JP5196769B2 - ガイドワイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ガイドワイヤ、特に血管のような体腔内にカテーテルを導入する際に用いられるガイドワイヤに関する。
ガイドワイヤは、例えばPTCA術(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty:経皮的冠状動脈血管形成術)のような、外科的手術が困難な部位の治療、または人体への低侵襲を目的とした治療や、心臓血管造影などの検査に用いられるカテーテルを誘導するのに使用される。PTCA術に用いられるガイドワイヤは、ガイドワイヤの先端をバルーンカテーテルの先端より突出させた状態にて、バルーンカテーテルと共に目的部位である血管狭窄部付近まで挿入され、バルーンカテーテルの先端部を血管狭窄部付近まで誘導する。
血管は、複雑に湾曲しており、バルーンカテーテルを血管に挿入する際に用いるガイドワイヤには、適度の曲げに対する柔軟性と復元性、基端部における操作を先端側に伝達するための押し込み性およびトルク伝達性(これらを総称して「操作性」という)、耐キンク性(耐折れ曲がり性)等が要求される。
また、挿入時にカテーテルの内壁との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減するため、表面に潤滑性を有するガイドワイヤが知られている。
この潤滑性を有する従来のガイドワイヤは、芯材の表面に、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体のような親水性材料で構成された被覆層を備えている。このようなガイドワイヤをカテーテルに挿入する場合、挿入に先立って、被覆層に水分を付与する。これにより、被覆層の表面が浸潤した状態となり、ガイドワイヤとカテーテル内壁との摺動性が向上することが期待される(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、被覆層に付着した水分は、時間の経過とともに蒸発して徐々に失われるため、表面層の潤滑性を長時間にわたって維持することができないという問題がある。
特開2004−230142号公報
本発明の目的は、長時間放置しても表面の潤滑性を維持するとともに、例えばカテーテルに挿入する際の摺動抵抗を確実に低減することができるガイドワイヤを提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。
(1) 線状のワイヤ本体と、該ワイヤ本体の外周の少なくとも一部を被覆する被覆層とを有し、
前記被覆層が、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸とアクリルアミドまたはアクリルアミド誘導体との共重合体であって三次元ネットワーク構造体を有する架橋ポリマーと、前記架橋ポリマーと異なる他のポリマーとしてポリアクリルアミドまたはポリアクリルアミド誘導体と、を含む被覆材料で構成されており、
前記被覆材料中における前記他のポリマーの含有量は、前記架橋ポリマーの5〜100モル倍であることを特徴とするガイドワイヤ。
(2) 前記三次元ネットワーク状構造体は、その内部に複数の空洞部を有しており、
前記各空洞部の大きさが不均一である上記(1)に記載のガイドワイヤ。
(3) 前記被覆層は、実質的に水に溶解しない上記(1)または(2)に記載のガイドワイヤ。
(4) 前記架橋ポリマー中の2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸とアクリルアミドまたはアクリルアミド誘導体とのモル比は、1000:1〜10:1である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(5) 前記被覆層は、純水中でゲル化した後、純水中から生理食塩水中に移し替えたときの体積維持率が20〜95%である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(6) 前記被覆層が純水中でゲル化したときの含水率は10〜99%である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(7) 前記他のポリマーは、前記架橋ポリマーよりも架橋度の低いものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(8) 前記被覆層は、ゲル化したときの圧縮強度が0.3〜40MPaである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(9) 前記ワイヤ本体と前記被覆層との間に、ポリウレタンを主成分とする有機材料で構成された中間層が設けられている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
本発明によれば、ワイヤ本体の外周に、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸を第1のモノマー成分とするポリマーを含む被覆材料で構成された被覆層を設けたことにより、長時間放置しても表面の潤滑性を維持することが可能なガイドワイヤが得られる。また、このガイドワイヤを、例えばカテーテルに挿入する際には、ガイドワイヤとカテーテルとの間に生じる摺動抵抗を確実に低減することができる。
また、ポリマーが三次元ネットワーク状構造体を有することにより、三次元ネットワーク状構造体の内部に多量の水を保持することができるので、被覆層の吸水性および保水性を特に高めることができる。
また、ワイヤ本体と被覆層との間に、ポリウレタンを主成分とする中間層を設けた場合、ポリウレタンが含むウレタン結合の作用により、中間層と被覆層との密着性を確実に高めつつ、ワイヤ本体の柔軟性が低下してしまうのを避けることができる。
