JP5180485B2 - 燃料電池用セパレータの製造方法、燃料電池用セパレータおよび燃料電池 - Google Patents

燃料電池用セパレータの製造方法、燃料電池用セパレータおよび燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、携帯電話やパソコンなどの携帯機器、家庭用燃料電池、燃料電池自動車などに用いられる固体高分子型燃料電池用のTiまたはTi合金製の燃料電池用セパレータの製造方法、燃料電池用セパレータおよび燃料電池に関する。
近年、燃料電池は、地球環境問題やエネルギ問題を解決するエネルギ源として期待されている。
特に、固体高分子型燃料電池は、低い温度で動作可能であることや小型化・軽量化が可能であることから、家庭用コジェネレーションシステムや携帯機器用の電源、燃料電池自動車への適用が検討されている。
ここで、一般的な固体高分子型燃料電池は、電解質である固体高分子膜の両側にアノードおよびカソードの役割を果たす触媒層、その外側にガス拡散層があり、さらにその外側に燃料ガス流路が形成されたセパレータが設けられた構造となっている。
このセパレータは、ガスの流路の役割だけでなく、電流を取り出す役割も果たすため、導電性が高いことが要求される。従来は、カーボン製のセパレータが用いられていたが、強度の関係から、厚さ寸法を大きくしなければならないため、小型・軽量化を図る観点から好ましいとは言いがたい状況であった。
セパレータは、小型・軽量化を図るため、薄肉化が可能な金属で形成されることが検討されている。しかし、燃料電池(固体高分子型燃料電池)の内部は酸性雰囲気であるため、金属にとっては腐食されやすい環境下であるといえる。そのため、燃料電池に用いられる金属製のセパレータには、耐食性と導電性が良好である必要がある。
また、ステンレス鋼やTiなどの金属は、表面に不動態皮膜を形成することによって良好な耐食性を得ているが、この不動態皮膜がガス拡散層との接触抵抗を高くするため、導電性を阻害し、燃料電池の発電効率を劣化させることが知られている。
一方、鉄などの不動態皮膜を形成しない金属は、導電性が良好であるものの、腐食して溶出しやすく、溶出したイオンが触媒特性を劣化させたり、固体高分子膜のイオン伝導性を低下させたりするため、結果的に燃料電池の発電特性を劣化させることが知られている。
このため、金属製のセパレータの表面に金をめっきしたもの(例えば、特許文献1参照)や、ステンレス鋼やTiのセパレータの表面に貴金属または貴金属の合金をイオン蒸着やめっきにより付着させたもの(例えば、特許文献2参照)、耐食性金属材料のセパレータの表面に貴金属層を形成したもの(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
これらの発明は、表面に不動態皮膜を形成せず、かつ耐食性が高い貴金属を金属表面に形成することにより、高耐食性と低い接触抵抗を維持しようとするものである。
特開平10−228914号公報 特開2001−6713号公報 特開2004−158437号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、表面の不動態皮膜を除去しないと金の密着性が悪くなるだけでなく、この不動態皮膜によって接触抵抗が高くなってしまう(すなわち、導電性が低くなる)。そのため、表面活性化工程を行うことで不動態皮膜を除去しているが、めっき工程の前に行う洗浄工程で不動態皮膜が形成されるため、十分な密着性を得ることができないという欠点や接触抵抗を低くすることができないという欠点がある。
また、特許文献2に記載された発明は、ステンレス鋼やTiの表面を機械的に研磨しながら貴金属であるPtを腐食反応により析出させる処理を行っている。かかる処理を行うと、不動態皮膜が除去された部分にPtが析出するため接触抵抗は低下する(すなわち、導電性が高くなる)ものの、ピンホール(基板が部分的に表面に表れた箇所をいう)が形成されるなど、緻密な貴金属層が形成されないために、燃料電池のような酸性雰囲気での使用によって当該ピンホールからステンレス鋼やTiが溶出し、燃料電池の発電特性が劣化するという欠点がある。また、貴金属をめっきしたガラスビーズでブラスト処理する方法も提示されているが、セパレータは高い寸法精度が要求されるため、ブラスト処理によって発生し得る変形で使用することが困難になるという欠点がある。
特許文献3に記載された発明も、貴金属層をめっきで形成しているので、不動態皮膜上に貴金属層が形成されていると考えられる。そのため、十分な密着性を得ることができないという欠点や接触抵抗を低くすることができないという欠点がある。
なお、めっき以外にも、スパッタリング法や真空蒸着法、イオンプレーティング法などの気相成膜法によって、ステンレス鋼やTiの基板上に貴金属膜を形成して高い耐食性を備えさせる方法がある。
このような方法においては、貴金属層の密着性を上げるために、貴金属層を形成する前に低ガス圧のアルゴンガス雰囲気下で、基板にアルゴンイオンビームを照射したり、基板に負のバイアスを印加することによりアルゴンプラズマを発生させてアルゴンイオンを基板に衝突させたりすることによって、基板の表面の汚れや不動態皮膜などを除去した後に貴金属層を形成するのが一般的である。この方法によれば、不動態皮膜が除去されるため、十分低い接触抵抗を得ることができる。しかしながら、このような方法で不動態皮膜を除去するには時間がかかるため、生産性が低下するという欠点がある。
本発明の課題は、耐食性に優れ、貴金属層の密着性が高く、かつ接触抵抗が低く、さらに生産性に優れたTiまたはTi合金製の燃料電池用のセパレータを製造することができる燃料電池用セパレータの製造方法を提供すること、これによって製造された燃料電池用セパレータ、および当該燃料電池用セパレータを用いた燃料電池を提供することにある。
前記した課題を解決するため、本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法は、凹部形成工程と、貴金属層形成工程と、熱処理工程と、を含むことを特徴としている。
このように、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法は、凹部形成工程によって、TiまたはTi合金製の燃料電池用セパレータとしての基板の表面の少なくとも一部にガスを流通させるガス流路を形成するための凹部を形成し、貴金属層形成工程によって、前記凹部を形成した前記基板の表面に、Ru,Rh,Pd,Os,Ir,PtおよびAuから選択される少なくとも1種以上の貴金属を含んでなる2nm以上の厚さの貴金属層をプラズマCVD法によって形成する。そして、熱処理工程によって、かかる貴金属層を形成した基板を所定の条件で熱処理することで、貴金属層の元素と基板のTiとを相互に拡散させた拡散層および/または不動態皮膜を結晶化させることによって貴金属層との密着性や導電性を高めた不動態皮膜を形成することができる。貴金属層との密着性は、貴金属の結晶格子と結晶化した不動態被膜との整合性を高めることで得られる。
