JP5168824B2 - 負性抵抗素子の製造方法、単電子トンネル素子の製造方法、光センサの製造方法および機能素子の製造方法 - Google Patents

負性抵抗素子の製造方法、単電子トンネル素子の製造方法、光センサの製造方法および機能素子の製造方法 Download PDF

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この発明は、負性抵抗素子およびその製造方法ならびに単電子トンネル素子およびその製造方法ならびに光センサおよびその製造方法ならびに機能素子およびその製造方法に関し、例えば、単電子トランジスタ、単電子ポンプ、単電子メモリなどに適用して好適なものである。
単電子トランジスタ、単電子ポンプ、単電子メモリなどの単電子トンネル効果を利用した素子は、近来の低消費電力素子や新型論理素子(ロジック素子)などとして注目されている。例えば、単電子トランジスタは、現在、半導体トランジスタの主流をなすMOSFETでは限界に達しつつある超小型化および省電力化の要請に対して、限界点を克服可能な一つの代案として有力な侯補である。この単電子トランジスタは、電子一つを制御することができ、きわめて低い電力で動作させることができる。また、その少数電子の動きを複数個のゲートで変調することによって、これまでの論理とは異なる論理に基づく計算システムを構築することができる。しかしながら、この単電子トランジスタを常温でエラーを生じることなく動作させるためには、寸法が数ナノメートル(nm)の半導体ドットを複数個接合した状態で所望の位置に再現性よく形成する技術が要求される。このために、電子線リソグラフィ、フォトリソグラフィ、もしくはAFM(Atomic Force Microscope)リソグラフィなどの様々なリソグラフィ技術が検討されているが、トップダウン的なリソグラフィ技術では大規模な構造を作製するまでには至っていない。
この問題を解決するため、近年、ボトムアップ的な自己組織化法の検討が進んでいる。これまで、GaAs、InP、Siなどの半導体において、自己組織化法を用いて寸法が数nmのドットが作製されている。しかしながら、単電子トランジスタなどの単電子トンネル素子を構成するには、電荷島であるナノサイズのドットだけでなく、ドット間を繋ぐトンネル障壁が必要となる。
このナノドットの形成とナノドット間のトンネル障壁の形成とを同時に達成可能な自己組織化法としてこれまで報告されているものは、GaAs/AlGaAs多重ナノドット構造体(非特許文献1参照。)とSi/SiO2 多重ナノドット構造体(非特許文献2、3参照。)との2通りのみであった。
なお、ZnOの非線形抵抗特性を利用したZnOバリスタは避雷針などに用いられているが、この非線形抵抗特性の原因はZnO−ZnOの結晶粒界で特異的に二重ショットキー障壁が形成されることにあることが知られている(非特許文献4、5、6参照。)。ただし、ZnOの粒径は1〜100μmと大きい。
T.Fukui et al.,Appl.Phys.Lett.58,2018(1991) R.Nuryadi et al.,Appl.Phys.Lett.86,133106(2005) R.Nuryadi et al.,Phys.Rev.B 73,045310(2006) F.M.Hossain et al.,J.Appl.Phys.,94,7768(2003) 「半導体セラミックスの応用技術」第9章 監修:塩嵜 忠(株式会社シーエムシー出版) D.R.Clarke,J.Am.Ceram.Soc.,82,485(1999)
しかしながら、上述のGaAs/AlGaAs多重ナノドット構造体およびSi/SiO2 多重ナノドット構造体は、いずれも作製プロセスが非常に煩雑で作製コストが極めて高いだけでなく、使用できる基板材料が限定的な単結晶基板に限られること、応用面でもGaAsおよびSiは禁制帯幅(バンドギャップ)が小さいためにノイズに敏感であり、光や磁場、宇宙線などの影響が無視できないなどの多くの問題を抱えている。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、簡単なプロセスにより低コストで製造することができ、基板選択性も高く、常温を含むより高温で動作可能でしかもノイズにも強い負性抵抗素子および単電子トンネル素子ならびにこれらの素子の製造方法を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、簡単なプロセスにより低コストで製造することができ、基板選択性も高く、常温を含むより高温で動作可能でしかもノイズにも強い光センサおよびその製造方法を提供することである。
この発明が解決しようとする課題は、より一般的には、簡単なプロセスにより低コストで製造することができ、基板選択性も高く、常温を含むより高温で動作可能でしかもノイズにも強い、負性抵抗素子、単電子トンネル素子、光センサなどを含む各種の機能素子およびその製造方法を提供することである。
本発明者は、多重ナノドット構造体としてはGaAs/AlGaAs多重ナノドット構造体およびSi/SiO2 多重ナノドット構造体の2通りのみしか報告されていないという状況の下で、ほとんど無限と言える多種の半導体の中から、これらの欠点を解消することができる半導体材料の探索を行った結果、多重ナノドット構造体を構成するナノドットの半導体としてZnOなどの酸化物半導体を用いることにより、従来技術が有する上記の欠点を一挙に解消することができ、上記の課題を一挙に解決することができることを見出した。すなわち、酸化物半導体を用いることにより、ナノドットの形成とナノドット間の界面でのトンネル障壁の形成とを自己組織化法を用いて同時に達成することができ、二次元構造の多重ナノドット構造体を容易に得ることができる。この場合、トンネル障壁としては、酸化物半導体から成るナノドット間の結晶粒界に自然形成する二重ショットキー障壁を利用することができる。この多重ナノドット構造体を用いることにより、新規な単電子トランジスタなどの単電子トンネル素子あるいは負性抵抗素子を容易に実現することができる。これについてより詳細に説明すると次のとおりである。
