JP5177946B2 - 発酵飼料の生成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発酵飼料の生成方法、特に大腸菌や酵母等の有害菌数が少なく且つ生きた乳酸菌を多量に含む発酵飼料を安定に生成することができる発酵飼料の生成方法に関するものである。
人間や豚の腸内には多種多数の細菌が生息している。これらの細菌は腸内細菌と称され、その種類は数百種類、その数は100兆個に及ぶものも存在する。また、これら多種多数の細菌の集団を植物が群れている様子になぞらえて、腸内細菌叢、あるいは腸内フローラと総称されている。腸内細菌をその機能や豚に対する影響の観点から分類すると、乳酸菌等の有用菌、大腸菌やサルモネラ等の有害菌、及びそのどちらにも属しない中間の菌に大別され得る。
ところで、腸内には大腸菌等の有害菌が生息しているにもかかわらず、人間や豚等が健康でいられるのは、乳酸菌等の有用菌が大腸菌等の有害菌の増殖を抑える形で腸内フローラが一定のバランスを維持しているからである。逆に、何らかの原因で大腸菌等の有害菌が増殖して腸内フローラのバランスが崩れると、大腸の働きを阻害して下痢、腹痛または発熱等の症状が現れたり、腸内腐敗が促進され健康に有害な物質が生成され、これらの有害な物質が臓器等に負担を与え老化を促進させる。従って、腸内のフローラのバランスを有用菌が優勢の形で維持することは、健康維持だけでなく老化防止の観点からも大変有効である。ことに、最近では、腸内フローラにおける乳酸菌の働きが人間の食物だけでなく豚の飼料においてもプロバイオティックス効果として注目されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
ところで、豚の飼料というと、日本では残飯等の食物残渣が連想され、事実、食物残渣が豚の飼料として広く利用されている。それに対して養豚先進国であるヨーロッパ、特にイギリス、オランダまたはデンマークでは、食品製造の過程において廃棄される食品工場副産物(主として、形状不良等により商品として市場に置くことができないもの)、いわゆるバイプロが豚の飼料として広く利用されている。例えば、これらのバイプロを、小麦粉を所定の重量比で水に溶かした穀物溶液と共に一緒に混合したリキッド飼料、あるいは、そのリキッド飼料に乳酸菌や乳酸発酵液を添加した発酵リキッド飼料として利用されている(例えば、非特許文献2を参照。)。
近年、上記発酵リキッド飼料における発酵液の含有率が豚の成長に与える影響が研究されている(例えば、非特許文献3を参照。)。
このように、発酵リキッド飼料は、乳酸菌を豊富に含んでいるため豚の腸内フローラを正常に維持し豚の健康に大変良いこと、なお且つベースとなる飼料がバイプロや穀物等の人間の食物に近似する高栄養物であること、更に液状であるため消化吸収しやすく飼料効率が高いこと等の利点を有する。その結果、豚の肉質において、柔らかい、臭みがない、脂がしっとりしている、脂が甘い、脂がしつこくない等の評価をもたらしている。
"Fermentation of liquid diets for pigs" 、Ronald Scholten、P.75−89 "Recent Advances in Animal Nutrition"、P.C.Garnsworthy,PhD J.Wiseman,PhD 、ノッティンガム大学出版 " Digestive Physiology of Pigs "、J.E.LINDBERG and B.Ogle 編集、スウェーデン農業科学大学 動物栄養管理学部、P.264−268
ところで、上記非特許文献2では、乳酸菌が発酵する時の環境温度、いわゆる発酵温度は20℃から30℃の温度範囲にある時が、乳酸菌の生育に適していることとなっている。
しかし、この温度範囲では乳酸菌だけでなく他の菌の発酵に対しても適することとなり、乳酸菌数の他、大腸菌や酵母等の有害菌数も増大することとなっていた。
