JP5187151B2 - 線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板及びその製造方法 - Google Patents

線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、造船、建築、橋梁、海洋構造物などの溶接鋼構造物分野のうち、特に造船分野で多く用いられる鋼板の線状加熱による変形・成形作業、すなわちガスバーナーにより鋼板の表面または裏面を線状加熱し、引き続き該加熱部を水冷して鋼板を曲げ変形させる鋼板の熱加工作業において、変形量が大きく、作業効率を向上させることが可能な厚鋼板及びその製造方法に関する。
造船分野における船殻などの船舶構造体は、航海中の水流抵抗を少なくするために外面が連続した滑らかな曲率面とする必要があり、主に厚さ10〜30mmの厚鋼板を予め所定形状に曲げ加工した後、鋼板の端面同士を溶接して連続した滑らかな曲率面を有する溶接構造体としている。
このような鋼板の曲げ加工は、船舶構造体の部位によって複雑かつ微妙な曲率に加工する必要があるため、単純かつ画一的なプレス加工だけでは対処できない。したがって、通常はプレス粗加工を行った後、線状加熱による曲げ加工、すなわちガスバーナーなどを用いて鋼板を線状に局所加熱し、加熱直後に水冷を行う方法を用いている。
この線状加熱による曲げ加工によって所定形状にするためには、一般的に長時間を要することから、造船工程のボトルネックの一つであり、コスト増加の要因になっている。このため、作業効率向上に寄与するような鋼板が望まれている。
線状加熱による鋼板の熱変形は、加熱部が熱膨張後、冷却により収縮する際に、その周囲の非加熱領域からの拘束により鋼板の加熱部が降伏し、塑性変形する現象であるため、鋼板の降伏強度が関係する。そのため降伏強度を制御して線状加熱による変形量を高めることを狙った鋼板が種々提案されている。これらの技術は、高温での降伏強度を高くした鋼板に関する技術、高温での降伏強度を低くした鋼板に関する技術、室温での降伏強度を低くした鋼板に関する技術に大別される。
高温での降伏強度を高くした鋼板に関する技術は、特許文献1に記載された技術がある。特許文献1に記載された技術は、Nb、Moなどを複合添加し、適切な熱間圧延条件を行うことにより、線状加熱作業の熱履歴中にNb、Mo含有炭窒化物を析出させることによって、高温での降伏強度を高くした鋼板に関するものである。
高温での降伏強度を低くした鋼板に関する技術は、特許文献2に記載された技術がある。特許文献2に記載された技術は、ミクロ組織中に加工あるいは変態歪により転位が導入されたフェライト相を20〜95%含有し、500℃での降伏応力を室温での降伏応力の0.75倍以下、600℃での降伏応力を室温の降伏応力の0.5倍以下とした、高温での降伏強度を低くした鋼板に関するものである。なお、転位が導入されたフェライト相とするために、鋼板製造プロセスとして、二相域圧延または二相域からの加速冷却が必要である。
室温での降伏強度を低くした鋼板に関する技術は、特許文献3に記載された技術がある。特許文献3に記載された技術は、フェライト分率が20%以上の鋼板を、時効が生じない温度において圧下率0.1%以上0.5%以下で圧下矯正させることによって、室温の降伏強度を低くした鋼板に関するものである。
特開平7−138715号公報 特開2007−56348号公報 特開2006−205181号公報
一般に鋼板の線状加熱による曲げ加工において、線状加熱部の最高到達温度が高くなるほど変形量が大きくなる傾向にある。これは、線状加熱部の最高到達温度が高くなることにより、熱膨張および収縮する領域が広くなるからである。しかし、線状加熱部の最高到達温度を高くするためには、加熱時間を長くする、つまり加熱速度を遅くしなければならず、線状加熱部の最高到達温度が高い条件では、曲げ加工を行う際の作業効率は低下することとなる。したがって、加熱速度を上げて加熱時間を短くした条件、つまり線状加熱部の最高到達温度が低い条件で、曲げ変形量が大きい鋼板が必要である。このような条件では、特許文献2または特許文献3に記載のように鋼板の降伏強度を低くすることが線状加熱による曲げ変形量を大きくすることに有利となってくる。これは、低温加熱の場合、降伏応力が低い鋼板の方が、加熱部が熱膨張した際、非加熱部からの拘束により容易に降伏することにより逆変形量が小さくなることに起因している。その後の冷却の熱収縮による変形量は降伏強度にほとんど依存しないため、逆変形量が小さい降伏強度が低い鋼板の方が、最終的な変形量は大きくなる。逆に、降伏応力が高い鋼板では、加熱部が降伏し難く、変形に要する応力が高まるため、熱膨張による逆変形量が大きくなることによって、最終的な変形量は小さくなってしまう。
したがって、特許文献1に記載された技術は、鋼板の高温での降伏強度を高くする技術であるので、線状加熱部の最高到達温度が低い条件で、曲げ変形量が大きい鋼板としては不適である。
また、特許文献2に記載された技術は、500℃、600℃での降伏強度を低くするには有益な技術であるが、転位が導入されたフェライト相を活用していることから、400℃より低温側かつ加熱時間が短くなるような線状加熱条件では転位の回復は起こり難く、転位強化が残存するため、高温での降伏強度を十分に低くする技術とは言えない。さらに、転位が導入されたフェライト相では、転位が導入されていないフェライト相との界面が脆性破壊の起点となり易く、靭性が低下する要因となる。それに加え、二相域圧延によって転位が導入されたフェライト相とした場合、集合組織の発達によってセパレーションが発生し易くなるため、シャルピー破面遷移温度は低下することができてもシャルピー平均吸収エネルギーを上昇させることは困難である。また、鋼板の異方性も大きくなることにより、曲げ変形量にも異方性が出てしまい、線状加熱により滑らかな曲率面となるよう加工することが困難となる。
また、特許文献3に記載された技術は、圧下矯正により導入された可動転位によって、室温での降伏応力を低下することができるが、低温域に加熱されると固溶炭素の転位への固着や転位上への炭化物の析出などによる、いわゆる時効硬化によって、低温の降伏強度を十分に低くする技術とは言えない。
