JP5170922B2 - 親水性ハードコート膜及びその製造方法 - Google Patents

親水性ハードコート膜及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、親水性、ハードコート性両方の性質を兼ね備えた新規な塗膜に関し、更に、ハードコート膜表面の親水化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステンレス、アルミニウム、セメント、紙、ガラス、プラスチック、無機窯業基板、布帛等の表面処理に用いられる、耐熱性、耐水性、耐汚染性、耐有機薬品性、耐酸性、耐アルカリ性、耐蝕性、耐摩耗性、耐候性、耐湿性、密着性等に優れ、硬度の高い塗膜を形成させることができるコーティング用組成物がいくつ提案されている。
【0003】
例えば、(1)特開昭64−1769号公報には、(a)一般式RSi(OR’)3(式中、Rは炭素数1〜8の有機基、R’は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。)表されるオルガノシラン100重量部の縮合物からなるオルガノポリシロキサン、(b)一般式Zr(OR’’)4及び/またはZr(OR’’)4・R’’OH(式中、R’’は炭素数2〜5のアルキル基を表す。)で表されるジルコニウム化合物0.05〜20重量部をβ−ジケトン類及び/又はβ−ケトエステル類の存在下で水と反応させてなる加水分解物、ならびに(c)末端あるいは側鎖に加水分解性基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂2〜200重量部を、(d)親水性有機溶媒に含有させてなることを特徴とするコーティング用組成物が記載されている。
【0004】
(2)特開2000−80330号公報には、有機塗料組成物(A)100重量部に対して、表面張力が30dyne/cm以下である一般式(I);(R1O)4−aSiR2a(I)(式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数7〜10のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基を表す。R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数7〜10のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基を表す。aは、0又は1を表す。)で表わされるオルガノシリケート化合物の部分加水分解縮合物(B)0.01〜20重量部、及び、表面張力が30dyne/cmより大きい、前記オルガノシリケート化合物の部分加水分解縮合物(B)以外の一般式(I);(R1O)4-aSiR2 a(I)(式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数7〜10のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基を表す。R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数7〜10のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基を表す。aは、0又は1を表す。)で表わされるオルガノシリケート化合物の部分加水分解縮合物(C)2〜70重量部を配合してなることを特徴とする上塗り塗料組成物が記載されており、有機塗料組成物(A)に含有される樹脂成分として変性シリコーン樹脂を主体とするものが例示されており、また、硬化剤として有機チタネート化合物が例示されている。
上記塗料組成物を用いた塗膜は、硬化性、耐侯性に優れ、耐汚染性能を害することなく、極めて優れた外観を呈することも記載されている。
【0005】
(3)特開平6−145453号公報には、(A)一般式
【化9】
Figure 0005170922
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、R2は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基よりなる群から選ばれた1価の炭化水素基、aは0、1または2を示す)で表される基を含有するアルコキシシリル基含有アクリル共重合体100重量部、(B)テトラアルキルシリケート及び/又はその縮合物2〜60重量部、(C)硬化触媒からなる親水性硬化組成物が記載されている。
【0006】
(4)特開平11−116847号公報には、有機塗料組成物100重量部に対して、重量平均分子量が750〜50000である一般式(I):(R1O)4-aSiR2 a(式中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、R2は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、aは0または1を示す)で表わされるオルガノシリケート化合物の部分加水分解縮合物0.1〜15重量部を配合してなる上塗り塗料組成物であって、このものから形成された塗膜表面と水との接触角が65゜以下であることを特徴とする上塗り塗料組成物が記載されており、有機塗料組成物として変性シリコーン樹脂が例示されており、有機チタネート化合物等の硬化触媒を併用できることが記載されている。上記塗料組成物によって得られる塗膜は、外観性、耐侯性等を呈すると共に、水との接触角が低く、極めて優れた耐汚染性を呈することが記載されている。
【0007】
(5)特開平5−345877号公報には、(a)一般式R1Si(OR23(式中、R1は炭素数1〜8の有機基、R2は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物をオルガノシラン換算で100重量部、(b)一般式R1 2Si(OR22(式中、R1およびR2は前記に同じ)で表されるジオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物をジオルガノシラン換算で0〜150重量部、(c)末端あるいは側鎖に加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂2〜300重量部、(d)一般式Zr(OR3p(R4COCHCOR54-p、Ti(OR3q(R4COCHCOR54-qおよびAl(OR3r(R4COCHCOR53-r(式中、R3およびR4は同一または異なり炭素数1〜6のアルキル基、R5は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜16のアルコキシ基、p〜qは0〜3の整数、rは0〜2の整数を示す)で表される化合物の群から選ばれた少なくとも1種の金属キレート化合物を0.01〜50重量部、ならびに(e)有機溶媒、を含む組成物に、(f)一般式R4COCH2COR5(式中、R4およびR5は前記に同じ)で表されるβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類を、(d)金属キレート化合物1モルに対し2モル以上添加してなるコーティング用組成物が記載されている。