他方、ヨーロッパでは2006年から飼料への抗生物質の添加が禁止され、更に2009年迄にサルモネラ菌数を一定以下に制御しなければならなくなる。従って、日本でもヨーロッパの動向を受けて、飼料への抗生物質の添加が禁止される方向に進展するものと考えられる。つまり、これからは薬品に頼らずに乳酸発酵の過程で大腸菌や酵母等の有害菌を抑制する発酵液の生成方法が不可欠となるものと考えられる。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、大腸菌や酵母等の有害菌数が少なく且つ生きた乳酸菌を多量に含む発酵飼料を安定に生成することができる発酵飼料の生成方法を提供することである。
前記目的を達成するための第1の発明は、穀物飼料に対し温水を所定の重量比で混合した穀物溶液を生成し、次いで該穀物溶液を全部または一部分に含む発酵準備液に対し種菌として乳酸菌培養液を接種し、次いで前記発酵準備液を所定の発酵温度下で発酵させて発酵飼料とする発酵飼料の生成方法であって、前記発酵準備液の水素イオン濃度をpH=5.5から6.0の範囲に調整し、且つ前記発酵温度を37から39[℃]に設定し前記発酵準備液を発酵させることにより、大腸菌等の有害菌数の少ない乳酸菌に富む発酵飼料を安定に生成することを特徴とする。
本願発明者は、発酵温度が乳酸菌の発酵に与える影響を鋭意研究したところ、発酵温度を上げていくとある発酵温度に達した時に、発酵飼料中の乳酸菌の生育は変化しないが大腸菌や酵母といった有害菌の増殖が抑制され一部は死滅しこれらの菌数が激減することを見出した。更に、その有害菌のみの増殖を抑制する効果が見られる発酵温度範囲を調べた結果、37℃から39℃の温度範囲においてその効果が見られ、それ以上の温度では大腸菌や酵母の増殖だけでなく乳酸菌の増殖も抑制され、なお且つそれ以下の温度では大腸菌や酵母や乳酸菌の生育に何ら影響を与えないことを見出した。
また、同発明者は、水素イオン濃度が乳酸発酵に与える影響を鋭意研究したところ、発酵直前の発酵準備液または穀物溶液の水素イオン濃度を低下させていくと、即ちpHを上げていくと、その後の乳酸発酵において乳酸菌の増殖を急速に促進することを見出した。更に、乳酸菌の増殖を急速に促進する効果が見られるpHの範囲を調べた結果、pH5.5から6.0の範囲においてその効果が見られた。しかし、それ以上のpHでは、乳酸菌だけでなく大腸菌や酵母も増殖することとなった。
そこで、上記第1の発明の発酵飼料を生成する方法では、発酵準備液を生成した後にpHを5.5から6.0の範囲に調整し、且つ発酵準備液の発酵温度を37℃から39℃の範囲内に調整することにより、発酵液中の乳酸菌の生育を促進させ且つ大腸菌や酵母等の生育を好適に抑制する。これにより、発酵サイクルにおいて、乳酸菌のみが増殖し、大腸菌数が少なく乳酸菌に富む発酵飼料を安定に生成することが出来るようになる。
第2の発明では、水素イオン濃度の調整を発酵の初期の段階において実施することとした。
本願発明者が鋭意研究したところによると、発酵の全体にわたり発酵飼料のpHを上げることは、液性を中性側にシフトさせることであるから、乳酸菌だけでなく大腸菌や酵母等の有害菌までもが増殖し、一方、液性が酸性側にある間は大腸菌や酵母等の生育が抑制されることを見出した。
そこで、上記第2の発明の発酵飼料の生成方法では、発酵の初期の段階においては液性が中性付近にあり、それ以降は液性が酸性側にあるようにするために、水素イオン濃度の調整は発酵の初期の段階において実施されることとした。これにより、発酵の初期の段階はpH調整により、過度的に乳酸菌や大腸菌や酵母が発酵・増殖し、その段階を経過し液性が酸性側にシフトすると大腸菌や酵母の生育が抑制された状態で乳酸菌のみが好適に発酵・増殖することになる。そして、上記適切な発酵温度と相俟って大腸菌や酵母はさらに生育が抑制され、乳酸菌のみが好適に発酵・増殖することになる。
第3の発明では、前記発酵飼料の一部分を餌として取り除き残留発酵液を生成し、次に前記残留発酵液に前記穀物溶液を補充して発酵準備液を生成し、次いで前記発酵準備液を発酵させ、再び残留発酵液を生成するという発酵サイクルを所定の回数だけ繰り返した後、再び発酵準備液に乳酸菌培養液を接種し、前記発酵サイクルを繰り返し実施することとした。
上記第3の発明の発酵飼料の生成方法では、乳酸菌の数が一定以上に保持された乳酸菌を多量に含む発酵飼料を安定に生成することが出来るようになる。