本発明は、上記のような事情を考慮してなされたものであり、その課題は、線状加熱による曲げ加工作業効率向上のために、加熱速度を上げて加熱時間を短くした条件、つまり線状加熱部の最高到達温度が低い条件において、曲げ変形量が大きい鋼板とするために、変形量は鋼板の降伏強度と相関があるので、400℃の降伏強度を180MPa以下と低くし、さらに、構造用鋼、特に造船用鋼として要求される室温での降伏強度が235MPa以上、0℃でのシャルピー平均吸収エネルギーが100J以上の降伏強度、靭性を十分に兼ね備えた線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、前述の課題を解決するために鋭意研究し、その結果、特に、鋼板のミクロ組織を無加工のフェライト相主体とし、鋼板の化学成分中のSi量とフェライト相の平均結晶粒径とを制御することで、400℃の降伏強度を180MPa以下、室温での降伏強度が235MPa以上、0℃でのシャルピー平均吸収エネルギーが100J以上の特性を兼ね備えた線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板が得られることを知見して本発明を完成した。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1) 質量%で、
C :0.02〜0.07%、
Si:0.1〜1.3%、
P :≦0.05%、
S :≦0.05%、
Al:0.002〜0.1%、
N :0.001〜0.008%
を含有し、残部が鉄及び不可避不純物によって化学成分が構成された鋼板で、ミクロ組織が無加工のフェライト相が面積率で90%以上であり、Si量とフェライト相の平均結晶粒径〔μm〕に関する下記(1)、(2)、(3)式を同時に満足していることを特徴とする線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板。
734×d-0.5+81×Si0.5≧142・・・(1)式
327×d-0.5+58×Si0.5≦126・・・(2)式
−361×d-0.5+100×Si−131×Si0.5≦−80・・・(3)式
ここで、Si:元素添加物〔質量%〕、d:フェライト相の平均結晶粒径〔μm〕を意味する。
(2) 質量%で、
Mn:0.1〜0.5%、
Cu:0.01〜0.3%、
Ni:0.01〜0.3%、
Cr:0.01〜0.3%、
Mo:0.001〜0.1%、
Nb:0.001〜0.01%
V :0.001〜0.02%、
Ti:0.001〜0.02%、
B :0.0001〜0.003%
の少なくとも1種以上を化学成分として含有し、かつ、下記炭素当量Ceqが0.25質量%以下であることを特徴とする上記(1)に記載の線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+V)/10+(Mo+Nb)/5+Ti/20+B/3
ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、B:元素添加物〔質量%〕を意味する。
(3) 質量%で、
Ca:0.0003〜0.005%、
Mg:0.0003〜0.005%、
REM:0.0003〜0.005%
の少なくとも1種以上を化学成分として含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板。
(4) 室温での降伏強度が235MPa以上、400℃での降伏強度が180MPa以下、0℃でのシャルピー平均吸収エネルギーが100J以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板。
(5) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化学成分を有する鋼片を、1000〜1300℃に加熱し、Ar3変態点以上のオーステナイト単相域で累積圧下率30%以上の圧延を行って製品板厚とした後、750℃以上から板厚平均で1〜50℃/sの冷却速度で400℃〜650℃の温度まで加速冷却を行い、室温での降伏強度が235MPa以上、400℃での降伏強度が180MPa以下、0℃でのシャルピー平均吸収エネルギーが100J以上の厚鋼板とすることを特徴とする線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板の製造方法。
(6) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化学成分を有する鋼片を、1000〜1300℃に加熱し、Ar3変態点以上のオーステナイト単相域で累積圧下率30%以上の圧延を行って製品板厚とした後、放冷による冷却を行い、室温での降伏強度が235MPa以上、400℃での降伏強度が180MPa以下、0℃でのシャルピー平均吸収エネルギーが100J以上の厚鋼板とすることを特徴とする線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板の製造方法。
(7)前記冷却を終了した後、400〜650℃の温度で焼戻しすることを特徴とする上記(5)または(6)に記載の線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板の製造方法。
なお、本発明における無加工のフェライト相とは、Ar3変態点以下の二相域圧延による圧延加工を施されていないフェライト相を指す。
また、室温とは、JIS Z 2241の「金属材料引張試験方法」に定められている試験温度範囲である10〜35℃の温度範囲とする。
本発明によれば、主として造船用鋼としての降伏強度、靭性を十分に兼ね備えた、かつ線状加熱時の加熱速度を上げて加熱時間を短くした条件、つまり最高到達温度が低い条件において、曲げ変形量を大きくすることができるので、線状加熱による曲げ加工作業効率を飛躍的に向上させることができ、造船の工期短縮、コスト低減、またエネルギー消費低減に伴う環境負荷低減などによってもたらされる産業上の貢献は極めて大きい。
以下、本発明の実施形態について説明する。
一般に、船舶用溶接構造体の製造に用いられる鋼板の線状加熱による曲げ加工方法は、前記の様に、ガスバーナーなどの加熱源を用いて鋼板の表面または裏面上の所定領域を線状に局部加熱し、該加熱領域が熱膨張後、冷却により収縮する際に、その周囲の非加熱領域からの拘束により鋼板が塑性変形することによって、目的とする加工形状に鋼板を加工する方法である。
