JP5174325B2 - (メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物およびその製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、重合特性の異なる2個以上の重合性官能基を有し、イソシアネート基に十分な反応性を有する新規な(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物およびその製造方法に関し、さらにこのイソシアネート化合物から得られ、特に光学材料に適した反応性モノマーおよびこれを含有する硬化性組成物、ならびにその硬化物に関する。
一分子内に重合特性の異なる重合性官能基を有するモノマーとして、たとえば、分子内に不飽和基とイソシアネート基を有する化合物、2−イソシアナートエチルメタクリレート(カレンズMOI、昭和電工)が知られている。このような2つの異なる重合特性を有する官能基、すなわち不飽和基とイソシアネート基とを分子内に有するモノマーは、コーティング材料、紫外線硬化塗料、熱硬化塗料、成形材料、接着剤、インキ、レジスト、光学材料、光造形材料、印刷版材料、歯科材料、ポリマー電池材料などの分野において、樹脂の原料モノマーとして有用な化合物である。
このような化合物の製造方法として、米国特許第2821544号公報(特許文献1)には、一分子内に不飽和基とイソシアネート基を有する脂肪族化合物の製法が開示されている。具体的には、不飽和カルボン酸クロリドとアミノアルコール塩酸塩との反応により、不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル塩酸塩を合成し、次いで塩化カルボニルを反応させることにより不飽和カルボン酸イソシアナトアルキルエステルを得る方法である。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、不飽和基に基づくと考えられる副生成物(不飽和基に対するHCl付加物など)を多量に含有するため、反応収率が低く、精製に多大な労力を要するなどの問題がある。
一方、光学分野などにおいては、近年、高屈折率や高耐熱性などの要求があり、分子内に芳香環を有するモノマーが求められている。このような化合物として、特開2003−12632号公報(特許文献2)には、一分子内に不飽和基とイソシアネート基とを有し、さらに芳香環を有する3-イソプロペニル-イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート化合物が開示されている。
しかしながら、特許文献2に記載の化合物は不飽和基をベンジル位に有することから、該化合物からなる硬化物の耐候性が低く、さらにはイソシアネート基の反応速度が遅いという問題点がある。
また、上記に代表されるようなイソシアネート化合物の付加体に関して、例えば特開2000−086302号公報(特許文献3)には、特定のジオール成分と多塩基酸成分との反応によって得られるポリエステルポリオール、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートおよびポリイソシアネートをウレタン化反応に付すことによって得られるポリエステルポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを使用することにより、N−ビニルピロリドンなどの吸水性の高いアクリルモノマーを併用したり、ウレタン基の濃度を高くしても、高い光硬化性および耐熱性を有する組成物が開示されている。
また、特開2000−204125号公報(特許文献4)、特開2001−200007号公報(特許文献5)、特開2004−014327号公報(特許文献6)においても、特定の化学構造を有するウレタンアクリレート化合物が高い耐熱性を与えることが開示
されている。
しかしながら、上記記載の内容においては、ウレタン化合物を合成する際に、高い反応温度を要する、長時間の反応が不可欠である、触媒として環境に負荷のかかる錫系の触媒を用いるなどの要素のいずれかを含み、さらなる改善の余地を残している。
米国特許第2821544号公報 特開2003−012632号公報 特開2000−086302号公報 特開2000−204125号公報 特開2001−200007号公報 特開2004−014327号公報
本発明の課題は、反応性に優れるとともに、高耐熱性および高屈折率を付与することができる、重合特性の異なる2個以上の重合性官能基と芳香環とを分子内に有するモノマーおよび該モノマーの工業的に有利な製造方法を提供し、温和な条件等で得られる該モノマーの付加体、さらには高い耐熱性や硬化性を有する硬化物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、分子骨格に芳香環を有し、かつ、重合特性の異なる2個以上の重合性官能基を分子内に有する(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物およびその製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の事項を含む。
〔1〕下記式(I)で表される(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合
物。
Figure 0005174325
(式(I)中、R1は単結合または炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、R3は単結合または炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、Xは独立にハロゲン原子または電子吸引基を表し、mは0〜4の整数、nは1〜3の整数を表し、1≦m+n≦5である。)。
〔2〕前記式(I)中のR3が単結合であることを特徴とする〔1〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物。
〔3〕前記式(I)中のnが1であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の(
メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物。
〔4〕前記式(I)中のR1が単結合であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物。
〔5〕下記式(II)で表される〔1〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソ
シアネート化合物。
Figure 0005174325
(式(II)中、R1、R2、R3およびnは、式(I)中のR1、R2、R3およびnと同一の
ものを表す。)
〔6〕下記式(III)で表される〔1〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イ
ソシアネート化合物。
Figure 0005174325
(式(III)中、R2は水素原子またはメチル基を表す。)
〔7〕下記式(IV)で表される〔1〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物。
Figure 0005174325
(式(IV)中、R2は水素原子またはメチル基を表す。)
〔8〕前記式(I)において、芳香環上のイソシアネートを含む基に対して、(メタ)
アクリロイルオキシ基を含む置換基の置換基定数σが−0.2<σ<0.8であることを特徴とする〔1〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物。
〔9〕下記工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする、下記式(I)で表される(メ
タ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法:
Figure 0005174325
(式(I)中、R1は単結合または炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、R3は単結合または炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、Xは独立にハロゲン原子または電子吸引基を表し、mは0〜4の整数、nは1〜3の整数を表し、1≦m+n≦5である。)
(1)下記式(V)で表されるヒドロキシフェニルアミン化合物と鉱酸とから、下記式
(VI)で表されるヒドロキシフェニルアミノ鉱酸塩化合物を得る工程;
Figure 0005174325
(式(V)中、R1、R3、X、mおよびnは、式(I)中のR1、R3、X、mおよびnと同一のものを表す。)
Figure 0005174325
(式(VI)中、R1、R3、X、mおよびnは、式(I)中のR1、R3、X、mおよびnと
同一のものを表し、W1は鉱酸を表す。)
(2)前記工程(1)で得られたヒドロキシフェニルアミノ鉱酸塩化合物と、下記式(VII)で表される化合物とから、下記式(VIII)で表されるヒドロキシフェニルイソシア
ネート化合物を得る工程;
Figure 0005174325
(式(VII)中、Z1およびZ2は、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、イ
ミダゾール類、ピラゾール類またはR’O−を表し、該R’は、炭素数1〜6の分岐を有してもよいアルキル基もしくはアルケニル基または置換基を有していてもよいアリール基を表す。)
Figure 0005174325
(式(VIII)中、R1、R3、X、mおよびnは、式(I)中のR1、R3、X、mおよびn
と同一のものを表す。)
(3)前記工程(2)で得られたヒドロキシフェニルイソシアネート化合物と、下記式(IX)で表される化合物とから、下記式(X)で表されるイソシアネート基含有フェニル
エステル化合物を得る工程;
Figure 0005174325
(式(IX)中、R2は式(I)中のR2と同一のものを表す。)
Figure 0005174325
(式(X)中、R1〜R3、X、mおよびnは、式(I)中のR1〜R3、X、mおよびnと
同一のものを表す。)
(4)前記工程(3)で得られたイソシアネート基含有フェニルエステル化合物を、塩基性窒素化合物の存在下で脱塩化水素させる工程。
〔10〕前記鉱酸が、硫酸、硝酸、塩酸、炭酸およびリン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする〔9〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法。
〔11〕前記工程(1)〜(4)における反応が溶媒中で行われることを特徴とする〔9〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法。
〔12〕前記工程(1)で使用する溶媒が、水、アルコール類、エステル類、エーテル類、芳香族系炭化水素類、脂肪族系炭化水素類およびハロゲン系炭化水素類からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする〔11〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法。
〔13〕前記工程(2)〜(4)で使用する溶媒が、エステル類、エーテル類、芳香族系炭化水素類、脂肪族系炭化水素類およびハロゲン系炭化水素類からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする〔11〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法。
〔14〕前記工程(2)が、工程(1)の終了後、溶媒を留去してから行われることを特徴とする〔12〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法。
〔15〕前記工程(4)の塩基性窒素化合物がトリエチルアミンであることを特徴とする〔9〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法。
〔16〕前記工程(3)で、塩基性窒素化合物を触媒として添加することを特徴とする
〔9〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法。
〔17〕下記工程(1’)〜(3’)を含むことを特徴とする、下記式(I)で表され
る(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法:
Figure 0005174325
(式(I)中、R1は単結合または炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、R3は単結合または炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、Xは独立にハロゲン原子または電子吸引基を表し、mは0〜4の整数、nは1〜3の整数を表し、1≦m+n≦5である。)
(1’)下記式(V)で表されるヒドロキシフェニルアミン化合物と鉱酸とから、下記
式(VI)で表されるヒドロキシフェニルアミノ鉱酸塩化合物を得る工程;
Figure 0005174325
(式(V)中、R1、R3、X、mおよびnは、式(I)中のR1、R3、X、mおよびnと同一のものを表す。)
Figure 0005174325
(式(VI)中、R1、R3、X、mおよびnは、式(I)中のR1、R3、Xおよびn、mと
同一のものを表し、W1は鉱酸を表す。)
(2’)前記工程(1’)で得られたヒドロキシフェニルアミノ鉱酸塩化合物と、下記式(VII)で表される化合物とから、下記式(VIII)で表されるヒドロキシフェニルイソ
シアネート化合物を得る工程;
Figure 0005174325
(式(VII)中、Z1およびZ2は、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、イ
ミダゾール類、ピラゾール類またはR’O−を表し、該R’は、炭素数1〜6の分岐を有してもよいアルキル基もしくはアルケニル基または置換基を有していてもよいアリール基を表す。)
Figure 0005174325
(式(VIII)中、R1、R3、X、mおよびnは、式(I)中のR1、R3、X、mおよびn
と同一のものを表す。)
(3’)前記工程(2’)で得られたヒドロキシフェニルイソシアネート化合物と、下記式(XI)で表される化合物とを反応させる工程。
Figure 0005174325
(式(XI)中、R2は式(I)中のR2と同一のものを表す。)
〔18〕前記鉱酸が、硫酸、硝酸、塩酸、炭酸およびリン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする〔17〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法。
〔19〕前記工程(1’)〜(3’)における反応が溶媒中で行われることを特徴とする〔17〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法。
〔20〕前記工程(1’)で使用する溶媒が、水、アルコール類、エステル類、エーテル類、芳香族系炭化水素類、脂肪族系炭化水素類およびハロゲン系炭化水素類からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする〔19〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法。
〔21〕前記工程(2’)および(3’)で使用する溶媒が、エステル類、エーテル類、芳香族系炭化水素類、脂肪族系炭化水素類およびハロゲン系炭化水素類からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする〔19〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法。
〔22〕前記工程(2’)が、工程(1’)の終了後、溶媒を留去してから行われることを特徴とする〔20〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法。
〔23〕前記工程(3’)で、塩基性窒素化合物を触媒として添加することを特徴とする〔17〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法。
〔24〕下記式(XII)で表される(メタ)アクリロイル基含有ウレタン化合物。
Figure 0005174325
(式(XII)中、R1は単結合または炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、R3は単結合または炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、R4はエーテル基、チオエーテル基またはNH基を表し、
Xは独立にハロゲン原子または電子吸引基を表し、Yは脂肪族基、芳香環を含む基、複素環を含む基、ポリカーボネート残基、ポリウレタン残基、ポリエステル残基または繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物残基を表し、lは1〜50、mは0〜4の整数、nは1〜3の整数を表し、1≦m+n≦5である。)
〔25〕前記式(XII)中のR3が単結合であることを特徴とする〔24〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有ウレタン化合物。
〔26〕前記式(XII)中のnが1であることを特徴とする〔24〕または〔25〕に
記載の(メタ)アクリロイル基含有ウレタン化合物。
〔27〕前記式(XII)中のR1が単結合であることを特徴とする〔24〕〜〔26〕のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル基含有ウレタン化合物。
〔28〕下記式(XIII)で表される〔24〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有ウレタン化合物。
Figure 0005174325
(式(XIII)中、R1、R2、R3、R4、Y、lおよびnは、式(XII)中のR1、R2、R3
、R4、Y、lおよびnと同一のものを表す。)
〔29〕下記式(XIV)で表される〔24〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有ウレ
タン化合物。
Figure 0005174325
(式(XIV)中、R2、R4、Yおよびlは、式(XIII)中のR2、R4、Yおよびlと同一の
ものを表す。)
〔30〕下記式(XV)で表される〔24〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有ウレタン化合物。
Figure 0005174325
(式(XV)中、R2、R4、Yおよびlは、式(XIII)中のR2、R4、Yおよびlと同一のものを表す。)
〔31〕〔24〕に記載の式(XII)で表され、該式(XII)において、芳香環上のウレタン結合を含む基に対して、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基の置換基定数σが−0.2<σ<0.8であることを特徴とする反応性モノマー。
〔32〕〔24〕に記載の式(XII)で表され、該式(XII)において、R4がエーテル
基であり、Yがアルキル基、キシリレン基、フッ素を含有する基またはノルボルナン基であり、l=1または2であることを特徴とする反応性モノマー。
〔33〕前記式(XII)のYが−(CH2p(CF2qFで表される基(pは0〜2の
整数を示し、qは0〜8の整数を示し、pとqが同時に0となることはない。)であることを特徴とする〔32〕に記載の反応性モノマー。
〔34〕〔24〕に記載の式(XII)で表され、該式(X II)において、R4がエーテル基であり、Yがフルオレン骨格を有する基であり、n=2であることを特徴とする反応性モノマー。
〔35〕〔24〕に記載の式(XII)で表され、該式(XII)において、R4がNH基で
あり、Yがアルキル基、キシリレン基、フッ素を含有する基またはノルボルナン基であり、nが1または2であることを特徴とする反応性モノマー。
〔36〕前記式(XII)において、Yが−CH2(CF28Fで表される基であるか、または、−R4−Yが2,6−ジフルオロアニリンの残基であることを特徴とする〔35〕
に記載の反応性モノマー。
〔37〕〔24〕に記載の式(XII)で表され、該式(XII)において、R4がチオエー
テル基であり、Yが直鎖または分岐の飽和脂肪族基またはフェニル基であることを特徴とする反応性モノマー。
〔38〕〔1〕に記載の式(I)で表わされる(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソ
シアネート化合物と、活性水素をもつ官能基が結合した化合物とを反応させることを特徴とする〔31〕〜〔37〕に記載の反応性モノマーの製造方法。
〔39〕前記式(XII)中、
Yが、分子量500〜5000のポリカーボネート骨格からなる構造を有するとともに、
アルキレン基がトリメチレン基である脂肪族2価アルコール残基;
アルキレン基がテトラメチレン基である脂肪族2価アルコール残基;
アルキレン基がペンタメチレン基である脂肪族2価アルコール残基;