また、被覆層が、前記ポリマーと異なる他のポリマーを有することにより、この他のポリマーの組成を適宜選択することで、被覆層の潤滑性を維持しつつ、被覆層の機械的強度を高めることができる。
以下、本発明のガイドワイヤを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のガイドワイヤの実施形態を示す縦断面図、図2は、図1に示すガイドワイヤの被覆層が含む三次元ネットワーク状構造体を模式的に示す図である。なお、説明の都合上、図1中の右側を「基端」、左側を「先端」という。また、図1中では、見易くするため、ガイドワイヤの長さ方向を短縮し、ガイドワイヤの太さ方向を誇張して模式的に図示しており、長さ方向と太さ方向の比率は実際とは大きく異なる。
図1に示すガイドワイヤ1は、カテーテルに挿入して用いられるカテーテル用ガイドワイヤであって、先端側に配置された第1ワイヤ2と、第1ワイヤ2の基端側に配置された第2ワイヤ3とを連結してなるワイヤ本体10と、中間層4と、樹脂層5と、被覆層6とを有している。ガイドワイヤ1の全長は、特に限定されないが、200〜5000mm程度であるのが好ましい。また、ワイヤ本体10の外径(外径が一定である部分の外径)は、特に限定されないが、通常、0.2〜1.2mm程度であるのが好ましい。
第1ワイヤ2は、弾性を有する線材である。第1ワイヤ2の長さは、特に限定されないが、20〜1000mm程度であるのが好ましい。
本実施形態では、第1ワイヤ2は、その基端から所定長さは外径が一定であり、途中から外径が先端方向へ向かって漸減している。この部分を外径漸減部15と言う。このような外径漸減部15を有することにより、第1ワイヤ2の剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)を先端方向に向かって徐々に減少させることができ、その結果、ガイドワイヤ1は、先端部に良好な柔軟性を得て、血管への追従性、安全性が向上すると共に、折れ曲がり等も防止することができる。
図示の構成では、外径漸減部15は第1ワイヤ2の一部に形成されているが、第1ワイヤ2の全体が外径漸減部15を構成していてもよい。また、外径漸減部15のテーパ角度(外径の減少率)は、ワイヤ長手方向に沿って一定でも、長手方向に沿って変化する部位があってもよい。例えば、テーパ角度(外径の減少率)が比較的大きい箇所と比較的小さい箇所とが複数回交互に繰り返して形成されているようなものでもよい。
また、第1ワイヤ2は、外径漸減部15の途中または外径漸減部15より先端側に、外径が長手方向に沿って一定の部分を有している。なお、第1ワイヤ2は、先端方向へ向かって外径が漸減するテーパ状のテーパ部が長手方向に沿って複数箇所に形成され、これらのテーパ部とテーパ部との間に外径が長手方向に沿って一定の部分が形成されているようなものでもよい。このような場合でも、前記と同様の効果が得られる。
また、図示の構成と異なり、外径漸減部15の基端が第2ワイヤ3の途中に位置する、すなわち、外径漸減部15が第1ワイヤ2と第2ワイヤ3の境界(溶接部14)を跨って形成された構成でもよい。
第1ワイヤ2の構成材料は、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼などの各種金属材料を使用することができるが、そのなかでも特に、擬弾性を示す合金(超弾性合金を含む。)が好ましい。より好ましくは超弾性合金である。超弾性合金は、比較的柔軟であるとともに、復元性があり、曲がり癖が付き難いので、第1ワイヤ2を超弾性合金で構成することにより、ガイドワイヤ1は、その先端側の部分に十分な柔軟性と曲げに対する復元性が得られ、複雑に湾曲・屈曲する血管に対する追従性が向上し、より優れた操作性が得られるとともに、第1ワイヤ2が湾曲・屈曲変形を繰り返しても、第1ワイヤ2に復元性により曲がり癖が付かないので、ガイドワイヤ1の使用中に第1ワイヤ2に曲がり癖が付くことによる操作性の低下を防止することができる。
擬弾性合金には、引張りによる応力−ひずみ曲線のいずれの形状も含み、As、Af、Ms、Mf等の変態点が顕著に測定できるものも、できないものも含み、応力により大きく変形(歪)し、応力の除去により元の形状にほぼ戻るものは全て含まれる。
超弾性合金の好ましい組成としては、49〜52原子%NiのNi−Ti合金等のNi−Ti系合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(Xは、Be、Si、Sn、Al、Gaのうちの少なくとも1種)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等が挙げられる。このなかでも特に好ましいものは、上記のNi−Ti系合金である。なお、Ni−Ti系合金に代表される超弾性合金は、後述する樹脂層5や被覆層6の密着性にも優れている。
第1ワイヤ2の基端には、第2ワイヤ3の先端が溶接により連結(接続)されている。第2ワイヤ3は、弾性を有する線材である。第2ワイヤ3の長さは、特に限定されないが、20〜4800mm程度であるのが好ましい。なお、第1ワイヤ2と第2ワイヤ3との連結は、ろう接、固相拡散接合等の溶接以外の接合方法でなされていてもよい。
第2ワイヤ3は、第1ワイヤ2の構成材料より弾性率(ヤング率(縦弾性係数)、剛性率(横弾性係数)、体積弾性率)が大きい材料で構成されている。これにより、第2ワイヤ3に適度な剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)が得られ、ガイドワイヤ1がいわゆるコシの強いものとなって押し込み性およびトルク伝達性が向上し、より優れた挿入操作性が得られる。