このように線状加熱による曲げ加工は、鋼板の塑性変形を利用することから、鋼板の降伏強度が変形量に大きな影響を及ぼす。特に線状加熱による曲げ加工作業の効率化のために、線状加熱時の加熱速度を上げて加熱時間を短くした条件、具体的には最高到達温度が400〜600℃と低温の条件においては、曲げ変形量は400℃での降伏強度と良好な相関関係があり、400℃での降伏強度が低くなるとともに、曲げ変形量が増大することを知見した。
この線状加熱時の最高到達温度を400〜600℃とした理由は、400℃未満では熱膨張、収縮量が少なく曲げ変形量が不足するので、所定の形状にするまでの線状加熱の回数が増加することにより全体として加工時間が長くなるため、加熱速度が速くてもかえって作業効率は低下してしまうからである。また600℃超では逆に加熱速度が遅くなることが、加工時間の増加につながり作業効率が低下してしまうことからである。
次に鋼板の室温及び400℃での降伏強度、並びに、0℃でのシャルピー平均吸収エネルギーを限定した理由を説明する。
室温での降伏強度の下限を235MPaとした理由は、座屈、塑性変形、疲労破壊などを防止するために最低限必要な造船構造用鋼としての降伏強度が235MPaであるからである。しかし、355MPa超では、次に述べる400℃での降伏強度を180MPa以下にすることが困難であるため、上限は355MPaとするのが好ましい。
線状加熱作業を効率的に行うためには、前記の様に、最高到達温度が400〜600℃と低温の条件で行うことが必要となってくる。このような条件下で曲げ変形量を大きくするためには、400℃での降伏強度を180MPa以下にする必要があり、これを上限とした。また、400℃での降伏強度は低いほど、曲げ変形量は増大するが、80MPa未満では、室温の降伏強度を235MPa以上にすることが困難となるため、下限は80MPaとするのが好ましい。
また、0℃でのシャルピー平均吸収エネルギーが100J以上とした理由は、100J未満では脆性破壊の危険性が高まることから、これを阻止して安全性を高めた厚鋼板とするために100Jを下限とした。
以下に本発明におけるミクロ組織の限定理由を述べる。
ミクロ組織を無加工のフェライト相とした理由は、鋼板の組織の中で最も軟らかいことを利用して前記400℃での降伏強度を低下させるためである。また、二相域圧延などによってフェライト相を加工し、転位を導入すれば、400℃での転位回復は起こり難いため、転位強化が残存し、400℃での降伏強度を180MPa以下、好ましくは160MPa以下にすることが困難であることから、無加工のフェライト相とした。さらに加工したフェライト相は鋼板の異方性やシャルピー平均吸収エネルギー低下の原因になり、それを避けるためにも無加工のフェライト相とした。
また、フェライト相の面積率を90%以上としたのは、90%未満となるとフェライト相以外のパーライト、ベイナイト、マルテンサイトなどの硬い低温変態組織が10%を超え、400℃での降伏強度を180MPa以下にすることが困難となるからである。フェライト相の面積率は93〜97%とすることが好ましい。
なお、ミクロ組織面積率は、100倍、または500倍の光学顕微鏡写真を用いて画像解析により測定した。このとき、圧延方向に伸ばされた圧延方向の板厚方向の長さの比(アスペクト比)が1.5以上のフェライトを加工フェライト、アスペクト比が1.5未満のフェライトを無加工フェライトと定義し、またフェライト以外はパーライト、ベイナイト、マルテンサイト等である。
次に、Si含有量とフェライト相の平均結晶粒径との関係を限定した理由を述べる。
本発明者は、種々試験の結果、鋼板の化学成分中のSi量とミクロ組織のフェライト相の平均結晶粒径との両者が、室温での降伏強度、400℃の降伏強度および0℃でのシャルピー平均吸収エネルギーに大きく影響を与えることを見出した。
この試験では、0.05%C−0.2%Mn−0.005%P−0.003%S−0.06%Al−0.002%N−0.01〜2.0%Si−残部Feの鋼板を準備して、Siの含有量を0.01%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%の5水準で変化させ、また、ミクロ組織中のフェライト相の平均結晶粒径を10μm、30μm、50μm、100μm、150μmの5水準で変化させて室温での降伏強度(MPa)、400℃の降伏強度(MPa)およびシャルピー平均吸収エネルギーが100Jとなる温度(℃)を調査した。その結果を図1〜図6に示す。ここで、フェライト相の平均結晶粒径は、光学顕微鏡写真を用いて、JIS G 0552の「鋼のフェライト結晶粒度試験方法」に準拠し、測定した。
図1〜図3は、フェライト相の平均結晶粒径(μm)を一定とした場合のSi添加量(mass%)の影響を調べたものである。
図1は、室温の降伏強度とSi添加量の関係を示す図で、図1に示すように、同一フェライト相の平均結晶粒径(μm)では、Si添加量(mass%)の増加により室温の降伏強度(YP@RT:MPa)は増加する傾向を示した。
図2は、400℃の降伏強度とSi添加量の関係を示す図で、図2に示すように、同一フェライト相の平均結晶粒径(μm)では、Si添加量(mass%)の増加により400℃の降伏強度(YP@400℃:MPa)は増加する傾向を示した。
図3は、シャルピー平均吸収エネルギーが100Jとなる温度とSi添加量の関係を示す図で、図3に示すように、同一フェライト相の平均結晶粒径(μm)では、Si添加量(mass%)の増加によりシャルピー平均吸収エネルギーが100Jとなる温度(T100J:℃)は低下するが、ある添加量以上では上昇する傾向を示した。
図4〜図6は、Si添加量(mass%)を一定とした場合のフェライト相の平均結晶粒径(μm)の影響を調べたものである。
図4は、室温の降伏強度と粒径dとの関係を示す図で、図4に示すように、同一Si量では、粒径d(μm)が細かくなることにより室温の降伏強度(YP@RT:MPa)は増加する傾向を示した。
図5、400℃の降伏強度と粒径の関係を示す図で、図5に示すように、同一Si量では、粒径(μm)が細かくなることにより400℃の降伏強度(YP@400:MPa)は増加する傾向を示した。
図6は、シャルピー平均吸収エネルギーが100Jとなる温度と粒径dの関係を示す図で、図6に示すように、同一Si量では、粒径(μm)が細かくなることによりシャルピー平均吸収エネルギーが100Jとなる温度(T100J:℃)は低下する傾向を示した。
