JP4171880B2 - メタロセン化合物、それを含む触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法、および、該製造方法により製造されたオレフィン重合体 - Google Patents
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- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタロセン化合物、該メタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒を用いるオレフィン重合体の製造方法、および該製造方法を用いて得られたオレフィン重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平6−184179号公報、特開平6−100579号公報、特開平7−188318号公報には、置換されたインデニル配位子を有するメタロセン化合物を含む触媒を用いたプロピレン重合体の製造方法が記載されている。
【0003】
しかしながら、このようなメタロセン化合物を含む触媒は一般に高価である。この為、このような触媒を使用して得られるプロピレン重合体の製造コストを低減する為、その触媒の重合活性を更に改善することが望まれていた。
【0004】
また、これらのメタロセン化合物は、一般に、高分子量のプロピレン重合体を製造可能とすること、および、得られるプロピレン重合体の立体規則性を高度に制御可能とすることを主眼に開発されてきたのであるが、未だ十分にその所望の性能を充足するには至っていない。
【0005】
さらに、T.Suganoによって、SPO‘99(1999)の第31〜53頁で報告されてもいる通り、メタロセン化合物を含む触媒を用いてプロピレン/エチレン共重合体を製造すると、一般に、エチレン単位の含有量が増すにつれて、得られる共重合体の分子量は大きく低下する。このため、メタロセン化合物を含む触媒であって、エチレン単位の含有量が高い場合においてさえ、十分に高い分子量のプロピレン/エチレン共重合体を製造可能であるような触媒の開発が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の1つの目的は、立体規則性の高いオレフィン重合体を高い重合活性で製造することができるメタロセン化合物、それを含むオレフィン重合用触媒を用いるオレフィン重合体の製造方法、および、該製造方法を用いて得られるオレフィン重合体を提供することである。
【0007】
また、本発明の別の目的は、エチレン単位の含有量が高い場合であっても十分に高い分子量のプロピレン/エチレン共重合体を製造することができるメタロセン化合物、それを含むオレフィン重合用触媒を用いるオレフィン重合体の製造方法、および、該製造方法を用いて得られるオレフィン重合体を提供することである。
【0008】
さらに、本発明の別の目的は、o−ジクロルベンゼンへの溶解成分が少ないオレフィン重合体である結果、該オレフィン重合体を用いて得られた成形品のべたつき性と透明性が改善されうるオレフィン重合体を製造可能なメタロセン化合物、該メタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒を用いるオレフィン重合体の製造方法、および、該製造方法を用いて得られるオレフィン重合体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定の位置に特定のヘテロ芳香族基を有する特定のメタロセン化合物を用いることによって、その目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、
[1]下記一般式(1)で表されるメタロセン化合物。
YKLMX2 (1)
(式中、Mは、チタン原子、ジルコニウム原子、もしくは、ハフニウム原子を表す。K、および、Lは、Mに配位する縮合環であり、互いに独立して、シクロペンタジエニル環と5員環との縮合環、シクロペンタジエニル環と6員環との縮合環、もしくは、シクロペンタジエニル環と7員環との縮合環を表す。Yは、KとLを架橋する架橋基であり、メチレン基、エチレン基、炭素数1〜6のアルキル基を有するテトラアルキルエチレン基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルメチレン基、または、珪素原子、ゲルマニウム原子、酸素原子、窒素原子、燐原子、もしくは、硼素原子を含有する2価の架橋基を表す。Xは、Mに結合する、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数1〜6のアルキル基と炭素数6〜16のアリール基を有するアルキルアリール基、もしくは、炭素数6〜16のアリール基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアリールアルキル基を表す。K、および、Lは、それぞれの2位の位置に、互いに独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を有する。
【0011】
さらに、K、および、Lは、それぞれの4位の位置に、互いに独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を有する。さらに、K、および、Lは、それぞれの5位の位置に、互いに独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を有する。但し、各2位、各4位、および、各5位のうちいずれか1つの位置には、必ず、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を有する。)
【0012】
[2]K、および、Lが、共に、シクロペンタジエニル環と6員環との縮合環であり、該縮合環の2位の位置にR1を有し、4位の位置にR2を有し、5位の位置に水素原子を有する下記一般式(2)で表される、前記[1]記載のメタロセン化合物。
(式中、各R1は、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を表す。各R2は、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を表す。但し、各R1および各R2のうち少なくとも1つは、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である。)
【0013】
[3]前記一般式(2)において、Yが、メチレン基、エチレン基、もしくは、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルシリレン基であり、各R1が、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、各R2が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である、前記[2]記載のメタロセン化合物。
【0014】
[4]前記一般式(2)において、各R1が、独立して、炭素数2〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、もしくは、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であり、各R2が、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である、前記[2]記載のメタロセン化合物。
【0015】
[5]前記一般式(2)において、各R1がメチル基であり、各R2が、独立して、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である、前記[2]記載のメタロセン化合物。
【0016】
[6]前記一般式(2)において、各R1および各R2が、それぞれ、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である、前記[2]記載のメタロセン化合物。
【0017】
[7]K、および、Lが、共に、シクロペンタジエニル環と7員環との縮合環であり、該縮合環の2位の位置にR3を有し、4位の位置にR4を有し、5位の位置に水素原子を有する下記一般式(3)で表される、前記[1]記載のメタロセン化合物。
(式中、各R3は、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を表す。各R4は、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を表す。但し、各R3および各R4のうち少なくとも1つは、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である。)
【0018】
[8]前記一般式(3)において、各R3が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは置換された2−フルフリル基であり、各R4が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、各R3のいずれか一つが、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である場合には、各R4は、前記のものに加えて、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、もしくは、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であっても良いが、各R3および各R4のうち少なくとも1つは、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である、前記[7]記載のメタロセン化合物。
【0019】
[9]前記一般式(3)において、各R3が、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、各R4が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、もしくは、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基である、前記[7]記載のメタロセン化合物。
【0020】
[10]前記一般式(3)において、各R3が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であり、各R4が、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である、前記[7]記載のメタロセン化合物。
【0021】
[11]前記一般式(3)において、各R3および各R4が、それぞれ、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である、前記[7]記載のメタロセン化合物。
【0022】
[12]K、および、Lが、共に、シクロペンタジエニル環と5員環との縮合環であり、該縮合環の2位の位置にR5を有し、4位の位置にR6を有し、5位の位置にR7を有する下記一般式(4)で表される、前記[1]記載のメタロセン化合物。
(式中、各R5は、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を表す。各R6は、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を表す。各R7は、独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を表す。但し、各R5、各R6、及び、各R7のうち少なくとも1つは、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である。各Aは、独立して、炭素原子、もしくは、周期律表第15族の原子を表し、各Bは、独立して、炭素原子、もしくは、周期律表第16族の原子を表す。但し、AおよびBは同時に炭素原子ではない。)
【0023】
[13]前記一般式(4)において、各R5が、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、各R6が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基である、前記[12]記載のメタロセン化合物。
【0024】
[14]前記一般式(4)において、各R5が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であり、各R6が、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である、前記[12]記載のメタロセン化合物。
【0025】
[15]前記一般式(4)において、各R5および各R6が、それぞれ、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である、前記[12]記載のメタロセン化合物。
【0026】
[16]前記[1]〜[15]のいずれか1つに記載のメタロセン化合物、活性化化合物、および、所望により有機アルミニウム化合物、を含むオレフィン重合用触媒を用いる、オレフィン重合体の製造方法。
【0027】
[17]前記[1]〜[15]のいずれか1つに記載のメタロセン化合物、活性化化合物、微粒子状担体、および、所望により有機アルミニウム化合物、を用いて製造された担持型触媒成分、ならびに、有機アルミニウム化合物、を含むオレフィン重合用触媒を用いる、オレフィン重合体の製造方法。
【0028】
[18]前記[1]〜[15]のいずれか1つに記載のメタロセン化合物、イオン交換性層状化合物もしくは無機珪酸塩、および、所望により有機アルミニウム化合物、を用いて製造された担持型触媒成分、ならびに、有機アルミニウム化合物、を含むオレフィン重合用触媒を用いる、オレフィン重合体の製造方法。
【0029】
[19]前記[16]〜[18]のいずれか1つに記載のオレフィン重合体の製造方法を用いて製造されたオレフィン重合体。
【0030】
[20]オレフィン重合体が、プロピレン単位とプロピレン以外のオレフィン単位を構成単位として含むプロピレン/オレフィン共重合体であり、該プロピレン以外のオレフィン単位の含有量が、共重合体のモル基準で、0.1〜80モル%である、前記[19]記載のオレフィン重合体。
【0031】
[21]オレフィン重合体が、第1段目の工程で、プロピレン単独重合体、もしくは、プロピレン以外のオレフィン単位の含有量が、共重合体(I)のモル基準で、0.1〜30モル%であるプロピレンとプロピレン以外のオレフィンとのプロピレン/オレフィン・ランダム共重合体(I)を製造し、引き続く第2段目の工程で、プロピレン単位の含有量が、共重合体(II)のモル基準で、10〜90モル%であるプロピレンとプロピレン以外のオレフィンとのプロピレン/オレフィン・ランダム共重合体(II)を製造して得られるオレフィン重合体である、前記[20]記載のオレフィン重合体。
【0032】
[22]プロピレン/オレフィン・ランダム共重合体(II)のメルトフローレート(JIS K7210に準拠し、荷重21.18N、温度230℃で測定。)が、300g/10分以下である、前記[21]記載のオレフィン重合体。
【0033】
[23]0℃におけるo−ジクロルベンゼンへのオレフィン重合体の可溶分量が、重合体の重量基準で、30重量%以下であることを特徴とする、前記[21]もしくは[22]記載のオレフィン重合体。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明のメタロセン化合物は、下記一般式(1)で表される。
YKLMX2 (1)
式中、Mは、チタン原子、ジルコニウム原子、もしくは、ハフニウム原子である。好ましいのは、ジルコニウム原子である。
【0035】
K、および、Lは、Mに配位する縮合環であり、互いに独立して、シクロペンタジエニル環と5員環との縮合環、シクロペンタジエニル環と6員環との縮合環、もしくは、シクロペンタジエニル環と7員環との縮合環を表す。5員環として好ましいのは、芳香族の5員環であり、6員環として好ましいのは、芳香族の6員環であり、7員環として好ましいのは、環骨格に2つの二重結合を含む7員環である。
【0036】
Yは、KとLを架橋する架橋基であり、メチレン基、エチレン基、炭素数1〜6のアルキル基を有するテトラアルキルエチレン基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルメチレン基、または、珪素原子、ゲルマニウム原子、酸素原子、窒素原子、燐原子、もしくは、硼素原子を含有する2価の架橋基を表す。また、Yは、これらの2種以上を組み合わせて構成される架橋基であってもよい。
【0037】
珪素原子を含有する2価の架橋基としては、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルシリレン基、炭素数6〜16のアリール基を有するジアリールシリレン基、ジベンジルシリレン基、もしくは、炭素数1〜6のアルキル基と炭素数6〜16のアリール基を有するアルキルアリールシリレン基を例示することができる。
【0038】
ゲルマニウム原子を含有する2価の架橋基としては、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルゲルミレン基、炭素数6〜16のアリール基を有するジアリールゲルミレン基、ジベンジルゲルミレン基、もしくは、炭素数1〜6のアルキル基と炭素数6〜16のアリール基を有するアルキルアリールゲルミレン基を例示することができる。
【0039】
酸素原子を含有する2価の架橋基としては、J.Chem.Soc.Dalton Trans.,2207-2216(1991)に記載された、酸素原子を骨格に持つ5員環からなる置換基や、J.Organomet.Chem.,501,211-218(1995) に記載された、−Si(Me)2−O−Si(Me)2−、もしくは、−Si(Me)2−O−Si(Me)2−O−Si(Me)2−(但し、「Me」はメチル基を表す。)を例示することができる。
【0040】
窒素原子を含有する2価の架橋基としては、J.Organomet.Chem.,519,269-272(1996)に記載された、−(Me)N−(CH2)2−N(Me)− や、J.Organomet.Chem.,564,109-114(1998) に記載された、−Si(Me)2−N(C4H9)−Si(Me)2−(但し、「Me」はメチル基を表す。)を例示することができる。
【0041】
燐原子を含有する2価の架橋基としては、J.Mol.Catal.A.,128,245-256(1998)に記載された、−P(Ph)−、−P(R)−(但し、「Ph」はフェニル基、「R」はアルキル基を表す。)を例示することができる。
【0042】
硼素原子を含有する2価の架橋基としては、J.Organomet.Chem.,525,287-289(1996)に記載された −B(Ph)−(但し、「Ph」はフェニル基を表す。)や、オルガノメタリックス(Organometallics),18,2288-2290(1999)、および、WO00/20426に記載された −B(N(i−Pr)2)−(但し、「i−Pr」は、イソプロピル基を表す。)、−B(NMe2)−、−B(NMe2)−B(NMe2)− や、J.Organomet.Chem.,536-537,361-373(1997)に記載された −B(C(SiMe3)3)− (但し、「Me」はメチル基を表す。)や、Chem.Commun.,1105-1106(1999)に記載された −B(Ph)(L)−(但し、「Ph」はフェニル基であり、「L」は、OEt2,PME3,もしくは、酸素原子を骨格に含む5員環である。)や、Angew. Chem. Int. Ed.,38, No.6, 2439-2443(1999) に記載された、下記一般式のような架橋基を使用することもできる。
ここで、Raは、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基であり、Rbは、好ましくは、ハロゲン原子である。
【0043】
架橋基Yとして、好ましいのは、メチレン基、エチレン基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルシリレン基、ジアルキルゲルミレン基、テトラアルキルエチレン基、もしくは、ジアルキルメチレン基、炭素数6〜16のアリール基を有するジアリールシリレン基もしくはジアリールゲルミレン基、または、炭素数1〜6のアルキル基と炭素数6〜16のアリール基を有するアルキルアリールシリレン基もしくはアルキルアリールゲルミレン基である。さらに好ましいのは、ジメチルシリレン基、もしくは、ジメチルゲルミレン基である。
【0044】
Xは、互いに独立して、Mに結合するハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数1〜6のアルキル基と炭素数6〜16のアリール基を含むアルキルアリール基、もしくは、炭素数6〜16のアリール基と炭素数1〜6のアルキル基を含むアリールアルキル基である。また、WO00/20426の実施例12に例示されているように、2つのXが結合してジエン化合物を形成し、その2つの二重結合がそれぞれMに配位したような構造を有していてもよい。該ジエン化合物としては、ブタジエン骨格を有するものが好ましく、特に、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンが好ましい。これらのなかで、Xとして特に好ましいのは、塩素原子である。
【0045】
K、および、Lは、それぞれの2位の位置に、互いに独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を有する。
【0046】
さらに、K、および、Lは、それぞれの4位の位置に、互いに独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を有する。
【0047】
さらに、K、および、Lは、それぞれの5位の位置に、互いに独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を有する。
【0048】
但し、各2位、各4位、および、各5位のうちいずれか1つの位置には、必ず、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を有する。
【0049】
尚、本発明において、「置換された2−フリル基」、「置換された2−チエニル基」、および、「置換された2−フルフリル基」とは、2−フリル基、2−チエニル基、および、2−フルフリル基の骨格を形成する炭素原子に結合する水素原子が、それぞれ、他の置換基によって置換されたものを言う。ここで、「他の置換基」として好ましいのは、炭素数1〜20の、より好ましくは炭素数1〜6の、炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基である。また、これら以外に、ハロゲン原子、SR、SO2H、SO2R、COOH、COOR、NO2、BR2、COR、CHO、C(OH)R2、CH2CH2OH、PO(OR)2なども「他の置換基」として用いることができ、その合成法は、例えば、山中宏ら「ヘテロ環化合物の化学」第II刷(1998),p.108 に記載されている。尚、上記置換基の表記中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
【0050】
本発明において、置換された2−フリル基としては、具体的には、2−(5−メチル)−フリル基、2−(5−t−ブチル)−フリル基、2−(5−トリメチルシリル)−フリル基、2−(4,5−ジメチル)−フリル基、2−(5−フェニル)−フリル基、2−ベンゾフリル基が好ましい。
【0051】
