JP5192792B2 - 透明導電膜とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高い耐環境変動性と高い光線透過率とを同時に達成可能な透明導電膜とその製造方法に関する。そのような透明導電膜は、主としてタッチパネル、PDP(ポータブル・ディスプレイ・パネル)、LCD(液晶ディスプレイ)、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、太陽電池、表面弾性波素子、赤外線カットなどを目的とする窓ガラスコーティング、ガスセンサ、非線形光学を活用するプリズムシート、透明磁性体、光学記録素子、光スイッチ、光導波路、光スプリッタ、光音響材料、高温発熱ヒータなどにおいて好ましく利用され得るものである。
タッチパネル、ディスプレイ、太陽電池などに利用される透明導電膜においては、それに含まれる透明導電層として酸化インジウム錫(ITO)、酸化錫、酸化亜鉛などの透明導電性酸化物(TCO)が広く使用されている。そのような透明導電層はマグネトロンスパッタリング法やモレキュラビームエピタキシ法などの物理気相堆積法(PVD法)または熱CVDやプラズマCVDなどの化学気相堆積法(CVD法)によって形成され得るほか、無電解法によっても形成され得ることが知られている。
TCOの中でもITOは透明導電材料として非常に優れた材料であり、現在では広く透明導電層に使用されている。しかしながら、原料のインジウムが枯渇する可能性があり、資源的にもコスト的にもITOに替わる材料の探索が急務となっている。さらに、透明導電膜を利用する製品の高性能化の要望に伴って、透明導電膜の透明性を従来よりも高くする技術も望まれている。
ITOに替わる透明導電性材料としては、酸化亜鉛(ZnO)が代表として挙げられる。ZnOはITOと比較して透明性に優れる反面、水分や熱に対する安定性に劣ることが非特許文献1に記載されている。
ところで、例えばタッチパネルに用いられる透明導電膜は、用途の性質上から耐衝撃性が必要である場合が多い。特許文献1〜3においては、透明導電層上に被覆層を形成することによって耐衝撃性が向上する旨が述べられている。しかし、それらの特許文献に記載されている窒化物被覆層や酸化物被覆層などは、水分や熱に対する安定性に優れる可能性はあるが、導電性に課題が残る。一方、カーボン材料の一部には導電性に優れるものもあるが、特許文献1〜3に記載されているカーボン膜では水分や熱に対する安定性の改善には効果がない。
特開2001−283643号公報 特開2003−34860号公報 特開2003−109434号公報 澤田豊監修、「透明導電膜」、第17頁、2005年、シーエムシー出版社発行 斎藤秀俊監修、「DLC膜ハンドブック」、第495頁以下、2006年、エヌ・ティー・エス社発行
上述のように、例えばタッチパネルに用いられる透明導電膜の重要な要素としては、透明性、耐衝撃性、水分や熱に対する安定性、および導電性が考えられる。しかし、現在主流となっているITO膜以上にすぐれた透明導電性膜は実用化に至っていない。
そこで、本発明は、高い耐環境変動性と高い光線透過率とを同時に達成可能な透明導電膜とその製造方法を提供することを目的としている。
本発明による透明導電膜は、透明基板上において1層以上の透明導電層と、その上の複数層の水素含有カーボン層とを含み、透明導電層の少なくとも1層は酸化亜鉛を含み、水素含有カーボン層の少なくとも2層はその構造と組成との少なくともいずれかにおいて互いに異なっており、1層以上の透明導電層が堆積された透明基板の光線透過率をT0としかつ複数層の水素含有カーボン層まで堆積された透明基板の光線透過率をT1とした場合に波長550nmの光に関してT1/T0≧1.02の関係が成り立つことを特徴としている。
なお、複数層の水素含有カーボン層の少なくとも1層は、波長550nmの光に関して1.40〜1.70の範囲内の屈折率を有していることが好ましい。また、複数層の水素含有カーボン層上に、厚さ20nm以下でかつ酸化亜鉛を含む透明導電酸化物層をさらに含むこともできる。
さらに、本発明の透明導電膜を製造するための方法においては、水素含有カーボン層が、メタンガスまたはメタンと水素の混合ガスを原料ガスとして使用する高周波プラズマCVD法によって形成されることが好ましい。
