JP5181455B2 - 非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、および、これを用いた非水系電解質二次電池 - Google Patents

非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、および、これを用いた非水系電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、および、これを用いた非水系電解質二次電池に関する。
近年、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯電子機器の普及にともない、高いエネルギ密度を有する小型で軽量な非水系電解質二次電池の開発が強く望まれている。このような二次電池として、リチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池は、負極および正極と電解液等で構成され、負極および正極の活物質として、リチウムを脱離および挿入することが可能な材料が用いられている。
このようなリチウムイオン二次電池については、現在、研究開発が盛んに行われているところである。この中でも、リチウム金属複合酸化物、特に合成が比較的容易なリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を正極材料に用いたリチウムイオン二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高いエネルギ密度を有する電池として実用化が進んでいる。このリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を用いたリチウムイオン二次電池では、優れた初期容量特性やサイクル特性を得るための開発がこれまで数多く行われてきており、すでにさまざまな成果が得られている。
しかし、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)は、原料に希産で高価なコバルト化合物を用いているため、電池のコストアップの原因となる。このため、正極活物質として、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)以外を用いることが望まれている。
また、最近は、携帯電子機器用の小型二次電池だけではなく、電力貯蔵用や、電気自動車用などの大型二次電池として、リチウムイオン二次電池を適用することへの期待も高まってきている。このため、正極材料のコストを下げ、より安価なリチウムイオン二次電池の製造を可能とすることは、広範な分野への大きな波及効果が期待できる。
リチウムイオン二次電池用正極活物質として新たに提案されている材料としては、コバルトよりも安価なマンガンを用いたリチウムマンガン複合酸化物(LiMn24)や、ニッケルを用いたリチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)を挙げることができる。
リチウムマンガン複合酸化物(LiMn24)は、原料が安価である上、熱安定性、特に、発火などについての安全性に優れるため、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)の有力な代替材料であるといえるが、理論容量がリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)のおよそ半分程度しかないため、年々高まるリチウムイオン二次電池の高容量化の要求に応えるのが難しいという欠点を持っている。また、45℃以上では、自己放電が激しく、充放電寿命も低下するという欠点も有している。
一方、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)は、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)とほぼ同じ理論容量を持ち、リチウムコバルト複合酸化物よりもやや低い電池電圧を示す。このため、電解液の酸化による分解が問題になりにくく、より高容量が期待できることから、開発が盛んに行われている。しかし、ニッケルを他の元素で置換せずに、純粋にニッケルのみで構成したリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いて、リチウムイオン二次電池を作製した場合、リチウムコバルト複合酸化物を正極活物質として用いた場合に比べ、サイクル特性が劣っている。また、高温環境下で使用されたり保存されたりした場合に、比較的電池性能を損ないやすいという欠点も有している。
このような欠点を解決するために、例えば、特許文献1では、高温環境下での保存や使用に際して良好な電池性能を維持することのできる正極活物質として、LiwNixCoyz2(0.05≦w≦1.10、0.5≦x≦0.995、0.005≦z≦0.20、x+y+z=1)で表されるコバルトとホウ素が添加されたリチウムニッケル複合酸化物が提案されている。
また、特許文献2では、リチウムイオン二次電池の自己放電特性やサイクル特性を向上させることを目的として、LixNiaCobc2(0.8≦x≦1.2、0.01≦a≦0.99、0.01≦b≦0.99、0.01≦c≦0.3、0.8≦a+b+c≦1.2、Mは、Al、V、Mn、Fe、CuおよびZnから選ばれる少なくとも1種の元素)で表されるリチウムニッケル系複合酸化物が提案されている。