【0008】
(6)特開平7−173319号公報には、ベースフィルムの少なくとも片面に活性エネルギー線硬化樹脂層を積層してなるハードコートフィルムであって、前記硬化樹脂層の表面硬度がH以上でかつ水滴接触角が60°以下であることを特徴とするハードコートフィルムが記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記(1)〜(5)に記載されたコーティング組成物による塗膜の特性について、膜硬度、親水性の両方の特性を兼ね備えた塗膜ではない、もしくは親水性の特性が不十分なものである。
また、上記(6)に記載されたハードコートフィルムは、水滴接触角が60°以下であるものの、活性エネルギー線硬化樹脂を用いていることから、硬化方法に問題があった。親水性は、基体表面の防汚性の点でも重要であり、ハードコート性は、膜がヒビ割れにくい等の性質により、耐候性の点で重要である。
本発明は、従来のものよりも優れたハードコート性、親水性両特性を有する塗膜提供すると共に、比較的簡便な方法で基体表面にそのような塗膜を形成できる方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、テトラアルコキシシランの縮合物等のシラン化合物、金属チタンキレート化合物等の金属アルコキシド、上記シラン化合物、金属アルコキシドと縮合可能な樹脂を組合わせて得られる塗膜表面を、水、オゾンで処理することにより、表面を親水化することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、
(1)(a)ケイ素原子上に直接結合した炭素原子を含まないシラン化合物の加水分解縮合物、(b)有機基で置換及び/又は配位された金属アルコキシド及び/または自己もしくは他成分との加水分解縮合物、及び(c)末端または側鎖に加水分解性基及び/又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂及び/または自己もしくは他成分との加水分解縮合物を含有し、表面鉛筆硬度が3H以上かつ水滴接触角が40度以下の塗膜であることを特徴とする親水性ハードコート膜、
(2)該塗膜の表面鉛筆硬度が4H以上であり、水滴接触角が30度以下であることを特徴とする(1)に記載の親水性ハードコート膜、
(3)(a)ケイ素原子上に直接結合した炭素原子を含まないシラン化合物の加水分解縮合物、(b)有機基で置換及び/又は配位された金属アルコキシド及び/または自己もしくは他成分との加水分解縮合物、及び(c)末端または側鎖に加水分解性基及び/又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂及び/または自己または他成分との加水分解縮合物を含有し、成膜後、表面が水で処理されたことを特徴とする親水性ハードコート膜、
(4)水のpHが7以下であることを特徴とする請求項3に記載の親水性ハードコート膜、
(5)(a)ケイ素原子上に直接結合した炭素原子を含まないシラン化合物の加水分解縮合物、(b)有機基で置換及び/又は配位された金属アルコキシド及び/または自己もしくは他成分との加水分解縮合物、(c)末端または側鎖に加水分解性基及び/又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂及び/または自己もしくは他成分との加水分解縮合物を含有し、成膜後、表面がオゾン処理されたことを特徴とする親水性ハードコート膜、
(6)ケイ素原子上に直接結合した炭素原子を含まないシラン化合物が、式(I)
【化10】
SiXn1(R14-n1 …(I)
(式中、Xはハロゲン原子を表し、R1は、OR2、SR2、またはNR23を表し、R2、R3は、それそれ独立に、水素原子、C1〜C20アルキル基、C6〜C13アリール基、アシル基を表し、n1は0、または1〜4のいずれかの整数を表す。)で表されるシラン化合物であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の親水性ハードコート膜、
(7)金属アルコキシド中の金属が、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウムから選ばれる少なくとも1種の金属であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の親水性ハードコート膜、
(8)有機基が、式(II)
【化11】
4COCH2COR5 …(II)
(式中、R4、R5は、それぞれ独立に、C1〜C6アルキル基、C1〜C16アルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されているC1〜C6アルキル基を表し、R4、R5は同時にアルコキシ基になることはない。)で表されるβ−ジケトンまたはβ−ケトステル、及び式(III)
【化12】
6CO2H …(III)
(式中、R6は、C1〜C6アルキル基、またはハロゲン原子で置換されているC1〜C6アルキル基を表す。)で表されるカルボン酸からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の親水性ハードコート膜、
(9)有機基で置換及び/又は配位された金属アルコキシドが、式(IV)
【化13】
M(OR7m(R4COCHCOR5k-m …(IV)
(式中、Mは、アルミニウム、ジルコニウム、またはチタニウムを表し、R7はC1〜C6アルキル基を表し、R4、R5は、前記と同じ意味を表し、kは、Mの原子価を表し、mは、0、または1〜kのいずれかの整数を表す。)で表される化合物であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の親水性ハードコート膜に関する。
【0012】
また、
(10)(a)ケイ素原子上に直接結合した炭素原子を含まないシラン化合物及び/又はその加水分解縮合物、(b)有機基で置換及び/又は配位された金属アルコキシド、及び(c)末端または側鎖に加水分解性基及び/又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂を含有する塗布液を、基板上に塗布乾燥後、水と接触させることを特徴とする(1)また(2)に記載の親水性ハードコート膜の製造方法、
(11)(a)ケイ素原子上に直接結合した炭素原子を含まないシラン化合物及び/又はその加水分解縮合物、(d)金属アルコキシド、(e)式(II)
【化14】
4COCH2COR5 …(II)
(式中、R4、R5は、前記と同じ意味を表す。)で表されるβ−ジケトンまたはβ−ケトステル、及び式(III)
【化15】
6CO2H …(III)
(式中、R6は、前記と同じ意味を表す。)で表されるカルボン酸からなる群から選ばれた少なくとも1種、及び(c)末端または側鎖に加水分解性基及び/又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂を含有する塗布液を、基板上に塗布乾燥後、水と接触させることを特徴とする(1)また(2)に記載の親水性ハードコート膜の製造方法、