アルキレン基がヘキサメチレン基である脂肪族2価アルコール残基;
アルキレン基がヘプタメチレン基である脂肪族2価アルコール残基;
アルキレン基がオクタメチレン基である脂肪族2価アルコール残基;ならびに、
1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,20−エイコサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール残基
から選ばれる少なくとも1種の残基を有し、
nが2であること
を特徴とする〔24〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有ウレタン化合物。
〔40〕前記アルキレン基がトリメチレン基である脂肪族2価アルコール残基が、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールおよび2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール残基から選ばれ;
前記アルキレン基がテトラメチレン基である脂肪族2価アルコール残基が、1,4−ブタンジオール残基であり;
前記アルキレン基がペンタメチレン基である脂肪族2価アルコール残基が、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールおよび1,5−ヘキサンジオール残基から選ばれ;
前記アルキレン基がヘキサメチレン基である脂肪族2価アルコール残基が、1,6−ヘキサンジオールおよび2−エチル−1,6−ヘキサンジオール残基から選ばれ;
前記アルキレン基がヘプタメチレン基である脂肪族2価アルコール残基が、1,7−ヘプタンジオール残基であり;
前記アルキレン基がオクタメチレン基である脂肪族2価アルコール残基が、1,8−オクタンジオールおよび2−メチル−1,8−オクタンジオール残基から選ばれること
を特徴とする〔39〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有ウレタン化合物。
〔41〕〔1〕に記載の式(I)で表わされる(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソ
シアネート化合物と、〔24〕に記載の(メタ)アクリロイル基含有ウレタン化合物とを反応させることを特徴とする反応性(メタ)アクリレートポリマーの製造方法。
〔42〕〔1〕に記載の式(I)で表わされる(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソ
シアネート化合物と、活性水素をもつ官能基が結合した繰り返し単位を有するポリマー化合物とを反応させることを特徴とする反応性(メタ)アクリレートポリマーの製造方法。
〔43〕前記ポリマー化合物が、繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物であるこ
とを特徴とする〔42〕に記載の反応性(メタ)アクリレートポリマーの製造方法。
〔44〕前記(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物が、〔6〕に記載の式(III)または〔7〕に記載の式(IV)で表わされることを特徴とする〔41〕ま
たは〔42〕に記載の反応性(メタ)アクリレートポリマーの製造方法。
〔45〕前記繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物が、ポリエステルポリオール化合物、ポリカーボネートポリオール化合物、ポリエーテルポリオール化合物、ポリウレタンポリオール化合物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体もしくは共重合体、またはエポキシ(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とする〔43〕に記載の反応性(メタ)アクリレートポリマーの製造方法。
〔46〕前記繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物が、カルボキシル基を含有することを特徴とする〔43〕に記載の反応性(メタ)アクリレートポリマーの製造方法。
〔47〕〔1〕に記載の式(I)で表される(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシ
アネート化合物と、活性水素をもつ官能基が結合した繰り返し単位を有するポリマー化合物とを反応させて得られた反応性(メタ)アクリレートポリマー。
〔48〕前記ポリマー化合物が、繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物であることを特徴とする〔47〕に記載の反応性(メタ)アクリレートポリマー。
〔49〕前記(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物が、〔6〕に記載の式(III)で表わされることを特徴とする〔47〕または〔48〕に記載の反応性(
メタ)アクリレートポリマー。
〔50〕前記(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物が、〔7〕に記載の式(IV)で表わされることを特徴とする〔47〕または〔48〕に記載の反応性(メタ)アクリレートポリマー。
〔51〕前記繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物が、ポリエステルポリオール化合物、ポリカーボネートポリオール化合物、ポリエーテルポリオール化合物、ポリウレタンポリオール化合物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体または共重合体、またはエポキシ(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とする〔48〕に記載の反応性(メタ)アクリレートポリマー。
〔52〕前記繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物が、カルボキシル基を含有することを特徴とする〔48〕に記載の反応性(メタ)アクリレートポリマー。
〔53〕前記ポリヒドロキシ化合物が、分子量5000〜50000の下記一般式(XVI)または(XVII)で表される繰り返し単位を有するアクリル共重合体であることを特徴
とする〔48〕に記載の反応性(メタ)アクリレートポリマー。
Figure 0005174325
Figure 0005174325
〔54〕〔31〕〜〔37〕のいずれかに記載の反応性モノマーと重合開始剤とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
〔55〕〔54〕に記載の硬化性組成物を硬化することにより形成された硬化物。
〔56〕前記重合開始剤が光重合開始剤であることを特徴とする〔54〕に記載の硬化性組成物。
〔57〕エチレン性不飽和モノマーをさらに含有することを特徴とする〔56〕に記載の硬化性組成物。
〔58〕10〜40質量%の〔47〕〜〔53〕のいずれかに記載の反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)と、25〜60質量%の顔料(B)と、2〜25質量%の光重合開始剤(D)と、5〜20質量%のエチレン性不飽和モノマー(F)と、有機溶剤(G)とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
〔59〕10〜40質量%の〔47〕〜〔53〕のいずれかに記載の反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)と、25〜60質量%の顔料(B)と、2〜20質量%の光重合開始剤(D)と、5〜20質量%のエチレン性不飽和モノマー(F)と、有機溶剤(G)と、2〜20質量%の多官能チオール(H)とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
〔60〕カラーフィルタを形成するために用いられることを特徴とする〔57〕〜〔59〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔61〕前記顔料(B)が、カーボンブラックであることを特徴とする〔58〕または〔59〕に記載の硬化性組成物。
〔62〕〔47〕〜〔53〕のいずれかに記載の反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)と、熱硬化性ポリマー(C)と、光重合開始剤(D)と、熱重合触媒(E)とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
〔63〕ソルダーレジストとして用いられることを特徴とする〔62〕に記載の硬化性組成物。
〔64〕〔62〕に記載の硬化性組成物を用いて形成された絶縁保護被膜。
〔65〕〔64〕に記載の絶縁保護被膜を有するプリント配線基板。
本発明の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物は、反応性に優れるとともに、高耐熱性や高屈折率性などの機能を付与することが期待できる。したがって、コーティング材料、紫外線硬化塗料、熱硬化塗料、成形材料、接着、インキ、レジスト、
光学材料、光造形材料、印刷版材料、歯科材料、ポリマー電池材料などの広範な分野で、原料モノマーとして使用できる。
また、本発明の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物を用いて合成される反応性モノマーは、温和な条件下において短時間で得られ、さらに反応を促進するための触媒を用いないため、着色や不純物などの要素を抑えた硬化物を提供することができる。
以下、本発明に係る(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物およびその製造方法、ならびにウレタン化合物の合成について詳細に説明する。なお、本明細書中におけるすべての一般式において、cis,trans等の立体異性体はすべて含まれるものとす
る。
(i)(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物
本発明の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物は、下記式(I)で
表される。
Figure 0005174325
式(I)中、R1は単結合または炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、具体的には、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基およびイソブチレン基などが挙げられる。これらの中では、単結合、メチレン基およびエチレン基が好ましい。R2は水素原子またはメチル基を表す。R3は単結合または炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、具体的には、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基およびイソプロピレン基が挙げられる。これらの中では、単結合、メチレン基およびエチレン基が好ましい。Xは独立にハロゲン原子または電子吸引基を表す。mは0〜4の整数、nは1〜3の整数を表し特に1が好ましい。ただし1≦m+n≦5である。
上記式(I)で表される化合物(以下「化合物(I)」ともいう。)の好ましい例として、下記式(III)または(IV)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005174325
Figure 0005174325
上記化合物(I)の好ましい具体例としては、4−アクリロイルオキシフェニルイソシ
アネート、3−アクリロイルオキシフェニルイソシアネート、2−アクリロイルオキシフェニルイソシアネート、4−メタクリロイルオキシフェニルイソシアネート、3−(アクリロイルオキシメチル)フェニルイソシアネート、2−(アクリロイルオキシメチル)フェニルイソシアネート、3,5−ビス(メタクリロイルオキシエチル)フェニルイソシアネートおよび2,4−ビス(アクリロイルオキシ)フェニルイソシアネートが挙げられる。
特に、反応性(メタ)アクリロイル基を含む置換基としては、芳香環上のイソシアネートを含む基に対して置換基定数が−0.2<σ<0.8である電子吸引基が好ましく、具体的にはメタクリロイルオキシ基およびアクリロイルオキシ基などが挙げられる。
上記化合物(I)の好ましい具体例として例示したイソシアネート化合物は、反応性(
メタ)アクリロイル基を含む置換基の置換基定数によって、イソシアネート基の反応性を制御することが可能となり、室温下や無触媒といった条件下で付加反応を行うことを可能とする。
(ii)(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の第一の製造方法
上記化合物(I)の第一の製造方法は、
(1)上記式(V)で表されるヒドロキシフェニルアミン化合物(以下「化合物(V)」ともいう)と鉱酸とから、上記式(VI)で表されるヒドロキシフェニルアミノ鉱酸塩化合物(以下「化合物(VI)」ともいう)を合成する工程と、
(2)前記工程(1)で得られた化合物(VI)と上記式(VII)で表される化合物とから
、上記式(VIII)で表されるヒドロキシフェニルイソシアネート化合物(以下「化合物(VIII)」ともいう)を合成する工程と、
(3)前記工程(2)で得られた化合物(VIII)と上記式(IX)で表される化合物とから、上記式(X)で表されるイソシアネート基含有フェニルエステル化合物(以下「化合物
(X)」ともいう)を合成する工程と、
(4)前記工程(3)で得られた化合物(X)を、塩基性窒素化合物の存在下で脱塩化水
素させる工程とを含む。以下、各工程について説明する。
<工程(1)>
工程(1)は、下記反応スキームに示すように、式(V)で表される化合物(V)と鉱酸(W1)とから、式(VI)で表される化合物(VI)を合成する工程である。
Figure 0005174325
上記工程(1)で原料として用いる化合物(V)としては、たとえば、4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、2−アミノフェノール、4−(アミノメチル)フェノール、3−(アミノメチル)フェノール、2−(アミノメチル)フェノール、4−(1−アミノエチル)フェノール、3−(1−アミノエチル)フェノール、2−(1−アミノエチル)フェノール、4−(1−アミノプロピル)フェノール、3−(1−アミノプロピル)フェノール、2−(1−アミノプロピル)フェノール、4−(2−アミノプロピル)フェノール、3−(2−アミノプロピル)フェノール、2−(2−アミノプロピル)フェノール、4−(3−アミノプロピル)フェノール、3−(3−アミノプロピル)フェノール、2−(3−アミノプロピル)フェノール、
4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェノール、3−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェノール、2−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェノール、4−(2−アミノ−1−メチルエチル)フェノール、3−(2−アミノ−1−メチルエチル)フェノール、2−(2−アミノ−1−メチルエチル)フェノール、4−アミノ−1,2−ベンゼンジオール、3−アミノ−1,2−ベンゼンジオール、5−アミノ−1,3−ベンゼンジオール、4−アミノ−1,3−ベンゼンジオール、2−アミノ−1,3−ベンゼンジオール、3−アミノ−1,4−ベンゼンジオール、2−アミノ−1,4−ベンゼンジオール、5−アミノメチル−1,3−ベンゼンジオール、4−アミノメチル−1,3−ベンゼンジオール、2−アミノメチル−1,3−ベンゼンジオール、4−アミノメチル−1,2−ベンゼンジオール、3−アミノメチル−1,2−ベンゼンジオール、
4−(2−アミノエチル)−1,2−ベンゼンジオール、3−(2−アミノエチル)−1,2−ベンゼンジオール、5−(2−アミノエチル)−1,3−ベンゼンジオール、4−(2−アミノエチル)−1,3−ベンゼンジオール、2−(2−アミノエチル)−1,3−ベンゼンジオール、3−(3−アミノプロピル)−1,4−ベンゼンジオール、2−(3−アミノプロピル)−1,4−ベンゼンジオール、4−(3−アミノプロピル)−1,2−ベンゼンジオール、3−(3−アミノプロピル)−1,2−ベンゼンジオール、3−(2−アミノプロピル)−1,4−ベンゼンジオール、2−(2−アミノプロピル)−1,4−ベンゼンジオール、4−(2−アミノプロピル)−1,2−ベンゼンジオール、3−(2−アミノプロピル)−1,2−ベンゼンジオール、4−(2−アミノ−1−メチルエチル)−1,2−ベンゼンジオール、3−(2−アミノ−1−メチルエチル)−1,2−ベンゼンジオール、
2−アミノ−1,3,5−ベンゼントリオール、6−アミノ−1,2,4−ベンゼントリオール、5−アミノ−1,2,4−ベンゼントリオール、3−アミノ−1,2,4−ベンゼントリオール、5−アミノ−1,2,3−ベンゼントリオール、4−アミノ−1,2,3−ベンゼントリオール、5−アミノメチル−1,2,3−ベンゼントリオール、4−アミノメチル−1,2,3−ベンゼントリオール、(4−アミノフェニル)メタノール、(3−アミノフェニル)メタノール、(2−アミノフェニル)メタノール、2−(4−アミノフェニル)エタノール、2−(3−アミノフェニル)エタノール、2−(2−アミノ
フェニル)エタノール、2−[4−(アミノメチル)フェニル]エタノール、2−[2−(
アミノメチル)フェニル]エタノール、3,5−ビス(1−アミノフェニル)エタノール
などが挙げられる。
これらの中では、5−アミノ−1,3−ベンゼンジオール、3,5−ビス(1−アミノフェニル)エタノール、2−[4−(アミノメチル)フェニル]エタノール、4−(アミノメチル)フェノール、2−(アミノメチル)フェノール、4−アミノフェノール、3−アミノフェノールおよび2−アミノフェノールが好ましい。
上記工程(1)で用いる鉱酸は、特に限定されるものはないが、たとえば、硫酸、硝酸、塩酸、炭酸、リン酸などを使用することができる。好ましくは塩酸、炭酸および乾燥塩化水素ガスであり、より好ましくは塩酸および乾燥塩化水素ガスであり、特に好ましくは乾燥塩化水素ガスである。
上記鉱酸の使用量は、上記アミン化合物(V)の種類によって異なり、特に限定される
ものではないが、アミン化合物(V)1モルに対して、通常、1〜5モル、好ましくは1
〜1.2モルである。鉱酸使用量が上記範囲よりも少ないと、収率が低下する可能性、および、次の工程に悪影響を与える可能性がある。一方、上記範囲を超えると廃液処理や除外装置等に負担となることから好ましくない。
上記工程(1)で用いる溶媒は、上記アミン化合物(V)の種類によって異なり、特に
限定されるものではない。通常は、溶媒を使用することが好ましいが、原料のアミン化合物(V)および/または生成するアミノ鉱酸塩化合物(VI)が液体である場合または溶融
する場合は、溶媒を使用しなくてもよい。
使用することができる溶媒としては、たとえば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテルなどの鎖状エーテル類;ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、クメンなどの芳香族系炭化水素類;プロパン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族系炭化水素類;塩化メチレン、1、2−ジクロロエタン、1、2−ジクロロベンゼンなどのハロゲン系炭化水素類が挙げられる。これらの中では、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、酢酸エチルなどが極性が高いことから好ましい。
上記溶媒の使用量としては、アミン化合物(V)1質量部に対して、通常、2〜100
質量部、好ましくは3〜20質量部、より好ましくは5〜10質量部である。溶媒量が上記範囲よりも少ないと、反応を制御することが困難になる可能性があり、上記範囲よりも多いと、反応速度が著しく遅くなる可能性があることから好ましくない。
反応温度は、使用する化合物の種類によって異なり、特に限定されるものではないが、たとえば、通常、0〜150℃、好ましくは15〜120℃、より好ましくは30〜100℃である。反応温度が上記範囲よりも低いと、反応速度が遅くなる可能性があり、上記範囲を超えると生成した塩が熱により分解する可能性があるため好ましくない。
上記工程(1)で得られたアミノ鉱酸塩化合物(VI)は、そのまま次の工程(2)に使
用できるが、溶媒を留去した後、次の工程(2)に使用することが好ましい。また、抽出、再結晶などの通常の精製方法により精製してから用いてもよい。
<工程(2)>
工程(2)は、下記反応スキームに示すように、上記工程(1)で得られた化合物(VI)と、式(VII)で表される化合物(VII)とから、式(VIII)で表される化合物(VIII)を合成する工程である。
Figure 0005174325
上記式(VII)中のZ1およびZ2の好ましい例としては、フッ素原子;塩素原子;臭素