本発明者は、これらの試験結果から、Si添加量(mass%)とフェライト相の平均結晶粒径(μm)を特定の条件にすれば、室温での降伏強度が235MPa以上、400℃での降伏強度が180MPa以下、0℃でのシャルピー平均吸収エネルギーが100J以上の性質を兼ね備えた線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板が得られることを見出した。
そこで、本発明では、室温での降伏強度が235MPa以上、400℃での降伏強度が180MPa以下、0℃でのシャルピー平均吸収エネルギーが100J以上となるSi添加量(mass%)とフェライト相の平均結晶粒径d(μm)との関係を求めた。
このため、0.05%C−0.2%Mn−0.005%P−0.003%S−0.06%Al−0.002%NをベースにSiを0.01〜2.00%変化させた鋼を用いて、粒径を4水準変化させ、室温の降伏強度、400℃の降伏強度、シャルピー吸収エネルギーが100Jとなる温度を夫々測定した。
表1に試験結果を示す。
Figure 0005187151
金属材料の強度が粒径の平方根の逆数に比例するというホールペッチ(Hall Petch)の法則にしたがって、フェライト相の平均結晶粒径d(μm)のd-0.5を横軸にして、室温の降伏強度(YP@RT)、400℃の降伏強度(YP@400℃)、シャルピー吸収エネルギーが100Jとなる温度(T100J)の夫々を縦軸にグラフを書くと、図7(a)〜(c)に示すように、同一Si量において直線関係が成立する。このときの傾きをA、切片をBとすると、YP@RT、YP@400℃、T100Jは、
夫々A×d-0.5+B・・・(a)
と表される。傾きと切片をまとめたものを表2および表3に示す。
Figure 0005187151
Figure 0005187151
傾きAはそれぞれの特性値でほぼ同じ値を示しており、平均値を採用した。
図7において、同一粒径のときの縦軸の値の差は固溶したSiが影響しているものである。つまり、切片BはSi量に依存する値なので、金属材料の固溶強化量が、Si量の平方根に比例するというフライシャー(Fleisher)の法則にしたがって、
切片Bは、横軸をSi0.5とし、YP@RT、YP@400℃は直線回帰、T100Jは2次の多項式回帰をした。その結果を図2に示す。
このとき、YP@RT、YP@400℃=C×Si0.5+D・・・(b)、
T100J=E×Si+F×Si0.5+G・・・(c)
と表される。
この結果を(a)式の切片Bに代入すれば、各特性値がSiと粒径の関係で表され、下記のようになる。
YP@RT、YP@400℃=A×d-0.5+C×Si0.5+D・・・(d)
T100J=A×d-0.5+E×Si+F×Si0.5+G・・・(e)
上記式の各係数を表4に示す。
Figure 0005187151
つまり、YP@RT≧235なので、
734×d-0.5+81×Si0.5+93≧235より
734×d-0.5+81×Si0.5≧142・・・(1)式
したがって、室温での降伏強度(YP@RT)を235MPa以上とするためには、上記(1)式を満足することが必要である。
YP@400℃≦180MPaなので、
327×d-0.5+58×Si0.5+54≦180より
327×d-0.5+58×Si0.5≦126・・・(2)式
したがって、400℃での降伏強度(YP@400℃)を180MPa以下とするためには、上記(2)式を満足することが必要である。
T100J≦0℃なので
−361×d-0.5+100×Si−131×Si0.5+80≦0より
−361×d-0.5+100×Si−131×Si0.5≦−80・・・(3)式
したがって、0℃でのシャルピー平均吸収エネルギーが100J以上とするためには、上記(3)式を満足することが必要である。
(1)(2)(3)式の要求値の等高線を引くと図9のようになり全てを満足する領域が、本発明においての室温での降伏強度が235MPa以上、400℃での降伏強度が180MPa以下、0℃でのシャルピー平均吸収エネルギーが100J以上の性質を兼ね備えた範囲となる。
なお、これらの関係は、上述した無加工のフェライト面積率が90%以上のミクロ組織を有する鋼において有効であり、それ以外のミクロ組織ではこれらの関係に依らない場合がある。
したがって、本発明ではSi含有量とフェライト相の平均粒子径との関係を上記(1)式〜(3)式のとおりに限定した。
以下、各元素の量を限定した理由について説明する。なお、以下の「%」は、特段の説明がない場合は「質量%」を意味するものとする。
C:0.02〜0.07%、
Cは、鋼の強度を増加させる元素であり、室温での降伏強度を235MPa以上とするためには0.02%以上必要である。しかし、0.07%超では、例えばパーライトなどの第二相分率が増加することにより、400℃での降伏強度を180MPa以下とすることが困難であるため、0.07%を上限としたが、好ましくは0.03〜0.06%である。
Si:0.1〜1.3%、
Siは、本発明において最も重要な元素であり、鋼の強度と靭性を向上させる元素である。その効果を得るためには、0.1%以上の添加が必要である。しかし、1.3%を超えて過剰に添加すると400℃での降伏強度を180MPa以下とすることが困難であることと、逆に靭性が劣化するため1.3%を上限とした。好ましくは1.0%以下である。
P:≦0.05%、S:≦0.05%、
Pは、不純物元素であり、固溶強化による高温での降伏強度の上昇や靭性の劣化を招くため、極力低減する必要がある。しかし、0.05%以下ではそれらの悪影響が許容できるため、0.05%を上限とする。Sも不純物元素であり、鋼の靭性や延性を劣化させるため、極力低減した方が望ましいが、0.05%以下ではそれらの悪影響が許容できるため、0.05%を上限とする。
Al:0.002〜0.1%、
Alは、本発明において重要な元素である。主に脱酸を目的として添加する。そのためには0.002%以上必要である。ただし、0.1%を超えると、アルミナ系の粗大酸化物やそのクラスターが生成し、靭性が損なわれるため、0.1%が上限である。好ましくはAl:0.01〜0.07%である。
N :0.001〜0.008%