したがって、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法は、複雑な工程を行うことなく、プラズマCVD法による貴金属層形成工程後に熱処理工程を行うだけで耐食性に優れ、貴金属層の密着性が高く、かつ接触抵抗の低い燃料電池用セパレータを容易に生産性良く製造することができる。
なお、前記熱処理工程における所定の熱処理温度が300〜800℃であり、前記熱処理工程における所定の酸素分圧は、前記貴金属がRu,Rh,Pd,OsおよびIrから選択される少なくとも1種以上である場合は、1.33Pa以下とし、前記貴金属がPtおよびAuから選択される少なくとも1種以上である場合は、大気圧における酸素分圧以下とする。
また、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法は、熱処理温度を特定の範囲に制限して熱処理工程を行うことによって、不動態皮膜の導電性を高めたり、貴金属層と基板の間の不動態皮膜を除去したり、ピンホールに露出している基板のTiを酸化させて酸化チタンを生成したりすることができる。また、貴金属の元素とTiを相互かつ適度に拡散させることができる。
さらに、燃料電池用セパレータの製造方法は、用いる貴金属の種類に応じて熱処理工程における酸素分圧の上限を適宜に変更することによって、より容易かつ適切に不動態皮膜の導電性を高めたり、貴金属層と基板の間の不動態皮膜を除去したりし、基板上に貴金属層を形成することができる。
本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法は、前記貴金属層形成工程は、前記基板を300〜800℃に加熱して前記貴金属層を形成するのが好ましい。
プラズマCVD法による貴金属層の形成は、概ね1000℃以下で行うことができるが、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法における貴金属層形成工程では、基板を前記した温度範囲で貴金属層を形成することにより、次工程である熱処理工程をそのまま、つまり、同一の装置でもって同一の温度で行うことができるため、より生産性を向上させることができる。
また、前記した課題を解決するため、本発明に係る燃料電池用セパレータは、表面の少なくとも一部にガスを流通させるガス流路を形成するための凹部が形成されたTiまたはTi合金製の燃料電池用セパレータとしての基板の表面に、Ru,Rh,Pd,Os,Ir,PtおよびAuから選択される少なくとも1種以上の貴金属を含んでなる2nm以上の厚さの貴金属層をプラズマCVD法によって形成し、当該貴金属層を、所定の熱処理温度および所定の酸素分圧下で熱処理して得られたものであり、前記所定の熱処理温度が300〜800℃であり、かつ、前記所定の酸素分圧は、前記貴金属がRu,Rh,Pd,OsおよびIrから選択される少なくとも1種以上の場合は、1.33Pa以下、前記貴金属がPtおよびAuから選択される少なくとも1種以上の場合は、大気圧における酸素分圧以下とすることを特徴としている。
このように、本発明の燃料電池用セパレータは、プラズマCVD法によって、貴金属層を比較的低温で基板上に形成しており、さらに熱処理することによって、かかる貴金属層の元素と基板のTiとが相互に拡散した拡散層を形成することができる。また、貴金属層と基板の間にある不動態皮膜の導電性を高めたり、不動態皮膜を除去したりすることもできる。
また、本発明の燃料電池用セパレータは、熱処理温度を特定の範囲に制限して熱処理が行われているので、貴金属層と基板の間の不動態皮膜の導電性が高められ、若しくは不動態皮膜が除去されており、かつ、ピンホールに露出している基板のTiを酸化させて酸化チタンを生成させることができる。また、貴金属の元素とTiを相互かつ適度に拡散させた拡散層を形成することができる。
さらに、本発明の燃料電池用セパレータは、このように、用いる貴金属の種類に応じて熱処理の際の酸素分圧の上限を適宜に変更することによって、より容易かつ適切に不動態皮膜の導電性を高めたり、不動態皮膜を除去したり、基板上に貴金属層を形成したりすることができる。
本発明に係る燃料電池用セパレータは、前記基板を300〜800℃に加熱して前記貴金属層を形成するのが好ましい。
このように、本発明の燃料電池用セパレータは、基板を特定の温度範囲で加熱することによって貴金属層を形成するので、より好適に貴金属層の元素と基板のTiとを相互に拡散させた拡散層を形成することができる。また、貴金属層と基板の間にある不動態皮膜の導電性をより高めたり、不動態皮膜をより好適に除去したりすることができる。
本発明に係る燃料電池用セパレータは、表面の少なくとも一部にガスを流通させるガス流路を形成するための凹部が形成されたTiまたはTi合金製の燃料電池用セパレータとしての基板の表面に、Ru,Rh,Pd,Os,Ir,PtおよびAuから選択される少なくとも1種以上の貴金属を含んでなる貴金属層と、前記貴金属層と前記基板の間に、導電性が高い酸化チタン層(酸化皮膜)、および前記貴金属層の元素と前記基板のTiとが相互に拡散した拡散層のうちの少なくとも一方を形成しているのが好ましい。
このように、本発明の燃料電池用セパレータは、その表面に特定の貴金属を含んでなる貴金属層を形成しているので接触抵抗を低くすることができ、拡散層および/または酸化チタン層を形成しているので貴金属層の密着性を高くすることができる。また、前記した拡散層および/または前記した酸化チタン層を形成したことによって基板と貴金属層との間の電気抵抗が高くならないようにすることもできるので、接触抵抗を低くすることができる。
そして、本発明に係る燃料電池は、前記した燃料電池用セパレータを用いるのが好ましい。本発明の燃料電池は、前記した燃料電池用セパレータを用いているので、耐食性に優れ、貴金属層の密着性が高く、かつ接触抵抗が低く、さらに生産性に優れている。
本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法は、耐食性に優れ、不動態皮膜を結晶化または不動態皮膜を除去しているので貴金属層の密着性が高く、かつ接触抵抗が低く、さらに生産性に優れたTiまたはTi合金製の燃料電池用のセパレータを製造することができる。
また、本発明に係る燃料電池用セパレータは、耐食性に優れ、貴金属層の密着性が高く、かつ接触抵抗が低く、さらに生産性に優れる。
そして、本発明に係る燃料電池は、耐食性に優れ、貴金属層の密着性が高く、かつ接触抵抗が低く、さらに生産性に優れている。
次に、本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法、燃料電池用セパレータおよび燃料電池を実施するための最良の形態について適宜図面を参照して説明する。参照する図面において図1は、本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法の工程を説明するフローチャートである。図2の(a)および(b)は、本発明に係る燃料電池用セパレータの断面図である。図3は、接触抵抗の測定方法を説明する説明図である。図4は、基板の表面に形成したガス流路の形状の一例を示す図である。図5は、本発明の燃料電池用セパレータを用いた燃料電池の一部を展開した様子を示す図である。