(12)水のpHが、7以下であることを特徴とする(10)又は(11)に記載の親水性ハードコート膜の製造方法、
(13)(a)ケイ素原子上に直接結合した炭素原子を含まないシラン化合物及び/又はその加水分解縮合物、(b)有機基で置換及び/又は配位された金属アルコキシド、及び(c)末端または側鎖に加水分解性基及び/又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂塗布液を、基板上に塗布乾燥後、塗布面をオゾン雰囲気下に放置することを特徴とする(5)に記載の親水性ハードコート膜の製造方法、
(14)(a)ケイ素原子上に直接結合した炭素原子を含まないシラン化合物及び/又はその加水分解縮合物、(d)金属アルコキシド、(e)式(II)
【化16】
4COCH2COR5 …(II)
(式中、R4、R5は、前記と同じ意味を表す。)で表されるβ−ジケトンまたはβ−ケトステル、及び式(III)
【化17】
6CO2H …(III)
(式中、R6は、前記と同じ意味を表す。)で表されるカルボン酸からなる群から選ばれた少なくとも1種、及び(c)末端または側鎖に加水分解性基及び/又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂を含有する塗布液を、基板上に塗布乾燥後、塗布面をオゾン雰囲気下に放置することを特徴とする(5)に記載の親水性ハードコート膜の製造方法に関する。
【0013】
さらに、
(15)(a)ケイ素原子上に直接結合した炭素原子を含まないシラン化合物及の加水分解縮合物、(b)有機基で置換及び/又は配位された金属アルコキシド及び/又は自己もしくは他成分との加水分解縮合物、及び(c)末端または側鎖に加水分解性基及び/又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂及び/又は自己及びまたは他成分との加水分解縮合物を含有するハードコート膜の表面を水で処理することを特徴とするハードコート膜の表面親水化方法、
(16)(a)ケイ素原子上に直接結合した炭素原子を含まないシラン化合物の加水分解縮合物、(b)有機基で置換及び/又は配位された金属アルコキシド及び/又は自己もしくは他成分との加水分解縮合物、及び(c)末端または側鎖に加水分解性基及び/又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂及び/又は自己もしくは他成分との加水分解縮合物を含有するハードコート膜の表面をオゾン処理することを特徴とするハードコート膜表面の親水化方法に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に使用されるシラン化合物は、ケイ素原子上に直接結合した炭素原子を含まない化合物であれば、特に限定されないが、好ましくは式(I)で表されるシラン化合物を例示することができる。
【0015】
式(I)中、Xはハロゲン原子を表し、具体的には、クロル原子、ブロモ原子、ヨウ素原子を例示することができる。R1は、OR2、SR2、またはNR23を表し、R2、R3は、それそれ独立に、水素原子、C1〜C20アルキル基、C6〜C13アリール基、アシル基を表し、R1として具体的には、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシ基、アセトキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、ベンジルチオ基、フェニルチオ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、フェニルアミノ基、アセチルアミノ基、トリフルオロアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等を例示することができる。n1は0、または1〜4のいずれかの整数を表し、R1を2以上有する場合、R1はそれぞれ、同一または相異なっていてもよい。
【0016】
中でも、R1としてOR2が好ましく、この場合R2は、特に、水素原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基、アリール基、好ましくはフェニル基などの炭素数6〜9のアリール基およびアラルキル基、好ましくはベンジル基などの炭素数7〜9のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基である。
【0017】
式(I)で表される化合物の好ましい具体例としては、前記オルガノシリケート化合物の具体例としては、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラn−プロピルシリケート、テトラi−プロピルシリケート、テトラn−ブチルシリケート、テトラi−ブチルシリケート、テトラt−ブチルシリケートなどのテトラアルキルシリケート、トリメチルクロロシリケート、トリエチルクロロシリケート、トリn−プロピルクロロシリケート、トリi−プロピルクロロシリケート、トリn−ブチルクロロシリケート、トリi−ブチルクロロシリケート、トリt−ブチルクロロシリケート等のトリアルコキシハロシリケート、ジメチルジクロロシリケート、ジエチルジクロロシリケート、ジn−プロピルジクロロシリケート、ジi−プロピルジクロロシリケート、ジn−ブチルジクロロシリケート、ジi−ブチルジクロロシリケート、ジt−ブチルジクロロシリケート等のジアルコキシジハロシリケート等を例示することができる。
【0018】
本発明に用いられるシラン化合物は、上記に示した単量体のみならず、これらの部分加水分解縮合物を塗布液の成分として使用することができる。前記オルガノシリケート化合物の部分加水分解縮合物としては、たとえば通常の方法でテトラアルキルシリケートやトリアルコキシシラン、トリアリールオキシシランなどのオルガノシリケート化合物を原料として、所定量の水を加えて酸触媒の存在下に、副生するアルコールを留去しながら通常、室温程度〜100℃で反応させる。この反応によりアルコキシシランは加水分解し、さらに縮合反応によりヒドロキシル基を2以上有する液状のシリケートオリゴマー(通常平均重合度2〜8程度、好ましくは3〜6)が加水分解物として得られる。
【0019】
加水分解の程度は、使用する水の量により適宜調節することができるが、通常40〜90%程度、好適には60〜80%程度から選ばれるのが好ましい。このようにして得られた加水分解物は、通常十数%のモノマーを含有しており、このまま用いても差支えないが、得られた加水分解からモノマーを除去し、好ましくは1%以下、更に好ましくは0.1%以下とすることによって、液状物の貯蔵安定性を高めることができる。モノマーの除去方法としては、蒸留等の常法のいずれもが使用できる。
【0020】
前記部分加水分解縮合物の重量平均分子量は、500〜50000であり、600〜40000であるのが好ましい。前記分子量が500未満では、耐汚染性が小さくなり、50000をこえると、仕上がり性、貯蔵安定性に劣る。