第2ワイヤ3の構成材料(素材)は、特に限定されず、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等SUSの全品種)、ピアノ線、コバルト系合金、擬弾性合金などの各種金属材料を使用することができる。
この中でも、コバルト系合金は、ワイヤとしたときの弾性率が高く、かつ適度な弾性限度を有している。このため、コバルト系合金で構成された第2ワイヤ3は、特に優れたトルク伝達性を有し、座屈等の問題を極めて生じ難い。コバルト系合金としては、構成元素としてCoを含むものであれば、いかなるものを用いてもよいが、Coを主成分として含むもの(Co基合金:合金を構成する元素中で、Coの含有率が重量比で最も多い合金)が好ましく、Co−Ni−Cr系合金を用いるのがより好ましい。このような組成の合金を、第2ワイヤ3の構成材料として用いることにより、前述した効果がさらに顕著なものとなる。また、このような組成の合金は、常温における変形においても可塑性を有するため、例えば、使用時等に所望の形状に容易に変形することができる。また、このような組成の合金は、弾性係数が高く、かつ高弾性限度としても冷間成形可能で、高弾性限度であることにより、座屈の発生を十分に防止しつつ、小径化することができ、所定部位に挿入するのに十分な柔軟性と剛性を備えるものとすることができる。
Co−Ni−Cr系合金としては、例えば、28〜50wt%Co−10〜30wt%Ni−10〜30wt%Cr−残部Feの組成からなる合金や、その一部が他の元素(置換元素)で置換された合金等が好ましい。置換元素の含有は、その種類に応じた固有の効果を発揮する。例えば、置換元素として、Ti、Nb、Ta、Be、Moから選択される少なくとも1種を含むことにより、第2ワイヤ3の強度のさらなる向上等を図ることができる。なお、Co、Ni、Cr以外の元素を含む場合、その(置換元素全体の)含有量は30wt%以下であるのが好ましい。
また、第2ワイヤ3の構成材料として、ステンレス鋼を用いた場合、ガイドワイヤ1は、より優れた押し込み性およびトルク伝達性が得られる。
また、本発明では、第1ワイヤ2と第2ワイヤ3を異種合金とすることが好ましく、また、第1ワイヤ2が、第2ワイヤ3の構成材料より弾性率が小さい材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、ガイドワイヤ1は、先端側の部分が優れた柔軟性を有するとともに、基端側の部分が剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)に富んだものとなる。その結果、ガイドワイヤ1は、優れた押し込み性やトルク伝達性を得て良好な操作性を確保しつつ、先端側においては良好な柔軟性、復元性を得て血管への追従性、安全性が向上する。
また、第1ワイヤ2と、第2ワイヤ3との具体的な組合せとしては、第1ワイヤ2を超弾性合金で構成し、第2ワイヤ3をCo−Ni−Cr系合金またはステンレス鋼で構成することが特に好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
なお、図示の構成では、第2ワイヤは、ほぼ全長にわたってほぼ一定の外径を有するものであるが、その長手方向に外径が変化する部位を有するものであってもよい。
また、第1ワイヤ2の超弾性合金としてNi−Ti系合金を用いることが先端側の柔軟性と復元性の点から好ましい。
また、本実施形態では、第1ワイヤ2と第2ワイヤ3とを連結してワイヤ本体10を構成しているが、ワイヤ本体10は、全体が連続した単一の材料で構成されていてもよく、3つ以上の部材を連結して構成されたものであってもよい。
なお、ワイヤ本体10を単一材料で構成した場合は、被覆層6が、ワイヤ本体10の少なくとも先端側の部分の外周に設けられている。この場合、ワイヤ本体10は、Ni−Ti系合金にて構成されていることが好ましい。
中間層4は、第1ワイヤ2と溶接部14とを含む領域を覆うように形成されている。
本実施形態では、このような中間層4が形成されていることにより、第1ワイヤ2は、中間層4に覆われて接触面積が少ないので、摺動抵抗を低減することができる。これにより、ガイドワイヤ1の操作性がより向上する。また、中間層4上に、後述する被覆層6を形成する際に、被覆層6を中間層4上に確実に接着させることができる。すなわち、中間層4は、その構成材料を適宜選択することにより、被覆層6を第1ワイヤ2や第2ワイヤ3に強固に接着させるための下地層としても機能する。したがって、中間層4の構成材料として、被覆層6と親和性の高い材料を選択することにより、中間層4と被覆層6との密着性が向上し、被覆層6の剥離を確実に抑制または防止することができる。かかる観点から、中間層4は、被覆層6を形成する領域に対応して形成されるのが好ましい。
中間層4の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、またはこれらの複合材料が挙げられる。
これらの材料の中でも、中間層4は、アミド結合またはウレタン結合を含む有機材料で構成されているのが好ましい。アミド結合およびウレタン結合は、被覆層6中の2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸が含むアミド結合に対して高い親和性を示す。このため、中間層4がアミド結合またはウレタン結合を含む有機材料で構成されていることにより、中間層4と被覆層6との密着性を確実に向上させることができる。
特に、この有機材料は、ポリウレタンを主成分とするものであるのが好ましい。ポリウレタンは、ウレタン結合を含んでいるため、被覆層6との密着性が高く、かつ、柔軟性に富んでいる。このため、前記有機材料としてポリウレタンを主成分とするものを用いることにより、中間層4と被覆層6との密着性を確実に高めつつ、第1ワイヤ2の柔軟性が低下してしまうのを避けることができる。
