JP5197497B2 - 一軸水平配向ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体薄膜の製造方法 - Google Patents

一軸水平配向ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体薄膜の製造方法 Download PDF

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本発明は一軸水平配向ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体薄膜の製造方法に関する。
分子の自己組織化等の、いわゆるボトムアップ技術を用いて微細パターンを形成する試みが始まっている。このようなボトムアップ技術を利用する手法として注目されている方法が、ブロック共重合体の自己組織化構造の1つであるミクロ相分離構造を利用する方法であり、具体的には、ブロック共重合体を複数のドメインにミクロ相分離させ、該ドメインをエッチングのマスクに用いる方法である。この微細加工の手法は、ブロック共重合体リソグラフィーと呼ばれており、ドメインの構造を精密に制御する技術が重要である。
中でも、該ドメインが一軸水平配向している構造、即ち一軸水平配向ミクロ相分離構造を有する共重合体薄膜は産業上非常に有用と期待されるが、ミクロ相分離ドメインの配向制御は容易ではなく、また大面積に均一に配向制御することが難しいため、実用化には至っていない。
非特許文献1には、液晶性ブロック共重合体の自己組織化ナノ構造を配列させる方法が記載されている。ここに記載されている方法は、予め基板上にポリイミド薄膜を製膜し、該ポリイミド薄膜の表面をラビングした後、液晶性ブロック共重合体を該ポリイミド薄膜上に製膜、熱処理することで、液晶性ブロック共重合体のミクロ相分離構造を、ラビング方向と一致した一軸水平配向に配列させる方法である。
これとは別に、基板に対して、高分子ペレット等を一方向に擦り付けることによって、該基板の表面上に、擦った方向に配向している高分子薄膜を形成する摩擦転写法も知られている。
特許文献1には、基板に擦り付ける高分子材料としてポリテトラフルオロエチレンを使用し、高配向状態の筋状のポリテトラフルオロエチレン薄膜を基板上に形成し、この基板を配向基板として結晶や液晶を配向させる方法が記載されている。
特開平6−43456号公報
H.Yu et al.,「Macroscopic Parallel Nanocylinder Array Fabrication Using a Simple Rubbing Technique」,Advanced Materials,vol.18,pp2213−2215,2006年
しかしながら、非特許文献1に開示されているラビング法では、配向させるためにポリイミド等の配向膜を使用することが必要である。配向膜が存在するため、基板をパターニングする際のエッチングの工程において該配向膜を除去する工程が必要であり、工程の煩雑化が問題である。
特許文献1には、ポリテトラフルオロエチレン薄膜が形成された基板を用いて低分子量の液晶を配向させたことが記載されているにすぎず、高分子の液晶が配向するかどうかは不明である。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、一軸水平配向ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体薄膜を、簡単なプロセスで、大面積でも製造できる方法、及び該方法を用いて製造された基板を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。即ち、固体表面に、固体のフッ素系高分子材料を擦り付けると、擦り付けた方向に沿って、サブミクロンからナノメートル幅の、筋状のフッ素系高分子層が形成される。そして、このような筋状構造を有する固体表面に特定のブロック共重合体を製膜してミクロ相分離させると、筋状のフッ素系高分子層が無い部分のみにおいて、ブロック共重合体のブロック鎖がミクロ相分離し、かつドメインが筋状構造と平行に一軸水平配向している構造が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、前記課題を解決するために本発明は、固体基材の表面にフッ素系高分子からなる固体材料を擦り付けて、該固体基材の表面上に複数の筋状のフッ素系高分子層を形成する工程と、前記フッ素系高分子層が形成された前記固体基材の表面上に、互いに非相溶である2種のブロック鎖が化学的に結合したブロック共重合体を含む共重合体溶液を塗布した後、加熱処理する工程とを有する、ブロック共重合体薄膜の製造方法を提供する。
前記筋状のフッ素系高分子層の幅が5〜2000nmであり、隣り合うフッ素系高分子層の間隔が5〜5000nmであり、前記固体基材の表面において、前記固体材料が擦り付けられた全面積に対する、前記フッ素系高分子層で被覆されている合計面積の割合を表わす被覆率が40%以下であることが好ましい。