以上のような本発明によって、タッチパネル、ELディスプレイ、太陽電池などのために特に重要な特性である「透明性」および「耐環境変動性」において良好な透明導電膜を提供することが可能となる。
従来から、ダイヤモンドライクカーボン膜を代表とするカーボン膜は、表面の摩擦低減を目的としてコーティングされている。近年では、カーボン膜は、太陽電池や化合物半導体高速電子デバイスなどに用いられる低誘電率膜などへの応用が期待されている(非特許文献2)。また、特許文献1〜3においては、カーボン膜を被覆層として含む透明導電膜の開示がある。
通常では、これらのカーボン膜はアルゴンガスを用いてターゲットのカーボン材料をスパッタリングすることによって成膜され、堆積されるカーボン膜は水素を含まないアモルファスカーボン膜である。このようなカーボン膜の製法では硬い膜を形成することが可能であるが、そのような硬質カーボン膜は水分や熱に対する安定な保護効果を生じ得ない。本発明者らは、構造中に水素を含有するカーボン層(以下、「水素含有カーボン層」と称す)を被覆層として使用することによって、酸化亜鉛を含む透明導電層が水分や熱に対して安定に特性を維持し得ることを見出した。本発明者らはさらに、水素含有カーボン層の堆積条件を調整することによって、水素含有カーボン層で被覆された透明導電層の光線透過率を容易に高め得ることをも見出した。
図1は、本発明の一実施形態による透明導電膜を模式的な断面図で示している。この図において、厚さ0.05〜1.5mmの透明基板1上に、酸化亜鉛を含む透明導電層2が設けられている。透明導電層2の表面は、順に堆積された第1種水素含有カーボン層3と第2種水素含有カーボン層4によって被覆されている。第1種水素含有カーボン層3と第2種水素含有カーボン層4とは、それらの構造および/または組成が互いに異なるものである。
なお、第1種水素含有カーボン層3と第2種水素含有カーボン層4とは積層順を逆転してもよく、それらの積層を3層以上順次繰り返してもよい。また、第1種水素含有カーボン層3と第2種水素含有カーボン層4の積層中に他の種類のカーボン層が含められてもよい。さらに、透明導電層2は単一層である必要はなく、少なくとも1層の酸化亜鉛層を含む限りにおいて複数のTCO層で置き換えられてもよいことは言うまでもない。
透明基板1は、少なくとも可視光領域において透明であればよく、硬質材料と軟質材料のいずれであってもよい。そのような硬質材料としては、アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラスなどのガラス材料がその代表例であるが、サファイヤ基板などももちろん使用し得る。ガラス基板を使用する場合、その厚みは使用目的に応じて任意に選択することができるが、取り扱いの容易性と重量とのバランスに鑑みて0.5mm〜4.5mm範囲内の厚さが好ましい。すなわち、薄過ぎるガラス基板は、その強度が不足するので、衝撃によって割れやすい。逆に、厚過ぎるガラス基板は、その重量が大きくなることとから好ましくなく、また透明導電膜が適用される機器の厚みに影響を及ぼしてポータブル機器への適用が困難となる観点からも好ましくない。さらに、厚いガラス基板は、透明性とコストの面からも好ましくない。
他方、軟質の基板材料としては、アクリル、ポリエステル、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂やポリウレタンなどの熱硬化性樹脂からなるフィルムが代表例であるが、特に優れた光学等方性と水蒸気遮断性に優れるポリシクロオレフィンを主成分とするフィルムが好ましく使用され得る。ポリシクロオレフィンフィルムは、ノルボルネンの重合体、ノルボルネンとオレフィンとの共重合体、シクロペンタジエンなどの不飽和脂環式炭化水素の重合体などとして形成され得る。水蒸気遮断性の観点からは、フィルム構成分子の主鎖および側鎖には大きな極性を示す官能基、例えばカルボニル基やヒドロキシル基を含まないことが好ましい。これらの軟質基板の厚みも使用目的に応じて任意に選択することができるが、0.03mm〜3.0mm程度の範囲内の厚さであれば基板の取り扱いが容易である。すなわち、薄過ぎるフィルムは、ハンドリングが困難であることと強度が不足することから好ましくない。逆に、厚過ぎるフィルムは、透明性とコストの観点から好ましくなく、また透明導電膜が適用される機器の厚みに影響を及ぼしてポータブル機器への適用が困難となる観点からも好ましくない。
