JP7259366B2 - 熱プレス装置および成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、バラつきが抑制された成形体を効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
なお、本発明において、「熱伝導率」は、JIS R2616またはJIS R1611に準拠して測定することができる。
なお、本発明において、「引張弾性率」は、熱伝導層が樹脂製の場合にはJIS K7127に準拠して測定することができ、熱伝導層が金属製の場合には、JIS Z2241に準拠して測定することができる。
また、本発明によれば、バラつきが抑制された成形体を効率的に製造することができる。
なお、「光学レンズ」とは、光の屈折作用を示す透明体を意味する。また、「プリズム」とは、光の分散作用、屈折作用、全反射作用、および/または、複屈折作用を示す透明多面体を意味する。
そして、熱プレス装置を用いた透過型光学素子の製造方法では、比較的小径の各種透過型光学素子を高い形状精度で製造することができる。従って、本発明の成形体の製造方法によれば、例えば、小型電子電気機器のカメラユニットのレンズとして好適に用いることができる光学レンズを効率的に製造することができる。
なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを指す。そして、上述した熱可塑性樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
そして、本発明の熱プレス装置は、複数の成形用キャビティが設けられた加圧面を含む金型を有する一対のプレス盤部を備えており、対向する一対の加圧面で被プレス材をプレスすることにより、成形用キャビティの形状に対応した形状の成形体が一回のプレスで複数得られるものである。
更に、平面視端部は、厚み方向の熱伝導率が平面視中央部よりも高い。
なお、熱伝導調節部において、平面視端部の厚みは、平面視中央部の厚みよりも例えば10μm以上1000μm以下の範囲で厚くし得る。ここで、平面視端部と平面視中央部との厚みの差は、例えば金型の固定法や金型の成型法などに起因して生じ得る。
また、平面視端部における高熱伝導層以外の熱伝導層の厚みは、特に限定されることなく、例えば5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることが更に好ましく、1500μm以下であることが好ましく、1000μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることが更に好ましい。平面視端部における高熱伝導層以外の熱伝導層の厚みが上記下限値以上であれば、熱伝導率を細かく調整できる。また、平面視端部における高熱伝導層以外の熱伝導層の厚みが上記上限値以下であれば、高熱伝導層以外の熱伝導層自体の厚み精度を高める事ができる。
更に、平面視端部における全熱伝導層の厚みの合計に対する高熱伝導層の厚みの割合は、特に限定されることなく、例えば10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、99%以下であることが好ましく、98%以下であることがより好ましい。高熱伝導層の厚みの割合が上記下限値以上であれば、短時間で熱を伝える事ができる。また、高熱伝導層の厚みの割合が上記上限値以下であれば、平面視端部の熱伝導率を細かく調整できる。
なお、低コスト且つ簡易な構造で熱伝導調節部を構成する観点からは、共通熱伝導層は空気層を含むことが好ましい。金型との間に共通熱伝導層として空気層が存在していれば、金型の位置を微調整する事が可能である。
なお、空気層62は、平面視中央部60Aから平面視端部60Bまで延在する共通熱伝導層である。
なお、空気層62は、平面視中央部60Aから平面視端部60Bまで延在する共通熱伝導層である。
なお、断熱層63および空気層62は、平面視中央部60Aから平面視端部60Bまで延在する共通熱伝導層である。
