JP5157507B2 - 内燃機関の排気浄化システム - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の排気浄化システムに関する。
近年、予め設定されている自動停止条件が成立することにより内燃機関を自動的に停止させ、自動停止中に再始動条件が成立することにより内燃機関を自動的に再始動させる制御(以下、「自動停止・始動制御」という)が行われる車両が普及している。上記車両としては、エコラン車(エコノミーランニング車)、ハイブリッド車等が例示できる。
これらの車両では、信号待ち等の一時停車時に内燃機関を自動停止させ、車両の再発進時に内燃機関を再始動させるいわゆるアイドリングストップ制御を行うことができる。また、ハイブリッド車においては内燃機関の他に駆動源(例えば、電気モータ)を備えるため、車両の走行中においても内燃機関を運転条件等に応じて、内燃機関の自動停止・始動制御を行うことができる。これにより、燃費の向上、エミッションの低減を図ることができる。
このように、自動停止・始動制御が行われる内燃機関の排気浄化システムでは、内燃機関の自動停止中に該内燃機関から高温の排気が排出されないため排気浄化装置の温度低下を招きやすい。これに関連して、自動停止中における排気浄化装置の温度低下を抑制するために、内燃機関を自動停止させる前に排気浄化装置で発熱反応を起こす物質の発生量が増大する運転モードが実行される技術も提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、排気通路に酸化能を有する排気浄化装置を排気通路に直列に配置した内燃機関の排気浄化システムが公知である。上流側に配置される排気浄化装置を前段排気浄化装置と称し、下流側の同装置を後段排気浄化装置と称すると、上記排気浄化システムの構成としては、吸蔵還元型NOx触媒(以下、「NOx触媒」という)を前段排気浄化装置に、NOx触媒を担持したパティキュレートフィルタ(以下、「NOx触媒担持フィルタ」)を後段排気浄化装置に採用する構成が例示できる。
ここで、NOx触媒、NOx触媒担持フィルタのNOx吸蔵能を再生(回復)させる場合、上流側から還元剤(例えば、燃料の未燃成分(HC)等)を供給する制御(以下、「還元剤供給制御」という)を行うことで、吸蔵されているNOxを還元するNOx還元処理が行われる場合がある。さらに、還元剤供給制御は、上記NOx触媒やNOx触媒担持フィルタを昇温させる際にも行われる。
NOx還元処理を実施する場合、その触媒温度が相違すると、NOx触媒等における還元剤の処理能力(以下、「還元剤処理能」という)が一般に変化する。例えば、触媒温度が過度に低すぎたり、高すぎたりすると還元剤処理能は低下する傾向がある。これに関連して、NOx触媒への還元剤の供給量を、その触媒温度に応じて補正する技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この技術においては、NOx触媒に流入するガスの温度をパラメータとして還元剤の供給量を補正している。
特開2005−113703号公報 特開2002−38925号公報 特開2005−201119号公報 特開2005−90479号公報
ここで、前段排気浄化装置(例えば、NOx触媒)および後段排気浄化装置(例えば、NOx触媒担持フィルタ)を直列に配置した排気浄化システムにおいて、還元剤供給制御に係る還元剤の供給量を上記装置の温度に応じて調整する場合について考える。この場合、還元剤の供給量を調整する際の基礎となる温度は、前段排気浄化装置および後段排気浄化装置の双方を適切に代表する温度として取得(例えば、検出または推定)する必要がある。
後段排気浄化装置の温度は、排気通路のより上流側に配置される前段排気浄化装置の温度に比べて、安定している。また、前段排気浄化装置の熱容量と後段排気浄化装置の熱容量とを比較した場合、熱容量のより大きな排気浄化装置が下流側に配置されることが多いという実情がある。これらの実情に鑑み、従来は、後段排気浄化装置の温度に基づいて還元剤の供給量の調整を行っていた。
しかしながら、上記エコラン車やハイブリッド車において、自動停止中の内燃機関が再始動された場合には内燃機関から低温の排気が排出されるため、後段排気浄化装置の温度に比べて前段排気浄化装置の温度低下が顕著になってしまう。つまり、前段排気浄化装置の温度と後段排気浄化装置の温度とが大きく乖離してしまう場合にまで、後段排気浄化装置の温度に基づいて還元剤の供給量を調整すると、双方の排気浄化装置の還元剤処理能を超えて還元剤が過剰に供給される虞がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自動停止されていた内燃機関が再始動される場合において、還元剤の供給量をより適切な量に調整することの可能な内燃機関の排気浄化システムを提供することである。