原子;メトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、イソプロピオキシ基、ブトキシ基、ペンタオキシ基、ヘキサオキシ基、シクロヘキサオキシ基などのアルキルオキシ基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基などのアルケニルオキシ基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ビフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントリルオキシ基などのアリールオキシ基;イミダゾール、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、4−イミダゾリン、イミダゾリジン、イミダゾリドン、エチレン尿素、エチレンチオ尿素などのイミダゾール類;ピラゾール、1−ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピラゾリドンなどのピラゾール類などが挙げられる。これらの中では、塩素原子およびフッ素原子がより好ましく、特に塩素原子が好ましい。
また、上記化合物の二量体または三量体を使用することもできる。二量体は、化合物(VII)2分子からなり、たとえば、Z1およびZ2が塩素原子である場合、下記式(XVIII)で表される。
Figure 0005174325
また、三量体は、化合物(VII)3分子からなり、たとえば、Z1およびZ2が塩素原子
である場合、下記式(XIX)で表される。
Figure 0005174325
上記アミノ鉱酸塩化合物(VI)に対する化合物(VII)の使用量は、使用する化合物(VII)の種類によって異なり、特に限定されるものではない。理論的には、化合物(VI)と化合物(VII)との反応は、1対1のモル比で進行するが、反応を円滑に行わせるには、
過剰量の化合物(VII)を使用することが好ましい。たとえば、化合物(VI)1モルに対
して、化合物(VII)は、通常1〜10モル、好ましくは1〜5モルである。化合物(VII
)の量が上記範囲よりも少ないと、未反応アミノ鉱酸塩化合物(VI)が増加し、収率が低下するとともに、不純物が多くなる恐れがある。一方、上記範囲を超えると反応には何ら影響を与えないが、除外装置等が必要となり、環境に対する負荷が高くなる可能性があることから好ましくない。
上記工程(2)で用いられる溶媒は、原料アミン化合物(V)の種類によって異なり、
特に限定されるものではない。通常は溶媒を使用することが好ましいが、アミノ鉱酸塩化合物(VI)が液体である場合または溶融する場合は、溶媒を使用しなくてもよい。使用することができる溶媒としては、上記工程(1)で例示した溶媒のうち、水およびアルコール類を除く各種有機溶媒が挙げられる。
溶媒の使用量としては、アミノ鉱酸塩化合物(VI)1質量部に対して、1.5〜200質量部、好ましくは2〜20質量部である。溶媒量が上記範囲よりも少ないと、反応を円滑に行うことができない可能性があり、上記範囲を超えると廃棄する溶媒量が増えるため、環境に対する負荷が高くなる可能性があることから好ましくない。
工程(2)における反応温度は、使用する化合物の種類によって異なるが、通常、30〜150℃、好ましくは50〜120℃である。反応温度が上記範囲よりも低いと、反応速度が遅くなる可能性があり、上記範囲を超えるとアミン鉱酸塩化合物(VI)から鉱酸塩が遊離し、不純物生成の原因となる可能性があることから好ましくない。
得られたイソシアネート化合物(VIII)は、そのまま次の工程(3)の反応に使用できるが、抽出、再結晶、蒸留などの精製操作により精製してから使用してもよい。
<工程(3)>
工程(3)は、下記反応スキームに示すように、工程(2)で得られた化合物(VIII)と式(IX)で表される化合物(IX)とから、式(X)で表される化合物(X)を合成する工程である。
Figure 0005174325
上記化合物(IX)、例えば3−クロロプロピオン酸クロライドは、ジメチルホルムアミドを溶媒としてメタクリル酸とホスゲンとを反応させることにより得られる。これらの化合物は、一般的に試薬として購入することができる。
イソシアネート化合物(VIII)に対する化合物(IX)の使用量は、使用する化合物の種類によって異なるが、一般に、化合物(VIII)1モルに対して1〜10モル、好ましくは3〜6モルである。化合物(IX)の使用量が上記範囲よりも少ないと、収率が低下し不純物が多くなる可能性があり、上記範囲を超えると廃棄物が増えるため、環境に対する負荷が高くなる可能性があることから好ましくない。
工程(3)では、通常、溶媒を使用することが好ましいが、イソシアネート化合物が液体である場合または溶融する場合は、溶媒を使用しなくてもよい。使用することができる
溶媒としては、上記工程(2)の溶媒と同じものが挙げられる。
溶媒の使用量としては、イソシアネート化合物(VIII)1質量部に対して、1.5〜200倍質量、好ましくは2〜20倍質量である。溶媒量が上記範囲よりも少ないと、反応を円滑に行うことができない可能性があり、上記範囲を超えると廃棄する溶媒量が増えるため、環境に対する負荷が高くなる可能性があることから好ましくない。
工程(3)における反応温度は、使用する化合物の種類によって異なるが、通常、30〜150℃、好ましくは50〜120℃である。反応温度が上記範囲よりも低いと反応速度が遅くなる可能性があり、上記範囲を超えると不純物が増える可能性があるとともに、不飽和結合が重合する可能性があることから好ましくない。
工程(3)においては、反応速度を促進する触媒として塩基性窒素化合物を添加することが好ましい。塩基性窒素化合物とは、脱塩酸反応を目的とした塩基性を示す窒素含有化合物である。
このような塩基性窒素化合物としては、たとえば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、ジエチルメチルアミン、ジメチルブチルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルジアミノメタン、ジメチルベンジルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチル−1,4−ジアミノブタン、テトラメチル−1,3−ジアミノブタン、テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン、ペンタメチルジエチレントリアミン、1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、N,N−メチルピペラジン、N−メチルモルフォリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノエン(DBN)、2,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、第三級窒素を含有するイオン交換樹脂などが挙げられる。
上記塩基性窒素化合物は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。上記塩基性窒素化合物の中では、トリメチルアミン、トリエチルアミンおよびトリプロピルアミンが好ましい。
得られたイソシアネート基含有フェニルエステル化合物(X)は、そのまま次の工程(
4)の反応に使用できるが、さらに、抽出、再結晶、蒸留などの精製操作により精製してから使用してもよい。
<工程(4)>
工程(4)は、下記反応スキームに示すように、工程(3)で得られた化合物(X)を
、上記塩基性窒素化合物の存在下で脱塩化水素することにより、式(I)で表される(メ
タ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物を合成する工程である。
Figure 0005174325
工程(4)で用いる塩基性窒素化合物としては、上記工程(3)で例示した塩基性窒素化合物を用いることができる。なお、工程(4)においては、第三級窒素原子を含有する塩基性窒素化合物が好ましく、第三級窒素原子を含有し、該第三級窒素原子が芳香環基以外の基、たとえばアルキル基を少なくとも1個有している塩基性窒素化合物がより好ましい。また、この第三級窒素原子に結合している芳香環基は1個以下であることが好ましい。具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミンおよびトリプロピルアミンが好ましく、特にトリエチルアミンが好適である。
上記塩基性窒素化合物の使用量は、使用する化合物の種類によって異なるが、上記工程(3)終了後の反応液中のアルカリ分解性塩素を測定し、その測定値により塩基性窒素化合物の量を決めることが望ましい。具体的には、測定されたアルカリ分解性塩素1モルに対して、塩基性窒素化合物の量は0.5〜10モル、好ましくは0.8〜5.0モル、さらに好ましくは0.9〜2.0モルである。
塩基性窒素化合物の使用量が上記範囲よりも少ないと収率が低下する可能性があり、上記範囲を超えると生成する化合物の安定性が悪くなる可能性があるとともに、コストアップになることから好ましくない。
なお、上記アルカリ分解性塩素の量は、上記工程(3)で得られた反応液を、メタノール/水混合溶媒で希釈し、さらに水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱した後、硝酸銀溶液を用いて電位差滴定法により得られる値であり、詳細は後述する。
工程(4)で用いられる溶媒は、使用する化合物の種類によって異なり、特に限定されるものではない。通常は溶媒を使用することが好ましいが、エステル化合物(X)が液体
である場合または溶融する場合は、溶媒を使用しなくてもよい。使用することができる溶媒としては、上記工程(2)と同じものが挙げられる。
溶媒の使用量は、たとえば、エステル化合物(X)1質量部に対して、1.5〜200
質量部、好ましくは2〜20質量部である。溶媒量が上記範囲よりも少ないと反応を円滑に行うことができない可能性があるとともに、生成する塩の除去が困難となり、上記範囲を超えると廃棄する溶媒量が増えるため、環境に対する負荷が高くなる可能性があることから好ましくない。
工程(4)における反応温度は、使用する化合物の種類によって異なり、特に限定されるものではないが、たとえば、0〜150℃、好ましくは20〜100℃である。反応温度が上記範囲よりも低いと反応速度が遅くなる可能性があり、上記範囲を超えると脱塩化水素反応により生成した不飽和結合が重合する可能性があることから好ましくない。
上記工程(4)により得られた本発明の化合物(I)は、一般的な操作、すなわち、濾
過、抽出、再結晶、蒸留などにより精製できる。
(iii)(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の第二の製造方法
次に、本発明の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の第二の製造方法について説明する。第二の製造方法は、
(1’)上記第一の製造方法の工程(1)と同じ工程と、
(2’)上記第一の製造方法の工程(2)と同じ工程と、
(3’)前記工程(2’)で得られたイソシアネート化合物(VIII)と、式(XI)で表される化合物(以下「化合物(XI)」ともいう)とから、式(I)で表される(メタ)アク
リロイル基含有芳香族イソシアネート化合物を合成する工程とを含む。工程(3’)の反応スキームを以下に示す。
Figure 0005174325
工程(3’)で用いられる化合物(XI)は、例えばメタクリル酸クロライドの場合、ジメチルホルムアミドを溶媒としてメタクリル酸とホスゲンとを反応させることにより得られる。また、化合物(XI)は試薬会社から購入することもできる。
上記化合物(XI)の使用量は、使用する化合物の種類によって異なるが、ヒドロキシフェニルイソシアネート化合物(VIII)1モルに対し1〜10モル、好ましくは3〜6モルである。化合物(XI)の使用量が上記範囲よりも少ないと、収率が低下し、不純物が増加する可能性があり、上記範囲を超えると廃棄物が増え、処理費用が嵩む可能性があることから好ましくない。
上記工程(3’)で用いられる溶媒は、使用する化合物の種類によって異なり、特に限定されるものではない。通常は溶媒を使用することが好ましいが、イソシアネート化合物(VIII)が液体である場合または溶融する場合は、溶媒を使用しなくてもよい。使用することができる溶媒としては、上記第一の製造方法の工程(2)で例示したものが挙げられる。
溶媒の使用量は、化合物(VIII)1質量部に対して、1.5〜200質量部、好ましくは2〜20質量部である。溶媒量が上記範囲よりも少ないと反応を円滑に行うことができない可能性があり、上記範囲を超えると廃棄する溶媒量が増えるため、環境に対する負荷が高くなる可能性があることから好ましくない。
工程(3’)における反応温度は、使用する化合物の種類によって異なるが、通常は30〜150℃、好ましくは50〜120℃である。反応温度が上記範囲よりも低いと反応速度が遅くなる可能性があり、上記範囲を超えると不純物が増える可能性があるとともに、不飽和結合が重合する可能性があることから好ましくない。
上記工程(3’)により得られた本発明の化合物(I)は、一般的な操作、すなわち、
濾過、抽出、再結晶、蒸留などにより精製できる。
本発明の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物は、高耐熱性および高屈折率などを付与する機能を有することから、機能性樹脂の分野において有用である。たとえば、本発明の化合物(I)と、メチルメタクリレート、メチルアクリレートなどの
(メタ)アクリレート類、または、ビニルエーテル、スチレンなどのビニル基を有する化合物などとを共重合させることにより、高耐熱性および高屈折率などの機能を有する機能性ポリマー材料を製造することができる。
(iv)反応性モノマー
本発明の化合物(I)と、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基などの活性水素
を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーなどとを反応させることにより、該モノマー、オリゴマーまたはポリマーなどに高耐熱性および高屈折率などの機能を付与した材料を製造することができる。
さらに、本発明の化合物(I)を用いることにより、速い硬化速度を実現し、高耐熱性
および高屈折率などの機能を有する組成物が得られる可能性がある。
本発明の化合物(I)と、分子内にヒドロキシル基を有する化合物とを反応させること
により、下記式(XII)に示す(メタ)アクリロイル基含有ウレタン化合物を得ることが
できる。
Figure 0005174325
上記式(XII)中、R1は単結合または炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、具体的には、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基およびイソブチレン基などが挙げられる。これらの中では、単結合、メチレン基およびエチレン基が好ましい。
2は水素原子またはメチル基を表す。
3は単結合または炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、具体的に
は、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基およびイソプロピレン基が挙げられる。これらの中では、単結合、メチレン基およびエチレン基が好ましい。
4はエーテル基、チオエーテル基またはNH基を示す。
Xは独立にハロゲン原子または電子吸引基を表す。
lは1〜50の整数を表し、mは0〜4の整数を表し、nは1〜3の整数を表し特に1が好ましい。ただし、1≦m+n≦5である。
Yは、脂肪族基、芳香環を含む基、複素環を含む基、ポリカーボネート残基、ポリウレタン残基、ポリエステル残基または繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物残基である。
置換基Yの脂肪族基は、直鎖状、分岐状または環状の炭素鎖からなり、1〜4個の置換できる位置を有する基である。その具体例としては、直鎖または分岐のアルキル基、直鎖または分岐のアルキレン基、環状アルキル基などを挙げることができる。
置換基Yの脂肪族基は、さらに置換基を有していてもよい。このような置換基の具体例としては、エチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、−CH2CH2(CF28F、−CH2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CH3などのアルキル基;シクロヘキシル基、シクロアルケニル基、ノルボルニル基などの環状アルキル基などが挙げられる。
置換基Yの芳香族基は、1〜4個の置換できる位置を有する芳香族基であり、その具体例としては、フェニル基、キシリレン基、ビスフェノール基、フルオレン基などが挙げられる。
置換基Yの複素環基は、1〜4個の置換できる位置を有する複素環基であり、その具体例としては、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピペリジル基、イミダゾリル基、キノ
リル基などが挙げられる。
上記式(XII)で表される化合物の特に好ましい例として、下記式(XIV)または(XV)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005174325
(式(XIV)中、R2、Yおよびlは、式(XII)中のR2、Yおよびlと同一のものを表す。)
Figure 0005174325
(式(XV)中、R2、Yおよびlは、式(XII)中のR2、Yおよびlと同一のものを表す。)
本発明の反応性モノマーは、光または熱により、エチレン性不飽和基においてラジカル重合またはカチオン重合などが起き、硬化される。
以下、本発明の反応性モノマーにおける好ましい具体例について、R4がエーテル基で
ある場合、チオエーテル基である場合、NH基である場合のそれぞれに関して説明する。
<R4がエーテル基である反応性モノマー>
第1の例における反応性モノマーでは、式(XII)のR4がエーテル基であり、Yがフッ素を含有する基であり、l=1である。このような1個の置換位置をもつフッ素含有基の具体例としては、フルオロアルキル基を挙げることができる。このフルオロアルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖構造(例えば−CF2CF3、−CH2(CF24H、−CH2(CF28CF3、−CH2CH2
CF24H、−CH2CH2(CF28Fなど)であってもよく、分岐構造(例えば−CH(CF32、−CH2CF(CF32、−CH(CH3)CF2CF3、−CH(CH3)(
CF25CF2Hなど)であってもよく、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、
例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基など)であってもよく、エーテル結合を有していてもよい。エーテル結合を有するフルオロアルキル基の具体例としては、−CH2OCH2CF2CF3、−CH2CH2OCH248H、−CH2CH2OCH2CH2817、−CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2Hなどが挙げられる。
なお、上記のフルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
式(XII)におけるYの好ましい例としては、−(CH2p(CF2qFで表される基
(pは0〜2の整数を示し、qは0〜8の整数を示す。pとqが同時に0となることはない。)を挙げることができる。
フッ素含量は、反応性モノマーの全体量に対して30重量%以上であることが好ましく、より好ましくは40重量%以上であり、さらに好ましくは50重量%以上である。フッ素含量が低いと屈折率の値が大きくなり、反射防止膜やクラッド材として使用される場合に、低屈折材料としての特性が発揮できない場合がある。例えば、フッ素含量が40重量%未満になると屈折率が1.45以上になる場合があるが、このような屈折率は低屈折材料として適切ではない。但し、反応性モノマーを一成分として組成物を調製することで、組成物の全体量に対してフッ素含量を50重量%以上とすることができる。
第2の例における反応性モノマーでは、式(XII)のR4がエーテル基であり、Yがフッ素を含有する基であり、l=2である。このような2個の置換位置をもつフッ素含有基としては、フッ素含有ジオールから得られる基が好ましく、フッ素含有ジオールの具体例としては、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオールなどのパーフルオロアルキルジオール;パーフルオロトリエチレングリコール、パーフルオロテトラエチレングリコールなどのパーフルオロアルキレングリコール;α−(1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル)−ω−(2,2−ジフルオロエタノール)ポリ(オキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエチレン)、α−(1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル)−ω−(2,2−ジフルオロエタノール)ポリ(オキシ−ジフルオロメチレン)、α−(1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル)−ω−(2,2−ジフルオロエタノール)ポリ(オキシ−ジフルオロメチレン)(オキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエチレン)などのポリパーフルオロアルキレンエーテルジオール;3−パーフルオロブチル−1,2−エポキシプロパン、3−パーフルオロオクチル−1,2−エポキシプロパン、3−パーフルオロブチル−1,2−エポキシプロパンなどのフルオロアルキルエポキシドの開環ジオール;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。また、これらのフッ素含有ジオールにエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加させたジオールから得られる基であってもよい。