基板1としてフィルムを用いる場合、基板フィルムは延伸されることによって位相差値を有し得る。基板フィルムが位相差値を有すれば、偏光板との組み合わせによって低反射パネルを作製することが可能であり、画像の視認性が大幅に向上することを期待し得る。
基板フィルムに位相差値を持たせるためには、周知の方法を利用することができる。例えば、一軸延伸や二軸延伸などの延伸処理や配向処理が利用され得る。この際に、フィルムをガラス転移温度近くに維持することによって、ポリマー骨格の配向を促進させることが可能となる。レタデーション値の好ましい範囲は、透明導電膜の目的とする機能によって異なるが、反射防止機能を目的とする場合には50〜300nmの範囲内であることが好ましく、人間が最も強く認識する光の約550nmの波長に対して1/4となる137nm程度であることがより好ましい。
本発明における透明導電層2には、透明性の高さの観点と水素含有カーボン層の堆積時に存在する水素プラズマに対して還元反応を生じ難い観点から、TCO中でも酸化亜鉛が用いられる。その透明導電層には、抵抗率制御や安定性を目的としてドーピング剤を添加することができる。ドーピング剤としては、例えばアルミニウム、ガリウム、インジウム、錫、ホウ素などを含む化合物や、リン、窒素などを含む化合物が挙げられる。
透明導電層2の堆積方法としては、均一な薄膜が形成され得る限りにおいて種々の方法を利用することができる。例えば、スパッタリング、蒸着などのPVD法や各種CVD法のような気相堆積法、さらには透明導電層の原料を含む溶液をスピンコート、ロールコート、スプレー、ディッピングなどによって塗布した後に加熱処理で透明導電層を形成する方法を利用することができる。しかし、ナノメートルレベルの厚さの薄膜を形成しやすいという観点から、気相堆積法が好ましい。
気相堆積法で透明導電層を形成する場合、好ましい基板の温度は基板の軟化温度にも依存するが、室温から基板のガラス転移温度以下の温度が好ましく、基板のガラス転移温度より30℃程度低い温度がより好ましい。すなわち、基板温度が低過ぎれば、透明導電層の結晶性が悪くなって、望まれる透明性や導電性を達成できない可能性がある。逆に、基板温度が高過ぎれば、フィルム基板が有する位相差値が変化または消失する可能性がある。
透明導電層の気相堆積には、プラズマ放電を利用することができる。プラズマを生じさせる印加電力には特に制限はないが、透明導電層の生産性や結晶性の観点から10W〜600Wの範囲内であることが好ましい。印加電力が小さ過ぎる場合には、透明電極層が堆積されない可能性がある。逆に、印加電力が大き過ぎる場合には、プラズマによる基板へのダメージや成膜装置へのダメージが懸念される。透明導電層の堆積時に使用するキャリアガスとしては、一般的な気相堆積法に使用されるガスを使用することができ、例えばアルゴン、水素、酸素、窒素などを使用することができる。
水素含有カーボン層3、4は、空気や水分に対する酸化亜鉛透明導電層の保護を目的とするとともに、透明導電層における物理的衝撃に対する耐久性の向上と光線透過率の向上をも目的として堆積される。これらの水素含有カーボン層としては、構造中に水素を含むハイドロカーボンが好ましく、物理的強度や透明性の観点からアモルファスハイドロカーボンやテトラヘドラルアモルファスハイドロカーボンが好ましく使用され得る。また、水素含有カーボン層3、4のうちの少なくとも1層は、波長550nmの光に関して1.40〜1.70の範囲内の屈折率を有することが好ましい。このような屈折率を有する水素含有カーボン層で被覆することによって、透明導電膜の光線透過率の向上が可能となる。