【0021】
部分加水分解縮合物の好ましい具体例としては、MS51、MS56、MS56S(三菱化学(株)製)、MSI51,ESI40(コルコート(株)製)などのテトラアルキルシリケートの部分加水分解縮合物があげられる。なかでも前記テトラアルキルシリケートの部分加水分解縮合物をさらに部分加水分解縮合させて、重量平均分子量750〜50,000程度にしたものが好ましい。これらは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0022】
本発明に用いられる金属アルコキシドは、配位又は置換可能な金属アルコキシドであれば特に制限されないが、そのような金属としてはアルミニウム、ジルコニウム、チタニウムから選ばれる少なくとも1種の金属を好ましく用いることができる。
【0023】
配位又は置換が可能な有機基として、具体的には、式(II)で表されるβ−ジケトンまたはβ−ケトエステル、及び式(III)で表されるカルボン酸から選ばれる少なくとも1種の有機化合物を好ましく例示することができる。
【0024】
式(II)で表される化合物中、R4、R5は、それぞれ独立に、C1〜C6アルキル基、C1〜C16アルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されているC1〜C6アルキル基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等のC1〜C6アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリル基、ステアリル基等のC1〜C16アルコキシ基、トリフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、ジフオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基等のハロゲン原子で置換されているC1〜C6アルキル基を例示することができる。但し、R4、R5は同時にアルコキシ基になることはない。
【0025】
式(II)で表される化合物として具体的には、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。
【0026】
式(III)で表される化合物中、R6は、C1〜C6アルキル基、またはハロゲン原子で置換されているC1〜C6アルキル基を表し、具体的には、R4、R5で例示されたアルコキシ基以外の基を同様に例示することができ、中でも、トリフルオロ酢酸を好適に例示することができる。これらのカルボン酸は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、また、式(II)で表されるβ−ケトエステルまたはβ−ジケトンと併用して用いることもできる。
【0027】
式(II)で表されるβ−ジケトンおよび/またはβ−ケトエステル、式(III)で表されるカルボン酸は、金属アルコキシ1モルに対し、その金属が配位または置換可能なモル数以上添加することが可能であるが、1〜2モル添加するのが好ましい。
【0028】
また、本発明に用いられる有機基で置換及び/又は配位された金属アルコキシドとして、具体的には、式(IV)で表される化合物等を好適に例示することができる。式(IV)で表される化合物中、Mは、アルミニウム、ジルコニウム、またはチタニウムを表し、R7はC1〜C6アルキル基を表し、R4、R5は、前記と同じ意味を表し、kは、Mの原子価を表し、mは、0、または1〜kのいずれかの整数を表す。R7として具体的には、R4、R5で例示したアルキル基と同様の置換基を例示することができる。
【0029】
式(IV)で表される化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などを例示することができる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。塗布液の成分としてこれらの化合物の部分加水分解物または部分加水分解縮合物を使用することもできる。
【0030】
本発明に用いられるシリル基含有ビニル系樹脂は、主鎖がビニル系重合体からなり、末端あるいは側鎖に加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上含有するものであり、該シリル基の多くは、下記式
【0031】
【化18】
Figure 0005170922
【0032】
(式中、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基などの加水分解性基および/または水酸基を表し、R8 は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜10のアラルキル基を表し、nは1〜3のいずれかの整数を表す。)で表される。
【0033】
上記式で表される反応性シリル基の共重合体中の数の上限としては、5個が耐久性に優れ、塗膜に割れなどの不具合が生じないという点から好ましい。また、反応性シリル基1個当りの分子量としては300〜10,000であるのが耐久性に優れ塗膜に割れなどの不具合が生じないという点から好ましく、500〜5,000がさらに好ましい。
また、上記反応性シリル基は、共重合体の主鎖の末端に結合していてもよく、側鎖に結合していてもよく、主鎖の末端および側鎖に結合していてもよい。
【0034】
シリル基含有ビニル系樹脂は、(イ)ヒドロシラン化合物を炭素−炭素二重結合を有するビニル系樹脂と反応させることにより製造してもよく、また(ロ)下記式
【0035】
【化19】
Figure 0005170922
【0036】
(式中、X、R8 、nは前記と同じ意味を表し、R9 は重合性二重結合を有する有機基を表す。)で表されるシラン化合物と、各種ビニル系化合物とを重合することにより製造してもよく、その製造方法は限定されるものではない。
【0037】
ここで、前記(イ)で示される製造方法で使用されるヒドロシラン化合物としては、例えばメチルジクロルシラン、トリクロルシラン、フェニルジクロルシランなどのハロゲン化シラン類;メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシランなどのアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシランなどのアシロキシシラン類;メチルジアミノキシシラン、トリアミノキシシラン、ジメチルアミノキシシラン、トリアミノシランなどのアミノシラン類が挙げられる。
【0038】
