しかしながら、上記特許文献1に記載の表示装置では、たとえば、配線の上方に形成された絶縁膜の表面には、配線の側面部の形状を反映した段差部が形成される場合がある。この場合、配線の側面部の形状を反映した絶縁膜の段差部上に反射層が形成されると、反射層の絶縁膜の段差部の表面上に形成された部分は、反射層の絶縁膜の平坦部の表面上に形成された部分に比べて絶縁膜との密着力が小さくなる。このため、反射層のうち絶縁膜の段差部の表面上に形成された部分が絶縁膜から剥離しやすいという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、反射層のうち絶縁膜の段差部の表面上に形成された部分が絶縁膜から剥離するのを抑制することが可能な表示装置および電子機器を提供することである。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における表示装置は、複数の画素と、複数の画素のそれぞれに信号または電源を供給する配線と、配線を覆う絶縁膜と、絶縁膜を覆うとともに、平面的に配線と交差する側面部を有する反射層とを備え、配線の断面形状は、底辺部および上方に向かって内側に傾斜する側面部を有した台形形状であり、配線の反射層の側面部に沿った断面形状の側面部と底辺部とのなす角度は、配線の幅方向の断面形状の側面部と底辺部とのなす角度より小さい。
この発明の第1の局面による表示装置では、上記のように、配線の断面形状が、底辺部および上方に向かって内側に傾斜する側面部を有した台形形状であり、配線の反射層の側面部に沿った断面形状の側面部と底辺部とのなす角度を、配線の幅方向の断面形状の側面部と底辺部とのなす角度より小さくすることによって、たとえば、絶縁膜の配線の側面部に対応する部分に段差部が形成される場合に、配線の反射層の側面部に沿った断面形状の側面部と底辺部とのなす角度が小さくなった分、絶縁膜の段差部の角度を小さくすることができるので、反射層のうち絶縁膜の段差部の表面上に形成された部分が絶縁膜から剥離するのを抑制することができる。
上記第1の局面による表示装置において、好ましくは、絶縁膜は、配線の側面部に対応する部分に段差部を含み、反射層は、絶縁膜の段差部を覆うように形成され、配線の側面部と反射層の側面部とは、平面的に見て、直交しないように配置されている。このように構成すれば、配線の側面部と反射層の側面部とが、平面的に見て、90度の角度で交差(直交)するように配置される場合と比べて、配線の側面部と反射層の側面部との交差する部分の長さが大きくなるので、交差する部分の長さが大きくなった分、交差する部分の絶縁膜の段差部の傾斜角度が小さくなる。これにより、交差する部分の配線の表面上に形成された反射層の側面部の傾斜角度が小さくなるので、反射層のうち絶縁膜の段差部の表面上に形成された部分が絶縁膜から剥離するのを抑制することができる。
この場合、好ましくは、画素は、矩形形状を有するとともに、反射層の側面部は、平面的に見て、画素の矩形形状に沿って形成されており、配線の側面部は、平面的に見て、画素の矩形形状に沿って延びる反射層の側面部に対して、直交しないように配置されている。このように構成すれば、画素の矩形形状に沿って延びる反射層の側面部の形状を変更することなく、容易に、反射層の側面部と配線の側面部とを90度よりも小さい角度で交差するように構成することができる。
上記第1の局面による表示装置において、好ましくは、配線は、電源線または信号線のうち少なくともいずれか一方を含む。このように構成すれば、電源線または信号線のうち少なくともいずれか一方の側面部と、反射層の側面部との交差する部分の長さが大きくなるので、交差する部分の長さが大きくなった分、交差する部分の絶縁膜の段差部の傾斜角度が小さくなる。これにより、交差する部分の電源線または信号線のうち少なくともいずれか一方の表面上に形成された反射層の側面部の傾斜角度が小さくなるので、電源線または信号線の少なくとも一方に対応する絶縁膜の段差部の表面上に形成された反射層が絶縁膜から剥離するのを抑制することができる。
この場合、好ましくは、配線は、信号線と、平面的に見て、信号線に対して略直交する方向に延びるように配置された帯状の電源線とを含み、帯状の電源線の側面部と反射層の側面部とは、平面的に見て、直交しないように配置されている。このように構成すれば、帯状の電源線の側面部と、反射層の側面部との交差する部分の長さが大きくなるので、交差する部分の長さが大きくなった分、交差する部分の絶縁膜の段差部の傾斜角度が小さくなる。これにより、交差する部分の帯状の電源線の表面上に形成された反射層の側面部の傾斜角度が小さくなる。その結果、信号線と略直交する方向に延びる帯状の電源線に対応する絶縁膜の段差部の表面上に反射層が形成される場合に、反射層が絶縁膜から剥離するのを抑制することができる。