まず、半導体ナノドットにおける電子閉じ込め効果について考察する。
ナノスケールの微小トンネル接合では、接合に蓄えられる静電エネルギーの効果が大きくなり、外部からエネルギー(電場、磁場、光などの外場)を与えない限りトンネル効果が抑制されるクーロンブロッケード現象を観測することができる。さらに、微小トンネル接合を二重に接続したナノドット構造を形成すると、電子一つ一つの帯電現象にともなうクーロン振動を観測することができる。これらの単電子トンネル現象は、リーク電流の問題や少数電子の揺らぎの問題を解決するナノスケールデバイスの動作原理として注目されている。
一つの電子がトンネル障壁を通過する際の静電エネルギーの変化は
Figure 0005168824
で与えられる。ここで、eは電荷素量、Cは接合容量である。kB をボルツマン定数とするとき、温度Tが
Figure 0005168824
より低くなければ、熱励起による電子のためクーロンブロッケードの観測はできない。しかしながら、電荷島(クーロン島)の寸法が小さくなると、サイズ効果も顕著になり、電子がトンネルするために必要なエネルギーEtotal は静電エネルギーEc に量子効果によるエネルギー(電子の運動エネルギー)EK を加えたものになる。
Figure 0005168824
ここで、EK はシュレーディンガー方程式(4)を解くことによって導かれる。
Figure 0005168824
ただし、
Figure 0005168824
は電子の波動関数、mは電子の有効質量である。
静止電子に比べて電子の有効質量mの小さい半導体の場合は、式(4)に示すように、EK の寄与が大きくなるので、特性は複雑になり純粋な古典理論だけによるクーロンブロッケードの記述は困難になるが、より高温でも単電子トンネル現象の観察が可能になることがわかる。表1に各種半導体の物理定数を示す。ただし、表1においては、静止電子の質量(電子の静止質量)をm0 、電子有効質量をme と表している。
Figure 0005168824
酸化物半導体であるZnO(電子有効質量は0.24m0 )を用いたナノドット、すなわちZnOナノドットにおいて以上の計算を行った結果を図1に示す。ただし、図1の横軸はドット径(ドットサイズ)、縦軸はEc 、EK およびEtotal である。図1に示すように、ドット径60nmにおいてT0 =77Kであり、ドット径を60nm以下にすることによって77K(液体窒素温度)での動作可能であり、ドット径20nmにおいてT0 =320Kであり、ドットサイズを20nm以下にすることによって室温動作が可能であることがわかる。しかしながら、二重トンネル接合を単電子トンネル素子としてエラーを生じることなく安定動作させるためには、T0 が100T程度の大きさが必要と言われており、これを実現させるためには加工寸法を1nm以下にしなければならなくなる(K.Likharev:Single-Electron Devices and Their Applications,Proc.IEEE,87,606(1999)) 。このスケールで精度良く加工することは、現時点の技術では非常に困難である。そこで、トンネル接合をさらに多重化して多重トンネル接合とする方法が提案されている(H.Ikeda et al.,Jpn.J.Appl.Phys,43,L759(2004)) 。つまり、単電子トンネル素子のエラーの原因は熱揺らぎによるトンネル現象の不安定性にあるので、トンネル接合を三重以上に多重化することによって、熱的な影響によるエラー率を大幅に緩和することができる。図2Aに二つのトンネル接合J1 、J2 を接合した二重トンネル接合を、図2Bに三つ以上のトンネル接合J1 、J2 、J3 、J4 、J5 、J6 …を接合した多重トンネル接合を模式的に示す。この方法により現実的なドット径で単電子トンネル素子の実現が可能となる。
ナノドットの多重化によって多重トンネル接合を作製するためには、ナノドットのエネルギー準位が離散化しても、電子の流入または流出を妨げる(制御する)トンネル障壁が必要である。しかしながら、多数のナノドット間に数Å程度の厚さの均一なトンネル障壁を形成することは非常に困難であり、現時点では、エピタキシャル成長法によって制御可能なGaAsナノドット系および均一な自然酸化膜が形成されるSiナノドット系でのみ多重ナノドット構造体が実現できている(非特許文献1、2、3参照。)。
これに対して、ZnOなどの酸化物半導体を用いた多重ナノドット構造体では、酸化物半導体ナノドットの結晶粒界において二重ショットキー障壁が顕著に発現することから、この二重ショットキー障壁をトンネル障壁として用いることができる。図3にこの酸化物半導体を用いた多重ナノドット構造体の二重ショットキー障壁を模式的に示す。図3において、Ev はこの酸化物半導体の価電子帯の上端のエネルギー、Ec は伝導帯の下端のエネルギーを示す。酸化物半導体多結晶体の電気伝導機構はこの二重ショットキー障壁のトンネル伝導で説明することができる。逆に言えば、ZnO−ZnOドット接合などの酸化物半導体−酸化物半導体ドット接合では、ドット間に意図的な障壁層を設けなくとも自然にトンネル障壁が形成されるため、プロセスを大幅に簡略化できる。
この発明は、本発明者による上記の研究に基づいてさらに検討を行った結果、案出されたものである。
すなわち、上記課題を解決するために、第1の発明は、
酸化物半導体から成る複数のナノドットが一面内において二重ショットキー障壁を介して互いに接合した多重ナノドット構造体によりチャネル領域が構成された電界効果トランジスタから成ることを特徴とする負性抵抗素子である。