前記2種のブロック鎖の少なくとも一方が液晶性を有することが好ましい。
また本発明は、板状の固体基材の表面上に、本発明の製造方法で形成されたブロック共重合体薄膜を有する基板を提供する。
本発明によれば、一軸水平配向ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体薄膜を、簡単なプロセスで製造でき、また大面積であっても均一に配向制御することが可能である。
本発明の基板の一例を模式的に示す斜視図である。 実施例に係る、筋状のフッ素系高分子層が形成された基板の走査型プローブ顕微鏡による位相像を示す写真である。 実施例に係る、筋状のフッ素系高分子層が形成された基板の走査型プローブ顕微鏡による高さ像を示す写真である。 実施例に係る、ブロック共重合体薄膜の走査型プローブ顕微鏡による高さ像を示す写真である。 図4を拡大して示した写真である。 実施例に係る、ブロック共重合体薄膜の偏光紫外可視吸収スペクトルである。
一般に、高分子とは、単量体が重合反応により、長く鎖状につながったものであり、単一の単量体が重合してできた高分子を単独重合体、2種類以上の単量体が重合してできた高分子を共重合体という。更に、共重合体のうち、2種類以上の異なる単量体がランダム配列している高分子をランダム共重合体、2種類の異なる単量体が交互に配列している高分子を交互共重合体という。また、単独重合体に由来するブロック鎖の2種類以上が化学的に結合して直線状の高分子を形成したものをブロック共重合体という。
本発明において、ブロック共重合体を構成している2種類以上のブロック鎖のうち、少なくとも1種類が液晶性を有する場合に、液晶性ブロック共重合体という。
一般に、2種類以上の単独重合体を混合すると、均一に混合することは稀であり、異なる単独重合体同士が反発する結果、同種の単独重合体同士が凝集して相分離を起こす。ブロック共重合体においても同様な相分離を起こすが、異なる単独重合体に由来するブロック鎖が分子内で化学的に結合しているため、相の大きさは大きくなることができず、ブロック共重合体の大きさと同程度となる。このようなブロック共重合体の相分離は、ミクロ相分離と呼ばれ、数nmから100nm程度のドメイン(相領域)が形成される。
ミクロ相分離したドメインの形状は、ブロック共重合体の重合度、各ブロック鎖の化学的性質、及び各ブロック鎖の体積分率等に大きく依存する。
以下、ジブロック共重合体を例に挙げて説明する。ジブロック共重合体とは、2種類の単独重合体が結合した共重合体であり、2種類のブロック鎖A及びブロック鎖Bから構成される。
相分離のしやすさの指標としてχNの値が用いられる。χは、ブロック鎖Aとブロック鎖Bの相互作用パラメーターと呼ばれる定数であり、χの値が大きいほどブロック鎖Aとブロック鎖Bの相溶性が低く、相分離しやすい。また、Nはジブロック共重合体の重合度であり、Nが大きいほど相分離しやすい。したがって、両者の積χNの値が大きいほど相分離しやすく、逆にχNの値が小さくなりすぎると、もはや相分離せずに無秩序構造となる。
χNの値が充分大きくて相分離が起きる場合、ミクロ相分離したドメインの形状は各ブロック鎖の体積分率に大きく依存する。例えば、ジブロック共重合体においてブロック鎖Aの体積分率が0から0.5に変化する場合、ドメイン形状は、無秩序構造、球状構造、シリンダー構造、ラメラ構造の順に変化していく。更に、ブロック鎖Aの体積分率が0.5から1.0に増加する場合、ラメラ構造、シリンダー構造、球状構造、無秩序構造と逆の順に変化していく。
図1は、本発明の基板の一例を模式的に示した斜視図である。図中符号1は固体基材、2はフッ素系高分子層、3はブロック共重合体薄膜、4は一軸水平配向しているシリンダー構造ドメインを示す。なお図1は、一例を模式的に示したにすぎず、形状および寸法関係がこれに限定されるものではない。
本発明で用いる固体基材(以下、単に基材ということもある。)1としては、各種固体が使用できる。材質は、例えば金属、ガラス、シリコン、金属酸化物、プラスチックが好ましい。形状は特に限定されないが、フッ素系高分子からなる固体材料が擦り付けられる面が平坦面であることが好ましい。例えば板状が好ましい。基材1は、フッ素系高分子からなる固体材料が擦り付けられる表面の平滑性が高い方が好ましい。該基材1の表面が粗い場合は、フッ素系高分子層2の筋状構造が形成されない、又は擦り付ける方向に対して平行に筋状構造が形成されないおそれがあるため、好ましくない。
本発明で用いるフッ素系高分子としては、ポリテトラフルオロエチレン、又はフッ化ビニリデン−三フッ化ビニリデン共重合体が好ましい。特に400℃でも熱分解されない、耐酸化性が良好である、及び擦り付けた際に擦り付けた方向に平行に筋状構造が容易に形成される等の理由から、ポリテトラフルオロエチレンがより好ましい。