上記目的を達成するための本発明にかかる内燃機関の排気浄化システムは以下の手段を採用した。
すなわち、自動停止条件が成立したときに内燃機関を自動停止させ且つ自動始動条件が成立したときに該内燃機関を自動的に再始動させる自動制御手段と、
前記内燃機関の排気通路に設けられ且つ酸化能を有する前段排気浄化装置と、
前記前段排気浄化装置よりも下流の排気通路に設けられ且つ酸化能を有する後段排気浄化装置と、
前記前段排気浄化装置よりも上流を流れる排気に還元剤を添加することにより、前記前段排気浄化装置および前記後段排気浄化装置に還元剤を供給する還元剤供給手段と、
前記前段排気浄化装置または前記後段排気浄化装置の何れかの温度に基づいて前記還元剤供給手段が供給する還元剤の供給量を調整する調整手段と、
を備え、
前記補正手段は、前記自動制御手段が前記内燃機関を再始動させてからの所定期間において前記前段排気浄化装置の温度に基づいて還元剤の供給量を調整することを特徴とする。
本発明において、自動停止中の内燃機関が自動制御手段によって再始動されると、内燃機関からは低温の排気が排出される。そして、この低温の排気が前段排気浄化装置に流入することで前段排気浄化装置の前端部が冷却される。一方、前段排気浄化装置を通過した排気、すなわち後段排気浄化装置に流入する排気は、前段排気浄化装置の熱を奪って高温になる。このため、内燃機関の再始動時における後段排気浄化装置の温度低下は少ない。よって、内燃機関の再始動直後は前段排気浄化装置の温度と後段排気浄化装置の温度との間に顕著な差が生じる可能性があった。
ここで、従来のように、内燃機関の再始動直後において後段排気浄化装置の温度に基づいて還元剤の供給量を調整すると、前段排気浄化装置および後段排気浄化装置全体の還元剤処理能に対して、還元剤の供給量が不適当になる。例えば、前段排気浄化装置の温度低下が顕著となり、排気浄化システム全体としての還元剤処理能が低下しているにも関わらず、当該還元剤処理能の低下が還元剤の供給量に反映されずに、還元剤供給手段から過剰な還元剤が供給されてしまう虞がある。
これに対し、本発明では、内燃機関が再始動されてからの所定期間においては、前段排気浄化装置の温度に基づいて還元剤の供給量を調整することとした。この所定期間は、内燃機関の再始動後、後段排気浄化装置の温度低下に比べて前段排気浄化装置の温度低下が顕著となる期間である。この所定期間は、予め定めておく一定期間であっても良い。
このように、内燃機関の再始動時から所定期間に亘り前段排気浄化装置の温度を基礎として還元剤を調整すると、前段排気浄化装置の温度低下に起因した全体の還元剤処理能の変化に応じて、還元剤の供給量を適切な量に調整することができる。その結果、前段排気浄化装置および後段排気浄化装置において反応しきれなかった還元剤が同装置に吸着したり、大気中に放出されたりすることを抑制できる。つまり、上記排気浄化装置の還元剤による被毒や、白煙の発生を防止することができる。また、還元剤の不要な消費も抑制することができる。
また、本発明における前段排気浄化装置の温度は、同装置の何れかの部位の温度であっても良いし、複数の部位の温度に基づいて推定される平均温度であっても良い。同様に、後段排気浄化装置の温度は、同装置の何れかの部位の温度であっても良いし、複数の部位の温度に基づいて推定される平均温度であっても良い。
ここで、所定期間において調整手段が還元剤の供給量を調整する際に基礎とする前段排気浄化装置の温度とは、当該前段排気浄化装置の前端近傍部位の温度であると、好適である。例えば、所定期間において、前段排気浄化装置における前端近傍部位の温度を取得し、当該取得した温度に基づいて還元剤の供給量を調整すると好適である。所定期間における前段排気浄化装置の温度低下は、前端近傍部位が最も顕著となるからである。これによれば、所定期間における還元剤の供給量を、より一層精度良く適切な量に調整できる。