ここで、多重ナノドット構造体においては、酸化物半導体から成るナノドットと二重ショットキー障壁とが二次元的に交互に配置されている。典型的には、多重ナノドット構造体により構成されたチャネル領域に対しゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられる。必要に応じて、ゲート電極が複数設けられた多ゲート構造としてもよい。電界効果トランジスタは、多重ナノドット構造体により構成されたチャネル領域に対しゲート電極がショットキー接触して設けられたMESFETとしてもよい。また、電界効果トランジスタはバックゲート構造であっても、トップゲート構造であってもよい。ナノドット間の二重ショットキー障壁は、典型的にはトンネル障壁として用いられ、この場合、負性抵抗素子はトンネル負性抵抗素子となる。ナノドットの径は、この負性抵抗素子の動作温度や要求されるエラー率などに応じて適宜選ばれるが、この負性抵抗素子を例えば液体窒素温度(77K)で動作させる場合には好適には約60nm以下であり、室温で動作させる場合には好適には約20nm以下である(図1参照)。なお、ナノドットの径は、ナノドットの配列面内における最大径を意味するものと考える。このナノドットの径は、電子顕微鏡やX線回折などにより容易に測定することができる。
酸化物半導体は、例えば、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sn、Ga、In、BiおよびSrから成る群より選ばれた少なくとも一種類以上の元素を含むものであるが、これに限定されるものではない。この酸化物半導体の具体例を挙げると、酸化チタン(IV)(TiO2 )、酸化バナジウム(V)(V2 5 )、酸化クロム(III)(Cr2 3 )、酸化マンガン(II)(MnO)、酸化鉄(III)(Fe2 3 )、四酸化三コバルト(II)(Co3 4 )、酸化ニッケル(II)(NiO)、酸化銅(I)(Cu2 O)、酸化亜鉛(II)(ZnO)、酸化スズ(IV)(SnO2 )、酸化ガリウム(III)(Ga2 3 )、酸化インジウム(III)(In2 3 )、酸化ビスマス(III)(Bi2 3 )、酸化ストロンチウム(II)(SrO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3 )、チタン酸バリウム(BaTiO3 )など、酸化チタンと酸化タングステン(WO3 )との複合体(TiO2 −WO3 複合体)やTiO2 −CaCu3 Ti4 12複合体などであるが、これに限定されるものではない。これらの酸化物半導体ではドット界面に二重ショットキー障壁が形成される(例えば、ZnOについてはM.Matsuoka,Jpn.J.Appl.Phys.10,736(1971) およびD.R.Clarke,J.Am.Ceram.Soc.,82,485(1999) 、TiO2 についてはM.F.Yan and W.W.Rhodes,Appl.Phys.Lett.40,536(1982)、SnO2 についてはP.R.Bueno
et al.,J.Appl.Phys.88,6545(2000)、SrTiO3 についてはY.Nakano and N.Ichinose,J.Mater.Res.5,2910(1990)、BaTiO3 についてはT.R.N.Kutty and V.Ravi,Appl.Phys.Lett.59,2691(1991) 、TiO2 −WO3 複合体についてはWen-Bin Su et al.,J.Appl.Phys.92,4779(2002) 、TiO2 −CaCu3 Ti4 12複合体についてはYuan-Hua Lin et.al.,Appl.Phys.Lett.88,172902(2006)参照。) 。また、これらの材料にBi2 3 、Sb2 2 、CoO、Nb2 5 、Cr2 3 、Ta2 5 、V2 5 、MnO2 、CuOなどを混合することにより二重ショットキー障壁が形成されやすくなる。これらの酸化物半導体の多くは、いわゆるワイドギャップ半導体であり、可視光に対して透明である。このため、ワイドギャップ半導体である酸化物半導体を用いることにより、透明な負性抵抗素子を実現することができる。
第2の発明は、
酸化物半導体から成る複数のナノドットが一面内において二重ショットキー障壁を介して互いに接合した多重ナノドット構造体によりチャネル領域が構成された電界効果トランジスタから成る負性抵抗素子の製造方法であって、
基板上にマスク材から成る微粒子層を形成する工程と、
上記微粒子層が形成された上記基板の面の法線に対して傾斜した方向から上記基板上に上記酸化物半導体を堆積させる工程と、
上記微粒子層が形成された上記基板の面の法線にほぼ平行な方向から上記基板上に上記酸化物半導体を堆積させる工程と、
上記微粒子層を除去する工程と、
上記酸化物半導体が堆積された上記基板を熱処理する工程とを有することを特徴とするものである。
基板は、典型的には、少なくともその表面層が絶縁物質から成るか、全体が絶縁物質から成るものであるが、これに限定されるものではない。基板は、具体的には、例えば、各種の半導体基板(導電性または非導電性)の表面に酸化膜、窒化膜などの絶縁膜が形成されたもの、石英基板、サファイア基板、ガラス基板などであるが、これに限定されるものではない。基板上に形成するマスク材からなる微粒子層は、後に酸化物半導体を堆積させる際のテンプレートとして用いられ、シャドーマスクとなるものであり、典型的には、最密充填構造で微粒子が配列したものであるが、これに限定されるものではない。この微粒子層を構成するマスク材としては、各種のものを用いることができるが、好適には、容易に除去することができるもの、特に有機物質が用いられ、最も好適にはポリスチレンが用いられる。この微粒子は一般的には球状であり、その径は形成すべきナノドットの径に応じて適宜選択される。