反応性モノマーの全体量に対するフッ素含量の好ましい範囲は、上述した第1の例と同様である。
第3の例における反応性モノマーでは、式(XII)のR4がエーテル基であり、Yがフルオレン骨格を有する基であり、l=2である。このようなフルオレン骨格を有する基としては、下記式(XX)で表わされる基が挙げられる。
Figure 0005174325
上記式(XX)において、hは好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2である。
<R4がNH基である反応性モノマー>
第1の例における反応性モノマーでは、式(XII)のR4がNH基であり、Yがフッ素を含有する基であり、l=1である。このような1個の置換位置をもつフッ素含有基として
は、上述したR4がエーテル基である場合と同様な基が挙げられるが、好ましい具体例と
しては、F(CF23CH2−、F(CF26CH2−、F(CF27CH2−、F(CF28CH2−、2,6−ジフルオロアニリンの残基などの芳香族基が挙げられる。
第2の例における反応性モノマーでは、式(XII)のR4がNH基であり、Yが飽和脂肪族基または芳香族基であり、l=2である。飽和脂肪族基としては、例えば、2個の置換位置をもつ直鎖、分岐または環状の炭素鎖からなる基が挙げられる。具体例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、ポリオキシアルキレンなどのアルキレン直鎖構造をもつ基、シクロヘキシル、ノルボルナンなどの脂環構造をもつ基が挙げられる。
また、芳香族基としては、フェニレン基、キシリレン基、4,4’−メチレンビス(フェニルアミン)基、2,3,5,6−テトラフルオロ−フェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−キシリレニル基などが挙げられる。
<R4がチオエーテル基である反応性モノマー>
4がチオエーテル基である場合の置換基Yとしては、R4がエーテル基またはNH基である上述した場合と同様な基が挙げられる。置換基Yの具体例としては、式(I)の(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物のイソシアネート基が、メルカプト基を1つ以上有する次のような化合物に付加することにより得られたものが挙げられる。
このようなメルカプト基を1つ以上有する化合物の具体例としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、アミルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、ヘプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、シクロペンチルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、フルフリルメルカプタン、チオフェノール、チオクレゾール、エチルチオフェノール、ベンジルメルカプタン、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタ−exo−cis−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、
1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2−ビス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,3
,5−トリス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、
1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,2'−ジメルカプトビフェニル、4,4'−チオビス−ベンゼンチオール、4,4'−ジメルカプトビフェニル、4,4'−ジメルカプトビベンジル、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、9,10−アントラセンジメタンチオール、
1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオメチル)ベンゼン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メルカプトエチルチオメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパンチオール、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、ビス(2−メルカプトエチル)ジスルフィド、3,4−チオフェンジチオール、1,2−ビス(2−メルカプトエチル)チオ−3−メルカプトプロパン、ビス−(2−メルカプトエチルチオ−3−メルカプトプロパン)スルフィドなどが挙げられる。
これらの中でも、オクチルメルカプタン、1,6−ヘキサンジチオール、2−メルカプトエチルスルフィド、1,4−ジメルカプトベンゼンが好ましい。
(v)反応性モノマーの製造方法
本発明における式(XII)の反応性モノマーは、式(I)で表される2個の重合性官能基を含有する(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物と、活性水素をもつ官能基が結合した化合物、たとえば、ヒドロキシル基、アミノ基またはメルカプト基を含有する化合物とを反応させて得ることができる。その反応方法は特に制限されるものではなく、例えば、混合するだけで式(XII)の反応性モノマーを得ることができる。
上記式(X II)の化合物の製造方法として、(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物と、ヒドロキシル基を含有する化合物とを溶媒中で反応させる際には、ウレタン化触媒を使用することが一般的に行われている。ウレタン化触媒を使用することにより、著しく反応を速めることができる。
ウレタン化触媒としては、たとえば、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛などが挙げられる。しかし、これらの触媒はいずれも重金属類を含むため、環境への配慮を考慮した場合、極力使用を避けることが望まれる。
また、ウレタン化反応における芳香族イソシアネートの反応性は、芳香環上の置換基の電子吸引性または置換基定数に大きく影響を受ける。
置換基定数とは、ハメットの式に基づいて定義された、芳香環上の活性水素を有する置換基の反応性を定量化したパラメーターであり、置換基が水素原子の場合、置換基定数は0であると定義されている。一般的に電子供与性基の置換基定数は負、電子吸引性基の置換基定数は正であるとされ、その絶対値が高いほど効果も大きいとされている。
本発明の一般式(I)で表される芳香族イソシアネートにおいては、置換基の電子吸引性が高いほど、イソシアネート基の反応性を高める点において望ましく、置換基定数が正の値であると、反応を促進することができる点において望ましい。
例を挙げれば、無置換のフェニルイソシアネートやp−メチルフェニルイソシアメートを用いた場合においては、一般式(I)で示される芳香族イソシアネートと比較し、イソシアネート基の反応性が大幅に低下する傾向にある。
無置換のフェニルイソシアネートの置換基定数は上記した通り0であり、p−メチルフェニルイソシアメートの置換基定数は−0.17であり、いずれも正の値ではなく、またいずれも電子吸引性基でもない。このことは、両化合物のイソシアネート基の反応性が、一般式(I)のイソシアネートモノマーと比較して低いという結果を支持するものである。
一方で、一般式(I)で示される化合物は、ヒドロキシル基に対する十分な反応性を有しており、触媒を用いることなく、上記反応性モノマーを製造するための反応を完結させることが可能である。その反応温度は、好ましくは0℃〜60℃であり、より好ましくは25℃から40℃である。反応温度が0℃未満であると反応が完結せず、原料が残留してしまうおそれがあり、60℃を超えると副反応が起きたり、あるいは着色したりするおそれがあり、いずれも望ましくない。
また、上記手法を用いることにより、反応組成の簡略化、重金属類の排除による環境への負荷の低減を行うことができ、工業的に非常に有用である。
上記の反応は、ヒドロキシル基、アミノ基、およびメルカプト基以外の基でも進行することが知られている。例えば、イソシアネート基はカルボキシル基などとも反応するので、反応により付加させることで反応性エチレン性不飽和基を導入することができる。
したがって、このような式(I)の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物と、1個の反応性エチレン性不飽和基を含有するイソシアネート化合物とを併用して、ヒドロキシル基、アミノ基、またはメルカプト基を含有する化合物と反応させてもよい。このような1個の反応性エチレン性不飽和基を含有するイソシアネート化合物の具体例としては、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネート、2−アクリロイロキシエチルイソシアネート、2−(2−エチルブテノイロキシ)エチルイソシアネート、2−(2−プロピルブテノイロキシ)エチルイソシアネート、メタクリロイロキシメチルイソシアネート、アクリロイロキシメチルイソシアネート、(2−エチルブテノイロキシ)メチルイソシアネート、(2−プロピルブテノイロキシ)メチルイソシアネート、3−メタクリロイロキシプロピルイソシアネート、3−アクリロイロキシプロピルイソシアネート、3−(2−エチルブテノイロキシ)プロピルイソシアネート、3−(2−プロピルブテノイ
ロキシ)プロピルイソシアネート、4−メタクリロイロキシブチルイソシアネート、4−アクリロイロキシブチルイソシアネート、4−(2−エチルブテノイロキシ)ブチルイソシアネート、4−(2−プロピルブテノイロキシ)ブチルイソシアネートなどが挙げられる。
(vi)硬化性組成物
本発明の硬化組成物は、式(XII)の反応性モノマーと、重合開始剤とを含有する。重
合開始剤としては光重合開始剤が使用でき、紫外線あるいは可視光線などの活性エネルギー線を照射することで、反応性モノマーが重合反応を起こし硬化物を得ることができる。このような光重合開始剤の具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2'−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレン、フ
ルオレノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフ
ェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイルプロピルエー
テル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
これらの中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。
上記の光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、熱により反応性モノマーの重合反応を起こし、硬化物を得ることもできる。すなわち、熱重合開始剤を反応性モノマーに添加することで、熱硬化性組成物とすることができる。このような熱重合開始剤としては、ジアシルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、アゾ系化合物、過硫酸塩などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、反応性モノマー100重量部に対して好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。重合開始剤の使用量が0.1重量部未満となると、反応性モノマーの重合速度が遅くなる場合がある。また、酸素等による重合阻害を受け易くなる場合がある。一方、重合開始剤の使用量が20重量部を超えると、逆に重合反応が抑制され、得られる硬化膜の強度、密着強度、耐熱性が低下する場合がある。さらに、着色の原因となる。
本発明の硬化性組成物は、式(XII)の反応性モノマー以外の反応性モノマーを含有し
ていてもよい。このような反応性モノマーを含有させることにより、組成物の粘度調整ができるとともに、得られる硬化物の特性、例えば、反応性、硬度、弾性、密着性などの機械的特性、透明性などの光学的特性が調整できる。
このような反応性モノマーの具体例としては、
スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチ
ルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ジイソプロペニルベンゼン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、1,1−ジフェニルエチレン、p−メトキシスチレン、N,N−ジメチル−p−アミノスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノスチレン、エチレン性不飽和ピリジン、エチレン性不飽和イミダゾールなどのエチレン性不飽和芳香族化合物;
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有化合物;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなどのフルオロアルキル(メ
タ)アクリレート類;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート類;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類;
ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの反応性モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性組成物は、式(XII)の反応性モノマーと重合開始剤とを、室温または
加熱条件下で、ミキサー、ボールミル、3本ロールなどの混合機により混合するか、あるいは、反応性モノマーや溶剤などを希釈剤として添加して溶解することによって、配合および調整することができる。ここで希釈剤として用いられる反応性モノマーの具体例としては、上述した反応性モノマーなどを挙げることができる。溶剤の具体例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;トルエンなどの芳香族炭化水素類、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、例えば、基材上に硬化性組成物を塗布し、塗膜を形成した後、放射線を照射することによって、あるいは加熱することによって硬化させることができる。硬化のために、放射線の照射と加熱との両方を行ってもよい。
塗膜の厚さは、評価用としては1〜200μmが好ましいが、用途により適宜に設定される。
塗布方法としては、例えば、ダイコーター、スピンコーター、スプレーコーター、カーテンコーター、ロールコーターなどによる塗布、スクリーン印刷などによる塗布、ディッピングなどによる塗布が挙げられる。
硬化のために使用される放射線としては、電子線、または紫外から赤外の波長範囲の光が好ましい。例えば、紫外線であれば超高圧水銀光源またはメタルハライド光源、可視光線であればメタルハライド光源またはハロゲン光源、赤外線であればハロゲン光源が使用できるが、この他にもレーザー、LEDなどの光源が使用できる。放射線の照射量は、光源の種類、塗膜の膜厚などに応じて適宜に設定される。
本発明の硬化性組成物は、レジスト(ソルダーレジスト、エッチングレジスト、カラーフィルタレジスト、スペーサなど)、シーリング(防水シーリングなど)、塗料(防汚塗料、フッ素系塗料、水性塗料など)、粘・接着剤(接着剤、ダイシングテープなど)、印刷版(CTP版、オフセット版など)、印刷校正(カラープルーフなど)、レンズ(コンタクトレンズ、マイクロレンズ、光導波路など)、歯科材料、表面処理(光ファイバーコーティング、ディスクコートなど)、電池材料(固体電解質など)などの用途に使用できる。
(vii)反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)
本発明の反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)は、下記式(I)で表されるイソシアネート化合物と、活性水素をもつ官能基が結合した繰り返し単位を有するポリマー化合物とを反応させて得られる化合物である。
Figure 0005174325
式(I)中、R1は単結合または炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表
し、R2は水素原子またはメチル基を表し、R3は単結合または炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、Xは独立にハロゲン原子または電子吸引基を表し、mは0〜4の整数、nは1〜3の整数を表す。ただし1≦m+n≦5である。
上記イソシアネート化合物における好ましい具体例としては、下記式(III)または(IV)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0005174325
式(III)中、R2は水素原子またはメチル基を表す。
Figure 0005174325
式(IV)中、R2は水素原子またはメチル基を表す。
ここで、式(I)のイソシアネート化合物と反応させる上記のポリマー化合物は、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基などの活性水素をもつ官能基が結合した繰り返し単位を有している。これらのヒドロキシル基、アミノ基またはメルカプト基は、式(I)のイソシアネート化合物のイソシアナート基と反応してウレタン結合、尿素結合またはチオウレタン結合を形成する。
ここで、活性水素をもつ官能基が結合した繰り返し単位とは、このような官能基を有するかまたは重合反応により該官能基を形成可能なモノマーを基準とした繰り返し単位のことであり、モノマーを重合させることによって上記ポリマー化合物が得られる。ポリマー化合物は、同一種のモノマーからなる単独重合体であってもよく、互いに異種のモノマー同士の共重合体であってもよい。
上記ポリマー化合物としては、繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物が好ましい。
本発明の反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)の数平均分子量(ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(質量部PC)によるポリスチレン換算の値)は、通常500〜100,000であり、好ましくは8,000〜40,000である。
(viii)反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)の製造方法
上記の反応性(メタ)アクリレートポリマーは、式(I)のイソシアネート化合物と、活性水素をもつ官能基が結合した繰り返し単位を有するポリマー化合物とを反応させて得られるが、その反応方法は特に制限されるものではなく、例えば、これらを混合するだけで反応性(メタ)アクリレートポリマーを得ることができる。
上記(メタ)アクリレートポリマー(A)の製造方法として、(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物と、ヒドロキシル基を含有する化合物とを溶媒中で反応させる際には、ウレタン化触媒を使用することが一般的に行われている。ウレタン化触媒を使用することにより、著しく反応を速めることができる。
ウレタン化触媒の具体例としては、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛などが挙げられる。しかし、それらの触媒はいずれも重金属類であり、環境への配慮を考慮した場合、極力使用を避けることが望まれる。