通常のカーボン層は、周知のCVD法、スパッタ法、イオンプレーティング法、蒸着法などの技術によって形成されるのが一般的であるが、本発明における水素含有カーボン層は、高周波プラズマCVD法によってのみ形成可能である。この高周波プラズマCVD法に使用される高周波電源の周波数帯にはRF、VHF、マイクロ波などの種類があるが、どの種類の高周波電源を用いても所望の水素含有カーボン層を得ることができる。また、原料ガスとしては炭素と水素を含む一般的ガスを使用することができ、所望する水素含有カーボン層の構造に応じて、例えばメタンガスのみの使用またはそれを水素で希釈して使用することができる。プラズマを生じるための印加電力としては、特に制限はないが5W〜600Wの範囲内であることが好ましい。すなわち、印加電力が小さ過ぎる場合には水素含有カーボン層の堆積が達成されず、逆に大き過ぎる場合は過剰なプラズマによって透明導電層2がエッチングされる可能性がある。
透明導電膜が主にタッチパネル、エレクトロルミネッセンス電極材料、太陽電池などに使用される場合には、電気的なコンタクト性を向上させる目的のために、図2の模式的断面図に示されているように水素含有カーボン層4上に、付加的な酸化亜鉛の透明導電層5が20nm以下の厚さに堆積され得る。すなわち、ここにおけるコンタクト性とは、透明導電膜と対向電極や電荷移動層との界面における電気の流れやすさを意味する。このように薄い付加的な透明導電層5を形成することによって、透明導電膜のコンタクト性の改善が可能となる。
付加的透明導電層5においては、透明性を優先してドーピングしなくてもよいが、ドーピングすることによってコンタクト性改善への寄与を大きくすることが可能である。そのドーピング剤としては、例えばアルミニウム、ガリウム、インジウム、錫、ホウ素などを含む化合物やリン、窒素などを含む化合物を利用することができる。
付加的透明導電層5は薄いほど好ましくて、20nm以下の厚さに形成されるが、10nm以下の厚さであることがより好ましい。付加的透明導電層5はコンタクト性の改善を目的としており、透明導電膜の面抵抗率は下層の透明導電層2および水素含有カーボン層3、4によって制御する必要がある。すなわち、付加的透明導電層5の厚さは、透明導電膜の面抵抗率に影響を与えない20nm以下である。また、前述の酸化亜鉛層の水分や熱に対する不安定さも、その厚さを20nm以下に小さくすることによって回避することができる。
透明導電膜の面抵抗率は、JISK7194に規定されている四探針圧接測定法によって測定された。その面抵抗率の値は、例えばタッチパネルなどに必要とされる特性に依存して異なるが、200〜2000Ω/□の範囲内であることが好ましい。すなわち、面抵抗率が大き過ぎることは透明導電層が薄過ぎることを意味し、透明導電膜の面抵抗率が安定にならず、特に高温高湿環境下に放置すれば面抵抗率が容易に上昇する。逆に、面抵抗率が小さ過ぎることは透明導電層が厚過ぎることを意味し、その内部応力によって透明導電層が割れやすくなり、透明導電層の透過率低下やコスト上昇の問題をも生じる。
波長550nmの光に関する透明導電膜の光線透過率は、JISK7105に規定されている積分球式光線透過率測定装置を用いて測定された。本発明による透明導電膜の光線透過率においては、透明基板1上に透明導電層2形成した後の透過率をT0して、水素含有カーボン層3、4で被覆した後の透過率をT1とした場合に、T1/T0≧1.02の関係を満たすことが重要な特徴である。ただし、これらの透過率T1とT2は、上述のように波長550nmの光に関するものである。すなわち、本発明においては、水素含有カーボン層の組成や構造を制御することによって、一般的な低反射膜と同等以上の効果を示すことが見出された。
以下においては、上述の本発明の実施形態に対応して、種々の実施例が幾つかの比較例とともに説明される。
(実施例1)
本発明の実施例1においては、図1に対応して、無アルカリガラス基板1(商品名OA−10、膜厚0.7mm、日本電気硝子社製)上に、酸化亜鉛の透明導電層2がスパッタリングによって堆積された。具体的な堆積条件として、成膜室内において基板温度が200℃に設定され、キャリアガスとしてアルゴンガスが20sccmの流量で導入され、8Paの圧力下で200WのDCパワーが印加され、そして5分間の堆積を行なうことによって厚さ50nmの酸化亜鉛層2が形成された。
酸化亜鉛層2上には、第1種水素含有カーボン層3が高周波プラズマCVD法で堆積された。具体的な堆積条件として、成膜室内において基板温度が200℃に設定され、メタンガスと水素ガスがそれぞれ10sccmと200sccmの流量で導入され、70Paの圧力下で200WのRFパワーが印加され、そして20分間の堆積を行なうことによって厚さ5nmの第1種水素含有カーボン層3が形成された。こうして得られた第1種水素含有カーボン層3は、波長550nmの光に関して1.90の屈折率を有していた。なお、この屈折率は、分光エリプソメータVASE(ジェイ・エー・ウーラム社製)の測定をフィティングすることによって得られた。