微粒子層が形成された基板の面の法線に対して傾斜した方向から、好適には基板をその中心の周りに自転させながら、微粒子層から成るテンプレートをシャドーマスクとして基板上に酸化物半導体を堆積させることにより、微粒子の間の隙間の部分の基板上に細線状に堆積させることができる。一方、微粒子層が形成された基板の面の法線にほぼ平行な方向から、好適には基板をその中心の周りに自転させながら、微粒子層から成るテンプレートをシャドーマスクとして基板上に酸化物半導体を堆積させることにより、最近接の三つの微粒子の間の隙間の部分の基板上にドット状に堆積させることができる。これらの工程の実施の順序は問わないが、好適には、微粒子層が形成された基板の面の法線に対して傾斜した方向から基板上に酸化物半導体を堆積させた後、微粒子層が形成された基板の面の法線にほぼ平行な方向から基板上に酸化物半導体を堆積させる。
上述のようにして酸化物半導体を堆積させた後、微粒子層を溶解などにより除去する。このとき、この微粒子層上に堆積された酸化物半導体が除去される。こうして、基板上に酸化物半導体から成る細線ネットワークが形成される。この後、この細線ネットワークが形成された基板を熱処理する。堆積直後の酸化物半導体は一般的に結晶性が悪く、通常はアモルファスまたは多結晶であるが、この熱処理により、酸化物半導体のナノドットが二重ショットキー障壁を介して接合した多重ナノドット構造体が形成されるとともに、各ナノドットが結晶化して単結晶またはそれに近い結晶状態にすることができる。この熱処理は、好適には、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置による急速熱処理やレーザーアニールにより行うが、これに限定されるものではない。
第2の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
第3の発明は、
酸化物半導体から成る複数のナノドットが一面内において二重ショットキー障壁を介して互いに接合した多重ナノドット構造体によりチャネル領域が構成された電界効果トランジスタから成ることを特徴とする単電子トンネル素子である。
この単電子トンネル素子は、例えば、単電子トランジスタ、単電子ポンプ、単電子メモリなどである。ワイドギャップ半導体である酸化物半導体を用いることにより、透明単電子トランジスタ、透明単電子ポンプ、透明単電子メモリなどを実現することができる。
第3の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
第4の発明は、
酸化物半導体から成る複数のナノドットが一面内において二重ショットキー障壁を介して互いに接合した多重ナノドット構造体によりチャネル領域が構成された電界効果トランジスタから成る単電子トンネル素子の製造方法であって、
基板上にマスク材から成る微粒子層を形成する工程と、
上記微粒子層が形成された上記基板の面の法線に対して傾斜した方向から上記基板上に上記酸化物半導体を堆積させる工程と、
上記微粒子層が形成された上記基板の面の法線にほぼ平行な方向から上記基板上に上記酸化物半導体を堆積させる工程と、
上記微粒子層を除去する工程と、
上記酸化物半導体が堆積された上記基板を熱処理する工程とを有することを特徴とするものである。
第4の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1〜第3の発明に関連して説明したことが成立する。
第5の発明は、
酸化物半導体から成る複数のナノドットが一面内において二重ショットキー障壁を介して互いに接合した多重ナノドット構造体によりチャネル領域が構成された電界効果トランジスタから成ることを特徴とする光センサである。
この光センサでは、多重ナノドット構造体により構成されたチャネル領域が受光部となり、このチャネル領域は、ナノドットに用いられる酸化物半導体の禁制帯幅(バンドギャップ)に対応する波長以下の波長の光(典型的には紫外光)を吸収し、ナノドットの内部に電子を生成する。ナノドットに用いる酸化物半導体を変えれば、吸収する光の波長を変えることができる。このため、波長識別光センサや、光により変調する論理素子などを実現することができる。
第5の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
第6の発明は、
酸化物半導体から成る複数のナノドットが一面内において二重ショットキー障壁を介して互いに接合した多重ナノドット構造体によりチャネル領域が構成された電界効果トランジスタから成る光センサの製造方法であって、
基板上にマスク材から成る微粒子層を形成する工程と、
上記微粒子層が形成された上記基板の面の法線に対して傾斜した方向から上記基板上に上記酸化物半導体を堆積させる工程と、
上記微粒子層が形成された上記基板の面の法線にほぼ平行な方向から上記基板上に上記酸化物半導体を堆積させる工程と、
上記微粒子層を除去する工程と、
上記酸化物半導体が堆積された上記基板を熱処理する工程とを有することを特徴とするものである。
第6の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1、第2および第5の発明に関連して説明したことが成立する。
第7の発明は、
酸化物半導体から成る複数のナノドットが一面内において二重ショットキー障壁を介して互いに接合した多重ナノドット構造体を有することを特徴とする機能素子である。
この機能素子には、負性抵抗素子、単電子トンネル素子、光センサなどのほか、およそ多重ナノドット構造体を利用するものである限り、各種のもの(電子素子、受光素子、発光素子など)が含まれ、電界効果トランジスタの構成を有するものに限定されず、多重ナノドット構造体をチャネル領域に用いるものにも限定されない。
第7の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1、第3および第5の発明に関連して説明したことが成立する。
第8の発明は、
酸化物半導体から成る複数のナノドットが一面内において二重ショットキー障壁を介して互いに接合した多重ナノドット構造体を有する機能素子の製造方法であって、
基板上にマスク材から成る微粒子層を形成する工程と、