フッ素系高分子からなる固体材料の形状は、これを基材1に対して擦り付ける操作を行なうことができるものであればよく、特に限定されない。例えば、ペレット状、棒状、インゴット状、ロッド状、スティック状、フィルム状が挙げられる。基材1の平坦面に固体材料を擦り付ける場合、固体材料は平坦面を有する形状が好ましい。
本発明で用いるブロック共重合体は、互いに非相溶である2種のブロック鎖からなり、2つ以上のブロック鎖が化学的に結合してなる。即ち、互いに非相溶であるブロック鎖Aの1つ以上とブロック鎖Bの1つ以上とが結合している。
具体的には、1つのブロック鎖Aと1つのブロック鎖Bが結合した(A−B)型のジブロック共重合体、3つのブロック鎖からなる(A−B−A)型又は(B−A−B)型のトリブロック共重合体、或いは4つのブロック鎖からなる(A−B−A−B)型のテトラブロック共重合体が好ましい。その中でも、溶媒に対する溶解性や熱処理の観点からジブロック共重合体がより好ましい。
本発明において、ブロック鎖Aと、ブロック鎖Bとが非相溶であるとは、示差走査熱量測定等の測定において、ブロック鎖Aを構成している単独重合体A及びブロック鎖Bを構成している単独重合体Bのそれぞれの相転移温度が、ブロック鎖Aとブロック鎖Bからなるブロック共重合体において、独立に観測された場合に非相溶と定義する。
ブロック鎖Aとしては、例えば、(メタ)アクリレート系重合体、スチレン系重合体、主鎖がシロキサン骨格からなる重合体等に由来するブロック鎖が好ましい。これらは側鎖として炭素数4〜17の炭化水素基の水素原子の一部又は全部が臭素、塩素、フッ素、ヨウ素等のハロゲン原子で置換された基、或いはメソゲン骨格を有する基等を有していてもよい。特に、側鎖にメソゲン骨格を有する、(メタ)アクリレート系重合体に由来するものが好ましい。
ブロック鎖Bは、ブロック鎖Aと非相溶であればよいが、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリアルキルシロキサン、ポリ(メタ)アクリル酸等に由来するものが好ましい。
本発明で用いるブロック共重合体として、下記一般式(1)で表わされるブロック共重合体(1)が好ましい。該ブロック共重合体(1)において、−(CHCHO)−で表わされるブロック鎖が、ブロック鎖Bに該当する。
(式中、m、nは同一であっても異なっていてもよく、それぞれが5〜500の整数であり、R1は、下記一般式(2)で表わされる置換基であり、Xは塩素、臭素又はヨウ素である。n個のR1は、互いに同じであっても異なっていてもよい。)
(式中、aは0又は1〜15の整数であり、aが0のときbは0であり、aが1〜15の整数のときbは1である。Yは単結合、−N=N−、−OCO―、又は―COO−のいずれかであり、Zは単結合又は―O―であり、R2は−CN又は炭素数1〜15の炭化水素基である。)
本発明に係るブロック共重合体薄膜3において、ミクロ相分離しているブロック鎖のドメイン4の形状は、該薄膜の用途に応じて適宜選択できる。例えばブロック鎖Bのドメイン4がシリンダー構造又はラメラ構造であるものは、金属又は無機材料を加工する際に使用されるマスクや、ナノサイズの異方性材料を作製する際の鋳型等に好適に用いることができる。
上記一般式(1)で表わされるブロック共重合体(1)は、得られるブロック共重合体の分子量及び構造を制御できることから、原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)法を用いて製造することが好ましい。ATRP法は、有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、周期律表第8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として重合される。
ATRP法によると、一般的に重合速度が高く、ラジカル同士のカップリング等の停止反応が起こりやすいラジカル重合でありながら、重合がリビング的に進行し、分子量分布の狭いブロック共重合体を得ることができる。また、分子量は、用いる単量体と開始剤の仕込み時の比率によって自由に制御することが可能である。
ATRP法で用いる開始剤は、有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物である。有機ハロゲン化物としては、例えば、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸エステル、2−クロロ−2−メチルプロピオン酸エステル等の2−ハロゲン−2−メチルプロピオン酸誘導体が挙げられる。ハロゲン化スルホニル化合物としては、例えば、メタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホン酸クロリドが挙げられる。