また、ポリウレタンは、原料のモノマーに含まれたイソシアネート基(−NCO)のうち、重合に寄与しなかったものを少量程度含んでいる。このイソシアネート基は、金属材料との間で配位結合に基づく密着性を示す官能基である。したがって、ポリウレタンを含む有機材料で構成された中間層4は、ワイヤ本体10を構成する金属材料に対して確実に密着することができるという利点もある。
また、本実施形態では、図1に示すように、中間層4が第1ワイヤ2と溶接部14とを含む領域に形成されているので、溶接部14付近でガイドワイヤ1が折れ曲がるのを防止することができる。そして、この折れ曲がりに伴って中間層4と被覆層6とが剥離してしまうのを、防止することができる。なお、本実施形態では、溶接部14が、樹脂層5と中間層4との境界部より先端側に位置しているが、境界部付近に位置していてもよく、境界部より基端側に位置していてもよい。
また、中間層4の全長は、特に限定されないが、本実施形態においては、5〜500mm程度であるのが好ましい。
また、中間層4および被覆層6は、ワイヤ本体10の全体を被覆するように設けられていてもよい。
また、中間層4の厚さは、特に限定されないが、通常は、厚さ(平均)が2〜200μm程度であるのが好ましく、5〜80μm程度であるのがより好ましい。
なお、本発明では、ワイヤ本体10の外周面(表面)に、中間層4の密着性を向上するための処理(化学処理、熱処理等)を施したり、中間層4の密着性を向上し得る下地層を設けたりすることもできる。
ところで、ガイドワイヤ1において、第1ワイヤ2と、第2ワイヤ3とは、溶接により互いに連結(固定)されている。これにより、第1ワイヤ2と第2ワイヤ3との溶接部(接続部)14は、高い結合強度(接合強度)が得られ、よって、ガイドワイヤ1は、第2ワイヤ3からのねじりトルクや押し込み力が確実に第1ワイヤ2に伝達される。
ワイヤ本体10は、その外周面(外表面)の一部を覆う樹脂層5を有している。この樹脂層5は、種々の目的で形成することができるが、その一例として、ガイドワイヤ1の摩擦(摺動抵抗)を低減し、摺動性を向上させることによってガイドワイヤ1の操作性を向上させることがある。
このような目的のためには、樹脂層5は、摩擦を低減し得る樹脂材料で構成されているのが好ましい。これにより、ガイドワイヤ1とともに用いられるカテーテルの内壁との摩擦抵抗(摺動抵抗)が低減されて摺動性が向上し、カテーテル内でのガイドワイヤ1の操作性がより良好なものとなる。また、ガイドワイヤ1の摺動抵抗が低くなることで、ガイドワイヤ1をカテーテル内で移動および/または回転した際に、ガイドワイヤ1のキンク(折れ曲がり)やねじれをより確実に防止することができる。
このような摩擦を低減し得る樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、ETFE等)、またはこれらの複合材料が挙げられる。
そのなかでも特に、フッ素系樹脂(またはこれを含む複合材料)を用いた場合には、ガイドワイヤ1とカテーテルの内壁との摩擦抵抗(摺動抵抗)をより効果的に低減し、摺動性を向上させることができ、カテーテル内でのガイドワイヤ1の操作性がより良好なものとなる。また、これにより、ガイドワイヤ1をカテーテル内で移動および/または回転した際に、ガイドワイヤ1のキンク(折れ曲がり)やねじれをより確実に防止することができる。
また、フッ素系樹脂(またはこれを含む複合材料)を用いた場合には、通常、焼きつけ、吹きつけ等の方法により、樹脂材料を加熱した状態で、ワイヤ本体10への被覆を行う。これにより、ワイヤ本体10と、樹脂層5との密着性は特に優れたものとなる。
また、樹脂層5がシリコーン樹脂(またはこれを含む複合材料)で構成されたものであると、樹脂層5を形成する(ワイヤ本体10に被覆する)際に、加熱しなくても、ワイヤ本体10に確実かつ強固に密着した、樹脂層5を形成することができる。すなわち、樹脂層5をシリコーン樹脂(またはこれを含む複合材料)で構成されたものとする場合、反応硬化型の材料等を用いることができるため、樹脂層5の形成を室温にて行うことができる。このように、室温にて樹脂層5を形成することにより、簡便にコーティングができるとともに、溶接部14における第1ワイヤ2と第2ワイヤ3との接合強度を十分に維持した状態にてガイドワイヤの操作ができる。
また、摩擦を低減し得る材料の他の好ましい例としては、親水性材料または疎水性材料が挙げられる。これらのうちでも特に、親水性材料が好ましい。
この親水性材料としては、例えば、セルロース系高分子物質、ポリエチレンオキサイド系高分子物質、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
このような親水性材料は、多くの場合、湿潤(吸水)により潤滑性を発揮し、ガイドワイヤ1とともに用いられるカテーテルの内壁との摩擦抵抗(摺動抵抗)を低減する。これにより、ガイドワイヤ1の摺動性が向上し、カテーテル内でのガイドワイヤ1の操作性がより良好なものとなる。
樹脂層5の厚さは、特に限定されないが、通常は、厚さ(平均)が1〜20μm程度であるのが好ましく、2〜10μm程度であるのがより好ましい。樹脂層5の厚さが薄すぎると、樹脂層5の形成目的が十分に発揮されないことがあり、また、樹脂層5の剥離が生じるおそれがあり、また、樹脂層5の厚さが厚すぎると、ワイヤの物性を阻害することがあり、また樹脂層5の剥離が生じるおそれがある。
なお、本発明では、ワイヤ本体10の外周面(表面)に、樹脂層5の密着性を向上するための処理(化学処理、熱処理等)を施したり、樹脂層5の密着性を向上し得る下地層を設けたりすることもできる。
ワイヤ本体10の外周面の樹脂層5より先端側には、被覆層6が形成されている。