なお、参照する図面において、符号S1は、凹部形成工程を示し、符号S2は、貴金属層形成工程を示し、符号S3は、熱処理工程を示し、符号1は、燃料電池用セパレータを示し、符号2は、基板を示し、符号3は、貴金属層を示し、符号4は、拡散層を示し、符号10は、単セルを示し、符号11は、ガス流路を示し、符号12は、ガス拡散層を示し、符号13は、固体高分子膜を示し、符号20は、燃料電池を示す。
まず、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法について説明する。
図1に示すように、本発明の燃料電池用セパレータ1の製造方法は、凹部形成工程S1と、貴金属層形成工程S2と、熱処理工程S3と、を含んでなる。
凹部形成工程S1は、TiまたはTi合金製の燃料電池用セパレータとしての基板2の表面の少なくとも一部に、水素ガスや空気などのガスを流通させるガス流路11(図4、図5参照)を形成するための凹部を形成する。ここで、基板2の表面とは、基板2の外側をなす面をいい、いわゆる表面、裏面、側面が含まれる。
ここで、基板2の表面の少なくとも一部にガス流路を形成するための装置は、特に限定されるものではなく、所定の目的を果たすことのできる従来公知の装置を適宜に用いることができる。
なお、この形成工程S1に先立って、基板2の縦幅、横幅、厚さなどをあらかじめ設定した寸法や形状に形成しておくのが好ましい。
貴金属層形成工程S2は、凹部を形成したTiまたはTi合金製の基板2の表面(基板2の表面全体または表面の一部)に、Ru,Rh,Pd,Os,Ir,PtおよびAuから選択される少なくとも1種以上の貴金属を含んでなる2nm以上の厚さの貴金属層3をプラズマCVD(プラズマ化学気相堆積;Plasma Chemical Vapor Deposition)法によって形成する。
基板2としては、JIS H 4600に規定される1種〜4種の純Tiの基板や、Ti−Al、Ti−Ta、Ti−6Al−4V、Ti−PdなどのTi合金の基板を挙げることができる。しかし、本発明において用いることのできる基板2としては、これらに限定されることはなく、他の金属元素等を含有してなるTi合金であっても好適に用いることができる。
Ru,Rh,Pd,Os,Ir,PtおよびAuといった貴金属(Noble metal)は、不動態皮膜を形成しないにも拘らず耐食性に優れていること、また、遷移金属であるので導電性に優れていること、および、これらの貴金属元素は互いに似通った性質を有していることなどが知られている。したがって、これらの中から適宜に選択された貴金属を含んでなる貴金属層3を形成することによって、良好な耐食性と導電性を具備することができる。
かかる貴金属層形成工程S2で形成する貴金属層3の厚さは2nm以上であることを要する。貴金属層3の厚さが2nm未満であるとピンホールが過度に多く形成されるために、後記する熱処理を行った際にTiやTi合金の酸化が貴金属層3の下側にまで回りこむため、接触抵抗を低くすることができない。なお、貴金属層形成工程S2で形成する貴金属層3の厚さは、3nm以上とするのがより好ましく、5nm以上とするのが最も好ましい。
なお、貴金属層3の厚さの上限値は特に限定されるものではないが、貴金属層3の形成に要する時間とコストを低く抑える観点から500nm以下とするのが好ましい。
また、貴金属層形成工程S2は、プラズマCVD法によって前記した貴金属の貴金属層3を形成する。プラズマCVD法は、常温から数百℃という比較的低い温度でも基板2上に貴金属層3を形成できるため基板2に与えるダメージ(例えば、反りや強度の低下など)を少なくすることができるだけでなく、比較的広い面積に貴金属の貴金属層3を形成することができるため生産性が向上する。
この貴金属層形成工程S2は、基板2を300〜800℃に加熱して貴金属層3を形成するのが好ましい。後記する熱処理工程S3に速やかに移行できるため、燃料電池用セパレータ1の製造を容易化することができる。
また、この貴金属層形成工程S2を行うに当たって、あらかじめ基板2をアセトンなどの有機溶剤を用いて超音波洗浄等の洗浄を行うこともできる。このような洗浄を行うと、基板2表面の汚れに起因するピンホールの形成や密着性不良を低減化することができるので好適である。
次に、熱処理工程S3は、貴金属層形成工程S2で貴金属層3が形成された基板2を、所定の熱処理温度および所定の酸素分圧下で熱処理を行って貴金属層3を形成するとともに、貴金属層3と基板2の間に、貴金属層3の元素と基板2のTiとが相互に拡散した拡散層4および導電性の高い結晶化した不動態皮膜(酸化チタン層5(図2(b)参照))のうちの少なくとも一方を形成させ、燃料電池用セパレータ1を製造する。
つまり、この熱処理工程S3は、所定の条件で熱処理することで、一部または全部を結晶化した不動態皮膜(酸化チタン)を形成、または貴金属層3の元素と基板2のTiとを相互に拡散させて拡散層4を形成することができる。
ここで、熱処理前の基板2の表面に形成されている不動態皮膜は、熱処理によって一部または全部が結晶化する。この結晶化の際に、貴金属層3直下の不動態皮膜は、酸素の供給が貴金属層3によって遮断されるため、酸素がTi母材中に拡散して薄くなり、かつ酸素が欠乏した酸化チタン(酸素欠乏傾斜構造を有する酸化チタン)に変化する。この結晶化した酸化チタンは、化学量論比よりも酸素が欠乏すると導電性が高くなるn型半導体となる。つまり、熱処理によって基板2の表面に形成されている不動態皮膜の導電性を向上させることができる。このような酸化チタンの結晶構造としては、ルチル型結晶若しくはブルッカイト型結晶を挙げることができる。なお、ルチル型結晶とは、ルチル結晶と同じ結晶構造を有する結晶をいい、ブルッカイト結晶とは、ブルッカイト結晶と同じ結晶構造を有する結晶をいう。なお、このような酸素欠乏型のルチル型結晶およびブルッカイト型結晶を有する酸化皮膜4は、酸素分圧をより低くして熱処理を行うほど得られやすく、貴金属層3で被覆された箇所などの、より酸素の少ない条件で熱処理を行うとさらに得やすい。
そして、さらに熱処理を続けるか、若しくは熱処理温度を高くすることにより、熱処理前の不動態皮膜や、前記のようにして形成された導電性の高い酸化チタンの層が消失して、貴金属層3と基板2の間に貴金属の元素とTiが相互に拡散した拡散層4が形成される。
そして、このような熱処理を行うと、不動態皮膜が残存する場合であっても、不動態皮膜上に存在していたハイドロカーボンなどの汚れが熱で分解して貴金属層3内に拡散して清浄な表面となるとともに、貴金属層3が当該清浄な不動態皮膜の表面および/または結晶化した不動態皮膜(すなわち、酸素欠乏型の酸化チタン)と接触することになると考えられ、これにより結晶化した不動態皮膜と貴金属の結晶格子との整合性が良くなり、密着性が向上すると考えられる。
なお、さらに、高温または長時間の熱処理を行うと不動態皮膜は完全に消失し、貴金属層3と基板2の間には貴金属層3の元素と基板2のTiとが拡散した拡散層4が形成される。