ここで、内燃機関が再始動された後における前段排気浄化装置および後段排気浄化装置の温度差(以下、「装置温度差」という)の時間推移について考える。上記装置温度差は、内燃機関の再始動後、前段排気浄化装置に対する排気の流入開始と共に増加していく。そして、内燃機関の排気温度が上昇していくと、前段排気浄化装置の温度と排気温度との差が縮小し、前段排気浄化装置の温度の低下速度が減少していく。その結果、前段排気浄化装置の温度に比べて同装置に流入する排気の方が高温となると前段排気浄化装置の温度が上昇していき、当該装置温度差は減少していく。つまり、内燃機関の再始動後において、装置温度差は増加していくものの、何れピークとなる時期を迎える。そして、装置温度差がピークに達した後は当該装置温度差が徐々に減少していくことになる。
そこで、本発明における所定期間の終期は前段排気浄化装置と後段排気浄化装置との温度差、すなわち装置温度差が所定の許容値を超えた後、再び当該許容値以下となる時期として決定されても良い。ここで、当該許容値は、前段排気浄化装置から後段排気浄化装置間の還元剤処理能の差異の大きさの観点から定められる、機関再始動後における装置温度差の上限値である。例えば、上記双方間における還元剤処理能の差異が殆ど無いとみなせる範囲内で、上記装置温度差の許容値を定めても良い。また、当該許容値は、予め定められる一定温度であっても良いし、再始動時における装置温度差(以下、「再始動時装置温度差」という)に基づいて決定されても良い。例えば、当該許容値を再始動時装置温度
差と略等しくしても良い。これによれば、還元剤処理能の観点に基づき、所定期間をより適切な期間として決定することができる。
また、上記のように、所定期間が経過した後においては、前段排気浄化装置および後段排気浄化装置間の還元剤処理能の差異が殆ど無いとみなすことができる。そのような場合には、調整手段は、後段排気浄化装置の温度に基づいて還元剤の供給量を調整すると好適である。後段排気浄化装置の温度変化は、排気通路の上流側に配置される前段排気浄化装置の温度に比べて安定しているからである。また、このようにすることで、前段排気浄化装置および後段排気浄化装置の双方を含めた全体の平均温度に近い温度に基づいて、還元剤の供給量を適切な量に調整することが可能となる。
また、本発明における排気浄化装置は吸蔵還元型NOx触媒であり、後段排気浄化装置は吸蔵還元型NOx触媒が担持されたパティキュレートフィルタであっても良い。なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することができる。
本発明にあっては、自動停止されていた内燃機関が再始動される場合において、還元剤の供給量をより適切な量に調整することが可能な内燃機関の排気浄化システムを提供することができる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。尚、本実施の形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本実施例におけるエンジン1とその吸排気系の概略構成を示した図である。図1に示すエンジン1は、4サイクル・ディーゼルエンジンである。エンジン1が搭載される車両はエコノミーランニング(エコラン)車であり、車両の一時停車時においてはエンジン1を自動停止させ、車両が再発進するときにはエンジン1を自動的に再始動させるいわゆるアイドリングストップ制御が行われる。
エンジン1には、吸気通路2及び排気通路3が接続されている。吸気通路2の途中には、吸気通路2内を流通する吸気の流量に応じた信号を出力するエアフローメータ4が設けられている。このエアフローメータ4によりエンジン1の吸入空気量Gaが検出される。
排気通路3の途中には、エンジン1から排出される排気ガス中の有害成分を浄化する触媒コンバータ5が備えられている。触媒コンバータ5内部には、上流側から吸蔵還元型NOx触媒(以下、「NSR」という)51、NOx触媒を担持し且つ排気中の微粒子物質(PM)を捕集するパティキュレートフィルタ(以下、「DPNR」という)52が直列に配置されている。NSR51、およびDPNR52(詳しくは、DPNR52に担持されたNOx触媒)は、流入する排気の酸素濃度が高いときは排気中のNOxを吸蔵し、流入する排気の酸素濃度が低下し且つ還元剤が存在するときは吸蔵していたNOxを還元する機能を有する。本実施例においてはNSR51が本発明における前段排気浄化装置に相当し、DPNR52が本発明における後段排気浄化装置に相当する。
触媒コンバータ5よりも上流側の排気通路3には、該排気通路3を流れる排気中に還元剤たる燃料(軽油)を添加する燃料添加弁6が設けられている。燃料添加弁6は、後述す