しかしながら、これらの製造方法によって得られたリチウムニッケル系複合酸化物では、リチウムコバルト複合酸化物に比べて、充電容量および放電容量がともに高く、サイクル特性も改善されているが、満充電状態で高温環境下に放置しておくと、リチウムコバルト複合酸化物に比べて低い温度から、リチウムニッケル複合酸化物の分解による酸素放出を起こすといった問題がある。さらに、高温環境下で不安定となったリチウムニッケル複合酸化物中のニッケルが、電解液と接触することにより触媒的な働きをし、放出された酸素との反応を促進し、発火し易くなるという安全性の問題があった。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献3では、リチウムイオン二次電池正極材料の熱安定性を向上させることを目的として、LiabNicCode(Mは、Al、Mn、Sn、In、Fe、V、Cu、Mg、Ti、Zn、Moからなる群から選択される少なくとも一種の金属であり、かつ0<a<1.3、0.02≦b≦0.5、0.02≦d/c+d≦0.9、1.8<e<2.2の範囲であって、さらにb+c+d=1である)で表されるリチウム含有複合酸化物等が提案されている。この場合に、添加元素Mとして、例えばアルミニウムを選択した場合、ニッケルからアルミニウムへの置換量を多くすれば、正極活物質の分解反応は抑えられ、熱安定性は向上することが確かめられている。しかし、十分な安定性を確保するのに有効なアルミニウムでニッケルを置換すると、充放電反応にともない、酸化還元反応に寄与するニッケルの量が減少するため、電池性能として最も重要である初期容量が大きく低下するという問題点を有している。これは、アルミニウムが3価で安定していることから、ニッケルも電荷を合わせるため3価で安定し、酸化還元反応に寄与しない部分が生ずるために、容量低下が起こるものと考えられる。
近年、携帯電子機器等に用いる小型二次電池に対する高容量化の要求は高まる一方であるが、安全性を確保するために容量を犠牲にすることは、リチウムニッケル複合酸化物の高容量のメリットを失うことになり、高容量化の要求に応えられなくなる。また、リチウムイオン二次電池を大型二次電池に用いようという動きも盛んであり、中でも、ハイブリッド自動車用、電気自動車用の電源としての期待が大きい。このように、自動車用の電源として用いられる場合、安全性に劣るというリチウムニッケル複合酸化物の問題点の解消は、大きな課題である。
そこで、安全性を改善するため、正極活物質の周りを異種化合物で被覆し、正極活物質と電解液との直接的な接触を防ぐ方法が提案されている。例えば、非特許文献1では、リチウムニッケル複合酸化物の表面にマグネシウム酸化物をコーティングし、熱安定性を向上させることを提案している。しかしながら、かかるリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いた二次電池では、充放電容量が低下しており、高容量と安全性の両立という課題を満たしているとは言い難い。
また、特許文献4では、リチウム二次電池の正極用層相構造酸化物の表面をリチウム転移金属酸化物でコーティングすることが提案されている。この技術では、表面処理用原料溶液を、有機酸とアンモニアでpHを5〜9に調整し、溶液濃度を0.1〜2モル濃度に調節したのち、層相構造酸化物を添加して、コーティングされた層相構造酸化物を500〜850℃、3〜48時間で熱処理することにより、リチウム転移金属酸化物で表面を層状にコーティングされた層相構造酸化物からなる正極活物質を得ている。しかしながら、リチウム転移金属酸化物として、LiMn2-XM1X4、LiCo1-XAlX2、LiNi1-XAlX2、LiNi1-X-YCoXAlY2、LiNi1-X-Y-ZCoXM1YM2Z2(M1とM2は、Al、Ni、Co、Fe、Mn、V、Cr、Cu、Ti、W、Ta、MgまたはMo、0≦X<0.5、0≦Y<0.5、0≦Z<0.5)が挙げられているが、これらはリチウムイオンの移動が可能な酸化物であるにもかかわらず、かかる正極活物質を用いても、約8%もの充放電容量の低下が生じている。このように、この提案においても、高容量と安全性の両立という課題を満たしているとは言い難い。
さらに、特許文献5では、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物粒子の表面にリチウム化合物を添着させた非水電解質リチウムイオン二次電池用正極材料が提案されている。しかしながら、正極材料として用いられているリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物は、ニッケルを多量のコバルトおよびマンガンで置換したものであるため、熱安定性は改善されているものの、リチウムニッケル酸化物と比べると、容量が大きく低下している。また、表面に添着させたリチウム化合物は、充放電を繰り返した際に起こるマンガンイオンの電解液中への溶解を抑制して、電池の出力や高温でのサイクル耐久性といった電池性能の低下の改善を目的としたものであり、安全性の改善を目的としていない。
以上のように、高い充放電容量と熱安定性および安全性を両立させたリチウム金属複合酸化物は、見出されておらず、これらの問題を解決した非水系電解質二次電池が望まれている。
特開平8−45509号公報 特開平8−213015号公報 特開平5−242891号公報 特開2002−231227号公報 特開2006−73482号公報 H.J.Kweon et al.,Electrochem, and Solid-State lett.,3,128(2000)
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、熱安定性および安全性が高く、かつ、高い充放電容量をもつという2つの特性を両立させた非水系電解質二次電池を実現することが可能な正極活物質を提供することを目的とする。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、リチウム金属複合酸化物からなる粉末を水と混合し、撹拌することにより、スラリーを得る第1工程、得られたスラリーを撹拌しつつ、コバルト塩を含む水溶液を添加することにより、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面に、コバルト化合物からなる微粒子を付着させる第2工程、および、300〜700℃で熱処理をすることにより、前記コバルト化合物をリチウムコバルト系複合酸化物とする第3工程を有する。
さらに、前記リチウム金属複合酸化物、一般式LizNi1-x-yCoxMyO2(ただし、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素、0.10≦x≦0.21、0≦y≦0.08、0.97≦z≦1.10)で表される。
さらに、前記第1工程で得られるスラリーのpH、9.0を超えるように制御する。
さらに、前記第1工程で得られるスラリーは、スラリー濃度を1000〜2500g/Lとすることが望ましい。