また、(イ)で示される製造方法で使用されるビニル系樹脂としては、水酸基を含むビニル系樹脂を除く以外に特に限定はなく、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸および無水マレイン酸などの酸無水物;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ化合物;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ化合物;(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、α−エチルアクリルアミド、クロトンアミド、フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド化合物;アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどから選ばれるビニル系化合物を共重合したビニル系樹脂が好ましい。
【0039】
一方、(ロ)で示される製造方法で使用されるシラン化合物としては、例えば下記式で表される化合物を例示することができる。
【0040】
【化20】
Figure 0005170922
【0041】
【化21】
Figure 0005170922
【0042】
(図中、pは0〜22の整数を表す。)
また、(ロ)で示される製造方法で使用されるビニル系化合物としては、前記(イ)の製造方法でビニル系樹脂の重合時に用いられるビニル系化合物を使用することが可能であるが、かかる(イ)の製造方法に記載された以外に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル、N−メチロールアクリルアミドなどの水酸基を含むビニル系化合物を挙げることもできる。
【0043】
以上のようなシリル基含有ビニル系樹脂の具体的な例としては、例えば下記式
【0044】
【化22】
Figure 0005170922
【0045】
(式中、R20 は水素原子またはメチル基、R21はメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基、R22はR20 と同様であり、R23はメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの炭素数1〜4のアルキレン基、R24はR21 と同様であり、m/(l+m)=0.01〜0.4、好ましくは0.02〜0.2である)で表されるトリアルコキシシリル基含有アクリル重合体を挙げることができる。このシリル基含有ビニル系樹脂の数平均分子量は、好ましくは2,000〜100,000、さらに好ましくは4,000〜50,000である。
【0046】
以上のような本発明に使用されるシリル基含有ビニル系樹脂の具体例としては、鐘淵化学工業(株)製、カネカゼムラックなどが挙げられる。
【0047】
(ロ)で示さされる共重合体の製造方法としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合いずれもにも制限されないが、中でも、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系ラジカル重合開始剤を用いたラジカル溶液重合法によって製造するのが好ましい。
【0048】
前記溶液重合法に用いられる溶剤は、非反応性のものであればよく、とくに制限はないが、たとえばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類;セロソルブアセテートなどのエーテルエステル類;メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン類;メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、オクタノールなどのアルコールなどがあげられる。
【0049】
また、前記溶液重合の際には、必要に応じて、たとえばn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、(CH3O)3Si−S−S−Si(OCH33、(CH3O)3Si−S8−Si(OCH33などの連鎖移動剤を単独または2種以上併用することにより、得られる共重合体の分子量を調整してもよい。とくに、たとえばγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシリル基を分子中に有する連鎖移動剤を用いたばあいには、共重合体の末端に反応性シリル基を導入することができるので好ましい。かかる連鎖移動剤の使用量は、用いる重合成分全量の0.05〜10%、特に0.1〜8%であるのが好ましい。
【0050】
希釈等に用いられる有機溶媒としては、主として成分を均一に混合させ、本発明の組成物の固形分を調整すると同時に、種々の塗装方法に適用できるようにし、組成物の分散安定性および保存安定性を向上させるものである。有機溶媒としては、成分を均一に混合させるものであれば特に限定されないが、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。
【0051】
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
【0052】
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。有機溶媒の組成物中の割合は特に限定されるものではなく、全固形分濃度を使用目的に応じて調節する量が用いられる。
【0053】
また、組成物には、得られる塗膜の硬度向上を目的としてコロイド状シリカを添加することも可能である。このコロイド状シリルとしては、水分散コロイド状シリカ、メタノールもしくはイソプロピルアルコールなどの有機溶媒分散コロイド状シリカを挙げることができる。
【0054】
また、本発明の組成物には、得られる塗膜の着色、厚膜化、下地への紫外線透過防止、防蝕性の付与、耐熱性などの諸特性を発現させるために、別途、充填材を添加・分散させることも可能である。この充填材としては、例えば有機顔料、無機顔料などの非水溶性の顔料または顔料以外の粒子状、繊維状もしくは鱗片状の金属および合金ならびにこれらの酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物などが挙げられる。この充填材の具体例としては、粒子状、繊維状もしくは鱗片状の鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ムライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、ピグメントグリーン、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーン黒、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデンなどを挙げることができる。
【0055】
これらの充填材の平均粒径または平均長さは、通常、50〜50,000nm、好ましくは100〜5,000nmである。充填材の組成物中の割合は、その他の全固形分100重量部に対し、10〜300重量部程度である。また、本発明の組成物をより速く硬化させるにあたっては、硬化条件により硬化促進剤を使用してもよく、比較的低い温度で硬化させるためには、硬化促進剤を併用する方が効果的である。
【0056】