また、本発明において、置換された2−チエニル基としては、具体的には、2−(5−メチル)−チエニル基、2−(5−t−ブチル)−チエニル基、2−(5−トリメチルシリル)−チエニル基、2−(4,5−ジメチル)−チエニル基、2−(5−フェニル)−チエニル基、2−ベンゾチエニル基が好ましい。
【0052】
また、本発明において、置換された2−フルフリル基としては、具体的には、2−フルフリル基中のフリル基の5位の水素原子が、メチル基、t−ブチル基、トリメチルシリル基、もしくは、フェニル基で置換されたもの、または、4,5位の水素原子がいずれもメチル基で置換されたものが好ましい。
【0053】
前記一般式(1)で表される本発明のメタロセン化合物のうち、1つの好ましい態様は、下記一般式(2)で表されるメタロセン化合物である。
【0054】
式中、各R1は、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を表す。上記の炭素数6〜16のアリール基は、所望により、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換されていてもよく、または、アルコキシ基、ジアルキル置換アミノ基、アミノ基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基などで置換されていてもよい。
【0055】
各R2は、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を表す。上記の炭素数6〜16のアリール基は、所望により、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基で置換されていてもよく、または、アルコキシ基、ジアルキル置換アミノ基、アミノ基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基などで置換されていても良い。
【0056】
但し、各R1および各R2のうち少なくとも1つは、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である。
【0057】
一般式(2)のメタロセン化合物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、縮合環の6位もしくは7位のうち少なくとも1つの位置に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を有していても良い。該置換基を7位の位置に有する一般式(2)記載のメタロセン化合物は、これをオレフィン重合用の触媒成分として用いたときに、特に立体規則性の高いオレフィン重合体を製造できる点で好ましい。
【0058】
上記の炭素数6〜16のアリール基は、所望により、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換されていてもよく、または、アルコキシ基、ジアルキル置換アミノ基、アミノ基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基で置換されていても良い。
【0059】
一般式(2)のメタロセン化合物として、より好ましい1つの態様は、Yが、メチレン基、エチレン基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルシリレン基であり、好ましくは、ジメチルシリレン基であり、各R1が、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、置換された2−フルフリル基、好ましくは、置換された2−フリル基であり、特に好ましくは、共に、2−(5−メチル)−フリル基であり、各R2が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、好ましくは、炭素数6〜16のアリール基、もしくは、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であり、更に好ましくは、フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、もしくは、フェナンスリル基であり、特に好ましくは、共に、フェニル基である、メタロセン化合物である。
【0060】
このようなメタロセン化合物は、オレフィン重合用の触媒成分として、高い重合活性を有し、高分子量かつ高立体規則性のオレフィン重合体を製造するために、特に好ましく用いられる。また、このようなメタロセン化合物は、オレフィン重合用の触媒成分として、プロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合を行い、プロピレン以外のオレフィン単位の含有量が増加しても、得られるプロピレン/オレフィン共重合体の分子量が殆ど低下しないかその低下が小さく、同条件で製造されるプロピレン単独重合体と同等の分子量を有するようなプロピレン/オレフィン共重合体を製造するために、特に好ましく用いられる。また、このようなメタロセン化合物は、オレフィン重合用の触媒成分として、プロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合を行い、o−ジクロルベンゼンへの溶解成分が少ないランダム共重合体もしくはランダムブロック共重合体を製造するために、特に好ましく用いられる。
【0061】
このような化合物として、具体的には、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルゲルミレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−トリメチルシリル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
【0062】
ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−フェニル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(4,5−ジメチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−メチル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−イソプロピル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フルフリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
【0063】
ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
【0064】
ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−ナフチル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−フェナンスリル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
【0065】
ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−ナフチル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェナンスリル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
【0066】
ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−4−ナフチル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−4−フェナンスリル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、を挙げることができる。
【0067】
これらのうち、好ましいのは、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、もしくは、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−ナフチル−インデニル)ジルコニウムジクロライドである。特に好ましいのは、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライドである。
【0068】
一般式(2)で表されるメタロセン化合物の、別の好ましい態様は、一般式(2)において、各R1が、独立して、炭素数2〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、もしくは、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であり、好ましくは、炭素数2〜6のアルキル基、さらに好ましくは、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、もしくは、t−ブチル基であり、特に好ましくは、共に、エチル基、イソプロピル基、もしくは、n−ブチル基であり、各R2が、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、より好ましくは、置換された2−フリル基、もしくは、置換された2−チエニル基であり、特に好ましくは、共に、2−(5−メチル)−フリル基、もしくは、2−(5−メチル)−チエニル基、であるメタロセン化合物である。このようなメタロセン化合物は、オレフィン重合用触媒成分として、高い重合活性で、高分子量かつ高立体規則性のオレフィン重合体を製造するために、好適に用いることができる。
【0069】
このようなメタロセン化合物として、具体的には、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−(5−トリメチルシリル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−ベンゾフリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−(4,5−ジメチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−フルフリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
【0070】
ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−チエニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−(5−t−ブチル)−チエニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−(5−トリメチルシリル)−チエニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−ベンゾチエニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−(4,5−ジメチル)−チエニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
【0071】
ジメチルシリレンビス(2−(イソプロピル)−4−(2−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(イソプロピル)−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(イソプロピル)−4−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(イソプロピル)−4−(2−(5−トリメチルシリル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(イソプロピル)−4−(2−ベンゾフリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(イソプロピル)−4−(2−(4,5−ジメチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(イソプロピル)−4−(2−フルフリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
【0072】
ジメチルシリレンビス(2−(n−ブチル)−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(t−ブチル)−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルゲルミレンビス(2−エチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシリレンビス(2−エチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、を例示できる。
【0073】
また、一般式(2)で表されるメタロセン化合物の別の好ましい態様は、一般式(2)において、R1がメチル基であり、R2が置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、より好ましくは、置換された2−フリル基であり、特に好ましくは、共に、2−(5−メチル)−フリル基である、メタロセン化合物である。このようなメタロセン化合物は、オレフィン重合用の触媒成分として用いると、高い重合活性で、高分子量かつ高立体規則性のオレフィン重合体を、好適に製造することができる。
【0074】
このようなメタロセン化合物として、具体的には、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−トリメチルシリル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−ベンゾフリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(4,5−ジメチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−フルフリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
【0075】
ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−チエニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−t−ブチル)−チエニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−トリメチルシリル)−チエニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−ベンゾチエニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(4,5−ジメチル)−チエニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、を例示することができる。
【0076】
また、一般式(2)で表されるメタロセン化合物の別の好ましい態様は、一般式(2)において、各R1および各R2が、それぞれ、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、より好ましくは、共に、置換された2−フリル基であり、特に好ましくは、共に、2−(5−メチル)−フリル基である、メタロセン化合物である。
【0077】
このようなメタロセン化合物は、オレフィン重合用の触媒成分として用いて、高い重合活性で、高分子量かつ高立体規則性のオレフィン重合体を、好適に製造することができる。また、このようなメタロセン化合物は、オレフィン重合用の触媒成分として用いた場合に、オレフィン重合体を構成しているオレフィン単位の総モル数に対し、オレフィンの2,1−挿入反応に起因するオレフィン単位のモル数の占める割合、および、オレフィン重合体を構成しているオレフィン単位の総モル数に対し、オレフィンの1,3−挿入反応に起因するオレフィン単位のモル数の占める割合が、いずれも大きい値に制御されたオレフィン重合体を製造することが可能であり、特に、前者が、0.5モル%より大きく、3モル%より小さい範囲で、後者が、0.05モル%より大きく3モル%より小さい範囲に制御されたオレフィン重合体を容易に製造することが可能である。このような特性をもつオレフィン重合体を用いて得られた成形品は、柔軟性、透明性、もしくは、光沢に優れたものとなる。
【0078】
このようなメタロセン化合物として、具体的には、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−(5−トリメチルシリル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−ベンゾフリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−(4,5−ジメチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フルフリル)−4−ナフチル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フルフリル)−4−(2−フルフリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−フルフリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
【0079】
ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−トリメチルシリル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(4,5−ジメチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、を例示することができる。
【0080】
前記一般式(1)で表される本発明のメタロセン化合物のうち、別の好ましい態様は、下記一般式(3)で表されるメタロセン化合物である。
【0081】
式中、各R3は、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を表す。炭素数6〜16のアリール基は、所望により、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換されていてもよく、または、アルコキシ基、ジアルキル置換アミノ基、アミノ基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基などで置換されていてもよい。
【0082】
R3として、より好ましいのは、炭素数1〜6のアルキル基、2−フリル基、もしくは、置換された2−フリル基である。更に好ましいのは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−フリル基、もしくは、置換された2−フリル基である。これらの中でも、メチル基、もしくは、置換された2−フリル基が好ましい。
【0083】
各R4は、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を表す。炭素数6〜16のアリール基は、所望により、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基で置換されていてもよく、または、アルコキシ基、ジアルキル置換アミノ基、アミノ基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基などで置換されていても良い。
【0084】
R4として、より好ましいのは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、もしくは、置換された2−チエニル基である。更に好ましいのは、炭素数6〜16のアリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、もしくは、置換された2−チエニル基である。また、更に好ましいのは、フェニル基、ナフチル基、フェナンスリル基、2−チエニル基、もしくは、置換された2−チエニル基である。そして、最も好ましくは、2−チエニル基、もしくは、置換された2−チエニル基である。
【0085】
但し、各R3および各R4のうち少なくとも1つは、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である。
【0086】
一般式(3)のメタロセン化合物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、縮合環の6位、7位、もしくは、8位のうち少なくとも1つの位置に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基などを有していても良い。特に、該置換基を7位の位置に有する一般式(3)記載のメタロセン化合物が、これをオレフィン重合用の触媒成分として用いたときに、特に立体規則性の高いオレフィン重合体を製造できる点で好ましい。
【0087】
上記の炭素数6〜16のアリール基は、所望により、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基で置換されていてもよく、または、アルコキシ基、ジアルキル置換アミノ基、アミノ基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基などで置換されていても良い。
【0088】
一般式(3)のメタロセン化合物として、好ましいのは、各R3が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、各R4が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、各R3の少なくとも一つが2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である場合には、各R4は、前記のものに加えて炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基もしくは炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であっても良いが、各R3および各R4のうち少なくとも1つは、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である、メタロセン化合物である。
【0089】
この化合物は、オレフィン重合用の触媒成分として、高立体規則性のオレフィン重合体を製造するうえで好ましく用いられる。また、高い重合活性で、高分子量かつ高立体規則性のオレフィン重合体を製造するうえでも好ましく用いられる。また、該化合物を含む触媒系を用いて、プロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合を行った場合には、プロピレン以外のオレフィン単位を含有しても、得られるプロピレン/オレフィン共重合体の分子量が殆ど低下しないかまたは低下が小さく、同条件で製造されたプロピレン単独重合体に比べて、寧ろ高い分子量のプロピレン/オレフィン共重合体を製造できるという優れた特長がある。
【0090】