上記配線が電源線または信号線のうち少なくともいずれか一方を含む表示装置において、好ましくは、配線は、信号線と、信号線の延びる方向に沿った方向に、線状に延びるように形成された電源線とを含み、線状の電源線の反射層の側面部と交差する部分の両方の側面部は、平面的に見て、反射層の側面部に対して直交しないとともに、互いに平行に配置されている。このように構成すれば、線状の電源線の側面部と、反射層の側面部との交差する部分の長さが大きくなるので、線状の電源線の側面部と反射層の側面部とが90度で交差(直交)する場合と比べて交差する部分の長さが大きくなった分、交差する部分の絶縁膜の段差部の傾斜角度が小さくなる。これにより、信号線の延びる方向に沿って延びる線状の電源線に対応する絶縁膜の段差部の表面上に反射層が形成される場合に、反射層が絶縁膜から剥離するのを抑制することができる。
上記配線が電源線または信号線のうち少なくともいずれか一方を含む表示装置において、好ましくは、配線は、信号線を含み、信号線には、信号線の延びる方向に交差する方向に突出する突出部が形成されており、信号線の突出部の側面部と反射層の側面部とは、平面的に見て、直交しないように配置されている。このように構成すれば、信号線の突出部の側面部と、反射層の側面部との交差する部分の長さが大きくなるので、信号線の突出部の側面部と反射層の側面部とが90度で交差(直交)する場合と比べて交差する部分の長さが大きくなった分、交差する部分の絶縁膜の段差部の傾斜角度が小さくなる。これにより、信号線の突出部に対応する絶縁膜の段差部の表面上に形成された反射層が絶縁膜から剥離するのを抑制することができる。
上記配線が電源線または信号線のうち少なくともいずれか一方を含む表示装置において、好ましくは、配線は、電源線と信号線との両方を含み、電源線と信号線とは、同一層からなる。このように構成すれば、反射層と90度よりも小さい角度で交差する電源線と信号線とを同一工程により形成することができる。
上記第1の局面による表示装置において、好ましくは、配線の一方の側面部と反射層の側面部とは、平面的に見て、5度以上60度以下の角度範囲で交差するように配置されている。このように構成すれば、反射層が絶縁膜から剥離するのをより有効に抑制することができる。
上記第1の局面による表示装置において、好ましくは、絶縁膜は、有機平坦化膜からなる。このように構成すれば、有機平坦化膜からなる絶縁膜は、絶縁膜下の形状が反映されにくいので、絶縁膜の表面に形成される段差部の高さを小さくすることができる。これにより、段差部の傾斜角度を小さくすることができるので、絶縁膜の段差部の表面上に形成された反射層が剥離するのをより抑制することができる。
この発明の第2の局面による電子機器は、上記のいずれかの構成を有する表示装置を備える。このように構成すれば、反射層のうち絶縁膜の段差部の表面上に形成された部分が絶縁膜から剥離するのを抑制することが可能な表示装置を備えた電子機器を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の具体的な実施形態を説明する前に、図1を参照して、本発明のEL(エレクトロルミネッセンス)装置100の概略的な構造について説明する。なお、EL装置100は、本発明の「表示装置」の一例である。図1(a)および(b)は、それぞれ、本発明の概略的な構造の平面図および断面図である。
本発明のEL装置100では、図1に示すように、基板110の表面上には、TFT配線111が形成されている。なお、TFT配線111は、本発明の「配線」の一例である。このTFT配線111の断面形状は、底辺部111bおよび上方に向かって内側に傾斜する側面部111aを有した台形形状である。TFT配線111の上方に形成される反射層113は、TFT配線111と交差する側面部113aを有している。この反射層113の側面部113aに沿ったTFT配線111の断面形状の側面部111aと底辺部111bとのなす角度α1は、図2に示すTFT配線121の幅方向の断面形状の側面部121aと底辺部121bとのなす角度β1より小さく形成されている。また、TFT配線111は、反射層113と交差する部分の断面においては、基板110の表面に対して上方に向かって内側に90度未満の角度α1で傾斜する側面部111aを有している。
また、基板110、TFT配線111を覆うように、有機平坦化膜112が形成されている。なお、有機平坦化膜112は、本発明の「絶縁膜」の一例である。この有機平坦化膜112は、表面を平坦にすることが形成の目的である。しかしながら、有機平坦化膜112の膜厚、下層形成物の形状などによっては、表面を完全に平坦にすることが難しいため、有機平坦化膜112のTFT配線111の側面部111aに対応する部分には、TFT配線111の外形形状を反映した段差部112aが形成されている。この段差部112aは、基板110の表面に対して、TFT配線111の側面部111aの角度α1よりも小さい角度α2で傾斜するように形成されている。また、有機平坦化膜112の表面上には、反射層113が形成されている。