さらに、前記第2工程で使用するコバルト塩に含まれるコバルトの原子数は、前記第1工程で使用されるリチウム金属複合酸化物からなる粉末に含まれるNi、CoおよびMの原子数の合計に対して、0.5〜1.5原子%とする。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、前記のいずれかの製造方法により得られ、一般式LizNi1-x-yCoxy2(ただし、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素、0.10≦x≦0.21、0≦y≦0.08、0.97≦z≦1.10)で表されるリチウム金属複合酸化物の一次粒子、および該一次粒子の表面に付着するリチウムコバルト系複合酸化物の微粒子からなる非水系電解質二次電池用正極活物質であり、該微粒子に含まれるコバルトの原子数は、前記一次粒子に含まれるNi、CoおよびMの原子数の合計に対して、0.5〜1.5原子%である。
さらに、前記微粒子は、100nm以下であり、均一に分布した状態、かつ、密集した状態で、一次粒子の表面に付着していることが望ましい。
さらに、正極に用いることにより得られる非水系電解質二次電池の初期放電容量が、190mAh/g以上であることが望ましい。
本発明の非水系電解質二次電池は、前記のいずれかの非水系電解質二次電池用正極活物質が正極に用いられている。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法により、熱安定性および安全性が高く、かつ、高い充放電容量を有するという2つの特性を両立させた非水系電解質二次電池を実現することが可能な正極活物質を提供することができる。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質を用いて、非水系電解質二次電池を得ることにより、最近の携帯電子機器等の小型二次電池に対する高容量化の要求を満足するとともに、ハイブリッド自動車用や電気自動車用の大型二次電池に用いられる電源として求められる安全性をも確保することが可能となり、工業上、きわめて有用である。
本発明者は、正極活物質としてリチウム金属複合酸化物を、非水系電解質二次電池に用いる場合に重要となる充放電容量と安全性の両立について深く検討したところ、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面を、リチウムコバルト系酸化物からなる微粒子で被覆すること、および、微粒子に含まれるコバルトを所定の量とするとともに、微粒子の形態を制御することで、高い充放電容量と熱安定性および安全性を両立させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。以下、本発明について詳細に説明する。
(1)正極活物質
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、一般式LizNi1-x-yCoxy2(ただし、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素、0.10≦x≦0.21、0≦y≦0.08、0.97≦z≦1.10)で表されるリチウム金属複合酸化物の一次粒子、および、該一次粒子の表面に付着するリチウムコバルト系複合酸化物からなる微粒子からなり、該微粒子に含まれるコバルトの原子数は、前記一次粒子に含まれるNi、CoおよびMの原子数の合計に対して、0.5〜1.5原子%である。ここで微粒子とは、形状がほぼ球状で、粒径が5nm〜100nmであり、それらの粒径が均一に揃った粒子をいう。
二次電池の充放電反応は、正極活物質内のリチウムイオンが可逆的に出入りすることで進行する。充電によってリチウムが引き抜かれた正極活物質は、高温で不安定であり、加熱すると活物質が分解して酸素を放出し、この酸素が電解液の燃焼を引き起こし、発熱反応が起こる。したがって、正極材料の熱安定性を改善するということは、リチウムが引き抜かれた正極活物質の分解反応を抑えるということである。
公知の正極活物質の分解反応を抑える方法としては、アルミニウムのように、酸素との共有結合性の強い元素で、ニッケルの一部を置換することが一般的に行なわれている。確かに、ニッケルからアルミニウムへの置換量を多くすれば、正極活物質の分解反応は抑えられ、熱安定性が向上するが、充放電反応にともなう酸化還元反応に寄与するニッケルの量が減少することで、充放電容量の低下を招くため、アルミニウムへの置換量はある程度に留めなければならない。その結果、十分な熱安定性を確保した場合には、十分な可逆容量を得ることができず、逆に、ある程度の容量を得るためには、熱安定性を犠牲にしなければならない。
このため、本発明では、一般式LizNi1-x-yCoxy2(ただし、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素、0.10≦x≦0.21、0≦y≦0.08、0.97≦z≦1.10)で表されるリチウム金属複合酸化物を用いることにより、熱安定性を改善し、さらに、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面を、リチウムコバルト系複合酸化物からなる微粒子で緻密かつ均一に被覆することにより、高い充放電容量と安全性を十分に確保する。すなわち、リチウムが奪われて不安定化したリチウム金属複合酸化物一次粒子と電解液との直接的な接触を防ぐことにより、発火を抑制または遅延させると同時に、界面抵抗を上昇させ、熱伝導も低減させ、温度上昇を緩慢にする効果を得ている。
一般的に、正極活物質の表面が、異種化合物により完全に被覆されてしまうと、リチウムイオンの移動(インターカレーション)が大きく制限されるため、結果的にリチウムニッケル複合酸化物の持つ高容量という長所が消されてしまう。しかしながら、本発明において、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子を被覆している微粒子は、リチウムイオン伝導率の高いリチウムコバルト系酸化物であり、リチウムイオンの移動をほとんど制限しない。
さらに、リチウムコバルト系複合酸化物を微粒子の状態で緻密かつ均一に被覆していることにより、比表面積が増大することで電解液との接触面積が大きくなり、リチウム金属複合酸化物一次粒子と電解液との間でリチウムイオンの移動がほとんど妨げられないため、十分な安全性を有したまま、高い充放電容量を維持することができる。
ここで正極活物質の表面を微粒子としてではなく、層状に被覆した場合には、その被覆厚みに関わらず、比表面積の低下が起こるため、たとえ被覆されている物質が高いリチウムイオン伝導度を持っていたとしても、電解液との接触面積が小さくなってしまい、それによって充放電容量の低下を招きやすい。