るECU10からの信号により開弁して燃料を噴射する。そして、燃料添加弁6から排気通路3内の排気中へと噴射された燃料は、触媒コンバータ5に流入する排気の空燃比をリッチにすると共に、NSR51およびDPNR52に吸蔵されているNOxを還元する。本実施例においては燃料添加弁6が本発明における還元剤供給手段に相当する。
本実施例では、燃料添加弁6より下流側であって且つ触媒コンバータ5の上流側に、排気通路3内を流れる排気の空燃比に応じた信号を出力する空燃比センサ7が取り付けられている。また、エンジン1には、該エンジン1の気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁8が備えられている。更に、エンジン1には、該エンジン1を始動するスタータモータ9が取付けられている。スタータモータ9はバッテリ(不図示)から供給される電力によって駆動される。スタータモータ9の駆動軸にはピニオンギヤ(不図示)が取付けられており、このピニオンギヤによりエンジン1のクランクシャフトの一端に取り付けられているリングギヤ(不図示)が駆動される。これによりエンジン1はクランキングされて始動することができる。
上記のように構成されたエンジン1には、該エンジン1を制御するための電子制御ユニットであるECU10が併設されている。このECU10は、エンジン1の運転条件や運転者の要求に応じてエンジン1の運転状態を制御するユニットである。ECU10には、上記センサの他、アクセルペダルの踏み込み量に応じた電気信号を出力するアクセル開度センサ11、ブレーキペダルの踏み込み量に応じた電気信号を出力するブレーキ開度センサ12、機関回転数NEを検出するクランクポジションセンサ13、車両の速度(車速)に応じた電気信号を出力する車速センサ14等が電気配線を介して接続され、これら各種センサの出力信号がECU10に入力される。
一方、ECU10には、燃料添加弁6、燃料噴射弁8、及びスタータモータ9が電気配線を介して接続されており、ECU10によりこれらが制御される。すなわち、ECU10は燃料噴射弁8及び燃料添加弁6の開閉時期、燃料の噴射量(開弁期間)等を制御する。
例えば、燃料噴射弁8からの燃料噴射制御では、ECU10は、燃料噴射弁8から噴射される燃料量を決定し、次いで燃料噴射弁8から燃料を噴射する時期を決定する。燃料噴射量を決定する場合は、ECU10は、クランクポジションセンサ13およびアクセル開度センサ11の出力信号を読み出し、燃料噴射量を制御するマップへアクセスし、機関回転数NEおよびアクセル開度に対応した燃料噴射量を算出、決定する。同様に、燃料噴射時期を決定する場合は、機関回転数NEおよびアクセル開度と燃料噴射時期との関係が格納された燃料噴射時期を制御するマップへアクセスし、燃料噴射時期を算出、決定する。このように決定された燃料噴射時期および燃料噴射量に基づいて燃料噴射弁8の燃料噴射制御がECU10によって実行される。
また、ECU10は、本実施例における車両(エコラン車)の一時停車時(交差点での信号待ち時等)に、エンジン1を自動停止させ、且つ車両が再発進するときにエンジン1を自動的に再始動する、いわゆるアイドリングストップ制御を行う。
アイドリングストップ制御の実行条件であるアイドリングストップ条件(自動停止条件)は、イグニッションがONの状態で、例えば車速センサ14からの車速検知信号によって車速が「0」であることが検知され、且つブレーキ開度センサ12からのブレーキペダル踏み込み信号(ブレーキ開度)によってブレーキペダルの踏み込み操作がなされていることが検知された場合に成立する。アイドリングストップ条件が成立すると、ECU10は燃料噴射弁8に指令を出し、燃料噴射を停止(フューエルカット)させることでエンジン1を停止させる。
一方、ECU10は、エンジン1が自動停止している状態でアイドリングストップ解除条件(自動始動条件)が成立すると内燃機関1を自動的に再始動させる。具体的には、上記アイドリングストップ条件が成立した後、ブレーキ開度センサ12からのブレーキペダル踏み込み解除信号によってブレーキペダルの踏み込み解除操作がされたことが検知されると、アイドリングストップ解除条件が成立する。
アイドリングストップ解除条件が成立すると、ECU10は燃料噴射弁8の燃料噴射動作を開始する制御を行うとともにスタータモータ9を作動させてクランキングを行い、エンジン1を自動的に再始動させる。上記したアイドリングストップ条件およびアイドリングストップ解除条件の成立条件は一例であり、その他の条件に基づいて成立しても良い。本実施例においては、アイドリングストップ制御を実行するECU10が本発明における自動制御手段に相当する。