ここで、本発明のEL装置100では、平面的に見て、TFT配線111の側面部111aと、反射層113の側面部113aとは、90度よりも小さい角度α3で交差するように配置されている。また、平面的に見て、TFT配線111の側面部111aの反射層113の側面部113aと交差している部分の長さは、L1である。また、反射層113のTFT配線111の側面部111aに対応する側面部113aの高さは、H1である。
次に、本発明の比較例によるEL装置100aでは、図2に示すように、反射層123の側面部123aに沿った方向は、TFT配線121の幅方向と一致し、反射層123の側面部123aに沿ったTFT配線121の断面形状は、急峻な台形形状を有している。また、平面的に見て、基板120の表面上に形成されたTFT配線121の側面部121aと、反射層123の側面部123aとは、90度(直角)の角度β2で交差するように配置されている。また、反射層123のTFT配線121の側面部121aに対応する側面部123aの高さは、H2(=H1)である。また、平面的に見て、TFT配線121の側面部121aと、反射層123の側面部123aとが交差している部分の長さは、L2(<L1)である。
比較例によるEL装置100aの構成では、TFT配線121と反射層123とが交差(直交)する部分の断面において、TFT配線121は、図1のTFT配線111の角度α1よりも大きい角度β1で内側に傾斜している。また、TFT配線121と反射層123とが交差(直交)する部分の断面において、有機平坦化膜122のTFT配線121の側面部121aに対応する段差部122aは、図1に示した有機平坦化膜112の段差部112aの角度α2よりも大きい角度β3で傾斜している。
このように、図1に示した本発明のEL装置100は、図2に示した比較例のEL装置100aと異なり、反射層113の端部に沿ったTFT配線111の断面形状は、TFT配線111の幅方向の断面形状より緩慢な台形形状を有している。また、TFT配線111の側面部111aと反射層113の側面部113aとの角度(挟み角)を90度よりも小さい角度α3により、有機平坦化膜112の段差部112aの角度(傾斜)α2が小さくなるので、有機平坦化膜112の段差部112aの表面上に形成された反射層113の有機平坦化膜112に対する密着力が小さくなるのを抑制することが可能である。これにより、有機平坦化膜112の段差部112aの表面上に形成された反射層113が有機平坦化膜112から剥離するのを抑制することができる。
以下、図1に示した本発明の構造をより具体化した実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図3を参照して、本発明の第1実施形態によるEL装置101の構成について説明する。なお、EL装置101は、本発明の「表示装置」の一例である。また、本発明の第1実施形態では、表示装置の一例としてトップエミッション型のEL(エレクトロルミネッセンス)装置101に本発明を適用した場合について説明する。
本発明の第1実施形態によるEL装置101では、図3に示すように、基板1の表面上には、矩形形状を有する複数の画素2がマトリクス状に配置された表示領域1aと、表示領域1aを囲むように配置される非表示領域1bとが設けられている。非表示領域1bには、2つの走査線駆動回路3と、1つのデータ線駆動回路4とが設けられている。走査線駆動回路3には、複数のゲート線5が接続されるとともに、データ線駆動回路4には、複数の信号線6が接続されている。なお、信号線6は、本発明の「配線」の一例である。表示領域1aに配置される複数の画素2は、ゲート線5と信号線6とが交差する位置に配置されている。
画素2は、画素選択用のTFT(Thin Film Transistor)7と、駆動電流制御用のTFT8と、保持容量9と、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子10とから構成されている。TFT7のゲートは、ゲート線5に接続されている。また、TFT7のソース/ドレイン電極の一方は、信号線6に接続されるとともに、他方は、TFT8のゲートに接続されている。また、TFT8のソース/ドレイン電極の一方は、有機EL素子10に接続されるとともに、他方は、共通給電線11に接続されている。なお、共通給電線11は、本発明の「配線」および「電源線」の一例である。また、TFT7のソース/ドレイン電極の他方およびTFT8のゲートと共通給電線11との間には、保持容量9が設けられている。ここで、第1実施形態では、図10に示すように、共通給電線11と後述する反射層23とが交差する部分の断面において、共通給電線11の反射層23の側面部23aに沿った断面形状の側面部11aと底辺部11bとのなす角度A1は、図12に示す比較例のEL装置101aの共通給電線211の幅方向の断面形状の側面部211aと底辺部211bとのなす角度A2より小さい。
次に、図4〜図10を参照して、本発明の第1実施形態による画素2の詳細な構成について説明する。
