JP5197497B2 - 一軸水平配向ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体薄膜の製造方法 - Google Patents
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中でも、該ドメインが一軸水平配向している構造、即ち一軸水平配向ミクロ相分離構造を有する共重合体薄膜は産業上非常に有用と期待されるが、ミクロ相分離ドメインの配向制御は容易ではなく、また大面積に均一に配向制御することが難しいため、実用化には至っていない。
特許文献1には、基板に擦り付ける高分子材料としてポリテトラフルオロエチレンを使用し、高配向状態の筋状のポリテトラフルオロエチレン薄膜を基板上に形成し、この基板を配向基板として結晶や液晶を配向させる方法が記載されている。
前記2種のブロック鎖の少なくとも一方が液晶性を有することが好ましい。
また本発明は、板状の固体基材の表面上に、本発明の製造方法で形成されたブロック共重合体薄膜を有する基板を提供する。
本発明において、ブロック共重合体を構成している2種類以上のブロック鎖のうち、少なくとも1種類が液晶性を有する場合に、液晶性ブロック共重合体という。
ミクロ相分離したドメインの形状は、ブロック共重合体の重合度、各ブロック鎖の化学的性質、及び各ブロック鎖の体積分率等に大きく依存する。
相分離のしやすさの指標としてχNの値が用いられる。χは、ブロック鎖Aとブロック鎖Bの相互作用パラメーターと呼ばれる定数であり、χの値が大きいほどブロック鎖Aとブロック鎖Bの相溶性が低く、相分離しやすい。また、Nはジブロック共重合体の重合度であり、Nが大きいほど相分離しやすい。したがって、両者の積χNの値が大きいほど相分離しやすく、逆にχNの値が小さくなりすぎると、もはや相分離せずに無秩序構造となる。
χNの値が充分大きくて相分離が起きる場合、ミクロ相分離したドメインの形状は各ブロック鎖の体積分率に大きく依存する。例えば、ジブロック共重合体においてブロック鎖Aの体積分率が0から0.5に変化する場合、ドメイン形状は、無秩序構造、球状構造、シリンダー構造、ラメラ構造の順に変化していく。更に、ブロック鎖Aの体積分率が0.5から1.0に増加する場合、ラメラ構造、シリンダー構造、球状構造、無秩序構造と逆の順に変化していく。
フッ素系高分子からなる固体材料の形状は、これを基材1に対して擦り付ける操作を行なうことができるものであればよく、特に限定されない。例えば、ペレット状、棒状、インゴット状、ロッド状、スティック状、フィルム状が挙げられる。基材1の平坦面に固体材料を擦り付ける場合、固体材料は平坦面を有する形状が好ましい。
具体的には、1つのブロック鎖Aと1つのブロック鎖Bが結合した(A−B)型のジブロック共重合体、3つのブロック鎖からなる(A−B−A)型又は(B−A−B)型のトリブロック共重合体、或いは4つのブロック鎖からなる(A−B−A−B)型のテトラブロック共重合体が好ましい。その中でも、溶媒に対する溶解性や熱処理の観点からジブロック共重合体がより好ましい。
ブロック鎖Bは、ブロック鎖Aと非相溶であればよいが、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリアルキルシロキサン、ポリ(メタ)アクリル酸等に由来するものが好ましい。
ATRP法によると、一般的に重合速度が高く、ラジカル同士のカップリング等の停止反応が起こりやすいラジカル重合でありながら、重合がリビング的に進行し、分子量分布の狭いブロック共重合体を得ることができる。また、分子量は、用いる単量体と開始剤の仕込み時の比率によって自由に制御することが可能である。
一価の銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅が挙げられる。これらの中では、塩化第一銅、臭化第一銅が、重合の制御に優れることから好ましい。
二価のルテニウムとしては、例えば、クメンジクロロルテニウムダイマー、トリスジクロライドトリフェニルフォスフィンルテニウムが挙げられる。