本発明の発酵飼料の生成方法によれば、発酵液の発酵前の水素イオン濃度をpH=5.5から6.0の範囲に調整して、且つ乳酸菌の発酵温度を38±1[℃]の範囲に調整することにより発酵飼料を発酵させるので、大腸菌や酵母等の有害な細菌の繁殖を好適に抑制し乳酸菌の発酵・増殖のみを好適に促進することが可能となる。また、乳酸菌培養液の接種量を発酵飼料の4%重量濃度近傍とし、且つ発酵時間を6時間から9時間とし、且つ残留発酵飼料の含有量を15%から20%とすることにより、乳酸菌数を一定以上に保持するための発酵飼料に対する乳酸菌培養液の接種回数を1週間に1度程度で済むことになる。これにより、乳酸菌を多量に含む発酵飼料を安定に生成することが出来るようになる。これにより、その乳酸菌に富む発酵飼料をバイプロと混合して発酵リキッド飼料として豚に与えることにより、豚は乳酸菌のプロバイオティックス効果を受け健全に生育するようになる。その結果、例えば肉に臭みがなく且つ脂がしっとりした良質の豚肉が市場に供給されることになる。
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明に係る発酵飼料の生成方法のうちの乳酸菌の発酵工程を示す説明図である。
図1(a)の第1工程10では、発酵タンクHTにおいて、穀物飼料2に対して温水1を重量比1:2.5の割合で加水し、十分に攪拌して穀物溶液3を、例えば960[kg]生成する。なお、穀物飼料2は、トウモロコシ、脱脂大豆粕および脱脂糠から成り、その組成は例えば順に63:10:27である。また、温水1の温度は、例えば40℃から42℃が好ましい。
同(b)の第2工程20では、上記穀物溶液3に対して種菌として乳酸菌培養液を4%重量濃度になるように、例えば40[kg]を接種して、第1次発酵準備液P1を生成する。なお、以降、頭の次数は、接種した乳酸菌培養液に対する乳酸菌の発酵回数を示し、従って、一般に第n次発酵準備液Pnとは、第n回目の乳酸発酵が起こる直前の発酵飼料溶液であり、後述する第n次発酵飼料Hnとは、第n回目の乳酸発酵によって生成された発酵飼料溶液であることを示している。また、後述する第n次残留発酵液Bnとは、第n次発酵飼料Hnのうちから次なる乳酸発酵の菌床として残された発酵飼料溶液であることを示している。
図2は、本発明に係る発酵飼料の生成方法のうち乳酸菌の発酵サイクルを示す説明図である。
図2(a)の第3工程30では、第1次発酵準備液P1にpH調整液OH、例えば苛性ソーダを添加して水素イオン濃度を下げる(pHを上げる)ことを行う。
ところで、図3は、発酵準備液の発酵前における水素イオン濃度が乳酸菌の生育に与える影響を示すグラフである。
図3(a)は、第1次発酵準備液P1を、発酵時間の7時間のうち1時間の間、pH=4.8からpH=6.0に調整した第1次発酵準備液P1Hと、pH調整がなされていない第1次発酵準備液P1と、および穀物溶液3とを供試体として7時間発酵させた時のpHの推移結果を示すものである。一方、同(b)は、同(a)に対するpH調整済み第1次発酵準備液P1H、第1次発酵準備液P1および穀物溶液3の1ml当たりの乳酸菌数を示すものである。
同(b)の結果より、発酵による乳酸菌数の増加において、pHを調整した第1次発酵準備液P1Hは発酵開始時に比べ約5倍の増加が確認され、一方、pH調整なしの第1次発酵準備液P1は発酵開始時に比べ約1.5倍の増加が確認され、対する穀物溶液3は約1.8倍の増加が確認された。このように、発酵前に、発酵準備液のpHを上げることにより、乳酸菌の生育を促進させることが出来る。
なお、pH調整の最適値はpH=5.5から6.0の範囲内に調整することが望ましい。発酵準備液の液性がpH=6を越えると、再び、液性が大腸菌や酵母の生育が抑制されるpH=5.4以下に戻るのに時間を要し、乳酸菌だけでなく大腸菌や酵母といった有害菌が増殖する機会を与えることになるからである。
再び図2に戻り、同(b)の第4工程40では、pHを調整した第1次発酵準備液P1Hの液温を38±1[℃]に設定し、望ましくは37[℃]に設定し、同(a)の発酵時間と合わせ6時間から9時間発酵させて第1次発酵飼料H1を生成する。
ところで、図4は、発酵温度が乳酸菌および酵母の生育に与える影響を示すグラフである。
