2.0MPaで重合中に圧力が変化しないように、混合ガスを供給しながら、1時間重合反応を制御した。
その結果、べとつきがなく粒子性状の良い状態で301gのプロピレン/エチレン−ブテンブロック共重合体が得られた。
上記で得られたブロック共重合体は、MFRが5.66(dg/分)、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)が77.6質量%、ゴム(CP)中のαオレフィン含有量は22.2質量%であり、ポリマーの平均粒径は1300μmであった。共重合体成分(CP)の極限粘度[η]は1.11(dl/g)であった。また、別途、第1工程終了後に採取したプロピレンホモポリマーのTmは155℃、MFRは76.4(dg/分)であった。
[実施例2]
(1)ブロック重合
上記実施例1の(3)で調製した予備重合触媒を用い、混合ガスを調製する際に導入する1−ブテンを450mL、水素を200mL用いて行う以外は、上記実施例1の(4)と同様に操作した。
その結果、粒子性状の良い314gのプロピレン/エチレン−ブテンブロック共重合体が得られた。
上記で得られたブロック共重合体は、MFRが21.2(dg/分)、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)が76.9質量%、ゴム(CP)中のαオレフィン含有量は31.3質量%であり、ポリマーの平均粒径は1400μmであった。共重合体成分(CP)の極限粘度[η]は0.91(dl/g)であった。また、別途、第1工程終了後に採取したプロピレンホモポリマーのMFRは100(dg/分)であった。
[実施例3]
(1)ブロック重合
上記実施例1の(3)で調製した予備重合触媒を用い、混合ガスを調製する際に導入する1−ブテンを450mL、水素を100mL用いて、さらにエチレンを圧入して3.0MPaとして、1−ブテンとエチレンの混合ガスを調製し、内圧が1.5MPaで重合を5時間行う以外は、上記実施例1の(4)と同様に操作した。
その結果、粒子性状の良い291gのプロピレン/エチレン−ブテンブロック共重合体が得られた。
上記で得られたブロック共重合体は、MFRが7.15(dg/分)、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)が76.3質量%、ゴム(CP)中のαオレフィン含有量は34.0質量%であり、ポリマーの平均粒径は1250μmであった。共重合体成分(CP)の極限粘度[η]は1.14(dl/g)であった。また、別途、第1工程終了後に採取したプロピレンホモポリマーのMFRは76(dg/分)であった。
[実施例4]
(1)重合触媒(錯体)
ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムを錯体として用いた。この錯体は、特開2004−2259号公報記載の方法に従って、合成した。
(2)プロピレンによる予備重合
上記錯体を用い、造粒モンモリロナイト(ベンクレイSL、平均粒径:61μm)を用いる以外は、実施例1の(2),(3)と同様の操作で、予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)が1.90である予備重合触媒を調製した。
(3)ブロック重合
上記(2)で調製した予備重合触媒を用い、重合を0.83時間行う以外は、上記実施例1の(4)と同様に操作した。
その結果、粒子性状の良い301gのプロピレン/エチレン−ブテンブロック共重合体が得られた。
上記で得られたブロック共重合体は、MFRが4.31(dg/分)、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)が79.8質量%、ゴム(CP)中のαオレフィン含有量は20.9質量%であり、ポリマーの平均粒径は1640μmであった。共重合体成分(CP)の極限粘度[η]は1.20(dl/g)であった。また、別途、第1工程終了後に採取したプロピレンホモポリマーのMFRは120(dg/分)であった。
[実施例5]
(1)ブロック重合
上記実施例4の(2)で調製した予備重合触媒を用い、混合ガスを調製する際に水素を100mL用いて行い、重合を1.2時間行う以外は、上記実施例2の(1)と同様に操作した。
その結果、粒子性状の良い326gのプロピレン/エチレン−ブテンブロック共重合体が得られた。
上記で得られたブロック共重合体は、MFRが8.8(dg/分)、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)が77.0質量%、ゴム(CP)中のαオレフィン含有量は29.7質量%であり、ポリマーの平均粒径は1530μmであった。共重合体成分(CP)の極限粘度[η]は1.14(dl/g)であった。また、別途、第1工程終了後に採取したプロピレンホモポリマーのMFRは177(dg/分)であった。
[実施例6]
(1)ブロック重合
上記実施例4の(2)で調製した予備重合触媒を用い、1段目重合に添加する水素を400mL用い、重合を3.58時間行う以外は、上記実施例3の(1)と同様に操作した。
その結果、粒子性状の良い365gのプロピレン/エチレン−ブテンブロック共重合体が得られた。
上記で得られたブロック共重合体は、MFRが32.8(dg/分)、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)が66.0質量%、ゴム(CP)中のαオレフィン含有量は32.3質量%であり、ポリマーの平均粒径は1540μmであった。共重合体成分(CP)の極限粘度[η]は0.94(dl/g)であった。また、別途、第1工程終了後に採取したプロピレンホモポリマーのMFRは158(dg/分)であった。
[比較例1]
(1)メタロセン錯体
ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムの合成
このメタロセン錯体は、Organometallics 1994年 13巻 954頁記載の方法に従って合成した。
(2)触媒調製
撹拌翼と還流装置を取り付けた5Lセパラブルフラスコに、純水1,698gを投入し、98%硫酸501gを滴下した。そこへ、さらに市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製、ベンクレイSL、平均粒径:19.5μm)を300g添加後撹拌した。その後90℃で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、洗浄した。回収したケーキに硫酸リチウム1水和物324gの水900mL水溶液を加え90℃で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、pH>4まで洗浄した。回収したケーキを120℃で終夜乾燥した。その結果、275gの化学処理体を得た。
