JP5184046B2 - 基準器 - Google Patents
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Description
直定規20は、断面I型形状に形成され、互いに平行な一対の基準面21(図7中の上下一対の面)を備えている。基準面21は、ラップ仕上げまたはこれと同等以上の仕上げ方法によって真直度が所定の許容差内となるように仕上げられている。
基準面21の仕上げ作業では、まず、研磨砥粒9を含んだラッピング剤8を定盤7の表面71上に塗布する。次に、基準面21が下向きとなるように直定規20を定盤7上に載置する。そして、直定規20を、定盤7に対して図8中の矢印Aの方向に押圧させながら表面71に沿ってスライド移動させる、つまり、密着させた状態で摺動させればよい。すると、研磨砥粒9が、表面71と基準面21との間に挟まれながら回転して、基準面21を研磨する。このように、直定規20の基準面21の仕上げ作業では、以上のような定盤ラッピング仕上げ法が採用されている。
この構成によれば、平坦面の長尺方向に沿って略平行な一対の縁辺から略等しい距離の位置に溝部が二条形成されているので、平坦面の幅方向の両端部に加わる押圧力の差を抑えることができる。これによって、平坦面の幅方向の両端部付近に生じる面ダレを小さくすることができる。
この構成によれば、長尺方向に直交する基準面の幅方向の寸法が、平坦面の幅方向の寸法の20%以上、50%以下に設定されているので、平坦面に複数の溝部および平坦面の幅方向の両端部の範囲を大きく設定することができ、確実に精度を向上させ、作業効率を高めることができる。
図1および図2は、本実施形態の基準器である直定規(超精密直定規)1を示す斜視図および縦断面図である。
直定規1は、断面が矩形枠状に形成された長尺状の本体2、すなわち、中空柱形状の本体2を備えている。本体2は、例えば合金工具鋼鋼材(SKD)から形成され、長尺方向の有効長さ寸法が1000mmに設定されている。本体2の断面矩形枠状の各外側面は、四つの平坦な面(平坦面)3,4,5,6となっており、これらの平坦面3〜6は、それぞれ本体2の長尺方向に沿って略平行に伸びる略長方形状に形成されている。このうち一つは、二条の溝部31が形成された溝付き平坦面3である。
これらの溝部31によって、溝付き平坦面3は、三つの範囲に区分され、このうち、二条の溝部31で挟まれた範囲は、真直度の基準となる基準面33に設定されている。すなわち、溝付き平坦面3は、基準面33と、この基準面33の両側に溝部31を介して設けられた二つのガイド面34,35とから構成されている。
図2にて、基準面33の幅方向の寸法(平坦面3の長尺方向に直交する方向の寸法)W1は、平坦面3の幅方向の寸法W2の20%以上、50%以下に設定され、例えば、本実施形態では、平坦面3の幅方向の寸法W2は、50mmに設定され、基準面33の幅方向の寸法W1は、18mm(寸法W2の36%)に設定されている。この寸法W1には、端部の面取り(各1mm)部分Cの寸法が含まれているので、寸法W1から面取り部分Cの寸法を差し引いた寸法(16mm)が、基準面33の真直度を保証する有効範囲の幅方向の寸法となっている。
このような構成の平坦面3における基準面33は、真直度の許容差が0.1μm(有効長さ1000mm、有効幅16mm)となるように仕上げられている。
図3は、直定規1の基準面33の仕上げ作業を説明する図であり、図4は、基準面33のラッピング仕上げの概念図である。
まず、本体2の素材としての鋼材を工作機械によって所定の寸法および形状に加工し、平坦面3および溝部31を形成する。
次に、ラッピング仕上げ用の定盤7の表面71に、研磨砥粒(図4)9を含むラッピング剤8を刷毛などで塗布する。そして、ラッピング剤8の上方から溝付き平坦面3が下向きとなるように、直定規1を定盤7に載置する。
このような状態で、直定規1を、定盤7に押圧しながら、表面71に沿って摺動させ、基準面33を研磨する。適宜、図示しないオートコリメータなどで基準面33の真直度を測定し、真直度が所定の許容差内となるまで、研磨を行う。このようにして、真直度の許容差が0.1μmに仕上げられる。
図4にて、定盤7上に塗布されたラッピング剤8には、所定の径寸法の研磨砥粒9が混入されており、この研磨砥粒9が表面71と平坦面3との間に介在して、基準面33を含む平坦面3を研磨するようになっている。図4中の矢印Aは、直定規1の自重および直定規1に加える押圧力の方向を示す。ここで、直定規1の自重および押圧力によってラッピング剤8の研磨砥粒9が、平坦面3の縁辺32に向かってだけでなく、溝部31に向かっても移動する。すると、溝部31が研磨砥粒9の逃げ場となり、研磨砥粒9が縁辺32付近に多く溜まることがなくなり、縁辺32付近の面ダレが生じるのを抑制することができる。
また、平坦面3は、基準面33と、この基準面33の両側にガイド面34,35とを備えるので、基準面33をラッピング仕上げする際の直定規1に付加される押圧力が、平坦面3の幅方向の両端部において均等に付加されず、押圧力に僅かな差が生じたとしても、その差による面ダレ等の影響をガイド面34,35が受ける。これにより、押圧力に僅かな差が生じても、基準面33の幅方向には均質な押圧力が作用する。