次に、ECU10が実行する燃料添加弁6による燃料添加制御について説明する。本実施例において燃料添加制御は、例えばNSR51およびDPNR52に吸蔵されているNOxを還元するNOx還元制御時に行われる。NSR51、DPNR52に吸蔵されているNOx吸蔵量が過度に増加すると、これらのNOxの吸蔵能力が低下する。従って、NSR51、DPNR52夫々に吸蔵されているNOx吸蔵量が夫々のNOx吸蔵容量に達する前にNSR51およびDPNR52に吸蔵されているNOxを還元させるNOx還元制御が実行される。
NOx還元制御の概略としては、ECU10はエンジン1の運転履歴からNSR51およびDPNR52に吸蔵されているNOx吸蔵量を推定し、各推定値がNSR51およびDPNR52の夫々に予め設定されている規定値に到達しているか否かが判定される。そして、NSR51、DPNR52のうち、少なくとも何れかのNOx吸蔵量が、対応する規定値以上であると判定された場合には、NSR51およびDPNR52へのNOx還元要求が出され、ECU10は、燃料添加弁6から還元剤としての燃料を排気中に添加させる。そして、触媒コンバータ5、つまりNSR51およびDPNR52へと流入する排気の空燃比(以下、「流入排気空燃比」という)を低下させ、且つNSR51およびDPNR52に還元成分を供給することで、これらに吸蔵されたNOxを放出させてNに還元する。なお、上記NOx吸蔵量の推定は、機関回転数NEおよび燃料噴射弁8からの燃料噴射量をパラメータとして推定することができる。また、上記の各規定値は、NSR51のNOx吸蔵容量、DPNR52のNOx吸蔵容量に基づいて予め設定することができる。
次に、ECU10により実行される具体的処理について説明する。ECU10は、燃料添加弁6から排気通路3を流れる排気に添加すべき目標燃料添加量Qadtを算出する。目標燃料添加量Qadtの算出は、基本添加燃料量マップおよび添加燃料補正係数マップに基づき行われる。
基本添加燃料量マップは、エアフローメータ4で測定した吸入空気量Ga、空燃比センサ7で測定した排気空燃比(以下、「測定排気空燃比」という)A/Fmesおよび流入排気空燃比の目標値(以下、「目標空燃比」という)A/Ftrgをパラメータとし、このパラメータと基本添加燃料量Qbとの関係を設定したマップであり、ECU10のROMに予め記憶されている。なお、目標空燃比A/Ftrgは、NOx還元制御を実行する際の流入排気空燃比の目標値であり、本実施例ではリッチ空燃比から略ストイキとして設定される。
添加燃料補正係数マップは、NOx還元制御を実行する際の、NSR51およびDPN
R52の燃料処理能に応じて、基本添加燃料量Qbを補正(調整)するためのマップである。燃料処理能とは、燃料添加弁6から添加される燃料を触媒上で反応させる能力であり、この値が大きいほどより多くの燃料を触媒上で反応させることができる。ここで、燃料処理能は触媒温度と相関があり、NSR51の温度(以下、「NSR床温」という)Tnsr、またはDPNR52の温度(以下、「DPNR床温」という)Tdpnrが過度に低温となり、或いは過度に高温となる場合に低下する。
図2は、代表温度Trepと添加燃料補正係数Crとの関係を示した添加燃料補正係数マップの一例を示した図である。ここで、代表温度Trepとは、NSR51およびDPNR52の双方を代表する温度である。添加燃料補正係数Crは、代表温度Trepの違いによるNSR51およびDPNR52の燃料処理能力の変化を補正する係数であり、本実施例では代表温度Trepに応じて0〜1の値をとり得る。そして、ECU10は、代表温度Trepをパラメータとして添加燃料補正係数マップにアクセスし、添加燃料補正係数Crを演算する。そして、基本添加燃料量Qbに添加燃料補正係数Crを乗算することで目標燃料添加量Qadtを算出する。なお、添加燃料補正係数マップはECU10のROMに予め記憶されている。
図示のように、代表温度Trepと添加燃料補正係数Crとの関係は、代表温度Trepが低温領域Aに属する場合、通常領域Bに属する場合、高温領域Cに属する場合に分けることができる。ここで、低温領域Aは、代表温度Trepが低いことに起因して燃料処理能が低下する領域である。高温領域Cは、代表温度Trepが高いことに起因して燃料処理能が低下する領域である。通常領域Bは、低温領域Aおよび高温領域Cの何れにも属さない領域である。
代表温度Trepが通常領域Bに属する場合には、添加燃料補正係数Crが1に設定される。つまり、この場合には、代表温度Trepに基づく基本添加燃料量Qbの補正が行われず、基本添加燃料量Qbを目標燃料添加量Qadtとして決定する。