図4に示すように、EL装置101では、基板1の表面上に、バッファ膜12が形成されているとともに、バッファ膜12の表面上には、バッファ膜13が形成されている。バッファ膜12は、シリコン窒化膜(SiN膜)からなる。バッファ膜13は、シリコン酸化膜(SiO2膜)からなる。バッファ膜13の表面上の画素選択用のTFT7、および、駆動電流制御用のTFT8が形成される領域には、それぞれ、ポリシリコンなどからなる能動層141、および、能動層142が形成されている。
また、図5に示すように、保持容量9は、能動層141(142)と同一層から形成されている活性層91上に絶縁膜15(図4参照)を介してゲート層92が形成されることにより構成されている。
また、図4に示すように、バッファ膜13の表面上には、能動層141(142)を覆うように絶縁膜15が形成されている。なお、絶縁膜15の能動層141(142)上に位置する部分は、ゲート絶縁膜として機能する。この絶縁膜15は、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる。TFT7のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜15の表面上には、ゲート電極51(ゲート線5)が形成されている。このゲート電極51は、クロムやモリブデンなどからなる。TFT8のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜15の表面上には、ゲート電極52が形成されている。また、絶縁膜15、ゲート電極51およびゲート電極52の表面上には、シリコン酸化膜などからなる層間絶縁膜16が形成されている。
絶縁膜15には、能動層141(142)のソース領域141a(142a)を露出するためのコンタクトホール151a(152a)、および、ドレイン領域141b(142b)を露出するためのコンタクトホール151b(152b)が形成されている。また、層間絶縁膜16には、能動層141(142)のソース領域141a(142a)を露出するためのコンタクトホール161a(162a)、および、ドレイン領域141b(142b)を露出するためのコンタクトホール161b(162b)が形成されている。
コンタクトホール161a(162a)には、能動層141(142)のソース領域141a(142a)に接続するようにソース電極17(18)が形成されている。コンタクトホール161b(162b)には、能動層141(142)のドレイン領域141b(142b)に接続するようにドレイン電極19(20)が形成されている。
また、図6に示すように、保持容量9の活性層91と、TFT7のソース電極17(ソース領域141a)と、TFT8のゲート電極52とは、配線93により電気的に接続されている。また、信号線6は、Y方向に延びるように形成されている。ここで、第1実施形態では、図7に示すように、共通給電線11は、信号線6に対して略直交する方向(X方向)に延びるようにY方向の幅の大きい帯状に形成されている。また、保持容量9のゲート層92と、TFT8のドレイン電極20(ドレイン領域142b)と、共通給電線11とは、電気的に接続されている。また、信号線6と、TFT7のドレイン電極19とは、接続部61により電気的に接続されている。
また、図4に示すように、ソース電極17(18)、ドレイン電極19(20)、共通給電線11、および、層間絶縁膜16の表面上には、シリコン窒化膜からなり、約100nm以上約500nm以下の厚みを有するパッシベーション膜21が形成されている。パッシベーション膜21の表面上には、感光性のアクリル樹脂からなり絶縁性の有機平坦化膜22が形成されている。なお、有機平坦化膜22は、本発明の「絶縁膜」の一例である。
また、第1実施形態では、有機平坦化膜22の表面は、完全に平坦に形成されずに、図10に示すように、共通給電線11の側面部11aの外形形状を反映した段差部22bが形成されている。また、共通給電線11と反射層23とが交差する部分の断面において、有機平坦化膜22の共通給電線11の側面部11aに対応する段差部22bは、図12に示す比較例のEL装置101aの有機平坦化膜222の段差部222bの角度A3よりも小さい角度A4で傾斜している。
また、図4に示すように、パッシベーション膜21および有機平坦化膜22には、それぞれ、コンタクトホール21aおよびコンタクトホール22aが形成されている。このコンタクトホール21aおよび22aは、TFT8のソース電極18の表面を露出させるために形成されている。
また、有機平坦化膜22の表面上には、AlNd(アルミニウムネオジウム)などのアルミニウム合金膜やCr(クロム)などの金属膜からなる反射層23が形成されている。この反射層23は、図8に示すように、平面的に見て、TFT8のソース電極18が形成されている領域以外の画素2の領域とオーバラップするように配置されている。また、反射層23の側面部23aは、平面的に見て、画素2の矩形形状に沿って延びるように形成されている。