Nは、微量では鋼片の加熱時に微細な窒化物を形成して加熱オーステナイト粒を微細化して靭性向上に寄与する。そのためには0.001%以上必要である。一方で、0.008%超では、窒化物の粗大化による靭性が劣化しやすいことと、固溶N量が増大して固溶強化により400℃での降伏強度を180MPa以下とすることが困難であるため、0.008%を上限とするが、好ましくは0.001〜0.005%である。
以上が、本発明鋼板の基本成分であり、本発明の目的とする線状加熱による曲げ加工性や造船用鋼としての強度、靭性に優れた鋼板とすることができる。さらに、強度、靭性の調整の目的でMn、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、Bの1種以上を添加することができる。しかし、これらの選択元素は、微量添加でも鋼の焼入れ性を高めて結晶粒微細化による強度、靭性向上や、固溶強化、析出強化などに寄与する。その効果を得るためには、Mnの下限は0.1%、Cu、Ni、Crの下限は夫々0.01%、Mo、Nb、V、Tiの下限は夫々0.001%、Bは0.0001%とした。しかし、いずれも過剰な添加では、400℃での降伏強度を180MPa以下とすることが困難となるので、それぞれ上限を設ける必要がある。この上限をMnは0.5%、Cu、Ni、Crは夫々0.3%、Moは0.1%、Nbは0.01%、V、Tiは夫々0.02%、Bは0.003%とした。好ましくは、Mnは0.3%以下、Cu、Ni、Crは夫々0.1%以下、Moは0.05%以下、Nbは0.005%以下、Vは0.01%以下、Tiは0.01%以下、Bは0.001%以下である。
また、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、Bの添加に際しては、炭素当量Ceqを0.25質量%以下にする必要がある。これは、Ceqが0.25質量%を超える過剰な添加では、400℃での降伏強度を180MPa以下にすることが困難であるからである。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+V)/10+(Mo+Nb)/5+Ti/20+B/3
ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、B:元素添加物量〔質量%〕を意味する。
さらに、上記した添加元素のほかに、本発明においては、鋼板の延性向上やHAZ靭性向上の目的で、Ca:0.0003〜0.005%、Mg:0.0003〜0.005%、REM:0.0003〜0.005%の少なくとも一種以上を化学成分として含有してもよい。これらを添加することにより、延性やHAZ靭性が確保される。Ca、Mg、REMは夫々0.003%未満では鋼板の延性向上やHAZ靭性向上の効果が得られず、一方、夫々0.005%を超えて添加しても効果が飽和するので、夫々0.0003〜0.005%とした。
以下、本発明の製造方法を限定した理由について説明する。
まず、上記した適切な化学成分組成に調整した溶鋼を、転炉等の通常公知の溶製方法で溶製し、連続鋳造等の通常公知の鋳造方法で鋼素材とする。
次に、鋼素材を1000℃〜1300℃の温度に加熱し、オーステナイト単相化する。これは1000℃未満ではオーステナイト単相化が不十分であり、1300℃超では加熱γ粒径が極端に粗大化して圧延後に微細な組織を得ることが困難となり靭性が低下するからである。
引き続き行う圧延の過程が本発明の最も重要な部分である。すなわち、Ar3変態点以上のオーステナイト単相域で累積圧下率30%以上の圧延を行うことが必要である。
まず、Ar3変態点以上のオーステナイト単相域での圧延とした理由は、Ar3変態点未満の二相域圧延によってフェライト相へ転位が導入されると、転位強化が残存するため、400℃での降伏強度を180MPaとすることが困難となるからである。また転位が導入されたフェライト相と転位が導入されていないフェライト相との界面が脆性破壊の起点となり易く、靭性が低下する要因となることからも二相域圧延は避ける必要がある。さらに、二相域圧延を行った場合、集合組織の発達によってセパレーションが発生し易くなるため、シャルピー平均吸収エネルギーを100J以上確保することが困難となる。また、鋼板の異方性が大きくなることにより、線状加熱による曲げ加工性にも異方性が出てしまい、滑らかな曲率面となるよう加工することが困難となる。
次に、圧延の累積圧下率を30%以上とする理由は、30%未満では再結晶によるオーステナイトの細粒化が不十分であり、その後の冷却による結晶粒径の制御が困難となるからである。好ましくは圧延の累積圧下率は50%以上である。
上記の圧延後、750℃以上から、板厚平均で0.5〜50℃/sの冷却速度で400℃〜650℃の温度まで加速冷却を行うか、または、放冷による冷却を行う必要がある。冷却は結晶粒径を制御することが主な目的であり、Si添加量により冷却方法を選択できる。例えば、Si添加量が多い場合は、放冷、または冷却速度が小さい加速冷却を行い、結晶粒径を大きくすること、また、Si添加量が少ない場合は、冷却速度が大きい加速冷却を行い、結晶粒径を小さくすることなどが選択できる。
冷却開始温度を750℃以上とした理由は、750℃未満では冷却前にフェライト変態が変態、成長してしまうため、冷却による結晶粒径の制御が困難であるからである。
加速冷却時の冷却速度を板厚平均で1〜50℃/sとした理由は、放冷時の冷却速度が約0.5℃/sであるので、それ以上の冷却速度を得るために1℃/sを下限とする。また、制御可能な冷却速度として50℃/sを上限とする。そして、50℃/sを超えると、結晶粒径が細かくなりすぎて、400℃での降伏強度を180MPa以下にすることが困難になることも理由の一つである。好ましくは加速冷却時の冷却速度は板厚平均で5〜40℃/sである。
400℃〜650℃の温度まで加速冷却する理由は、400℃未満では、遷移沸騰領域であるため、板を均一に冷却することが困難であり、板形状が悪くなるからである。また、結晶粒が細かくなりすぎて、400℃での降伏強度を180MPa以下にすることが困難になるからである。一方、650℃を超える温度では、冷却停止後の結晶粒成長により、冷却による結晶粒微細化効果が消失してしまうことから、650℃を上限とする。好ましい加速冷却の停止温度の範囲は、500℃〜650℃である。