また、一方、代表温度Trepが低温領域Aまたは高温領域Cに属する場合には、添加燃料補正係数Crは代表温度Trepに応じて1以下の値に設定される。すなわち、代表温度Trepが低温領域Aに属する場合には、代表温度Trepが低いほどNSR51およびDPNR52の燃料処理能が低下すると判断できるため、添加燃料補正係数Crはより小さい値に設定される。一方、代表温度Trepが高温領域Cに属する場合には、代表温度Trepが高いほどNSR51およびDPNR52の燃料処理能が低下すると判断できるため、添加燃料補正係数Crはより小さい値に設定される。
このようにして、ECU10は、NOx還元制御を実行する際の代表温度Trepに応じて、目標燃料添加量Qadtを調整する。本実施例においては、代表温度Trepに基づいて目標燃料添加量Qadtを調整するECU10が本発明における調整手段に相当する。なお、図2において、代表温度Trepと添加燃料補正係数Crとの関係は直線的に表されているがこれは一例であり、図示とは異なる関係(例えば、曲線的な関係)によって表されても良い。
次に、本実施例における代表温度Trepについて説明する。ここで、代表温度Trepは、NSR51およびDPNR52の双方を代表する温度であるため、NSR51およびDPNR52の燃料処理能を好適に反映した添加燃料補正係数Crを算出するためには、代表温度Trepを適切に求める必要がある。
エンジン1の通常運転時においては、NSR床温TnsrおよびDPNR床温Tdpnrが大きく乖離するという状況になり難い。一方、アイドリングストップ制御において、
エンジン1が自動停止されている状態でアイドリングストップ解除条件が成立した場合、つまりエンジン1の再始動時には、エンジン1から低温の排気が排出される。その結果、NSR床温TnsrおよびDPNR床温Tdpnrが大きく乖離する状況に陥りやすい。
図3は、アイドリングストップ解除条件が成立する前後におけるNSR床温Tnsr、DPNR床温Tdpnrのタイムチャートを例示した図である。横軸の符号t1はアイドリングストップ解除条件が成立した時間を表す。つまり、自動停止されていたエンジン1は、時間t1において再始動される。また、図中の時間t1におけるNSR床温TnsrとDPNR床温Tdpnrとの温度差は、本実施例における一例を表すものである。
時間t1において、エンジン1が再始動されることでNSR51およびDPNR52への排気の流入が開始される。その際、エンジン1から排出される排気の温度はNSR床温Tnsrに比べて低温であるため、まずNSR51の前端部が排気によって冷却される。一方、NSR51を通過する排気は、NSR51の各部位から順次、熱を奪いながら下流方向へと進行する。また、排気が触媒内を通過する際には排気中に含まれる燃料の未燃成分が酸化されるため、この反応熱によっても排気温度が上昇する。このように、DPNR52に流入する排気は、NSR51からの受熱によって昇温しているため、DPNR床温Tdpnrの温度低下は少ない。対するNSR床温Tnsrは、DPNR床温Tdpnrと比較して、その温度低下量が非常に大きくなる。
そこで、本実施例では、エンジン1の再始動後(時間t1以後)、再始動後基準期間Δtmに亘り、NSR床温Tnsrに基づいて代表温度Trepを決定し、再始動後基準期間を除く期間、すなわち、エンジン1の再始動時(時間t1)から再始動後基準期間が経過した時間t2以後においては、DPNR床温Tdpnrに基づいて代表温度Trepを決定することとした。再始動後基準期間Δtmは、エンジン1の再始動後、DPNR52の温度低下に比べてNSR51の温度低下が顕著となる期間である。本実施例においては再始動後基準期間Δtmが本発明における所定期間に相当する。
本実施例において、再始動後基準期間Δtmの終期である時間t2は、NSR床温TnsrとDPNR床温Tdpnrとの温度差(以下、「装置温度差」という)ΔTHに着目して決定する。具体的には、再始動後基準期間Δtmの終期は装置温度差ΔTHが許容温度ΔTHLを超えた後、当該装置温度差ΔTHが再び許容温度ΔTHL以下となる時期(時間t2)として決定される。許容温度ΔTHLは、NSR51およびDPNR52間の燃料処理能に関する差異の大きさの観点から定められる装置温度差ΔTHの上限値である。本実施例においては、装置温度差ΔTHが許容温度ΔTHL以下であれば、NSR51およびDPNR52における燃料処理能に殆ど差異が無いものとみなすことができる。