第1種水素含有カーボン層3上には、異なる組成を有する第2種水素含有カーボン層4が高周波プラズマCVD法で堆積された。具体的な堆積条件として、成膜室内において基板温度が200℃に設定され、メタンガスが50sccmの流量で導入され、70Paの圧力下で200WのRFパワーが印加され、そして20分間の堆積を行なうことによって厚さ80nmの第2種水素含有カーボン層4が形成された。この第2種水素含有カーボン層4は、波長550nmの光に関して1.55の屈折率を有していた。
こうして作製された本実施例1の透明導電膜における面抵抗率は290Ω/□であり、波長550nmの光に関する光線透過率は90%であった。
また、この透明導電膜において、T1/T0=1.07であった。このことは、第1種水素含有カーボン層3と第2種水素含有カーボン層4で酸化亜鉛層2を被覆することによって、光線透過率が顕著に改善されたことを意味する。
さらに、本実施例1の透明導電膜を85℃と85%RH(相対湿度)の環境下で1週間放置したところ、面抵抗率が300Ω/□へ少し上昇したが、波長550nmの光に関する光線透過率は90%のままであった。このことは、後述の比較例1との対比から分かるように、第1種水素含有カーボン層3と第2種水素含有カーボン層4で酸化亜鉛層2を被覆することによって、透明電極膜の面抵抗率に関する耐候性が顕著に改善されることを意味する。
(実施例2)
本発明の実施例2においては、まず実施例1の場合と同様にして、無アルカリガラス基板1上に、酸化亜鉛層2、第1種水素含有カーボン層3、および第2種水素含有カーボン層4が順次堆積された。
その後さらに、第2種水素含有カーボン層4上に、第3層目の水素含有カーボン層(図示せず)が高周波プラズマCVD法で堆積された。この第3層目の水素含有カーボン層は、第1層目の第1種水素含有カーボン層3と全く同じ堆積条件で形成されており、同じ厚さ、構造、組成、および屈折率を有するものである。
こうして作製された本実施例2の透明導電膜における面抵抗率は320Ω/□であり、波長550nmの光に関する光線透過率は86%であった。また、この透明導電膜においては、T1/T0=1.02であった。
さらに、本実施例2の透明導電膜を85℃と85%RHの環境下で1週間放置したところ、面抵抗率は320Ω/□のままであり、波長550nmの光に関する光線透過率も86%のままであった。
実施例1に比べて、本実施例2の透明導電膜においては付加的な水素含有カーボン層を含んでいるので、面抵抗率が少し上昇して光線透過率が少し低下しているが、面抵抗率に関する耐候性が改善していることが分かる。すなわち、本発明による透明電極膜において、望まれる場合には、3層以上の水素含有カーボン被覆層を含んでもよいことが明らかであろう。
(実施例3)
本発明の実施例3による透明導電膜は、実施例1に比べて、第1種水素含有カーボン層3と第2種水素含有カーボン層4の積層順序が反転されていたことのみにおいて異なっていた。
こうして作製された本実施例3の透明導電膜において、面抵抗率は290Ω/□であり、波長550nmの光に関する光線透過率は88%であった。また、この透明導電膜においては、T1/T0=1.03であった。
さらに、本実施例3の透明導電膜を85℃と85%RHの環境下で1週間放置したところ、面抵抗率は300Ω/□へ少し上昇し、波長550nmの光に関する光線透過率は88%のままであった。
すなわち、本実施例3と実施例1との比較から、第1種水素含有カーボン層3と第2種水素含有カーボン層4は、それらの積層順序にかかわらずにほぼ同等の効果を発揮し得ることが理解されよう。
(実施例4)
本発明の実施例4による透明導電膜は図2に対応しており、実施例1に比べて、第2種水素含有カーボン層4上に付加的な酸化亜鉛層5が堆積されたことのみにおいて異なっていた。
この付加的な酸化亜鉛層5の堆積条件は、酸化亜鉛透明導電層2に比べて、堆積時間が1分間に短縮されて堆積厚さが10nmに低減されたことのみにおいて異なっていた。
