以下、本発明の一実施形態であるビルトインコンロ1について、図面を参照して説明する。本実施形態のビルトインコンロ1(図1参照)は、図示外のキッチンユニットのカウンタートップに形成された開口に、その器具2が落とし込まれて係止することによって、キッチンユニットに組み込まれるものである。そして各種バーナに設置された熱電対の起電力を読み込むことによって、各種バーナの失火等を速やかに検出し、ガス供給を強制的に遮断する安全機能を備えたものである。
はじめに、ビルトインコンロ1の構造について、図1,図2を参照して概略的に説明する。図1は、ビルトインコンロ1の斜視図であり、図2は、ビルトインコンロ1の平面図である。ビルトインコンロ1は、略直方体状の器具2を備えている。器具2の天面の左側には標準バーナ5が設けられ、右側には強火力バーナ6が設けられている。標準バーナ5と強火力バーナ6との間の後方には、とろ火用の奥バーナ7が設けられている。奥バーナ7の後方には、グリル排気口(図示外)が設けられている。そのグリル排気口には、複数の排気穴を有する平面視横長矩形状の排気カバー10,11が覆設されている。これら構造を有する器具2の天面には、標準バーナ5、強火力バーナ6、奥バーナ7およびグリル排気口が各々露出するように開口するセラミック製、又はガラス製等のトッププレート3が設けられている。そのトッププレート3の上面には、標準バーナ5、強火力バーナ6および奥バーナ7をそれぞれ取り囲むようにして、調理鍋(図示外)を載置するための五徳5a,6a,7aが各々設置されている。
そして、器具2の中央には、グリルの本体であるグリル庫(図示外)が組み込まれている。器具2の正面中央には、グリル庫内を確認できるグリル窓13が設けられている。グリル窓13の下方には、グリル庫内から受け皿(図示外)および焼き網(図示外)を手前に引き出すためのグリル用取っ手14が前方に突出して設けられている。
さらに、器具2の正面左側には、標準バーナ5を点火するための点火ボタン15が設けられ、その右隣りには、奥バーナ7を点火するための点火ボタン17が設けられている。器具2の正面右側には、強火力バーナ6を点火するための点火ボタン16が設けられ、その左隣りには、グリル庫内に設置されたグリルバーナ(図示外)を同時に点火するための点火ボタン18が設けられている。点火ボタン15,16,17,18には、これらボタンの操作によってオンオフされるコックスイッチ15a,16a,17a,18a(図3参照)が各々内蔵されている。
また、点火ボタン15の直上には、標準バーナ5の火力を手動で調節するための火力調節レバー15bが、左右方向に回動可能に設けられている。点火ボタン17の直上には、奥バーナ7の火力を手動で調節するための火力調節レバー17bが、左右方向に回動可能に設けられている。点火ボタン16の直上には、強火力バーナ6の火力を手動で調節するための火力調節レバー16bが、左右方向に回動可能に設けられている。点火ボタン18の直上には、グリルバーナの火力を手動で調節するための火力調節レバー18bが、左右方向に回動可能に設けられている。点火ボタン15,17の下側には、ビルトインコンロ1を操作するための操作パネル20が手前方向に開閉可能に設けられている。点火ボタン16,18の下側には、2つの乾電池を格納する電池ボックス21が設けられている。
そして、標準バーナ5、強火力バーナ6、奥バーナ7およびグリルバーナ(図示外)には、点火電極をスパークさせて点火するためのイグナイタ27(図3参照)が各々接続されている。これら各種バーナには、着火、失火を検知するための熱電対が各々設けられている。具体的に言うと、標準バーナ5には、第1熱電対31(図3参照)が設けられ、強火力バーナ6には、第2熱電対32が設けられ、奥バーナ7には、第3熱電対33(図3参照)が設けられている。グリルバーナには、第4熱電対34(図3参照)が設けられている。