また、ウレタン化反応における芳香族イソシアネートの反応性は、芳香環上の置換基の電子吸引性または置換基定数に大きく影響を受ける。置換基定数とは、ハメットの式に基づいて定義された、芳香環上の活性水素を有する置換基の反応性を定量化したパラメーターであり、一般的に電子供与性基の置換基定数は負、電子吸引性基の置換基定数は正であるとされ、その絶対値が高いほど効果も大きいとされている。
本発明の式(I)の芳香族イソシアネートにおいては、置換基の電子吸引性が高いほど、イソシアネート基の反応性を高める点において望ましく、置換基定数が正の値であると、反応を促進することができる点において望ましい。
例を挙げれば、無置換のフェニルイソシアネートやp−メチルフェニルイソシアネートを用いた場合においては、一般式(I)で示される芳香族イソシアネートと比較し、イソシアネート基の大幅な反応性の低下が見られる。
無置換のフェニルイソシアネートの置換基定数を0とした場合、p−メチルフェニルイソシアネートの置換基定数は−0.17であり、このことは上記の結果を支持するものである。
一方で、上記式(I)で示される化合物はヒドロキシル基に対する十分な反応性を有し
ており、触媒を用いることなく、反応性(メタ)アクリレートポリマーを製造するための反応を完結させることが可能である。その反応温度は0℃〜60℃であり、好ましくは25℃から40℃である。反応温度が0℃未満であると反応が完結せず、原料が残留してしまうおそれがあり、60℃を超えると副反応が起きたり、あるいは着色したりするおそれがあり、いずれも望ましくない。
(ix)繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物
本発明で用いられる繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物は、ポリエステルポリオール化合物、ポリカーボネートポリオール化合物、ポリエーテルポリオール化合物、ポリウレタンポリオール化合物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体または共重合体、またはエポキシ(メタ)アクリレート化合物である。
(ix-a)ポリエステルポリオール化合物
本発明で用いられるポリエステルポリオール化合物は、1分子中に2以上のヒドロキシル基と1以上のエステル結合を有する化合物であり、その具体例としては、多価アルコールと多塩基酸のエステルから得られるポリエステル系ポリオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリブチロラクトンジオールなどのポリラクトン系ジオールなどが挙げられる。また、カルボキシル基が残存するように合成されたポリエステルポリオール化合物を使用することもできる。
(ix-b)ポリカーボネートポリオール化合物
本発明で用いられるポリカーボネートポリオールは、1分子中に2以上のヒドロキシル基と1以上のカーボネート結合を有する化合物である。中でも、下記式(XXI)
Figure 0005174325
(式中、R8、R9およびR10は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を有していてもよい炭素数が2〜30である直鎖状、分岐状または環状の炭化水素基を示し、iおよびjは、それぞれ独立に、0〜100の整数を示す。)で表される化合物が好ましい。
8、R9およびR10は、好ましくは炭素数が2〜12であるアルキレン基であり、その具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基などが挙げられる。
上記のポリカーボネートポリオール化合物は、例えば、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートと、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトールなどのポリオールとの反応により得ることができる。
(ix-c)ポリエーテルポリオール化合物
本発明で用いられるポリエーテルポリオール化合物は、好ましくは、2以上のアルキレングリコールが脱水して縮合した構造を有する化合物である。このような化合物は、アルキレングリコールの縮合またはアルキレンオキサイドの開環重合などにより製造される。
アルキレングリコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
アルキレンオキサイドの具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオール化合物の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコールなどが挙げられる。
(ix-d)ポリウレタンポリオール化合物
本発明で用いられるポリウレタンポリオール化合物は、1分子中に2以上のヒドロキシル基と1以上のウレタン結合を有するものである。これらはポリイソシアネートとポリオールとを任意の方法により反応させることで得られる。この反応の際、式(I)のイソシアネート化合物を同時に仕込んで反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)を製造してもよい。
ポリイソシアネートの具体的としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、(o,mまたはp)−キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートなどのジイソシアネートなどが挙げられる。これらのポリイソシアネートは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール化合物、グリセリン、トリメチロールプロパンなどのトリオール化合物、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジグリセリンなどが挙げられる。
なお、ポリオール化合物として、ジヒドロキシ脂肪族カルボン酸などのカルボキシル基を有するポリオール化合物を使用することができ、反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)中にカルボキシル基を導入することによりアルカリ現像性を付与することができる点で好ましい。
このようなカルボキシル基を有するポリオール化合物としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリオールとして、上記(ix-a)のポリエステルポリオール化合物、上記(ix-b)のポリカーボネートポリオール化合物、上記(ix-c)のポリエーテルポリオール化合物を用いてもよい。
(ix-e)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体または共重合体
本発明で用いられるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体または共重合体は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの1種以上を任意の方法により単独重合または共重合させて得られる重合体である。ここで使用されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−酸化アルキレン付加物−モノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキサノイルオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。これらのヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体を構成するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート以外の構成成分は、これらと共重合性を有する不飽和化合物であり、その具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)
アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基を有する(メタ)アクリレート;メタクリロキシエチルフォスフェート、ビス・メタクリロキシエチルフォスフェート、メタクリロキシエチルフェニルアシッドホスフェート(フェニールP)などのリン原子を有するメタクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;アリル(メタ)アクリレート;フェノキシエチルアクリレートなどが挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネートなどのカルボキシル基または酸無水物基を有する不飽和化合物を用いてもよい。
なお、本明細書において(メタ)アクリレートなどの表現はメタクリレートおよび/またはアクリレートを意味する。
また、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニル化合物、スチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物も好適に用いることができる。
(ix-f)エポキシ(メタ)アクリレート化合物
エポキシ(メタ)アクリレート化合物は、エポキシ樹脂のエポキシ基に不飽和モノカルボン酸を付加させたもので、場合によっては、さらに多塩基酸無水物を反応させることにより得られる。ここで使用できるエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、(o,m,p−)クレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、ナフトール変性ノボラックエポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラックエポキシ樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、光感度の点からノボラックエポキシ樹脂、(o,m,p−)クレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、ナフトール変性ノボラックエポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラックエポキシ樹脂などのノボラック型エ
ポキシ樹脂を原料として用いたカルボン酸基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が好ましい。
本発明の反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)の数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(質量部PC)によるポリスチレン換算の値)は、通常500〜100,000であり、好ましくは8,000〜40,000である。数平均分子量500未満であると、皮膜強度が著しく低下する。一方、数平均分子量が40,000を超えると、現像性や可撓性が低下する。
本発明の反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)をレジストに使用する場合、その酸価が5〜150mgKOH/gであるものが好ましく、30〜120mgKOH/gであるものがより好ましい。酸価が5mgKOH/g未満であると、アルカリ現像性が低下する場合がある。一方、酸価が150mgKOH/gを超えると、硬化膜の耐アルカリ性・電気特性などを損なう場合がある。
上述した繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物のうち、カルボキシル基をもつ化合物は、式(I)のイソシアネートが反応条件によりカルボキシル基と反応し、アミド結合を生成する。このような反応によって式(I)の化合物を付加させることもできる。
さらに、このような式(I)のイソシアネート化合物と、1個の反応性エチレン性不飽和基を含有するイソシアネート化合物とを併用して、ヒドロキシル基(またはアミノ基、メルカプト基)を含有するポリマー化合物と反応させてもよい。このような1個の反応性エチレン性不飽和基を含有するイソシアネート化合物の具体例としては、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネート、2−アクリロイロキシエチルイソシアネート、2−(2−エチルブテノイロキシ)エチルイソシアネート、2−(2−プロピルブテノイロキシ)エチルイソシアネート、メタクリロイロキシメチルイソシアネート、アクリロイロキシメチルイソシアネート、(2−エチルブテノイロキシ)メチルイソシアネート、(2−プロピルブテノイロキシ)メチルイソシアネート、3−メタクリロイロキシプロピルイソシアネート、3−アクリロイロキシプロピルイソシアネート、3−(2−エチルブテノイロキシ)プロピルイソシアネート、3−(2−プロピルブテノイロキシ)プロピルイソシアネート、4−メタクリロイロキシブチルイソシアネート、4−アクリロイロキシブチルイソシアネート、4−(2−エチルブテノイロキシ)ブチルイソシアネート、4−(2−プロピルブテノイロキシ)ブチルイソシアネートなどが挙げられる。
(x)硬化性組成物
本発明の反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)の他に、他の成分を配合することによって硬化性組成物が得られる。この硬化性組成物は、レジスト(ソルダーレジスト、エッチングレジスト、カラーフィルタレジスト、スペーサなど)、シーリング(防水シーリングなど)、塗料(防汚塗料、フッ素系塗料、水性塗料など)、粘・接着剤(接着剤、ダイシングテープなど)、印刷版(CTP版、オフセット版など)、印刷校正(カラープルーフなど)、レンズ(コンタクトレンズ、マイクロレンズ、光導波路など)、歯科材料、表面処理(光ファイバーコーティング、ディスクコートなど)、電池材料(固体電解質など)などの用途に使用することができる。
例えば、カラーフィルタ用に好適な硬化性組成物、あるいはソルダーレジスト用に好適な硬化性組成物の具体例は以下のとおりである。なお、このような硬化性組成物に使用される反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)として特に好ましいのは、ポリヒドロキシ化合物に式(I)のイソシアネート化合物を反応させて得られらウレタン(メタ)アクリレートポリマーである。
(x-a)カラーフィルタ用に好適な硬化性組成物
この硬化性組成物は、反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)、顔料(B)、光重合開始剤(D)、エチレン性不飽和モノマー(F)および有機溶剤(G)を含有する。
(x-a-a)反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)
上記の硬化性組成物における反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)の含有量は、通常は10質量%以上であり、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30〜90質量%である。反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)と、エチレン性不飽和モノマー(F)などの他の硬化性成分との質量比は、強度と光感度のバランスの点で、好ましくは30/70〜90/10、より好ましくは40/60〜85/15である。反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)の質量比が30/70より小さくなると、皮膜強度が低下する。一方、反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)の質量比が90/10より大きくなると、硬化収縮が大きくなる。
(x-a-b)顔料(B)
顔料(B)としては、赤色、緑色、青色の顔料が使用できるが、放射線を最大限遮蔽するものとしは、黒色顔料が挙げられる。このような顔料として、公知のものを使用することができるが、その具体例としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、カーボンナノチューブ、黒鉛、鉄黒、酸化鉄系黒色顔料、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラックなどが挙げられる。また、赤色、緑色、青色の三色の有機顔料を混合して黒色系顔料として用いることもできる。
これらの中でも、カーボンブラック、チタンブラッックが好ましく、遮光率、画像特性の点から特にカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックとしては、市販されているものを使用することができ、その好ましい粒子径は、分散性、解像度を考慮すると、5〜200nm、より好ましくは10〜100nmである。粒子径が5nm未満であると均一な分散が困難となり、粒子径が200nmを超えると解像度が低下する。
カーボンブラックの具体例としては、デグサ社製のSpecialBlack550、SpecialBlack350、SpecialBlack250、SpecialBlack100、SpecialBlack4、三菱化学(株)製のMA100、MA220、MA230、キャボット社製のBLACKPEARLS480、コロンビヤンカーボン社製のRAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500などが挙げられる。
(x-a-c)光重合開始剤(D)
光重合開始剤(D)は、活性光線により励起されてラジカルを発生し、エチレン性不飽和結合の重合を開始する化合物である。このような光重合開始剤は、高遮光下でラジカルを発生することが必要とされるため、光感度が高いものが好ましい。光重合開始剤の具体例としては、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、アミノアセトフェノン系化合物、増感色素と有機ホウ素塩系化合物の組み合わせ、チタノセン系化合物、オキサジアゾール系化合物などが挙げられる。
これらの中でも、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、アミノアセトフェノン系化合物、グリオキシエステル系化合物、ビスアシルホスフィンオキサイド系化合物およびこれらの組み合わせが好ましい。
ヘキサアリールビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,
2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールなどが挙げられる。
感度をさらに上げるために、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン系化合物などを増感剤として添加してもよい。
トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−プロピオニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンゾイル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン,2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−クロロスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−アミノフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(3−クロロフェニル)−6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−アミノスチリル)−4,6−ビス(ジクロロメチル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
アミノアセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1などが挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例としては、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルファイド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、(2−アクリロイロキシエチル)(4−ベンゾイルベンジル)ジメチルアンモニウムブロマイド、4−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−ベンゾフェノンメトクロライドモノハイドレート、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−9−オンメトクロライドなどが挙げられる。
キノン系化合物の具体例としては、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノンなどが挙げられる。