一般式(3)で表されるメタロセン化合物の、より好ましい1つの態様は、各R3が、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、より好ましくは、2−フリル基、もしくは、置換された2−フリル基であり、更に好ましくは、共に、置換された2−フリル基であり、特に好ましくは、共に、2−(5−メチル)−フリル基であり、各R4が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、もしくは、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であり、好ましくは、炭素数6〜16のアリール基、もしくは、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であり、更に好ましくは、フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、もしくは、フェナンスリル基であり、特に好ましくは、共に、フェニル基である、メタロセン化合物である。該化合物は、オレフィン重合用の触媒成分として、高い重合活性で、高分子量かつ高立体規則性のオレフィン重合体を製造するために好適に用いられる。また、該化合物を含む触媒を用いて、プロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合を行った場合には、プロピレン以外のオレフィン単位を含有しても得られるプロピレン/オレフィン共重合体の分子量が殆ど低下しないかまたは低下が小さく、同条件で得られたプロピレン単独重合体に比べ、寧ろ高分子量のプロピレン/オレフィン共重合体を製造できるという優れた特長がある。
【0091】
このようなメタロセン化合物として、具体的には、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルゲルミレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(3−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、
【0092】
ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−トリメチルシリル)−フリル)−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−フェニル)−フリル)−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(4,5−ジメチル)−フリル)−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−メチル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−イソプロピル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フルフリル)−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−((3.5−ジトリフルオロメチル)−フェニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、が例示できる。
【0093】
好ましいのは、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライドである。
【0094】
一般式(3)で表されるメタロセン化合物の、好ましい別の態様は、各R3が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であり、より好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、もしくは、エチル基であり、特に好ましくは、共に、メチル基であり、各R4が、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、より好ましくは、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、もしくは、置換された2−チエニル基であり、更に好ましくは、共に、置換された2−チエニル基であり、特に好ましくは、共に、2−(5−メチル)−チエニル基であるか、各R3が、独立して、2−フリル基もしくは置換された2−フリル基であって、かつ、各R4が、独立して、2−チエニル基もしくは置換された2−チエニル基である、メタロセン化合物である。
【0095】
このようなメタロセン化合物は、オレフィン重合用の触媒成分として、高立体規則性のオレフィン重合体を製造するうえで好ましく用いられる。また、高い重合活性で、高分子量かつ高立体規則性のオレフィン重合体を製造するためにも、好ましく用いられる。また、このようなメタロセン化合物は、オレフィン重合用の触媒成分として、プロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合を行い、プロピレン以外のオレフィン単位の含有量が増加しても、得られるプロピレン/オレフィン共重合体の分子量が殆ど低下しないかまたは低下が小さく、寧ろ、同条件で製造されるプロピレン単独重合体に比べて高い分子量をさえ有するプロピレン/オレフィン共重合体を製造するために、好適に用いることができる。また、このようなメタロセン化合物は、オレフィン重合用の触媒成分として、プロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合を行い、o−ジクロルベンゼンへの溶解成分が少ないランダム共重合体もしくはランダムブロック共重合体を製造するために、特に好ましく用いられる。
【0096】
このようなメタロセン化合物として、具体的には、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルゲルミレンビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−フェニル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−トリメチルシリル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−ベンゾフリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(4,5−ジメチル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、
【0097】
ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−フェニル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−t−ブチル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−トリメチルシリル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−ベンゾチエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(4,5−ジメチル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−フルフリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、を挙げることができる。
【0098】
これらのうち、好ましいのは、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−フェニル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−t−ブチル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、もしくは、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−ベンゾチエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、である。
最も好ましくは、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−フェニル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−t−ブチル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、もしくは、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−ベンゾチエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、である。
【0099】
また、一般式(3)で表されるメタロセン化合物の、別の好ましい態様は、一般式(3)において、各R3および各R4が、それぞれ、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、より好ましくは、共に、置換された2−フリル基であり、特に好ましくは、共に、2−(5−メチル)−フリル基である、メタロセン化合物である。
【0100】
このようなメタロセン化合物は、オレフィン重合用の触媒成分として、高い重合活性で、高分子量かつ高立体規則性のオレフィン重合体を製造するために、特に好ましく用いられる。また、このようなメタロセン化合物は、オレフィン重合用の触媒成分として、プロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合を行い、プロピレン以外のオレフィン単位の含有量が増加しても、得られるプロピレン/オレフィン共重合体の分子量が殆ど低下せず、同条件で製造されるプロピレン単独重合体に比べて、寧ろ高い分子量さえ有するようなプロピレン/オレフィン共重合体を製造するために、特に好ましく用いられる。また、このようなメタロセン化合物は、オレフィン重合用の触媒成分として、プロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合を行い、o−ジクロルベンゼンへの溶解成分が少ないランダム共重合体もしくはランダムブロック共重合体を製造するために、特に好ましく用いられる。
【0101】
このようなメタロセン化合物として、具体的には、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−(5−メチル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−(5−フェニル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−(5−トリメチルシリル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−ベンゾフリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−(4,5−ジメチル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、
【0102】
ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−メチル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−フェニル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−トリメチルシリル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−ベンゾフリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(4,5−ジメチル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、
【0103】
ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−チエニル)−4−(2−(5−メチル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−フェニル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−チエニル)−4−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−トリメチルシリル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−ベンゾチエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(4,5−ジメチル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、を例示することができる。
【0104】
これらのうち、好ましいのは、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−メチル)−フリル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−フェニル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、もしくは、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−ベンゾチエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド、である。
【0105】
前記一般式(1)で表される本発明のメタロセン化合物の、別の好ましい態様は、下記一般式(4)で表されるメタロセン化合物である。
【0106】
式中、各R5は、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を表す。炭素数6〜16のアリール基は、所望により、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換されていてもよく、または、アルコキシ基、ジアルキル置換アミノ基、アミノ基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基などで置換されていてもよい。
【0107】
R5として、より好ましいのは、炭素数1〜6のアルキル基、2−フリル基、もしくは、置換された2−フリル基である。更に好ましいのは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、2−フリル基、もしくは、置換された2−フリル基である。最も好ましいのは、メチル基、もしくは、置換された2−フリル基である。また、各R5は、互いに同一であることが好ましい。
【0108】
各R6は、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を表す。炭素数6〜16のアリール基は、所望により、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基で置換されていてもよく、または、アルコキシ基、ジアルキル置換アミノ基、アミノ基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基などで置換されていても良い。
【0109】
R6として好ましいのは、炭素数6〜16のアリール基、ハロゲン含有アリール基、2−フリル基、もしくは、置換された2−フリル基である。更に好ましいのは、炭素数6〜16のアリール基、もしくは、置換された2−フリル基である。また、各R6は、互いに同一であることが好ましい。
【0110】
各R7は、独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基を表す。炭素数6〜16のアリール基は、所望により、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基で置換されていてもよく、または、アルコキシ基、ジアルキル置換アミノ基、アミノ基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基などで置換されていても良い。
【0111】
R7として、好ましいのは、水素原子、もしくは、炭素数1〜6のアルキル基である。更に好ましいのは、炭素数1〜6のアルキル基であり、特に好ましいのは、メチル基である。また、各R7は、互いに同一であることが好ましい。
【0112】
但し、各R5、各R6、及び、各R7のうちいずれか1つは、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基である。
【0113】
各Aは、独立して、炭素原子、もしくは、周期律表第15族の原子を表す。Aとして、好ましいのは、炭素原子、窒素原子、もしくは、燐原子である。更に好ましいのは、炭素原子、もしくは、窒素原子である。また、各Aは、互いに同一であることが好ましい。
【0114】
各Bは、独立して、炭素原子、もしくは、周期律表第16族の原子を表す。Bとして、好ましいのは、炭素原子、酸素原子、もしくは、硫黄原子である。更に好ましいのは、炭素原子、もしくは、硫黄原子である。また、各Bは、互いに同一であることが好ましい。
【0115】
AおよびBは、同時に炭素原子ではない。しかし、AおよびBのいずれか一方は、炭素原子であることが好ましい。Bが炭素原子である場合、BはBに結合する置換基を有していてもよい。該置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基などを、本発明の効果を阻害しない範囲で用いることができる。炭素数6〜16のアリール基は、所望により、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基で置換されていてもよく、または、アルコキシ基、ジアルキル置換アミノ基、アミノ基、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基などで置換されていても良い。
【0116】
一般式(4)のメタロセン化合物として、より好ましい1つの態様は、各R5が、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、好ましくは、共に、置換された2−フリル基であり、特に好ましくは、共に、2−(5−メチル)フリル基であり、各R6が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であり、好ましくは、炭素数6〜16のアリール基、もしくは、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であり、更に好ましくは、フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、もしくは、フェナンスリル基であり、特に好ましくは、共に、フェニル基である、メタロセン化合物である。該化合物は、オレフィン重合用触媒成分として、高い重合活性で、高分子量かつ高立体規則性のオレフィン重合体を製造するために好適に用いることができる。
【0117】
このような化合物として、具体的に下記一般式(5)〜(8)記載のものを例示することができる。尚、一般式中、「Me」はメチル基、「Ph」はフェニル基を表す。
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
一般式(4)のメタロセン化合物として、好ましい別の態様は、各R5が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であり、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、もしくは、エチル基であり、特に好ましくは、共に、メチル基であり、各R6は、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、好ましくは、共に、置換された2−フリル基であり、特に好ましくは、共に、2−(5−メチル)フリル基である、メタロセン化合物である。このようなメタロセン化合物は、オレフィン重合用の触媒成分として、高い重合活性で、高分子量のオレフィン重合体を製造するために、好適に用いることができる。
【0123】
このような化合物として、具体的に、以下の一般式(9)〜(12)記載のものを例示できる。一般式中、「Me」は、メチル基を表す。
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
一般式(4)のメタロセン化合物として、好ましい別の態様は、各R5および各R6が、それぞれ、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、好ましくは、共に、置換された2−フリル基であり、特に好ましくは、共に、2−(5−メチル)フリル基である、メタロセン化合物である。このようなメタロセン化合物は、オレフィン重合用の触媒成分として、高い重合活性で高分子量かつ高立体規則性のオレフィン重合体を製造するために、好適に用いることができる。
【0129】
このような化合物として、具体的に、以下の一般式(13)もしくは(14)記載のものを例示できる。一般式中、「Me」とは、メチル基を表す。
【0130】
【0131】
【0132】
また本発明のメタロセン化合物としては、一般式(1)において、KとLが互いに異なる構造を有する、下記一般式(15)〜(17)で表されるメタロセン化合物を例示することもできる。一般式(15)〜(17)で用いた各符号の定義は、前記一般式(1)〜(4)で用いた同一の符号についての定義と同じである。
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
本発明のメタロセン化合物として、最も好ましいのは、一般式(3)で表されるメタロセン化合物であって、各R3が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であり、より好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、もしくは、エチル基であり、特に好ましくは、共に、メチル基であり、各R4が、独立して、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、置換された2−フルフリル基であり、より好ましくは、2−フリル基、置換された2−フリル基、2−チエニル基、もしくは、置換された2−チエニル基であり、更に好ましくは、共に、置換された2−チエニル基であり、特に好ましくは、共に、2−(5−メチル)−チエニル基である、メタロセン化合物である。
【0137】
本発明において、メタロセン化合物は、特にラセミ体であるかメソ体であるかに限定されないが、オレフィン重合用の触媒成分として使用して本発明の所望の効果を達成するには、ラセミ体が好適である。
【0138】
本発明のメタロセン化合物は、特定の縮合環の特定の位置に特定の選ばれた置換基を有する点に特徴がある。該縮合環自体の製造方法は公知であり、置換基の導入法自体も通常の方法を用いて行うことができる。
【0139】
本発明のメタロセン化合物は、他の成分とともに、オレフィン重合用触媒として、オレフィン重合体の製造に使用することができる。本発明のメタロセン化合物を含む触媒は、以下の(1)〜(3)に大別することができる。
【0140】
(1)上記に記載のメタロセン化合物(以降、「(A)成分」と言う場合がある。)および活性化化合物(以降、「(B)成分」と言う場合がある。)、および所望により使用する有機アルミニウム化合物(以降、「(D)成分」と言う場合がある。)とからなるオレフィン重合用触媒(以降、「メタロセン均一系触媒」と言う場合がある。)。
【0141】