さらに、各種バーナには、五徳5a,6a,7a上に載置される調理鍋の鍋底温度を検知するための温度センサが各々設けられている。具体的には、図1に示すように、標準バーナ5には、温度センサ23が上方に向かって出退可能に設けられている。この温度センサ23には、標準サーミスタ23aが内蔵されている(図3参照)。強火力バーナ6には、温度センサ24が上方に向かって出退可能に設けられている。この温度センサ24には、強火力サーミスタ24aが内蔵されている(図3参照)。奥バーナ7には、温度センサ25が上方に向かって出退可能に設けられている。この温度センサ25には、奥サーミスタ25aが内蔵されている(図3参照)。
また、器具2の内側には、標準バーナ5にガスを供給するための第1ガス供給管(図示外)と、強火力バーナ6にガスを供給するための第2ガス供給管(図示外)と、奥バーナ7にガスを供給するための第3ガス供給管(図示外)と、グリルバーナ(図示外)にガスを供給するための第4ガス供給管(図示外)とが各々設けられている。第1ガス供給管には、ガス供給を遮断する安全弁38(図3参照)が設けられ、第2ガス供給管には、ガス供給を遮断する安全弁39(図3参照)が設けられ、第3ガス供給管には、ガス供給を遮断する安全弁40(図3参照)が設けられ、第4ガス供給管には、ガス供給を遮断する安全弁41(図3参照)が設けられている。これら安全弁38〜41は、ガス供給を遮断して各種バーナを強制的に消火するためのマグネット式の電磁弁である。
さらに、第1,第2,第3ガス供給管には、ガス供給量を制御して火力調整を行う切替弁28,29,30(図3参照)が各々設けられている。切替弁28,29,30は、標準サーミスタ23a、強火力サーミスタ24a、奥サーミスタ25aによってそれぞれ検出される標準バーナ5、強火力バーナ6、奥バーナ7による加熱温度を、所定温度範囲内に維持するために、標準バーナ5、強火力バーナ6および奥バーナ7の火力の大小を切り替える、所謂「ハイカット温調」を実行するための切替弁である。切替弁28,29,30の調整は、後述するマイコン制御回路50のCPUによって制御される。
次に、ビルトインコンロ1の電気的構成について、図3を参照して説明する。図3は、ビルトインコンロ1の電気的構成を示すブロック図である。ビルトインコンロ1は、電装基板70を備えている。電装基板70には、ビルトインコンロ1の燃焼動作を制御するマイコン制御回路50が設けられている。マイコン制御回路50は、図示しないCPU、各種制御プログラム、各種データの初期値等を記憶したROM、CPUの演算処理中に発生するデータ等を一時的に記憶するRAM、タイマ、不揮発性のフラッシュメモリ等を備えている。
このマイコン制御回路50には、電池ボックス21(図1参照)に格納された乾電池の電圧を、電装基板70上の各種回路に供給する電源回路43と、コックスイッチ15a〜18aからそれぞれ出力されるオンオフ信号を入力するスイッチ入力回路44と、操作パネル20との間で通信する操作パネル通信回路46と、イグナイタ27を駆動させるイグナイタ回路47と、3つの切替弁28〜30を各々駆動させるための切替弁回路48と、4つの安全弁38〜41を各々駆動させるための安全弁回路49とが各々接続されている。
そして、マイコン制御回路50には、アナログ入力のための8つのアナログチャンネル(以下、アナログCHと呼ぶ)が設けられている。そのうちの4つのアナログCHは、熱電対のアナログ入力用に使用され、1つのアナログCH(図4参照)は、サーミスタのアナログ入力用に使用される。熱電対入力用の4つのアナログCHには、標準バーナ5の第1熱電対31からの起電力を増幅して入力する第1熱電対入力回路51と、強火力バーナ6の第2熱電対32からの起電力を増幅して入力する第2熱電対入力回路52と、奥バーナ7の第3熱電対33からの起電力を増幅して入力する第3熱電対入力回路53と、グリルバーナの第4熱電対34からの起電力を1つずつ増幅して入力する第4熱電対入力回路54とが各々接続されている。
一方、サーミスタ入力用の1つのアナログCH(図4参照)には、標準サーミスタ23a、強火力サーミスタ24a、奥サーミスタ25aからの電圧信号を1つずつ入力する1つのサーミスタ入力回路56が接続されている。その他のアナログCHには、上記した電源回路43からの乾電池電圧等が各々接続されている。