チタノセン系化合物の具体例としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−10602号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−291号公報、特開平3−12403号公報、特開平3−20293号公報、特開平3−27393号公報、特開平3−52050号公報、特開平4−221958号公報、特開平4−21975号公報などに記載されたチタノセン化合物が挙げられる。具体的には、ジシクロペンタジエニル−Ti−ジクロライド、ジシクロペンタジエニル−Ti−ジフェニル、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス(2,6−ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス(2,4−ジフルオロフェニル)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス(2,6−ジフルオロフェニル)などが挙げられる。
オキサジアゾール系化合物の具体例としては、ハロメチル基を有する2−フェニル−5−トリクロロメチル−1,3,4,−オキサジアゾール、2−(p−メチルフェニル)−5−トリクロロメチル−1,3,4,−オキサジアゾール、2−(p−メトキシフェニル)−5−トリクロロメチル−1,3,4,−オキサジアゾール、2−スチリル−5−トリクロロメチル−1,3,4,−オキサジアゾール、2−(p−メトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4,−オキサジアゾール、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4,−オキサジアゾールなどが挙げられる。
グリオキシエステル系化合物の具体例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
ビスアシルホスフィンオキサイド系化合物の具体例としては、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
(x-a-d)エチレン性不飽和モノマー(F)
エチレン性不飽和モノマー(F)は、活性光線の照射時に光重合開始剤(D)から発生するラジカルで架橋する化合物であり、組成物の粘度の調整する役割などを有する。具体的には、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく使用される。
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェニルカルビ
トール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート;
2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基を有する(メタ)アクリレート;
メタクリロキシエチルフォスフェート、ビス・メタクリロキシエチルフォスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシッドホスフェート(フェニール−P)などのリン原子を有するメタクリレート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビス・グリシジル(メタ)アクリレートなどのジアクリレート;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのポリアクリレート;
ビスフェノールSのエチレンオキシド4モル変性ジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド4モル変性ジアクリレート、脂肪酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド3モル変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド6モル変性トリアクリレートなどの変性ポリオールポリアクリレート;
ビス(アクリロイルオキシエチル)モノヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートなどのイソシアヌル酸骨格を有するポリアクリレート;
α,ω−ジアクリロイル−(ビスエチレングリコール)−フタレート、α,ω−テトラアクリロイル−(ビストリメチロールプロパン)−テトラヒドロフタレートなどのポリエステルアクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート;アリル(メタ)アクリレート;ω−ヒドロキシヘキサノイルオキシエチル(メタ)アクリレート;ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート;(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート;フェノキシエチルアクリレートなどが挙げられる。
また、エチレン性不飽和モノマー(F)として、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルミアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニル化合物、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどを用いてもよい。
これらの中でも、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)
アクリレート、ウレタンアクリレートが好ましい。また硬化性や耐熱性が高くなる点では、エチレン性不飽和基を3個以上有するものが好ましい。
(x-a-e)有機溶剤(G)
有機溶剤(G)の具体例としては、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ブチルエーテルなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル(n、sec、tert)、酢酸アミル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオ
ン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチルなどのエステル類;メチルエチルケトン、イソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルなどのグリコール類、およびこれらの混合物などが挙げられる。
有機溶剤(G)は、他の各成分を溶解または分散させることができるものであり、その沸点は、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜170℃である。有機溶剤(G)の使用量は、硬化性組成物中における固形分濃度が5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%の範囲となる量である。
(x-a-f)多官能チオール(H)
上記の硬化性組成物は、多官能チオール(H)を含有していてもよい。多官能チオール(H)は、チオール基を2以上有する化合物であり、その具体例としては、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられる。
(x-a-g)各成分の含有量
上記の硬化性組成物において、有機溶剤(G)以外の各成分の好ましい含有率は以下のとおりである。
反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)の含有量は、組成物全量に対して好ましくは10〜40質量%、より好ましくは15〜35質量%である。含有量が10質量%未満であると皮膜強度が低下する場合がある。一方、含有量が40質量%を超えると充分な光学濃度が得られない場合がある。
顔料(B)の含有量は、組成物全量に対して好ましくは25〜60質量%、より好まし
くは30〜55質量%である。含有量が25質量%未満であると充分な光学濃度が得られない場合がある。一方、含有量が60質量%を超えると皮膜強度が低下する場合がある。
光重合開始剤(D)の含有量は、組成物全量に対して好ましくは2〜25質量%、より好ましくは5〜20質量%である。含有量が2質量%未満であると充分な光感度が得られない場合がある。一方、含有量が25質量%を超えると光感度が高すぎて逆に解像度が低下する場合がある。
エチレン性不飽和モノマー(F)の含有量は、組成物全量に対して好ましくは5〜20質量%、より好ましくは8〜18質量%である。含有量が5質量%未満であると充分な光感度が得られない場合がある。一方、含有量が20質量%を超えると充分な光学濃度が得られない場合がある。
多官能チオール(H)を添加する場合は、光重合開始剤(D)の含有量は、組成物全量に対して好ましくは2〜20質量%、より好ましくは3〜15質量%である。含有量が2質量%未満であると充分な光感度が得られない場合がある。一方、含有量が20質量%を超えると光感度が高すぎて逆に解像度が低下する場合がある。多官能チオール(F)の含有量は、組成物全量に対して好ましくは2〜20質量%、より好ましくは3〜15質量%である。含有量が2質量%未満であると多官能チオールの効果が現れない場合がある。一方、含有量が20質量%を超えると光感度が高すぎて逆に解像度が低下する場合がある。
上記の硬化性組成物には、上述した各成分の他に、顔料分散剤、密着向上剤、レベリング剤、現像改良剤、酸化防止剤、熱重合禁止剤などを添加することができる。特に、着色材料を微細に分散し、かつ、その分散状態を安定化させることが品質安定上重要であるため、必要に応じて顔料分散剤を配合することが望ましい。
(x-a-h)硬化性組成物の製造方法
上記の硬化性組成物は、上述した各成分を任意の方法で混合することにより製造できる。混合方法は、各成分を同時に混合する方法、各成分を逐次混合する方法のいずれであってもよい。
なお、配合する全成分を混合して分散処理を行うと、分散時の発熱のため高反応性の成分が変性するおそれがある。このため、黒色系などの顔料(B)を、溶剤(G)および顔料分散剤、またはこれらと反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)との混合物と共に予め分散処理した後に、残りの成分を混合する方法で混合を行うことが好ましい。
分散処理は、ペイントコンディショナー、ビーズミル、ボールミル、3本ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザーなどを用いて行うことができる。
ビーズミルで分散させる場合には、0.1〜数ミリ径のガラスビーズまたはジルコニアビーズが好ましく用いられる。分散時の温度は通常0〜100℃であり、好ましくは室温〜80℃である。分散時間は、着色組成物の組成(着色材料、溶剤、分散剤、バインダーポリマー)、ビーズミルの装置サイズなどに応じて適切な時間とする。
3本ロールミルで分散させる場合には、分散時の温度は通常0〜60℃である。ロールの摩擦熱が大きく温度が60℃を超える場合には、循環水でロール内部を冷却する。インキを3本ロールミルに通す回数は、ロールの線速度、ロール間の圧力、材料の粘度などの条件に依存するが、例えば2〜10回である。
上記分散処理により得られた組成物を、残りの成分と任意の方法で混合することによって、硬化性組成物が製造される。
(x-a-i)カラーフィルタの製造方法
上述した硬化性組成物を透明基板上に塗布し、溶剤をオーブンなどで乾燥した後、露光現像してパターンを形成させ、次いで、ポストベークを行うことによりカラーフィルタが製造される。
上記の透明基板の具体例としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、表面をシリカコートしたライムソーダガラスなどの無機ガラス類;ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンなどの熱可塑性プラスチック;エポキシポリマー、ポリエステルポリマーなどの熱硬化性プラスチックなどのフィルムまたはシートなどが挙げられる。このような透明基板には、表面の接着性などの物性を改良するために、予め、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤やウレタンポリマーなどの各種ポリマーによる薄膜処理などを施してもよい。
硬化性組成物の透明基板への塗布は、ディップコーター、ロールコーター、ワイヤーバー、フローコーター、ダイコーター、スプレーコーター、スピンコーターなどの塗布装置を用いて行うことができる。
塗布後における溶剤の乾燥は、任意の方法で行うことが可能であり、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンなどの乾燥装置が使用できる。乾燥温度は40〜150℃が好ましく、乾燥時間は10秒〜60分が好ましい。また、真空状態で溶剤を乾燥してもよい。
露光は、試料の上にフォトマスクを配置し、フォトマスクを介して画像露光することにより行う。露光に用いる光源の具体例としては、キセノンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯などのランプ光源、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマーレーザー、窒素レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定波長の照射光のみを使用する場合には、光学フィルタを利用してもよい。
現像処理には現像液を用い、ディップ、シャワー、パドル法などでレジストの現像を行う。現像液としては、未露光部のレジスト膜を溶解させる能力のある溶剤を用いることができ、その具体例としては、アセトン、塩化メチレン、トリクレン、シクロヘキサノンなどの有機溶剤が挙げられる。
また、現像液としてアルカリ現像液を用いることができる。このようなアルカリ現像液の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機のアルカリ剤、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩などの有機のアルカリ剤などを含有した水溶液が挙げられる。アルカリ現像液には、必要に応じて界面活性剤、水溶性の有機溶剤、水酸基またはカルボキシル基を有する低分子化合物などを含有させてもよい。特に、界面活性剤は現像性、解像性、地汚れなどに対して改良効果をもつものが多く、このような界面活性剤を添加することが好ましい。
現像液用の界面活性剤の具体例としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウム基、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基などを有するアニオン性界面活性剤、ポリアルキレンオキシ基を有するノニオン性界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム基を有するカチオン性界面活性剤などが挙げられる。
現像処理は、通常10〜50℃、好ましくは15〜45℃の現像温度で、浸漬現像、ス
プレー現像、ブラシ現像、超音波現像などの方法により行われる。
ポストベークは、通常は、溶剤乾燥と同様の装置を用いて、温度150〜300℃で1〜120分の間行われる。このようにして得られるマトリックスの膜厚は、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.1〜1.5μm、さらに好ましくは0.1〜1μmである。マトリックスとしての機能を果たすため、これらの膜厚において光学濃度が3以上であることが好ましい。
上記の方法で製造された黒色マトリックスパターンは、通常はパターン間に20〜200μm程度の開口部が設けられており、後工程でこのスペースにR、G、Bの画素が形成される。通常、各画素は、R、G、Bの3色であり、上述した顔料または染料で着色された硬化性組成物を用いて、黒色マトリックスの形成と同様に、反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)を用いた硬化性組成物で形成することができる。
(x-b)ソルダーレジスト用に好適な硬化性組成物
この硬化性組成物は、反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)と、熱硬化性ポリマー(C)と、光重合開始剤(D)と、エチレン性不飽和モノマー(F)と、熱重合触媒(E)とを含有する。
(x-b-a)熱硬化性ポリマー(C)
熱硬化性ポリマー(C)は、熱硬化成分として組成物に含有されるものであり、それ自身が熱によって硬化するものであってもよく、熱により反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)のカルボキシル基と反応するものであってもよい。
熱硬化性ポリマー(C)の具体例としては、エポキシポリマー;フェノールポリマー;シリコーンポリマー;ヘキサメトキシメラミン、ヘキサブトキシメラミン、縮合ヘキサメトキシメラミンなどのメラミン誘導体;ジメチロール尿素などの尿素化合物;テトラメチロール・ビスフェノールAなどのビスフェノールA系化合物;オキサゾリン化合物;オキセタン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でもエポキシポリマーが好ましい。エポキシポリマーの具体例としては、ビスフェノールA型エポキシポリマー、水添ビスフェノールA型エポキシポリマー、臭素化ビスフェノールA型エポキシポリマー、ビスフェノールF型エポキシポリマー、ノボラック型エポキシポリマー、フェノールノボラック型エポキシポリマー、クレゾールノボラック型エポキシポリマー、N−グリシジル型エポキシポリマー、ビスフェノールAのノボラック型エポキシポリマー、キレート型エポキシポリマー、グリオキザール型エポキシポリマー、アミノ基含有エポキシポリマー、ゴム変性エポキシポリマー、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシポリマー、シリコーン変性エポキシポリマー、ε−カプロラクトン変性エポキシポリマーなどの一分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物;ビスフェノールS型エポキシポリマー、ジグリシジルフタレートポリマー、ヘテロサイクリックエポキシポリマー、ビキシレノール型エポキシポリマー、ビフェニル型エポキシポリマー、テトラグリシジルキシレノイルエタンポリマーなどが挙げられる。
また、難燃性付与のために、塩素、臭素などのハロゲンまたは燐などの原子が、熱や水によって分解されにくい結合状態でその構造中に導入されたものを使用してもよい。これらのエポキシポリマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性ポリマー(C)の含有量は、光硬化成分の合計100質量部に対して好ましくは10〜150質量部、より好ましくは10〜50質量部である。熱硬化性ポリマー(C
)の含有量が10質量部未満であると、硬化膜のはんだ耐熱性が不充分となる場合がある。一方、熱硬化性ポリマー(C)の含有量が150質量部を超えると、硬化膜の収縮量が多くなり、硬化膜をFPC基板の絶縁保護被膜に用いた場合にそり変形が増大する傾向がある。
(x-b-b)光重合開始剤(D)
光重合開始剤(D)としては、前述したカラーフィルタ用に好適な硬化性組成物に用いられるものと同様の光重合開始剤が使用できる。
光重合開始剤(D)の含有量は、ウレタン(メタ)アクリレートポリマー(A)と、エチレン性不飽和モノマー(F)と、必要に応じて配合されるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物との合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.2〜10質量部である。光重合開始剤(D)の含有量が0.1質量部未満であると、組成物の硬化が不充分となる場合がある。
(x-b-c)熱重合触媒(E)
熱重合触媒(E)は、熱硬化性ポリマー(C)を熱硬化させる作用を示すものであり、その具体例としては、アミン類;該アミン類の塩化物などのアミン塩類または第四級アンモニウム塩類;環状脂肪族酸無水物、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物などの酸無水物類;ポリアミド類、イミダゾール類、トリアジン化合物などの窒素含有複素環化合物類;有機金属化合物などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミン類の具体例としては、脂肪族または芳香族の第一、第二、第三アミンが挙げられる。
脂肪族アミンの具体例としては、ポリメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メンセンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7−エンなどが挙げられる。
芳香族アミンの具体例としては、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォンなどが挙げられる。
酸無水物類の具体例としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)などの芳香族酸無水物、および、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ポリアジピン酸無水物、クロレンド酸無水物、テトラブロム無水フタル酸などが挙げられる。