本発明においては、リチウムコバルト系複合酸化物からなる微粒子で、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子を均一に密集した状態で被覆しているため、リチウム金属複合酸化物と電解液との接触を防ぐことができ、高い安全性を付与することができる。また、高比表面積でリチウムイオン伝導を効果的に維持できるため、充放電容量の低下を最小限に抑えることができる。
リチウムコバルト系複合酸化物からなる微粒子に含まれるコバルトの原子数を、一次粒子に含まれるNi、CoおよびMの原子数の合計に対して、0.5〜1.5原子%とすることにより、高い充放電容量と安全性を両立することができる。0.5原子%未満では、一次粒子の表面の全体に、十分な量の微粒子を均一に被覆させることができないため、安全性が低下する。また、1.5原子%を超えると、付着する微粒子の量が多くなりすぎ、十分なリチウムイオン伝導性が損なわれ、結果的に充放電容量の低下を招く。
リチウムコバルト系複合酸化物からなる微粒子は、直径100nm以下であり、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面に、均一に、かつ、緻密に密集した状態で付着していることが好ましい。これにより、リチウム金属複合酸化物と電解液との接触をほとんど僅かなものとすることができる。
一方、リチウムコバルト系酸化物からなる微粒子の直径あるいは付着量が不均一であるか、または、リチウムコバルト系酸化物からなる微粒子の付着が密集した状態でない場合は、リチウム金属複合酸化物と電解液との接触が増えて、安全性が低下する可能性が生ずるため、好ましくない。
また、リチウムコバルト系酸化物からなる微粒子の直径が100nmより大きくなると、リチウムコバルト系酸化物からなる微粒子の厚みが増えることになり、リチウムイオンの移動に悪影響を及ぼす可能性を生ずるため、好ましくない。なお、リチウムコバルト系酸化物からなる微粒子の直径が5nm未満である場合も、微粒子の凝集が進行しやすくなり、付着の均一性やリチウムイオン伝導性に悪影響を及ぼすため、好ましくない。
このようなリチウム金属複合酸化物の表面の性状は、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM、CarlZeiss社製、ULTRA55)で観察することにより判断でき、本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質については、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面が、直径5nm以上100nm以下のニッケルコバルト系酸化物の微粒子で、ほぼ均一に、かつ、密集した状態で被覆されていることが確認されている。
リチウム金属複合酸化物の表面をリチウムコバルト系複合酸化物の微粒子で被覆することによる効果は、本発明で掲げたリチウムニッケル系複合酸化物だけでなく、たとえば、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物など、一般的に使用されるリチウム二次電池用正極活物質にも適用できる。
(2)正極活物質の製造方法
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、一般式Li z Ni 1-x-y Co x y 2 (ただし、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素、0.10≦x≦0.21、0≦y≦0.08、0.97≦z≦1.10)で表されるリチウム金属複合酸化物からなる粉末を水と混合し、撹拌することにより、pHが、9.0を超えるように制御されたスラリーを得る第1工程、得られたスラリーを撹拌しつつ、前記第1工程で使用されるリチウム金属複合酸化物からなる粉末に含まれるNi、CoおよびMの原子数の合計に対して、0.5〜1.5原子%のCoを含有するコバルト塩を含む水溶液を添加することにより、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面に、コバルト化合物からなる微粒子を付着させる第2工程、および、300〜700℃で熱処理をすることにより、前記コバルト化合物をリチウムコバルト系複合酸化物とする第3工程を有する。
(第1工程)
まず、リチウム金属複合酸化物からなる粉末を水と混合し、撹拌することにより、スラリーを得る。リチウム金属複合酸化物は、高容量と熱安定性の観点より、一般式LizNi1-x-yCoxy2(ただし、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素、0.10≦x≦0.21、0≦y≦0.08、0.97≦z≦1.10)で表されるリチウム金属複合酸化物を用いる。
スラリーを得るための水は、正極活物質にとって有害な不純物を含まない一般的な純水等を用いることが、高い充放電容量を得るためには好ましい。
スラリー濃度は、1000〜2500g/Lとすることが好ましい。スラリー濃度が1000g/L未満で希薄になると、スラリーの容積が増えて、排水量や、一度に作製可能な量を考慮した場合、効率が悪く、コスト的に不利になりやすい。また、2500g/Lを超えて濃厚になると、スラリーの粘度が高くなり過ぎて、均一に撹拌することが困難となる。
(第2工程)
次に、得られたスラリーを撹拌しつつ、コバルト塩を含む水溶液を添加する。コバルト塩は、特に限定されるものではないが、硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト、酢酸コバルト、クエン酸コバルト、およびシュウ酸コバルトなど、水に対して易溶性のコバルト塩を用いることが好ましい。コバルト塩は、水に完全に溶解させ、スラリーを撹拌しつつ添加することが、晶析の均一性から好ましい。コバルト塩を含む水溶液中のコバルト濃度、および、コバルト塩を含む水溶液を添加する速度は、特に限定されないが、スラリー量およびスラリー濃度を考慮して、リチウム金属複合酸化物からなる粉末の一次粒子の表面に晶析するように、任意に決定することができる。