上記微粒子層が形成された上記基板の面の法線に対して傾斜した方向から上記基板上に上記酸化物半導体を堆積させる工程と、
上記微粒子層が形成された上記基板の面の法線にほぼ平行な方向から上記基板上に上記酸化物半導体を堆積させる工程と、
上記微粒子層を除去する工程と、
上記酸化物半導体が堆積された上記基板を熱処理する工程とを有することを特徴とするものである。
第8の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1〜第3、第5および第7の発明に関連して説明したことが成立する。
上述のように構成されたこの発明においては、酸化物半導体を用いた多重ナノドット構造体は、例えば、微粒子層から成るテンプレートの形成、酸化物半導体の堆積、熱処理などにより容易に作製することができるので、作製プロセスが簡単で済み、使用できる基板材料も広範にわたり、これらの中から必要に応じて選ぶことができる。また、ナノドットの径を実現が容易な60nm以下あるいは20nm以下にすることにより液体窒素温度温度あるいは常温でエラーを生じることなく安定に動作可能である。また、ナノドットに用いる酸化物半導体の多くはワイドギャップ半導体であるので、ノイズに強く、光、磁場、宇宙線などの影響をなくすことができる。
この発明によれば、簡単なプロセスにより低コストで製造することができ、基板選択性も高く、常温を含むより高温で動作可能でしかもノイズにも強い負性抵抗素子、単電子トンネル素子、光センサなどの各種の機能素子を容易に実現することができる。また、ワイドギャップ半導体である酸化物半導体を用いることによって、これらの素子を透明に構成することもできる。
以下、この発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図4はこの発明の一実施形態によるトンネル負性抵抗素子を示し、図4Aは平面図、図4Bは断面図、図4Cはこのトンネル負性抵抗素子の多重ナノドット構造体の詳細構造を示す一部拡大平面図である。
図4AおよびBに示すように、このトンネル負性抵抗素子においては、導電性の基板11上にゲート絶縁膜12が設けられており、このゲート絶縁膜12上にチャネル領域となる多重ナノドット構造体13が設けられている。この多重ナノドット構造体13上にはソース電極14およびドレイン電極15が互いに対向し、かつ互いに所定間隔離れて設けられている。この場合、導電性の基板11からなるゲート電極、ゲート絶縁膜12、チャネル領域としての多重ナノドット構造体13、ソース電極14およびドレイン電極15によりバックゲート構造のMOSFETが構成されている。
導電性の基板11としては、例えば、Si基板、GaAs基板、InP基板、GaN基板、SiC基板などの各種の半導体基板や、Ni基板などの各種の金属基板や、ITO基板、フッ素ドープSnO2 基板などを用いることができるが、これに限定されるものではない。この基板11の裏面には、必要に応じて、導電性の高い金属、例えばAu、Alなどからなる電極(図示せず)が設けられる。
ゲート絶縁膜12としては、例えば、SiO2 膜、SiN膜、SiON膜、Ta2 5 膜、TiO2 膜、SrTiO3 膜、これらの複合膜などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
図4Cに示すように、多重ナノドット構造体13においては、酸化物半導体から成る多数のナノドット13aが、基板11の面に平行な面内において、二重ショットキー障壁13bを介して互いに接合している。この多重ナノドット構造体13におけるエネルギーバンド図は図3に示すものと同様である。この場合、ナノドット13aは、蜂の巣状に二次元的に配置されている。ナノドット13aの径は、必要に応じて選ばれるが、好適には60nm以下、より好適には30nm以下、さらに好適には20nm以下に選ばれる。ナノドット13aを構成する酸化物半導体としては、例えば、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sn、Ga、In、BiおよびSrから成る群より選ばれた少なくとも一種類以上の元素を含むものを用いることができ、具体的には、すでに挙げたものの中から必要に応じて選ぶことができるが、これに限定されるものではない。
ソース電極14およびドレイン電極15は多重ナノドット構造体13にオーミック接触しており、従来公知の電極金属、例えばAuなどから成るが、これに限定されるものではない。ソース電極14およびドレイン電極15間の間隙の長さ、すなわちチャネル長は必要に応じて選ばれる。
次に、このトンネル負性抵抗素子の製造方法について説明する。
まず、図5Aに示すように、基板11上に熱酸化法、化学気相成長(CVD)法、真空蒸着法などの従来公知の成膜法によりゲート絶縁膜12を形成する。
次に、図5Bに示すように、このゲート絶縁膜12上に、所定のマスク材からなる球状の微粒子21aが最密充填構造に配列した微粒子層21を形成する。
次に、図6Aに示すように、こうして微粒子層21が形成された基板11の裏面をホルダー22に保持し、この基板11の面の法線に対して傾斜した方向、例えば5〜20度傾斜した方向から、ホルダー22を回転させて基板11を自転させながら、パルスレーザーデポジッション(PLD)法により基板11上に酸化物半導体を堆積させる。このPLD法は、高エネルギーのレーザービームをターゲット23に照射することによってターゲット物質を光解離させ、それを基板に蒸着する方法であり、結晶品質が高く、ターゲットの組成を反映した薄膜を容易に作製することができる利点を有する。このとき、この酸化物半導体は、微粒子層21から成るテンプレートがシャドーマスクとなることにより、微粒子層21の最密充填構造に配列した微粒子21aの間の隙間の部分のゲート絶縁膜12上に細線状に堆積する。ここで、互いに隣接する微粒子21aの間の隙間に堆積した酸化物半導体は図4Cにおいて楕円で示されたナノドット13aになるものである。