また、第1実施形態では、図9に示すように、Y方向の幅の大きい帯状の共通給電線11の側面部11aと、画素2の矩形形状に沿って形成された反射層23の側面部23aとは、平面的に見て、90度よりも小さい角度A5で交差するように配置されている。この場合、好ましくは、帯状の共通給電線11の側面部11aと、画素2の矩形形状に沿って形成された反射層23の側面部23aとは、平面的に見て、5度以上60度以下の角度範囲で交差するように配置するとよい。
また、帯状の共通給電線11の反射層23の側面部23aと交差する部分のY方向の幅(長さ)W1(図8参照)は、平面的に見て、帯状の共通給電線11の反射層23とオーバラップしている部分の中央部分近傍のY方向の幅(長さ)W2よりも小さくなるように形成されている。これにより、帯状の共通給電線11の側面部11aと反射層23の側面部23aとは、平面的に見て、90度より小さい角度で交差するように配置される。
また、接続部61のTFT7のドレイン電極19と接続される部分には、突出部6aが形成されている。この突出部6aは、平面的に見て、台形形状に形成されている。また、第1実施形態では、図9に示すように、突出部6aの側面部6bと、反射層23の側面部23aとは、平面的に見て、90度よりも小さい角度A6で交差するように配置されている。
また、図10に示すように、反射層23の共通給電線11の側面部11aに対応する側面部23aの高さは、H3である。また、共通給電線11の側面部11aと、反射層23の側面部23aとが交差している部分の長さは、L3である。
また、図4に示すように、反射層23の表面上および側面には、シリコン窒化膜(SiN膜)などの無機絶縁膜からなり、約10nm以上約100nm以下の厚みを有する低温パッシベーション膜24が形成されている。また、低温パッシベーション膜24の隣接する画素2の境界部分に対応する部分には、有機平坦化膜22などに含まれた水分を除去する(水抜きする)ための水分除去用開口部24aが形成されている。
また、TFT8のソース電極18、および、低温パッシベーション膜24の表面上には、画素2毎に、ITO(酸化インジウムスズ)などの透明電極からなる画素電極25が形成されている。この画素電極25は、画素2にそれぞれ設けられたTFT8のソース電極18と電気的に接続されており、表示信号に応じた電圧が印加されるように構成されている。
また、隣接する画素2の間の領域には、低温パッシベーション膜24の水分除去用開口部24aと、水分除去用開口部24aの近傍に形成された画素電極25の表面とを覆うように、隔壁27が形成されている。
隔壁27および画素電極25上に、有機発光層26が形成されている。なお、有機発光層26は、本発明の「発光層」の一例である。また、有機発光層26上には、マグネシウムおよび銀などの金属からなり、半反射可能な対向電極28が形成されている。対向電極28上には、封止膜29が形成されている。封止膜29まで形成された基板1は、接着剤層30を介して、封止基板31と貼り合わされている。
上記のような構成により、有機発光層26から出射された光を、反射層23と対向電極28との間で共振させることが可能となり、光強度を強めた状態で対向電極28側から光を出射させることができる。
また、上記のような構成において、画素電極25を陽極、対向電極28を陰極とした場合には、共通給電線11(図3参照)に正電源、対向電極28に負電源を接続する。そして、TFT7により選択された画素2は、信号線6からの信号に応じてTFT8により共通給電線11からの駆動電流が制御されるとともに画素電極25に印加される。これにより、有機発光層26から光が出射されるように構成されている。
第1実施形態では、上記のように、共通給電線11の反射層23の側面部23aに沿った断面形状の側面部11aと底辺部11bとのなす角度A1を、共通給電線211の幅方向の断面形状の側面部211aと底辺部211bとのなす角度A2より小さくする。これにより、図11に示す比較例のEL装置101aのように、共通給電線211の側面部211aと反射層223の側面部223aとが、平面的に見て、90度の角度で交差するように配置される場合の、図12に示す、共通給電線211の側面部211aと反射層223の側面部223aとの交差する部分の長さL4に比べて、本発明のEL装置101の交差する部分の長さL3(図10参照)の方が大きくなる。その結果、交差する部分の長さが大きくなった分、有機平坦化膜22の段差部22bの傾斜角度A4が小さくなる。これにより、共通給電線11の表面上に形成された反射層23の側面部23aの傾斜角度A4が、比較例によるEL装置101aの有機平坦化膜222の段差部222bおよび反射層223の側面部223aの傾斜角度A3(図12参照)よりも小さくなるので、本発明のEL装置101の反射層23のうち有機平坦化膜22の段差部22bの表面上に形成された部分が有機平坦化膜22から剥離するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、共通給電線11の側面部11aと反射層23の側面部23aとを、平面的に見て、直交しない角度A5で交差するように配置することによって、共通給電線11の側面部11aと反射層23の側面部23aとが、平面的に見て、90度の角度で交差(直交)するように配置される場合と比べて、共通給電線11の側面部11aと反射層23の側面部23aとの交差する部分の長さが大きくなるので、交差する部分の長さが大きくなった分、交差する部分の有機平坦化膜22の段差部22bの傾斜角度A4が小さくなる。