また、標準サーミスタ23a、強火力サーミスタ24a、奥サーミスタ25aは、電装基板70上に設けられたスイッチング素子であるFET回路61,62,63に各々接続されている。具体的には、標準サーミスタ23aは、FET回路61のソース側に接続されている。強火力サーミスタ24aは、FET回路62のソース側に接続されている。奥サーミスタ25aは、FET回路63のソース側に接続されている。さらにFET回路61,62,63のドレイン側は、サーミスタ入力回路56に接続され、ゲート側は、マイコン制御回路50に接続されている。そしてFET回路61,62,63のスイッチタイミングは、マイコン制御回路50のCPUによって制御される。これにより標準サーミスタ23a、強火力サーミスタ24a、奥サーミスタ25aから各々出力される3つの電圧信号が1つずつ順に読み込まれる。そしてサーミスタ入力回路56によって、マイコン制御回路50のアナログCH(図4参照)に順次入力される。
次に、サーミスタによる各種バーナの自動消火機能について説明する。標準バーナ5では、標準サーミスタ23aの検出温度が予め設定された消火温度に達すると、標準バーナ5の第1ガス供給管(図示外)に設けられた安全弁38が強制的に閉弁されて自動消火するようになっている。また強火力バーナ6では、強火力サーミスタ24aの検出温度が予め設定された消火温度に達すると、強火力バーナ6の第2ガス供給管(図示外)に設けられた安全弁39が強制的に閉弁されて自動消火するようになっている。さらに奥バーナ7では、奥サーミスタ25aの検出温度が予め設定された消火温度に達すると、奥バーナ7の第3ガス供給管(図示外)に設けられた安全弁40が強制的に閉弁されて自動消火するようになっている。これにより、各種バーナにおいて、調理鍋の過加熱による焦げ付きや、天ぷら火災等を未然に防止することができる。なお、標準バーナ5の消火温度、強火力バーナ6の消火温度、奥バーナ7の消火温度は、所定の電圧値としてマイコン制御回路50のフラッシュメモリに各々記憶されている。
次に、サーミスタチェック処理のチェックタイミングについて、図4のタイミングチャートを参照して説明する。図4は、CPUによるサーミスタチェック処理のタイミングチャートである。サーミスタチェック処理では、標準サーミスタ23a、強火力サーミスタ24a、奥サーミスタ25aから各々出力される電圧信号が順に読み込まれ、消火温度に達したか否かの異常チェックが行われる。このサーミスタチェック処理は、t0〜t7で分割された8タイミングで行われる。1タイミング単位は2(msec)とする。よって1回の読み込み周期は、8(タイミング)×2(msec)=16(msec)となる。
そして、1回の読み込み周期において、t0タイミングの休止期間を経た後に、t1タイミングで、FET回路61,62,63の異常を検知するためのゼロチェック処理が最初に行われる。さらにt2〜t7タイミングで、FET回路61,62,63のオンオフが時分割制御で切り替わる。これにより標準サーミスタ23a、強火力サーミスタ24a、奥サーミスタ25aから出力される3つの電圧信号を1つずつ読み込んでチェックすることができる。
次に、FET回路61,62,63のスイッチタイミングの切替制御方法について、図3,図4を参照して説明する。マイコン制御回路50は、FET回路61,62,63に各々対応する3つの切替チャンネル(図4参照:以下、切替CHと呼ぶ)を備えている。切替CH1はFET回路61に対応し、切替CH2はFET回路62に対応し、切替CH3はFET回路63に対応している。これら3つの切替CHから、FET回路61,62,63のオンオフを指示する切替パルスが各々出力される。図4に示すように、オンを指示する場合は、ハイレベル信号(以下、H信号と呼ぶ)が出力され、オフを指示する場合は、ローレベル信号(以下、L信号と呼ぶ)が出力される。
例えば、切替CH1からH信号が出力され、切替CH2,3からL信号が出力されると、切替CH1に対応するFET回路61のみがオンとなり、他のFET回路62,63がオフとなる。この場合、標準サーミスタ23aの電圧信号だけがマイコン制御回路50のアナログCH(図4参照)に読み込まれる。従って、切替パルスを変更し、FET回路61,62,63のオンオフを順次切り替えることによって、標準サーミスタ23a、強火力サーミスタ24a、奥サーミスタ25aから出力される3つの電圧信号を1つずつ読み込むことができる。