したがって、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法は、複雑な工程を行うことなくプラズマCVD法による貴金属層形成工程S2後に熱処理工程S3を行うだけで、不動態皮膜が残存している場合は不動態皮膜の一部または全部を、酸素欠乏型の導電性を有する結晶化した不動態皮膜(酸化チタン層5)とすることができ、また、不動態皮膜が残存していない場合は、貴金属層3の元素と基板2のTiとの拡散層4を形成できるので、貴金属との密着性が高く、かつ接触抵抗の低い燃料電池用セパレータ1を容易に生産性良く製造することができる。
熱処理工程S3における熱処理温度は、300〜800℃とするのが好ましい。貴金属層3の密着性を高く、かつ接触抵抗を低くするために不動態皮膜を結晶化させたり、不動態皮膜を除去したり、セパレータの耐食性を確保するためにピンホールに露出したTiを酸化させたりするためである。
熱処理温度が300℃未満であると不動態皮膜の結晶化や不動態皮膜の除去に時間がかかり実用的でない。また、貴金属元素と基板2のTiとが相互に十分に拡散しない場合もある。
また、熱処理温度が800℃を超えると拡散が速すぎるために貴金属元素と基板2のTiとが相互に拡散しすぎてしまい、貴金属層3の最表面にチタンが拡散してきて熱処理雰囲気中の酸素と結びついて、ルチル型結晶およびブルッカイト型結晶を含有する酸化チタン層(酸化皮膜)を形成するおそれがある。しかし、このような酸化皮膜は酸素を含む雰囲気と接触して形成されるため、酸素の欠乏が不十分な酸化皮膜となり、不動態皮膜(酸化チタン層5)よりも耐食性が高いものの、接触抵抗が高くなるため好ましくない。熱処理温度は、より好ましくは350〜750℃であり、最も好ましくは380〜730℃である。また、このような温度範囲であっても長時間熱処理をすると表面にチタンが拡散してきて酸化皮膜を形成することがあるため、熱処理時間を熱処理温度に対して適宜調整するのが好ましい。
熱処理工程S3における熱処理時間は、熱処理温度にもよるが、貴金属層3と基板2の間に存在する不動態皮膜を結晶化して接触抵抗を低減(つまり、導電性を向上)させたり、不動態皮膜を除去または十分に薄くさせたりするため1〜60分間とするのが好ましく、5〜50分間とするのがより好ましい。
熱処理時間が1分間未満であると、不動態皮膜の導電性の向上や不動態皮膜の除去が十分に行えないおそれがある。そのため、貴金属層3の密着性を高くすることができないばかりか、接触抵抗を低くすることができない。
一方、熱処理時間が60分間を超えると、熱処理温度や貴金属層3の厚さにもよるが、貴金属元素と基板2のTiとが相互に拡散しすぎることがあり、最表面に酸化皮膜が形成されやすくなる。前記したように、酸化皮膜が形成されると接触抵抗が高くなる傾向があるので好ましくない。また、熱処理の温度にもよるが、貴金属元素と基板2のTiとが相互に拡散しすぎてしまう場合もある。
熱処理工程S3における酸素分圧は、用いる貴金属の種類によって適宜設定するのが好ましい。先に挙げた貴金属のうち、Pd、Ru、Rh、Os、Irは酸素分圧が高いと酸化して接触抵抗が高くなる。
なお、本発明において酸素分圧とは、熱処理工程S3を行う熱処理炉内における酸素の占める圧力(なお、本発明において大気の組成は、窒素:酸素がおおよそ4:1で構成されていることとする。)をいう。
具体的には、貴金属がRu,Rh,Pd,Os,およびIrから選択される少なくとも1種以上である場合は、酸素分圧を1.33Pa(1×10-2Torr)以下とするのが好ましい。
熱処理工程S3における酸素分圧が1.33Pa(1×10-2Torr)を超えると、熱処理を行う雰囲気中の酸素が多すぎるので、これらの貴金属が酸化しやすくなり、接触抵抗が高くなりやすい。なお、酸素分圧は低いほど好ましく、より好ましくは0.665Pa(5×10-3Torr以下)、さらに好ましくは0.133Pa(1×10-3Torr以下)である。
なお、低い酸素分圧条件下であっても、雰囲気中に酸素が存在する限りピンホールなどに露出したTiは酸化される。しかし、低い酸素分圧条件下であればTiの酸化が進みすぎることはないので、仮に基板2上に貴金属層3が形成されない箇所があったとしても、当該箇所には適度な酸化皮膜が形成されることになる。
つまり、酸性雰囲気下で使用されるような場合であっても、貴金属層3が形成された箇所は良好な導電性を有しつつ、当該貴金属層3によって良好な耐食性を具備し、ピンホールなどで貴金属層3が形成されなかった箇所は酸化チタン層5(図2(b)参照)が形成されることになるので、耐食性が悪くなることはない。
プラズマCVD法で貴金属層3を形成した基板2の熱処理は、炉内を減圧できる電気炉やガス炉などの従来公知の熱処理炉を用いることにより行うことができる。
これに対し、AuやPtは酸化しないため、大気雰囲気で熱処理することができる。したがって、貴金属がPtおよびAuから選択される少なくとも1種以上である場合は、酸素分圧を大気圧における酸素分圧以下とすることができる。
なお、前記したように、貴金属層形成工程S2を300〜800℃で行うと、プラズマCVD法を終えた後に、原料ガスの供給を停止して放置するだけで低酸素雰囲気のチャンバー内で当該熱処理工程S3を行うことができるので、燃料電池用セパレータ1の製造を容易化することができるので好ましい。
ここで、原料ガスとは、貴金属層3を形成したい貴金属をガス化したものをいい、例えば、Pdの貴金属層3を形成したい場合は、塩化パラジウムを例えば300℃などに加熱して蒸発させることによってガス化させ、これを原料ガスとして使用することができる。
ここで、Tiを母材とする通常の製品は、その表面に非晶質の不動態皮膜が形成されていること、および、かかる不動態皮膜によって、母材中のTiが水素と結合して脆化するのを防止していることが知られている。そのため、例えば、25℃、0.1MPa(1気圧)程度の使用条件であれば、前記した不動態皮膜が水素の吸収を阻止することにより母材中のTiと水素とが結合するのを阻止することができ、これにより脆化しにくくなっている。
しかしながら、燃料電池用のセパレータのように、高温高圧(例えば、80〜120℃、0.2〜0.3MPa)の使用条件で水素に曝されると、前記した不動態皮膜は非晶質であるので、水素の吸収を十分に阻止することが困難であり、母材中のTiが、吸収した水素と結合して脆化するおそれがある。また、プラズマCVD法により基板2上に貴金属層3を形成した場合でも、ピンホール等の基板2が表面に露出してしまう部分が存在するため、当該ピンホールから水素が吸収され、基板2の母材中のTiと結合して基板2を脆化するおそれがある。
これに対し、本発明では、熱処理工程S3で300〜800℃の熱処理を行うことで、貴金属層3と基板2の間のTiや、ピンホールに露出している基板2のTiを酸化し、ルチル型結晶およびブルッカイト型結晶のうち少なくとも一方を含む酸化チタン層5(図2(b)参照)を形成する。かかる酸化チタン層5は、水素の吸収を阻止する効果(単に「水素吸収阻止効果」という。)が、非晶質の不動態皮膜よりも高いので、前記したような高温高圧下で水素に曝された場合であっても、基板2のTiが水素と結合せず、基板2の脆化が起こりにくい。なお、前記した水素吸収阻止効果は、大気圧条件のような高酸素分圧下での熱処理でも得ることができるが、前記した貴金属のうち、Pd、Ru、Rh、Os、Irは、酸素分圧が高いと酸化皮膜を形成してしまうため、前記した水素吸収阻止効果と導電性とを兼備させるためには、本発明の熱処理工程S3の酸素分圧を1.33Pa(1×10-2Torr)以下にするのが好ましい。なお、AuやPtのように酸化しない貴金属の場合は、熱処理工程S3を大気圧条件化で行っても、水素吸収阻止効果と導電性とを兼備させることが可能である。