また、上記加速冷却に代えて放冷による冷却を行っても良い。上記の加速冷却する場合に比べて、不均一な冷却に伴う材質のばらつきや板形状の劣化が小さい点で優位である。上述したように、Si添加量が下限の0.1%以上の場合は、結晶粒径が大きくても靭性の確保が容易であるため、放冷を行うことが可能である。
上記冷却後、強度と靭性を調整する目的で必要に応じ400〜650℃の温度で焼き戻しすることが可能である。その効果を得るためには400℃以上にする必要があり、650℃を超える温度では結晶粒粗大化に伴う軟化が進行し、室温での降伏強度や靭性の確保が困難となることがあるので、上限は650℃、好ましくは600℃以下とする必要がある。
以上のように本実施形態によれば、線状加熱による曲げ加工作業効率向上のために、加熱速度を上げて加熱時間を短くした条件、つまり線状加熱部の最高到達温度が低い条件において、曲げ変形量が大きい鋼板、さらに造船用鋼としての降伏強度、靭性を十分に兼ね備えた鋼板を製造することができる。
以下実施例に基づいて本発明の効果を説明する。
製鋼工程において溶鋼の化学成分調整を行った後、連続鋳造によって鋳片を製造した。この鋳片の化学成分を表5に示す。鋼番1〜20は本発明範囲内の化学成分、Ceqを有し、鋼番21〜30は本発明範囲外の化学成分、Ceqを有するものである。また、ここでAr3変態点は、これら鋳片より採取したフォーマスタ試験片を用いて、1200℃のオーステナイト化処理をした後、0.5℃/sで冷却する熱履歴を与えたときの熱膨張曲線によって求めた値である。表5の鋳片を用いて板厚10〜30mmの厚鋼板を製造した。表6に各厚鋼板の製造方法を示す。
Figure 0005187151
Figure 0005187151
表7に各鋼板のミクロ組織面積率、フェライト相の平均結晶粒径、及び(1)式、(2)式、(3)式の計算値を示す。各鋼板のミクロ組織面積率、フェライト相の平均結晶粒径の測定値は、中心偏析を外した板厚中心位置のものであり、各鋼板の代表値とした。ミクロ組織面積率は、100倍、または500倍の光学顕微鏡写真を用いて画像解析により測定した。このとき、圧延方向に伸ばされた圧延方向の板厚方向の長さの比(アスペクト比)が1.5以上のフェライトを加工フェライト、アスペクト比が1.5未満のフェライトを無加工フェライトと定義し、また第二相はフェライト以外のパーライト、ベイナイト、マルテンサイトを指す。フェライト相の平均結晶粒径は、ミクロ組織面積率を測定した光学顕微鏡写真を用いて、JIS G 0552の「鋼のフェライト結晶粒度試験方法」に準拠し、測定した。
Figure 0005187151
表8および表9に各厚鋼板の機械的性質を示す。それぞれの測定値は、板厚中心部から採取した試験片を用いて試験したときのものであり、各鋼板の代表値とした。室温、及び400℃での降伏強度は、直径10mmの丸棒引張試験片を用いて、室温での引張試験は、JIS Z 2241の「金属材料引張試験方法」に準拠し、400℃での引張試験は、JIS G 0567の「鉄鋼材料及び耐熱合金の高温引張試験方法」に準拠し、各2本を試験測定し、その平均値を記載した。0℃のシャルピー平均吸収エネルギーは、2mmVノッチシャルピー衝撃試験片を用いて、JIS Z 2242の「金属材料衝撃試験方法」に準拠し、0℃で各3本を試験測定し、その平均値を記載した。更に、各鋼板の線状加熱後の変形特性を評価した結果を示す。この際の試験体は、元の板厚×500mm幅×500mm長さのサイズとした。板幅中央を長さ方向にガスバーナーにて線状加熱し、引き続きガスバーナー後方に配置した水冷トーチを用いて水冷した。この作業を鋼板同一の位置で3回繰り返し、鋼板の跳ね上がり量を測定した。線状加熱条件は、O2ガスの圧力を5kg/cm、流量を50l/min、C22ガスの圧力を0.5kg/cm、流量を20l/minとし、ガスバーナーと鋼板の距離を14cmとし、水量6l/minの冷却トーチはガスバーナー後方の90mm離れた位置に配置した。ガスバーナーと水冷トーチは、速度制御できるテーブルにセットし、予備試験において、鋼鈑表下1mmの位置で熱電対により温度測定し、狙いの温度となるようなテーブル速度条件を決めた。鋼鈑表下1mmの温度は、400、500、600℃とし、そのときのテーブル速度は、それぞれ640、480、280cm/minである。測定した跳ね上がり量とテーブル速度から、跳ね上がり量1mmを得るための加熱時間を求めることによって作業効率の評価とした。なお、このときの値は、単に線状加熱しているときの時間であり、段取り時間や跳ね上がり量の測定時間は考慮していない。
また、跳ね上がり量は、試験体を平坦な台の上に置き、試験体の片側端面を治具で固定し、その反対側端面の両端と中央部の計3箇所を、テーパーゲージを用いて測定し、その平均値を記載した。
Figure 0005187151
Figure 0005187151
鋼番1〜15は本発明の厚鋼板である。化学成分、製造方法ともに本発明要件を満足しているため、機械的性質、ミクロ組織および(1)〜(4)式の本発明要件を満足していた。したがって、線状加熱後の曲げ変形特性は、比較例に比べ、跳ね上がり量は大きく、さらに跳ね上がり量1mmを得るための加熱時間は短くなり、極めて効率的であった。
これに対し、鋼番16〜30は比較例となる厚鋼板である。このうち、鋼番16〜20は、化学成分は本発明要件を満足しているが、製造方法が本発明要件を満足していない比較例である。また、鋼番21〜25は、製造方法は本発明要件を満足しているが、化学成分、Ceqが本発明要件を満足していない比較例である。そして、鋼番26〜30は、化学成分、Ceq、製造方法ともに本発明要件を満足していない比較例である。
以下に比較例となる厚鋼板が本発明鋼板より劣ることについての理由を説明する。
鋼番16は、製造方法において、本発明の上限を上回る700℃で焼き戻しを行っている。そのため、フェライト結晶粒径が60μmに粗大化し、Si添加量が0.1%と少ないことから、(1)式と(3)式を満足していない。したがって、室温での降伏強度とシャルピー吸収エネルギーが本発明の下限を下回っている。一方、(2)式は満足しており、400℃での降伏強度は本発明要件を満足しているため、線状加熱後の変形特性は優れている。しかし、造船用鋼としての強度と靭性を兼ね備えていないので、本発明鋼とは異なっている。