(1)平坦面3が、二条の溝部31によって挟まれた基準面33と、この基準面33の幅方向の両側に溝部31を介してガイド面34,35を備えるので、ラッピング仕上げする際の押圧力が、平坦面3の幅方向の両端部において均等に付加されず、押圧力に僅かな差が生じたとしても、その差による面ダレ等の影響をガイド面34,35が受けるようにすることができる。従って、基準面33の幅方向には均質な押圧力が作用するので、真直度を高精度に仕上げることができるとともに、仕上げ作業の効率化を図ることができる。
この四直角マスター1Aは、全体矩形に形成された板状の本体2Aを備え、この本体2Aは、四つの平坦面3A,4A,5A,6Aを有し、各平坦面3A〜6Aには、2条の溝部31が形成されている構成が、第1実施形態の直定規1に対して相違するもので、これらの平坦面3A〜6Aにおける溝部31および基準面33の構成は略同様である。
溝部31は、平坦面3A〜6Aの長尺方向の両端を結んで互いに略平行に設けられている。また、溝部31は、平坦面3A〜6Aの長尺方向に沿って略平行な一対の縁辺32、つまり、略長方形状の平坦面3A〜6Aの長い方の縁辺32から略等しい距離の位置に形成されている。これらの溝部31によって、各平坦面3A〜6Aは、三つの範囲に区分され、これら三つ範囲のうちの二条の溝部31で挟まれた範囲は、真直度の基準面33とされている。図6にて、各平坦面3A〜6Aにおける溝部31および基準面33、ガイド面34,35の形状および寸法は、第1実施形態の平坦面3と略同様である。
また、互いに直交する隣り合う平坦面3A〜6Aの基準面33同士は、直角度交差が0.2μmとなるように仕上げられている。
さらに、互いに平行な一対の平坦面3A,5Aの各基準面33、および、他の一対の平坦面4A,6Aの各基準面33同士は、平行度交差が0.2μmとなるように仕上げられている。
(6)互いに直交する四つの基準面33を備えているので、各基準面33の真直度だけでなく、互いに直交する基準面33同士の直角度、または、互いに平行な基準面33同士の平行度についても、従来よりも効率的、かつ、高精度に仕上げることができる。
例えば、前記実施形態の直定規1は、断面矩形枠状の各外側面が四つの平坦面3〜6となっており、そのうちの一つの平坦面3に、溝部31および基準面33が形成されているものとして説明したが、これに限られず、四つの平坦面3〜6のうちの例えば、互いに平行な一対の平坦面にそれぞれ溝部31および基準面33が形成されていてもよく、または、互いに直交する1組の平坦面にそれぞれ溝部31および基準面33が形成されていてもよく、あるいは、四つの平坦面のすべてに溝部31および基準面33が形成されていてもよい。
また、本体2は中空柱形状に形成された場合を説明したが、本体としては中空でない柱形状に形成されてもよい。また、本体の断面形状が多角形に形成された中空柱形状または中空柱形状でもよい。
また、前記各実施形態の溝付き平坦面3,3A〜6Aに二条の溝部31を有する場合を説明したが、平坦面3,3A〜6Aに3条以上の溝部31が形成されていてもよい。その場合、基準面としては、隣り合う一対の溝部31で挟まれた範囲であれば、どの範囲であっても基準面として設定することができる。すなわち、一つの平坦面に3条以上の溝部31によって、複数の基準面が形成されているものであってもよい。
また、前記第2実施形態の四直角マスター1Aは、本体2Aの厚さ方向に沿って平行に四つの貫通孔11を備えているが、このような貫通孔11の数量や貫通孔の有無については特に制限されない。
1A…基準器である四直角マスター
2,2A…本体
3,3A,4A,5A,6A…平坦面
31…溝部
32…一対の縁辺
33…基準面
W1…基準面の幅方向の寸法
W2…平坦面の幅方向の寸法。
Claims (4)
- 真直度が所定の許容差内となるように仕上げられた基準面を有する基準器であって、
長尺状の本体と、
この本体に、当該本体の長尺方向に沿って略平行に伸びる少なくとも一つの平坦面と、
この平坦面に形成され、長尺方向の両端を結ぶ互いに略平行な複数の溝部と、を備えて構成され、
前記平坦面は、前記複数の溝部によって、少なくとも三つの範囲に区分され、
前記基準面は、前記平坦面の隣り合う溝部で挟まれた範囲に形成されていることを特徴とする基準器。 - 真直度が所定の許容差内となるように仕上げられた基準面を有する基準器であって、
所定の厚さ寸法を有し全体矩形に形成された板状の本体と、
この本体の厚さ方向に平行な側面で、かつ互いに直交する四つの長尺状の平坦面と、
前記平坦面にそれぞれ形成され、長尺方向の両端を結ぶ互いに平行な複数の溝部と、を備えて構成され、
前記各平坦面は、前記複数の溝部によって、少なくとも三つの範囲に区分され、
前記基準面は、前記各平坦面の隣り合う溝部で挟まれた範囲に形成されていることを特徴とする基準器。 - 請求項1または請求項2に記載の基準器において、
前記溝部は、前記平坦面の長尺方向に沿って略平行な当該平坦面の一対の縁辺から略等しい距離の位置に二条形成されていることを特徴とする基準器。 - 請求項3に記載の基準器において、
前記長尺方向に直交する基準面の幅方向の寸法は、前記平坦面の幅方向の寸法の20%以上、50%以下に設定されていることを特徴とする基準器。
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