図3においては、許容温度ΔTHLとして、エンジン1の再始動時(時間t1)における装置温度差(以下、「再始動時装置温度差」という)ΔTHBを採用した。つまり、再始動後基準期間Δtmの終期は、装置温度差ΔTHが再始動時装置温度差ΔTHBを超えた後、再び再始動時装置温度差ΔTHB以下となる時期として決定した。本実施例においては許容温度ΔTHL(再始動時装置温度差ΔTHB)が本発明における所定の許容値に相当する。
次に、上記代表温度Trepを決定する際の基礎となる、NSR床温Tnsr、DPNR床温Tdpnrの取得方法について説明する。図4は、図1における触媒コンバータ5の周辺詳細図である。本実施例においては、図4に示すように、NSR51およびDPNR52の内部領域を、仮想上、上流側(前端側)から下流側(後端側)まで複数の部位(領域)に分け、その内の特定部位における温度を求める。本実施例では、NSR51を上流側から順に1番〜3番の3つの部位に分け、DPNR52を上流側から4番〜7番まで
の4つの部位に分けることとした。
図示のように、NSR51における1番の部位(NSR51の前端部位)には、当該部位の温度を検出する第一温度センサ21が取り付けられている。また、DPNR52における5番の部位には、当該部位の温度を検出する第二温度センサ22が取り付けられている。第一温度センサ21および第二温度センサ22はECU10に電気配線を介して接続されており、これらの出力信号がECU10に入力される。これにより、ECU10は適宜、NSR床温Tnsr、DPNR床温Tdpnrを取得することができる。
次に、ECU10が実行するNOx還元制御に係るルーチンについて説明する。図5は、本実施例における制御ルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンはエンジン1の稼働時において所定期間毎に実行される。
本ルーチンが実行されると、まずステップS101では、NSR51またはDPNR52へのNOx還元要求が出されているか否かが判定される。当該要求については既述のため詳しい説明を省略する。本ステップにおいてNOx還元要求が出されていると判定された場合は(S101−Yes)、ステップS102に進む。一方、NOx還元要求が出されていないと判定された場合は(S101−No)、本ルーチンを一旦終了する。
ステップS102では、現在、再始動後基準期間Δtmであるか否かが判定される。具体的には、ECU10のROMには、アイドリングストップ解除条件が成立した場合に、当該条件成立時(図3における時間t1)からの経過期間を計測する計測ルーチンが記憶されている。ステップS102では、計測ルーチンにおいて計測されている上記経過期間を読み込む。そして、その読み込み値が再始動後基準期間Δtm以下である場合に、現在、再始動後基準期間Δtmであると判定され(S102−Yes)、ステップS103に進む。一方、読み込み値が再始動後基準期間Δtmよりも大きい場合には、現在、再始動後基準期間Δtmでないと判定され(S102−No)、ステップS104に進む。
ステップS103においてECU10は、NSR床温Tnsrに基づいて代表温度Trepを決定する。本ルーチンでは、第一温度センサ21の出力値からNSR51における1番の部位の温度(温度T1という)を取得し、当該取得した温度を代表温度Trepとして決定する。本ステップの処理が終了するとステップS105に進む。また、ステップS104においてECU10は、DPNR床温Tdpnrに基づいて代表温度Trepを決定する。本ルーチンでは、第二温度センサ22の出力値からDPNR52における5番の部位の温度(温度T5という)を取得し、取得した温度T5を代表温度Trepとして決定する。本ステップの処理が終了するとステップS105に進む。
ステップS105では、基本添加燃料量マップに、吸入空気量Ga、測定排気空燃比A/Fmes、目標空燃比A/Ftrgをパラメータとしてアクセスし、基本添加燃料量Qbを算出する。
ステップS106では、図2に示した添加燃料補正係数マップに、ステップS103またはS104で決定した代表温度Trepをパラメータとしてアクセスし、添加燃料補正係数Crを算出する。なお、上記ステップS102において肯定判定され、続くステップS103において代表温度TrepがNSR51における1番の部位の温度(温度T1)として決定された場合には、代表温度Trepは低温領域Aに属する場合が多い。低温領域Aは、代表温度Trepが低いことに起因して燃料処理能が低下する領域であるため、この場合には、代表温度Trepが低いほど、添加燃料補正係数Crがより小さい値となるように設定される。