一価の銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために、トリオクチルアミン、トリエチルアミン、2,2’−ビピリジル、2,2’−ビピリジルの誘導体(例えば、4,4’−ジノリル−2,2’−ビピリジル、4,4’−ジ(5−ノリル)−2,2’−ビピリジル等)、1,10−フェナントロリン、1,10−フェナントロリンの誘導体(例えば、4,7−ジノリル−1,10−フェナントロリン、5,6−ジノリル−1,10−フェナントロリン等)、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミン等を配位子として添加してもよい。
ATRP法は、20〜120℃程度の温度で実施することができる。重合温度が20℃以上であれば、反応系の粘度が高くならず、反応速度が低くならない。重合温度が120℃以下であれば、汎用の溶媒を用いることができる。
(i)まず、固体基材1の表面にフッ素系高分子からなる固体材料を擦り付ける摩擦転写法により、該基材1の表面上に筋状のフッ素系高分子層2を複数本形成する。即ち、基材1の表面と固体材料とを接触させた状態で、該基材1と固体材料とを相対的に、一方向に沿って互いに逆向きに移動させる。このとき基材1又は固体材料の一方を固定して他方を移動させてもよく、両者を移動させてもよい。これにより、固体材料の一部が摩耗して基材1の表面上に転写され、フッ素系高分子層2が形成される。
固体材料を基材1に一方向に擦り付ける操作の初めから終わりまで、移動速度及び圧力は一定であることが好ましい。また一方向に一回だけ擦り付けを行なってフッ素系高分子層2を形成することが好ましい。
この工程は、例えば、既存の摩擦転写装置を用いて行なうことができる。
例えば、フッ素系高分子としてポリテトラフルオロエチレンを使用する場合、固体材料の温度は100〜300℃が好ましく、150〜280℃がより好ましい。この範囲であると、サブミクロンからナノメートル幅の筋状のフッ素系高分子層2が得られやすい。
本発明に係るブロック共重合体薄膜3は、基材1表面の、フッ素系高分子層2が形成されていない部分に形成される。したがって、フッ素系高分子層2による被覆率が低いほど、基材1上に形成されるブロック共重合体薄膜3の合計面積をより広くできる。該被覆率が40%以下であれば、一軸水平配向ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体薄膜3が得られる面積が基材1全体の60%以上となり、ブロック共重合体薄膜3と基材1との濡れ性が充分となって製膜の均一性が向上する。
一方、該被覆率が低すぎると、該ブロック共重合体のミクロ相分離したドメイン4が、安定に一軸水平配向しないおそれがある。したがって、該被覆率は5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。
筋状のフッ素系高分子層2の、隣り合う間隔(D)は5〜5000nmであることが好ましく、10〜3000nmがより好ましい。5nm以上であると、基板に対するブロック共重合体の濡れ性を確保でき、ブロック共重合体からなる均一な膜を得やすく、5000nm以下であると、ブロック共重合体のミクロ相分離構造の形成が容易となる。
該筋状のフッ素系高分子層2の幅(W)、及び間隔(D)は、固体材料を基材1に擦り付ける際の、温度、移動速度及び圧力によって調整できる。
共重合体溶液は、ブロック共重合体を溶媒に溶解させて調製したものである。該共重合体溶液中におけるブロック共重合体の濃度は、重合体全量の濃度として0.1〜5質量%程度が好ましい。また、ブロック共重合体が溶解し難い場合には、撹拌、加熱等の操作を行なってもよい。
塗布方法は特に制限はないが、例えば、キャスト法又はスピンコート法によって実施することができる。塗布量は、基材の1cm2当たり0.02〜0.2ml程度が好ましい。0.02ml以上であると基板全面を均一に製膜することができ、0.2ml以下であると用いる共重合体溶液が過剰とならない。
加熱処理は、例えば基材1を加熱する方法で行なうことができる。加熱温度は、溶媒を蒸発させることができる温度であって、ブロック共重合体の融点から10℃低い温度以上、かつブロック共重合体の分解温度よりも低い温度の範囲が好ましい。加熱温度が上記範囲であると、ミクロ相分離構造を形成するのに充分な高分子の流動性を確保できる。
加熱時間は、溶媒を完全に除去でき、かつ充分にミクロ相分離させることができる時間に適宜設定する。例えば、5分間〜24時間の範囲が好ましい。
加熱処理は、溶液調製に使用した溶媒をブロック共重合体中に残存させないため、真空雰囲気中で行なうことが好ましい。