添加するコバルト塩を含む水溶液中にイオンとして存在するコバルトは、水酸化物を主としたコバルト化合物となって晶析した後、スラリー中において、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子と衝突することにより表面に付着するか、もしくは、一次粒子の表面上で晶析することにより付着する。その際、水溶液に含まれるコバルトは、ほぼ全量が一次粒子の表面に晶析して付着するため、微粒子に含まれるコバルトの所望量に相当する量を、水溶液に含むことが必要である。すなわち、水溶液に含まれるコバルトは、一次粒子に含まれるNi、CoおよびMの原子数の合計に対して、0.5〜1.5原子%であることが必要である
また、スラリーにコバルト塩を含む水溶液を添加するとき、スラリーのpHを9.0を超えるように制御する。表面を被覆するリチウムコバルト系複合酸化物の形状に対しては、pHの影響が非常に大きい。スラリーのpHが9.0以下の場合、中和反応によるコバルト化合物が生成されにくく、また、工程中に一次粒子を構成するリチウムニッケル複合酸化物から大幅なリチウムの脱離が生じて、充放電容量の顕著な低下を招く。さらに、pHが9.0以下の場合、コバルト化合物が粗大粒子となりやすく、焼成後に層状の被覆物となりやすく、電解液との接触面積が減少して充放電容量の低下を招く。加えて、低いpHでは中和によって化合物が析出されにくいため、被覆が不完全となりやすく、安全性の改善が不十分となる。

これに対して、本発明では、スラリーに水酸化リチウムを溶解させておくことにより、pHが常に9.0を超えるように調整して、多量のコバルト化合物の核発生を起こさせ、さらに、粒成長を制御することにより、均一なコバルト化合物の微粒子による被覆を得ている。
本発明に係る製造方法では、リチウム金属複合酸化物からなる粉末と水とを混合して、スラリーとする。上述のpH調整により、スラリーのpHを上昇させて、9.0を超えるようにする。ただし、リチウム金属複合酸化物からなる粉末中のリチウムイオンがスラリー中に少量溶出して、スラリーのpHを上昇させる効果もある。
上記の制御によるスラリーのpHの上限は、特に限定されないが、9.0を超えて13.5以下となる程度に保持できれば十分である。
混合する水には、あらかじめ適量の水酸化リチウムを溶解させておくことが好ましい。リチウム金属複合酸化物からなる粉末のスラリーを得る第1工程において、用いる水に、あらかじめ一定量の水酸化リチウムを溶解させておくことで、pHの変動を安定化させ、その後のコバルト化合物の晶析を安定して行うことができ、晶析生成物の均一性も向上する。また、正極活物質であるリチウム金属複合酸化物からなる粉末からの過剰なリチウム脱離を防ぐことができる。スラリー中のリチウムは、コバルト塩中のコバルトと共に、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面に晶析して、その後の熱処理で、リチウムコバルト系酸化物を形成する。従って、あらかじめ添加しておく水酸化リチウムは、その後の熱処理で、リチウムコバルト系酸化物量に見合う量で十分である。また、水酸化リチウムを過剰に添加した場合には、余剰のリチウムが増えて電池特性が低下する。また、無駄になるリチウムも増加し、コスト面からも好ましくない。
(第3工程)
さらに、濾過および乾燥を行った後、300〜700℃の温度で熱処理を行うことで、リチウム金属複合酸化物の表面に存在するリチウムを含んだコバルト化合物は、リチウムコバルト系複合酸化物からなる微粒子に転換されて、リチウム金属複合酸化物の一次粒子、および一次粒子の表面に付着するリチウムコバルト系複合酸化物からなる微粒子からなる非水系電解質二次電池用正極活物質が得られる。
スラリーの濾過は、通常、用いられる方法のいずれかでよく、吸引濾過、フィルタープレス、遠心分離等が用いられる。乾燥方法は、特に限定されないが、非水系電解質二次電池用正極活物質として用いたときの電気特性の劣化を防止するため、不活性雰囲気あるいは真空中で乾燥することが好ましく、特に真空乾燥が好ましい。例えば、90〜210℃、好ましくは150℃以上で、14時間以上、真空乾燥させることが好ましい。
また、熱処理温度は、300〜700℃が好ましい。300℃未満では、リチウムコバルト系複合酸化物への転換が十分ではなく、700℃を超えると、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子が焼結あるいは凝集を起こすため、好ましくない。熱処理時の雰囲気は、リチウムコバルト系複合酸化物への転換を行うため、大気雰囲気あるいは酸素雰囲気などのような酸化性雰囲気とすることが好ましい。熱処理時間は、特に限定されないが、リチウム金属複合酸化物の量、および熱処理温度を考慮して、リチウムコバルト系複合酸化物への転換が十分に行われる時間とすればよい。
さらに、熱処理を行う前に、目開きが100〜200μm、好ましくは、100μmの篩にて解砕することが好ましい。解砕することで、熱処理時のリチウム金属複合酸化物の凝集を防止することができる。
(3)非水系電解質二次電池
本発明の非水系電解質二次電池は、正極、負極および非水系電解液などからなり、一般の非水系電解質二次電池と同様の構成要素により構成される。なお、以下で説明する実施形態は例示に過ぎず、本発明の非水系電解質二次電池は、本明細書に記載されている実施形態を基に、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、本発明の非水系電解質二次電池は、その用途を特に限定するものではない。
(a)正極
前述のように得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いて、例えば、以下のようにして、非水系電解質二次電池の正極を作製する。
まず、粉末状の正極活物質、導電材、結着剤を混合し、さらに必要に応じて活性炭、粘度調整等の目的の溶剤を添加し、これを混練して正極合材ペーストを作製する。正極合材ペースト中のそれぞれの混合比も、非水系電解質二次電池の性能を決定する重要な要素となる。溶剤を除いた正極合材の固形分の全質量を100質量部とした場合、一般の非水系電解質二次電池の正極と同様、正極活物質の含有量を60〜95質量部とし、導電材の含有量を1〜20質量部とし、結着剤の含有量を1〜20質量部とすることが望ましい。
得られた正極合材ペーストを、例えば、アルミニウム箔製の集電体の表面に塗布し、乾燥して、溶剤を飛散させる。必要に応じ、電極密度を高めるべく、ロールプレス等により加圧することもある。このようにして、シート状の正極を作製することができる。シート状の正極は、目的とする電池に応じて適当な大きさに裁断等をして、電池の作製に供することができる。ただし、正極の作製方法は、前記例示のものに限られることなく、他の方法によってもよい。