また、標準サーミスタ23a、強火力サーミスタ24a、奥サーミスタ25aのチェックでは、切替パルスの出力変更後の波形を安定させるために、所定のタイミングで2(msec)の休止期間を各々設けている。例えば、t0〜t7タイミングのうち、t3、t5、t7タイミングにおいて、標準サーミスタ23a、強火力サーミスタ24a、奥サーミスタ25aの電圧信号の読み込みを行い、その間であるt2、t4、t6タイミングにおいて、2(msec)の休止期間を設けている。この休止期間では、次タイミングに先立って切替パルスの出力変更が行われる。これにより切替パルスの波形が安定してから次タイミングに移行するため、t3、t5、t7タイミングにおいて、FET回路61〜67のオンオフを確実に行うことができる。なお、t0タイミングでは、t1タイミングでゼロチェック処理を行うために、切替パルスの出力変更が行われる。これにより切替パルスの波形が安定してからt1タイミングに移行するため、ゼロチェック処理を確実に行うことができる。
次に、CPUによるサーミスタチェック処理について、図4のタイミングチャートと、図5および図6の各種フローチャートとを参照して説明する。図5は、CPUによるサーミスタチェック処理のフローチャートであり、図6は、ゼロチェック処理のフローチャートである。
まず、図5に示すように、点火ボタン15〜17に内蔵されたコックスイッチ15a〜17aの何れかがオンされたか否かが判断される(S1)。コックスイッチ15a〜17aの何れも押下されていない場合(S1:NO)、標準バーナ5、強火力バーナ6および奥バーナ7の何れも点火されていない。従って、S1に戻って、コックスイッチ15a〜17aのオンオフが引き続き監視される。そしてコックスイッチ15a〜17aの何れかがオンされたと判断された場合(S1:YES)、t0タイミングで、2(msec)の休止期間が始まる。ここでは、次のt1タイミングのゼロチェック処理に先立って切替パルスの出力変更が行われる。そして休止期間経過後に、t1タイミングで、FET回路61,62,63の異常をチェックするためのゼロチェック処理が実行される(S2)。
次に、ゼロチェック処理について、図6を参照して説明する。ゼロチェック処理は、FET回路61,62,63が全てオフにされた状態で、マイコン制御回路50のアナログCHへの入力電圧がほぼ0になっていることを確認するための処理である。即ち、アナログCHへの入力電圧がほぼ0になっていなければ、FET回路61,62,63の少なくとも何れかが故障していることになる。そこでt0タイミングに引き続き、t1タイミングにおいても、切替CH1〜3から出力される切替パルスは全てL信号とされ、FET回路61,62,63は全てオフされる。FET回路61,62,63がオフされた状態で、サーミスタ入力用のアナログCHに、FET回路61,62,63の何れかから異常出力があったか否かが判断される(S15)。つまり、FET回路61,62,63の何れかから異常電圧が出力され、サーミスタ入力回路56を介して、マイコン制御回路50のアナログCHに入力された否かが判断される。
そして、アナログCHへの入力電圧が所定値を上回っていると判断された場合(S15:YES)、FET回路61,62,63の何れかが故障してオンされている可能性がある。FET回路61,62,63が故障してしまうと、標準サーミスタ23a、強火力サーミスタ24a、奥サーミスタ25aからの出力を正常に検出できなくなる。この状態で燃焼を継続することは危険である。よって、標準バーナ5、強火力バーナ6および奥バーナ7に対応する安全弁38〜40が閉弁され(S16)、標準バーナ5、強火力バーナ6および奥バーナ7が全て消火される。そして点火ボタン15,16,17の操作に連動することなく、安全弁38〜40を閉じたままで処理が終了する。つまり、再点火不可とすることによって、燃焼トラブル等が新たに誘発されるのを防止できる。