ATRP法で触媒として用いる金属錯体は、周期律表第8〜11族の遷移金属を中心金属とする金属錯体である。例えば、0価の銅、一価の銅、二価のルテニウム、二価の鉄又は二価のニッケルの錯体が挙げられる。これらの中でも、コストや反応制御に優れることから銅の錯体が好ましい。
一価の銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅が挙げられる。これらの中では、塩化第一銅、臭化第一銅が、重合の制御に優れることから好ましい。
二価のルテニウムとしては、例えば、クメンジクロロルテニウムダイマー、トリスジクロライドトリフェニルフォスフィンルテニウムが挙げられる。
一価の銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために、トリオクチルアミン、トリエチルアミン、2,2’−ビピリジル、2,2’−ビピリジルの誘導体(例えば、4,4’−ジノリル−2,2’−ビピリジル、4,4’−ジ(5−ノリル)−2,2’−ビピリジル等)、1,10−フェナントロリン、1,10−フェナントロリンの誘導体(例えば、4,7−ジノリル−1,10−フェナントロリン、5,6−ジノリル−1,10−フェナントロリン等)、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミン等を配位子として添加してもよい。
ATRP法は、無溶媒(塊状重合)又は、種々の溶媒中で行なうことができる。溶媒としては、例えば、炭化水素系溶媒、ハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
ATRP法は、20〜120℃程度の温度で実施することができる。重合温度が20℃以上であれば、反応系の粘度が高くならず、反応速度が低くならない。重合温度が120℃以下であれば、汎用の溶媒を用いることができる。
ATRP法によってブロック共重合体を製造する方法としては、例えば、単量体を逐次添加する方法、予め合成した重合体を高分子開始剤として次のブロックを重合する方法、別々に重合した重合体を反応により結合する方法が挙げられる。これらの方法は、目的に応じて使い分けることができるが、重合工程の簡便性の点から、予め合成した重合体を高分子開始剤として、次のブロックを重合する方法が好ましい。
ブロック共重合体溶液の調製に用いる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、四塩化炭素、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、二塩化エチレン、塩化メチルが挙げられる。
ブロック共重合体薄膜3の製造方法は、以下の(i)〜(iii)の通りである。
(i)まず、固体基材1の表面にフッ素系高分子からなる固体材料を擦り付ける摩擦転写法により、該基材1の表面上に筋状のフッ素系高分子層2を複数本形成する。即ち、基材1の表面と固体材料とを接触させた状態で、該基材1と固体材料とを相対的に、一方向に沿って互いに逆向きに移動させる。このとき基材1又は固体材料の一方を固定して他方を移動させてもよく、両者を移動させてもよい。これにより、固体材料の一部が摩耗して基材1の表面上に転写され、フッ素系高分子層2が形成される。
固体材料を基材1に一方向に擦り付ける操作の初めから終わりまで、移動速度及び圧力は一定であることが好ましい。また一方向に一回だけ擦り付けを行なってフッ素系高分子層2を形成することが好ましい。
この工程は、例えば、既存の摩擦転写装置を用いて行なうことができる。
固体材料を基材1に擦り付ける際、少なくとも基材1と固体材料との接触面における固体材料の温度が、固体材料のガラス転移温度より高く、融点以下であることが好ましい。該温度を調整するために、基材1又は固体材料を加熱してもよく、両方を加熱してもよい。該温度が融点より高いと、固体材料を擦り付けた全域にフッ素系高分子層2が形成されて、筋状とならない場合があるため好ましくない。また、該温度がガラス転移温度以下だと、基材1へ固体材料が転写されず、フッ素系高分子層2を形成できない場合があるため好ましくない。
例えば、フッ素系高分子としてポリテトラフルオロエチレンを使用する場合、固体材料の温度は100〜300℃が好ましく、150〜280℃がより好ましい。この範囲であると、サブミクロンからナノメートル幅の筋状のフッ素系高分子層2が得られやすい。
固体材料を基材1に擦り付ける際の、固体材料を基材1に押し付ける方向の圧力は、0.01〜10.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。0.01MPa以上であれば、基材1へ固体材料が転写され、フッ素系高分子層2が形成される。また、10MPa以下であれば、基材1にマイクロメートルオーダーの傷をつけることがない。
固体材料を基材1に擦り付ける際の、基材1に対する固体材料の相対的な移動速度は、1.0〜1000mm/分が好ましく、5.0〜200mm/分がより好ましい。速度が1.0mm/分以上であれば、生産性が低下しない。また、1000mm/分以下であれば、フッ素系高分子層2の筋状構造が断続的に形成されることがない。