正極の作製にあたって、導電剤としては、例えば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛など)や、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック系材料などを用いることができる。
結着剤は、活物質粒子をつなぎ止める役割を果たすもので、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸などを用いることができる。
必要に応じ、正極活物質、導電材、活性炭を分散させ、結着剤を溶解する溶剤を正極合材に添加する。溶剤としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。また、正極合材には、電気二重層容量を増加させるために、活性炭を添加することができる。
(b)負極
負極には、金属リチウムやリチウム合金等、あるいは、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等の炭素物質の粉状体を用いることができる。この場合、負極結着剤としては、正極同様、PVDF等の含フッ素樹脂等を用いることができ、これらの活物質および結着剤を分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
(c)セパレータ
正極と負極との間には、セパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
(d)非水系電解液
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトン等の硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル等のリン化合物等から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
支持塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiN(CF3SO22等、およびそれらの複合塩を用いることができる。
さらに、非水系電解液は、ラジカル捕捉剤、界面活性剤および難燃剤等を含んでいてもよい。
(e)電池の形状、構成
以上のように説明してきた正極、負極、セパレータおよび非水系電解液で構成される本発明の非水系電解質二次電池の形状は、円筒型、積層型等、種々のものとすることができる。
いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極を、セパレータを介して積層させて電極体とし、得られた電極体に、非水系電解液を含浸させ、正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、および、負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を、集電用リード等を用いて接続し、電池ケースに密閉して、非水系電解質二次電池を完成させる。
(f)特性
本発明の正極活物質を用いた二次電池は、190mAh/g以上の初期放電容量が得られる。また、示差走査熱量測定(DSC、BRUKER社製、DSC3100SA)において、リチウムコバルト系酸化物からなる微粒子による被覆がない正極活物質との比較において、発熱開始温度の大幅な上昇および発熱量の低減化が確認されており、安全性においても優れているといえる。
以下、本発明の一実施例について、図面を参照して詳述する。図1は、電池評価に用いたコイン電池を示す断面図である。
(実施例1)
Li1.05Ni0.85Co0.15Al0.032で表されるリチウム金属複合酸化物の粉末200gを、80mLの純水に加え、撹拌することにより、2500g/Lのスラリー濃度で、スラリー化した。該スラリーのpHを水酸化リチウムにより調整し、pHを12.0とした。さらに、得られたスラリーを撹拌しつつ、硫酸コバルト(和光純薬製、硫酸コバルト(II)七水和物)の水溶液であり、リチウム金属複合酸化物中のNi、CoおよびAlの原子数の合計に対して、0.5原子%のコバルトを含む水溶液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、スラリーを吸引濾過し、得られた粉末を150℃で14時間、真空乾燥させ、さらに、目開き100μmの篩にかけて解砕した。
得られた粉末を20g、秤取り、10cm×5cm×5cmのアルミナ製焼成容器に入れ、管状電気炉を用いて、流量1.5L/分の100%酸素気流中において、昇温速度5℃/分で、500℃まで昇温して、10時間、熱処理し、その後、室温まで炉冷した。最後に、目開き50μmの篩にかけ、再度、解砕することにより、リチウムコバルト系複合酸化物からなる微粒子が表面に付着するリチウム金属複合酸化物の粉末である正極活物質を得た。
得られた正極活物質の初期容量評価は、以下のようにして行った。
正極活物質の粉末70質量%に、アセチレンブラック(電気化学工業株式会社製)20質量%、およびPTFE(ダイキン工業株式会社製)10質量%を混合し、150mgを取り出して、圧力100MPaで直径11mmのペレットを作製し、正極とした。負極としてリチウム金属を用い、電解液には1MのLiClO4を支持塩とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合溶液(富山薬品工業株式会社製)を用いた。これらを用いて、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス中で、図1に一部破断斜視図を示すような2032型のコイン電池を作製した。
作製した電池は、24時間程度、放置し、開回路電圧(OCV;Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.5mA/cm2として、カットオフ電圧4.3Vまで充電して、初期充電容量とし、1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vまで放電したときの容量を、初期放電容量とした。