これにより、交差する部分の共通給電線11の表面上に形成された反射層23の側面部23aの傾斜角度が小さくなるので、反射層23のうち有機平坦化膜22の段差部22bの表面上に形成された部分が有機平坦化膜22から剥離するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、帯状の共通給電線11の側面部11aと反射層23の側面部23aとを、平面的に見て、直交しないように配置することによって、帯状の共通給電線11の側面部11aと、反射層23の側面部23aとの交差する部分の長さL3が大きくなるので、交差する部分の長さL3が大きくなった分、交差する部分の有機平坦化膜22の段差部22bの傾斜角度A4が小さくなる。これにより、交差する部分の帯状の共通給電線11の表面上に形成された反射層23の側面部23aの傾斜角度A4が小さくなる。その結果、信号線6と略直交する方向(X方向)に延びる帯状の共通給電線11に対応する有機平坦化膜22の段差部22bの表面上に反射層23が形成される場合に、反射層23が有機平坦化膜22から剥離するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、共通給電線11の一方の側面部11aと反射層23の側面部23aとを、平面的に見て、5度以上60度以下の角度範囲で交差するように配置することによって、反射層23が有機平坦化膜22から剥離するのをより有効に抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、絶縁膜が、有機平坦化膜22からなることによって、有機平坦化膜22からなる絶縁膜は、絶縁膜下の形状が反映されにくいので、絶縁膜の表面に形成される段差部22bの高さH3を小さくすることができる。これにより、有機平坦化膜22の段差部22bの傾斜角度A4を小さくすることができる。これにより、有機平坦化膜22の段差部22bの表面上に形成された反射層23が剥離するのをより抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、図13および図14を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記した第1実施形態とは異なり、共通給電線311を幅の小さい線状に形成した場合について説明する。
本発明の第2実施形態によるEL装置102では、図13に示すように、共通給電線311は、信号線6と略平行方向のY方向に延びるように、X方向の幅の小さい線状に形成されている。なお、EL装置102は、本発明の「表示装置」の一例であり、共通給電線311は、本発明の「配線」および「電源線」の一例である。この共通給電線311と、信号線6とは、Al(アルミニウム)などの同一の金属層からなる。
信号線6には、信号線6の延びる方向(Y方向)に交差する方向(矢印X1方向側)に向かって突出部306が形成されている。この突出部306の両方の側面部306aは、平面的に見て、互いに平行に配置されている。
図14に示すように、共通給電線311の表面上には、反射層323が形成されている。ここで、第2実施形態では、図15に示すように、共通給電線311の側面部311aと、反射層323の側面部323aとが交差する部分の断面において、共通給電線311の反射層323の側面部323aと交差する部分の両方の側面部311aは、平面的に見て、90度よりも小さい角度A7で交差するとともに、互いに平行に延びるように形成されている。
また、第2実施形態では、信号線6の突出部306の側面部306aと、反射層323の側面部323aとが交差する部分の断面において、信号線6の突出部306の側面部306aと、反射層323の側面部323aとは、平面的に見て、90度よりも小さい角度A8で交差するように配置されている。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記した第1実施形態の構成と同様である。
