JP5178065B2 - 圧電セラミックス、圧電アクチュエータおよび液体吐出ヘッド - Google Patents

圧電セラミックス、圧電アクチュエータおよび液体吐出ヘッド Download PDF

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Description

本発明は、圧電セラミックス、圧電アクチュエータおよび液体吐出ヘッドに関するものであり、特に駆動回数の多い圧電アクチュエータおよび液体吐出ヘッドとそれらに用いられる圧電セラミックスに関するものである。
近年、パーソナルコンピューターの普及やマルチメディアの発達に伴って、情報を記録媒体に出力する記録装置として、インクジェット方式の記録装置の利用が急速に拡大している。その性能向上は目覚しく、銀塩写真と同等な印字品質が実現されている。
しかし、印字品質の向上の要求はさらに続いており、高解像度、高精細でインクを吐出するため、プリンタヘッドには、さらに高密度のインク吐出ノズル密度が求められている。そのため、ノズルからインクを吐出させる圧電アクチュエータ素子も、小型、高密度で形成できること求められている。
かかるインクジェット方式の記録装置には、液体を吐出するインクジェットヘッドが搭載されており、この種のインクジェットヘッドには、インクが充填されたインク流路内に加圧手段としてのヒーターを備え、ヒーターによりインクを加熱、沸騰させ、インク流路内に発生する気泡によってインクを加圧し、インク吐出孔より、インク滴として吐出させるサーマルヘッド方式と、インクが充填されるインク流路の一部の壁を変位素子によって屈曲変位させ、機械的にインク流路内のインクを加圧し、インク吐出孔よりインク滴として吐出させる圧電方式が一般的に知られている。
圧電方式を利用したインクジェット記録装置に用いられるインクジェットヘッドは、例えば図2(a)に示したように、圧電アクチュエータ51が、流路部材53の上に設けられた構造を有する(例えば、特許文献1参照)。流路部材53は、複数の隔壁53bによって仕切られた複数の液体加圧室53aを有し、液体加圧室53aの開口部は圧電アクチュエータ51によって覆われるように形成されている。
圧電アクチュエータ51は、振動板52上に、共通電極54、圧電セラミック層55および個別電極56がこの順に積層され、個別電極56と共通電極54とこれらに挟まれた圧電セラミック層55とで構成される変位素子57が複数形成されている。そして、個別電極56と共通電極54とに挟まれた圧電セラミック層55は圧電セラミック層55の厚み方向に垂直に分極されている。
また、個別電極56は、図2(b)に示したように、圧電セラミック層55の上面にマトリックス状に配置され、液体加圧室53aの直上に個別電極56が配置されている。個別電極56には、外部配線回路(図示せず)と接続するための個別電極接続部56aが接続されている。また、共通電極54も、外部配線回路と接続するための接続端子(図示せず)に電気的に接続している。
上記のようなインクジェットヘッドでは、共通電極54と所定の個別電極56との間に電圧を印加して、個別電極56直下の圧電セラミック層55を変位させることにより、変位素子57が対応する液体加圧室53aの体積を変化させ、液体加圧室53a内のインクを加圧して、流路部材53の底面に開口した液体吐出口58よりインク滴を吐出することができる。
そして、積層方向から見て、個別電極56は液体加圧室53aより小さい面積を有している。つまり、圧電セラミック層55には、個別電極56の直下の分極された駆動部55aとそれを取り囲むように分極されていない非活性部55bがあり、さらに、それらの外側に流路部材53と接合されているため変位しない拘束部55cがあることにより変位素子57は大きな変位が得られるようになる。
このようなインクジェットヘッドには、圧電材料としてPZTが用いられてきており、PZTとしては、圧電セラミックス中にジルコニアが分散されたものが提案されており(例えば、特許文献2参照。)、PZTの製造方法としては酸素中で焼成する製造方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開平11−34321号公報 特開平10−330164号公報 特開平5−139828号公報