正極の安全性の評価は、前述と同様な方法で作製した2032型のコイン電池を用いて、以下のように行った。まず、カットオフ電圧4.5VまでCCCV充電(定電流−定電圧充電。最初に、充電が定電流で動作し、それから定電圧で充電を終了するという2つのフェーズの充電過程を用いる充電方法。)した後、短絡しないように注意しながら解体して正極を取り出した。得られた正極を3.0mg計り取り、電解液を1.3mg加えて、アルミニウム製測定容器に封入し、示差走査熱量計(DSC、BRUCKER社製、DSC3100SA)を用いて、昇温速度10℃/分で、室温から400℃までの発熱速度を測定し、発熱開始温度および発熱ピーク強度を測定した。発熱開始温度は、255℃である。また、発熱ピーク強度は、3cal/sec・gであり、後述する比較例1を100とする相対比を算出した。
電池評価によって得られた初期放電容量、発熱開始温度、および相対比として求めた発熱ピーク強度を、表1に示す。
(実施例2)
硫酸コバルトの水溶液が、リチウム金属複合酸化物中のNi、CoおよびAlの原子数の合計に対して、0.8原子%のコバルトを含むこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。
図2に、FE−SEM(CarlZeiss社製、ULTRA55)を用いて得られた正極活物質の表面微細領域写真を示す。
その後、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を、表1に示す。
(実施例3)
硫酸コバルトの水溶液が、リチウム金属複合酸化物中のNi、CoおよびAlの原子数の合計に対して、1.0原子%のコバルトを含むこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。
その後、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を、表1に示す。
(実施例4)
硫酸コバルトの水溶液が、リチウム金属複合酸化物中のNi、CoおよびAlの原子数の合計に対して、1.5原子%のコバルトを含むこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。
その後、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を、表1に示す。
(実施例5)
スラリーのpHを調整し、pHを9.5にすること以外は、実施例2と同様にして、正極活物質を得た。
その後、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を、表1に示す。
(比較例1)
Li1.05Ni0.85Co0.15Al0.032で表されるリチウム金属複合酸化物の粉末200gを、133mLの純水に加え、撹拌することにより、1500g/Lのスラリー濃度で、スラリー化した。さらに、得られたスラリーを、30分、撹拌して、粉末を水洗した後、スラリーを吸引濾過し、得られた粉末を150℃で14時間、真空乾燥させ、さらに、目開き50μmの篩にかけて解砕し、リチウム金属複合酸化物の粉末からなる正極活物質を得た。
その後、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を、表1に示す。
(比較例2)
硫酸コバルトの水溶液が、リチウム金属複合酸化物中のNi、CoおよびAlの原子数の合計に対して、0.3原子%のコバルトを含むこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。
その後、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を、表1に示す。
(比較例3)
硫酸コバルトの水溶液が、リチウム金属複合酸化物中のNi、CoおよびAlの原子数の合計に対して、2.0原子%のコバルトを含むこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。
その後、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を、表1に示す。
(参考例1)
スラリーのpHを調整し、pHを8.5にすること以外は、実施例2と同様にして、正極活物質を得た。
その後、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を、表1に示す。
[評価]
図2から、直径10〜20nmのリチウムコバルト系複合酸化物からなる微粒子が、直径約0.3〜0.5μmのリチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面に、均一に付着した状態で存在していることが分かる。
表1から、本発明の実施例1〜4では、比較例1のように水洗したリチウム金属複合酸化物を正極に用いた場合と比較しても、非常に高い容量が得られることが分かる。すなわち、表面に付着させたリチウムコバルト系複合酸化物からなる微粒子は、十分に高いリチウムイオン伝導率を有しており、正極活物質の容量にほとんど影響を与えていないと考えられる。
また、実施例1〜4では、比較例1に比べて、発熱開始温度が30〜40℃高く、また、発熱ピーク強度も大幅に減少していることが分かる。これは、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面上に均一に付着されたリチウムコバルト系複合酸化物からなる微粒子により、界面抵抗が増加し、熱伝導が、ある程度、抑制されたことや、リチウムが失われて不安定化したリチウム金属複合酸化物からなる一次粒子と電解液との直接的な接触が抑制されて、正極活物質から脱離した酸素との反応が比較的緩やかになったことなどが、理由として考えられる。
一方、比較例2では、初期放電容量が高いが、DSCによる発熱開始温度は低温であり、発熱ピーク強度もほとんど低減されていないことが分かる。この原因は、リチウムコバルト系複合酸化物からなる微粒子の量が少なすぎたため、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面を、リチウムコバルト系複合酸化物の微粒子が、十分に覆っていない状態であるためと考えられる。