以上、本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法の一実施形態を説明したが、以下に説明するような実施形態であっても好適に実施することが可能である。
例えば、TiまたはTi合金製の基板2の表面に、Ru,Rh,Pd,Os,Ir,PtおよびAuから選択される少なくとも1種以上の貴金属を含んでなる2nm以上の厚さの貴金属層3をプラズマCVD法によって形成する貴金属層形成工程と、貴金属層3を形成した基板2の表面の少なくとも一部に、例えば、プレス加工等によって、ガスを流通させるガス流路を形成するための凹部を形成する凹部形成工程と、凹部を形成した基板2を、前記した所定の熱処理温度および所定の酸素分圧下で熱処理する熱処理工程と、を含む燃料電池用セパレータの製造方法とすることができる。
また、例えば、TiまたはTi合金製の基板2の表面に、Ru,Rh,Pd,Os,Ir,PtおよびAuから選択される少なくとも1種以上の貴金属を含んでなる2nm以上の厚さの貴金属層3をプラズマCVD法によって形成する貴金属層形成工程と、貴金属層3を形成した基板2を、前記した所定の熱処理温度および所定の酸素分圧下で熱処理する熱処理工程と、熱処理した基板2の表面の少なくとも一部に、例えば、プレス加工等によって、ガスを流通させるガス流路を形成するための凹部を形成する凹部形成工程と、を含む燃料電池用セパレータの製造方法とすることもできる。
次に、前記した本発明の燃料電池用セパレータの製造方法によって製造された本発明に係る燃料電池用セパレータ1について図2を参照して詳細に説明する。
図2(a)に示すように、本発明に係る燃料電池用セパレータ1は、表面の少なくとも一部にガスを流通させるガス流路11(図4参照)を形成するための凹部が形成されたTiまたはTi合金製の基板2の表面に、Ru,Rh,Pd,Os,Ir,PtおよびAuから選択される少なくとも1種以上の貴金属を含んでなる貴金属層3を形成した構成となっている。
より具体的には、本発明に係る燃料電池用セパレータ1は、基板2の表面に、Ru,Rh,Pd,Os,Ir,PtおよびAuから選択される少なくとも1種以上の貴金属を含んでなる2nm以上の厚さの貴金属層3をプラズマCVD法によって形成し、当該貴金属層3を、所定の熱処理温度および所定の酸素分圧下で熱処理を行い、貴金属層3を形成するとともに、貴金属層3と基板2の間に、貴金属層3の元素と基板2のTiとが相互に拡散した拡散層4を形成した構成となっている。
なお、貴金属層3の厚さを前記の範囲とすること、プラズマCVD法を用いること、熱処理の熱処理温度および酸素分圧を規定することの意義については既に詳述しているのでその説明を省略する。
基板2上に形成される貴金属層3の厚さは、1.5nm以上であるのが好ましい。
貴金属層3の厚さが1.5nm未満であると、貴金属層3のバリア効果が不十分となり、貴金属層3と基板2の拡散層4直下の部分で不動態皮膜が形成されて接触抵抗が大きくなるおそれがある。
なお、貴金属層3の厚さの上限はないが、コストの観点から500nm以下であることが好ましい。
拡散層4は、基板2と貴金属層3との間の電気抵抗(接触抵抗)が高くならないようにしている。
拡散層4の好適な厚さは1nm以上である。拡散層4の厚さがこれらの範囲内であれば、前記した効果を好適に奏することができる。
拡散層4を前記した厚さとするには、適切な条件で熱処理を実施することで具現される。適切な条件の熱処理は、前記した熱処理温度や熱処理の時間の範囲内で、用いる貴金属の種類に応じて適宜実験等して定めることが好ましい。
また、本発明に係る燃料電池用セパレータ1が酸化チタン層41を含む場合は、例えば、図2(b)に示すように、Ru,Rh,Pd,Os,Ir,PtおよびAuから選択される少なくとも1種以上の貴金属を含んでなる貴金属層3と基板2(つまり、母材)の間に当該酸化チタン層5が形成される。なお、貴金属層3にピンホールPなどが形成され、基板2が表面に露出した部分が存在する場合には、当該ピンホールPの直下にも酸化チタン層5が形成され得る。本発明においては、この酸化チタン層5を貴金属層3と基板2の間、および基板2が表面に露出した部分(ピンホールP)の少なくとも一方に形成すれば好適であるが、両方に形成するとより好適である。
かかる酸化チタン層5は、0.5〜10nm程度の厚さであれば、水素吸収阻止効果と導電性とを兼備させることができる。なお、かかる酸化チタン層5は、貴金属層3で被覆されているか、または低酸素分圧下で形成されるため、通常の不動態皮膜よりもルチル型結晶およびブルッカイト型結晶の少なくとも一方を多く含有し得る。
次に、前記した本発明に係る燃料電池について適宜図面を参照して説明する。
図5に示すように、本発明に係る燃料電池20は、前記した本発明に係る燃料電池用セパレータ1を用いて作製したものであり、以下のようにして作製することができる。
例えば、TiまたはTi合金製の基板2を所定数用意し、この所定数用意した基板2を縦幅95.2mm×横幅95.2mm×厚さ19mmといった所定の寸法とするとともに、その基板2の表面の中央部に機械加工やエッチング等によって、例えば、溝幅0.6mm、溝深さ0.5mmの凹部を形成して、図4に示すような形状のガス流路11を形成する。
そして、凹部を形成した基板2をアセトンなどの有機溶剤で超音波洗浄した後に、プラズマCVD法を実施するチャンバー内にセットする。そして、当該チャンバー内を真空に引き、アルゴンガスを導入後、基板2にRF(高周波)を印加してアルゴンガスを励起し、プラズマを発生させる。次いで、蒸発源である塩化パラジウムを加熱し、蒸発させた塩化パラジウムのガスを供給して基板2上に貴金属層3を形成する。このようにして貴金属層3を形成した基板2を熱処理炉に入れ、所定の真空度まで引いた後、500℃で5分間加熱する熱処理を行い、燃料電池用セパレータ1を所定数製造する。
なお、このように予め多数の基板2を用意しておき、これらをまとめて貴金属層3の形成および熱処理を行えば、生産性を向上させることができる。また、本発明によれば、従来公知の方法のように、貴金属層3を形成する前に不動態皮膜をアルゴンイオンビーム等で物理的に取り去る必要がないので、従来と比較して生産性が向上する。特に、AuやPtの場合は、真空に引く必要が無く、大気圧における酸素分圧で熱処理を行うことが可能なため、さらに生産性を向上させることができる。