ポリアミド類の具体例としては、ダイマー酸にジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンなどのポリアミンを縮合反応させて得られる第一または第二アミノ基を有するポリアミノアミドなどが挙げられる。
イミダゾール類の具体例としては、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウム・トリメリテート、2−メチルイミダゾリウム・イソシアムレートなどが挙げられる。
トリアジン化合物は、窒素原子3個を含む6員環を有する化合物であり、その具体例としては、メラミン、N−エチレンメラミン、N,N’,N’’−トリフェニルメラミンなどのメラミン化合物;シアヌル酸、イソシアヌル酸、トリメチルシアヌレート、イソシアヌレート、トリエチルシアヌレート、トリスエチルイソシアヌレート、トリ(n−プロピル)シアヌレート、トリス(n−プロピル)イソシアヌレート、ジエチルシアヌレート、N,N’−ジエチルイソシアヌレート、メチルシアヌレート、メチルイソシアヌレートなどのシアヌル酸化合物;メラミン化合物とシアヌル酸化合物との等モル反応産物などのシアヌル酸メラミン化合物などが挙げられる。
有機金属化合物の具体例としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、2−エチルヘキサン酸亜鉛等の有機酸金属塩;ニッケルアセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナートなどの1,3−ジケトン金属錯塩;チタンテトラブトキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、アルミニウムブトキシドなどの金属アルコキシドなどが挙げられる。
熱重合触媒(E)の使用量は、熱硬化性ポリマー(C)100質量部に対して好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。熱重合触媒(E)の使用量が0.5質量部より少ないと、硬化反応が充分に進まず、耐熱性が低下する場合がある。また、長時間、高温での硬化が必要となるため、作業効率低下の原因となる場合がある。一方、熱重合触媒(E)の使用量が20質量部を超えると、組成物中のカルボキシル基と反応してゲル化が起こりやすくなり、保存安定性の低下などの問題を生じる場合がある。
(x-b-d)エチレン性不飽和モノマー(F)
エチレン性不飽和モノマー(F)としては、前述したカラーフィルタ用に好適な硬化性組成物に用いられるものと同様のエチレン性不飽和モノマーが使用できる。
反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)と、それ以外の他のエチレン性不飽和モノマー(F)との配合比は、質量比で好ましくは95:5〜50:50、より好ましくは90:10〜60:40、さらに好ましくは85:15〜70:30である。反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)の配合比が95を超えると、組成物からなる硬化膜の耐熱性が低下する場合がある。一方、反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)の配合比が5未満になると組成物のアルカリ可溶性が低下する傾向がある。
また、硬化性の成分として、必要に応じて、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物を使用してもよい。このようなカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、上記(ix -f)に記載されたものを使用でき
る。その酸価は、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは45〜160mgKOH/g、さらに好ましくは50〜140mgKOH/gである。このような酸価のエポキシ(メタ)アクリレート化合物を使用すると、組成物のアルカリ溶解性と硬化膜の耐アルカリ性のバランスを向上させることができる。酸価が10mgKOH/g未満であると、アルカリ溶解性が悪くなる。一方、酸価が大き過ぎると、組成物の成分構成によっては、硬化膜の耐アルカリ性、および電気特性などのレジストとしての特性が下がる場合がある。カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物を使用する場合には、カルボキシル基を有する反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)100質量部に対して、100質量部以下の範囲で使用することが好ましい。
(x-b-e)硬化性組成物の製造方法
上記の硬化性組成物は、前述したカラーフィルタ用に好適な硬化性組成物と同様に、上述した各成分を通常の方法で混合することによって製造できる。混合の方法は特に制限は
なく、一部の成分を混合してから残りの成分を混合してもよく、全ての成分を一括で混合してもよい。
また、粘度調節などのために必要に応じて組成物に有機溶媒を添加してもよい。このように粘度を調節することによって、ローラーコート、スピンコート、スクリーンコート、カーテンコートなどで対象物上に塗布したり、印刷したりしやすくなる。有機溶媒としては、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;アセト酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶媒;カルビトールアセテート、メチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系、カルビトール系およびそれらのエステル、エーテル誘導体の溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド;フェノール、クレゾールなどのフェノール系溶媒;ニトロ化合物系溶媒;トルエン、キシレン、ヘキサメチルベンゼン、クメン芳香族系溶媒、テトラリン、デカリン、ジペンテンなどの炭化水素からなる芳香族系または脂環族系の溶媒などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶媒の使用量は、組成物の粘度が500〜500,000mPa・s、より好ましくは1,000〜500,000mPa・s(B型粘度計(Brookfield Viscometer)にて
25℃で測定)になる量が好ましい。組成物がこのような粘度であると、対象物への塗布や印刷により適し、使用しやすくなる。また、このような粘度とするために好ましい有機溶媒の使用量は、有機溶媒以外の固形分の1.5質量倍以下である。1.5質量倍を超えると固形分濃度が低くなるため、この組成物を基板などに印刷する場合、一回の印刷で充分な膜厚が得られず、多数回の印刷が必要になる場合がある。
また、このような組成物にさらに着色剤を加えて、インクとして使用することもできる。着色剤の具体例としては、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどが挙げられる。インクとして使用する場合も、その粘度は500〜500,000mPa・sであることが好ましい。
組成物には、流動性の調整のため、さらに流動調整剤を添加することができる。流動性調整剤を添加することによって、組成物をローラーコート、スピンコート、スクリーンコート、カーテンコートなどで対象物に塗布する場合などに、組成物の流動性を適宜調整することができる。
流動調整剤の具体例としては、無機または有機充填剤、ワックス、界面活性剤などが挙げられる。無機充填剤の具体例としては、タルク、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、シリカ、アルミナ、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、珪酸塩化合物等が挙げられる。有機充填剤の具体例としては、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、弗素樹脂などが挙げられる。ワックスの具体例としては、ポリアミドワックス、酸化ポリエチレンワックスなどが挙げられる。界面活性剤の具体例としては、シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル、アミドなどが挙げられる。これらの流動性調整剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、組成物には必要に応じて、熱重合禁止剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤などの添加剤を添加することができる。熱重合禁止剤の具体例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジンなどが挙げられる。増粘剤の具体例としては、アスベスト、オルベン、ベントン、モンモリロナイトなどが挙げられる。消泡剤は、印刷、塗工時または硬化
時に生じる泡を消すために用いられ、その具体例としては、アクリル系、シリコーン系などの界面活性剤が挙げられる。レベリング剤は、印刷、塗工時に生じる皮膜表面の凹凸を失くすために用いられ、その具体例としては、アクリル系、シリコーン系等の界面活性剤が挙げられる。密着性付与剤の具体例としては、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤などが挙げられる。
また、他の添加剤として、例えば、保存安定性のために紫外線防止剤、可塑剤などを添加することができる。また、上記の硬化性組成物を、基板上などにスクリーン印刷により適当な厚みで塗布し、熱処理して乾燥し塗布膜が得られる。その後、露光、現像し、熱硬化して硬化させることにより、硬化物とすることができる。
上記の硬化性組成物は、様々な用途に使用できるが、特に、光感度、現像性に優れ、かつ、硬化させて薄膜とした場合の基板との密着性、絶縁性、耐熱性、そり変形性、可撓性、外観の点でも優れるため、プリント配線基板の絶縁保護被膜としての使用に適している。絶縁保護被膜を形成する場合には、組成物やインクを回路が形成された基板上に10〜100μmの厚さで塗布した後、60〜100℃の温度で5〜30分間程度熱処理して乾燥し、5〜70μmの厚さとする。次いで、所望の露光パターンが施されたネガマスクを介して露光し、未露光部分を現像液で除去して現像する。その後、100〜180℃の温度で10〜40分間程度熱硬化して硬化させる。
この硬化性組成物は、硬化物とした場合の可撓性に特に優れ、硬化物は良好な柔軟性を有しているため、FPC基板の絶縁保護被膜に用いるのに特に適しており、カールが少なく、取り扱い性にも優れたFPC基板とすることができる。また、例えば、多層プリント配線基板の層間の絶縁樹脂層として使用してもよい。
露光に用いられる活性光源には、公知の活性光源、例えば、カーボンアーク、水銀蒸気アーク、キセノンアークなどから発生する活性光が用いられる。
現像液には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液を使用することができる。
また、この硬化性組成物は、ドライフィルムレジストの感光層に使用することもできる。ドライフィルムレジストは、重合体フィルムなどからなる支持体上に、組成物からなる感光層を有するものである。感光層の厚さは10〜70μmが好ましい。支持体に使用される重合体フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステルなどのポリエステル樹脂、ポリプロピレン、低密度ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂からなるフィルムなどが挙げられる。
ドライフィルムレジストは、硬化性組成物を支持体上に塗布し乾燥することにより感光層を形成することによって得られる。また、形成された感光層上にカバーフィルムを設けることにより、支持体、感光層、カバーフィルムが順次積層され、感光層の両面にフィルムを有するドライフィルムレジストを製造することもできる。カバーフィルムはドライフィルムレジストの使用時には剥がされるが、使用時までの間、感光層上にカバーフィルムが設けられることにより、感光層を保護でき、ポットライフに優れたドライフィルムレジストとなる。
ドライフィルムレジストを使用して、プリント配線基板に絶縁保護被膜を形成するためには、まず、ドライフィルムレジストの感光層と基板とを貼合する。ここで、カバーフィルムが設けられているドライフィルムレジストを使用する場合には、カバーフィルムを剥がして感光層を露出させてから基板に接触させる。
次に、感光層と基板とを加圧ローラなどを用いて40〜120℃程度で熱圧着して、基板上に感光層を積層する。その後、感光層を所望の露光パターンが施されたネガマスクを介して露光し、感光層から支持体を剥離し、現像液で未露光部分を除去して現像し、感光層を熱硬化させることによって、基板の表面に絶縁保護被膜が設けられたプリント配線基板が製造される。また、このようなドライフィルムレジストを使用して、多層プリント配線基板の層間に絶縁樹脂層を形成してもよい。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例で使用した分析機器および分析条件は以下のとおりである。
<ガスクロマトグラフィー>
分析機器:島津製作所社製「GC14A」
カラム:J&W社製「DB−1」30m×0.53mm×1.5μm
カラム温度:70℃〜250℃まで10℃/minで昇温、250℃で18分ホールド
インテグレーター:島津製作所社製「CR7A」
インジェクション温度:220℃
ディテクター温度:270℃ FID
検出器:FID H2 40ml/min Air 400ml/min
キャリアーガス:He 10ml/min
<自動滴定装置>
分析機器:平沼産業社製「COM−550」
<赤外分光分析>
分析機器:Thermo Nicolet Japan社製「AVATAR 360 FT−IR」
測定法:反射法
<核磁気共鳴>
分析機器:JEOL社製「JNM−AL400型」
[工程(1)]
攪拌器、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を備えた300mlの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下、4−アミノフェノール(東京化成製、試薬)10g(0.09mol)と、溶媒として1,4-ジオキサン100mlとを仕込んだ。次いで、50℃に加熱し、
塩化水素ガスを100ml/minの流量で1時間供給した。
[工程(2)]
得られた液を55℃に加熱し、塩化カルボニル27.1g(0.27mol)を6時間かけて供給し、さらに3時間温度を維持した。反応終了後、窒素を導入して溶存塩化カルボニルを除去した。サンプルを採取し、ガスクロマトグラフィー(以下「GC」という)で分析した結果、4−イソシアネートフェノールが収率90%で得られた。
[工程(3)]
得られた液にo‐ジクロロベンゼン100mlを添加し、さらに3−クロロプロピオン酸クロライド31.0g(0.25mmol)を添加後、130℃で9時間加熱した。その際、1,4―ジオキサンを系外に留去しながら反応を行った。得られた反応液のアルカリ分解性塩素を以下の方法で分析した。
300ml共栓付三角フラスコに試料約0.5gを正確に量り取り、メタノール/精製水混合液(容量比:70/30)100mlを加えた後、30%水酸化ナトリウム水溶液10mlを加えた。この三角フラスコに冷却管を取り付けて80℃の水浴で1時間加熱還流させた後、室温まで冷却した。次いで、得られた溶液をメスフラスコに移液し、精製水を加え全体を200mlにした。
得られた液10mlを正確に200mlビーカーに取り、精製水を100ml加え、(1+1)硝酸1mlを添加し、1/50規定硝酸銀溶液を用いて電位差滴定をし、下記式からアルカリ分解性塩素の濃度を求めた。ただし、下記式において、Aは硝酸銀滴定量(ml)、Bは硝酸銀水溶液のfactorである。
塩素濃度(%)=A×B×35.5/50×(サンプル質量)×100
得られた反応液からo-ジクロロベンゼンを留去した反応液は29.2gであり、その
中のアルカリ分解性塩素濃度は4.1%であった。したがって、反応液中のアルカリ分解性塩素は1.20g(0.03mol)と算出された。
[工程(4)]
反応液およびトルエン90mlを200mlフラスコに仕込み、トリエチルアミン4.4g(0.04mol)を1時間かけて滴下した。次いで、50℃で6時間加熱攪拌した後、室温に冷却した。生成した固形分を濾過して分離し、濾液95gを得た。
[精製工程]
得られた濾液に、フェノチアジン(東京化成製、試薬)0.02gおよび2,6−ビス−t−ブチルヒドロキシトルエン(シグマアルドリッチジャパン(株)製、試薬)0.02gを加え、真空ポンプで圧力を10kPaに減圧して溶媒を留去した。得られた濃縮液を100mlフラスコに仕込み、0.5kPaに減圧して蒸留し、100〜110℃の留分5.0gを得た。
得られた留分は、赤外分光分析(以下「IR」という)および核磁気共鳴分析(以下「NMR」という)により、4−アクリロイルオキシフェニルイソシアネートと同定された。そのIRおよびNMRチャートを図1および図2に示す。また、4−アクリロイルオキシフェニルイソシアネートの収率は24%であった。
[工程(1)]
攪拌器、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を備えた300mlの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下、3−アミノフェノール(東京化成製、試薬)15g(0.14mol)および酢酸エチル100mlを仕込んだ。次いで、50℃に加熱し、塩化水素ガスを100ml/minの流量で1時間供給した。
[工程(2)]
得られた液を55℃に加熱し、塩化カルボニル40.6g(0.41mol)を6時間かけて供給した後、60℃で3時間加熱を継続した。反応終了後、窒素を導入し溶存塩化カルボニルを除去した。サンプルを採取しGC分析を行った結果、4−イソシアネートフェノールが収率90%で得られた。
[工程(3)]
得られた反応液にo‐ジクロロベンゼン100mlを添加し、さらに3−クロロプロピオン酸クロライド46.5g(0.37mmol)を添加後、130℃で1時間加熱を継
続した。その際、酢酸エチルを系外に留去しながら反応を行った。反応終了後、反応液を0.5kPaに減圧して蒸留し、100〜110℃の留分を回収し、3-クロロプロピオ
ニルオキシ−1−イソシアネートーベンゼン25gを得た。
得られた液のアルカリ分解性塩素を前記方法で分析した結果、アルカリ分解性塩素濃度は6.4%であり、25gの液中のアルカリ分解性塩素は1.60g(0.04mol)であった。
[工程(4)]
得られた液25gを100mlフラスコに仕込み、さらに50gのトルエンを仕込み、トリエチルアミン5.1g(0.05mol)を1時間かけて滴下した。次いで、50℃で6時間加熱攪拌した後、室温に冷却した。生成した固形分を濾過して分離し、濾液72.5gを得た。
[精製工程]
得られた濾液に、フェノチアジン0.02gおよび2,6−ビス−t−ブチルヒドロキシトルエン0.02gを加え、真空ポンプで圧力を10kPaに減圧して溶媒を留去した。その濃縮液を50mlフラスコに仕込み、0.5kPaに減圧して蒸留し、100〜110℃の留分6.1gを得た。
得られた留分は、IRおよびNMRにより3−アクリロイルオキシフェニルイソシアネートと同定された。そのIRおよびNMRチャートを図3および図4に示す。また、3−アクリロイルオキシフェニルイソシアネートの収率は23.9%であった。
[工程(1’)]
攪拌器、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を備えた300mlの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下、4−アミノフェノール10g(0.09mol)および1,4−ジオキサン100mlを仕込んだ。次いで、50℃に加熱し、塩化水素ガスを100ml/minの流量で1時間供給した。
[工程(2’)]
得られた液を55℃に加熱し、塩化カルボニル27.1g(0.27mol)を6時間かけて供給し、その後60℃で3時間加熱を継続した。反応終了後、窒素を導入して溶存塩化カルボニルを除去した。サンプルを採取しGC分析した結果、4−イソシアネートフェノールが収率90%で得られた。
[工程(3’)]
得られた液にメタクリル酸クロライド(東京化成製、試薬)22.3g(0.25mmol)を添加後、110℃で6時間加熱を継続した。その際、1,4−ジオキサンを系外に留去しながら反応を行った。
[精製工程]
得られた反応液に、フェノチアジン0.02gおよび2,6−ビス−t−ブチルヒドロキシトルエン0.02gを加え、真空ポンプで圧力を10kPaに減圧して溶媒を留去した。その濃縮液を100mlフラスコに仕込み、0.5kPaに減圧して蒸留し、100〜110℃の留分6.4gを得た。留分は4−メタクリロイルオキシフェニルイソシアネートで、収率は31%であった。
[工程(1’)]
攪拌器、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を備えた500ml四つ口フラスコに、窒素雰囲気下、3−アミノフェノール(三井化学製、試薬)30g(0.275mol)および1,4−ジオキサン350mlを仕込んだ。次いで、60℃に加熱し、塩化水素ガスを100ml/minの流量で70分間供給した。
