JP5194599B2 - 熱プレス装置と熱プレス方法と熱プレスによるパターン転写方法 - Google Patents
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Description
このロールプレス方式に対し平プレス方式は生産性が劣るが、加熱し、加圧を行った後に、スタンパーを被プレス体から離さない状態にして、被プレス体に対する冷却、特にその表面の合成樹脂に対する冷却を行なうことが可能である。そのため、スタンパーのパターンを被プレス体の表面に正確に転写することが可能である。
しかし、上記平プレス装置でのプレートは大きいほど冷却には時間がかかり、被プレス体への転写のための一サイクルの時間(タクトタイム)が長くなるだけでなく、被転写体に余計な熱を与えていて、被プレス体に反り、うねり、転写部分の周りでの段差などを生じさせるなどの悪影響を及ぼしている。
一サイクルの時間を短くする方法として、加熱部と冷却部を分けて、加熱後に被プレス体を冷却部へ搬送し冷却するという方法もあるが、加圧した状態で搬送する方法は装置が大型になってしまうという欠点がある。
しかしながら、熱プレス装置としての平プレス装置では、加熱ブロックは加圧ブロックとしての役割も兼ね備えていて、大きなブロックとなっている。そのため、熱プレスによる転写の一サイクルごとに、その大きな加熱ブロック全体を冷却しなければならず、一サイクル時間の大幅な短縮には繋がらないという問題がある。
前記一方のプレス部のプレス面と他方のブレス部のプレス面との間で被プレス体を挟み込みし、前記一方のプレス部のプレス面を、前記冷却部と一体となった前記加熱部から前記冷却部を介する熱伝導により加熱するとき、前記流路には高温の液体を流し、
前記冷却部からの前記加熱部の分離により、前記加熱部から前記冷却部への熱伝導を不能としたとき、前記流路には冷媒を通す構成を有することを特徴とする熱プレス装置であり、この熱プレス装置を提供して上記課題を解消するものである。
前記一方のプレス部のプレス面を、冷却部と一体となった加熱部から前記冷却部を介する熱伝導により加熱して前記被プレス体を熱プレスした後、前記冷却部側からの被プレス体に対してのプレス状態を維持しながら冷却部から加熱部を離し、加熱部が分離した前記冷却部への冷媒の送り込みにより該冷却部と被プレス体とを冷却することを特徴とする熱プレス方法であり、この熱プレス方法を提供して上記課題を解消するものである。
図中1は平プレス装置の形態とされた熱プレス装置で、該熱プレス装置1は上下の架台2の間に複数本のロッド3を渡し、このロッド3に上プレス部4が上下方向に移動可能にして取り付けられているとともに、下の架台2に固定されたプレートからなり前記上プレス部4の下方に位置して対向する下プレス部5が前記ロッド3に取り付けられており、下プレス部5自体は不動としている。
この熱プレス装置1は上プレス部4と下プレス部5との間を被プレス体の挟み込み部分6としている。そして、前記上プレス部4は挟み込み部分6側からプレス面7と冷却部8と加熱部9とがこの順で配されてなるものであり、この上プレス部4での冷却部8における下面の一部分にプレス面7が取り付けられて一体とされているとともに、冷却部8と加熱部9とは互いに離接可能に設けられている。
また、上プレス部4の上記加熱部9は重量が大きいものであって、挟み込み部分6に配されて上記プレス面7と下プレス部5のプレート上面からなるもう一方のプレス面11とで挟み込んだ被プレス体に対して、上方側からのプレスを行なう加圧手段としての役割を有する。そのため、加熱部9はこの加熱部自体の重量を加えながらのプレス時に変形を生じさせない十分な強度を有するとともに、前記冷却部8に密着して一体となった状態でこの冷却部8を効率よく加熱するために熱伝導性が良好な金属材料を用いており、内部には図示しないヒータが配置されている。
上記加熱部9は内部のヒーターの発熱で昇温していて、前記密着による熱伝導で冷却部8を設定温度まで加熱する(図4のc)。これによってプレス面7も、加熱部9から前記冷却部8を介する熱伝導により加熱される。プレス面7自体は頗る熱伝導性が良好とされているものであり、冷却部8が所定温度まで昇温すると同じ温度に昇温されるものである。
上述したように冷却部8が設定温度まで昇温したら、上プレス部4のプレス面7と下プレス部5のプレス面11との間(挟み込部分6)に被プレス体12を挿入配置し、その後上プレス部4全体が降下して被プレス体12をプレス面7とプレス面11とで挟み込みし、冷却部8での前記設定温度を維持した状態でプレス(加圧、加熱)する(図4のd)。
冷却部8への冷媒の送り込みによって冷却部8自体の温度が下がり、この温度が下がる冷却部8によってプレス面7、被プレス体12を冷却する。勿論、下プレス部5のプレス面11側も冷却される。
冷却部8やプレス面7が、型開きできる温度として予め設定されている温度まで冷却すると、冷却部8側への冷媒の送り込が停止され、その後、冷却部8は上方の待機位置までの上昇動作を行なって被プレス体12から離れる(図4のg)。そして、熱プレスを受けた被プレス体12を挟み込み部分6から取り外し、冷却部8にあっては加熱部9と密着してその加熱部9からの熱伝導を受ける状態になり、熱プレスの一サイクルが終了する(図4のh)。
冷却部8は加熱部9と同じ金属材料か、さらには加熱部の材料より熱伝導性のよい金属材料とし、熱プレスに耐えられるだけの剛性を備え、かつ冷却速度を上げるためにできるだけ寸法や形状が小さい方が好ましい。
冷却部8において流路10の配置は限定されるものではなく、どのような配置であってもよい。熱プレスの目的により均一に冷却するようにしたり、均一に冷却しないようにすることも可能である。