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)では、共通電極54と個別電極56との間に電圧を印加して変位素子57に駆動を繰り返し行なうと、駆動部55aと非駆動55bとの間で引っ張り応力や圧縮応力が発生することになる。圧電体は外部からの応力印加によっても内包する強誘電体ドメインウォールが移動し(ドメインスイッチング)、磁器の伸びや縮みが発生する。この結果、駆動サイクルが非常に多くなると圧電体自身の逆圧電効果による磁器の伸びや縮みにより発生する駆動部55aと非駆動部55bとの間の応力によって圧電セラミック層55でドメインウォールの移動が進行し、駆動部の変位が低下する駆動劣化という問題が発生する。
変位素子57に駆動劣化が発生すると液体吐出ヘッドから吐出される液体の量や速度が変わるため、適切な画像を記録できなくなるなどの問題となる。
この問題は、初期状態で分極されていない非駆動部55bでのドメインウォールの移動の影響が大きいが、駆動部55aでも分極の仕方が変わることにより、駆動劣化が起こる。
本発明の目的は、外部からの応力でドメインスイッチングの起き難い圧電セラミックス、および駆動劣化が抑制された圧電アクチュエータおよび液体吐出ヘッドを提供することである。
本発明の圧電セラミックスは、主結晶粒子がジルコニアを内包したPZT相からなり、該PZT相に内包されている前記ジルコニアがジルコニア成分の1%以上であることを特徴とする。
また、前記ジルコニアを0.01体積%以上含有することが好ましい。
また、前記ジルコニアの平均粒子径D1と前記主結晶粒子の平均粒子径D2との比D1/D2が0.016〜0.07であることが好ましい。
本発明の電アクチュエータは、前記圧電セラミックスの表面および内部のいずれかに一対の電極を互いに対向させて配置したことを特徴とする。
本発明の液体吐出ヘッドは、複数の液体加圧室と該複数の液体加圧室に連通した複数の液体吐出孔とを有する流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように振動板を積層し、該振動板上に共通電極、請求項1から3のいずれかに記載の圧電セラミックスの層、および複数の個別電極をこの順に積層したことを特徴とする。
本発明の圧電セラミックスによれば、主結晶粒子がジルコニアを内包したPZT相からなることにより、主結晶粒子内に外部応力によって体積変化を起こすジルコニアを析出させることにより外部から受けた応力を主結晶粒子内で緩和することができ、ドメインウォールの移動を抑制することができる。
また、前記ジルコニアを0.01体積%以上含有する場合、応力を緩和する前記ジルコニアの割合が高くなるため、より応力を緩和することができる。
また、前記ジルコニアの平均粒子径D1と前記主結晶粒子の平均粒子径D2との比D1/D2が0.016以上である場合、前記主結晶粒子中に前記主結晶粒子の体積変化を緩和できる前記ジルコニア粒子の量が多いため、応力緩和の効果をより高くすることができる。D1/D2が0.07以下である場合、前記PZT相が高密度に焼結しているため、駆動劣化が起き難い。
本発明の圧電アクチュエータは、前記圧電セラミックスの表面および内部のいずれかに一対の電極を互いに対向させて配置したことにより、駆動回数が増えても圧電セラミックスに駆動劣化が抑制され、安定した特性が維持できる。
本発明の液体吐出ヘッドは、複数の液体加圧室と該複数の液体加圧室に連通した複数の液体吐出孔とを有する流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように振動板を積層し、該振動板上に共通電極、請求項1から3のいずれかに記載の圧電セラミックスの層、および複数の個別電極をこの順に積層したことにより、駆動回数が増えても駆動劣化が抑制されるため、複数の液体吐出口から吐出される液体の速度にバラツキが生じにくく、吐出した液体により安定した記録ができる。
図1(a)は本発明の圧電セラミックスの断面模式図である。1は圧電セラミックス、2は主結晶粒子であるPZT相である。PZT相とはジルコン酸チタン酸鉛もしくはそれの一部が他の元素に置換された結晶相である。3はジルコニアであり、PZT相2に内包されているものは3a、PZT相2の粒界にあるものは3bとして示してある。