[工程(2’)]
得られた液を60℃に加熱し、塩化カルボニル54.0g(0.54mol)を5時間かけて供給し、さらに3時間温度を維持した。反応終了後、窒素を導入して塩化カルボニルを除去した。サンプルを採取してGC分析した結果、3‐イソシアネートフェノールが収率90%で得られた。
[工程(3’)]
得られた液にo−ジクロロベンゼン300ml添加し、さらにメタクリル酸クロライド200g(1.91mol)、フェノチアジン1.0gを添加後、110℃で48時間加熱した。
[精製工程]
得られた反応液に、フェノチアジン1.0gおよび2,6−ビス−t−ブチルヒドロキシトルエン0.5gを加え、真空ポンプで圧力10kPaに減圧して溶媒を留去した。その濃縮液を100mlフラスコに仕込み、0.1kPaに減圧して留去し、123〜125℃の留分13.8gを得た。留分は3−メタクリロイルオキシフェニルイソシアネートで、収率は25%であった。
〔実施例5,6〕
(1)一般式(I)の化合物のイソシアネート基の反応性
反応器に、4−メタクリロイルオキシフェニルイソシアネート0.613g、2−プロパノール0.721g、トルエン5mlを加え、60℃のオイルバスにて加熱攪拌を行った。一定時間ごとに少量のサンプルを採取し、NaCl板を用いIR測定し2272cm-1付近のイソシアネート基の吸収ピークの強度を測定し、ピークが消えるまでの時間を測定した。また、3−メタクリロイルオキシフェニルイソシアネートについても同様の測定を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
(2)フェニルイソシアネートのイソシアネート基の反応性
反応器に、フェニルイソシアネート0.477g、2−プロパノール0.721gおよびトルエン5mlを加え、60℃のオイルバスにて加熱攪拌を行った。一定時間ごとに少量のサンプルを採取し、NaCl板を用いIR測定し2272cm-1付近のイソシアネートの吸収ピークの強度を測定し、ピークが完全に消えるまでの時間を測定しようと試みた。結果を表1に示す。
Figure 0005174325
参考製造例1〕
(1)ウレタン(メタ)アクリレート(U−1)の合成
撹拌装置、温度計およびコンデンサーを備えた反応容器に、ポリカーボネ−トジオール(クラレ(株)製、C3090、平均分子量3000)3.66gおよび4−メタクリロイルオキシフェニルイソシアネート0.521gを投入し、溶媒として塩化メチレン10mLを加えて1時間攪拌した。その後、ジブチル錫ジラウレート0.0174g投入した。さらに撹拌を続け、赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収ピーク(2280cm-1)がほぼ消失したことを確認して反応を終了し、粘稠液体のウレタン(メタ)アクリレート(U−1)を得た。得られたウレタン(メタ)アクリレート(U−1)のNMRチャートを図5に示す。
参考製造例1〕
(2)ウレタン(メタ)アクリレート(U−2)の合成
撹拌装置、温度計およびコンデンサーを備えた反応容器に、ポリカーボネ−トジオール(クラレ(株)製、C3090、平均分子量3000)30.089gおよび2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート3.149gを投入し、溶媒として塩化メチレン100mLを加えた。1時間攪拌した後、ジブチル錫ジラウレート0.133g投入した。さらに撹拌を続け、赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収ピーク(2280cm-1)がほぼ消失したことを確認して反応を終了し、粘稠液体のウレタン(メタ)アクリレート(U−2)を得た。得られたウレタン(メタ)アクリレート(U−2)のNMRチャートを図6に示す。
参考製造例2〕
(メタ)アクリル共重合ポリマー(XVI)の合成
滴下漏斗、温度計、冷却管および撹拌機を取り付けた4つ口フラスコに、ヒドロキシエチルアクリレート9.917g、ブチルメタクリレート48.533g、メルカプトエタノール0.133gおよびプロピレングリコールモノメトキシアセテート(以下「PMA」という)62.97gを仕込み、4つ口フラスコ内を1時間窒素置換した。さらにオイルバスで90℃まで加温した後、アゾビスイソブチロニトリル0.84gとPMA62.97gの混合液を1時間かけて滴下した。3時間重合を行った後、アゾビスイソブチロニトリル0.27gとPMA7.00gの混合液を加え、さらに100℃に昇温して1.5時間重合を行った。その後、室温下で冷却し、減圧蒸留にて溶媒を一定量除去した後、1.5Lのメタノール中にて高分子量成分を除去し、ヘキサン中にて精製を行うことによって、白色の(メタ)アクリル共重合ポリマー(XVI)55.29gを得た。GPCにより測定したポリスチレン換算の質量平均分子量は25,000であった。
参考製造例3〕
(1)反応性アクリル共重合ポリマー(P1−MPI)の合成
反応器に、4−メタクリロイルオキシフェニルイソシアネート0.215g、(メタ)アクリル共重合ポリマー(XVI)1.454g、ジブチル錫ジラウレート0.0067gおよび塩化メチレン5mLを加えて攪拌した。赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収スペクトル(2280cm-1)がほぼ消失したことを確認して反応を終了し、反応性アクリル共重合ポリマー(P1−MPI)を得た。得られた反応性アクリル共重合ポリマー(P1−MPI)のNMRチャートを図7に示す。
参考製造例2〕
(2)反応性アクリル共重合ポリマー(P1−MOI)の合成
反応器に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート0.180g、(メタ)アクリル共重合ポリマー(XVI)を1.614g、ジブチル錫ジラウレート0.0067gおよび塩化メチレン5mLを加えて攪拌した。赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収スペクトル(2280cm-1)がほぼ消失したことを確認して反応を終了し、反応性アクリル共重合ポリマー(P1−MOI)を得た。得られた反応性アクリル共重合ポリマー(P1−MOI)のNMRチャートを図8に示す。
参考例7〜12、参考比較例2〜5〕
(1)硬化性組成物の調製および評価サンプル作成
表2−1および表2−2に示した種類および量の反応性ウレタン化合物と、表2−1および表2−2に示した量の反応性モノマーとしてビスフェノールA型両末端ビスアクリレートモノマー(第一工業製薬(株)社製、BPE4−A)と、表2−1および表2−2に示した量の光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャルティケミカルズ(株)製、Irgacure184)とを、ジクロロメタン(純正化学社製)20g中に、室温で撹拌混合することにより、均一に溶解させて硬化性組成物溶液を得た。得られた硬化性組成物溶液をガラス基板(大きさ50mm×50mm)に、乾燥膜厚が約200μmとなるように塗布し、50℃で30分間溶剤を乾燥することにより評価サンプルを得た。
なお、参考例12で用いた反応性ウレタン化合物は、参考製造例1で得られたウレタン(メタ)アクリレート(U−1)であり、参考例7〜11で用いた反応性ウレタン化合物は、参考製造例1において原料化合物等を変更することにより製造した。また、参考比較例5で用いた反応性ウレタン化合物は、参考製造例1で得られたウレタン(メタ)アクリレート(U−2)であり、参考比較例2〜4で用いた反応性ウレタン化合物は、参考製造例1において原料化合物等を変更することに製造した。
Figure 0005174325
Figure 0005174325
(2)反応性モノマーの硬化性組成物に関する評価
<硬化性>
(1)で得られた評価サンプルを、超高圧水銀ランプを組み込んだ露光装置(ウシオ電機マルチルチライトML−251A/B)で露光した。この間、赤外分光計(日本分光社製FT/IR7000)でエチレン性不飽和基吸収ピ−ク(810cm-1)を測定するこ
とにより、反応が定常状態になるような露光量500mJ/cm2で露光した。エチレン
性不飽和基吸収ピ−クの変化量(露光後の吸収ピーク強度/露光前の吸収ピーク強度×100:%)からエチレン性不飽和基反応率を測定した。結果を表3に示す。
<密着強度>
(1)で得られた評価サンプルを、超高圧水銀ランプを組み込んだ露光装置で3J/cm2露光した。硬化した各サンプルの硬化膜表面をサンドペーパーで磨き、さらにアドヒ
ージョンテスター(Elcometer Instrument.Std社製、elcometor)の冶具をエポキシ接着剤(三井化学社製、HC−1210)で硬化させ、アドヒージョンテスターで密着強度を測定した。結果を表3に示す。
<耐熱性>
(1)で得られた評価サンプルを、超高圧水銀ランプを組み込んだ露光装置で3J/cm2露光した。硬化した各サンプルについて、示差走査熱量計(セイコーインスツルメン
ト社製、EXSTAR6000)により分解温度を測定し耐熱性を比較した。結果を表3に示す。
<屈折率>
(1)で調製した硬化性組成物を、PETフィルム上に、乾燥膜厚が約200μmになるように塗布し、50℃で30分間溶剤を乾燥することにより評価サンプルを得た。得られた評価サンプルを、超高圧水銀ランプを組み込んだ露光装置で3J/cm2露光した。
硬化した各サンプルをフィルムとして剥離し、アッベ屈折率計を用いて硬化したフィルムの屈折率を測定した。結果を表3に示す。
<硬化収縮率>
(1)で調製した硬化性組成物を、ガラス基板上に、乾燥膜厚が約200μmになるように塗布し、50℃で30分間溶剤を乾燥することにより評価サンプルを得た。得られた評価サンプルの膜厚を測定した後、超高圧水銀ランプを組み込んだ露光装置で3J/cm2露光した。硬化した各サンプルの膜厚を再度測定し、膜厚の減少率から硬化収縮率を算
出した。結果を表3に示す。
Figure 0005174325
参考実施例13,14、参考比較例6,7〕
(1)硬化性組成物の調製および評価サンプル作成
表4に示した種類および量の反応性ポリマーと、表4に示した量の光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャルティケミカルズ(株)製、Irgacure184)とを、ジクロロメタン(純正化学社製)20g中に、室温で撹拌混合することにより、均一に溶解させて硬化性組成物溶液を得た。得られた硬化性組成物溶液をガラス基板(大きさ50mm×50mm)に、乾燥膜厚が約200μmとなるように塗布し、50℃で30分間溶剤を乾燥することにより評価サンプルを得た。
なお、参考例14で用いた反応性ポリマーは、参考製造例3で得られた反応性アクリル共重合ポリマー(P1−MPI)であり、参考例13で用いた反応性ポリマーは、参考製造例3において原料化合物等を変更することにより製造した。また、参考比較例7で用いた反応性ポリマーは、参考製造例2で得られた反応性アクリル共重合ポリマー(P1−MOI)であり、参考比較例6で用いた反応性ポリマーは、参考製造例2において原料化合物等を変更することにより製造した。
Figure 0005174325
(2)反応性ポリマーの硬化性組成物に関する評価
<耐熱性>
(1)で得られた評価サンプルを、超高圧水銀ランプを組み込んだ露光装置で3J/cm2露光した。硬化した各サンプルについて、示差走査熱量計(セイコーインスツルメン
ト社製、EXSTAR6000)により分解温度を測定し耐熱性を比較した。結果を表5に示す。
Figure 0005174325
実施例1で得た化合物のIRチャートである。 実施例1で得た化合物のNMRチャートである。 実施例2で得た化合物のIRチャートである。 実施例2で得た化合物のNMRチャートである。 参考製造例1で得た化合物のNMRチャートである。 参考製造例1で得た化合物のNMRチャートである。 参考製造例3で得た化合物のNMRチャートである。 参考製造例2で得た化合物のNMRチャートである。

Claims (13)

  1. 下記式(I)で表される(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物。
    Figure 0005174325
    (式(I)中、R1は単結合または炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、R3は単結合または炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、Xは独立にハロゲン原子または電子吸引基を表し、mは0〜4の整数、nは1〜3の整数を表し、1≦m+n≦5である。)
  2. 前記式(I)において、芳香環上のイソシアネートを含む基に対して、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基の置換基定数σが−0.2<σ<0.8であることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物。
  3. 下記工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする、下記式(I)で表される(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法:
    Figure 0005174325
    (式(I)中、R1は単結合または炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、R3は単結合または炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、Xは独立にハロゲン原子または電子吸引基を表し、mは0〜4の整数、nは1〜3の整数を表し、1≦m+n≦5である。)
    (1)下記式(V)で表されるヒドロキシフェニルアミン化合物と塩酸とから、下記式(VI)で表されるヒドロキシフェニルアミノ塩酸塩化合物を得る工程;
    Figure 0005174325
    (式(V)中、R1、R3、X、mおよびnは、式(I)中のR1、R3、X、mおよびnと同一のものを表す。)
    Figure 0005174325
    (式(VI)中、R1、R3、X、mおよびnは、式(I)中のR1、R3、X、mおよびnと同一のものを表し、W1は塩酸を表す。)
    (2)前記工程(1)で得られたヒドロキシフェニルアミノ塩酸塩化合物と、下記式(VII)で表される化合物とから、下記式(VIII)で表されるヒドロキシフェニルイソシアネート化合物を得る工程;
    Figure 0005174325
    (式(VII)中、Z1およびZ2は、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、イミダゾール類、ピラゾール類またはR’O−を表し、該R’は、炭素数1〜6の分岐を有してもよいアルキル基もしくはアルケニル基または置換基を有していてもよいアリール基を表す。)
    Figure 0005174325
    (式(VIII)中、R1、R3、X、mおよびnは、式(I)中のR1、R3、X、mおよびnと同一のものを表す。)
    (3)前記工程(2)で得られたヒドロキシフェニルイソシアネート化合物と、下記式(IX)で表される化合物とから、下記式(X)で表されるイソシアネート基含有フェニルエステル化合物を得る工程;
    Figure 0005174325
    (式(IX)中、R2は式(I)中のR2と同一のものを表す。)
    Figure 0005174325
    (式(X)中、R1〜R3、X、mおよびnは、式(I)中のR1〜R3、X、mおよびnと同一のものを表す。)
    (4)前記工程(3)で得られたイソシアネート基含有フェニルエステル化合物を、塩基性窒素化合物の存在下で脱塩化水素させる工程。
  4. 前記工程(1)〜(4)における反応が溶媒中で行われることを特徴とする請求項3に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法。
  5. 下記工程(1’)〜(3’)を含むことを特徴とする、下記式(I)で表される(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法:
    Figure 0005174325
    (式(I)中、R1は単結合または炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、R3は単結合または炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、Xは独立に水素原子、ハロゲン原子または電子吸引基を表し、mは0〜4の整数、nは1〜3の整数を表し、1≦m+n≦5である。)
    (1’)下記式(V)で表されるヒドロキシフェニルアミン化合物と塩酸とから、下記式(VI)で表されるヒドロキシフェニルアミノ塩酸塩化合物を得る工程;
    Figure 0005174325
    (式(V)中、R1、R3、X、mおよびnは、式(I)中のR1、R3、X、mおよびnと同一のものを表す。)
    Figure 0005174325
    (式(VI)中、R1、R3、X、mおよびnは、式(I)中のR1、R3、Xおよびn、mと同一のものを表し、W1は塩酸を表す。)
    (2’)前記工程(1’)で得られたヒドロキシフェニルアミノ塩酸塩化合物と、下記式(VII)で表される化合物とから、下記式(VIII)で表されるヒドロキシフェニルイソシアネート化合物を得る工程;
    Figure 0005174325
    (式(VII)中、Z1およびZ2は、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、イミダゾール類、ピラゾール類またはR’O−を表し、該R’は、炭素数1〜6の分岐を有してもよいアルキル基もしくはアルケニル基または置換基を有していてもよいアリール基を表す。)
    Figure 0005174325
    (式(VIII)中、R1、R3、X、mおよびnは、式(I)中のR1、R3、X、mおよびnと同一のものを表す。)
    (3’)前記工程(2’)で得られたヒドロキシフェニルイソシアネート化合物と、下記式(XI)で表される化合物とを反応させる工程。
    Figure 0005174325
    (式(XI)中、R2は式(I)中のR2と同一のものを表す。)
  6. 前記工程(1’)〜(3’)における反応が溶媒中で行われることを特徴とする請求項5に記載の(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物の製造方法。
  7. 請求項1に記載の式(I)で表される(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物と、繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物とを反応させて得られた反応性(メタ)アクリレートポリマー。
  8. 前記繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物が、ポリエステルポリオール化合物、ポリカーボネートポリオール化合物、ポリエーテルポリオール化合物、ポリウレタンポリオール化合物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体または共重合体、またはエポキシ(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とする請求項7に記載の反応性(メタ)アクリレートポリマー。
  9. 前記繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物が、カルボキシル基を含有することを特徴とする請求項7または8に記載の反応性(メタ)アクリレートポリマー。
  10. 請求項1に記載の式(I)で表わされる(メタ)アクリロイル基含有芳香族イソシアネート化合物と、繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物とを反応させることを特徴とする反応性(メタ)アクリレートポリマーの製造方法。
  11. 前記繰り返し単位を有するポリヒドロキシ化合物が、カルボキシル基を含有することを特徴とする請求項10に記載の反応性(メタ)アクリレートポリマーの製造方法。
  12. 10〜40質量%の請求項7〜9のいずれかに記載の反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)と、25〜60質量%の顔料(B)と、2〜25質量%の光重合開始剤(D)と、5〜20質量%のエチレン性不飽和モノマー(F)と、有機溶剤(G)とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
  13. 請求項7〜9のいずれかに記載の反応性(メタ)アクリレートポリマー(A)と、熱硬化性ポリマー(C)と、光重合開始剤(D)と、熱重合触媒(E)とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
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