鋼番17は、製造方法において、本発明要件と異なり二相域圧延を行っている。そのため、無加工フェライト面積率が本発明の下限を下回っている。結晶粒径とSi量の関係からは(2)式は満足しているものの、加工フェライト面積率が増加していることから、転位強化が残存しているため、400℃での降伏強度が本発明の上限を上回っている。また、シャルピー平均吸収エネルギーは、セパレーションが発生したため、本発明の下限を下回っている。したがって、線状加熱後の変形特性が本発明鋼より劣っているとともに、造船用鋼として必要な靭性を有していない。
鋼番18は、製造方法において、冷却終了温度と焼き戻し温度が本発明の下限を下回り、また、冷却速度が本発明の上限を上回っている。そのため、Si添加量に対してフェライト結晶粒径が細かくなりすぎたことから、(2)式を満足することができず、400℃での降伏強度が本発明の上限を上回っている。すなわち、線状加熱後の変形特性が本発明鋼より劣っている。
鋼番19は、製造方法において、焼き戻し温度が本発明の上限を上回っている。そのため、Si添加量に対しフェライト結晶粒径が大きくなっていることから、(3)式を満足することができず、シャルピー吸収エネルギーが本発明の下限を下回っている。一方、(2)式は満足しており、400℃での降伏強度は本発明要件を満足していることから、線状加熱後の変形特性は優れているものの、造船用鋼として必要な靭性を有していない。
鋼番20は、製造方法において、本発明の下限を下回る温度での圧延を行っている。つまり、二相域圧延を行っている。それに伴い、冷却開始温度も本発明の下限を下回っている。そのため、無加工フェライト面積率が本発明の下限を下回っている。結晶粒径とSi添加量の関係からは、(1)式は満足しておらず、(2)式、(3)式は満足している。しかし、二相域圧延に伴うフェライト中に導入された転位による強化のため、室温での降伏強度は本発明要件を満足しているものの、400℃での降伏強度は本発明の上限を上回り、シャルピー吸収エネルギーは本発明の下限を下回っている。したがって、線状加熱後の変形特性や靭性が本発明鋼より劣っている。
鋼番21は、化学成分において、C、Cu、Ni、(4)式の値が本発明の上限を上回っている。よって、第二相面積率が増加しているため、フェライト面積率が本発明の下限を下回っている。結晶粒径とSi添加量の関係からは、(1)式は満足しておらず、(2)式は満足していない。しかし、第二相面積率の増加のため、この結果とは逆になっており、室温での降伏強度は本発明要件を満足しており、400℃での降伏強度は本発明の上限を上回っている。すなわち、鋼21は、造船用鋼として必要な強度、靭性は有しているものの、線状加熱後の変形量が小さく、本発明鋼よりは劣っている。
鋼番22は、化学成分において、Siが本発明の下限を下回り、Cr、Mo、(4)式の値が本発明の上限を上回っている。焼入れ性が高い化学成分であるために、圧延後の冷却時に結晶粒が微細化し、さらに、ベイナイトが生成することにより第二相面積率が増加したことから、フェライト面積率が本発明の下限を下回っている。そのため、(2)式を満足することができず、400℃の降伏強度が本発明の上限を上回ったことから、線状加熱後の変形特性が劣化している。
鋼番23は、化学成分において、Si、Mn、(4)式の値が本発明の上限を上回っている。結晶粒径とSi添加量の関係によれば、(2)式、(3)式が本発明要件を満足しておらず、400℃の降伏強度が本発明の上限を上回り、シャルピー吸収エネルギーが本発明の下限を下回っている。すなわち、造船用鋼として必要な靭性を有していない上に、線状加熱後の変形特性も本発明鋼よりも劣っている。
鋼番24は、化学成分において、C、Siが本発明の下限を下回っている。フェライト結晶粒径も大きいため、(1)式、(3)式を満足することができず、室温での降伏強度やシャルピー吸収エネルギーが本発明の下限を下回っている。室温での降伏強度が著しく低いことから、400℃の降伏強度も低く、線状加熱後の変形特性は極めて優れているものの、強度、靭性の観点からは造船用鋼としては不適である。
鋼番25は、各々の化学成分は本発明範囲内であるが、(4)式の値が本発明の上限を上回っている。このように焼入れ性が高い化学成分となっているため、フェライト面積率が本発明の下限を下回っていることから、400℃での降伏強度が本発明の上限を上回っている。また、シャルピー吸収エネルギーも本発明の下限を下回っている。すなわち、靭性や線状加熱後の変形特性が本発明鋼よりも劣位である。
鋼番26は、化学成分において、C、Siが本発明の下限を下回り、製造方法において、焼き戻し温度が本発明の上限を上回っている。焼入れ性が低い化学成分である上に、結晶粒径が粗大化しているため、室温での降伏強度やシャルピー吸収エネルギーが本発明の下限を下回っている。室温での降伏強度が低いことに応じて400℃での降伏応力は低く、線状加熱後の変形特性は良好であるものの、強度、靭性が不足するため、造船用鋼として使用できる鋼ではない。
鋼番27は、化学成分において、Siが本発明の上限を上回り、製造方法において、冷却終了温度が本発明の下限を下回っている。結晶粒微細化に加え、Si添加量が多すぎることもあり、400℃での降伏強度が本発明の上限を上回り、シャルピー吸収エネルギーが本発明の下限を下回っている。すなわち、靭性が低い上に、線状加熱後の変形特性も劣化している。
鋼番28は、化学成分において、Mn、Nb、V、(4)式の値が本発明の上限を上回り、製造方法において、二相域圧延を行っている。そのため、結晶粒径とSi添加の関係式である(2)式、(3)式が満足する結果とは異なっており、400℃での降伏強度が本発明の上限を上回り、シャルピー吸収エネルギーが本発明の下限を下回っている。すなわち、靭性や線状加熱後の変形特性が本発明鋼よりも劣位である。
鋼番29は、化学成分において、C、(4)式の値が本発明の上限を上回り、製造方法において、冷却終了温度と焼戻し温度が本発明の下限を下回り、冷却速度が本発明の上限を上回っている。その結果、第二相面積率が増加し、フェライト面積率が本発明の下限を大幅に下回っているため、400℃での降伏強度が本発明の上限を上回っている。したがって、線状加熱後の変形量が著しく低下し、作業効率が劣化している。