本発明の圧電セラミックス1は、主結晶相としてPZT相2が含まれるものであり、PZT相2中にジルコニア3aが内包されたものであることが重要である。ジルコニア3aは主結晶に内包されていることにより、外部から圧力が加わってもジルコニア3aが相変化して体積を変えることができるので、PZT相2の応力が緩和され、強誘電体ドメインウォールが移動(ドメインスイッチング)しにくくなる。そのため、応力の印加が非常に多く繰り返されても圧電セラミックス1の変位特性の低下を少なくできる。ジルコニア3aを0.01体積%以上含有する場合、応力を緩和するジルコニア3aの割合が高くなるため、より応力を緩和することができる。
なお、ジルコニア3はPZT相2の粒界に析出していてもかまわないが、粒界に析出したジルコニア3bは、PZT相2に内包されたジルコニア3aが結晶粒子の体積変動を直接吸収できるのと比較して、応力緩和の効果は低い。
ジルコニア3aの含有量の測定は、0.1μm以下に薄層加工した圧電セラミックス1を観察し、PZT相2に内包されたジルコニア3aを識別し、画像処理ソフトによりPZT相2に内包されたジルコニア3aの面積%を求めた。そして、薄層加工したサンプルであることから、その値を圧電セラミックス1中のジルコニア3aの体積%とした。
また、ジルコニア3aの平均粒子径D1とPZT相2の平均粒子径D2との比D1/D2が0.016以上である場合、PZT相2の体積変化を緩和できるジルコニア3aの量が多いため、応力緩和の効果をより高くすることができる。
さらに、ジルコニア3aが析出することによりPZT相2の焼結が阻害されることがあるが、ジルコニア3aとPZT相2の粒成長の度合い比較すること、つまり、D1/D2を調べることにより、ジルコニア3aがPZT相2の粒成長を阻害してないことを確認できる。D1/D2が0.07以下である場合、ジルコニア3aがPZT相2の粒成長を阻害せず、PZT相2が高密度に焼結しているため、駆動劣化が起き難い。これに対して、D1/D2が0.07を超えるときは、ジルコニア3aによりPZT相2の焼結が阻害されているおそれがあり、その場合PZT相2の焼結不足により、わずかに駆動劣化起きると考えられる。
ジルコニア3aは単斜晶であることが好ましい。ジルコニア3aの構造相変化は、単斜晶から正方晶、正方晶から立方晶への変化が起きやすく、逆の変化は置き難い。そのため、ジルコニア3aは、構造変化で応力緩和の起きやすい単斜晶、あるいは、正方晶であることが好ましく、単斜晶→正方晶→立方晶と大きな体積変化を起こしやすい単斜晶であることが特に好ましい。
続いて、ジルコニア3aの析出する圧電セラミックス1について説明する。従来からPZTの主原料としてZrOが用いられている。そして、Zrが占有するペロブスカイト構造のBサイト元素がAサイト元素より過剰の組成では、Bサイト元素、つまり、Zrを含む物質が粒界部に析出することがあった。これはBサイト元素が過剰であるため余剰の元素が格子外に押し出されて析出したものと考えられる。また、Aサイトには、Pbといった揮発性の高い元素が存在しているため、高温になる焼成時にPbが飛散してAサイトが不足となりやすく、Bサイト元素が析出しやすい状態となっているのである。
しかし、これらの場合、Zrが析出するのは粒界部が大部分であり、結晶粒子内部への析出は皆無である。この状態の圧電セラミックスでは外部応力に対する圧電粒子への応力緩和効果が少なく、駆動による変位低下を抑制することはほとんどできなかった。結晶粒子への応力緩和効果を発生させるPZT相2内部へジルコニア3aを析出させるには、例えば、Bサイト元素を過剰とした組成したうえで、酸素雰囲気中で焼成することにより得られる。
具体的には、ペロブスカイト組成のAサイト/Bサイト元素比率を0.985〜0.998の範囲として、かつ、焼成中の酸素濃度を50%以上に保ち、AサイトのPbの揮発を抑制するため焼成治具中で密閉状態にして焼成する。Aサイト/Bサイト元素比率を0.985〜0.998とすることによりBサイトのジルコニア3を析出しやすくする効果があると同時に圧電アクチュエータとした際に変位特性を劣化させない効果がある。さらに、酸素50%以上の雰囲気で焼成することで気孔を少なくすることができ、Aサイトに陽イオン空孔を形成させ、PZT相2内部にジルコニア3aを析出させることができる。
また、本発明の圧電セラミックス1の組成としては、Sr、Ba、Ni、Sb、Nb、YbおよびTeのうち少なくとも1種を含むことが好ましい。これによって、より安定した圧電セラミックスを得ることができる。このような圧電セラミックスとしては、例えば副成分としてPb(Zn1/3Sb2/3)OおよびPb(Ni1/2Te1/2)Oを固溶してなるものを例示できる。