こうして作製された本実施例4の透明導電膜における面抵抗率は290Ω/□であり、波長550nmの光に関する光線透過率は90%であった。
さらに、本実施例4の透明導電膜を85℃と85%RHの環境下で1週間放置したところ、面抵抗率が300Ω/□へ少し上昇し、波長550nmの光に関する光線透過率は90%のままであった。
すなわち、本実施例4と実施例1との比較から、水素含有カーボン被覆層上に厚さ10nm以下の極めて薄い付加的な酸化亜鉛層を堆積しても、透明電極膜の特性および耐候性に対して何ら悪影響を及ぼさないことが明らかであろう。
(比較例1)
比較例1としての透明導電膜は、実施例1に比べて、第2種水素含有カーボン層4の堆積が省略されたことのみにおいて異なっていた。
こうして作製された本比較例1の透明導電膜における面抵抗率は310Ω/□であり、波長550nmの光に関する光線透過率は85%であった。また、この透明導電膜においては、T1/T0=1.01であった。
さらに、本比較例1の透明導電膜を85℃と85%RHの環境下で1週間放置したところ、面抵抗率は310Ω/□のままであり、波長550nmの光に関する光線透過率も85%のままであった。
すなわち、実施例1に比べて、本比較例1の透明導電膜においては、第2種水素含有カーボン層4の堆積が省略されたことによって、面抵抗率が上昇するとともに、光線透過率が低下している。
(比較例2)
比較例2としての透明導電膜は、実施例1に比べて、第1種と第2種の水素含有カーボン層3、4のいずれの堆積も省略されたことのみにおいて異なっていた。
こうして作製された本比較例の透明導電膜における面抵抗率は280Ω/□であり、波長550nmの光に関する光線透過率は85%であった。
また、本比較例2の透明導電膜を85℃と85%RHの環境下で1週間放置したところ、面抵抗率が700Ω/□へ大きく増大し、波長550nmの光に関する光線透過率は85%のままであった。
すなわち、実施例1に比べて、本比較例2の透明導電膜においては、第1種と第2種のいずれの水素含有カーボン被覆層も省略されているので、面抵抗率に関する耐候性が実用に適しない程に低くなっている。
以上のように、本発明によれば、高い耐環境変動性と高い光線透過率とを同時に達成可能な透明導電膜とその製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態による透明導電膜の積層構造を示す模式的断面図である。 本発明の他の実施形態による透明導電膜の積層構造を示す模式的断面図である。
符号の説明
1 透明基板、2 透明導電層、3 第1種水素含有カーボン層、4 第2種水素含有カーボン層、5 付加的透明電極層。

Claims (4)

  1. 透明基板上において1層以上の透明導電層と、その上の複数層の水素含有カーボン層とを含み、
    前記透明導電層の少なくとも1層は酸化亜鉛を含み、
    前記水素含有カーボン層の少なくとも2層はその構造と組成との少なくともいずれかにおいて互いに異なっており、
    前記1層以上の透明導電層が堆積された前記透明基板の光線透過率をT0としかつ前記複数層の水素含有カーボン層まで堆積された前記透明基板の光線透過率をT1とした場合に、波長550nmの光に関してT1/T0≧1.02の関係が成り立つことを特徴とする透明導電膜。
  2. 前記複数層の水素含有カーボン層の少なくとも1層は、波長550nmの光に関して1.40〜1.70の範囲内の屈折率を有していることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜。
  3. 前記複数層の水素含有カーボン層上に、厚さ20nm以下でかつ酸化亜鉛を含む透明導電酸化物層をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電膜。
  4. 請求項1から3のいずれかの透明導電膜を製造するための方法であって、
    前記水素含有カーボン層が、メタンガスまたはメタンと水素の混合ガスを原料ガスとして使用する高周波プラズマCVD法によって形成されることを特徴とする透明導電膜の製造方法。
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