このグラフは、滅菌処理した合成培地に、発酵温度を37℃に設定し乳酸菌および酵母の混合菌T1を培養した時の乳酸菌数および酵母数と、同30℃に設定し乳酸菌および酵母の混合菌T2を培養した時の乳酸菌数および酵母数との24時間毎のサンプリング結果を示すものである。なお、実線が発酵温度を37℃に設定した時の混合菌T1のサンプリング結果を示し、一点鎖線が同30℃に設定した時の混合菌T2のサンプリング結果を示すものである。
また、滅菌処理は、pH=6.0かつ121℃の環境下に18分間晒すことにより行った。また、上記合成培地の組成としては、グルコースが2g、ペプトンが0.2g、酵母エキスが0.3g、肉エキスが0.1g、リン酸ナトリウム12HO(NaHPO・12HO)が0.1g、リン酸ニ水素カリウム(KHPO)が0.1g、塩化ナトリウム(NaCl)が0.1gであり、これらを水100mlに溶かし調製した。
また、乳酸菌としては、「Lactobacillus salivarius subsp salicinius JCM 1046」および「Lactobacillus rhamnosus MAFF 516003」を使用した。また、酵母としては、産膜酵母の「Debaryomyces hansenii JCM 5204」および「Pichia anomala JCM 5209」を使用した。また、乳酸菌の測定はBCP加プレートカウント寒天培地を用いて行った。
その結果、図4(a)に示すように、発酵温度を37℃に設定した時の混合菌T1および同30℃に設定した時の混合菌T2は、倶に類似した増加傾向を示し、乳酸菌数において有意な差異は特に見られない。なお、上記混合菌T1が上記混合菌T2よりも乳酸菌数において若干少なくなっているのは、発酵開始時の乳酸菌数の差によるものと考えられ、従って、発酵開始時の乳酸菌数を同一になるように調整すると、発酵から48時間経過後の乳酸菌数はほぼ同数になると考えられる。
一方、同(b)に示すように、発酵温度を37℃に設定した時の混合菌T1および同30℃に設定した時の混合菌T2は、発酵開始時において、酵母数においてほぼ同数であったが、混合菌T1は発酵から48時間の間減少し、対する混合菌T2は増加し、発酵から48時間経過後の酵母数においては、混合菌T2の方が、混合菌T1よりも顕著に増殖し、有意な差が見られる。
上記結果は、発酵温度を37℃に設定することにより、乳酸菌および酵母の混合菌中の酵母のみの生育を選択的に抑制することが可能であることを示すものである。
なお、参考として、図5は、発酵温度が乳酸菌単体および酵母単体の生育に与える影響を示すグラフである。なお、図5(a)は、発酵温度を37℃に設定した時の乳酸菌T3または同30℃に設定した時の乳酸菌T4における乳酸菌数の24時間毎のサンプリング結果を示すものである。一方、同(b)は、発酵温度を37℃に設定した時の酵母T5または同30℃に設定した時の酵母T6における酵母数の24時間毎のサンプリング結果を示すものである。
図5(a)は、発酵温度を37℃に設定した乳酸菌T3よりも発酵温度を30℃に設定した乳酸菌T4の方が若干乳酸菌数において上回るが有意な差ではないと考えられる。対する酵母は、発酵温度を37℃に設定した酵母T5は48時間経過した時にその大部分が死滅し、発酵温度を30℃に設定した酵母T6は48時間経過した時に酵母数において約20倍に増加している。これらの結果からも、発酵温度を37℃に設定すると乳酸菌の生育は殆ど影響を受けない反面、酵母の生育は大いに抑制されることを示している。
同様に、図6は、発酵温度が乳酸菌および大腸菌の生育に与える影響を示すグラフである。
このグラフは、滅菌処理した合成培地に、発酵温度を37℃に設定し乳酸菌および大腸菌の混合菌T7を培養した時の乳酸菌数および大腸菌数と、同30℃に設定し乳酸菌および大腸菌の混合菌T8を培養した時の乳酸菌数および大腸菌数との24時間毎のサンプリング結果を示すものである。なお、実線が発酵温度を37℃に設定した時の混合菌T7のサンプリング結果を示し、一点鎖線が同30℃に設定した時の混合菌T8のサンプリング結果を示すものである。