(2)(A)成分、(B)成分、微粒子状担体(以降、「(C)成分」という場合がある。)、および所望により使用する(D)成分、を用いて製造されることを特徴とするメタロセン担持型触媒(以降、「メタロセン担持型触媒I」と言う場合がある。)と、有機アルミニウム化合物(以降、「(D’)成分」と言う場合がある。)からなるオレフィン重合用触媒。
【0142】
(3)(A)成分、特定のイオン交換性層状化合物もしくは無機珪酸塩(以降、「(E)成分」と言う場合がある。)、および、所望により使用する(D)成分、を用いて製造されることを特徴とするメタロセン担持型触媒(以降、「メタロセン担持型触媒II」と言う場合がある。)と、(D’)成分からなるオレフィン重合用触媒。
【0143】
上記(2)もしくは(3)に記載されたメタロセン担持型触媒IもしくはIIのうち、本発明のオレフィン重合体の製造においては、上記(2)に記載されたメタロセン担持型触媒Iが好ましく用いられる。特に、上記に記載のメタロセン化合物(A)として、一般式(3)のメタロセン化合物を用いる場合には、特にメタロセン担持型触媒Iを用いることが好ましい。
【0144】
上記の、(B)成分としては、有機アルミニウムオキシ化合物、もしくは(A)成分と反応してイオン対を形成する化合物が用いられる。該有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記の一般式(18)もしくは(19)で表されるアルミノキサンが用いられる。
【0145】
【0146】
【0147】
式中、R3は炭素数が1〜6の炭化水素基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、アリル基、2−メチルアリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、およびアリール基等が挙げられる。これらのうち、炭素数が1〜4の炭化水素基が好ましく、特に好ましいのは炭化水素基がアルキル基である場合である。各R3は同一でも異なっていてもよい。qは4〜30の整数であり、好ましくは6〜30、特に好ましくは8〜30の整数である。
【0148】
上記のアルミノキサンは公知の様々な条件下に調製することが可能である。具体的には、以下の方法を例示できる。すなわち、
▲1▼トルエン、エーテル等の有機溶剤中で、トリアルキルアルミニウムと水とを直接反応させる方法、
▲2▼トリアルキルアルミニウムと、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物等の結晶水を有する塩類とを反応させる方法、
▲3▼トリアルキルアルミニウムと、シリカゲル等に含浸させた水分とを反応させる方法、
▲4▼トルエン、エーテル等の有機溶剤中で、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとの混合物を、水と直接反応させる方法、
▲5▼トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとの混合物を、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物等の結晶水を有する塩類と反応させる方法、
▲6▼シリカゲル等含浸させた水分と、トリイソブチルアルミニウムとを反応させた後、トリメチルアルミニウムを更に反応させる方法、を例示できる。
【0149】
(A)成分と反応してイオン対を形成する化合物としては、特表平1−501950号公報、特表平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207704号公報、WO92/00333号公報,US5064802号公報,WO93/03067号公報、特開平4−309508号公報,特開平4−353502号公報,特開平5−331232号公報、WO00/20426、Chem. Rev. 100, 1391-1434(2000)、などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物、もしくは、カルボラン化合物を挙げることができる。
【0150】
ルイス酸としては、硼素原子を含有するルイス酸が好適で、非限定的な具体例としては、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−フルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン等が挙げられる。これらのうちではトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロンが特に好ましい。
【0151】
イオン性化合物とは、カチオン性化合物とアニオン性化合物とからなる塩である。アニオン性化合物はメタロセン化合物と反応することに該メタロセン化合物をカチオン化し、イオン対を形成することにより遷移金属カチオン種を安定化させる働きがある。そのようなアニオン性化合物としては、有機硼素化合物アニオン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオンなどがあり、比較的嵩高で、遷移金属カチオンを安定化させるものが好ましい。カチオン性化合物としては、金属カチオン、有機金属カチオン、カルボニウムカチオン、トリピウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが挙げられる。具体的には、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチルアンモニウムカチオン、フェロセニウムカチオンなどである。
【0152】
イオン性化合物としては、アニオン性化合物として硼素化合物を含有する塩が好適に使用できる。具体的には、トリアルキル置換アンモニウム塩としての、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)硼素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)硼素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)硼素、トリメチルアンモニウム(p−トリル)硼素、トリメチルアンモニウム(o−トリル)硼素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)硼素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)硼素、トリブチルアンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)硼素、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)硼素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)硼素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(4−フルオロフェニル)硼素などが挙げられる。
【0153】
また、N,N−ジアルキルアニリニウム塩としては、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)硼素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)硼素、N,N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウム(フェニル)硼素などが挙げられ、ジアルキルアンモニウム塩としては、例えば、ジ(n−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)硼素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)硼素などが挙げられ、トリアルキルホスフォニウム塩及びトリアリールホスフォニウム塩としては、例えば、トリメチルホスフォニウムテトラ(フェニル)硼素、トリ(メチルフェニル)ホスフォニウムテトラ(フェニル)硼素、トリ(ジメチルフェニル)ホスフォニウムテトラ(フェニル)硼素などが挙げられる。
【0154】
本発明では、硼素原子を含有するイオン性化合物として、更に、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートも挙げることができる。
【0155】
上記の活性化化合物の中でも、特に、アルミノキサンが好ましく用いられる。
【0156】
また、本発明のオレフィン重合体の製造に使用されるメタロセン担持型触媒Iにおいて、その原料として用いられる(C)成分は、無機担体もしくは有機担体であって、粒子径が1〜500μm、好ましくは5〜300μm、さらに好ましくは10〜150μmである顆粒状もしくは球状の無機微粒子担体もしくは有機微粒子担体が使用される。
【0157】
これらの無機微粒子担体は、比表面積が50〜1,000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜2.5m3/gの範囲にあることが好ましい。
【0158】
該無機微粒子担体としては、金属酸化物、たとえばSiO2、Al2O3、MgO、TiO2、ZnO、それらの混合物またはそれらの複合酸化物が好ましく、主成分としてSiO2もしくはAl2O3を含有する担体が特に好ましい。より具体的な無機化合物として、SiO2、Al2O3、MgO、SiO2−Al2O3、SiO2−MgO、SiO2−TiO2、SiO2−Al2O3−MgO,クロム化合物が担持されたSiO2,等が挙げられ、特にSiO2が好ましい。
【0159】
上記無機微粒子担体は、使用に先立って、通常、100〜1,000℃、好ましくは300〜900℃、特に好ましくは400〜900℃で焼成したものを使用する。焼成後の無機微粒子担体の表面吸着水量は0.1重量%以下、好ましくは0.01重量%以下であり、また表面水酸基含量は1.0重量%以上、好ましくは1.5〜4.0重量%、さらに好ましくは2.0〜3.5重量%の範囲である。また、これらの無機微粒子担体は、使用に先だって、予め有機アルミニウム化合物および/またはハロゲン含有珪素化合物との接触処理あるいは、硝酸クロム(III)等の酸との接触処理が施されていてもよい。
【0160】
さらに微粒子有機担体としては、微粒子有機重合体、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどのポリオレフィンの微粒子重合体、ポリスチレンなどの微粒子重合体などを例示することができる。
【0161】
(D)成分の有機アルミニウム化合物としては、一般式 AlR4 sR5 tX3-(s+t)で表される化合物が好適に使用される。式中、R4およびR5は、それぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基等の炭化水素基、アルコキシ基、フッ素原子、メチル基、トリフルオロフェニル基などの置換基を有していてもよいフェニル基を表す。Xはハロゲン原子を表し、sおよびtは、0<s+t≦3を満たす任意の整数を示す。
【0162】
上記有機アルミニウム化合物として、好ましいのは、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド、メチルアルミノウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、および、それらの2種以上の混合物を例示できる。より好ましいのは、トリアルキルアルミニウムである。更に好ましいのは、トリエチルアルミニウム、もしくは、トリイソブチルアルミニウムである。
【0163】
前記メタロセン担持型触媒IIの製造に用いられる(E)成分としては、イオン交換性層状化合物、もしくは、無機珪酸塩が例示できる。尚、本願で用いている「イオン交換性層状化合物」という用語は、珪酸塩を含まない。
【0164】
上記のイオン交換性層状化合物としては、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物が挙げられ、その具体例としては、α−Zr(HAsO4)2・H2O、α−Zr(HPO4)2、α−Zr(KPO4)2・3H2O、α−Ti(HPO4)2、α−Ti(HAsO4)2・H2O、α−Sn(HPO4)2・H2O、γ−Zr(HPO4)2、γ−Ti(HPO4)2、γ−Ti(NH4PO4)2・H2O等の多価金属の結晶性酸性塩が挙げられる。
【0165】
上記のイオン交換性層状化合物は、必要に応じて塩類処理および/または酸処理を行って使用してもよい。塩類処理も酸処理も施されていない状態のイオン交換性層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であり、含有するイオンの交換が可能である。
【0166】
上記の無機珪酸塩としては、粘土、粘土鉱物、ゼオライト、珪藻土などが挙げられる。これらは、合成品を使用してもよいし、天然に産出する鉱物を使用してもよい。粘土および粘土鉱物の具体例としては、アロフェン等のアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ソーコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群などが挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。また、人工合成物としては、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライト等が挙げられる。
【0167】
上記の無機珪酸塩の中では、カオリン族、ハロサイト族、蛇紋石族、スメクタイト、バーミキュライト鉱物、雲母鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが好ましく、スメクタイト、バーミキュライト鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが更に好ましい。これらは、特に処理を行うことなくそのまま使用してもよいし、ボールミル、篩い分け等の処理を行った後に使用してもよい。また、単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
【0168】
上記の無機珪酸塩は、必要に応じ、塩類処理および/または酸処理により、固体の酸強度を変えることが出来る。また、塩類処理においては、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成することにより、表面積や層間距離を変えることが出来る。すなわち、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと置換することにより、層間が拡大した状態の層状物質を得ることが出来る。
【0169】
(E)成分は、未処理のまま使用してもよいが、含有される交換可能な金属陽イオンを次に示す塩類および/または酸より解離した陽イオンとイオン交換することが好ましい。
【0170】
イオン交換に使用する塩類は、1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも1種の原子を含む陽イオンを含有する化合物であり、好ましくは、1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも1種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸から成る群より選ばれた少なくとも1種の原子もしくは原子団より誘導される陰イオンとから成る化合物であり、更に好ましくは、2〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも1種の原子を含む陽イオンと、Cl、Br、I、F、PO4、SO4、NO3、CO3、C2O4、ClO3、ClO4、OOCCH3、CH3COCHCOCH3、OCl2、O(NO3)2、O(ClO4)2、O(SO4)、OH、O2Cl2、OCl3、OOCH、OOCCH2CH3、C2H4O4、C6H5O7から成る群より選ばれた少なくとも1種の陰イオンとから成る化合物である。また、これら塩類は2種以上を同時に使用してもよい。
【0171】
上記のイオン交換に使用する酸は、好ましくは、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸から選択され、これらは、2種以上を同時に使用してもよい。塩類処理と酸処理を組み合わせる方法としては、塩類処理を行った後に酸処理を行う方法、酸処理を行った後に塩類処理を行う方法、塩類処理と酸処理を同時に行う方法、塩類処理を行った後に塩類処理と酸処理を同時に行う方法などがある。なお、酸処理は、イオン交換や表面の不純物を取り除く効果の他、結晶構造のAl、Fe、Mg、Li等の陽イオンの一部を溶出させる効果がある。
【0172】
塩類および酸による処理条件は特に制限されない。しかしながら、通常、塩類および酸濃度は0.1〜30重量%、処理温度は室温から使用溶媒の沸点までの温度範囲、処理時間は5分から24時間の条件を選択し、被処理化合物の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類および酸は一般的には水溶液で使用される。
【0173】
上記の塩類処理および/または酸処理を行う場合、処理前、処理間、処理後に粉砕や造粒などで形状制御を行ってもよい。また、アルカリ処理、有機化合物処理、有機金属処理などの他の化学処理を併用してもよい。この様にして得られる(E)成分としては、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上、特には0.3〜5cc/gであることが好ましい。斯かる(E)成分は、水溶液中で処理した場合、吸着水および層間水を含む。ここで、吸着水とは、イオン交換性層状化合物または無機珪酸塩の表面あるいは結晶破面に吸着された水であり、層間水とは、結晶の層間に存在する水である。
【0174】
(E)成分は、上記の様な吸着水および層間水を除去してから使用することが好ましい。脱水方法は、特に制限されないが、加熱脱水、気体流通下の加熱脱水、減圧下の加熱脱水および有機溶媒との共沸脱水などの方法が使用される。加熱温度は、吸着水および層間水が残存しない様な温度範囲とされ、通常100℃以上、好ましくは150℃以上とされるが、構造破壊を生じる様な高温条件は好ましくない。加熱時間は、0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、脱水乾燥した後の(E)成分の重量減量は、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間吸引した場合の値として3重量%以下であることが好ましい。本発明においては、重量減量が3重量%以下に調整された(E)成分を使用する場合、(A)成分及び(D)成分と接触する際にも、同様の重量減量の状態が保持される様に取り扱うことが好ましい。
【0175】
次に、メタロセン担持型触媒IおよびIIの製造方法について説明する。
【0176】
メタロセン担持型触媒Iは、(C)成分の存在のもとに、(A)成分と(B)成分、および所望により使用する(D)成分を反応させることによって得られる。(A)成分と(B)成分を(C)成分に加える順序は任意に変えることができる。例えば、適当な炭化水素溶媒に溶解させた(A)成分を最初に(C)成分に加え、その後で(B)成分を加えることができる。また、(B)成分と(A)成分を予め反応させたものを同時に(C)成分に加えることができる。そして、(B)成分を最初に(C)成分に加え、その後で(A)成分を加えることもできる。反応の際の温度は、通常−20ないし200℃、好ましくは0ないし120℃であり、反応に要する時間は、通常0.1分以上、好ましくは1分ないし200分の範囲である。また、上記のようにして得られたメタロセン担持型触媒Iは、必要により少量のオレフィンで予備重合してから使用できる。
【0177】
予備重合に用いるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、これら2種以上のオレフィンの混合物であってもよい。
【0178】
本発明のオレフィン重合体の製造に好適に用いられるメタロセン担持型触媒Iとしては、下記の(a)工程〜(c)工程を順次実施して調製されるメタロセン担持型触媒もしくは下記(a)工程〜(d)工程を順次実施して得られる予備活性化メタロセン担持型触媒を挙げることができる。
(a)メタロセン化合物(A)とアルミノキサンとを不活性溶媒中で反応させてメタロセン触媒を得る工程、
(b)上記(a)工程で得たメタロセン触媒と無機微粒子担体とを、不活性溶媒の存在下、85〜150℃の温度で接触させてメタロセン触媒を無機微粒子担体に担持させ、粗製メタロセン担持型触媒を得る工程、
(c)上記(b)工程で得た粗製メタロセン担持型触媒を含むスラリーを−50〜50℃の温度で脂肪族炭化水素を用いて少なくとも2回洗浄して精製したメタロセン担持型触媒を得る工程、
(d)上記(c)工程で得たメタロセン担持型触媒とオレフィンとを接触させてオレフィンを予備重合させ、該メタロセン担持型触媒1kg当たり0.01〜500kgのオレフィン予備重合体をさらに該メタロセン担持型触媒に担持させて予備活性化メタロセン担持型触媒を得る工程。
【0179】
上記(a)工程においては、前記メタロセン化合物(A)1モルに対してアルミニウム原子として10〜1,000モル、好ましくは20〜500モルのアルミノキサンを、不活性溶媒中において−50〜100℃、好ましくは0〜50℃の温度条件下に、1分〜10時間、好ましくは3分〜5時間反応させて、メタロセン触媒を生成させる。
【0180】
不活性溶媒の使用は、反応を均一かつ効率的に進める上で好ましい。該不活性溶媒の使用量には特に制限はないが、通常、メタロセン化合物(A)1モルに対して、10〜10,000リットル、好ましくは10〜1,000リットル程度である。
【0181】
使用できる不活性溶媒としては、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素、ブタン、テトラメチルブタン、ペンタン、エチルペンタン、トリメチルペンタン、ヘキサン、メチルヘキサン、エチルヘキサン、ジメチルヘキサン、ヘプタン、メチルヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素、上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素をハロゲンで置換したハロゲン化炭化水素およびそれらの混合溶媒が挙げられる。また、エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類も上記不活性溶媒として使用することができる。
【0182】
好ましい不活性溶媒は芳香族炭化水素である。また、市販のアルミノキサン溶液の溶媒をそのまま、もしくはそれにさらにその他の芳香族炭化水素などを追加して反応に使用することもできる。
【0183】
上記(a)工程に続く(b)工程において、(a)工程で得られたメタロセン触媒と無機微粒子担体とを、(a)工程において反応溶媒として使用した不活性溶媒の存在下に85〜150℃の温度で接触させることにより、前記メタロセン触媒が無機微粒子担体上に担持された固体生成物としての粗製メタロセン担持型触媒が得られる。この接触反応においては、必要に応じて不活性溶媒を追加使用することができる。
【0184】
粗製メタロセン担持型触媒中の、メタロセン触媒と、無機微粒子担体との比率は、メタロセン触媒としてのメタロセン化合物(A)とアルミノキサンとの反応生成物に含まれるメタロセン化合物(A)由来の遷移金属原子1モルに対して、無機微粒子状担体が1〜1,000kg、好ましくは5〜500kgの割合である。(b)工程で使用する不活性溶媒の使用量は、メタロセン触媒としてのメタロセン化合物(A)とアルミノキサンとの反応生成物に含まれるメタロセン化合物(A)由来の遷移金属原子1モルに対して、10〜10,000リットル、好ましくは10〜1,000リットルの割合である。