内容積1Lのフラスコに上記で得た化学処理モンモリロナイト10.0gを秤量し、ヘプタン65mL、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液35.4mL(25mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を100mLに調製した。
(3)プロピレンによる予備重合
上記錯体と、上記触媒スラリーを用いる以外は、実施例1(3)と同様の操作で、予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)が2.07である予備重合触媒を調製した。
(4)ブロック重合
上記比較例1の(3)で調製した予備重合触媒を用い、混合ガスを調製する際に導入する1−ブテンを150mL用い、水素を添加せず、重合を0.5時間行う以外は、上記実施例1の(4)と同様に操作した。
その結果、203gのプロピレン/エチレン−ブテンブロック共重合体が得られた。
上記で得られたブロック共重合体は、MFRが0.38(dg/分)、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)が29.0質量%、ゴム(CP)中のαオレフィン含有量は10.0質量%であり、ポリマーの平均粒径は530μmであった。共重合体成分(CP)の極限粘度[η]は1.18(dl/g)であった。また、別途、第1工程終了後に採取したプロピレンホモポリマーのMFRは0.18(dg/分)であった。
さらに、第2工程の重合時間を0.5時間よりも長くして重合を行ったが、ポリマーの溶着により塊が発生し、所望の熱可塑性樹脂重合粒子を製造することはできなかった。
[比較例2]
上記比較例1の(3)で調製した予備重合触媒を用い、混合ガスを調製する際に導入する1−ブテンを300mLとし、水素を添加せず、重合を0.5時間行う以外は、上記実施例1の(4)と同様に操作した。
その結果、粒子性状の良い345gのプロピレン/エチレン−ブテンブロック共重合体が得られた。
上記で得られたブロック共重合体は、MFRが1.36(dg/分)、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)が24.4質量%、ゴム(CP)中のαオレフィン含有量は22.1質量%であり、ポリマーの平均粒径は600μmであった。共重合体成分(CP)の極限粘度[η]は1.07(dl/g)であった。また、別途、第1工程終了後に採取したプロピレンホモポリマーのMFRは0.65(dg/分)であった。
さらに、第2工程の重合時間を0.5時間よりも長くして重合を行ったが、ポリマーの溶着により塊が発生し、所望の熱可塑性樹脂重合粒子を製造することはできなかった。
Figure 0005201943
表1の実施例を比較例と比較すると、実施例では、エチレンとα−オレフィンとの共重合体成分(CP)の含有量が高く、50質量%以上であり、しかも該共重合体成分中のα−オレフィンの重合割合が20質量%よりも高く、重合粒子であるプロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体の平均粒径が800〜3000μmになっている。これに対して、比較例1,2では、重合粒子であるプロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体の平均粒径が800μm未満であり、共重合体成分(CP)の含有量が低く、ベタツキ感がありブロッキング性が不良で、かつ重合パウダーの粉体性状が悪いものとなった。さらに、重合をより長い時間行い、高いCP含有量のポリマーを製造することを試みたが、ポリマーの溶着により塊が発生し、所望の熱可塑性樹脂重合粒子を製造することはできなかった。

Claims (8)

  1. 担持メタロセン触媒を用いた逐次重合によって得られるプロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体からなる熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法であって、
    前記担持メタロセン触媒の担体は、無機の微粒子状固体であり、結晶性プロピレン重合体成分を製造する第1工程、次いで、エチレンと炭素数4〜20のαオレフィンから選ばれる少なくとも一種のコモノマーとの共重合体成分(CP)を気相重合する第2工程を含み、かつプロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体は、下記(i)〜(iv)の要件を満たすことを特徴とする熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法
    (i)重合粒子の平均粒径が800〜3000μmであること、
    (ii)プロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体全量に対する共重合体成分(CP)の割合が50〜95質量%であること、
    (iii)共重合体成分(CP)のαオレフィン含量が1〜50質量%であること、
    (iv)テトラリン中、135℃で測定した共重合体成分(CP)の極限粘度[η]が0.5〜1.2dl/gであること。
  2. 前記担体は、平均粒径が40〜120μmであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法。
  3. プロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体全量に対する共重合体成分(CP)の割合が70〜95質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法
  4. プロピレン/エチレン−αオレフィン系ブロック共重合体全量に対する共重合体成分(CP)の割合が80〜95質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法
  5. 共重合体成分(CP)のαオレフィン含量が20〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法
  6. テトラリン中、135℃で測定した共重合体成分(CP)の極限粘度([η])が0.8〜1.2dl/gであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法
  7. αオレフィンが、1−ブテン、1−ヘキセン又は1−オクテンから選ばれることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂重合粒子の製造方法
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の製造方法によって得られる熱可塑性樹脂重合粒子を含む樹脂組成物を射出成形して得られる成形体。
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