なお、滅菌処理は、pH=6.0かつ121℃の環境下に18分間晒すことにより行った。また、上記合成培地の組成としては、グルコースが2g、ペプトンが0.2g、酵母エキスが0.3g、肉エキスが0.1g、リン酸ナトリウム12HO(NaHPO・12HO)が0.1g、リン酸ニ水素カリウム(KHPO)が0.1g、塩化ナトリウム(NaCl)が0.1gであり、これらを水100mlに溶かし調製した。
乳酸菌としては、「Lactobacillus salivarius subsp salicinius JCM 1046」および「Lactobacillus rhamnosus MAFF 516003」を使用した。また、大腸菌としては、豚の糞から採取したものを使用した。また、乳酸菌の測定はBCP加プレートカウント寒天培地を用いて行った。
図6(a)に示すように、発酵温度を37℃に設定した時の混合菌T7および同30℃に設定した時の混合菌T8ともに、乳酸菌数において有意な差異は見られない。なお、上記混合菌T8が上記混合菌T7よりも乳酸菌数において若干少なくなっているのは、発酵開始時の乳酸菌数の差によるものと考えられ、従って、発酵開始時の乳酸菌数を同一になるように調整すると、発酵から48時間経過後の乳酸菌数はほぼ同数になると考えられる。
一方、同(b)に示すように、発酵温度を37℃に設定した時の混合菌T7は、同30℃に設定した時の混合菌T8よりも、発酵開始時の大腸菌数において上回っているにもかかわらず、発酵から48時間の間、大腸菌数は減少している。対する混合菌T8の大腸菌数は24時間の間増加しそれ以降は減少しているが、それでも発酵開始時に比べ約100倍以上の増加が認められ、混合菌T7に比べ約10000倍以上も増殖しており、混合菌T7および混合菌T8の間に有意な差が見られる。
上記結果は、発酵温度を37℃に設定することにより、乳酸菌および大腸菌の混合菌中の大腸菌のみの生育を選択的に抑制することが可能であることを示すものである。
なお、参考として、図7は、発酵温度が大腸菌単体の生育に与える影響を示すグラフである。
このグラフは、発酵温度を37℃に設定した時の大腸菌T9または同30℃に設定した時の大腸菌T10における大腸菌数の24時間毎のサンプリング結果を示すものである。
発酵温度を37℃に設定した大腸菌T9は発酵開始時から急激に増殖するが24時間経過後は急激に減少している。一方、発酵温度を30℃に設定した大腸菌T10は大腸菌T9と同様に発酵開始から急激に増殖し24時間経過後は極僅か減少する程度である。その結果、大腸菌T10の大腸菌数は大腸菌T9に比べ約10000倍にもなる。これらの結果からも、発酵温度を37℃に設定すると乳酸菌の生育は殆ど影響を受けない(図5(a)を参照。)反面、大腸菌の生育は大いに抑制されることが容易に理解され得る。
再び、図2に戻り、同(c)の第5工程50では、例えば、第1次発酵飼料H1の80%を発酵リキッド飼料の発酵液として取り出し、残りの第1次発酵飼料H1の20%に相当する第1次残留発酵飼料B1を次の菌床として確保する。
なお、この第1次残留発酵飼料B1の量は、上記第2工程20の乳酸菌培養液の接種量および接種後の発酵サイクルの回数によっても変動する。本実施形態では、乳酸培養液の接種量が発酵飼料の4%重量濃度であり且つ発酵サイクル回数が7回であるため、発酵飼料の約20%に相当する量を菌床として確保している。
図2(d)の第6工程60では、前述の取り出した第1次発酵飼料に相当する分の穀物溶液3を補充して第2次発酵準備液P2を生成する。なお、発酵温度を38±1[℃]に設定し、望ましくは37℃に設定して第2次発酵準備液P2を発酵させる。
そして、再び上記第3工程30に戻り、同様な処理を繰り返し、第2次発酵飼料H2、第2次残留発酵液B2、第3次発酵準備液P3、・・・、第n次発酵飼料Hn、・・・を順に生成する。なお、本実施形態では、第3工程30から第6工程60に至る発酵サイクルを7回繰り返す毎に、再び第2工程20に戻り、乳酸菌培養液4を接種する。使い古しの乳酸菌に代わり新たな乳酸菌を接種し乳酸菌全体に活性力を与えるためである。
図8は、本発明に係る発酵飼料の生成方法を長期間実施した時の発酵飼料中の乳酸菌数、酵母数および大腸菌数の推移を示すグラフである。