第2実施形態では、上記のように、共通給電線311の側面部311aと反射層323の側面部323aとを、平面的に見て、直交しない角度A7で交差するように配置する。これにより、図16に示す比較例のEL装置102aのように、共通給電線411の側面部411aと反射層423の側面部423aとが、平面的に見て、90度の角度で交差するように配置される場合の、共通給電線411の側面部411aと反射層423の側面部423aとの交差する部分の長さに比べて、本発明のEL装置102の交差する部分の長さの方が大きくなる。その結果、交差する部分の長さが大きくなった分、交差する部分の有機平坦化膜22の段差部22bの傾斜角度が小さくなる。これにより、共通給電線311の表面上に形成された反射層323の側面部323aの傾斜角度A7が、比較例によるEL装置102aの有機平坦化膜の段差部および反射層の側面部の傾斜角度よりも小さくなるので、本発明のEL装置102の反射層323のうち有機平坦化膜22の段差部22bの表面上に形成された部分が有機平坦化膜22から剥離するのを抑制することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、線状の共通給電線311の反射層323の側面部323aと交差する部分の両方の側面部311aを、平面的に見て、反射層323の側面部323aに対して直交しない角度A7で傾斜させるとともに、互いに平行に配置することによって、線状の共通給電線311の側面部311aと、反射層323の側面部323aとの交差する部分の長さが大きくなるので、線状の共通給電線311の側面部311aと反射層323の側面部323aとが90度で交差(直交)する場合と比べて交差する部分の長さが大きくなった分、交差する部分の有機平坦化膜22の段差部22bの傾斜角度が小さくなる。これにより、信号線6の延びる方向(Y方向)に沿って延びる線状の共通給電線311に対応する有機平坦化膜22の段差部22bの表面上に反射層323が形成される場合に、反射層323が有機平坦化膜22から剥離するのを抑制することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、信号線6の突出部306の側面部306aと反射層323の側面部323aとを、平面的に見て、直交しないように配置することによって、信号線6の突出部306の側面部306aと、反射層323の側面部323aとの交差する部分の長さが大きくなるので、信号線6の突出部306の側面部306aと反射層323の側面部323aとが90度で交差(直交)する場合と比べて交差する部分の長さが大きくなった分、交差する部分の有機平坦化膜22の段差部22bの傾斜角度が小さくなる。これにより、信号線6の突出部306に対応する有機平坦化膜22の段差部22bの表面上に形成された反射層323が有機平坦化膜22から剥離するのを抑制することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、共通給電線311と信号線6とが、同一層からなることによって、反射層323と90度よりも小さい角度で交差する共通給電線311と信号線6とを同一工程により形成することができる。
図17〜図19は、それぞれ、上記した第1および第2実施形態によるEL装置101および102を用いた電子機器の第1の例〜第3の例を説明するための図である。図17〜図19を参照して、第1および第2実施形態によるEL装置101および102を用いた電子機器について説明する。
第1および第2実施形態によるEL装置101および102は、図17〜図19に示すように、第1の例としてのPC(Personal Computer)200、第2の例としての携帯電話300、および、第3の例としての情報携帯端末400(PDA:Personal Digital Assistants)などに用いることが可能である。図17の第1の例によるPC200においては、キーボードなどの入力部200aおよび表示画面200bなどに第1および第2実施形態によるEL装置101および102を用いることが可能である。図18の第2の例による携帯電話300においては、表示画面300aに第1および第2実施形態によるEL装置101および102が用いられる。図19の第3の例による情報携帯端末400においては、表示画面400aに第1および第2実施形態によるEL装置101および102が用いられる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、配線の一例として帯状の電源線、線状の電源線および信号線を適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、帯状の電源線、線状の電源線および信号線以外の配線と反射層との関係において本発明を適用してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、発光層の一例として有機EL素子の有機発光層を用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、有機EL素子の有機発光層以外の発光層を適用してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、絶縁膜の一例として感光性のアクリル系樹脂からなる有機平坦化膜を適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、感光性のアクリル系樹脂からなる有機平坦化膜以外の絶縁膜を用いる場合にも本発明を適用可能である。