【0185】
該メタロセン触媒と該無機微粒子担体との接触は、85〜150℃、好ましくは90〜130℃、特に好ましくは95〜120℃の温度条件下に、5分間〜100時間、好ましくは10分間〜50時間行われる。特に温度条件は重要な因子であり、上記温度範囲内で接触させることにより、得られるメタロセン担持型触媒は高い重合活性を有し、この触媒をオレフィン重合に使用すると、得られるオレフィン重合体は高い嵩比重と良好な粒子性状を有する重合体になる。
【0186】
続く(c)工程においては、(b)工程で得られた不活性溶媒を含む粗製メタロセン担持型触媒を、−50〜50℃の温度で脂肪族炭化水素を用いて少なくとも2回洗浄することにより、精製されたメタロセン担持型触媒を得る。
【0187】
洗浄に用いる脂肪族炭化水素としては、前記不活性溶媒として例示した脂肪族炭化水素およびそれらの混合液が挙げられる。好ましくは、n−ヘキサン、イソペンタンまたはそれらの混合物である。
【0188】
(c)工程での洗浄方法として、たとえば、(b)工程の終了後、不活性溶媒と粗製メタロセン担持型触媒とからなるスラリーから不活性溶媒を、濾過、遠心分離またはデカンテーション等により分離したのち、脂肪族炭化水素を用いて該粗製メタロセン担持型触媒を洗浄する方法を採用することができる。また、(b)工程の終了後、不活性溶媒と粗製メタロセン触媒とからなるスラリーから不活性溶媒を分離することなく脂肪族炭化水素を添加し、不活性溶媒および脂肪族炭化水素の混合溶媒を上記と同様の手段で分離したのち、脂肪族炭化水素を用いて粗製メタロセン担持型触媒を洗浄する方法を採用することもできる。(c)工程で行う洗浄方法としては、後者の方法がより好ましい。
【0189】
該洗浄は、1回の洗浄につき、(b)工程で使用した無機微粒子担体1kgに対し、脂肪族炭化水素1〜500リットル、好ましくは10〜100リットルを使用して、−50〜50℃、好ましくは−30〜40℃、特に好ましくは−30〜30℃の温度条件下に、洗浄後の脂肪族炭化水素中にメタロセン触媒が溶出しなくなるまで繰り返し行なわれる。少なくとも2回、通常は4回以上洗浄すれば充分であるが、これに限定されない。
【0190】
洗浄温度条件は重要な因子であり、上記温度範囲内で洗浄することにより、得られるメタロセン担持型触媒は高い重合活性を有し、この触媒を用いてオレフィン重合を行うと、得られるオレフィン重合体は特に高い嵩比重と良好な粒子性状を有する。
【0191】
本発明で用いる予備活性化メタロセン担持型触媒は、(d)工程で、前記(c)工程で得られたメタロセン担持型触媒とオレフィンとを接触させてオレフィンを予備重合させ、メタロセン担持型触媒1kg当たり0.01〜500kgのオレフィン予備重合体をメタロセン担持型触媒に担持させて得られる。
【0192】
予備活性化メタロセン担持型触媒に担持されるオレフィン予備重合体としては、炭素数2〜20のオレフィン、たとえば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等の単独重合体およびそれらの2種以上の組み合わせからなる共重合体が挙げられ、特にエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレンを主体とするエチレンとエチレン以外のオレフィンとのエチレン/オレフィン共重合体、もしくはプロピレンを主体とするプロピレンとプロピレン以外のオレフィンとのプロピレン/オレフィン共重合体が好適である。また、これらのオレフィン予備重合体は135℃のデカリン中で測定した固有粘度[η]が0.1〜10dl/g、好ましくは0.2〜7dl/gの範囲である。但し、溶融張力が高いオレフィン重合体を得るためには、オレフィン予備重合体の135℃のデカリン中で測定した固有粘度[η]は、10dl/gより大きく、100dl/g以下の範囲、より好ましくは15〜80dl/gの範囲、特に好ましくは20〜50dl/gの範囲であることが好ましい。
【0193】
好ましいオレフィンの予備重合方法は、(c)工程で得られたメタロセン担持型触媒を脂肪族炭化水素に分散したスラリー中に、予備重合するオレフィンを導入し、該オレフィンをメタロセン担持型触媒と接触させることにより予備重合させる方法である。メタロセン担持型触媒を脂肪族炭化水素に分散したスラリーとしては、(c)工程の最終段階の洗浄で得られた該触媒を、該脂肪族炭化水素から分離することなく使用してもよく、また、分離後、それを改めて同様の脂肪族炭化水素に再分散して使用してもよい。
【0194】
該オレフィンの予備重合は、重合させるオレフィン自身を溶媒とした液相中や溶媒を使用せずに気相中で行うことも可能であるが、少量のオレフィンの重合を制御し、かつ予備重合を均一に進めるためには脂肪族炭化水素の存在下で実施することが好ましい。
【0195】
脂肪族炭化水素中で行うオレフィンの予備重合は、メタロセン担持型触媒1kgに対して、脂肪族炭化水素0.005〜5m3、好ましくは0.01〜1m3からなるスラリー中に、オレフィンを0.01〜1,000kg、好ましくは0.1〜500kg導入して、−50〜100℃、好ましくは0〜50℃の温度条件下に、1分間〜50時間、好ましくは3分間〜20時間、オレフィンを接触させることによって行う。
【0196】
上記のオレフィンの予備重合において、メタロセン担持型触媒にはメタロセン化合物(A)と、活性化化合物(B)として好適にはアルミノキサンとの反応生成物が担持されているので、新たにトリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物やアルミノキサンに代表される助触媒を添加する必要は特にないが、所望により添加することもできる。これらの助触媒の添加量は、該メタロセン担持型触媒中のメタロセン化合物(A)由来の遷移金属原子1モル当たり、アルミニウム原子として1,000モル以下、好ましくは500モル以下の範囲に留めるのが好ましい。
【0197】
本発明においては、上記オレフィンの予備重合を水素の存在下に行い、生成するオレフィン予備重合体の重量平均分子量(Mw)を100,000〜500,000g/モルの範囲となるように制御することが、粒子性状に優れたオレフィン重合体を製造するために望ましい。
【0198】
また、本発明のオレフィン重合体の製造に好適に用いられるメタロセン担持型触媒Iの製造方法として、上記の方法に加えて、予め、アルミノキサンと無機微粒子状担体とを反応させた後、引き続き、メタロセン化合物(A)と反応させる方法も例示できる。この方法で得られた触媒を使用すれば、粒子性状が非常に優れたオレフィン重合体を製造することができる。
【0199】
本発明で用いることのできるメタロセン担持型触媒IIは、(A)、(E)及び(D)成分とを接触させることにより調製される。接触方法は、特に限定されないが、次の様な方法を例示することができる。
(1)(A)と(E)成分を接触させる。
(2)(A)と(E)成分を接触させた後に(D)成分を添加する。
(3)(A)と(D)成分を接触させた後に(E)成分を添加する。
(4)(E)と(D)成分を接触させた後に(A)成分を添加する。
(5)(A)、(E)、(D)成分を同時に接触させる。
【0200】
なお、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンの予備重合時またはオレフィンの重合時に行ってもよい。また、上記の各成分の接触の際もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、アルミナ等の無機酸化物の固体を、各成分と共存させるか、または、各成分に接触させてもよい。上記の各成分の接触は、窒素などの不活性ガス中、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。接触は、−20℃を下限とし、溶媒の沸点を上限とする温度範囲で行い、特に室温を下限とし、溶媒の沸点を上限とする温度範囲で行うのが好ましい。
【0201】
上記の各成分の使用量は次の通りである。すなわち、(E)成分の1g当たり、(A)成分は、通常10-4〜10ミリモル、好ましくは10-3〜5ミリモルであり、(D)成分は、通常0.01〜104ミリモル、好ましくは0.1〜100ミリモルである。また、(A)成分中の遷移金属と(D)成分中のアルミニウムの原子比は、通常1:0.01〜106、好ましくは1:0.1〜105である。この様にして調製された触媒は、調製後に洗浄せずに使用してもよく、また、洗浄した後に使用してもよい。
【0202】
また、必要に応じて(D)成分を追加使用してもよい。すなわち、(A)成分及び/又は(E)成分と(D)成分とを使用して触媒調製を行った場合は、この触媒調製とは別途に更に(D)成分を反応系に追加添加してもよい。この際、使用される(D)成分の量は、(A)成分中のメタロセン化合物(a)由来の遷移金属原子に対する(D)成分中のアルミニウム原子の原子比として、通常1:0〜104、好ましくは1:1〜103となる様に選ばれる。
【0203】
上記のようにして得られたメタロセン担持型触媒IIも、前記メタロセン担持型触媒Iと同様、オレフィンを予備重合して該担持型触媒にオレフィン予備重合体を更に担持したのち、これを本発明のオレフィン重合体の製造に用いることもできる。
【0204】
上記のようにして得られたメタロセン担持型触媒IまたはIIは、更に、有機アルミニウム化合物((D’)成分)と組み合わせて得られるオレフィン重合用触媒として、本発明のオレフィン重合体の製造に好適に使用できる。
【0205】
オレフィン重合体の製造において、メタロセン担持型触媒IもしくはIIと組み合わせて用いられる(D’)成分は、前記メタロセン担持型触媒IもしくはIIの製造に用いられる有機アルミニウム化合物として前述したものから選ばれるが、前記メタロセン担持型触媒IもしくはIIの製造に用いられる有機アルミニウム化合物と同じものであってもよいし、別の有機アルミニウム化合物であっても良い。
【0206】
該オレフィン重合体の製造に使用される(D’)成分の量は、メタロセン担持型触媒もしくは予備活性化メタロセン担持型触媒中のメタロセン化合物(a)由来の遷移金属原子1モルに対し、(D’)成分中のAl原子として1〜5,000モル、好ましくは5〜3,000モル、特に好ましくは10〜1,000モルの割合である。
【0207】
メタロセン担持型触媒もしくは予備活性化メタロセン担持型触媒の使用量は、重合容積1リットルあたり、該触媒中のメタロセン化合物(a)由来の遷移金属原子に換算して、1×10-10〜1×10-3モル、好ましくは1×10-9〜1×10-4モルである。触媒の使用量を上記範囲とすることにより、オレフィンの効率的かつ制御された重合反応速度を維持することができる。
【0208】
なお、「重合容積」の用語は、液相重合の場合は重合器内の液相部分の容積を、気相重合の場合は重合器内の気相部分の容積を意味する。
【0209】
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、本発明のメタロセン化合物を含む、上記で説明した(1)〜(3)のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒を用いる、オレフィン重合体の製造方法である。
【0210】
本発明のオレフィン重合体の製造方法においては、所望の性能を有するオレフィン重合体を製造するためには、メタロセン化合物として、ラセミ体のメタロセン化合物を用いるのが好適である。所望とする品質を損ねない範囲で、ラセミ体にメソ体が少量(好ましくは5%未満)混ざっていてもよい。
【0211】
本発明のオレフィン重合体の製造方法が適用されるプロセスとしては、公知のオレフィン重合プロセスが使用可能であり、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ガソリン留分や水素化ジーゼル油留分等の不活性溶媒中でオレフィン類を重合させるスラリー重合法を採用することができる。また、オレフィン類自身を溶媒として用いるバルク重合法、オレフィン類の重合を気相中で実施する気相重合法を採用することもできる。そして、これらのプロセスの2種以上を組み合わせた重合プロセスを採用することもできる。この重合プロセスの組み合わせとしては、第1段目をバルク重合法で行い、引き続く第2段目を気相重合法で行う組み合わせが最も好ましい。また、溶液重合法を用いることも可能である。
【0212】
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、重合温度として−50〜150℃、好ましくは20〜120℃、さらに好ましくは40〜100℃、重合圧力として大気圧〜9.9MPa(ゲ−ジ圧)、好ましくは0.4〜5.0MPa(ゲ−ジ圧)の各条件が採用できる。また、必要に応じて水素のような連鎖移動剤を導入して、得られるオレフィン重合体の分子量を調節しても良い。
【0213】
重合反応終了後、重合系から未反応単量体及び水素を分離し、触媒失活処理等を行って、オレフィン重合体を得る。
【0214】
本発明のオレフィン重合体は、以上に説明したオレフィン重合体の製造方法により製造される。
【0215】
本発明において、「オレフィン」とは、炭素数2〜20のオレフィンを指し、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、ジエン、トリエンなどが挙げられる。本発明において、「プロピレン以外のオレフィン」とは、炭素数2〜20のオレフィンを指し、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、4−メチル−1−ペンテン等、更にこれらの2種以上の混合物を意味する。本発明において、最も好ましく用いられるプロピレン以外のオレフィンは、エチレンおよび/または1−ブテンである。
【0216】
本発明において、「オレフィン重合体」とは、炭素数2〜20のオレフィンから選ばれた1つのオレフィンからなる単独重合体、もしくは、2つ以上のオレフィンからなる共重合体を言う。
【0217】
また、本発明において、「オレフィン重合体」は、スチレン、ビニルシクロヘキサン、ジエン、トリエンなどを、重合体のモル基準で、30モル%以下の範囲でその構成単位として含んでいてもよい。
【0218】
本発明のオレフィン重合体は、好ましくは、プロピレン単位とプロピレン以外のオレフィン単位を構成単位として含むプロピレン/オレフィン共重合体であって、該共重合体中のオレフィン単位の含有量が、共重合体のモル基準で、0.1〜80モル%である共重合体である。かかる共重合体中の、オレフィン単位の含有量は、好ましくは0.5〜50モル%、さらに好ましくは1〜30モル%、特に好ましくは1〜15モル%である。
【0219】
本発明の製造方法で得られるオレフィン重合体が、プロピレン単位とプロピレン以外のオレフィン単位を構成単位として含むプロピレン/オレフィン共重合体である場合には、ランダム共重合体、ブロック共重合体、もしくは、ランダムブロック共重合体のいずれであっても良い。
【0220】
本発明のオレフィン重合体が、ブロック共重合体である場合には、本発明のメタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒を用いて、第1段目の工程で、プロピレン単独重合体(I)(以降、「Aセグメント」と言う場合がある。)を製造し、第2段目の工程で、プロピレン単位の含有量が、共重合体(II)のモル基準で、10〜90モル%、好ましくは、20〜80モル%である、プロピレン単位とプロピレン以外のオレフィン単位を構成単位として含むプロピレン/オレフィン・ランダム共重合体(II)(以降、「Bセグメント」と言う場合がある。)を製造することによって、好適に得ることができる。ブロック共重合体の重量基準で、Aセグメントの含有量が10〜95重量%、Bセグメントの含有量が90〜5重量%であるのが好ましい。得られる重合体は、プロピレン//プロピレン/オレフィン・ブロック共重合体と表示することができる。
【0221】
また、本発明のオレフィン重合体が、ランダムブロック共重合体である場合には、本発明のメタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒を用いて、第1段目の工程で、プロピレン以外のオレフィン単位の含有量が、共重合体(I)のモル基準で、0.1〜30モル%、好ましくは、0.3〜20モル%、更に好ましくは、0.5〜10モル%である、プロピレン単位とプロピレン以外のオレフィン単位を構成単位として含むプロピレン/オレフィン・ランダム共重合体(I)(以降、「Aセグメント」という場合がある。)を製造し、第2段目の工程で、プロピレン単位の含有量が、共重合体(II)のモル基準で、10〜90モル%、好ましくは、20〜80モル%である、プロピレン単位とプロピレン以外のオレフィン単位を構成単位として含むプロピレン/オレフィン・ランダム共重合体(II)(以降、「Bセグメント」という場合がある。)を製造することによって、好適に得ることができる。ランダムブロック共重合体の重量基準で、Aセグメントの含有量が10〜95重量%、Bセグメントの含有量が90〜5重量%であるのが好ましい。得られる重合体は、プロピレン/オレフィン//プロピレン/オレフィン・ランダムブロック共重合体と表示することができる。
【0222】
尚、上記プロピレン//プロピレン/オレフィン・ブロック共重合体、および、プロピレン/オレフィン//プロピレン/オレフィン・ランダムブロック共重合体において、Bセグメントとしての、プロピレン/オレフィン・ランダム共重合体(II)のメルトフローレート(MFR)は、耐衝撃性、透明性、もしくは、柔軟性に優れた成形品を得るために、300g/10分以下であるのが好ましく、更に好ましくは、100g/10分以下、更に好ましくは、10g/10分以下、尚好ましくは1g/10分以下である。特に好ましくは、0.1g/10分以下、最も好ましくは、0.01g/10分以下である。尚、本発明で言う「メルトフローレート(MFR)」は、JIS K7210に準拠し、荷重21.18N、温度230℃での測定値(単位:g/10分)である。
【0223】
上記プロピレン//プロピレン/オレフィン・ブロック共重合体、および、プロピレン/オレフィン//プロピレン/オレフィン・ランダムブロック共重合体において、そのBセグメントのMFR(以降、「MFRB」という場合がある。)は、これら共重合体のMFR(以降、「MFRT」という場合がある。)、共重合体中のAセグメントの含有量(以降、「WA」という場合がある。単位:重量%)、共重合体中のAセグメントのMFR(以降、「MFRA」という場合がある。)、および、共重合体中のBセグメントの含有量(以降、「WB」という場合がある。単位:重量%)を用いて、次式によって算出することができる。
log(MFRB)=(100/WB)×{log(MFRT)−(WA/100)×log(MFRA)}
【0224】
本発明において、ブロック共重合体、もしくは、ランダムブロック共重合体は、本発明のメタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒を用いて、まず、第1段目の工程を温度が30〜100℃、好ましくは50〜80℃、圧力が0.3〜5MPa、好ましくは、1〜4MPa、時間が0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間の条件で行う。引き続き、第2段目以降の工程で、温度30〜100℃、好ましくは50〜80℃、圧力が、0.3〜5MPa、好ましくは1〜4MPa、時間が、0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間で行い、これら第1段目の工程、第2段目の工程のそれぞれにおいて、連鎖移動剤として水素を用いることにより、それぞれの工程で得られる重合体のMFRを所望の範囲に調節することができる。第1段目および第2段目の工程は、それぞれ複数のステップを含んでいても良いが、共に、単一のステップで構成されるのが好ましい。
【0225】
本発明のオレフィン重合体が、ブロック共重合体、もしくは、ランダムブロック共重合体である場合には、0℃におけるo−ジクロルベンゼンへの、オレフィン重合体の可溶分量が、好ましくは、30重量%以下、より好ましくは、15重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。更に好ましいのは、5重量%以下であり、最も好ましくは、0.5重量%以下である。
【0226】
0℃におけるo−ジクロルベンゼンへの可溶分量は、以下のような分別法を介して求められる。すなわち、まず、長さ15cm、内径0.46cmのステンレス鋼製管に、0.1mm径のガラスビーズを充填(15cmの管全体に充填)した分別カラムを140℃に保持し、重合体をo−ジクロロベンゼンに約140℃の温度で溶解させた重合体濃度2mg/mlの試料0.5mlを供給し滞留させる。次いで、この分別カラムの温度を1℃/分の速度で0℃まで降下させ、試料中の重合体をガラスビーズの表面上に析出させる。次いで分別カラムの温度を0℃に保持したまま、0℃のo−ジクロロベンゼンを1ml/分の流速で2分間分別カラム内に流し、0℃のo−ジクロロベンゼンに可溶な重合体成分を溶解させて抽出液を得る。次に、抽出液中の重合体の分子量分布を赤外検出器(波長3.42μm)で測定する。その後、分別カラムおよびo−ジクロロベンゼンの温度(抽出温度)を、0〜50℃の範囲で10℃ずつ、50〜90℃の範囲では5℃ずつ、90〜140℃の範囲では3℃ずつ段階的に変えて上記の操作を繰り返し、各温度においてo−ジクロロベンゼンに溶出した重合体成分量、および各フラクションの重合体重量分率と分子量を算出して描いた抽出温度(℃)対重量分率(重量%)の溶出曲線に基づいて各成分の溶出量を算出する。なお、上記分別法の詳細は、ジャーナルオブ アプライド ポリマー サイエンス:アプライド ポリマー シンポジウム(Journal of Applied Polymer Science: Applied Polymer Symposium) 52, 145-158(1993)にTAKAO USAMIらにより記載されている。0℃におけるo−ジクロルベンゼンへのオレフィン重合体の可溶分量は、上記分別法を介して、0℃における溶解成分分率として求めることができる。
【0227】
また、本発明のオレフィン重合体が、プロピレン単位とプロピレン以外のオレフィン単位を構成単位として含む共重合体であり、特に、プロピレン/オレフィン・ランダム共重合体である場合には、該共重合体中のプロピレン単位の含有量(P:モル%)と、該共重合体の融点(Tm:℃)との間に、下記式の関係を充足することが好ましい。
170>Tm≧145−5.5(100−P)
また、下記式の関係を有することが、より好ましい。
170>Tm≧147−5.5(100−P)
当該式は、共重合体中のオレフィン単位の含有量が高いときでさえ、高い融点を示すことができるという本発明のオレフィン重合体の特に優れた特性を表す。
【0228】
また、本発明のオレフィン重合体は、重量平均分子量(Mw)が、好ましくは5×104〜5×105g/モル、更に好ましくは1×105〜5×105g/モルである。また、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)は、好ましくは1.5〜3.8、更に好ましくは1.5〜3.5、より好ましくは1.8〜3.0、最も好ましくは1.8〜2.5である。
【0229】
また、本発明のオレフィン重合体は、MFRが、好ましくは0.5〜300g/10分、更に好ましくは0.5〜100g/10分である。MFRが0.5g/10分より小さいか、或いは300g/10分より大きいと、従来公知の成形加工機での成形が困難となる可能性がある。
【0230】
本発明のオレフィン重合体の立体規則性を表すアイソタクチックペンタッド分率(I5)については、特に限定はないが、好ましくは0.400〜0.990、より好ましくは0.800〜0.990、さらに好ましくは0.850〜0.990、特に好ましくは0.920〜0.990である。
【0231】