基材1の表面において、固体材料が擦り付けられた領域の全面積に対する、摩擦転写により形成されたフッ素系高分子層2で被覆されている合計面積の割合を表わす被覆率は40%以下が好ましく、30%以下がより好ましい。
本発明に係るブロック共重合体薄膜3は、基材1表面の、フッ素系高分子層2が形成されていない部分に形成される。したがって、フッ素系高分子層2による被覆率が低いほど、基材1上に形成されるブロック共重合体薄膜3の合計面積をより広くできる。該被覆率が40%以下であれば、一軸水平配向ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体薄膜3が得られる面積が基材1全体の60%以上となり、ブロック共重合体薄膜3と基材1との濡れ性が充分となって製膜の均一性が向上する。
一方、該被覆率が低すぎると、該ブロック共重合体のミクロ相分離したドメイン4が、安定に一軸水平配向しないおそれがある。したがって、該被覆率は5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。
こうして基材1表面上に形成される筋状のフッ素系高分子層2は、その幅(W)が5〜2000nmであることが好ましく、10〜500nmがより好ましい。5nm以上であると、筋状構造のエッジ部が、ブロック共重合体のミクロ相分離構造を形成する際の成長点となり、2000nm以下であると、基板に対するブロック共重合体の濡れ性を確保でき、ブロック共重合体からなる均一な膜を得やすい。
筋状のフッ素系高分子層2の、隣り合う間隔(D)は5〜5000nmであることが好ましく、10〜3000nmがより好ましい。5nm以上であると、基板に対するブロック共重合体の濡れ性を確保でき、ブロック共重合体からなる均一な膜を得やすく、5000nm以下であると、ブロック共重合体のミクロ相分離構造の形成が容易となる。
該筋状のフッ素系高分子層2の幅(W)、及び間隔(D)は、固体材料を基材1に擦り付ける際の、温度、移動速度及び圧力によって調整できる。
(ii)次いで、共重合体溶液を、フッ素系高分子層2が形成された固体基材1の表面上に塗布する。
共重合体溶液は、ブロック共重合体を溶媒に溶解させて調製したものである。該共重合体溶液中におけるブロック共重合体の濃度は、重合体全量の濃度として0.1〜5質量%程度が好ましい。また、ブロック共重合体が溶解し難い場合には、撹拌、加熱等の操作を行なってもよい。
塗布方法は特に制限はないが、例えば、キャスト法又はスピンコート法によって実施することができる。塗布量は、基材の1cm当たり0.02〜0.2ml程度が好ましい。0.02ml以上であると基板全面を均一に製膜することができ、0.2ml以下であると用いる共重合体溶液が過剰とならない。
(iii)次いで、基材1表面上に塗布された共重合体溶液を加熱処理して、ブロック共重合体薄膜3を得る。共重合体溶液を加熱処理することにより、ブロック共重合体がミクロ層分離した構造(ミクロ相分離構造)を形成するとともに、該溶液中の溶媒が除去される。
加熱処理は、例えば基材1を加熱する方法で行なうことができる。加熱温度は、溶媒を蒸発させることができる温度であって、ブロック共重合体の融点から10℃低い温度以上、かつブロック共重合体の分解温度よりも低い温度の範囲が好ましい。加熱温度が上記範囲であると、ミクロ相分離構造を形成するのに充分な高分子の流動性を確保できる。
加熱時間は、溶媒を完全に除去でき、かつ充分にミクロ相分離させることができる時間に適宜設定する。例えば、5分間〜24時間の範囲が好ましい。
加熱処理は、溶液調製に使用した溶媒をブロック共重合体中に残存させないため、真空雰囲気中で行なうことが好ましい。
本発明によれば、フッ素系高分子層2の筋状構造を有する基材1表面に、互いに非相溶である2種のブロック鎖が化学的に結合したブロック共重合体を製膜し、加熱処理することにより、筋状のフッ素系高分子層のない部分に、ブロック共重合体のブロック鎖が2つのドメインにミクロ相分離しており、かつ該ドメインが筋状のフッ素系高分子層の長さ方向に対して平行な一方向に配向(一軸水平配向)している構造が得られる。図1の例の相分離構造は、一方のドメイン4が円柱状をなすシリンダー構造であり、かつ該ドメイン4が一軸水平配向している。
特に、筋状のフッ素系高分子層2は摩擦転写法で形成されるため、該フッ素系高分子は該筋状の長さ方向に配向していること及び筋状構造のエッジ部が、ブロック共重合体のミクロ相分離構造を形成する際の成長点となることが、ブロック共重合体のミクロ相分離ドメインの一軸水平配向に寄与していると考えられる。