次に、図6Bに示すように、微粒子層21が形成された基板11に対し、この基板11の面の法線にほぼ平行な方向から、ホルダー22を回転させて基板11を自転させながら、PLD法により、基板11上に再び酸化物半導体を堆積させる。このとき、この酸化物半導体は、微粒子層21から成るテンプレートが再びシャドーマスクとなることにより、微粒子層21の最密充填構造に配列した最近接の三つの微粒子21aの間の隙間のゲート絶縁膜12上にドット状に堆積する。この最近接の三つの微粒子21aの間の隙間に堆積した酸化物半導体は図4Cにおいて円で示されたナノドット13aになるものである。
上述のようにして堆積される酸化物半導体は、アモルファスのゲート絶縁膜12上に堆積されることにより、一般にアモルファスか多結晶の状態にある。
ここで、上述のようにして基板11の面の法線に対して傾斜した方向から堆積される酸化物半導体のパターン形状および基板11の面の法線に平行な方向から堆積される酸化物半導体のパターン形状を具体的に説明する。図7に、一例として、微粒子層21が形成された基板11の面の法線に対して5度傾斜した方向から、基板11を自転させながら酸化物半導体を堆積させた状態を示す。符号24が酸化物半導体を示す。図8にこうして酸化物半導体24を堆積させた後に微粒子層21を除去した状態を示す。ここで、図7Aおよび図8Aは断面図、図7Bおよび図8Bは平面図を示す。酸化物半導体24は細線状になっている。堆積方向が基板11の面の法線に対して5度より小さくなると、酸化物半導体24はドット状になり、細線が形成されにくくなる。図9に、微粒子層21が形成された基板11の面の法線に対して20度傾斜した方向から、基板11を自転させながら酸化物半導体24を堆積させた状態を示す。図10にこうして酸化物半導体24を堆積させた後に微粒子層21を除去した状態を示す。ここで、図9Aおよび図10Aは断面図、図9Bおよび図10Bは平面図を示す。酸化物半導体24は細線状になっている。堆積方向が基板11の面の法線に対して20度より大きくなると、微粒子層21によるシャドー効果により、細線状の酸化物半導体24の形成が難しくなる。堆積方向を基板11の面の法線に対して5〜20度の範囲内で変えると、細線状の酸化物半導体24の最も狭い部分の幅を変化させることができる。さらに、図11に、微粒子層21が形成された基板11の面の法線に平行な方向から、基板11を自転させながら酸化物半導体24を堆積させた状態を示す。図12にこうして酸化物半導体24を堆積させた後に微粒子層21を除去した状態を示す。ここで、図11Aおよび図12Aは断面図、図11Bおよび図12Bは平面図を示す。酸化物半導体24はドット状になっている。
次に、微粒子層21を溶解などにより除去することにより、その上に堆積された酸化物半導体24を除去する(リフトオフ)。この結果、図13Aに示すように、酸化物半導体24からなるナノ細線ネットワーク25が形成される。
次に、こうして酸化物半導体24から成るナノ細線ネットワーク25が形成された基板11を酸化物半導体24の焼結が起きる温度に加熱して熱処理を行う。この熱処理は急速熱処理により行うのが望ましい。この熱処理により、このナノ細線ネットワーク25が、図13Bに示すように、酸化物半導体24から成る複数のナノドット13aが二重ショットキー障壁13bを介して互いに接合した状態になるとともに、各ナノドット13aが結晶化して単結晶またはそれに近い状態となり、多重ナノドット構造体13が形成される。
次に、こうして形成された多重ナノドット構造体13上にソース電極14およびドレイン電極15を形成する。これらのソース電極14およびドレイン電極15は、多重ナノドット構造体13上に電子線リソグラフィー、フォトリソグラフィーなどにより所定形状のレジストパターンを形成し、全面に電極金属を真空蒸着法などにより堆積させた後、レジストパターンをその上に堆積した電極金属とともに除去(リフトオフ)することにより形成してもよいし、多重ナノドット構造体13の全面に電極金属を真空蒸着法などにより堆積させた後、この電極金属膜をエッチングによりパターニングすることにより形成してもよい。
以上のプロセスにより、図4に示すトンネル負性抵抗素子が製造される。
〈実施例〉
基板11としてn型Si基板を用い、このn型Si基板の表面を熱酸化することにより厚さ300nmのSiO2 膜を形成してゲート絶縁膜12とした。
こうして形成したゲート絶縁膜12上に粒径300nmのポリスチレン球から成る微粒子21aが最密充填構造で二次元的に単層配列化した微粒子層21を形成した。この微粒子21aの単層配列化には水面配列法を用いた(Matsumoto et al.,Science,291,854(2001 参照。) 。具体的には、粒径300nmのポリスチレン球が分散した水にエタノールを約1:1の比率で混合し、それを容器(皿)の純水に滴下すると水面にポリスチレン球が単層配列化するので、これをゲート絶縁膜12上に付着させる。図14AおよびBに、単層配列化した粒径300nmのポリスチレン球の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示し、図14Bは図14Aの一部を拡大したものである。SEM観察の結果、ミリメートルオーダーで単一方向に配列したドメインの形成が確認された。また、この単層配列化したポリスチレン球は、その領域が容器全体に広がっているので、10cm以上のサイズの基板11上においても単層配列化が可能である。
次に、基板11の法線に対して5〜20度傾斜した方向からこの基板11を自転させながらこの基板11上にPLD法によりZnOを堆積させた後、基板11の法線に平行な方向からこの基板11を自転させながらこの基板11上にPLD法により再びZnOを堆積させた。これらのPLD法による堆積時の雰囲気としては酸素雰囲気を用いた。ターゲット23としては、純度99.99%のZnO粉末を直径20mmのタブレットに圧粉成形後、800℃で3時間焼成したものを用いた。ZnOの堆積条件は、レーザー出力200mJ、レーザー繰り返し周波数5Hz、酸素圧力5×10-4Torrとし、基板温度は室温とした。こうして作製されたZnOナノ細線ネットワークの厚さは約5nmであった。また、このZnOナノ細線ネットワークはSiO2 膜上に室温成長されたため、X線回折でもほとんど結晶化が観測されず、アモルファスに近い状態にあった。図15Aに、このZnOナノ細線ネット構造のAFM像を示す。