被覆層6は、中間層4の全部または一部を覆うように設けられている。図示の構成では、被覆層6は、中間層4の全部を覆っている。このように、ワイヤ本体10の先端部が被覆層6で覆われていることにより、カテーテル等にガイドワイヤ1を挿入する際の摺動抵抗(摩擦抵抗)を確実に低減することができる。
なお、後述するように、被覆層6は、種々の液体を保持することができるが、本実施形態では、この液体が水である場合を例に説明する。
本発明では、この被覆層6が、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸を第1のモノマー成分とするポリマー(以下、「架橋ポリマー」と言う。)を含む被覆材料で構成されている。下記化学式(1)に、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸の構造式を示す。
Figure 0005196769
ここで、従来のガイドワイヤでは、主に、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体のような親水性材料で構成された被覆層の表面に水を付着させることにより、被覆層の湿潤状態を維持していた。しかしながら、被覆層の表面に付着した水分は、時間の経過とともに蒸発して徐々に失われるため、表面層の潤滑性を長時間にわたって維持することができないという問題があった。また、被覆層の表面の水滴に生じる表面張力により、ガイドワイヤがカテーテルの内壁に貼り付くような挙動を示すという問題もあった。このため、この問題が、ガイドワイヤのカテーテル挿入時の操作性が低下を招いていた。
これに対し、本発明では、前述したように、被覆層6を、前述のような架橋ポリマーを含む被覆材料で構成することとした。これにより、被覆層6は、架橋ポリマーに吸着したり、架橋ポリマー同士の間に保持することにより、内部に水分を保持することができる。このため、従来のガイドワイヤにおける乾燥に伴う問題や水滴の表面張力に伴う問題が確実に解消される。その結果、ガイドワイヤ1の操作性の向上を図ることができる。
また、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸が有するスルホン酸基(−SOH)は、親水性を有する官能基である。このため、架橋ポリマーは、水を引き寄せ易い性質を有することとなる。その結果、被覆層6は、水を積極的に取り込むことができ、かつ、取り込んだ水を長期にわたって保持することができる。すなわち、被覆層6の吸水性および保水性を高めることができる。
ここで、架橋ポリマーは、第1のモノマー成分のホモポリマーでもよいが、第1のモノマー成分と、この第1のモノマー成分と異なる第2のモノマー成分とを含むものが好ましく、第1のモノマー成分と第2のモノマー成分との共重合体(コポリマー)であるのがより好ましい。これにより、架橋ポリマーに第2のモノマー成分の物性(特性)を付加することができる。その結果、架橋ポリマーの機能性を高めることができる。
この第2のモノマー成分としては、分子の長さが、第1のモノマー成分と異なるものが好ましい。このような第1のモノマー成分と第2のモノマー成分との共重合体は、その内部に水を取り込むための空隙を有するものとなる。このため、かかる共重合体を含む被覆層6は、吸水性および保水性に優れたものとなる。
このような第2のモノマー成分としては、例えば、アクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、n−イソプロピルアクリルアミドのようなアクリルアミド誘導体、エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このうち、第2のモノマー成分は、アクリルアミドまたはアクリルアミド誘導体であるのが好ましい。アクリルアミドやアクリルアミド誘導体は、アミド結合(−CONH−)を有するが、このアミド結合も親水性を有する官能基(結合)である。なお、この親水性は、アミド結合が水との間に水素結合を形成することによってもたらされるものである。したがって、アクリルアミドを含む架橋ポリマーは、水を引き寄せる性質が特に強くなる。その結果、被覆層6の吸水性および保水性がさらに高めることができる。なお、本実施形態では、第2のモノマー成分の一例としてアクリルアミドを代表に説明する。下記化学式(2)に、アクリルアミドの構造式を示す。
Figure 0005196769
なお、前記共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよく、これらの構造が混在した共重合体であってもよい。また、第2のモノマー成分は、第1のモノマー成分同士を架橋する架橋剤として機能してもよい。
また、架橋ポリマー中の第1のモノマー成分と第2のモノマー成分とのモル比は、1000:1〜10:1程度であるのが好ましく、500:1〜50:1程度であるのがより好ましい。各モノマーの混合比を前記範囲内に設定することにより、架橋ポリマーは、機械的強度が高く、かつ保水性に優れたものとなる。
ここで、第1のモノマー成分である2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸中の重合性基(前記化学式(1)に示すビニル基)と、第2のモノマー成分であるアクリルアミド中の重合性基(前記化学式(2)に示すビニル基)は、ラジカル重合により結合して、架橋ポリマーを生成するが、この架橋ポリマーは、三次元的に構築された部分を有するのが好ましい。すなわち、架橋ポリマーは、第1のモノマー成分と第2のモノマー成分とが三次元的に架橋してなる、図2に示すような三次元ネットワーク状構造体60を有しているのが好ましい。