特に、筋状のフッ素系高分子層2は摩擦転写法で形成されるため、該フッ素系高分子は該筋状の長さ方向に配向していること及び筋状構造のエッジ部が、ブロック共重合体のミクロ相分離構造を形成する際の成長点となることが、ブロック共重合体のミクロ相分離ドメインの一軸水平配向に寄与していると考えられる。
[摩擦転写装置]
摩擦転写工程は、摩擦転写装置(井元製作所製、IMC−18C1(製品名))を使用して行なった。
[走査型プローブ顕微鏡による観察]
走査型プローブ顕微鏡(日本ビーコ(株)製、ナノマンV(製品名))を使用し、観察を行なった。シリコン製カンチレバーを使用し、操作周波数1Hzのタッピングモードで高さ像と位相像を観察した。
[偏光紫外線可視分光分析]
紫外可視分光光度計((株)日立製作所製、U−3300(製品名))に偏光板をセットし、摩擦転写を行なう際の移動方向(摩擦転写方向)と偏光軸とを平行又は垂直にそれぞれセットして、波長300〜800nmの吸光度を測定した。
[配向度]
配向度は、以下の式により求めた。
(筋状のフッ素系高分子層の形成)
固体基材として、大きさが76mm×26mm×2.0mmのスライドガラス基板を用いた。フッ素系高分子からなる固体材料として、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」という。)のシート(中興化成工業(株)製)を用い、15mm×5mm×10mmの直方体状にPTFEブロックを切り出して用いた。
まず、スライドガラス基板を摩擦転写装置に固定し、200℃に加熱し、その表面上にPTFEブロックを置いた。両者の接触面積は15mm×5mmである。PTFEブロックをスライドガラス基板に圧力0.4MPaで押し付けた状態で、速度10mm/分で一方向に1回だけ移動させて擦り付け、摩擦転写基板を得た。
図2及び3は、得られた摩擦転写基板を走査型プローブ顕微鏡で観察した像の写真であり、図2は位相像、図3は高さ像である。位相像では基板と筋状の部分に位相が確認される。これらの結果より、摩擦転写基板には、摩擦転写法における移動方向(摩擦転写方向)に沿って、幅(W)35〜270nm、間隔(D)280〜1900nm、高さ約1〜15nmの筋状のPTFE層が形成されていることが確認された。被覆率は12%であった。
ブロック共重合体としては、下記式(1A)で表わされるブロック共重合体(1A)を用いた。ブロック共重合体(1A)は上記式(1)において、aが11、bが1、Yが−N=N−、Zが単結合、R2が−CH2−CH2−CH2−CH3であるものに該当する。
式(1A)で表わされるブロック共重合体は、ブロック鎖Aが、側鎖にメソゲン骨格を有する液晶性メタクリレート系重合体(重合度n=45、分子量22000)に由来し、ブロック鎖Bが、片末端がメチルエーテルであるポリエチレンオキシド(重合度m=114、分子量5000)に由来するジブロック共重合体であり、末端のXは臭素である。
[ブロック共重合体(1A)の合成]
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌装置を備えた容量50mlの三口フラスコに、11−[4−(ブチルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデシルメタクリレート2.8g、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(重合度m=114)と2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸ブロミドとの縮合反応で合成されたブロモイソブチリル基が結合した開始剤0.428g、臭化銅(I)0.022gをN,N−ジメチルホルムアミド1gとトルエン4.5gの混合溶媒に添加した。減圧下で脱気後、系内を窒素置換し、75℃まで加熱した。そこにN,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン0.03gとN,N−ジメチルホルムアミド0.5gの混合溶液を添加して重合を開始し、8時間、重合を行なった。
重合終了後、反応液をN,N−ジメチルホルムアミド12gで希釈し、アルミナカラムを通して、使用した銅を除去した。除去後の反応液をメタノール400mlに徐々に滴下し、溶液中に黄色の固体が析出した。