鋼番30は、化学成分において、C、Mn、Cu、Ni、Mo、B、(4)式の値が本発明の上限を上回り、製造方法において、冷却終了温度が本発明の下限を下回っている。このように焼入れ性の高い化学成分で、かつ、低い冷却終了温度では、ベイナイトやマルテンサイトが多く生成するため、フェライト面積率が本発明の下限を大幅に下回っている。したがって、結晶粒径とSi添加量の関係である(2)式を満足していても、400℃での降伏強度も著しく高く、本発明の上限を大幅に上回っている。また、シャルピー吸収エネルギーも本発明の下限を下回っている。鋼番30は、靭性や線状加熱後の変形特性が本発明鋼よりも著しく劣化する比較例である。
以上の実施例から、本発明を適用することにより、線状加熱による曲げ加工作業効率向上のために、加熱速度を上げて加熱時間を短くした条件、つまり線状加熱部の最高到達温度が低い条件において、曲げ変形量が大きい鋼板とするために、低温での降伏強度を低くした鋼板及びその製造方法、さらに造船用鋼としての降伏強度、靭性を十分に兼ね備えた鋼板及びその製造方法を提供できることが確認された。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
室温の降伏強度とSi添加量の関係を示す図である。 400℃の降伏強度とSi添加量の関係を示す図である。 シャルピー平均吸収エネルギーが100Jとなる温度(℃)とSi添加量の関係を示す図である。 室温の降伏強度と粒径との関係を示す図である。 400℃の降伏強度と粒径の関係を示す図である。 シャルピー平均吸収エネルギーが100Jとなる温度と粒径の関係を示す図である。 ホールペッチ(Hall Petch)の法則にしたがって整理した図で、(a)はフェライト相の平均結晶粒径d(μm)のd-0.5と室温の降伏強度(YP@RT)、(b)はフェライト相の平均結晶粒径d(μm)のd-0.5と400℃の降伏強度(YP@400℃)、(c)はフェライト相の平均結晶粒径d(μm)のd-0.5とシャルピー吸収エネルギーが100Jとなる温度(℃)との関係を示す図である。 切片Bの回帰式導出のための図で、Si0.5と切片Bとの関係を示す図である。 (1)式〜(3)式を満たす本発明範囲を示す図である。

Claims (7)

  1. 質量%で、
    C :0.02〜0.07%、
    Si:0.1〜1.3%、
    P :≦0.05%、
    S :≦0.05%、
    Al:0.002〜0.1%、
    N :0.001〜0.008%
    を含有し、残部が鉄及び不可避不純物によって化学成分が構成された鋼板で、ミクロ組織が無加工のフェライト相が面積率で90%以上であり、Si量とフェライト相の平均結晶粒径〔μm〕に関する下記(1)、(2)、(3)式を同時に満足していることを特徴とする線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板。
    734×d-0.5+81×Si0.5≧142・・・(1)式
    327×d-0.5+58×Si0.5≦126・・・(2)式
    −361×d-0.5+100×Si−131×Si0.5≦−80・・・(3)式
    ここで、Si:元素添加物〔質量%〕、d:フェライト相の平均結晶粒径〔μm〕を意味する。
  2. 質量%で、
    Mn:0.1〜0.5%、
    Cu:0.01〜0.3%、
    Ni:0.01〜0.3%、
    Cr:0.01〜0.3%、
    Mo:0.001〜0.1%、
    Nb:0.001〜0.01%
    V :0.001〜0.02%、
    Ti:0.001〜0.02%、
    B :0.0001〜0.003%
    の少なくとも1種以上を化学成分として含有し、かつ、下記炭素当量Ceqが0.25質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板。
    Ceq=C+Si/24+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+V)/10+(Mo+Nb)/5+Ti/20+B/3
    ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、B:元素添加物〔質量%〕を意味する。
  3. 質量%で、
    Ca:0.0003〜0.005%、
    Mg:0.0003〜0.005%、
    REM:0.0003〜0.005%
    の少なくとも1種以上を化学成分として含有することを特徴とする請求項1または2に記載の線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板。
  4. 室温での降伏強度が235MPa以上、400℃での降伏強度が180MPa以下、0℃でのシャルピー平均吸収エネルギーが100J以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の化学成分を有する鋼片を、1000〜1300℃に加熱し、Ar3変態点以上のオーステナイト単相域で累積圧下率30%以上の圧延を行って製品板厚とした後、750℃以上から板厚平均で1〜50℃/sの冷却速度で400℃〜650℃の温度まで加速冷却を行い、室温での降伏強度が235MPa以上、400℃での降伏強度が180MPa以下、0℃でのシャルピー平均吸収エネルギーが100J以上の厚鋼板とすることを特徴とする線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の化学成分を有する鋼片を、1000〜1300℃に加熱し、Ar3変態点以上のオーステナイト単相域で累積圧下率30%以上の圧延を行って製品板厚とした後、放冷による冷却を行い、室温での降伏強度が235MPa以上、400℃での降伏強度が180MPa以下、0℃でのシャルピー平均吸収エネルギーが100J以上の厚鋼板とすることを特徴とする線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板の製造方法。
  7. 前記冷却を終了した後、400〜650℃の温度で焼戻しすることを特徴とする請求項5または6に記載の線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板の製造方法。
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