また、本発明の成形体の製造方法は、本発明の熱プレス装置を用いて被プレス材を熱プレスし、複数の成形体を同時に成形する工程を含む。具体的には、本発明の成形体の製造方法は、加熱部を用いて金型を加熱する工程(A)と、被プレス材を熱プレスして複数の成形体を同時に成形する工程(B)と、金型を冷却する工程(C)と、形成された成形体を離型する工程(D)とを含む。本発明の熱プレス装置を使用すれば、工程(A)において加圧面を均一に加熱し、バラつきが抑制された成形体を効率的に製造することができる。
そして、工程(A)は、プレス圧を工程(B)におけるプレス圧に切り替える時点を終点とする。なお、工程(A)では、工程(A)の終点より前のタイミング(例えば、工程(A)の終了時点の50秒前の時点)で加熱が完了していてもよい。また、工程(A)の時間は、150秒以下とすることが好ましい。
さらに、工程(D)のみならず、上述した工程(A)以降、工程(D)を開始する時点までの各段階において、被プレス材に対して継続的または断続的に張力がかけられていることが好ましい。得られる成形体の形状精度を一層高めることができるからである。勿論、上記期間以外に行う他の工程においても、成形体に対して張力がかけられていても良い。
実施例および比較例において、各種評価は以下の方法で行った。
熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析計(SIIナノテクノロジー社製、「DSC6220」)を用いて、JIS K6911に基づき昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(2)熱可塑性樹脂フィルムおよび熱伝導層の厚み
スナップゲージ(ミツトヨ製)を用いて、熱可塑性樹脂フィルムおよび熱伝導層の任意の5箇所の厚みを測定し、平均値を熱可塑性樹脂フィルムおよび熱伝導層の厚みとした。但し、熱伝導層が空気層の場合は、空気層にシックネスゲージを差し込み、厚みを測定した。
(3)熱伝導率
熱伝導率が10W/m・K以下のものは、JIS R2616に準拠して測定し、10W/m・K超のものは、JIS R1611に準拠して測定した。
(4)熱伝導層の引張弾性率
樹脂製の熱伝導層は、JIS K7127に準拠して測定した。また、金属製の熱伝導層は、JIS Z2241に準拠して測定した。
(5)光学レンズの厚み精度(中央と端部のレンズ中央厚みの差)
加圧面の中央付近で形成された光学レンズ7個と、中央から50mm以上離れた端部付近の光学レンズ7個とを任意にサンプリングし、形状測定装置(パナソニック社製、UA3P)にてそれぞれの光学レンズ中央の厚みを測定し、下記式にて光学レンズの厚み精度Yを求めた。Yの値が小さいほど、厚み精度に優れていることを示す。
加圧面の中央付近で形成された光学レンズ7個と、中央から50mm以上離れた端部付近の光学レンズ7個とを任意にサンプリングし、形状測定装置(パナソニック社製、UA3P)にてそれぞれの光学レンズの上面と下面の中心位置の差を測定した。そして、14個の光学レンズの標準偏差を光学レンズ上下中心位置精度とした。標準偏差の値が小さいほど、上下中心位置精度が優れていることを示す。
(7)熱伝導層の耐久性
50回連続でプレスした後の熱伝導層の厚みを測定し、プレス前の熱伝導層の厚みに対しての変化率(={|プレス後の厚み-プレス前の厚み|/プレス前の厚み}×100%)を求め、下記基準にて評価した。変化率が小さいほど、熱伝導層が耐久性に優れていることを示す。
A:変化率が5%以下
B:変化率が5%超50%以下
C:変化率が50%超
(8)加圧面の温度分布
K型熱電対(理化工業製、ST-56)を準備し、金型/ポリイミドテープ/K型熱電対/シリコンシート/ポリイミドテープの構成にして、金型表面(加圧面)の温度を測定した。測定位置は、加圧面中央と、金型の4辺から100mm内側の端部4か所の合計5箇所である。
シクロオレフィン系樹脂であるZEONEX E48R(ガラス転移温度139℃、日本ゼオン(株)製)のペレットを100℃で5時間乾燥した後、単軸の押出し機に供給した。樹脂は押出し機内で溶融された後、ポリマーパイプおよびポリマーフィルターを経て、Tダイからキャスティングドラム上にシート状に押出されて冷却され、厚み400μm、幅300mmの熱可塑性樹脂フィルム(被プレス材)のロールを得た。