本発明によれば、これまで作成が困難であった、一軸水平配向ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体薄膜3を、簡単なプロセスで製造できる。本発明の方法は工程が簡単であり、大面積であっても均一な配向制御が可能である。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[摩擦転写装置]
摩擦転写工程は、摩擦転写装置(井元製作所製、IMC−18C1(製品名))を使用して行なった。
[走査型プローブ顕微鏡による観察]
走査型プローブ顕微鏡(日本ビーコ(株)製、ナノマンV(製品名))を使用し、観察を行なった。シリコン製カンチレバーを使用し、操作周波数1Hzのタッピングモードで高さ像と位相像を観察した。
[偏光紫外線可視分光分析]
紫外可視分光光度計((株)日立製作所製、U−3300(製品名))に偏光板をセットし、摩擦転写を行なう際の移動方向(摩擦転写方向)と偏光軸とを平行又は垂直にそれぞれセットして、波長300〜800nmの吸光度を測定した。
[配向度]
配向度は、以下の式により求めた。
<実施例1>
(筋状のフッ素系高分子層の形成)
固体基材として、大きさが76mm×26mm×2.0mmのスライドガラス基板を用いた。フッ素系高分子からなる固体材料として、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」という。)のシート(中興化成工業(株)製)を用い、15mm×5mm×10mmの直方体状にPTFEブロックを切り出して用いた。
まず、スライドガラス基板を摩擦転写装置に固定し、200℃に加熱し、その表面上にPTFEブロックを置いた。両者の接触面積は15mm×5mmである。PTFEブロックをスライドガラス基板に圧力0.4MPaで押し付けた状態で、速度10mm/分で一方向に1回だけ移動させて擦り付け、摩擦転写基板を得た。
図2及び3は、得られた摩擦転写基板を走査型プローブ顕微鏡で観察した像の写真であり、図2は位相像、図3は高さ像である。位相像では基板と筋状の部分に位相が確認される。これらの結果より、摩擦転写基板には、摩擦転写法における移動方向(摩擦転写方向)に沿って、幅(W)35〜270nm、間隔(D)280〜1900nm、高さ約1〜15nmの筋状のPTFE層が形成されていることが確認された。被覆率は12%であった。
(ブロック共重合体の調製)
ブロック共重合体としては、下記式(1A)で表わされるブロック共重合体(1A)を用いた。ブロック共重合体(1A)は上記式(1)において、aが11、bが1、Yが−N=N−、Zが単結合、R2が−CH−CH−CH−CHであるものに該当する。
式(1A)で表わされるブロック共重合体は、ブロック鎖Aが、側鎖にメソゲン骨格を有する液晶性メタクリレート系重合体(重合度n=45、分子量22000)に由来し、ブロック鎖Bが、片末端がメチルエーテルであるポリエチレンオキシド(重合度m=114、分子量5000)に由来するジブロック共重合体であり、末端のXは臭素である。
ブロック共重合体(1A)は、以下の方法で製造した。
[ブロック共重合体(1A)の合成]
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌装置を備えた容量50mlの三口フラスコに、11−[4−(ブチルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデシルメタクリレート2.8g、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(重合度m=114)と2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸ブロミドとの縮合反応で合成されたブロモイソブチリル基が結合した開始剤0.428g、臭化銅(I)0.022gをN,N−ジメチルホルムアミド1gとトルエン4.5gの混合溶媒に添加した。減圧下で脱気後、系内を窒素置換し、75℃まで加熱した。そこにN,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン0.03gとN,N−ジメチルホルムアミド0.5gの混合溶液を添加して重合を開始し、8時間、重合を行なった。
重合終了後、反応液をN,N−ジメチルホルムアミド12gで希釈し、アルミナカラムを通して、使用した銅を除去した。除去後の反応液をメタノール400mlに徐々に滴下し、溶液中に黄色の固体が析出した。
析出した黄色の固体を回収し、24時間、70℃で真空乾燥した。得られた黄色の固体は、ブロック鎖Aとして側鎖にメソゲン骨格を有する液晶性メタクリレート系重合体(重合度n=45、分子量22000)、ブロック鎖Bとしてポリエチレンオキシド(重合度m=114、分子量5000)からなるブロック共重合体であった。
また、ブロック共重合体(1A)におけるブロック鎖Aとブロック鎖Bとが非相溶であることを以下の方法で確認した。
[DSC測定]