かかる硬化促進剤としては、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性化合物;アルキルチタン酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸などの酸性化合物;エチレンジアミン、ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、メタフェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシランなどのアミン系化合物、(C49)2Sn(OCOC11232 、(C49)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2 、(C49)2Sn(OCOCH=CHCOOC49)2、(C8172Sn(OCOC11232、(C817)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2 、(C817)2Sn(OCOCH=CHCOOC49)2、(C817)2Sn(OCOCH=CHCOOC817)2、Sn(OCOOC8172 などのカルボン酸型有機スズ化合物;(C492Sn(SCH2COOC8172、(C492Sn(SCH2COOC817)2、(C8172Sn(SCH2COOC8172 、(C8172Sn(SCH2CH2COOC817)2、(C817)2Sn(SCH2COOC817)2、(C817)2Sn(SCH2COOC1225)2
【0057】
【化23】
Figure 0005170922
【0058】
などのメルカプチド型有機スズ化合物;
【0059】
【化24】
Figure 0005170922
【0060】
などのスルフィド型有機スズ化合物;(C492SnO、(C817)2SnO、または(C492SnO、(C8172SnOなどの有機スズオキサイドとエチルシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物などの有機スズ化合物などが使用される。これらの硬化促進剤の組成物中における割合は、本発明の組成物の固形分100重量部に対して、通常、0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部用いられる。
【0061】
なお、本発明の組成物には、そのほかオルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、テトラエトキシシランなどの公知の脱水剤、各種界面活性剤、前記以外のシランカップリング剤、チタンカップリング剤、染料、分散剤、増粘剤、レベリング剤などの添加剤を添加することもできる。
【0062】
本発明の親水性ハードコート膜を形成する各成分、すなわち(a)ケイ素原子上に直接結合した炭素原子を含まないシラン化合物の加水分解縮合物、(b)有機基で置換及び/又は配位された金属アルコキシド及び/または自己もしくは他成分との加水分解縮合物、及び(c)末端または側鎖に加水分解性基及び/又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂及び/または自己もしくは他成分との加水分解縮合物の重量比率((a)成分/(b)成分/(c)成分)は、0.1〜80/0.01〜80/15〜90の比率の範囲であるのが好ましく、特に1〜60/1〜40/30〜80の比率の範囲が好ましい。(c)成分が90重量%以上では、親水性が低下し、15重量%以下ではヒビ割れ等がおき基板との密着性が低下する。(a)成分が80重量%以上では、基板との密着性が低下し、0.1重量%以下では、ハードコート性が低下する。また、(b)成分が、80重量%以上では、基板との密着性が低下し、0.01重量%以下では、ハードコート性、親水性とも低下する。
【0063】
本発明の親水性ハードコート膜を形成させるコート液としては、(a)ケイ素原子上に直接結合した炭素原子を含まないシラン化合物の加水分解縮合物、(b)有機基で置換及び/又は配位された金属アルコキシド、及び(c)末端または側鎖に加水分解性基及び/又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂及び/または自己もしくは他成分との加水分解縮合物を含有する塗布液を例示することができる。上記、各成分の重量比率は、前記した(a)成分/(b)成分/(c)成分の重量比率を例示することができ、そのその全固形分濃度は、好ましくは50重量%以下であり、使用目的に応じてその全固形分濃度を適宜調整して用いられる。薄膜形成基材への含浸を目的とするときには、通常、全固形分濃度は5〜30重量%である。また、厚膜形成や、前述の充填材を分散させる目的で使用するときには、通常、全固形分濃度は20〜50重量%、好ましくは25〜40重量%であり、50重量%を超えると、組成物の保存安定性が悪化して好ましくない。
【0064】
また、(b)有機基で置換及び/又は配位された金属アルコキシドの代わりに、(d)金属アルコキシド、並びに(e)式(II)で表されるβ−ジケトンまたはβ−ケトエステル及び式(III)で表されるカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。この場合、(d)金属アルコキシドに対して(e)式(II)または(III)で表される化合物の置換または配位が促進されるように、水を添加するのが好ましい。水の添加量は、(d)金属アルコキシド1モルに対して1モル以上であれば特に制限されないが、用いられる(e)式(II)または式(III)で表される化合物のモル数以下が好ましい。
【0065】
本発明に用いられるコート液を調製する方法は、特に制限されないが、特に(1)(c)成分に(a)成分を添加し、さらに(b)成分を添加する方法、(2)(a)成分に(b)成分を添加し、さらに(c)成分を添加する方法、(3)(c)成分に(b)成分を添加して、さらに(b)成分を添加する方法を好ましく例示することができる。
【0066】
本発明の親水性ハードコート膜は、対象物である基材の表面に刷毛、スプレー、ディッピングなどの塗装手段により、1回塗りで厚さ0.5〜40μm程度、2〜3回の塗装で厚さ2〜80μm程度の塗膜を形成することができ、常温での乾燥、あるいは30〜200℃程度の温度で10〜60分間程度加熱し、乾燥することにより塗膜を形成することが可能である。本発明の組成物がコーティングされる基材としては、例えばステンレス、アルミニウム、セラミックス、セメント、紙、ガラス、プラスチック、無機窯業系基板、布帛などが挙げられる。
【0067】
この基材にコーティングするに際し、基材との密着性向上、あるいは多孔質基材の目止め、平滑化、膜様付けなどを目的として、従来公知のアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂系などのプライマーをあらかじめ形成した基材を用いることも可能である。また、充填材を含有する本発明の組成物を用いて形成した塗膜の耐摩耗性、光沢を高めることを目的に、米国特許第3,986,997号明細書、米国特許第4,027,073号明細書に記載のコロイダルシリカとシロキサン樹脂の安定な分散液などのようなシロキサン樹脂を必須成分とするクリア層を形成することも可能である。