三次元ネットワーク状構造体60は、その内部に、空洞部61を有している(図2参照)。この空洞部61に水(液体)が入り込むことにより、三次元ネットワーク状構造体60は、多量の水を保持することができる。したがって、三次元ネットワーク状構造体60を含む被覆層6は、吸水性および保水性が特に高いものとなる。また、三次元ネットワーク状構造体60に含まれた複数の架橋構造は、互いを補強するように作用する。このため、被覆層6の機械的強度を特に高めることができる。
なお、三次元ネットワーク状構造体60の内部には、空洞部61が多数形成されている。これらの多数の空洞部61の大きさは、均一であってもよいが、図2に示すように、できるだけ不均一であるのが好ましい。これにより、空洞部の大きさが均一である場合に比べ、三次元ネットワーク状構造体60の機械的強度(後述する圧縮強度および破壊エネルギー)をさらに高めることができる。その結果、被覆層6の機械的強度をさらに高めることができ、ガイドワイヤ1(被覆層6)の耐久性の向上を図ることができる。
また、被覆層6は、吸水により膨潤してゲル化するものが好ましい。ゲル化した被覆層6は、特に顕著な吸水性および保水性を発揮し、湿潤状態を長期にわたって維持することができる。これにより、被覆層6は、カテーテルの内壁に対する潤滑性が向上し、ガイドワイヤ1における優れた操作性を長期にわたって実現することができる。
また、被覆層6は、実質的に水に溶解しないものが好ましい。架橋ポリマーが実質的に水に不溶であることにより、ガイドワイヤ1が長期にわたって水と接触していても、被覆層6が溶解して失われるのを防止することができる。その結果、被覆層6によってもたらされる上記のような効果が、長期にわたって発揮されることとなる。
ここで、被覆層6を構成する被覆材料は、前述の架橋ポリマーと異なる「他のポリマー」を有していてもよい。この他のポリマーの組成を適宜選択することにより、被覆層6の潤滑性(吸水性および保水性)を維持しつつ、他のポリマーが架橋ポリマーを補強して、被覆層6の機械的強度を高めることができる。
この他のポリマーは、架橋ポリマーよりも架橋度の低いポリマーであるのが好ましい。また、全く架橋されていないポリマーであるのが好ましい。
他のポリマーを構成するモノマーとしては、例えば、アクリルアミド(AAm)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸、N−イソプロピルアクリルアミド、ビニルピリジン、ヒドロキシエチルアクリレート、酢酸ビニル、ジメチルシロキサン、スチレン(St)、メチルメタクリレート(MMA)、トリフルオロエチルアクリレート(TFE)、スチレンスルホン酸(SS)、ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。
また、この他のポリマーは、非電解質で柔軟性が高いこと、架橋ポリマーと静電相互作用や疎水結合等の相互作用がないか、または極めて弱いこと等の特徴を有するのが好ましい。これにより、他のポリマーが架橋ポリマーの構造に影響を与えることが防止される。その結果、他のポリマーを含有することにより、被覆層6の機械的強度が低下することが防止される。
このような他のポリマーのうち、非電解質の他のポリマーを構成するモノマーとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチルメチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、3−(ペルフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、フッ化ビニリデンのようなフッ素含有モノマー、ジェラン、ヒアルロン酸、カラギーナン、キチン、アルギン酸のような多糖類、ゼラチン、コラーゲンのようなタンパク質等が挙げられる。
特に、他のポリマーは、モノマーとしてアクリルアミドを含むもの、すなわち、ポリアクリルアミドまたはポリアクリルアミド誘導体であるのが好ましい。これにより、他のポリマーと架橋ポリマーとの親和性が特に向上し、架橋ポリマーを確実に補強することができる。また、ポリアクリルアミドは、親水性に富んでいるため、被覆層6が他のポリマーとしてポリアクリルアミドを含むことにより、被覆層6の吸水性および保水性をさらに高める効果もある。
なお、被覆層6が他のポリマーを含んでいる場合、他のポリマーは、重量比で架橋ポリマーより多く含まれているのが好ましい。具体的には、被覆層6に含まれる他のポリマーは、架橋ポリマーに対して、5〜100モル倍程度であるのが好ましい。これにより、被覆層6の機械的強度をさらに高めることができる。
また、かかる観点から、他のポリマーの重量は、ゲル化した被覆層6中において、架橋ポリマーの重量と被覆層6が吸水した水の重量との合計重量に対して10〜40%であるのが好ましい。
また、このような被覆層6は、水中では水を含んでゲル化するが、このときの純水中での含水率は、10〜99%であるのが好ましく、50〜95%であるのがより好ましく、85〜95%であるのがさらに好ましい。このように被覆層6が多量の水を含有することにより、被覆層6における湿潤性がより長期にわたって維持されることとなる。その結果、ガイドワイヤ1は、その操作性が長期にわたって良好に維持される。なお、上記の含水率とは、純水中でゲル化した被覆層6の重量に対して、このゲル化した被覆層6に含まれた純水の重量の割合を示すものである。
また、被覆層6は、純水中でゲル化した状態で、純水中から生理食塩水中に移し変えたときの体積維持率が20〜95%であるのが好ましく、60〜95%であるのがより好ましく、70〜95%であるのがさらに好ましい。
被覆層6の厚さは、特に限定されないが、1〜20μm程度であるのが好ましく、2〜10μm程度であるのがより好ましい。被覆層6の厚さは、樹脂層5の厚さと同じでも、異なっていてもよい。被覆層6の厚さが前記範囲内であれば、被覆層6が十分な柔軟性を備えるとともに、被覆層6中に十分な量の水分が保持される。このため、ガイドワイヤ1とカテーテルの内壁との摺動性が確実に向上するとともに、この摺動性が長期にわたって維持される。