析出した黄色の固体を回収し、24時間、70℃で真空乾燥した。得られた黄色の固体は、ブロック鎖Aとして側鎖にメソゲン骨格を有する液晶性メタクリレート系重合体(重合度n=45、分子量22000)、ブロック鎖Bとしてポリエチレンオキシド(重合度m=114、分子量5000)からなるブロック共重合体であった。
[DSC測定]
示差走査熱量計(セイコーインスツル(株)製、DSC220C(製品名))を用いて、30〜200℃の温度範囲で、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で相転移温度を測定した。ブロック共重合体(1A)において、温度の高い方から123℃、73℃、42℃にピークが確認された。
123℃、73℃のピークは、ブロック鎖Aの構成成分である11−[4−(ブチルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデシルメタクリレート単独重合体でも観測される等方相−液晶相相転移温度及び液晶相−液晶相相転移温度のピークである。42℃のピークは、ブロック鎖Bの構成成分であるポリエチレンオキシドの相転移に由来するものであり、11−[4−(ブチルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデシルメタクリレート単独重合体では観測されない。
以上から、ブロック共重合体(1A)を構成しているブロック鎖Aとブロック鎖Bは互いに非相溶であるとした。
上記で得られたブロック共重合体(1A)の0.1gを、トルエン5.0gに溶解し、ブロック共重合体(1A)のトルエン溶液を調製した。
(ブロック共重合体薄膜の製造)
上記で得た摩擦転写基板を簡易型スピンコーター((株)アイデン製、SC2005(製品名))にセットし、上記調製したブロック共重合体溶液を滴下して、1000rpm、30秒の条件で製膜した。ブロック共重合体溶液の塗布量は、摩擦転写基板の1cm2当たり0.15mlであった。
製膜後、真空下で、基板温度180℃、2時間の加熱処理を施した後、室温まで冷却してブロック共重合体薄膜を有する基板を得た。
また該ミクロ相分離構造において、ポリエチレンオキシド由来のブロック鎖Bからなるシリンダー構造のドメインが確認され、1個のドメインの幅は11nm、周期(1個の幅と幅方向の1個の間隔の合計)は26nmであった。
図6は、摩擦転写基板上に形成されたブロック共重合体(1A)の薄膜において、摩擦転写を行なった際のPTFEブロック移動方向(摩擦転写方向)と偏光板の偏光軸とが平行又は垂直になるようにセットしたときの吸光度スペクトルを示しており、平行のときには波長330nm付近に大きな吸光ピークが見られるものの、垂直のときには吸光度は非常に低い。即ち、偏光板の偏光軸に対して、平行方向の吸光度と垂直方向の吸光度に明確な差が確認され、分子レベルにおいても異方性が発現していることが確認された。このことから、得られたブロック共重合体(1A)の薄膜は、分子レベルで高度に配向していることがわかる。また図6の結果より、波長330nmでの平行方向及び垂直方向の吸光度から配向度を算出すると、0.79であった。
実施例1において、スライドガラス基板にPTFEブロックを擦り付ける際の基板温度を実施例2では180℃、実施例3では250℃に変更した以外は、実施例1と同様に行なってブロック共重合体薄膜を得た。
いずれの例も、得られた薄膜は、走査型プローブ顕微鏡でPTFE筋状構造が確認され、摩擦転写方向に沿う筋状のPTFE層が形成されていることを確認した。
実施例2における筋状のPTFE層は、幅(W)14〜120nm、間隔(D)60〜800nm、高さ約1〜14nm、被覆率20%であった。
実施例3における筋状のPTFE層は、幅(W)19〜260nm、間隔(D)55〜560nm、高さ約1〜20nm、被覆率27%であった。
また隣り合う筋状のPTFE層の間において、ブロック共重合体(A1)のミクロ相分離構造が一軸水平配向していることが確認された。筋状のPTFE層上では、ブロック共重合体(A1)のミクロ相分離構造は確認されなかった。また該ミクロ相分離構造において、ポリエチレンオキシド由来のブロック鎖Bからなるシリンダー構造のドメインが確認され、実施例2、3のいずれも、その幅は11nm、周期は26nmであった。
PTFEを擦り付ける温度を、実施例4では350℃、実施例5では400℃としたこと以外は、実施例1と同様に行なった。
筋状のPTFE層による被覆率は、実施例4では46%、実施例5では58%であった。