示差走査熱量計(セイコーインスツル(株)製、DSC220C(製品名))を用いて、30〜200℃の温度範囲で、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で相転移温度を測定した。ブロック共重合体(1A)において、温度の高い方から123℃、73℃、42℃にピークが確認された。
123℃、73℃のピークは、ブロック鎖Aの構成成分である11−[4−(ブチルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデシルメタクリレート単独重合体でも観測される等方相−液晶相相転移温度及び液晶相−液晶相相転移温度のピークである。42℃のピークは、ブロック鎖Bの構成成分であるポリエチレンオキシドの相転移に由来するものであり、11−[4−(ブチルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデシルメタクリレート単独重合体では観測されない。
以上から、ブロック共重合体(1A)を構成しているブロック鎖Aとブロック鎖Bは互いに非相溶であるとした。
(ブロック共重合体溶液の調製)
上記で得られたブロック共重合体(1A)の0.1gを、トルエン5.0gに溶解し、ブロック共重合体(1A)のトルエン溶液を調製した。
(ブロック共重合体薄膜の製造)
上記で得た摩擦転写基板を簡易型スピンコーター((株)アイデン製、SC2005(製品名))にセットし、上記調製したブロック共重合体溶液を滴下して、1000rpm、30秒の条件で製膜した。ブロック共重合体溶液の塗布量は、摩擦転写基板の1cm当たり0.15mlであった。
製膜後、真空下で、基板温度180℃、2時間の加熱処理を施した後、室温まで冷却してブロック共重合体薄膜を有する基板を得た。
図4及び5は、得られたブロック共重合体薄膜を走査型プローブ顕微鏡で観察した高さ像の写真であり、図5は図4を拡大して示したものである。これらの像から、筋状のPTFE層が無い部分において、ブロック共重合体(1A)のミクロ相分離構造が確認され、該ミクロ相分離構造は筋状のPTFE層の長さ方向と略平行に一軸水平配向していることが確認された。
また該ミクロ相分離構造において、ポリエチレンオキシド由来のブロック鎖Bからなるシリンダー構造のドメインが確認され、1個のドメインの幅は11nm、周期(1個の幅と幅方向の1個の間隔の合計)は26nmであった。
図6は、得られたブロック共重合体薄膜について紫外可視分光光度測定を行なった結果を示す吸光度スペクトルである。ブロック共重合体(1A)は、アゾベンゼン構造を有する。アゾベンゼンの吸収波長は300〜400nm付近にあり、ベンゼン環が並んでいる方向(ベンゼン環の配向方向)に平行な光に対して吸光を示し、垂直方向には吸光がない。
図6は、摩擦転写基板上に形成されたブロック共重合体(1A)の薄膜において、摩擦転写を行なった際のPTFEブロック移動方向(摩擦転写方向)と偏光板の偏光軸とが平行又は垂直になるようにセットしたときの吸光度スペクトルを示しており、平行のときには波長330nm付近に大きな吸光ピークが見られるものの、垂直のときには吸光度は非常に低い。即ち、偏光板の偏光軸に対して、平行方向の吸光度と垂直方向の吸光度に明確な差が確認され、分子レベルにおいても異方性が発現していることが確認された。このことから、得られたブロック共重合体(1A)の薄膜は、分子レベルで高度に配向していることがわかる。また図6の結果より、波長330nmでの平行方向及び垂直方向の吸光度から配向度を算出すると、0.79であった。
<実施例2、3>
実施例1において、スライドガラス基板にPTFEブロックを擦り付ける際の基板温度を実施例2では180℃、実施例3では250℃に変更した以外は、実施例1と同様に行なってブロック共重合体薄膜を得た。
いずれの例も、得られた薄膜は、走査型プローブ顕微鏡でPTFE筋状構造が確認され、摩擦転写方向に沿う筋状のPTFE層が形成されていることを確認した。
実施例2における筋状のPTFE層は、幅(W)14〜120nm、間隔(D)60〜800nm、高さ約1〜14nm、被覆率20%であった。
実施例3における筋状のPTFE層は、幅(W)19〜260nm、間隔(D)55〜560nm、高さ約1〜20nm、被覆率27%であった。
また隣り合う筋状のPTFE層の間において、ブロック共重合体(A1)のミクロ相分離構造が一軸水平配向していることが確認された。筋状のPTFE層上では、ブロック共重合体(A1)のミクロ相分離構造は確認されなかった。また該ミクロ相分離構造において、ポリエチレンオキシド由来のブロック鎖Bからなるシリンダー構造のドメインが確認され、実施例2、3のいずれも、その幅は11nm、周期は26nmであった。
<実施例4、5>
PTFEを擦り付ける温度を、実施例4では350℃、実施例5では400℃としたこと以外は、実施例1と同様に行なった。
筋状のPTFE層による被覆率は、実施例4では46%、実施例5では58%であった。