このグラフは、2004年9月21日から2005年5月9日にわたる約7ヶ月にわたる本発明の発酵飼料の生成方法を実施し、その過程で生成された第7次発酵飼料H7の1ml当たりの乳酸菌数、酵母数および大腸菌数を測定した結果を示すものである。なお、●印、×印、■印および▲印は、乳酸菌数、酵母数、大腸菌および第n次発酵飼料のpHの各推移結果を示すものである。
乳酸菌数を示す●印は平均して9Log10CFUとなり、即ち発酵飼料は1ml当たり10億個の乳酸菌を含んでいることになる。しかも注目すべきは、この上記菌数の測定は、新たな乳酸菌培養液4を接種する前の、最も使い古された第7次発酵飼料H7に対して行われたものである。また、酵母数を示す×印は平均して3Log10CFUとなり、即ち発酵飼料は1ml当たり1000個の酵母を含んでいることになるが、乳酸菌数に対する比較ではほとんど無視できるレベルである。また、大腸菌数を示す■印は、計量できない程の少数となった。更に、発酵飼料の液性は安定してpH=4.6以下を示している。
上述したように、発酵準備液の発酵温度を38±1[℃]に調整し且つ水素イオン濃度をpH=5.5から6.0の範囲内に調整することにより、乳酸菌の生育を好適に促進し、且つ酵母や大腸菌の有害菌の生育を好適に抑制していることがわかる。また、乳酸菌が発酵する過程で生成される乳酸によって液性が人間や豚の腸内と同じ程度のpH=4.6以下の弱酸性となっている。従って、この乳酸菌に富む弱酸性の発酵飼料を高栄養のバイプロと混合することによって乳酸菌に富む発酵リキッド飼料が好適に生成され、そして餌として豚の腸内に取り込まれると乳酸菌のプロバイオテックス効果によって豚の腸内フローラのバランスが良くなり、その結果、豚が健全に発育することになる。
以上、上記発酵飼料の生成方法によれば、大腸菌や酵母等の有害菌の生育を抑制し乳酸菌の生育を促進するので、乳酸菌に富む発酵飼料を安定して生成することが出来るようになる。これにより、その発酵飼料をバイプロと混合することにより乳酸菌濃度の高い発酵リキッド飼料を豚に対し給餌することが可能になり、豚の健全な発育に寄与することが可能になる。
本発明の発酵飼料の生成方法は、豚や牛等の家畜に対する発酵リキッド飼料の乳酸発酵液の製造に好適に適用することができる。
本発明に係る発酵飼料の生成方法のうちの乳酸菌の発酵工程を示す説明図である。 本発明に係る発酵飼料の生成方法のうち乳酸菌の発酵サイクルを示す説明図である。 発酵準備液の発酵前における水素イオン濃度が乳酸菌の生育に与える影響を示すグラフである。 発酵温度が乳酸菌および酵母の生育に与える影響を示すグラフである。 発酵温度が乳酸菌単体および酵母単体の生育に与える影響を示すグラフである。 発酵温度が乳酸菌および大腸菌の生育に与える影響を示すグラフである。 発酵温度が大腸菌単体の生育に与える影響を示すグラフである。 本発明に係る発酵飼料の生成方法を長期間実施した時の発酵飼料中の乳酸菌数、酵母数および大腸菌数の推移を示すグラフである。
符号の説明
1 温水
2 穀物飼料
3 穀物溶液
4 乳酸菌培養液
10 第1工程
20 第2工程
30 第3工程
40 第4工程
50 第5工程
60 第6工程

Claims (1)

  1. 穀物飼料に対し温水を所定の重量比で混合した穀物溶液を生成し、次いで該穀物溶液を全部または一部分に含む発酵準備液に対し種菌として乳酸菌培養液を接種し、次いで前記発酵準備液を所定の発酵温度下で発酵させて発酵飼料とする発酵飼料の生成方法であって、前記発酵準備液の水素イオン濃度をpH=5.5から6.0の範囲に調整し、且つ前記発酵温度を37から39[℃]に設定し前記発酵準備液を発酵させることにより、大腸菌等の有害菌数の少ない乳酸菌に富む発酵飼料を安定に生成し、前記発酵飼料の一部分を餌として取り除いた後、次に残留発酵液に前記穀物溶液を補充して発酵準備液を生成し、再び該発酵準備液の水素イオン濃度をpH=5.5から6.0の範囲に調整し、且つ前記発酵温度を37から39[℃]に設定し該発酵準備液を発酵させ、発酵飼料および残留発酵液を生成するという発酵サイクルを所定の回数だけ繰り返した後、再び発酵準備液に前記乳酸菌培養液を接種し、前記発酵サイクルを繰り返し実施することを特徴とする発酵飼料の生成方法。
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