また、本発明のオレフィン重合体のアイソタクチックトリアッド分率(I3)については、特に限定はないが、好ましくは、0.50〜0.999、より好ましくは、0.85〜0.999、さらに好ましくは、0.87〜0.999、特に好ましくは、0.94〜0.999である。
【0232】
本発明のオレフィン重合体を構成しているオレフィン単位の総モル数に対する、オレフィンの2,1−挿入反応に起因するオレフィン単位のモル数の占める割合、および、オレフィンの1,3−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数の占める割合については、特に限定はないが、それぞれ独立して、5mol%以下、好ましくは3mol%より小さい範囲である。
【0233】
本発明のオレフィン重合体のアイソタクチックペンタッド分率(I5)、及び、アイソタクチックトリアッド分率(I3)、さらに、オレフィン重合体を構成しているオレフィン単位の総モル数に対し、オレフィンの2,1−挿入反応に起因するオレフィン単位のモル数およびオレフィンの1,3−挿入反応に起因するオレフィン単位のモル数の占める割合は、次のような方法に従って測定した13C核磁気共鳴スペクトルの測定結果に基づき求められる。
【0234】
すなわち、o−ジクロロベンゼン/臭化ベンゼン=8/2重量比の混合溶液に、試験体(オレフィン重合体)を、その混合溶液中での濃度が20重量%となるように溶解する。この試験液について、測定波長が67.20MHz,測定温度が130℃で、13C核磁気共鳴スペクトルを測定する。測定装置としては、例えば日本電子(株)社製「JEOL−GX270NMR」を用いることができる。
【0235】
「アイソタクチックペンタッド分率(I5)」及び「アイソタクチックトリアッド分率(I3)」は、オレフィン単独重合体の場合には、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等のマクロモレキュールズ(Macromolecules)6,925−926(1973)で提案された13C核磁気共鳴スペクトルにより測定し求められる、重合体の立体規則性を示す指標である。本13C核磁気共鳴スペクトルの測定におけるピークの帰属決定法はエイ・ザンベリ(A.Zambelli)等のマクロモレキュールズ(Macromolecules)8,687(1975)で提案された帰属に従った。また、共重合体のアイソタクチックトリアッド分率(I3)は、特開平7−149833号公報、特開平8−283343号公報に提案された方法に基づいて算出した。
【0236】
アイソタクチックペンタッド分率(I5)とは、オレフィン重合体を構成しているオレフィン単位の総数に対し、5個連続してメソ結合をしているオレフィン単位の占める割合を表し、アイソタクチックトリアッド分率(I3)は、オレフィン重合体分子鎖中のオレフィン単位の総数に対して、3個連続してメソ結合をしているオレフィン単位の割合を表す。従ってアイソタクチックペンタッド分率(I5)、アイソタクチックトリアッド分率(I3)が高いほどアイソタクチック性が高いことを示す。このうち、アイソタクチックペンタッド分率(I5)は、特に、単独重合体のアイソタクチック性の指標に用いられ、アイソタクチックトリアッド分率(I3)は、単独重合体もしくは共重合体のアイソタクチック性の指標として用いられる。
【0237】
上記の、オレフィン重合体を構成しているオレフィン単位の総モル数に対する、オレフィンの2,1−挿入反応に起因するオレフィン単位のモル数およびオレフィンの1,3−挿入反応に起因するオレフィン単位のモル数のそれそれが占める割合とは、筒井(T.Tsutsui)等によってポリマー(Polymer),30,1350−1356(1989)に発表された方法に基づき13C核磁気共鳴スペクトルにより測定し求められる、オレフィン重合体の立体規則性を示す指標である。
【0238】
本発明のオレフィン重合体は、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、造核剤、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、着色剤、無機質または有機質の充填剤等の各種添加剤、更には種々の合成樹脂を配合した後、通常、溶融混練機を用いて190〜350℃の温度で20秒〜30分間程度加熱溶融混練し、必要に応じてストランド状に押し出した後に、更に細断して粒状体、すなわちペレットの形態で各種成形品の製造に供される。例えば、フィルム、シート、繊維、射出成形品、ブロー成形品、容器、延伸糸、不織布、発泡体などに好適に用いることができるとともに、シーラントとしても好適に用いることができる。
【0239】
【実施例】
以下に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。実施例および比較例において使用する用語の定義および測定方法は以下の通りである。
(1)メルトフローレート(MFR)(単位:g/10分):JIS K7210に準拠して、表1の条件14(荷重21.18N、温度230℃)で測定した。
(2)重量平均分子量(Mw)およびその数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で、カラムとして、東ソー(株)社製「PSKgel GMH6−HT」を使用し、測定装置として、ウォーターズ社製「GPC−150C」を用いて、試験体(オレフィン重合体)を、o−ジクロロベンゼンに、その濃度が0.05wt%となるように溶解し、得られた溶液を温度135℃で測定して求めた。
(3)融点(単位:℃):パーキン・エルマー社製「DSC7型示差走査熱量分析計」を用いて測定した。まず、試験体であるオレフィン重合体を、室温から30℃/分の速度で230℃まで昇温し、同温度にて10分間保持したのち、−20℃/分の速度で−20℃まで降温し、同温度にて10分間保持する。その後、あらためて、20℃/分の速度で昇温していく際に、融解のピークを示す温度を融点とした。
(4)オレフィン重合体がプロピレン単位とプロピレン以外のオレフィン単位を構成単位として含むプロピレン/オレフィン共重合体である場合のオレフィン単位の含有量(単位:モル%):13C NMRにより測定して求めた。
(5)o−ジクロルベンゼンの温度を連続的にまたは段階的に昇温して各温度に対するオレフィン重合体の溶解量を測定した時の、0℃におけるオレフィン重合体の可溶分量(単位:重量%):o−ジクロロベンゼンを用いて、前述の分別法により算出した。
(6)Haze(単位:%):JIS K7105記載の方法に準拠し、厚さ0.4mmの試験片を用いて測定した。
(7)アイソタクチックペンタッド分率(I5):測定装置として、日本電子(株)社製「JEOL−GX270」を用いて、前述の方法で測定した。
(8)オレフィン重合体を構成しているオレフィン単位の総モル数に対し、オレフィンの2,1−挿入反応に起因するオレフィン単位のモル数およびオレフィンの1,3−挿入反応に起因するオレフィン単位のモル数の占める割合(単位:モル%):測定装置として、日本電子(株)社製「JEOL−GX270」を用いて、前述の方法で測定した。検出下限界値は0.02モル%である。
(9)オレフィン重合体がブロック共重合体もしくはランダムブロック共重合体である場合のAセグメントとBセグメントの含有量(単位:重量%):前述のo−ジクロルベンゼンへのオレフィン重合体の溶解成分の測定方法に準じて、予めAセグメントだけについて、o−ジクロルベンゼンの温度を連続的または段階的に昇温して各温度に対するオレフィン重合体の溶解量を測定しておき、AセグメントとBセグメントの合計であるオレフィン重合体のo−ジクロルベンゼンの温度を連続的または段階的に昇温して各温度に対するオレフィン重合体の溶解量を測定した結果からAセグメントに相当する部分を差し引くことにより、Bセグメントの相当する部分の重量%を算出した。
【0240】
実施例1
〔rac−ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライドの合成〕
(1)ジメチルビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)シランの合成
200mlのガラス製反応容器に、2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデン 12g(0.045モル)、イソシアン酸銅0.3g(2.5ミリモル)、テトラヒドロフラン150mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.50モル/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液30ml(0.045モル)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しながら16時間攪拌した。再びドライアイス−メタノール浴で−50℃まで冷却し、ジメチルジクロロシラン2.9g(0.022モル)を含むテトラヒドロフラン溶液40mlを滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら16時間攪拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに無水硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)シランの淡黄色液体11g(収率82%)を得た。
【0241】
(2)rac−ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライドの合成
100mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)シラン5.3g(8.8ミリモル)、ジエチルエーテル150mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.50モル/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液12ml(18ミリモル)を滴下した。滴下後、室温に戻し16時間攪拌した。反応液の溶媒を20ml程度まで減圧濃縮し、トルエン200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ジルコニウム2.0g(8.6ミリモル)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら3日間攪拌した。反応溶液の一部でNMRを測定した結果、メソ体と思われるピークは確認されなかった。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン/ヘキサンで再結晶を行い、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライドのラセミ体(純度99%以上)を黄橙色結晶として3.0g(収率45%)得た。得られたラセミ体についてのプロトン核磁気共鳴法(1H−NMR)による同定値を以下に記す。
<1H−NMR(CDCl3)同定結果>
ラセミ体:δ1.15(s,6H),δ2.42(s,6H),δ6.06(d,2H),δ6.26(d,2H),δ6.81(dd,2H),δ6.93(d,2H),δ7.03(s,2H),δ7.31〜δ7.64(m,12H)。
【0242】
〔rac−ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライドを触媒成分として用いたプロピレン単独重合体の製造〕
SUS製オートクレーブにトルエン1L,メチルアルミノキサン−トルエン溶液(東ソーアクゾ社製「MMAO3A」)(Al/Zr=10,000),rac−ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル))−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド−トルエン溶液3ml(0.29×10-6モル)を順に加え、30℃に加熱した。ここに0.3MPaの圧力でプロピレンを導入し、1時間重合を行った。重合後、ポリマーをろ過し、塩酸性メタノール1リットルで触媒成分を分解した。その後、ろ過、洗浄、乾燥を順に行いプロピレン単独重合体32gを得た。重合活性は、110kg−ポリマー/ミリモル(Zr)・hrであった。得られたプロピレン単独重合体を分析した結果、MFRが0.03g/10分、アイソタクチックペンタッド分率(I5)が0.973、そして、プロピレン単独重合体を構成しているプロピレン単位の総モル数に対し、プロピレンモノマーの2,1−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数の占める割合が、0.22モル%、および、プロピレン単独重合体を構成しているプロピレン単位の総モル数に対し、プロピレンモノマーの1,3−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数の占める割合が、0.05モル%であり、Mwが7.33×105g/モル、Mw/Mnが2.22、融点が159.1℃であった。
【0243】
実施例2
〔予備活性化メタロセン担持型触媒の製造〕
(1)メタロセン担持型触媒の製造
窒素ガスで置換した内容積500mlの撹拌機付きガラス製反応器に、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(濃度:3モル/リットル、東ソーアクゾ社製「PMAO」)を89ml(Al原子換算で267ミリモル)、およびメタロセン化合物として実施例1で合成したラセミ体のジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロライドを0.929ミリモル投入し、25℃の温度で15分間撹拌保持して反応させメタロセン化合物とアルミノキサンとの反応生成物、即ち、メタロセン触媒を得た。
続いて、反応器に、予め減圧下、750℃の温度で8時間焼成した平均粒径51μmのシリカ(グレース・デビソン社製「SYLOPOL(R) 948」)6.7gを投入し、反応器の温度を110℃に昇温し、撹拌下に60分間保持して上記で得られた反応生成物とシリカとの接触反応を行い、前記メタロセン触媒が担持された粗製メタロセン担持型触媒を含むスラリーを得た。
次に、反応器の温度を−10℃に冷却後、反応器の温度を−10℃に維持したまま、n−ヘキサン250mlを投入して10分間撹拌した後、撹拌機を停止し、デカンテーションにより溶媒を分離した。引き続いて、反応器の温度を−10℃に保持したまま、反応器にn−ヘキサン250mlを投入して5分間撹拌洗浄した後、撹拌機を停止し、デカンテーションにより洗浄溶媒を分離する洗浄操作を4回繰り返し、精製されたメタロセン担持型触媒を得た。さらに、n−ヘキサン250mlを反応器に投入し、該メタロセン担持型触媒を分散させてスラリーとした。
【0244】
(2)予備活性化メタロセン担持型触媒の製造
窒素ガスで置換した内容積500mlの撹拌機付きガラス製反応器に上記(1)で得たメタロセン担持型触媒とn−ヘキサンとのスラリーを移送し、反応器の温度を0℃に調節した。次いで、反応容器の温度を0℃に撹拌保持しながら、モル比10:1のプロピレン/水素混合ガスを300ml/分の供給速度で40分間供給して予備重合させ、オレフィン重合体がメタロセン担持型触媒に担持された粗製予備活性化メタロセン担持型触媒を含む反応混合物を得た。
該反応混合物から、デカンテーションにより、使用したn−ヘキサン溶媒を分離した後、n−ヘキサン250mlを投入し5分間撹拌して予備活性化メタロセン担持型触媒を洗浄し、デカンテーションにて洗浄溶媒を分離する洗浄操作を5回繰り返した。次いでn−ヘキサン250mlを反応器に投入し、得られた予備活性化メタロセン担持型触媒をn−ヘキサンに分散させてスラリーとした。得られた予備活性化メタロセン担持型触媒とn−ヘキサンとのスラリーの溶媒を濾過分離後、25℃の温度で減圧下に乾燥し、固体粒子からなる予備活性化メタロセン担持型触媒を得た。得られた予備活性化メタロセン担持型触媒を分析し、メタロセン担持型触媒1g当たり何gのプロピレン重合体が担持されているか調べた。その結果、予備活性化前の担持型触媒1g当たり1gのプロピレン重合体が担持されていた。
【0245】
〔プロピレン/エチレン共重合体の製造〕
十分に窒素置換された内容積3リットルの横型気相反応器内を75℃に加熱し、プロピレン重合体粗粒150gおよびトリエチルアルミニウム0.5ミリモルを加え5分間85rpmで攪拌した。次いで、上記にて調製された予備活性化メタロセン担持型触媒を、予備活性化前のメタロセン担持型触媒当たり22mgを加え、さらに、5分攪拌した。次いで、反応器内にプロピレン/エチレン混合モノマーを供給し、反応器内のエチレンモノマー濃度を8モル%に保ちながら、反応圧力を2.3MPa(ゲージ圧)まで昇圧し、75℃および2.6MPa(ゲージ圧)の一定重合条件下で重合を行い、生成したプロピレン/エチレン共重合体量が300gとなった時点でモノマー供給を止め、大気圧まで落圧を行い、窒素気流下で反応器より300gの粉末状重合体を抜き出した。
ついで、上記のプロピレン重合体粗粒150gに代えて、抜き出し操作後に反応器に残った150gの粉末状重合体を用いる事以外は、上記のようにして、同様の重合を2回続けて行い、3回目の重合結果を用いて、重合活性の計算および得られたプロピレン/エチレン共重合体の分析を行った。重合時間は、それぞれ約1.5時間であった。
【0246】
重合活性は、予備活性化前の担持型触媒1g当たり、10200g・ポリマー/g・触媒であった。得られたプロピレン/エチレン共重合体を分析したところ、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が2.5、MFRが7.1g/10分、エチレン単位の含有量が4.87モル%、融点が125℃であった。従って、得られたプロピレン/エチレン共重合体は、170>Tm≧145−5.5(100−P)の関係式を満たすものであった。
【0247】
実施例3
〔rac−ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライドを触媒成分として用いたプロピレン単独重合体の製造〕
SUS製オートクレーブにメチルアルミノキサン−トルエン溶液(東ソーアクゾ社製「MMAO3A」)をAl換算で4.5×10−3モル加えた後、液化プロピレン1Lを加えて50℃に昇温した。一方、実施例1で合成したラセミ体のジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド(0.20×10−6モル)とメチルアルミノキサン−トルエン溶液(東ソーアクゾ社製「MMAO3A」)(Al換算で3.0×10−3モル)を15分間反応させ、その後、この反応溶液をオートクレーブ内に圧入することにより重合反応を開始し50℃で20分間プロピレン単独重合を行った。重合反応の停止は、少量のメタノールを添加することによって行い、その後、強アリカリ溶液で脱灰操作を行い乾燥することにより23.2gのプロピレン単独重合体を得た。重合活性は、346kg−ポリマー/ミリモル(Zr)・hrであった。得られたプロピレン単独重合体を分析した結果、MFRが0.014g/10分、Mw/Mnが2.8、融点が160.3℃であった。
【0248】
実施例4
〔rac−ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライドを用いた予備活性化メタロセン担持型触媒によるプロピレン/エチレン共重合体の製造〕
十分に窒素置換された内容積1.5リットルの反応器に、0.5ミリモルのトリエチルアルミニウムおよび水素4.1ミリモル、液化プロピレン1Lを仕込んだ後、60℃に昇温し、安定させた。その際の反応器内の圧力は、2.50MPa(ゲ−ジ圧)であった。その後、反応器内の圧力が、仕込み前の圧力より、0.25MPa高くなるように、即ち、2.75MPa(ゲージ圧)までエチレンをフィードし安定させた後、反応器内の温度を70℃に昇温し、反応器内の温度、圧力をさらに安定させた。その後、10mlのn−ヘキサン中に懸濁した実施例2にて調製した予備活性化メタロセン担持型触媒18mgを反応器内に供給することにより重合反応を開始し、70℃で、30分間に渡り、プロピレンとエチレンの共重合を行った。その結果、105gのプロピレン/エチレン共重合体が得られ、重合活性は、予備活性化前の担持型触媒1g当たり、23,333g・ポリマー/g・触媒・hrであった。得られたプロピレン/エチレン共重合体を分析したところ、MFRが5.0g/10分、エチレン単位の含有量が3.7モル%であり、融点が127℃、Hazeは15%であった。従って、得られたプロピレン/エチレン共重合体は、170>Tm≧145−5.5(100−P)の関係式を満たすものであった。
【0249】
実施例5
〔プロピレン//エチレン/プロピレン・ブロック共重合体の製造〕
攪拌機を備えた内容積1.5Lのステンレス製重合器を窒素置換した後、トリエチルアルミニウム(濃度:1モル/Lのn−ヘキサン溶液)0.5ミリモル、水素100ml、及び液化プロピレン800mlを投入した。次いで、重合器の内温を60℃に昇温した後、n−ヘキサン5ml中にスラリー化された実施例2で得た予備活性化触媒を予備活性化前の担持型触媒当たりで10.7mg、液化プロピレン200mlと共に重合器に圧入し重合を開始した。重合開始後は重合器の内温を70℃に昇温・保持し、重合反応を1時間継続した。重合時間経過後、未反応のモノマーを系外に放出すると共に重合器の温度を25℃に冷却した後、反応生成物の一部(32.8g)を抜き出してAセグメント(プロピレン単独重合体ブロック成分)に相当するプロピレン重合体の試料とした。
【0250】
続いて、反応生成物を重合器内に残したまま、トリエチルアルミニウム(濃度:1モル/Lのn−ヘキサン溶液)0.5ミリモルを加え、重合器の内温を50℃に昇温・保持し、重合器の内圧を1.5MPaに保つようにエチレン/プロピレン混合ガス(モル比:エチレン/プロピレン=85/15)を供給して、エチレン/プロピレンの気相共重合を200分間継続した。重合時間経過後、エチレン/プロピレン混合ガスの供給を停止し、未反応の混合ガスを系外に放出すると共に重合器の温度を25℃に冷却した後、粒状の反応生成物(プロピレン//エチレン/プロピレン・ブロック共重合体)165.8gを得た。重合終了後、開放した重合器内を観察した結果、塊状重合体の存在及び重合器壁への重合物の付着はいずれも認められなかった。
得られたプロピレン//エチレン/プロピレン・ブロック共重合体は、エチレン単位の含有量が35.2モル%、BDが440kg/m3、固有粘度([η]W)が1.62dl/g、Tmが154.2℃、MFRが2.57g/10分、さらに、o−ジクロルベンゼンの温度を連続的にまたは段階的に昇温して各温度に対するオレフィン重合体の溶解量を測定した時の、0℃可溶分量が、7.0重量%、Hazeが54.7%であった。また、得られたプロピレン//エチレン/プロピレン・ブロック共重合体は、Aセグメント(プロピレン単独重合体ブロック成分)が62.4重量%、Bセグメント(エチレン/プロピレン共重合体ブロック成分)が37.6重量%であった。Bセグメント中のエチレン単位の含有量は78.4モル%、MFRは、0.74g/10分と算出された。また、触媒の重合活性は、予備活性化前の担持型触媒1g当たり、3,600g・ポリマー/g・触媒・hrと算出された。
【0251】
実施例6
〔プロピレン//エチレン/プロピレン・ブロック共重合体の製造〕
攪拌機を備えた内容積1.5Lのステンレス製重合器を窒素置換した後、トリエチルアルミニウム(濃度:1モル/Lのn−ヘキサン溶液)0.5ミリモル、水素100ml、及び液化プロピレン800mlを投入した。次いで、重合器の内温を60℃に昇温した後、n−ヘキサン5ml中にスラリー化された実施例2で得た予備活性化触媒を予備活性化前の担持型触媒として12.3mgを液化プロピレン200mlと共に重合器に圧入し重合を開始した。重合開始後は重合器の内温を70℃に昇温・保持し、重合反応を1時間継続した。重合時間経過後、未反応のモノマーを系外に放出すると共に重合器の温度を25℃に冷却した後、反応生成物の一部(33.0g)を抜き出してAセグメント(プロピレン単独重合体ブロック成分)に相当するプロピレン重合体の試料とした。