次いで、図5に示すように、所定数製造した燃料電池用セパレータ1を、例えば、2枚用いてガス流路11が形成された面を対面させて配置し、ガス流路11が形成されたそれぞれの面に、ガスを膜上に均一に拡散させるためのカーボンクロスCなどのガス拡散層12を配置し、一方のガス拡散層12と他方のガス拡散層12の間に白金触媒を表面に塗布した固体高分子膜13を挟んで単セル10を作製する。同様にして複数作製した単セル10を複数積層してセルスタック(不図示)とし、これに燃料電池に必要なその他の部品の取付け、および接続等を行うことにより、良好な耐食性および導電性を有する本発明に係る燃料電池(固体高分子型燃料電池)20を作製することができる。
なお、燃料電池20に用いられる固体高分子膜13は、カソード極で生成したプロトンをアノード極へと移動する働きを有する膜であれば特に限定されることなく使用することができ、例えば、スルホン基をもったフッ素系の高分子膜を好適に用いることができる。
このようにして作製された燃料電池20は、アノード極として配置された燃料電池用セパレータ1に、ガス流路11を介して燃料ガス(例えば、純度99.999%の水素ガス)を導入し、カソード極として配置された燃料電池用セパレータ1に、ガス流路11を介して空気を導入する。このとき燃料電池20は、全体を80℃程度に加熱保温して、前記した水素ガスおよび空気を加温された水中を通すことにより露点温度を80℃に調整するのが好ましい。また、燃料ガス(水素ガス)および空気は、例えば、2026hPa(2気圧)の圧力で導入するとよい。
燃料電池20は、このようにしてアノード極に水素ガスを導入することによって、ガス拡散層12により固体高分子膜13に対して均一に供給され、当該固体高分子膜13で下記式(1)の反応が生じる。
2→2H++2e-・・・(1)
一方、燃料電池20は、カソード極に空気を導入することによって、ガス拡散層12により固体高分子膜13に対して均一に供給され、当該固体高分子膜13で下記式(2)の反応が生じる。
4H++O2+4e-→H2O・・・(2)
このように、固体高分子膜13で前記式(1)、(2)の反応が起こることにより、理論的には約1.2Vの電圧が得られる。
ここで、本発明に係る燃料電池20は、前記したように、少なくとも貴金属層3が形成された本発明に係る燃料電池用セパレータ1を用いているので、従来の金属製のセパレータを使用した燃料電池と比較して良好な耐食性および導電性を有せしめることが可能となる。
次に、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法、燃料電池用セパレータおよび燃料電池について、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを対比して具体的に説明する。
<実施例A>
JIS H 4600に規定される1種の純TiでなるTi製の基板(幅2cm×5cm、厚さ1mm)をアセトンで超音波洗浄した後、プラズマCVD法を実施するためのチャンバー内の電極に取り付けて、当該チャンバー内を0.00133Pa(1×10-5Torr)以下の真空に排気した。
アルゴンガスをチャンバー内に導入し、圧力が26.6Pa(0.2Torr)となるように調整した。その後、基板電極にRF(高周波)を印加してアルゴンガスを励起してアルゴンプラズマを発生させた。その後、塩化パラジウムを300℃に加熱して蒸発させて原料ガスとし、これをチャンバー内に導入することにより2nmの厚さのPdの貴金属層(以下、「貴金属層(Pd)」という。)を形成した。さらに、チタン基板を裏返しにして、同様の方法で基板の裏面に2nmの厚さの貴金属層(Pd)を形成した。
前記と同様にして、Pdの貴金属層(Pd)の厚さを1nm、3nm、5nm、10nmで形成した基板を作製した。
次いで、貴金属層を形成したこれらの基板を熱処理炉に入れて、炉内を0.133Pa(1×10-3Torr)まで真空排気し、500℃で15分間加熱する熱処理を行った後、炉内を冷却して、100℃になったところで貴金属層(Pd)を形成した試験板(燃料電池用セパレータに相当する)を取り出した。
なお、形成した貴金属層(Pd)の厚さが薄いものから順に(厚さ1,2,3,5,10nmの順に)試験板1〜5とした。
(1)これらの試験板1〜5について、図3に示す接触抵抗測定装置30を用いて荷重98N(10kgf)で熱処理前後の接触抵抗を測定した。つまり、試験板1〜5のそれぞれについて、その両面をカーボンクロスC,Cではさみ、さらにその外側を接触面積1cm2の銅電極31,31を用いて98Nで加圧し、直流電流電源32を用いて7.4mAの電気を通電し、当該カーボンクロスC,C間に印加される電圧を電圧計33で測定し、接触抵抗を算出した。
(2)さらに、試験板1〜5のそれぞれを80℃の硫酸水溶液(pH2)に1000時間浸漬した後に、前記と同様にして再び接触抵抗を測定した。なお、(1)の熱処理後および(2)の接触抵抗は、12mΩ・cm2以下を合格とした。
(3)また、熱処理前後の貴金属層(Pd)の密着性試験を碁盤目テープ剥離試験により評価した。なお、碁盤目テープ剥離試験は、JIS H8504に規定されるめっき密着性試験方法に記載されている方法に準拠して行った。
(1)熱処理前後の接触抵抗、(2)80℃の硫酸水溶液(pH2)に1000時間浸漬した後の接触抵抗、および(3)碁盤目テープ剥離試験の結果を表1に示す。
Figure 0005180485
表1に示す結果から、試験板1〜5のいずれも、熱処理を行うことによって接触抵抗が低下することがわかる。
特に、貴金属層(Pd)の厚さが2nm以上の試験板2〜5は、熱処理後の接触抵抗が5.3mΩ・cm2以下と非常に小さい値を示し、導電性に優れていることがわかった。また、80℃の硫酸水溶液(pH2)に1000時間浸漬した後であっても接触抵抗が大きく上昇することなく、高い耐食性を有することもわかった。また、熱処理後に行った碁盤目テープ剥離試験の結果は、剥離が無く、いずれも貴金属層と基板との密着性が高いことがわかった(いずれも実施例)。
一方、貴金属層(Pd)の厚さが1nmの試験板1は、熱処理後に行った碁盤目テープ剥離試験の結果は、剥離が無く、貴金属層と基板との密着性が高いものの、熱処理による接触抵抗の低下が少なく、かつ80℃の硫酸水溶液(pH2)に1000時間浸漬した後の接触抵抗が大きく上昇することがわかった(比較例)。
なお、試験板4(貴金属層(Pd)の厚さ5nm)の断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察したところ、貴金属層と基板の間には酸化物(すなわち、不動態皮膜)は認められず、代わりにTiとPdが相互に拡散した拡散層が約5nmの厚さで認められた。
<実施例B>
<実施例A>と同様にしてプラズマCVD法により、Ti−6Al−4V合金製の2枚の基板上に、貴金属(AuおよびPt)の貴金属層を厚さ10nmで形成した。なお、このときの原料ガスとしては、塩化金と塩化白金を300℃で加熱し、蒸発させたものを用いた。
その後、貴金属層を形成したTi−6Al−4V合金板を熱処理炉内に入れて炉内を0.00133Pa(1×10-5Torr)まで真空排気した後に、炉を加熱して500℃に昇温して乾燥空気を導入し、炉内圧力が0.00665Pa(5×10-5Torr)になるように調整して1分間の熱処理を行い、貴金属層(Au)を形成した基板(試験板6)と貴金属層(Pt)を形成した基板(試験板7)を製造した。