また、被覆層6は、ゲル化したときの圧縮強度が、0.3〜40MPa程度であるのが好ましい。ここで、圧縮強度とは、ゲル化した被覆層6を圧縮して破壊するのに必要な応力を、被覆層6を圧縮する面の初期の面積で割った値で示される。このように圧縮強度が高い被覆層6は、ガイドワイヤ1をカテーテルに挿入する際の摩擦等に対して、十分な耐久性を有するものとなる。
さらに、被覆層6は、ゲル化したときの破壊エネルギーが、700J/m程度であるのが好ましい。ここで、破壊エネルギーとは、ゲル化した被覆層6の定常的な破壊進行に必要とした仕事量を破断面積で割った値、すなわち、破断面を形成するために必要なエネルギーで示される。このように破壊エネルギーが高い被覆層6は、特に機械的強度が高く、破壊し難いものとなる。
以下、中間層4上に被覆層6を形成する場合の手順について説明する。
まず、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸(第1のモノマー成分)と、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(第2のモノマー成分)とを、水に添加し、水溶液を用意する。
次に、この水溶液中に、重合開始剤を添加する。
重合開始剤としては、例えば、2−オキソグルタル酸等が挙げられる。
また、重合開始剤の添加量は、第1のモノマー成分に対する割合が0.001〜1mol%程度であるのが好ましく、0.1〜1mol%程度であるのがより好ましく、0.1〜0.5mol%程度であるのがさらに好ましい。重合開始剤の添加量を前記範囲内とすることにより、被覆層6の内部に形成された多数の空洞部の大きさが、不均一になる傾向を示す。このため、被覆層6の機械的強度(圧縮強度および破壊エネルギー)を高めることができる。
次に、中間層4および樹脂層5を形成したワイヤ本体10を用意する。
そして、用意したワイヤ本体10のうち、中間層4を形成した部分を、用意した水溶液中に浸漬する。これにより、中間層4上に、水溶液の被膜を形成する。なお、各種塗布法により、中間層4上に水溶液の被膜を形成するようにしてもよい。
次いで、ワイヤ本体10を水溶液中から取り出し、浸漬した部分に向けて紫外線を照射する。これにより、第1のモノマー成分と第2のモノマー成分とがラジカル重合し、架橋ポリマーを形成する。
以上のようにして、被覆層6を形成することができる。
以上、本発明のガイドワイヤを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、ガイドワイヤを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、例えば、中間層4とワイヤ本体10との間に、コイルを設けるようにしてもよい。
また、図1に示す構成では、樹脂層5の先端と被覆層6の基端とが離間しているが、樹脂層5の先端と被覆層6の基端とが接合され、両層が連続して形成されていてもよく、あるいは、樹脂層5と被覆層6とが部分的に重なっていてもよい。
また、前記実施形態では、溶接部14が、樹脂層5と被覆層6との境界部より先端側に位置しているが、境界部付近に位置していてもよく、境界部より基端側に位置していてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.ガイドワイヤの製造
(実施例1)
まず、第1のモノマー成分として2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸(0.025mol)と、第2のモノマー成分としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド(0.001mol)と、重合開始剤として2−オキソグルタル酸(0.000025mol)とを用意し、これらを水に加えて水溶液50mLを調製した。調製した水溶液は、各モノマー成分と重合開始剤とが十分に拡散するように振盪させた。
次に、図1に示すワイヤ本体を用意した。なお、第1ワイヤは、先端部の外径0.15mm、長さ200mmのNi−Ti製のワイヤとし、第2ワイヤは、外径0.6mm、長さ2600mmのステンレス鋼製のワイヤとした。
次に、ワイヤ本体の先端から500mmの範囲に、ポリウレタン製の中間層を形成するとともに、それより基端側の範囲に、フッ素樹脂製の樹脂層を形成した。
次に、調製した水溶液中に、ワイヤ本体のうち、中間層を形成した部分を浸漬した。
次に、ワイヤ本体を水溶液中から取り出し、浸漬した部分に向けて紫外線を照射した。これにより、中間層上に、厚さ5μmの被覆層を得るとともに、図1に示すガイドワイヤを得た。
(実施例2)
まず、他のポリマーを得るためのモノマーとしてアクリルアミド0.2molと、重合開始剤として2−オキソグルタル酸0.00001molとを用意し、これらを水に加えて水溶液200mLを調製した。調製した水溶液は、モノマーと重合開始剤とが十分に拡散するように振盪させた。
次に、振盪させた水溶液中に、前記実施例1で得られたガイドワイヤのうち、被覆層を形成した部分を浸漬した。これにより、被覆層中に水溶液を浸透・拡散させた。
次に、ガイドワイヤを水溶液中から取り出し、浸漬した部分に向けて紫外線を照射した。これにより、実施例1で得た被覆層中に拡散した水溶液中でアクリルアミドと重合開始剤とが反応し、ポリアクリルアミド(他のポリマー)を得た。そして、他のポリマーを含む被覆層を得るとともに、ガイドワイヤを得た。
(実施例3)
まず、中間層をシリコーン樹脂製のものに変更した以外は、前記実施例2と同様にしてガイドワイヤを得た。
(比較例)
まず、実施例1と同様にして、ワイヤ本体を用意し、その外周面に、ポリウレタン製の中間層とフッ素樹脂製の樹脂層とを形成した。