【0068】
本発明は、従来にない親水性、ハードコート性を塗膜に付与するため、上記成分の塗膜を成膜後、水、またはオゾンで塗膜表面を処理することを特徴とする。水は、pHが7の水でも構わないが、pHが7以下の水すなわち、酸性水で処理するのが好ましい。この場合、酸性成分としては、無機酸であれば特に制限されなが、硫酸を好ましく用いることができる。pHは、基板が酸性条件下で耐性を示すものであれば特に制限されない。
【0069】
水で処理する方法は、一定時間水と接触することができれが特に制限されないが、具体的には水中に一定時間浸漬する方法、基板に繰返し水を塗布する方法、流水中に放置する方法等を例示することができる。時間は、用いる水とのpHにもよるが、30分以上が好ましい。
【0070】
オゾンで処理する方法は、表面がオゾンに接触できれば特に制限されず、具体的には、オゾン雰囲気下に塗膜表面を放置する方法、オゾンを塗膜表面に吹き付ける方法等を例示することができる。処理時間は特に制限されないが、4分以上であるのが好ましい。
【0071】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【0072】
【実施例】
実施例1
テトライソプロポキシチタンイソプロパノール溶液(日本曹達(株)社製、酸化物換算固形分量28.2重量%)、アセト酢酸エチル(和光純薬社製、試薬特級)、イオン交換水をモル比1:2:1になるように混合し、エタノールで希釈して酸化物換算固形分10重量%の溶液Aを調整した。
溶液Aと、メチルシリケート(MS51、コルコート社製)、アクリルシリコーン樹脂(AS樹脂)(鐘淵化学社製、YC5920(Tg:52℃、酸化物換算ケイ素含有量:12.36%)、YC7902(Tg:20℃、酸化物換算ケイ素含有量:4.57%)、YC3918(Tg:60℃、酸化物換算ケイ素含有量:2.44%))EBA(エタノール/s−ブタノール/酢酸エチル)溶液(固形分濃度10重量%)を、下記第1表に示す固形分重量比率で混合し、エタノールで希釈して固形分量10重量%の各種コート液B(B−1〜B−13)を作成した。
【0073】
【表1】
Figure 0005170922
但し、表中の数値は、各溶液中に含まれる固形分の重量比率を表す。
a:YC5920、b:YC7902、c:YC3918
【0074】
ガラス基板上に、上記のように調整したコート液Bをバーコータを用いて塗布し、塗膜C1〜C7については150℃で1時間で、塗膜C8〜C12については150℃で30分乾燥して、膜厚2μmの塗膜C(C−1〜C−12)を得た。
上記のように調整した塗膜Cを、イオン交換水に浸漬し、1時間、3時間、16時間ごとにその物性を評価し、その結果を第2表にまとめて示す。
【0075】
【表2】
Figure 0005170922
また、C8〜C10の塗膜試料に対して、硫酸0.1重量%、1.0重量%の水を用いて浸漬し、表面の物性の経時変化を測定した。その結果を第3表にまとめて示す。
【0076】
【表3】
Figure 0005170922
【0077】
また、上記のように調整した塗膜C4、C8〜C12を、オゾン雰囲気下に置き、表面物性の経時変化を測定し、その結果を第4表にまとめて示す。
【0078】
【表4】
Figure 0005170922
a:オゾン処理時間(単位:分)を表す。
【0079】
なお、上記表面物性の試験方法につき、以下に示す。
表面特性試験
親水性(水滴接触角)
各試料の表面層にマイクロシリンジから水滴5μlを滴下した後、80秒後に、接触角測定器(エルマ(株)社製、360S型)を用いて試料表面の接触角を測定した。
ハードコート性(表面鉛筆硬度)
JIS K 5400−1900 8.4 鉛筆引っかき値 8.4.1 試験機法に記載された方法に準拠して、重り荷重1kgで測定し、(5)(b)塗膜の擦り傷で評価する場合に準じて鉛筆硬度を評価した。
密着性(テープ剥離試験)
各試料にセロテープを貼り付け複数回指の腹で擦りつけその後、テープを引き剥がした際、基板上の膜が剥離しているかを目視により観察した。
評価 ○:剥離しない
評価 ×:剥離する
膜外観
目視により、膜の外観を観察した。
【0080】
実施例2
ガラス基板上に、実施例1と同様に調整したコート液B−1、B−2、B−6をバーコータを用いて塗布し、室温で1時間風乾した後、膜厚2μmの塗膜C(C−13、C−14、C−15)を得た。調整した各塗膜Cをイオン交換水に浸漬し、3時間、16時間ごとにその物性を評価し、その結果を第5表にまとめて示す。
【0081】
【表5】
Figure 0005170922
【0082】
実施例3
ポリエステル基板上に、アクリル樹脂溶液(大日本インク工業社製、アクリディックA-190樹脂固形分濃度10重量%EBA溶液)をバーコータを用いて塗布し、80℃で1時間乾燥させて膜厚1μmのプライマー層を形成した後、実施例1と同様に調整したコート液B−1〜B−5、B−7をバーコータを用いて塗布し、150℃で1時間乾燥させ、膜厚2μmの塗膜C(C16〜C21)を得た。調整した各塗膜Cをイオン交換水に浸漬し、16時間後にその物性を評価し、その結果を第6表にまとめて示す。
【0083】
【表6】
Figure 0005170922
【0084】
実施例4
ガラス基板上に、実施例1と同様に調整したコート液B−8、B−9をバーコータを用いて塗布し、150℃、30分間乾燥させて膜厚2μmの塗膜C(C−22,C−23)を得た。室温で0.1%希硫酸溶液に1.5時間浸漬したのち、下記方法にしたがって、塗膜の防汚特性を調べ、その結果をまとめて第7表に示す。
なお、比較のため、0.1%希硫酸処理する前の塗膜をC−24、C−25として、同様の試験を行った。
【0085】
なお、塗膜の防汚特性を以下示す試験方法で評価した。
防汚特性試験
1.オイル除去試験−1
オレイン酸を塗膜全面に塗り、1分間静置後、水道水の入ったビーカー中に浸漬し、オレイン酸が除去できるかを評価した。
○:オレイン酸が水中に脱離した
×:オレイン酸が水中に脱離せずに塗膜表面に残る。
2.オイル除去試験−2
オレイン酸を塗膜の全面に塗り、1分間静置後、水道水をシャワー状態にし、1分間かけ、オレイン酸が除去できたかどうかを目視で観察して判断した。
○:オレイン酸が塗膜表面から除去された。
×:オレイン酸が塗膜表面に残存した。
3.オイル除去試験−3
サラダオイルを塗膜の全面に塗り、1分間静置後、水道水をシャワー状態にし、1分間かけ、オレイン酸が除去できたかどうかを目視で観察して判断した。
○:サラダオイルが塗膜表面から除去された。
×:サラダオイルが塗膜表面に残存した。
【0086】
【表7】
Figure 0005170922
【0087】
また、オイル除去試験−2において、C−22、C−23の塗膜において、水洗してオレイン酸除去後、同様の操作を10回繰りかえしても、その除去効果に変化は見られなかった。
【0088】
比較例1