いずれの例も、該被覆率が高いため、実施例1と比べて、PTFE層が形成された面とブロック共重合体との濡れ性が劣り、面内の一部にブロック共重合体薄膜が製膜されない部分が生じたものの、製膜されたブロック共重合体薄膜では、PTFE層が無い部分において、ブロック共重合体(1A)のミクロ相分離構造が確認され、該ミクロ相分離構造は筋状のPTFE層に沿って平行に一軸水平配向していることが確認された。
スライドガラス基板にPTFE層を摩擦転写しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上にブロック共重合体薄膜を形成した。ブロック共重合体(A1)のミクロ相分離構造は認められたが、シリンダー構造のドメインが面内にランダムに配向していた。また、紫外可視分光光度測定の結果では、偏光板の偏光軸に対し平行方向と垂直方向の吸光度に差がないことから、異方性がないことが確認された。
ラビング法を用いて一軸水平配向膜を製造した。
実施例1と同じスライドガラス基板上に、濃度6質量%のポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を滴下して500rpm、30秒、その後更に1000rpm 30秒でスピンコートし、200℃で6時間、熱処理をすることで、ポリイミド膜を製膜した。
ガラス基板上に製膜されたポリイミド膜をラビング装置(イーエッチシー社製、RM50(製品名))を使用して、ラビング回数10回、ラビングステージ速度1000rpm、ラビングローラー速度500rpm、ラビングローラーとステージとの距離2.7mmの条件でラビングした。
ラビングしたポリイミド基板を簡易型スピンコーター((株)アイデン製、SC2005(製品名))にセットし、実施例1と同じブロック共重合体(A1)のトルエン溶液を滴下して、2000rpm、30sの条件で製膜した。製膜後、真空下で、基板温度140℃、24時間の加熱処理を行なった後、室温まで冷却した。基板はブロック共重合体(A1)の薄膜で100パーセント被覆されており、ミクロ相分離構造はラビング方向に一軸水平配向していた。
実施例1と同様にして紫外可視分光光度測定を行なったところ、偏光板の偏光軸に対して、平行方向の吸光度と垂直方向の吸光度に差が確認され、分子レベルにおいても異方性が発現していることが確認された。また、波長330nmでの平行方向及び垂直方向の吸光度から配向度を算出すると、0.57であった。
また本発明に係る、一軸水平配向ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体薄膜は、各種の異方性材料として利用することもできる。例えば、ブロック共重合体に予め有機分子や二色性色素分子を混合して製膜、配向処理を行なう場合には、一軸水平配向ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体薄膜は、有機分子や二色性色素分子等に異方性を付与することが可能となり、様々な偏光制御機能の付与が期待できる。
2 フッ素系高分子層、
3 ブロック共重合体薄膜、
4 シリンダー構造ドメイン。
Claims (4)
- 固体基材の表面にフッ素系高分子からなる固体材料を擦り付けて、該固体基材の表面上に複数の筋状のフッ素系高分子層を形成する工程と、
前記フッ素系高分子層が形成された前記固体基材の表面上に、互いに非相溶である2種のブロック鎖が化学的に結合したブロック共重合体を含む共重合体溶液を塗布した後、加熱処理する工程とを有する、ブロック共重合体薄膜の製造方法。 - 前記筋状のフッ素系高分子層の幅が5〜2000nmであり、隣り合うフッ素系高分子層の間隔が5〜5000nmであり、前記固体基材の表面において、前記固体材料が擦り付けられた全面積に対する、前記フッ素系高分子層で被覆されている合計面積の割合を表わす被覆率が40%以下である、請求項1に記載のブロック共重合体薄膜の製造方法。
- 前記2種のブロック鎖の少なくとも一方が液晶性を有する、請求項1又は2記載のブロック共重合体薄膜の製造方法。
- 板状の固体基材の表面上に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法で形成されたブロック共重合体薄膜を有する基板。
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