さらに、圧電セラミックス1の組成としては、特に、Aサイト構成元素として、さらにアルカリ土類元素を含有することが望ましい。アルカリ土類元素としては、Ba、Srが高い変位を得られる点で好ましく、Baを0.02〜0.07モル、Srを0.02〜0.12モル含むことが、PZT相2が正方晶である組成の場合に大きな変位を得るうえで有利である。
このような圧電セラミックス1としては、例えば、Pb1−x−ySrBa(Zn1/3Sb2/3(Ni1/2Te1/2Zr1−a−b−cTi+α質量%Pb1/2NbO、ただし、0≦x≦0.14、0≦y≦0.14、0.05≦a≦0.1、0.002≦b≦0.01、0.44≦c≦0.50、α=0.1〜1.0のものが挙げられる。
次に、圧電セラミックス1の製造方法について説明する。
まず、原料(合成原料)として純度99%、平均粒子径1μm以下の圧電セラミック粉末を準備する。この圧電セラミック粉末は、次のように作製する。PbO、ZrO、TiO、必要であれば、その他の添加物(必要な元素の酸化物、炭酸塩など)をボールミルで、平均粒径0.5〜0.8μmまで混合・粉砕する。得られた粉末を900〜1000℃で仮焼し、仮焼粉末をボールミルで、平均粒径0.5〜0.8μmまで粉砕する。
この圧電セラミック粉末に、適当な有機バインダーを添加してテープ状に成形し、所望の形状にカットする。これを、400℃程度で脱バインダーを行い、その後焼成する。
焼成の際のPbの揮発量が多いとAサイト/Bサイト元素比率が変動するため、焼成は、密閉した焼成治具中に置いて行なうのがよく、さらに密閉した焼成治具中には焼成するセラミックス以外に、Pbの発生源を置いて、焼成するセラミックスからのPbの揮発を少なくすることが望ましい。
さらに、焼成中の酸素濃度は50%以上とする。50%より低い濃度で焼成した場合、焼成中の酸素濃度はペロブスカイトのAサイトの陽イオン空孔の生成と関係しているため、焼成中の酸素濃度50%以下では単斜晶ZrOの圧電体粒界部への析出が増加して圧電アクチュエータの駆動信頼性が低下するおそれがある。また、焼成磁器中の気孔率が増加する。液体吐出ヘッドに使用されるような、厚み100μm以下の薄層磁器では磁器内の気孔が破壊源となり駆動中に破損する確率が増加するため長期間駆動に対する信頼性が確保できないことがある。より駆動劣化を抑制するためには焼成中の酸素濃度は、75%以上、特に85%以上とするのが好ましい。
また、本発明の圧電セラミックス1を用いて圧電アクチュエータを形成するには、焼成後、表面に所望の表面電極を形成し、分極して圧電アクチュエータとする。内部に電極を形成する場合、グリーンシートの一部に内部電極としてAg−Pdペーストを塗布し、別のグリーンシートを積層し、10〜50MPaの圧力で加圧して一体化させればよい。圧電アクチュエータに備える一対の電極は、表面電極同士(つまりおもて面とうら面)、内部電極同士、表面電極と内部電極の組み合わせのいづれでもよい。
本実施形態の圧電アクチュエータの駆動は、駆動時の電界強度Eと、圧電セラミック層の電界強度Ecとの比率E/Ecが1より小さい条件で駆動させるのが好ましい。これにより、圧電アクチュエータを長期間安定して駆動することができる。これに対し、1より大きいと、分域回転の寄与が大きくなり、変位劣化しやすくなる。
続いて、本発明の液体吐出ヘッドについて図面を参照して詳細に説明する。
図2(a)は、本発明の圧電アクチュエータを含む液体吐出ヘッドを示す概略断面図であり、図2(b)は、その平面図である。
図2(a)、(b)に示すように、この液体吐出ヘッドは、複数の液体加圧室53aが並設され、各液体加圧室53aを仕切る壁として隔壁53bを形成した流路部材53上に上述した圧電アクチュエータ51が接合されている。接合は、振動板52が液体加圧室53aの空間と当接するように接着剤等を用いて行い、より具体的には、変位素子57の各個別電極56と、各液体加圧室53aとが対応するように接合される。
つまり、この液体吐出ヘッドは、振動板52上に、共通電極54、圧電セラミック層55および個別電極56がこの順に積層され、個別電極56が圧電セラミック層55の表面に複数配列された圧電アクチュエータ51を、液体加圧室53aの直上に個別電極56が配置されるように流路部材53に接着したものである。圧電セラミック層55は本発明の圧電セラミックスから成っている。