一方、入力電圧が異常電圧と判断されなかった場合(S15:NO)、FET回路61,62,63は正常であるので、t1タイミングでのゼロチェック処理が終了し、次の処理が実行される。続いて、t2タイミングで、2(msec)の休止期間が設定される。この休止期間では、標準サーミスタ23aのチェックが行われるt3タイミングに先立ち、切替パルスの出力変更が行われる。つまり、切替CH1からH信号の切替パルスが出力され、他の切替CH2,3からL信号の切替パルスが各々出力される(図4参照)。これにより切替パルスの波形が安定してからt3タイミングに移行するため、FET回路61,62,63のオンオフを確実に行うことができる。
次いで、t3タイミングにて、標準サーミスタ23aのチェックが行われる。まず、切替CH1に対応するFET回路61のみがオンされる(S3)。そして標準サーミスタ23aからの電圧信号が、サーミスタ入力回路56により、マイコン制御回路50のサーミスタ用のアナログCHに入力される。ここで標準サーミスタ23aから出力された検出温度の電圧信号が、消火温度以上か否かが判断される(S4)。
そして、標準サーミスタ23aから出力される検出温度の電圧信号が消火温度以上と判断された場合(S4:YES)、標準バーナ5に対応する安全弁38が閉弁され(S13)、標準バーナ5が消火される。これにより標準バーナ5による過加熱を防止できる。次いで、標準バーナ5、強火力バーナ6、奥バーナ7が全て消火されたか否か判断される(S12)。全て消火されていると判断された場合(S12:YES)、処理が終了する。これとは反対に、強火力バーナ6および奥バーナ7の何れかが燃焼状態であったり、標準バーナ5が再点火された場合(S12:NO)、S2に戻って、ゼロチェック処理から再度実行される。
ところで、標準サーミスタ23aから出力される検出温度の電圧信号が消火温度未満と判断された場合(S4:NO)、標準バーナ5による加熱状態は正常である。そこで、標準サーミスタ23aのチェックを終了させ、強火力サーミスタ24aのチェックを実行するために、t4タイミングで、t5タイミングに先立って切替パルスの変更が行われる。つまり、切替CH2からH信号の切替パルスが出力され、他の切替CH1,3からL信号の切替パルスが出力される(図4参照)。これによりオンされていたFET回路61がオフされる(S5)。
次いで、t5タイミングにて、強火力サーミスタ24aのチェックが行われる。切替CH2に対応するFET回路62のみが確実にオンされる(S6)。そして強火力サーミスタ24aからの電圧信号が、サーミスタ入力回路56により、マイコン制御回路50のサーミスタ用のアナログCHに入力される。ここで、強火力サーミスタ24aから出力された検出温度の電圧信号が、消火温度以上か否かが判断される(S7)。
そして、強火力サーミスタ24aから出力される検出温度の電圧信号が消火温度以上と判断された場合(S7:YES)、強火力バーナ6に対応する安全弁39が閉弁され(S13)、強火力バーナ6が消火される。これにより強火力バーナ6による過加熱を防止できる。次いで、標準バーナ5、強火力バーナ6、奥バーナ7が全て消火されたか否か判断される(S12)。全て消火されていると判断された場合(S12:YES)、処理が終了する。これとは反対に、標準バーナ5および奥バーナ7の何れかが燃焼状態であったり、強火力バーナ6が再点火された場合(S12:NO)、S2に戻って、ゼロチェック処理から再度実行される。
ところで、強火力サーミスタ24aから出力される検出温度の電圧信号が消火温度未満と判断された場合(S7:NO)、強火力バーナ6による加熱状態は正常である。そこで、強火力サーミスタ24aのチェックを終了させ、奥サーミスタ25aのチェックを実行するために、t6タイミングで、t7タイミングに先立って切替パルスの変更が行われる。つまり、切替CH3からH信号の切替パルスが出力され、他の切替CH1,2からL信号の切替パルスが出力される(図4参照)。これによりオンされていたFET回路62がオフされる(S8)。
次いで、t7タイミングにて、奥サーミスタ25aのチェックが行われる。切替CH3に対応するFET回路63のみが確実にオンされる(S9)。そして奥サーミスタ25aからの電圧信号が、サーミスタ入力回路56により、マイコン制御回路50のサーミスタ用のアナログCHに入力される。ここで、奥サーミスタ25aから出力された検出温度の電圧信号が、消火温度以上か否かが判断される(S10)。