得られた熱可塑性樹脂フィルムのロールと、図1および2に示した熱プレス装置とを使用し、ロール・ツー・ロール方式で光学レンズを製造した。なお、ヒーターとしては、誘導加熱方式のヒーターを用いた。また、使用した熱プレス装置の熱伝導調節部の厚み(ヒーターと平板金型との間の距離)は、平面視中央部が223μmであり、平面視端部(加圧面の各端縁の中央から100mm内側に入った位置(4箇所)の平均値)が740μmであった。更に、平面視端部の金属層(高熱伝導層)としては、厚さ600μm、幅200mmの四角環状のSTAVAX板(熱伝導率:20W/m・K、引張弾性率:180GPa)を使用した。また、平板金型としては、表面がNi系めっきされており、直径5mmの光学レンズ(凹凸レンズ)を形成する成形用キャビティ(最浅部の深さ:300μm、最深部の深さ:660μm)を加圧面に240個有するものを使用した。
具体的には、まず、ヒーターの設定温度を190℃にして平板金型を加熱し、120秒後に、加圧面について、中央と、各辺の中央から100mm内側の4箇所(端部A~D)との合計5箇所の温度を測定した。結果を表1に示す。
次に、搬送方向(フィルムの長手方向に沿う方向)に張力をかけた状態の熱可塑性樹脂フィルムを所定位置まで搬送した。そして、90℃の状態で上記一対の平板金型により熱可塑性樹脂フィルムを挟み込み(プレス圧:1kN)、その状態を維持したまま、190℃まで平板金型を加熱した(工程(A))。そして、一対の平板金型を用いてプレス圧6kNで熱可塑性樹脂フィルムを熱プレスして、成形物としての熱プレスフィルムを得た(工程(B))。さらに、熱プレスフィルムをプレスしたままの状態で、一対の平板金型を90℃まで冷却して、金型間に挟まれた状態の熱プレスフィルムを冷却した(工程(C))。その後、平板金型を開いて金型の冷却を終了し、得られた成形フィルムを離型した(工程(D))。そして、得られた成形フィルムについて、丸刃での打ち抜きを実施して成形体としての光学レンズを得た。搬送を開始してから離型を完了するまでに要した時間(工程(A)~工程(D)の実施に要するサイクルタイム)は、240秒であり、工程(A)に要した時間は120秒であり、熱プレス(工程(B))に要した時間は30秒であった。得られた光学レンズについて、上記に従って各種測定および評価を行った。結果を表1に示す。
平面視端部の金属層として、STAVAX板に替えて厚さ550μm、幅200mmの四角環状のアルミニウム板(熱伝導率:236W/m・K、引張弾性率:69GPa)を使用した以外は実施例1と同様にして光学レンズを製造し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
平面視端部の金属層として、STAVAX板に替えて厚さ600μm、幅200mmの四角環状の銅板(熱伝導率:398W/m・K、引張弾性率:117GPa)を使用した以外は実施例1と同様にして光学レンズを製造し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
平面視端部の金属層として、STAVAX板に替えて厚さ600μm、幅200mmの四角環状のSUS304板(熱伝導率:16.7W/m・K、引張弾性率:197GPa)を使用し、熱可塑性樹脂フィルムを枚葉で供給した以外は実施例1と同様にして光学レンズを製造し、各種評価を行った。結果を表1に示す。なお、熱可塑性樹脂フィルムの供給を開始してから離型を完了するまでに要した時間(サイクルタイム)は、600秒であった。
厚さが125μm、75μmおよび25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン製、カプトン)を準備した。そして、厚さ125μmのポリイミドフィルム5枚、厚さ75μmのポリイミドフィルム1枚および厚さ25μmのポリイミドフィルム1枚を積層し、厚さ725μm、幅200mmの四角環状のポリイミド板(熱伝導率:0.16W/m・K、引張弾性率:3.3GPa)を作製した。
そして、高熱伝導層として金属層に替えて上記ポリイミド板よりなる樹脂層を使用した以外は実施例1と同様にして光学レンズを製造し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