(1)これら試験板6,7の熱処理前後の接触抵抗を測定した。接触抵抗の測定方法は、<実施例A>に準じて行ったが、カーボンクロスC,CをAu箔(不図示)に変更して測定を行い、Au箔の間に印加される電圧を測定して接触抵抗を算出した。
また、(2)80℃の硫酸水溶液(pH2)に1000時間浸漬した後の接触抵抗の測定を行うとともに、(3)熱処理前後の貴金属層(Au)および貴金属層(Pt)の密着性試験を碁盤目テープ剥離試験により評価した。なお、(1)の熱処理後および(2)の接触抵抗は、0.5mΩ・cm2以下を合格とした。
また、貴金属薄膜とTi−6Al−4V基板との界面構造を調べるため、試験板6の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した。なお、TEMの観察条件は、試料厚さ約100nm、加速電圧200kV、倍率150万倍とした。
(1)熱処理前後の接触抵抗、(2)80℃の硫酸水溶液(pH2)に1000時間浸漬した後の接触抵抗、および(3)碁盤目テープ剥離試験の結果を表2に示す。
Figure 0005180485
表2に示す結果から、試験板6,7は、大気圧による酸素分圧条件下での熱処理により接触抵抗が低下し、密着性も向上することがわかった。さらに、80℃の硫酸水溶液(pH2)に1000時間浸漬した後であっても接触抵抗の上昇が認められないことから、耐食性にも優れていることがわかった。また、TEMによる観察の結果から、貴金属層(Au)と基板の間に厚さ約5nmの酸化チタン層があることを確認することができた。さらに、ビーム径を約1nmに絞って行った電子線回折(ナノディフラクション)により酸化チタン層の結晶構造を調べたところ、ルチル型結晶が含まれていることがわかった。
<実施例C>
表3に示す各種貴金属を<実施例A>と同様にしてプラズマCVD法により、Ti−5Ta製の基板上に、5nmの厚さで貴金属層を形成した。
その後、熱処理炉に貴金属層を形成した基板を入れて、0.00133Pa(1×10-5Torr)になるまで真空排気し、表3に示す熱処理温度まで加熱した後、表3に示す酸素分圧になるように、炉内を排気しながら酸素を導入して、表3に示す熱処理時間の間、熱処理を行い、試験板8〜17を製造した。
これら試験板8〜17を用いて、(1)熱処理前後の接触抵抗を測定した。接触抵抗は、<実施例A>に準じて行った。なお、<実施例C>では、カーボンクロスを用いて測定した。
(2)さらに、試験板8〜17のそれぞれを80℃の硫酸水溶液(pH2)に1000時間浸漬した後に、前記と同様にして再び接触抵抗を測定した。なお、(1)の熱処理後および(2)の接触抵抗は、12mΩ・cm2以下を合格とした。
(1)熱処理前後の接触抵抗、および(2)80℃の硫酸水溶液(pH2)に1000時間浸漬した後の接触抵抗の結果を表3に示す。
Figure 0005180485
表3に示す結果から、酸素分圧が1.33Pa(1×10-2Torr)以下、かつ300℃から800℃の熱処理を行った試験板8〜14のうち、試験板8〜13は、低い接触抵抗が得られることがわかった。
これに対し、試験板14は、処理時間が長すぎたため、PdとTiの拡散層が成長しすぎてしまい、Tiが最表面まで拡散してチタン酸化物を最表面に形成したために接触抵抗が低下しなかった。
試験板15は、酸素分圧が高いためにPdが酸化して接触抵抗が下がらなかった。
試験板16は、熱処理温度が高いために、AuとTiの拡散層が成長しすぎてしまい、Tiが最表面まで拡散してチタン酸化物を最表面に形成したために接触抵抗が低下しなかった。
試験板17は、熱処理温度が低いために、不動態皮膜の結晶化が図れず、また厚みも殆ど変化しなかったので接触抵抗の低下が殆ど認められず、硫酸浸漬後の接触抵抗は低いものの、直径1mm程度の円形の剥離が認められた。
<実施例D>
<実施例A>と同様にしてプラズマCVD法により、Ti−5Ta合金製の基板を500℃に加熱して、その上に貴金属層(Pd)を5nmの厚さで形成した。その後、原料ガスの停止とプラズマの励起を停止して、チャンバー内の圧力が0.00133Pa(1×10-5Torr)となるように、乾燥空気を導入しながら排気を行い、チャンバー内で500℃×5分間保持して熱処理を行って試験板18を製造した後、チャンバーのヒーターを切って、チャンバー内で基板を100℃まで冷却してこれを取り出した。
<実施例A>と同様の方法で、熱処理後の接触抵抗を測定したところ、3.7mΩ・cm2であり、低い接触抵抗が得られることがわかった。
<実施例E>
まず、JIS H 4600に規定される1種の純TiでなるTi基板(幅2cm×5cm、厚さ0.2mm)を8枚用意した。これらのTi基板の表面上に、<実施例A>に記載した条件と同じ条件でプラズマCVD法を行うことによって、それぞれのTi基板にAuおよびPtの貴金属層を厚さ10nmで形成した(試験板18〜25)。なお、プラズマCVD法で用いた原料ガスとしては、塩化金と塩化白金を300℃で加熱して蒸発させたものを用いた(このとき用いた原料ガスの種類を、下記表4の「貴金属」の欄に「Au」または「Pt」で示した)。
その後、貴金属層を形成した試験板19、23を大気圧条件下(酸素分圧2.13×104Pa)にて500℃、1分間の条件で熱処理を行った。
また、貴金属層を形成した試験板20、21、24、25を真空熱処理炉に入れ、炉内の圧力を0.00133Pa(1×10-5Torr)まで真空排気した後、500℃まで加熱し、乾燥空気を導入して炉内の酸素分圧を下記表4に示すように、0.133Pa(1×10-3Torr)または0.00133Pa(1×10-5Torr)、となるように調整し、かかる酸素分圧下、500℃の熱処理温度、5分間の熱処理時間の熱処理を行った。
なお、試験板19〜21、23〜25と比較するため、試験板18、22の2枚のTi基板については、AuおよびPtの貴金属層を厚さ10nmで形成した後、表4に示す熱処理条件で熱処理を行わなかった。
前記した試験板18〜25の接触抵抗を<実施例B>に記載した条件と同じ条件で測定して算出した。
また、これら試験板18〜25を、水と、0.3MPa(3atm)の水素と、が入った密閉容器の気相部に入れ、これを120℃で加熱することにより、湿度約100%に加湿した純水素(純度99.99%)雰囲気中(以下、単に「加湿した純水素雰囲気中」という。)で500時間暴露した後、不活性ガス(Ar)気流中で、黒鉛るつぼ中に入れた試料をすずと共に黒鉛抵抗加熱方式によって加熱融解することで水素を他のガスと共に抽出し、抽出したガスを分離カラムに通して水素を他のガスと分離し、分離した水素を熱伝導度検出器に搬送して水素による熱伝導度の変化を測定する(不活性ガス溶融−ガスクロマトグラフ法)ことにより、試験板18〜25中の水素濃度(ppm)を測定した。
接触抵抗および試験板18〜25中の水素濃度(表4において、「試験板中の水素濃度」と示す。)を前記した熱処理条件等とともに下記表4に示す。なお、接触抵抗は0.5mΩ・cm2以下を合格とし、Ti基板中の水素濃度は70ppm以下を合格とした。
Figure 0005180485
ここで、JIS H 4600に規定される1種の純Ti材に含まれている水素の濃度は、通常およそ20〜40ppmである。