そして、個別電極56と共通電極54との間に駆動回路より電圧を印加し、電圧が印加され変位した変位素子57に対応する液体加圧室53a内のインクを加圧し、圧電アクチュエータ51を振動させることにより、液体加圧室53a内のインクを流路部材53の底面に開口させたインク吐出孔58よりインク滴を吐出させる。
このような液体吐出ヘッドの圧電アクチュエータの圧電セラミックスとして本発明の圧電セラミックスを用いることによって、安価なICを用いて液体吐出ヘッドを実現することができる。この液体吐出ヘッドは変位特性の劣化が抑制されているので、駆動を非常に多く繰り返しても、複数の変位素子57の変位特性に差が生じにくく、安定して高精度な吐出ができる。
なお、振動板52は圧電セラミック層55と同一組成の圧電セラミックスからなるのが好ましいが、振動板52の組成は、圧電セラミック層55の組成と完全に一致している必要はなく、本発明の効果を奏することができる範囲内で、その組成が異なっていてもよい。
また、上記の実施形態では、振動板52および圧電セラミック層55が、いずれも1層で構成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、振動板52および圧電セラミック層55が複数層で構成されていてもよい。この場合には、圧電アクチュエータ51の厚みを簡単に調整することができる。
本発明の圧電アクチュエータの他の実施形態はとしては、圧電アクチュエータの屈曲運動を動力源とする超音波モーターなどが上げられる。本発明の圧電セラミックスを用いた超音波モーターでは、屈曲部および屈曲部の周囲の圧電セラミックスが逆圧電効果で分極されることが抑制されるため、駆動のサイクル数が増えても、初期状態からの動作の変動が少ない安定した動作をさせることができる。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本発明の圧電セラミックスを作製し、これで液体吐出ヘッドを作製し、駆動劣化の試験を評価した。まず、原料として、純度99%以上のPZTの圧電セラミック粉末を準備した。
圧電セラミック粉末の組成としては、Pb1−x−ySrBa(Zn1/3Sb2/3(Ni1/2Te1/2Zr1−a−b−cTi+α質量%Pb1/2NbO等で表されもの、ただし、0≦x≦0.14、0≦y≦0.14、0.05≦a≦0.1、0.002≦b≦0.01、0.44≦c≦0.50、α=0.1〜1.0のなかでAサイト元素とBサイト元素の比率が表1に示されるものを準備した。
このチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電用のセラミック材の粉末に、水系バインダーとしてブチルメタクリレート、分散剤にポリカルボン酸アンモニウム塩、溶剤にイソプロビルアルコールと、純水を各々添加して混合し、このスラリーをドクタープレード法によりキャリアフィルム上に、厚さ30μmのシート形状に塗布して、グリーンシートを作製した。このグリーンシートは、圧電セラミック層用および振動板用の両方に使用した。
また、Ag−Pd合金粉末を含有する共通電極ペーストを振動板用のグリーンシートの表面に厚さ4μmで印刷し、共通電極を形成した。さらに、共通電極が印刷された面を上向きにして振動板グリーンシートの上に圧電セラミック層用グリーンシートを積層し、加圧プレスし、積層体を得た。
この積層体を脱脂処理した後に、表1に記載した焼成温度と酸素濃度で4時間保持して焼結し、圧電セラミック層55と振動板52と共通電極54とからなる積層体を作製した。焼成はサンプルを焼成治具中に密閉して行い、Pbの揮発による組成変動が最小になるようにした。
次に、圧電セラミック層55の表面に個別電極56と個別電極接続部56aを形成した。個別電極56と個別電極接続部56aは、スクリーン印刷でAuペーストを塗布した。これを大気中において600〜800℃で焼付けて形成した。最後に、個別電極接続部56aにリード線を半田で接続し、図2(a)および(b)に示すような形状の圧電アクチュエータ51を得た。
またさらに、以上にようにして得られた、圧電アクチュエータに図2(a)に示す流路部材53を接着剤で接合し、液体吐出ヘッドを作製した。
表1に得られた圧電セラミックスと液体吐出ヘッドの詳細を示す。表1において、各評価値は以下のようにして求めた。