厚さが100μmのポリテトラフルオロエチレンフィルム(フロンケミカル製、ネオフロンFEPフィルム)7枚を積層し、厚さ700μm、幅200mmの四角環状のPTFE板(熱伝導率:0.23W/m・K、引張弾性率:0.5GPa)を作製した。
そして、高熱伝導層として金属層に替えて上記PTFE板よりなる樹脂層を使用した以外は実施例1と同様にして光学レンズを製造し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
使用した熱プレス装置の熱伝導調節部の構造を図3(a)に示す構造とし、熱伝導調節部の平面視中央部の厚みを200μmとし、平面視端部の厚みを720μmにした以外は実施例1と同様にして光学レンズを製造し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
なお、平面視中央部の断熱層としては、厚さ100μmの断熱シート(パナソニック製、NASBIS)2枚を積層して形成した厚さ200μmの断熱板(熱伝導率:0.02W/m・K)を使用し、平面視端部の金属層としては実施例1と同じSTAVAX板を用いた。
平面視端部に高熱伝導層としての金属層を配置しなかった(即ち、熱伝導調節部を1つの空気層のみで構成した)以外は実施例1と同様にして光学レンズを製造し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
また、本発明によれば、バラつきが抑制された成形体を効率的に製造することができる。
2 固定プレス盤部
4 駆動機構
10 平板金型
11 加圧面
20 テーブル
30 固定具
50 ヒーター
60 熱伝導調節部
60A 平面視中央部
60B 平面視端部
61 金属層
62 空気層
63 断熱層
100 熱プレス装置
Claims (10)
- 複数の成形用キャビティが設けられた加圧面を含む金型を有する一対のプレス盤部を備える熱プレス装置であって、
少なくとも一方のプレス盤部は、前記金型を加熱する加熱部と、前記金型と前記加熱部との間に位置する熱伝導調節部とを更に有し、
前記熱伝導調節部は、平面視中央部が、少なくとも1層の熱伝導層を有し、平面視端部が、厚み方向の熱伝導率が互いに異なる少なくとも2層の熱伝導層を有し、且つ、前記平面視端部が、前記平面視中央部よりも厚み方向の熱伝導率が高く、
前記熱伝導調節部は、前記平面視中央部から前記平面視端部まで延在する共通熱伝導層を少なくとも1層有し、且つ、前記平面視端部は、前記共通熱伝導層よりも厚み方向の熱伝導率が高い熱伝導層を少なくとも1層有し、
前記共通熱伝導層は空気層を含む、熱プレス装置。 - 前記熱伝導調節部は、前記平面視中央部の厚みが、前記平面視端部の厚みよりも薄い、請求項1に記載の熱プレス装置。
- 前記平面視端部に位置する熱伝導層のうち厚み方向の熱伝導率が最も高い熱伝導層の厚み方向の熱伝導率が、他の熱伝導層の厚み方向の熱伝導率の平均値よりも0.5W/m・K以上高い、請求項1または2に記載の熱プレス装置。
- 前記厚み方向の熱伝導率が最も高い熱伝導層の引張弾性率が2.5GPa以上である、請求項3に記載の熱プレス装置。
- 透過型光学素子の成形に用いられる、請求項1~4の何れかに記載の熱プレス装置。
- 請求項1~5の何れかに記載の熱プレス装置を用いて被プレス材を熱プレスし、複数の成形体を同時に成形する工程を含む、成形体の製造方法。
- 前記成形体が樹脂成形体である、請求項6に記載の成形体の製造方法。
- 前記成形体が透過型光学素子である、請求項6または7に記載の成形体の製造方法。
- 金型を加熱する工程(A)と、被プレス材を熱プレスして複数の成形体を同時に成形する工程(B)とを繰り返し実施して成形体を連続的に製造する、請求項6~8の何れかに記載の成形体の製造方法であって、
前記工程(B)間の間隔が300秒以下である、成形体の製造方法。 - 前記被プレス材をロール・ツー・ロール方式で供給して前記成形体を連続的に製造する、請求項9に記載の成形体の製造方法。
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