【0252】
続いて、反応生成物を重合器内に残したまま、重合器の内温を50℃に昇温・保持し、重合器の内圧を1.5MPaに保つようにエチレン/プロピレン混合ガス(モル比:エチレン/プロピレン=92/8)を供給して、エチレン/プロピレンの気相共重合を240分間継続した。重合時間経過後、エチレン/プロピレン混合ガスの供給を停止し、未反応の混合ガスを系外に放出すると共に重合器の温度を25℃に冷却した後、粒状の反応生成物(プロピレン//エチレン/プロピレン・ブロック共重合体)232.3gを得た。重合終了後、開放した重合器内を観察した結果、塊状重合体の存在及び重合器壁への重合物の付着はいずれも認められなかった。
得られたプロピレン//エチレン/プロピレン・ブロック共重合体は、エチレン単位の含有量が35.0モル%、BDが450kg/m3、固有粘度([η]W)が2.22dl/g、Tmが154.8℃、MFRが0.72g/10分、o−ジクロルベンゼンの温度を連続的にまたは段階的に昇温して各温度に対するオレフィン重合体の溶解量を測定した時の、0℃可溶分量が、0(ゼロ)重量%、Hazeが13.6%であった。また、得られたプロピレン//エチレン/プロピレン・ブロック共重合体は、Aセグメント(プロピレン単独重合体ブロック成分)が59.3重量%、Bセグメント(エチレン/プロピレン共重合体ブロック成分)が40.7重量%であった。Bセグメント中のエチレン単位の含有量は73.5モル%、MFRは、0.03g/10分と算出された。また、触媒の重合活性は、予備活性化前の担持型触媒1g当たり、3,800g・ポリマー/g・触媒・hrと算出された。
【0253】
実施例7
〔プロピレン//エチレン/プロピレン・ブロック共重合体の製造〕
攪拌機を備えた内容積1.5Lのステンレス製重合器を窒素置換した後、トリエチルアルミニウム(濃度:1モル/Lのn−ヘキサン溶液)0.5ミリモル、水素100ml、及び液化プロピレン800mlを投入した。次いで、重合器の内温を60℃に昇温した後、n−ヘキサン5ml中にスラリー化された実施例2で得た予備活性化触媒を予備活性化前の担持型触媒当たりで12.2mgを液化プロピレン200mlと共に重合器に圧入し重合を開始した。重合開始後は重合器の内温を70℃に昇温・保持し、重合反応を1時間継続した。重合時間経過後、未反応のモノマーを系外に放出すると共に重合器の温度を25℃に冷却した後、反応生成物の一部(37.3g)を抜き出してAセグメント(プロピレン単独重合体ブロック成分)に相当するプロピレン重合体の試料とした。
【0254】
続いて、反応生成物を重合器内に残したまま、重合器の内温を50℃に昇温・保持し、重合器の内圧を1.5MPaに保つようにエチレン/プロピレン混合ガス(モル比:エチレン/プロピレン=77/23)を供給して、エチレン/プロピレンの気相共重合を220分間継続した。重合時間経過後、エチレン/プロピレン混合ガスの供給を停止し、未反応の混合ガスを系外に放出すると共に重合器の温度を25℃に冷却した後、粒状の反応生成物(プロピレン//エチレン/プロピレン・ブロック共重合体)197.6gを得た。重合終了後、開放した重合器内を観察した結果、塊状重合体の存在及び重合器壁への重合物の付着はいずれも認められなかった。
得られたプロピレン//エチレン/プロピレン・ブロック共重合体は、エチレン単位の含有量が21.1モル%、BDが440kg/m3、固有粘度([η]W)が1.57dl/g、Tmが154.2℃、MFRが2.97g/10分、o−ジクロルベンゼンの温度を連続的にまたは段階的に昇温して各温度に対するオレフィン重合体の溶解量を測定した時の、0℃可溶分量が26.1重量%、Hazeが81.9%であった。また、得られたプロピレン//エチレン/プロピレン・ブロック共重合体は、Aセグメント(プロピレン単独重合体ブロック成分)が65.7重量%、Bセグメント(プロピレン/エチレン共重合体ブロック成分)が34.3重量%であった。Bセグメント中のエチレン単位の含有量は54.1モル%、MFRは4.1g/10分であった。触媒の重合活性は、3,500g・ポリマー/g・Zrと算出された。
【0255】
実施例8
〔プロピレン//エチレン/プロピレン・ブロック共重合体の製造〕
攪拌機を備えた内容積1.5Lのステンレス製重合器を窒素置換した後、トリエチルアルミニウム(濃度:1モル/Lのn−ヘキサン溶液)0.5ミリモル、水素100ml、及び液化プロピレン800mlを投入した。次いで、重合器の内温を60℃に昇温した後、n−ヘキサン5ml中にスラリー化された実施例2で得た予備活性化触媒を予備活性化前の担持型触媒当たりで13.3mgを液化プロピレン200mlと共に重合器に圧入し重合を開始した。重合開始後は重合器の内温を70℃に昇温・保持し、重合反応を1時間継続した。重合時間経過後、未反応のモノマーを系外に放出すると共に重合器の温度を25℃に冷却した後、反応生成物の一部(30.7g)を抜き出してAセグメント(プロピレン単独重合体ブロック成分)に相当するプロピレン重合体の試料とした。
【0256】
続いて、反応生成物を重合器内に残したまま、トリエチルアルミニウム(濃度:1モル/Lのn−ヘキサン溶液)0.5ミリモルを加え、重合器の内温を50℃に昇温・保持し、重合器の内圧を1.0MPaに保つようにエチレン/プロピレン混合ガス(モル比:エチレン/プロピレン=50/50)を供給して、エチレン/プロピレンの気相共重合を290分間継続した。重合時間経過後、エチレン/プロピレン混合ガスの供給を停止し、未反応の混合ガスを系外に放出すると共に重合器の温度を25℃に冷却した後、粒状の反応生成物(プロピレン//エチレン/プロピレン・ブロック共重合体)159.4gを得た。重合終了後、開放した重合器内を観察した結果、塊状重合体の存在及び重合器壁への重合物の付着はいずれも認められなかった。
得られたプロピレン//エチレン/プロピレン・ブロック共重合体は、エチレン単位の含有量が5.2モル%、BDが440kg/m3、固有粘度([η]W)が1.46dl/g、Tmが154.6℃、MFRが4.96g/10分、o−ジクロルベンゼンの温度を連続的にまたは段階的に昇温して各温度に対するオレフィン重合体の溶解量を測定した時の、0℃可溶分量が10.2重量%、Hazeが61.8%であった。また、得られたプロピレン//エチレン/プロピレン・ブロック共重合体は、Aセグメント(プロピレン単独重合体ブロック成分)が84.7重量%、Bセグメント(エチレン/プロピレン共重合体ブロック成分)が15.3重量%であった。Bセグメント中のエチレン単位の含有量は30.9モル%、MFRは、115g/10分と算出された。また、触媒の重合活性は、予備活性化前の担持型触媒1g当たり、2050g・ポリマー/g・触媒・hrと算出された。
【0257】
実施例9
実施例4のプロピレン/エチレン共重合において、水素を添加しないことおよび重合温度を60℃とし、反応器内にフィードするエチレンの量を、仕込み前の圧力よりそれぞれ0.1、0.3、0.4MPa高くする条件にて、それぞれプロピレン/エチレン共重合体を製造し、得られたプロピレン/エチレン共重合体のエチレン単位の含有量とMFRの関係を調べた。表1に、得られたプロピレン/エチレン共重合体のエチレン単位の含有量とMFRの関係を、エチレンを導入せずに行ったプロピレン単独重合体の結果と比較した。本発明の触媒を用いるとエチレンの導入にともなうMFRの上昇が極端に少なく、エチレン単位の含有量が高い場合においても低いMFRのプロピレン/エチレン共重合体が製造できることが判った。比較例3の結果との比較によって、本発明の優位性は更に明白である。
【0258】
表1 エチレン単位の含有量とMFRの関係
【0259】
比較例1
〔ラセミ体のジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロリドの合成〕
特開平6−100579号公報に記載された方法により、ラセミ体のジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロリドを合成した。
〔ラセミ体のジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロリドを触媒に用いたプロピレン単独重合体の製造〕
SUS製オートクレーブにトルエン1L,メチルアルミノキサン−トルエン溶液(東ソーアクゾ社製「MMAO3A」)(Al/Zr=10,000),rac−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド−トルエン溶液3ml(0.14×10-6モル)を順に加え、30℃に加熱した。ここに0.3MPaの圧力でプロピレンを導入し、1時間重合を行った。重合後、ポリマーをろ過し、塩酸性メタノール1リットルで触媒成分を分解した。その後、ろ過、洗浄、乾燥を順に行いプロピレン単独重合体5.1gを得た。重合活性は、36kg−ポリマー/ミリモル(Zr)・hrであった。得られたプロピレン単独重合体を分析した結果、MFRが0.004g/10分、Mw/Mnが2.64、融点が157.0℃であった。
【0260】
比較例2
〔ラセミ体のジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロリドを触媒に用いたプロピレン単独重合体の製造〕
SUS製オートクレーブにメチルアルミノキサン−トルエン溶液(東ソーアクゾ社製「MMAO3A」)をAl換算で2.25×10−3モル加えた後、液化プロピレン1Lを加えて50℃に昇温した。一方、実施例1で合成したラセミ体のジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド(0.25×10−6モル)とメチルアルミノキサン−トルエン溶液(東ソーアクゾ社製「MMAO3A」)(Al換算で1.5×10−3モル)を15分間反応させ、その後、この反応溶液をオートクレーブ内に圧入することにより重合反応を開始し50℃で20分間プロピレン単独重合を行った。重合反応の停止は、少量のメタノールを添加することによって行い、その後、強アルカリ溶液で脱灰操作を行い乾燥することにより22.7gのプロピレン単独重合体を得た。重合活性は、272kg−ポリマー/ミリモル(Zr)・hrであった。得られたプロピレン単独重合体を分析した結果、融点が157.6℃であった。
【0261】
比較例3
ラセミ体のジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロライドの代わりに、ラセミ体のジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライドを用いた以外は全て実施例2と同様に予備活性化メタロセン担持型触媒を製造し、実施例9にて用いた予備活性化メタロセン担持型触媒の代わりに上記でて得られたラセミ体のジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライドを用いて製造された予備活性化メタロセン担持型触媒を用いた以外は実施例9と同様にして、プロピレン/エチレン共重合体を製造し、得られたプロピレン/エチレン共重合体中のエチレン単位の含有量とMFRの関係を調べた。表2に、得られたプロピレン/エチレン共重合体のエチレン単位の含有量とMFRの関係を、エチレンを導入せずに行ったプロピレン単独重合体の結果と比較した。
表2より明らかなように、エチレン単位の含有量が高くなるにつれて、MFRが極端に高くなっている。つまり、エチレン単位の含有量が高い場合において低MFRのプロピレン/エチレン共重合体を製造することが大変困難であることを示している。
【0262】
表2 エチレン単位の含有量とMFRの関係
【0263】
実施例10
〔ラセミ体のジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライドの合成〕
(1)2,7−ジブロモインデンの合成
200mlのナス型フラスコを用い、ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(J.Org.Chem.)49,4226-4237(1984)、に記載の方法によって製造した7−ブロモインデン7.00g(35.89ミリモル)を蒸留水1.42g(79.00ミリモル)とジメチルスルホキシド70mlの混合溶媒に溶解させた。この反応溶液に氷冷下、N−ブロモスクシンイミド7.67g(43.07ミリモル)を加え室温で1時間攪拌した。氷冷下蒸留水で加水分解したのち、ジエチルエーテルで数回抽出を行い、さらにこの抽出液を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾過したのち溶媒を減圧溜去した。得られた生成物を200mlのナス型フラスコに移し、トルエン100mlで溶かした。この溶液にp−トルエンスルホン酸水和物0.68g(3.59ミリモル)を加え4時間加熱還流を行った。還流後、氷冷下蒸留水で加水分解を行いジエチルエーテルで数回抽出を行った。抽出液を飽和した炭酸水素ナトリウム水溶液で1回洗浄し、飽和食塩水で1回洗浄、その後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、硫酸マグネシウムを濾過し、溶媒を減圧溜去、その後に、シリカゲルカラムで精製することにより2,7−ジブロモインデンの白色結晶を6.6g(収率67%)得た。
【0264】
(2)2,7−ビス(2−(5−メチル)−フリル)−インデンの合成
窒素気流下、500mlの三口フラスコに、2−メチルフラン8.84g(107.67ミリモル)およびテトラヒドロフラン100mlを仕込んだ。この溶液に−78℃でn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.66N)40.5ml(107.67ミリモル)を滴下し、室温で2時間攪拌した。この反応溶液に−78℃でテトラヒドロフラン150mlに溶かした塩化亜鉛(ZnCl2)14.7g(107.67ミリモル)を滴下し、さらに室温で1晩攪拌した。この反応溶液に−78℃で、テトラヒドロフラン70mlに溶解させた2,7−ジブロモインデン6.50g(23.72ミリモル)を滴下、続いてテトラヒドロフラン50mlに溶かしたテトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)を2.74g(2.37ミリモル)滴下して50℃で12時間加熱還流を行った。還流後、飽和した塩化アンモニウムの水溶液で加水分解を行った後、蒸留水を加え、ジエチルエーテルで数回抽出し抽出液を飽和食塩水で1回洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、硫酸マグネシウム濾過し溶媒を減圧溜去した後、シリカゲルカラムで精製し2,7−ビス(2−(5−メチル)−フリル)−インデンのオレンジ色の固体を6.32g(収率96%)得た。
【0265】
(3)ジメチルビス〔2,4−ビス(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル〕シランの合成
窒素気流下、反応容器に300mlの三口フラスコを用い、2,7−ビス(2−(5−メチル)−フリル)−インデン6.2g(22.44ミリモル)とシアン化銅(I)(CuCN)219mg(2.24ミリモル)をテトラヒドロフラン80mlに溶かした。この溶液に−40℃でn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.66N)8.44ml(22.44ミリモル)を滴下し、そのままの−40℃で2時間攪拌した。この反応溶液に−40℃でテトラヒドロフラン20mlに溶かしたジメチルジクロロシラン1.45g(11.22ミリモル)を滴下し、さらに室温で1晩攪拌した。その後、セライトを用いて濾過を行って銅触媒を除去し、飽和した塩化アンモニウムの水溶液で加水分解を行った後に蒸留水を加え、ジエチルエーテルで数回抽出し、抽出液を飽和食塩水で1回洗浄、その後に、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、硫酸マグネシウムを濾過し溶媒を減圧溜去した後、シリカゲルカラムで精製することにより、ジメチルビス〔2,4−ビス(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル〕シランのメソ体とラセミ体の混合物(メソ体:ラセミ体=50:50)である褐色のオイルを3.59g(収率53%)得た。
【0266】
(4)ラセミ体のジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライドの合成
窒素気流下、反応容器に100mlのフラスコを用い、ジメチルビス〔2,4−ビス(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル〕シランの3.55g(5.83ミリモル)をジエチルエーテルの40mlに溶かした。この溶液に−78℃でn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.66N)4.4ml(11.66ミリモル)を滴下し、室温で一晩攪拌した。溶媒のジエチルエーテルを減圧溜去し残渣をトルエンの40mlに溶かした。この反応溶液を液体窒素で凝固させ、四塩化ジルコニウムの1.36g(5.83 ミリモル)をトルエンの30mlに溶かした溶液を滴下し、さらに室温で1晩攪拌した。攪拌後、遠心分離を行ってリチウム塩を除去し、溶媒を減圧溜去した。この生成物の1H−NMR測定を行った結果、メソ体とラセミ体の混合比は、メソ体:ラセミ体=0:100であった。該生成物をヘキサンで抽出し、残った褐色の粉末をさらにジエチルエーテルで抽出し、この反応溶液から再結晶化することで赤褐色粉末のラセミ体のジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライドを830mg得た(収率18%)。得られたラセミ体のジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライドの1H−NMRによる同定結果は下記の通りであった。
<1H−NMR (CDCl3)による同定結果>
δ1.10 (s, 6 H), δ2.34 (s, 6 H), δ2.42 (s, 6 H), δ6.04 (dd, 2 H), δ6.07 (dd, 2 H), δ6.29 (d, 2 H), δ6.70 (d, 2 H), δ6.77 (dd, 2 H), δ7.29 (s, 2 H), δ7.61 (d, 2H)
【0267】
〔ラセミ体のジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライドを触媒成分として用いたプロピレン単独重合体の製造〕
SUS製オートクレーブにトルエン1L,メチルアルミノキサン−トルエン溶液(東ソーアクゾ社製「MMAO3A」)(Al/Zr=10,000),rac−ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル))−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド−トルエン溶液3ml(2.03×10-6モル)を順に加え、30℃に加熱した。ここに0.3MPaの圧力でプロピレンを導入し、1時間重合を行った。重合後、ポリマーをろ過し、塩酸性メタノール1Lで触媒成分を分解した。その後、ろ過、洗浄、乾燥を順に行いプロピレン単独重合体16.6gを得た。重合活性は、8.2kg−ポリマー/ミリモル(Zr)・hrであった。得られたプロピレン単独重合体を分析した結果、MFRが2.0g/10分、Mwが2.61×105g/モル、Mw/Mnが2.07、融点が147.8℃、アイソタクチックペンタッド分率(I5)が0.934、そして、プロピレン単独重合体を構成しているプロピレン単位の総モル数に対し、プロピレンモノマーの2,1−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数の占める割合が、0.74モル%、および、プロピレン単独重合体を構成しているプロピレン単位の総モル数に対し、プロピレンモノマーの1,3−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数の占める割合が、0.11モル%であった。
【0268】
実施例11
〔ラセミ体のジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−イソプロピル−インデニル)ジルコニウムジクロライドの合成〕
(1)7−イソプロピルインデンの合成
窒素気流下、反応容器に300mlの三口フラスコを用い、〔1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン〕ジクロロニッケル(II)の1.36g(2.57ミリモル)をテトラヒドロフランの20mlに溶かした。この懸濁溶液に、ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(J.Org.Chem.)49,4226-4237(1984)に記載の方法に基づいて調整した7−ブロモインデンの10g(51.30ミリモル)をテトラヒドロフランの100mlに溶解させた溶液を加えた。この混合溶液に氷冷下イソプロピルマグネシウムブロマイド(2N)の51ml(102.60ミリモル)を滴下、20時間加熱還流を行った。還流後、飽和した塩化アンモニウムの水溶液で加水分解を行い蒸留水を加え、ジエチルエーテルで数回抽出し抽出液を飽和食塩水で1回洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、硫酸マグネシウム濾過し溶媒をシリカゲルカラムで精製し、7−イソプロピルインデンの黄色オイルを7.14g(収率88%)得た。
【0269】
(2)7−イソプロピル−2−ブロモ−インデンの合成
反応容器として200mlのナス型フラスコを用い、7−イソプロピルインデンの7.00g(44.20ミリモル)と蒸留水の0.91g(106.08ミリモル)をジメチルスルホキシドの60mlの混合溶媒に溶解させた。この反応溶液に氷冷下、N−ブロモスクシンイミドの9.44g(53.03ミリモル)を加え室温で1時間攪拌した。氷冷下蒸留水で加水分解し、ジエチルエーテルで数回抽出を行い抽出液を飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後硫酸マグネシウムを濾過し溶媒を減圧溜去した。得られた生成物を200mlのナス型フラスコに移し、トルエンの70mlで溶かした。この溶液にp−トルエンスルホン酸水和物の0.84g(4.42ミリモル)を加え4時間加熱還流を行った。還流後、氷冷下蒸留水で加水分解を行いジエチルエーテルで数回抽出を行った。抽出液を飽和した炭酸水素ナトリウム水溶液で1回洗浄し、飽和食塩水で1回洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、硫酸マグネシウムを濾過し溶媒を減圧溜去した後、シリカゲルカラムで精製することにより7−イソプロピル−2−ブロモ−インデンの赤褐色オイルを10.2g(収率97%)得た。
【0270】
(3)2−(2−(5−メチル)−フリル)−7−イソプロピル−インデンの合成