実施例1と同様にして、溶液A、MS−51、AS樹脂を、下記第8表に示す割合で混合し、コート液B(B−13,B−14)を調整した。
【0089】
【表8】
Figure 0005170922
a:YC5920
【0090】
ガラス基板上に、上記のように調整したコート液Bをバーコータを用いて塗布し、150℃で30分乾燥し、膜厚2μmの塗膜C(C−26〜C−27)を得た。
上記のように調整した塗膜Cを、イオン交換水に浸漬し、1時間、3時間、16時間ごとにその物性を評価し、その結果を第9表にまとめて示す。
【0091】
【表9】
Figure 0005170922
a:乾燥後、膜が剥離して測定することができなかったため、以後の測定は行えなかった。
b:膜が剥離したため以後の測定を行うことができなかった。
【0092】
実施例5
テトライソプロポキシチタンイソプロパノール溶液(Ti溶液)(日本曹達(株)社製、酸化物換算固形分量28.2重量%)、アセト酢酸エチル(EAcAc)(和光純薬社製、試薬特級)、アセチルアセトン(AcAc)(和光純薬社製、試薬特級)、トリフルオロ酢酸(TFAc)(和光純薬社製、試薬特級)、イオン交換水(H2O)を下記第10表し示すモル比で混合し、エタノールで希釈して酸化物換算固形分10重量%の溶液A(A−1〜A−7)を調整した。
【0093】
【表10】
Figure 0005170922
【0094】
上記のように調整した溶液Aと、メチルシリケート(MS51、コルコート社製)、アクリルシリコーン樹脂(AS樹脂)(鐘淵化学社製、YC5920(Tg:52℃、酸化物換算ケイ素含有量:12.36%))EBA(エタノール/s−ブタノール/酢酸エチル)溶液(固形分濃度10重量%)を、固形分重量比率5/65/30で混合し、エタノールで希釈して固形分量10重量%の各種コート液 B(B−16〜B−22)を作成した。
ガラス基板上に、上記のように調整したコート液Bをバーコータを用いて塗布し、150℃で30分乾燥して、膜厚2μmの塗膜C(C28〜C34)を得た。
上記のように調整した塗膜Cを、0.1重量%希硫酸溶液に1時間浸漬し、浸漬前と浸漬後の物性を評価し、その結果を第11表にまとめて示す。
【0095】
【表11】
Figure 0005170922
【0096】
実施例6
テトラn−ブトキシジルコニウムn−ブタノール溶液(Zr溶液)(日本曹達(株)社製、酸化物換算固形分量28.2重量%)、アセト酢酸エチル(EAcAc)(和光純薬社製、試薬特級)、イオン交換水をモル比1/2/1で混合し、エタノールで希釈して酸化物換算固形分10重量%の溶液A(A−8)を調整した。
上記のように調整した溶液Aと、メチルシリケート(MS51、コルコート社製)、アクリルシリコーン樹脂(AS樹脂)(鐘淵化学社製、YC5920(Tg:52℃、酸化物換算ケイ素含有量:12.36%))EBA(エタノール/s−ブタノール/酢酸エチル)溶液(固形分濃度10重量%)を、固形分重量比率5/45/55で混合し、エタノールで希釈して固形分量10重量%のコート液 B(B−23)を作成した。
ガラス基板上に、上記のように調整したコート液Bをバーコータを用いて塗布し、150℃で30分乾燥して、膜厚2μmの塗膜C(C−35)を得た。
上記のように調整した塗膜Cを、0.1重量%希硫酸溶液に1時間浸漬し、浸漬前と浸漬後の物性を評価し、その結果を第12表にまとめて示す。
【0097】
【表12】
Figure 0005170922
【0098】
実施例7
実施例1と同様にして溶液Aを調整した。溶液Aと、メチルシリケート(MS51、コルコート社製)、アクリルシリコーン樹脂(AS樹脂)(鐘淵化学社製、YC3918(Tg:60℃、酸化物換算ケイ素含有量:2.44%))EBA(エタノール/s−ブタノール/酢酸エチル)溶液(固形分濃度10重量%)を、固形分重量比率5/65/30となるように下記手順で混合し、エタノールで希釈して固形分量10重量%の各種コート液B(B−24)を作成した。
手順1:AS樹脂溶液にMS51を添加し、さらに溶液Aを添加して調整
手順2:MS51に、溶液Aを添加し、さらにAS樹脂溶液を添加して調整
手順3:AS樹脂溶液に、溶液Aを添加して、さらにMS51を添加して調整
ガラス基板上に、上記のように調整したコート液Bをバーコータを用いて塗布し、150℃で30分乾燥して、膜厚2μmの塗膜C(C−36〜C−38)を得た。
上記のように調整した塗膜Cを、0.1重量%希硫酸溶液に1時間浸漬し、処理前と処理後のその物性を評価し、その結果を第13表にまとめて示す。
【0099】
【表13】
Figure 0005170922
【0100】
【発明の効果】
以上、述べたように、本発明に方法を用いることにより、従来をよりも優れた親水性、ハードコート性を有する塗膜を得ることができ、また、あらゆる基材に塗工が可能であることから、その産業上の利用価値は高いといえる。

Claims (2)

  1. (a)ケイ素原子上に直接結合した炭素原子を含まないシラン化合物及び/又はその加水分解縮合物、(b)金属が、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウムから選ばれる少なくとも1種の金属であり、有機基で置換及び/又は配位された金属アルコキシド、及び(c)末端または側鎖に加水分解性基及び/又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂を含有する塗布液を、基板上に塗布乾燥後、水と接触させることを特徴とする、鉛筆硬度が3H以上かつ水滴接触角が40度以下の親水性ハードコート膜の製造方法。
  2. (a)ケイ素原子上に直接結合した炭素原子を含まないシラン化合物及び/又はその加水分解縮合物、(d)金属が、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウムから選ばれる少なくとも1種の金属である金属アルコキシド、(e)式(II)
    【化1】
    4COCH2COR5…(II)
    (式中、R4、R5は、それぞれ独立に、C1〜C6アルキル基、C1〜C16アルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されているC1〜C6アルキル基を表し、R 4 、R 5 は同時にアルコキシ基になることはない。)で表されるβ−ジケトンまたはβ−ケトステル、及び式(III)
    【化2】
    6CO2H…(III)
    (式中、R6は、C1〜C6アルキル基、またはハロゲン原子で置換されているC1〜C6アルキル基を表す。)で表されるカルボン酸からなる群から選ばれた少なくとも1種、及び(c)末端または側鎖に加水分解性基及び/又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂を含有する塗布液を、基板上に塗布乾燥後、水と接触させることを特徴とする、鉛筆硬度が3H以上かつ水滴接触角が40度以下の親水性ハードコート膜の製造方法。
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