結晶の評価は、試料をFIB(集束イオンビーム)で0.1μmの薄層加工し、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて1万倍で観察して行なった。PZT相2とジルコニア3については、それぞれTEMの回折像で結晶を同定して確認した。なお、全ての試料でジルコニア3は単斜晶であった。PZT相2の平均結晶粒子径D2はインターセプト法により求めた。ジルコニア3aの平均結晶粒子径D1は、各結晶粒子について、その面積を測定し、同じ面積の円の直径を求め、それを平均して算出した。薄層加工したサンプルであることから、TEM観察した面のジルコニア3aの面積%の値を、圧電セラミックス1のジルコニア3aの体積%とした。なお、PZT相2に内包されたジルコニア3aとは、観察した断面で、ジルコニア3全体が1つのPZT相2の結晶粒子に含まれているもののことであり、PZT相2の粒界のジルコニア3bとは、前記以外のジルコニア3のことであり、PZT相の粒界に接しているもののことである。
流路部材53に、水を溶媒とするインクを供給し、圧電アクチュエータ51に、ピーク電圧25V、周波数2kHz、デューティー比80%の駆動電圧波形を印加して、連続的に1×1010サイクルにわたって駆動させて駆動試験を行なった。
Figure 0005178065
表1から、本発明の範囲内である試料No.2、3および5〜20は、PZT相2にジルコニア3aが内包されているため、駆動劣化が抑制されており、1010回駆動後でも変位低下率は3%以下であった。これに対して、試料No.1では、Bサイト元素が過剰ではないためジルコニア3の析出が見られず、10%以上の駆動劣化が起こった。また、試料No.4では、図1(b)に示したような状態であり、ジルコニア13bはPZT相12の粒界に析出し、PZT相12に内包されたジルコニアは観察されず(1%未満)、10%以上の駆動劣化が起こった。
また、ジルコニア3aの平均粒子径D1とPZT相2の平均粒子径D2がD1/D2が0.016〜0.07の範囲の試料No.2、3、7〜15、および、18〜20では、1010回駆動後でも変位低下率は1%以下であった。
(a)は、本発明の圧電セラミックスの結晶の状態を示す模式図であり、(b)は、従来の圧電セラミックスの結晶の状態を示す模式図である。 (a)は、本発明の圧電アクチュエータを用いた液体吐出ヘッドを示す概略部分縦断面図であり、(b)はその部分上面図である。
符号の説明
1・・・圧電セラミックス
2・・・PZT相
3・・・ジルコニア
3a・・・PZT相に内包されたジルコニア
3b・・・PZT相の粒界にあるジルコニア
51・・・圧電アクチュエータ
52・・・振動板
53・・・流路部材
53a・・・液体加圧室
53b・・・隔壁
54・・・共通電極
54a・・・共通電極接続部
55・・・圧電セラミック層
55a・・・駆動部(圧電セラミック層)
55b・・・非駆動部(圧電セラミック層)
55c・・・拘束部(圧電セラミック層)
56・・・個別電極
56a・・・個別電極接続部
57・・・変位素子
58・・・液体吐出口

Claims (6)

  1. 主結晶粒子がジルコニアを内包したPZT相からなり、該PZT相に内包されている前記ジルコニアがジルコニア成分の1%以上であることを特徴とする圧電セラミックス。
  2. 前記ジルコニアを0.01体積%以上含有することを特徴とする請求項1記載の圧電セラミックス。
  3. 前記ジルコニアの平均粒子径D1と前記主結晶粒子の平均粒子径D2との比D1/D2が0.016〜0.07であることを特徴とする請求項1または2記載の圧電セラミックス。
  4. 焼結体である請求項1から3のいずれかに記載の圧電セラミックス。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の圧電セラミックスの表面および内部のいずれかに一対の電極を互いに対向させて配置したことを特徴とする圧電アクチュエータ。
  6. 複数の液体加圧室と該複数の液体加圧室に連通した複数の液体吐出孔とを有する流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように振動板を積層し、該振動板上に共通電極、請求項1からのいずれかに記載の圧電セラミックスの層、および複数の個別電極をこの順に積層したことを特徴とする液体吐出ヘッド。
JP2007169709A 2007-06-27 2007-06-27 圧電セラミックス、圧電アクチュエータおよび液体吐出ヘッド Active JP5178065B2 (ja)

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