いずれの例も、該被覆率が高いため、実施例1と比べて、PTFE層が形成された面とブロック共重合体との濡れ性が劣り、面内の一部にブロック共重合体薄膜が製膜されない部分が生じたものの、製膜されたブロック共重合体薄膜では、PTFE層が無い部分において、ブロック共重合体(1A)のミクロ相分離構造が確認され、該ミクロ相分離構造は筋状のPTFE層に沿って平行に一軸水平配向していることが確認された。
<比較例1>
スライドガラス基板にPTFE層を摩擦転写しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上にブロック共重合体薄膜を形成した。ブロック共重合体(A1)のミクロ相分離構造は認められたが、シリンダー構造のドメインが面内にランダムに配向していた。また、紫外可視分光光度測定の結果では、偏光板の偏光軸に対し平行方向と垂直方向の吸光度に差がないことから、異方性がないことが確認された。
<比較例2>
ラビング法を用いて一軸水平配向膜を製造した。
実施例1と同じスライドガラス基板上に、濃度6質量%のポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を滴下して500rpm、30秒、その後更に1000rpm 30秒でスピンコートし、200℃で6時間、熱処理をすることで、ポリイミド膜を製膜した。
ガラス基板上に製膜されたポリイミド膜をラビング装置(イーエッチシー社製、RM50(製品名))を使用して、ラビング回数10回、ラビングステージ速度1000rpm、ラビングローラー速度500rpm、ラビングローラーとステージとの距離2.7mmの条件でラビングした。
ラビングしたポリイミド基板を簡易型スピンコーター((株)アイデン製、SC2005(製品名))にセットし、実施例1と同じブロック共重合体(A1)のトルエン溶液を滴下して、2000rpm、30sの条件で製膜した。製膜後、真空下で、基板温度140℃、24時間の加熱処理を行なった後、室温まで冷却した。基板はブロック共重合体(A1)の薄膜で100パーセント被覆されており、ミクロ相分離構造はラビング方向に一軸水平配向していた。
実施例1と同様にして紫外可視分光光度測定を行なったところ、偏光板の偏光軸に対して、平行方向の吸光度と垂直方向の吸光度に差が確認され、分子レベルにおいても異方性が発現していることが確認された。また、波長330nmでの平行方向及び垂直方向の吸光度から配向度を算出すると、0.57であった。
本発明に係る、一軸水平配向ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体薄膜、及び板状の基材上に該ブロック共重合体薄膜が形成された基板は、金属又は無機材料を加工する際に使用されるマスクや、ナノサイズの異方性材料を作製する際の鋳型として好適に使用することができる。ナノサイズで異方性を付与された金属や無機材料は、導電異方性、偏光制御能、誘電率や透磁率に異方性を付与することが可能となり、光電子材料分野での応用が期待される。
また本発明に係る、一軸水平配向ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体薄膜は、各種の異方性材料として利用することもできる。例えば、ブロック共重合体に予め有機分子や二色性色素分子を混合して製膜、配向処理を行なう場合には、一軸水平配向ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体薄膜は、有機分子や二色性色素分子等に異方性を付与することが可能となり、様々な偏光制御機能の付与が期待できる。
1 固体基材、
2 フッ素系高分子層、
3 ブロック共重合体薄膜、
4 シリンダー構造ドメイン。

Claims (4)

  1. 固体基材の表面にフッ素系高分子からなる固体材料を擦り付けて、該固体基材の表面上に複数の筋状のフッ素系高分子層を形成する工程と、
    前記フッ素系高分子層が形成された前記固体基材の表面上に、互いに非相溶である2種のブロック鎖が化学的に結合したブロック共重合体を含む共重合体溶液を塗布した後、加熱処理する工程とを有する、ブロック共重合体薄膜の製造方法。
  2. 前記筋状のフッ素系高分子層の幅が5〜2000nmであり、隣り合うフッ素系高分子層の間隔が5〜5000nmであり、前記固体基材の表面において、前記固体材料が擦り付けられた全面積に対する、前記フッ素系高分子層で被覆されている合計面積の割合を表わす被覆率が40%以下である、請求項1に記載のブロック共重合体薄膜の製造方法。
  3. 前記2種のブロック鎖の少なくとも一方が液晶性を有する、請求項1又は2記載のブロック共重合体薄膜の製造方法。
  4. 板状の固体基材の表面上に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法で形成されたブロック共重合体薄膜を有する基板。
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