次に、このZnOナノ細線ネットワークが形成された基板11をRTA装置により、大気中、加熱温度700℃、昇温速度80℃/s、加熱時間5秒の条件で急速熱処理することにより、図15Bに示すように、高さ5nm、幅5〜15nmまでZnOナノドットを微細化させた。こうしてZnO多重ナノドット構造体が形成された。図16は熱処理後のZnO多重ナノドット構造体の三次元像を示す。このとき、ランダム配列でZnOナノドットを多重化した方が電子の伝導経路が複雑化するため、負性抵抗効果の室温発現には効果的であると考えられる。
次に、このZnO多重ナノドット構造体上に電子線リソグラフィにより所定形状のレジストパターンを形成し、その上から真空蒸着法などによりAuを堆積させた後、レジストパターンをその上に堆積されたAu膜とともに除去する(リフトオフ)。こうして、Auからなるソース電極14およびドレイン電極15が形成された。これらのソース電極14およびドレイン電極15の間の距離(チャネル長)は500nmとした。
以上のプロセスにより、ZnO多重ナノドット構造体をチャネル領域とするバックゲート構造のMOSFETからなるトンネル負性抵抗素子が製造された。
図17に、熱処理前後におけるZnO多重ナノドット構造体の電流(I)−電圧(V)特性を示す。このI−V特性から、ZnO多重ナノドット構造体の導電性は熱処理前の1000倍になっていることが確認された。このことは、ZnOナノ細線ネットワークがアモルファス状態から結晶状態に変化したことを意味している。このとき、I−V特性をlog-log プロットすると、図18に示すように、高抵抗の領域と低抵抗の領域とで表される非線形伝導性が観測された。これはZnOナノドットとZnOナノドットとの間の結晶粒界で二重ショットキー障壁が形成されたことを示唆しており、20V付近において障壁の閾値が観測できる。
図19にこのトンネル負性抵抗素子のドレイン電流(Id )−ドレイン電圧(Vd )特性を示す。ゲート電圧Vg は−40Vとし、測定は室温で行った。図20にこのトンネル負性抵抗素子のゲート電圧Vg を変化させたときのId −Vd 特性を示す。測定は室温で行った。図20からわかるように、ゲート電圧Vg を負方向に増大させることによって負性抵抗性を示す階段状の電流変化が室温環境下においても観測できる。図21に測定温度を変えたときのId −Vd 特性を示す。ゲート電圧Vg は−40Vとした。図21に示すように、この負性抵抗効果は、低温領域でより顕著なピークとして観測できることから、熱的な挙動ではなく、二重ショットキー障壁構造に起因した共鳴トンネル効果が働いているものと考えられる。
次に、単電子トンネリングを観測するため、このトンネル負性抵抗素子のコンダクタンス−ゲート電圧(Vg )特性をドレイン電圧300mV以下で測定した。測定温度は室温とした。測定結果を図22に示す。図22からわかるように、負のゲート電圧の領域において明瞭なピークおよびバレーを有する負性抵抗効果が観測された。
このトンネル負性抵抗素子は紫外光応答性も有する。図23はこのトンネル負性抵抗素子のコンダクタンス特性の光照射依存性を示す。図23からわかるように、紫外光を照射した場合、負性抵抗効果が発現する−10V〜−20Vの領域でコンダクタンスの急上昇が確認される。光源にはハロゲンランプを用いた。一方、白熱灯下ではコンダクタンスの急上昇は確認されない。これはZnOの禁制帯幅(3.4eV)に起因しており、ZnOはこのエネルギーに対応する365nm以下の光を吸収し、内部に電子を生成する。この機能を利用して禁制帯幅の異なる酸化物半導体を用いれば、波長識別光センサや、光を検知し、光により変調する論理素子が実現できる
以上のように、この一実施形態によれば、ZnOなどの酸化物半導体を用いることにより、多数のナノドット13aが一面内において二重ショットキー障壁13bを介して互いに接合した多重ナノドット構造体13を自己組織化法により容易に作製することができ、この多重ナノドット構造体13によりチャネル領域が構成されたMOSFETから成るトンネル負性抵抗素子を容易に実現することができる。このトンネル負性抵抗素子によれば、これまで実現し得なかった単電子トンネル素子、例えば単電子トランジスタ、単電子ポンプ、単電子メモリなどを低コストで大量生産することが可能となる。また、このトンネル負性抵抗素子は、ナノドット13aのドット径を60nm以下とすることにより液体窒素温度でも動作させることができ、ナノドット13aのドット径を20nm以下とすることにより室温でも動作させることができるため、早期の実用化が可能である。さらに、基板11として透明基板を用い、多重ナノドット構造体13にワイドギャップ半導体である酸化物半導体を用いることにより、透明性を生かしてトンネル負性抵抗素子を透明に構成することができ、透明単電子トランジスタ、透明単電子ポンプ、透明単電子メモリなどの透明単電子トンネル素子を実現することができる。また、多重ナノドット構造体13に禁制帯幅の異なる酸化物半導体を用いることによって、波長識別光センサや光変調論理素子などを実現することができる。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、材料、構造、構成、形状、基板、配置などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料、構造、構成、形状、基板、配置などを用いてもよい。