表4に示すように、表4に示す熱処理条件で熱処理を行わなかった試験板18、22は、接触抵抗がやや高い値となり、また、試験板中の水素濃度も高い値となった。つまり、良好な結果を得ることができなかった。なお、試験板中の水素濃度が高い値であったことから、加湿した純水素雰囲気中に500時間暴露したことによってTi基板の母材中に水素が吸収されたことがわかった。
また、表4に示すように、表4に示す熱処理条件で熱処理を行った試験板19〜21、23〜25は、接触抵抗が低い値となり、また、試験板中の水素濃度も低い値となった。つまり、良好な結果を得ることができた。
<実施例E>の結果から、試験板19〜21、23〜25は、熱処理によって接触抵抗を低くすることができたこと、および、加湿した純水素雰囲気中に500時間暴露した場合であっても、水素を吸収しないことが確認された。
<実施例F>
次に、<実施例F>では、前記した試験板5のTi基板を用いて作製したセパレータを使用した場合における発電試験を行った。
まず、縦幅95.2mm×横幅95.2mm×厚さ19mmのサイズのTi基板を2枚用意し、その表面の中央部に機械加工によって溝幅0.6mm、溝深さ0.5mmのガス流路を図4に示す形状に作製した。そして、ガス流路を形成したTi基板の面上に、<実施例A>と同様の方法・条件でPdの成膜と、熱処理とを行ってセパレータを作製した。
そして、作製した2枚のセパレータを固体高分子型の燃料電池(Electrochem社製、燃料電池セルEFC−05−01SP)に、以下のようにして組み込んで発電試験を行った。
まず、図5に示すように、作製した2枚のセパレータを、ガス流路が形成された面を対面させて配置し、ガス流路が形成されたそれぞれの面にカーボンクロスを配置し、これらのカーボンクロスの間に固体高分子膜を挟んで発電試験用の燃料電池を作製した。
前記のようにして作製した燃料電池のアノード極側に導入する燃料ガスとして純度99.999%の水素ガスを用い、カソード極側に導入するガスとして空気を用いた。
燃料電池は全体を80℃に加熱保温して、水素ガスおよび空気を、加温された水中を通すことにより露点温度を80℃に調整して、2026hPa(2気圧)の圧力で前記の燃料電池に導入した。
そして、セル性能測定用システム(スクリブナ社製890CL)を用いて、セパレータに流れる電流を300mA/cm2とし100時間発電させて電圧の変化を測定した。
その結果、試験板5のTi基板のセパレータの発電初期の電圧および100時間発電させた後の電圧は、ともに0.61Vであり、電圧の変化は認められなかった。
また、比較対象として、試験板5のTi基板のセパレータに換えて、従来から用いられているグラファイトセパレータ(Electrochem社製、FC−05MP)を配置して燃料電池を作製し、前記と同じ条件で発電試験を行った。
その結果、発電初期の電圧および100時間発電させた後の電圧は、ともに0.61Vであり、試験板5のTi基板のセパレータと全く同様の結果となった。
以上の結果から、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法によって製造された燃料電池用セパレータは、金属製のセパレータであるにも関わらず、グラファイトセパレータと同等の性能を示すことが分かった。
以上、本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法、燃料電池用セパレータおよび燃料電池について最良の実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて広く改変・変更等することができることはいうまでもない。
本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法の工程を説明するフローチャートである。 (a)および(b)は、本発明に係る燃料電池用セパレータの断面図である。 接触抵抗の測定方法を説明する説明図である。 基板の表面に形成したガス流路の形状の一例を示す図である。 本発明の燃料電池用セパレータを用いた燃料電池の一部を展開した様子を示す図である。
符号の説明
S1 凹部形成工程
S2 貴金属層形成工程
S3 熱処理工程
1 燃料電池用セパレータ
2 基板
3 貴金属層
4 拡散層
10 単セル
11 ガス流路
12 ガス拡散層
13 固体高分子膜
20 燃料電池

Claims (5)

  1. TiまたはTi合金製の燃料電池用セパレータとしての基板の表面の少なくとも一部にガスを流通させるガス流路を形成するための凹部を形成する凹部形成工程と、
    前記凹部を形成した前記基板の表面に、Ru,Rh,Pd,Os,Ir,PtおよびAuから選択される少なくとも1種以上の貴金属を含んでなる2nm以上の厚さの貴金属層をプラズマCVD法によって形成する貴金属層形成工程と、
    前記貴金属層形成工程で前記貴金属層が形成された基板を、所定の熱処理温度および所定の酸素分圧下で熱処理する熱処理工程と、
    を含み、
    前記熱処理工程における所定の熱処理温度が300〜800℃であり、
    前記熱処理工程における所定の酸素分圧は、
    前記貴金属がRu,Rh,Pd,OsおよびIrから選択される少なくとも1種以上である場合は、1.33Pa以下とし、
    前記貴金属がPtおよびAuから選択される少なくとも1種以上である場合は、大気圧における酸素分圧以下とする
    ことを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
  2. 前記貴金属層形成工程は、前記基板を300〜800℃に加熱して前記貴金属層を形成することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  3. 表面の少なくとも一部にガスを流通させるガス流路を形成するための凹部が形成されたTiまたはTi合金製の燃料電池用セパレータとしての基板の表面に、Ru,Rh,Pd,Os,Ir,PtおよびAuから選択される少なくとも1種以上の貴金属を含んでなる2nm以上の厚さの貴金属層をプラズマCVD法によって形成し、当該貴金属層を、所定の熱処理温度および所定の酸素分圧下で熱処理して得られたものであり、
    前記所定の熱処理温度が300〜800℃であり、かつ、
    前記所定の酸素分圧は、
    前記貴金属がRu,Rh,Pd,OsおよびIrから選択される少なくとも1種以上の場合は、1.33Pa以下、
    前記貴金属がPtおよびAuから選択される少なくとも1種以上の場合は、大気圧における酸素分圧以下とする
    ことを特徴とする燃料電池用セパレータ。
  4. 前記基板を300〜800℃に加熱して前記貴金属層を形成したことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池用セパレータ。
  5. 請求項3または請求項4に記載の燃料電池用セパレータを用いたことを特徴とする燃料電池。
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