また、比較例3では、DSCによる発熱開始温度が、実施例1〜4に比べて高温であり、発熱ピーク強度も低減化されているが、初期放電容量が大幅に減少している。この原因は、リチウムコバルト系複合酸化物からなる微粒子の量が多すぎて、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面に、リチウムコバルト系複合酸化物の微粒子が、余分に重なって付着しており、リチウムイオンの伝導性が悪化したためと考えられる。
従って、リチウムコバルト系複合酸化物からなる微粒子に含まれるコバルトの原子数は、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子に含まれるNi、CoおよびMの原子数の合計に対して、0.5〜1.5原子%とすることが適当であることが分かる。
参考例1では、大幅に放電容量が低下しているが、この原因は、スラリーのpHが低すぎて、正極活物質内からリチウムが過剰にスラリー中に溶出したためと考えられる。また、DSCにおける発熱開始温度および発熱ピーク強度も実施例2に比べて悪化しているが、この原因は、スラリーのpHが低すぎて、リチウムコバルト系複合酸化物が凝集を起こしてしまい、リチウム金属複合酸化物の表面にリチウムコバルト系複合酸化物を微粒子としてほとんど付着させることができていないためであると考えられる。
また、実施例5では、参考例1に比べて放電容量が高く、DSCにおける発熱開始温度も高温側であり、発熱ピーク強度も低い。これは、リチウムコバルト系複合酸化物からなる微粒子をリチウム金属複合酸化物の表面に十分に付着させることができているためである。したがって、スラリーのpHが反応および特性に大きな影響を与えるということが示唆される。
以上の結果から、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面に、リチウムコバルト系複合酸化物からなる微粒子を均一に付着させることにより、正極活物質として使用した場合に、高い充放電容量を維持したまま十分な安全性を確保することが可能であることが示された。
安全性に優れていながら、高い充放電容量を有しているという本発明の非水系電解質二次電池は、常に高容量を要求される小型携帯電子機器(ノート型パーソナルコンピュータや、携帯電話端末など)の電源に好適である。
また、電気自動車用の電源においては、電池の大型化による安全性の確保の難しさと、より高度な安全性を確保するための高価な保護回路が必要不可欠である。これに対して、本発明の非水系電解質二次電池は、優れた安全性を有しているため、安全性の確保が容易になるばかりでなく、高価な保護回路を簡略化し、より低コストにできるという点において、電気自動車用電源としても好適である。なお、本発明は、純粋に電気エネルギで駆動する電気自動車用の電源のみならず、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の燃焼機関と併用するいわゆるハイブリッド車用の電源としても用いることができる。
正極活物質の初期容量評価に用いたコイン電池を示す一部破断斜視図である。 本発明の実施例で得られた非水系電解質二次電池用正極活物質の表面微細領域の写真である。
符号の説明
1 リチウム金属負極
2 セパレータ(電解液含浸)
3 正極(評価用電極)
4 ガスケット
5 負極缶
6 正極缶
7 集電体

Claims (6)

  1. 一般式LizNi1-x-yCoxy2(ただし、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素、0.10≦x≦0.21、0≦y≦0.08、0.97≦z≦1.10)で表されるリチウム金属複合酸化物からなる粉末を水と混合し、撹拌することにより、pHが、9.0を超えるように制御されたスラリーを得る第1工程、
    得られたスラリーを撹拌しつつ、前記第1工程で使用されるリチウム金属複合酸化物からなる粉末に含まれるNi、CoおよびMの原子数の合計に対して、0.5〜1.5原子%のCoを含有するコバルト塩を含む水溶液を添加することにより、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面に、コバルト化合物からなる微粒子を付着させる第2工程、および、
    300〜700℃で熱処理をすることにより、前記コバルト化合物からなる微粒子を、前記一次粒子の表面に、均一に分布した状態、かつ、密集した状態で付着するリチウムコバルト系複合酸化物からなる直径100nm以下の微粒子とする第3工程を有することを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  2. 前記第1工程において、前記リチウム金属複合酸化物に混合する水に、水酸化リチウムを溶解させ、前記スラリーのpHを調整することを特徴とする請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  3. 前記第1工程で得られるスラリーは、スラリー濃度を1000〜2500g/Lとすることを特徴とする請求項1または2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により得られ、一般式LizNi1-x-yCoxy2(ただし、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素、0.10≦x≦0.21、0≦y≦0.08、0.97≦z≦1.10)で表されるリチウム金属複合酸化物の一次粒子、および、該一次粒子の表面に、均一に分布した状態、かつ、密集した状態で付着するリチウムコバルト系複合酸化物からなる直径100nm以下の微粒子からなる非水系電解質二次電池用正極活物質であり、該微粒子に含まれるコバルトの原子数は、前記一次粒子に含まれるNi、CoおよびMの原子数の合計に対して、0.5〜1.5原子%であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質。
  5. 正極に用いることにより得られる非水系電解質二次電池の初期放電容量が、190mAh/g以上であることを特徴とする請求項4に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  6. 請求項4または5に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質が、正極に用いられていることを特徴とする非水系電解質二次電池。
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