ZnOナノドットのドット径と静電エネルギー、量子効果によるエネルギーおよびそれらの和との関係を示す略線図である。 二重トンネル接合および多重トンネル接合を示す略線図である。 酸化物半導体多重ナノドット構造体のエネルギーバンド図である。 この発明の一実施形態によるトンネル負性抵抗素子を示す平面図、断面図および一部拡大平面図である。 この発明の一実施形態によるトンネル負性抵抗素子の製造方法を説明するための断面図である。 この発明の一実施形態によるトンネル負性抵抗素子の製造方法を説明するための略線図である。 この発明の一実施形態によるトンネル負性抵抗素子の製造方法を説明するための断面図および平面図である。 この発明の一実施形態によるトンネル負性抵抗素子の製造方法を説明するための断面図および平面図である。 この発明の一実施形態によるトンネル負性抵抗素子の製造方法を説明するための断面図および平面図である。 この発明の一実施形態によるトンネル負性抵抗素子の製造方法を説明するための断面図および平面図である。 この発明の一実施形態によるトンネル負性抵抗素子の製造方法を説明するための断面図および平面図である。 この発明の一実施形態によるトンネル負性抵抗素子の製造方法を説明するための断面図および平面図である。 この発明の一実施形態によるトンネル負性抵抗素子の製造方法を説明するための略線図である。 この発明の一実施例によるトンネル負性抵抗素子の製造方法においてポリスチレン微粒子からなる微粒子層を形成した状態を示す図面代用写真である。 この発明の一実施例によるトンネル負性抵抗素子の製造方法においてPLD法により堆積されたZnOナノ細線ネットワークの熱処理前後の状態を示す図面代用写真である。 この発明の一実施例によるトンネル負性抵抗素子の製造方法においてPLD法により堆積されたZnOナノ細線ネットワークの熱処理後の状態を示す図面代用写真である。 この発明の一実施例において形成されたZnO多重ナノドット構造体のI−V特性を示す略線図である。 この発明の一実施例において形成されたZnO多重ナノドット構造体のI−V特性のlog-log プロットを示す略線図である。 この発明の一実施例により製造されたトンネル負性抵抗素子のId −Vd 特性を示す略線図である。 この発明の一実施例により製造されたトンネル負性抵抗素子のId −Vd 特性のゲート電圧依存性を示す略線図である。 この発明の一実施例により製造されたトンネル負性抵抗素子のId −Vd 特性の低温特性を示す略線図である。 この発明の一実施例により製造されたトンネル負性抵抗素子のコンダクタンス−Vg 特を示す略線図である。 この発明の一実施例により製造されたトンネル負性抵抗素子のコンダクタンス−Vg 特の光照射依存性を示す略線図である。
符号の説明
11…基板、12…ゲート絶縁膜、13…多重ナノドット構造体、13a…ナノドット、13b…二重ショットキー障壁、14…ソース電極、15…ドレイン電極、21…微粒子層、22…ホルダー、23…ターゲット、24…酸化物半導体、25…ナノ細線ネットワーク

Claims (4)

  1. 酸化物半導体から成る複数のナノドットが一面内において二重ショットキー障壁を介して互いに接合した多重ナノドット構造体によりチャネル領域が構成された電界効果トランジスタから成る負性抵抗素子を製造する場合に、
    基板上にマスク材から成る微粒子層を形成する工程と、
    上記微粒子層が形成された上記基板の面の法線に対して傾斜した方向から上記基板上に上記酸化物半導体を堆積させる工程と、
    上記微粒子層が形成された上記基板の面の法線にほぼ平行な方向から上記基板上に上記酸化物半導体を堆積させる工程と、
    上記微粒子層を除去する工程と、
    上記酸化物半導体が堆積された上記基板を熱処理する工程とを有する負性抵抗素子の製造方法。
  2. 酸化物半導体から成る複数のナノドットが一面内において二重ショットキー障壁を介して互いに接合した多重ナノドット構造体によりチャネル領域が構成された電界効果トランジスタから成る単電子トンネル素子を製造する場合に、
    基板上にマスク材から成る微粒子層を形成する工程と、
    上記微粒子層が形成された上記基板の面の法線に対して傾斜した方向から上記基板上に上記酸化物半導体を堆積させる工程と、
    上記微粒子層が形成された上記基板の面の法線にほぼ平行な方向から上記基板上に上記酸化物半導体を堆積させる工程と、
    上記微粒子層を除去する工程と、
    上記酸化物半導体が堆積された上記基板を熱処理する工程とを有する単電子トンネル素子の製造方法。
  3. 酸化物半導体から成る複数のナノドットが一面内において二重ショットキー障壁を介して互いに接合した多重ナノドット構造体によりチャネル領域が構成された電界効果トランジスタから成る光センサを製造する場合に、
    基板上にマスク材から成る微粒子層を形成する工程と、
    上記微粒子層が形成された上記基板の面の法線に対して傾斜した方向から上記基板上に上記酸化物半導体を堆積させる工程と、
    上記微粒子層が形成された上記基板の面の法線にほぼ平行な方向から上記基板上に上記酸化物半導体を堆積させる工程と、
    上記微粒子層を除去する工程と、
    上記酸化物半導体が堆積された上記基板を熱処理する工程とを有する光センサの製造方法。
  4. 酸化物半導体から成る複数のナノドットが一面内において二重ショットキー障壁を介して互いに接合した多重ナノドット構造体を有する機能素子を製造する場合に、
    基板上にマスク材から成る微粒子層を形成する工程と、
    上記微粒子層が形成された上記基板の面の法線に対して傾斜した方向から上記基板上に上記酸化物半導体を堆積させる工程と、
    上記微粒子層が形成された上記基板の面の法線にほぼ平行な方向から上記基板上に上記酸化物半導体を堆積させる工程と、
    上記微粒子層を除去する工程と、
    上記酸化物半導体が堆積された上記基板を熱処理する工程とを有する機能素子の製造方法。
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