そして、奥サーミスタ25aから出力される検出温度の電圧信号が消火温度以上と判断された場合(S10:YES)、奥バーナ7に対応する安全弁40が閉弁され(S13)、奥バーナ7が消火される。これにより奥バーナ7による過加熱を防止できる。次いで、標準バーナ5、強火力バーナ6、奥バーナ7が全て消火されたか否か判断される(S12)。全て消火されていると判断された場合(S12:YES)、処理が終了する。これとは反対に、標準バーナ5および強火力バーナ6の何れかが燃焼状態であったり、奥バーナ7が再点火された場合(S12:NO)、S2に戻って、ゼロチェック処理から再度実行される。
ところで、奥サーミスタ25aから出力される検出温度の電圧信号が消火温度未満と判断された場合(S10:NO)、奥バーナ7による加熱温度は正常である。そこで、奥サーミスタ25aのチェックを終了させ、標準バーナ5、強火力バーナ6、奥バーナ7が全て消火されたか否か判断される(S12)。標準バーナ5および強火力バーナ6の何れかが燃焼状態であったり、奥バーナ7が再点火された場合(S12:NO)、S2に戻って、ゼロチェック処理から再度実行される。これとは反対に、全て消火されていると判断された場合(S12:YES)、処理が終了する。こうしてサーミスタチェック処理の一連の処理が終了する。
なお、以上の説明において、図1に示すビルトインコンロ1が本発明の「ガス加熱調理器」であって、図3に示すFET回路61,62,63が本発明の「スイッチング回路」に相当し、サーミスタ入力回路56が本発明の「入力回路」に相当し、マイコン制御回路50が本発明の「制御回路」に相当し、図4に示すアナログCHが本発明の「入力端子」に相当する。さらに、図6のフローチャートのS15の処理を実行するマイコン制御回路50のCPUが本発明の「確認手段」に相当し、S16の処理を実行するマイコン制御回路50のCPUが本発明の「閉弁指示手段」に相当する。
以上説明したように、本実施形態のビルトインコンロ1では、標準バーナ5、強火力バーナ6、奥バーナ7に設けられた標準サーミスタ23a、強火力サーミスタ24a、奥サーミスタ25aが、FET回路61,62,63に各々接続されている。FET回路61,62,63のスイッチタイミングは、マイコン制御回路50によって制御される。これにより、標準サーミスタ23a、強火力サーミスタ24a、奥サーミスタ25aから出力される3つの電圧信号を1つずつ順に読み込み、サーミスタ入力回路56により、マイコン制御回路50のアナログCHに順次入力できる。即ち、複数のサーミスタから出力される複数の電圧信号を、マイコン制御回路50の1つのアナログCHに入力できるので、他のアナログCHを他のアナログ入力に使用できる。また3つの起電力を1つずつ順に読み込むことができるので、サーミスタ入力回路56のみで対応できる。これにより電装基板70上の回路構成を簡単にできる。さらにサーミスタの数に対して、サーミスタ入力回路の数を少なくできるので、コストを削減できる。
また、FET回路61,62,63を全てオフした状態で、各サーミスタからの電圧信号をチェックするゼロチェック処理を行う。FET回路61,62,63を全てオフした状態でサーミスタから異常電圧が検出された場合、FET回路61,62,63の故障が考えられるので、安全弁を閉弁して強制終了する。これにより安全なビルトインコンロ1を提供することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。例えば、グリル庫と排気通路との連通口付近にグリルサーミスタを設けてもよい。そしてこのグリルサーミスタにFET回路を接続し、上記実施形態と同様にFET回路のオンオフを時分割制御してもよい。
また、上記実施形態では、標準サーミスタ23a、強火力サーミスタ24a、奥サーミスタ25aの3つのアナログ出力について、FET回路61,62,63を用いることによって時分割制御を行っているが、3つのアナログ出力のうち2つのアナログ出力だけをFET回路を用いて時分割制御を行ってもよい。
さらに、上記実施形態では、ビルトインコンロを一例に挙げて説明したが、テーブルコンロに本発明を適用することも可能である。