窒素気流下、反応容器に500mlの三口フラスコを用い、2−メチルフランの6.92g(84.34ミリモル)をテトラヒドロフランの80mlに溶かした。この溶液に−78℃でn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.66N)の31.7ml(84.34ミリモル)を滴下し、室温で2時間攪拌した。この反応溶液に−78℃で塩化亜鉛(ZnCl2)の11.5g(84.34ミリモル)をテトラヒドロフランの120mlに溶かした溶液を滴下し、さらに室温で1晩攪拌した。この反応溶液に−78℃で7−イソプロピル−2−ブロモ−インデンの10.0g(42.17ミリモル)をテトラヒドロフランの100mlに溶解させた溶液を滴下、続いてテトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)の2.43g(0.21ミリモル)をテトラヒドロフランの30mlに溶かした溶液を滴下して50℃で12時間加熱還流を行った。還流後、飽和した塩化アンモニウムの水溶液で加水分解を行い蒸留水を加え、ジエチルエーテルで数回抽出し抽出液を飽和食塩水で1回洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、硫酸マグネシウム濾過し溶媒を減圧溜去した後、シリカゲルカラムで精製することにより2−(2−(5−メチル)−フリル)−7−イソプロピル−インデンの褐色オイル7.80g(収率83%)を得た。
【0271】
(4)ジメチルビス〔2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−イソプロピルインデニル〕シランの合成
窒素気流下、反応容器に300mlの三口フラスコを用い、2−(2−(5−メチル)−フリル)−7−イソプロピル−インデンの8.00g(33.57ミリモル)とシアン化銅(I)(CuCN)の301mg(3.36ミリモル)をテトラヒドロフランの80mlに溶かした。この溶液に−40℃でn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.66N)の12.62ml(33.57ミリモル)を滴下し、そのままの−40℃で2時間攪拌した。この反応溶液に−40℃でジメチルジクロロシランの2.17g(16.79ミリモル)をテトラヒドロフランの20mlに溶かした溶液を滴下し、さらに室温で1晩攪拌した。攪拌後、セライトを用いて濾過を行って銅触媒を除去し、飽和した塩化アンモニウムの水溶液で加水分解を行い蒸留水を加え、ジエチルエーテルで数回抽出し抽出液を飽和食塩水で1回洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、硫酸マグネシウム濾過し溶媒を減圧溜去した後、シリカゲルカラムで精製することによりジメチルビス〔2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−イソプロピルインデニル〕シランのメソ体とラセミ体の混合物(メソ体:ラセミ体=50:50)である褐色オイル5.6g(収率63%)を得た。
【0272】
(5)ラセミ体のジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−イソプロピル−インデニル)ジルコニウムジクロライドの合成
窒素気流下、反応容器に100mlのフラスコを用い、ジメチルビス〔2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−イソプロピルインデニル〕シランの4.0g(7.51ミリモル)をジエチルエーテルの40mlに溶かした。この溶液に−78℃でn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.66N)の5.7ml(15.02ミリモル)を滴下し、室温で一晩攪拌した。溶媒のジエチルエーテルを減圧溜去し残渣をトルエンの40mlに溶かした。この反応溶液を液体窒素で凝固させ、四塩化ジルコニウムの1.75g(7.51ミリモル)をトルエンの40mlに溶かした溶液を滴下し、さらに室温で1晩攪拌した。攪拌後、遠心分離を行ってリチウム塩を除去し、溶媒を減圧溜去した。残渣は、メソ体とラセミ体の混合物(メソ体:ラセミ体=30:70)であった。この残渣をヘキサンで抽出し、母液のヘキサン溶液を結晶化することで黄色粉末のラセミ体のジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−イソプロピル−インデニル)ジルコニウムジクロライドを1.40g得た(収率27%)。得られたラセミ体のジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−イソプロピル−インデニル)ジルコニウムジクロライドの1H−NMR値による同定結果を以下に記す。
<1H−NMR (CDCl3)による同定結果>
δ= 1.11 (s, 6 H), δ1.24 (d, 6 H), δ1.37 (d, 6 H), δ2.43 (s, 6 H), δ3.11 (sp, 2 H), δ6.07 (d, 2 H), δ6.28 (d, 2 H), δ6.70 (dd, 2 H), δ6.77 (d, 2 H), δ6.97 (s, 2 H), δ7.14(d, 2 H)
【0273】
〔ラセミ体のジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−イソプロピル−インデニル)ジルコニウムジクロライドを触媒成分として用いたプロピレン単独重合体の製造〕
SUS製オートクレーブにトルエンの1L,メチルアルミノキサン−トルエン溶液(東ソーアクゾ社製「MMAO3A」)(Al/Zr=10,000),ラセミ体のジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル))−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド−トルエン溶液の3ml(0.30×10-6モル)を順に加え、30℃に加熱した。ここに0.3MPaの圧力でプロピレンを導入し、1時間重合を行った。重合後、ポリマーをろ過し、塩酸性メタノール1Lで触媒成分を分解した。その後、ろ過、洗浄、乾燥を順に行いプロピレン単独重合体15.7gを得た。重合活性は、53kg−ポリマー/ミリモル(Zr)・hrであった。得られたプロピレン単独重合体を分析した結果、MFRが0.23g/10分、Mw/Mnが2.40、融点が157.1℃であった。
【0274】
実施例12
〔ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライドの合成〕
(1)2−メチル−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−ジヒドロアズレンの合成
500mlのガラス製反応容器に、2−メチルチオフェンの13.8g(0.14モル)、ジエチルエーテルの100mlを加えドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.57モル/lのn-ブチルリチウム-ヘキサン溶液の90ml(0.14モル)を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら16時間攪拌した。再びドライアイス−メタノール浴で−40℃まで冷却し、2-メチルアズレンの10g(70ミリモル)を含むヘキサン溶液の100mlを滴下した。滴下後、室温に戻し3時間攪拌し、6時間加熱還流させた。反応液をドライアイス−メタノール浴で−20℃まで冷却し、希塩酸の50mlを滴下した。この反応液を、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加え一晩放置し乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−メチル−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−ジヒドロアズレンの暗緑色液体6.7g(収率40%)を得た。構造はNMRで確認した。
【0275】
(2)ジメチルビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−1,4−ジヒドロアズレニル)シランの合成
500mlのガラス製反応容器に、2−メチル−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−ジヒドロアズレンの6.0g(25ミリモル)、ヘキサンの150ml、ジエチルエーテルの30mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.04モル/lのメチルリチウム-ジエチルエーテル溶液の24ml(25ミリモル)を滴下した。滴下後、室温まで戻し1時間攪拌し、50℃で1時間加熱した。室温まで放冷し、テトラヒドロフランの100ml,1-メチルイミダゾールの0.1ml(1.3ミリモル)を加え、ドライアイス−メタノール浴で70℃まで冷却し、ジメチルジクロロシランの1.5ml(12ミリモル)を含むテトラヒドロフラン溶液の40mlを滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら16時間攪拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに無水硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−1,4−ジヒドロアズレニル)シランの黄緑色固体5.2g(収率78%)を得た。
【0276】
(3)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライドの合成
500mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−1,4−ジヒドロアズレニル)シランの6.2g(12ミリモル)、ジエチルエーテルの200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.57モル/lのn-ブチルリチウム-ヘキサン溶液の15ml(24ミリモル)を滴下した。滴下後、室温に戻し16時間攪拌した。反応液の溶媒を減圧留去し、トルエンの300ml,ジエチルエーテルの15mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ジルコニウムの2.7g(12ミリモル)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら16時間攪拌した。1H-NMRより分析した結果、この段階では、ラセミ体とメソ体の混合物(ラセミ体:メソ体=60:40)が得られていた。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン/ヘキサンで再結晶を行い、純度99%以上のラセミ体のジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライドを0.7g(収率7%)得た。得られたラセミ体およびメソ体について、1H-NMRによる同定結果を以下に記す。
<1H-NMR(CDCl3)による同定結果>
ラセミ体:δ1.00(s,6H),δ2.21(s,6H),δ2.48(s,6H),δ5.10(d,2H),δ5.88〜5.95(m,4H),δ6.15(dd,2H),δ6.20(s,2H),δ6.65(dd,2H),δ6.80(d,2H),δ6.91(d,2H).
メソ体:δ0.98(s,3H),δ1.01(s,3H),δ2.23(s,6H),δ2.46(s,6H),δ5.14(d,2H),δ5.88〜5.95(m,4H),δ6.15(dd,2H),δ6.11(s,2H),δ6.62(dd,2H),δ6.78(d,2H),δ6.89(d,2H).
【0277】
〔ラセミ体のジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライドを触媒成分として用いたプロピレン単独重合体の製造〕
SUS製オートクレーブにトルエンの1L,メチルアルミノキサン−トルエン溶液(東ソーアクゾ社製「MMAO3A」)(Al/Zr=10,000),ラセミ体のジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(2−(5−メチル)−チエニル)−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド −トルエン溶液の3ml(0.30×10-6モル)を順に加え、30℃に加熱した。ここに0.3MPaの圧力でプロピレンを導入し、1時間重合を行った。重合後、ポリマーをろ過し、塩酸性メタノール1Lで触媒成分を分解した。その後、ろ過、洗浄、乾燥を順に行いプロピレン単独重合体4.2gを得た。重合活性は、14kg−ポリマー/ミリモル(Zr)・hrであった。得られたプロピレン単独重合体を分析した結果、MFRが0.05g/10分、Mwが9.74×105g/モル、融点が157.8℃であった。
【0278】
比較例4
〔ラセミ体のジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライドを触媒成分として用いたプロピレン単独重合体の製造〕
SUS製オートクレーブにトルエンの1L,メチルアルミノキサン−トルエン溶液(東ソーアクゾ社製「MMAO3A」)(Al/Zr=10,000),特開平10−226712号公報記載の実施例1記載の方法に基づいて合成したラセミ体のジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロライド−トルエン溶液の3ml(0.3×10-6モル)を順に加え、30℃に加熱した。ここに0.3MPaの圧力でプロピレンを導入し、1時間重合を行った。重合後、ポリマーをろ過し、塩酸性メタノール1Lで触媒成分を分解した。その後、ろ過、洗浄、乾燥を順に行いプロピレン単独重合体5.42gを得た。重合活性は、19kg−ポリマー/ミリモル(Zr)・hrであった。得られたプロピレン単独重合体を分析した結果、MFRが0.04g/10分、Mwが1.24×106g/モル、融点が154.0℃であった。
【0279】
上記実施例12と比較例4の比較により、本発明のメチルチエニル基を置換基として有するメタロセン触媒系が、前記メチルチエニル基にかえてフェニル基を有するメタロセン触媒系よりも、高い立体規則性、即ちより高い融点のプロピレン単独重合体を製造することが可能であることが明らかである。
【0280】
【発明の効果】
本発明によれば、立体規則性が高いオレフィン重合体を高い重合活性で製造できる。
また、本発明によれば、エチレン含有量が高い場合であっても、十分に高い分子量のプロピレン/エチレン共重合体が得られる。
また、本発明によれば、得られたオレフィン重合体は、o−ジクロルベンゼンへの可溶成分量が少ない。このため、ベタツキが少なく透明性に優れた成形品が得られる。
Claims (18)
- 下記一般式(1)で表されるメタロセン化合物。
YKLMX2 (1)
(式中、Mは、チタン原子、ジルコニウム原子、もしくは、ハフニウム原子を表す。K、および、Lは、Mに配位する縮合環であり、互いに独立して、シクロペンタジエニル環と5員環との縮合環、シクロペンタジエニル環と6員環との縮合環、もしくは、シクロペンタジエニル環と7員環との縮合環を表す。Yは、KとLを架橋する架橋基であり、メチレン基、エチレン基、炭素数1〜6のアルキル基を有するテトラアルキルエチレン基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルメチレン基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルシリレン基、炭素数6〜16のアリール基を有するジアリールシリレン基、ジベンジルシリレン基、炭素数1〜6のアルキル基と炭素数6〜16のアリール基を有するアルキルアリールシリレン基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルゲルミレン基、炭素数6〜16のアリール基を有するジアリールゲルミレン基、ジベンジルゲルミレン基、もしくは、炭素数1〜6のアルキル基と炭素数6〜16のアリール基を有するアルキルアリールゲルミレン基を表す。Xは、Mに結合する、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数1〜6のアルキル基と炭素数6〜16のアリール基を有するアルキルアリール基、もしくは、炭素数6〜16のアリール基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアリールアルキル基を表す。K、および、Lは、それぞれの2位の位置に、互いに独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基を有する。さらに、K、および、Lは、それぞれの4位の位置に、互いに独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基を有する。さらに、K、および、Lは、それぞれの5位の位置に、互いに独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基を有する。但し、各2位、各4位、および、各5位のうちいずれか1つの位置には、必ず、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基を有する。) - K、および、Lが、共に、シクロペンタジエニル環と6員環との縮合環であり、該縮合環の2位の位置にR1を有し、4位の位置にR2 を有し、5位の位置に水素原子を有する下記一般式(2)で表される、請求項1記載のメタロセン化合物。
- 請求項2記載の一般式(2)において、Yが、メチレン基、エチレン基、もしくは、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルシリレン基であり、各R1が、独立して、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基であり、各R2が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基である、請求項2記載のメタロセン化合物。
- 請求項2記載の一般式(2)において、各R1が、独立して、炭素数2〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、もしくは、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であり、各R2が、独立して、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基である、請求項2記載のメタロセン化合物。
- 請求項2記載の一般式(2)において、各R1がメチル基であり、各R2が、独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基である、請求項2記載のメタロセン化合物。
- 請求項2記載の一般式(2)において、各R1および各R2 が、それぞれ、独立して、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基である、請求項2記載のメタロセン化合物。
- K、および、Lが、共に、シクロペンタジエニル環と7員環との縮合環であり、該縮合環の2位の位置にR3を有し、4位の位置にR4 を有し、5位の位置に水素原子を有する下記一般式(3)で表される、請求項1記載のメタロセン化合物。
- 請求項7記載の一般式(3)において、各R3が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基であり、各R4が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基であり、各R3のいずれか一つが、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基である場合には、各R4は、前記のものに加えて、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、もしくは、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であっても良いが、各R3および各R4 のうち少なくとも1つは、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基である、請求項7記載のメタロセン化合物。
- 請求項7記載の一般式(3)において、各R3が、独立して、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基であり、各R4が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、もしくは、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基である、請求項7記載のメタロセン化合物。
- 請求項7記載の一般式(3)において、各R3が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であり、各R4が、独立して、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基である、請求項7記載のメタロセン化合物。
- 請求項7記載の一般式(3)において、各R3および各R4が、それぞれ、独立して、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1 〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基である、請求項7記載のメタロセン化合物。
- K、および、Lが、共に、シクロペンタジエニル環と5員環との縮合環であり、該縮合環の2位の位置にR5を有し、4位の位置にR6 を有し、5位の位置にR7を有する下記一般式(4)で表される、請求項1記載のメタロセン化合物。
- 請求項12記載の一般式(4)において、各R5が、独立して、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基であり、各R6が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基である、請求項12記載のメタロセン化合物。
- 請求項12記載の一般式(4)において、各R5が、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基であり、各R6が、独立して、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基である、請求項12記載のメタロセン化合物。
- 請求項12記載の一般式(4)において、各R5および各R6が、それぞれ、独立して、2−フリル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フリル基、2−チエニル基、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−チエニル基、2−フルフリル基、もしくは、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基、もしくは、ハロゲン含有炭化水素基で置換された2−フルフリル基である、請求項12記載のメタロセン化合物。
- 請求項1〜15のいずれか1項に記載のメタロセン化合物、活性化化合物、および、所望により有機アルミニウム化合物、を含むオレフィン重合用触媒を用いる、オレフィン重合体の製造方法。
- 請求項1〜15のいずれか1項に記載のメタロセン化合物、活性化化合物、微粒子状担体、および、所望により有機アルミニウム化合物、を用いて製造された担持型触媒成分、ならびに、有機アルミニウム化合物、を含むオレフィン重合用触媒を用いる、オレフィン重合体の製造方法。
- 請求項1〜15のいずれか1項に記載のメタロセン化合物、イオン交換性層状化合物もしくは無機珪酸塩、および、所望により有機アルミニウム化合物、を用いて製造された担持型触媒成分、ならびに、有機アルミニウム化合物、を含むオレフィン重合用触媒を用いる、オレフィン重合体の製造方法。
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