次に、中間層上に、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体で構成された被覆層を形成した。これにより、ガイドワイヤを得た。
2.評価
2.1 摺動性の評価
各実施例および比較例で得られたガイドワイヤについて、それぞれ、以下のようにして摺動性の評価を行った。なお、下記の摺動抵抗の測定は、それぞれ3回ずつ行い、その平均値について評価を行った。
[1]まず、内径1.2mm、長さ2300mmのポリウレタン製のチューブを用意した。
[2]次に、各ガイドワイヤを生理食塩水に浸漬したのち、生理食塩水から取り出して、このチューブに挿入した。
[3]次に、チューブを固定した状態で、ガイドワイヤをチューブから引き出す際の摺動抵抗を測定した。なお、摺動抵抗の測定にあたっては、チューブの引き出し速度を100mm/secとし、引き出す際にガイドワイヤに加わる荷重をオートグラフにて測定することにより行った。また、測定環境は、気温23℃、相対湿度40%であった。
[4]次に、各ガイドワイヤを再び生理食塩水に浸漬したのち、生理食塩水から取り出して5分間放置した。そして、5分間放置後の各ガイドワイヤをチューブに挿入した。
[5]次に、前記[3]と同様にして、ガイドワイヤをチューブから引き出す際の摺動抵抗を測定した。
[6]次に、各ガイドワイヤを再び生理食塩水に浸漬したのち、生理食塩水から取り出して10分間放置した。そして、10分間放置後の各ガイドワイヤをチューブに挿入した。
[7]次に、前記[3]、[5]と同様にして、ガイドワイヤをチューブから引き出す際の摺動抵抗を測定した。
2.2 耐久性の評価
各実施例および比較例で得られたガイドワイヤについて、それぞれ、以下のようにして耐久性の評価を行った。
まず、前記2.1の摺動性の評価を行う場合と同じ要領で、チューブにガイドワイヤを挿入し、その後引き出すという操作を100回繰り返した。
そして、前記操作の、1回終了後、10回終了後、50回終了後、100回終了後におけるガイドワイヤの外観をそれぞれ目視にて確認し、以下の基準にしたがって評価した。
○:被覆層の剥離が全く認められない
△:被覆層の剥離がわずかに認められる
×:被覆層の剥離が多数認められる
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 0005196769
表1から明らかなように、各実施例で得られたガイドワイヤでは、いずれも、生理食塩水に浸漬した直後(吸水直後)と、5分間放置した後および10分間放置した後とで、摺動抵抗にほとんど変化は見られなかった。
一方、比較例で得られたガイドワイヤでは、生理食塩水に浸漬した後、放置した時間が長くなるのに伴い、摺動抵抗が大きくなっていた。
また、各実施例で得られたガイドワイヤでは、いずれも、被覆層が十分な耐久性を有しているのに対し、比較例で得られたガイドワイヤでは、被覆層の耐久性が不十分であった。
また、実施例2で得られたガイドワイヤは、特に優れた耐久性を示した。この結果は、実施例2で得られたガイドワイヤが、架橋ポリマー以外の他のポリマーを含む被覆層を備え、かつ、ポリウレタンで構成された中間層を備えていたため、被覆層の耐久性が向上したことに起因すると推測される。
本発明のガイドワイヤの実施形態を示す縦断面図である。 図1に示すガイドワイヤの被覆層が含む三次元ネットワーク状構造体を模式的に示す図である。
符号の説明
1 ガイドワイヤ
10 ワイヤ本体
2 第1ワイヤ
3 第2ワイヤ
4 中間層
5 樹脂層
6 被覆層
60 三次元ネットワーク状構造体
61 空洞部
14 溶接部
15 外径漸減部

Claims (9)

  1. 線状のワイヤ本体と、該ワイヤ本体の外周の少なくとも一部を被覆する被覆層とを有し、
    前記被覆層が、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸とアクリルアミドまたはアクリルアミド誘導体との共重合体であって三次元ネットワーク構造体を有する架橋ポリマーと、前記架橋ポリマーと異なる他のポリマーとしてポリアクリルアミドまたはポリアクリルアミド誘導体と、を含む被覆材料で構成されており、
    前記被覆材料中における前記他のポリマーの含有量は、前記架橋ポリマーの5〜100モル倍であることを特徴とするガイドワイヤ。
  2. 前記三次元ネットワーク状構造体は、その内部に複数の空洞部を有しており、
    前記各空洞部の大きさが不均一である請求項1に記載のガイドワイヤ。
  3. 前記被覆層は、実質的に水に溶解しない請求項1または2に記載のガイドワイヤ。
  4. 前記架橋ポリマー中の2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸とアクリルアミドまたはアクリルアミド誘導体とのモル比は、1000:1〜10:1である請求項1ないし3のいずれかに記載のガイドワイヤ。
  5. 前記被覆層は、純水中でゲル化した後、純水中から生理食塩水中に移し替えたときの体積維持率が20〜95%である請求項1ないし4のいずれかに記載のガイドワイヤ。
  6. 前記被覆層が純水中でゲル化したときの含水率は10〜99%である請求項1ないし5のいずれかに記載のガイドワイヤ。
  7. 前記他のポリマーは、前記架橋ポリマーよりも架橋度の低いものである請求項1ないし6のいずれかに記載のガイドワイヤ。
  8. 前記被覆層は、ゲル化したときの圧縮強度が0.3〜40MPaである請求項1ないし7のいずれかに記載のガイドワイヤ。
  9. 前記ワイヤ本体と前記被覆層との間に、ポリウレタンを主成分とする有機材料で構成された中間層が設けられている請求項1ないし8のいずれかに記載のガイドワイヤ。
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