液体と気体の流路への送出開始や送出停止はバルブ操作などで行なうことが可能である。
さらに、冷却水を流し込んで冷却部を冷却するようにした構成である場合に、加熱部との密着前に流路内に冷却水の残りが生じないように空気の強制的な送り込みを行なうことが好ましい。
上記被プレス体が合成樹脂材であるとき、スタンパーが有する転写パターンの一例を挙げるならば、パターンが0.2〜2μm以下のピッチで繰り返し並び設けられているパターンが利用でき、非常に微細なパターンの転写が、被プレス体を合成樹脂材とした場合に実施できる。
そして、積層体である被プレス体は、表面層の熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTg1とし、その表面層の下層にした熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTg2として、表面層の熱可塑性樹脂のガラス転移温度と前記下層の熱可塑性樹脂のガラス転移温度とが、Tg1<Tg2の関係にする。さらに、この被プレス体を熱プレスする熱プレス装置では、前記表面層に相対するプレス面からのプレス温度をTg1以上とする。
なお、この実施の例において、プレス面7、11それぞれは、冷却部8の挟み込部分6側の面で形成されているが、上記実施の例のように凸となる金属部材を一体に設けてプレス面を形成してもよい。
平プレス装置の形態である本発明の熱プレス装置を用いるとともに、被プレス体として合成樹脂製のシート用い、熱プレスによってシート状レンズを成形するテストを行った。
熱プレス装置は、加熱部は通電加熱ヒーターで加熱でき、冷却部は冷却水を流すことができるよう貫通穴が開けてあり、それにホースを繋いでバルブの開閉により冷却水のコントロールができるようにした。加熱部、冷却部の上下動作は空圧シリンダーにより動作可能にした。
プレス面は、冷却部の下面に50×50mmサイズでレンズパターンを有するニッケルスタンパーを粘着テープで取り付けて形成した。
下プレス部におけるプレート上のプレス面に試料(被プレス体)を置いて、上プレス部の加熱部のみを温度制御し、下プレス部は室温のままで上下動作しない状態でテストを行った。
比較のため30秒加圧した後加熱部のヒーターは切るが上昇させずに加熱部と冷却部を密着させたまま冷却を行うと14分かかった。
また、スタンパーのパターンを転写してなる成形品を観察すると、加熱部を残したまま冷却した方は高温の状態が長く続くため、被プレス体の熱による歪み、反りが生じ、加熱部と冷却部を離して冷却する方法に比べ品質に劣るものになった。
4…上プレス部
5…下プレス部
6…挟み込み部分
7…プレス面
8…冷却部
9…加熱部
10…流路
11…プレス面
12…被プレス体
Claims (5)
- 上プレス部と下プレス部とを備えていて、前記上下のプレス部の内の少なくとも一方のプレス部は、前記上ブレス部と下プレス部との間の被プレス体の挟み込み部分側からプレス面と冷却部とこの冷却部に離接可能な加熱部とが少なくともこの順で配されており、前記冷却部には流路が設けられている熱プレス装置であって、
前記一方のプレス部のプレス面と他方のブレス部のプレス面との間で被プレス体を挟み込みし、前記一方のプレス部のプレス面を、前記冷却部と一体となった前記加熱部から前記冷却部を介する熱伝導により加熱するとき、前記流路には高温の液体を流し、
前記冷却部からの前記加熱部の分離により、前記加熱部から前記冷却部への熱伝導を不能としたとき、前記流路には冷媒を通す構成を有することを特徴とする熱プレス装置。 - 上プレス部と下プレス部とを備えていて、前記上下のプレス部の内の少なくとも一方のプレス部は、前記上ブレス部と下プレス部との間の被プレス体の挟み込み部分側からプレス面と冷却部とこの冷却部に離接可能な加熱部とが少なくともこの順で配されて、前記冷却部にはこの冷却部自体を冷却することで前記被プレス体を冷却するための冷媒を通す流路が設けられており、前記一方のプレス部のプレス面と他方のブレス部のプレス面との間で被プレス体を挟み込みする熱プレス装置により、被プレス体を加熱加圧するにあたり、
前記一方のプレス部のプレス面を、冷却部と一体となった加熱部から前記冷却部を介する熱伝導により加熱して前記被プレス体を熱プレスした後、前記冷却部側からの被プレス体に対してのプレス状態を維持しながら冷却部から加熱部を離し、加熱部が分離した前記冷却部への冷媒の送り込みにより該冷却部と被プレス体とを冷却することを特徴とする熱プレス方法。 - 上記一方のプレス部のプレス面は、上記被プレス体にパターンを転写するためのスタンパーが設けられているものである請求項2記載の熱プレス方法。
- 請求項2または3の熱プレス方法における上記被プレス体を、該被プレス体の少なくとも上記一方のプレス部のプレス面に相対する表面が熱可塑性樹脂であるものとし、この熱可塑性樹脂からなる表面に前記プレス面に形成されているパターンを転写する熱プレスによるパターン転写方法。
- 上記被プレス体の熱可塑性樹脂からなる表面側は熱可塑性樹脂が積層されているものであって、表面層の熱可塑性樹脂はガラス転移温度をTg1とし、前記表面層の下層にした熱可塑性樹脂はガラス転移温度をTg2とし、
前記表面層の熱可塑性樹脂のガラス転移温度と前記下層の熱可塑性樹脂のガラス転移温度とが、Tg1<Tg2の関係であり、
前記表面層の熱可塑性樹脂の面に相対するプレス面からのプレス温度がTg1以上である請求項4に記載の熱プレスによるパターン転写方法。
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