ステップS107では、ステップS105で算出された基本添加燃料量Qbに、ステップS106で算出された添加燃料補正係数Crを乗算し、目標燃料添加量Qadtが算出される。つまり、目標燃料添加量Qadtが代表温度Trepに基づいて調整される。続くステップS108では、燃料添加弁6に指令信号が出され、算出された目標燃料添加量Qadtだけの燃料が排気中に添加される。本ステップの処理が終了すると本ルーチンを一旦終了する。
上記制御によれば、エンジン1の再始動後から再始動後基準期間Δtmに亘り、NSR床温Tnsrに基づいて代表温度Trepが決定されるので、NSR51の燃料処理能力が顕著に低下する状況下においても、目標添加燃料量Qadtを適切な値として算出することができる。つまり、DPNR床温Tdpnrを基礎とする場合に比べて、添加燃料補正係数Crが小さい値として算出されるので、目標添加燃料量Qadtがより少なくなるように調整される。
これにより、NSR51およびDPNR52全体の燃料処理能を超える量の燃料が燃料添加弁6から添加されることが抑制され、未反応の多量の燃料がNSR51又はDPNR52に吸着したり、大気中に放出されたりすることを抑制できる。従って、NSR51およびDPNR52のHC被毒や、白煙の発生を抑制することができる。また、燃料添加制御にかかる燃料の不要な消費も抑制することができる。
さらに、本実施例では、再始動後基準期間Δtmにおいて、NSR51における1番の部位(NSR51の前端部位)の温度(温度T1)を取得し、当該温度T1を代表温度Trepとしている。これによれば、特に温度低下が顕著となるNSR51の前端部位の温度に基づいて再始動後基準期間Δtmにおける添加燃料補正係数Crを算出することができる。その結果、目標添加燃料量Qadtをより適切な量に調整できるという作用効果を奏する。
また、再始動後基準期間Δtmの終期は装置温度差ΔTHが許容温度ΔTHLを超えた後、当該装置温度差ΔTHが再び許容温度ΔTHL以下となる時期として決定される。これによれば、NSR51およびDPNR52における燃料処理能が殆ど差異が無くなってから、DPNR床温Tdpnrに基づいて目標添加燃料量Qadtを調整することができる。
また、NSR51とDPNR52の熱容量を比較すると後者の熱容量の方が大きい。従って、NSR床温TnsrとDPNR床温Tdpnrとを比較すると、後者の方がNSR51およびDPNR52全体の平均温度に近く、且つ経時的な温度変動も安定している。従って、再始動後基準期間Δtmが経過した後においては、DPNR床温Tdpnrに基づいて代表温度Trepを決定することで、代表温度Trepを上記平均温度に近い温度として安定して求めることができる。
さらに、本実施例では、再始動後基準期間Δtmを除く期間において、DPNR52における5番の部位の温度(温度T5)を取得し、当該温度T5を代表温度Trepとしている。温度T5を検出する第二温度センサ22の取り付け位置は、NSR51およびDPNR52間の空間を除外して考えた場合、NSR51の前端からDPNR52の後端までの中間的位置に相当する。これにより、代表温度TrepをNSR51およびDPNR52全体の平均温度により近い温度として設定できるという作用効果を奏する。
なお、本実施例においては、NSR51においては1番の部位の温度(温度T1)をNSR床温Tnsrとして取得し、DPNR52においては5番の部位の温度(温度T5)をDPNR床温Tdpnrとして取得しているが、これに限定されるものではない。すな
わち、目標添加燃料量Qadtを代表温度Trepに応じて適切に調整するという作用効果は、再始動後基準期間ΔtmにおいてはNSR床温Tnsrを基礎として代表温度Trepを決定し、再始動後基準期間Δtmが経過した後においてはDPNR床温Tdpnrを基礎として代表温度Trepを決定することで実現し得る。従って、例えば、NSR51のうち、1番以外の部位の温度をNSR床温Tnsrとして取得しても良いし、或いは複数の部位の温度に基づいてNSR床温Tnsrを取得しても良い。後者の場合、例えば、1番〜3番の部位毎の温度を検出し、各部位の温度の平均値(単純平均でも加重平均でも良い)をもってNSR床温Tnsrとしても良い。
同様に、DPNR52についても、5番以外の部位の温度をDPNR床温Tdpnrとして取得しても良いし、5番〜7番の部位毎の温度を検出し、各部位の温度の平均値(単純平均でも加重平均でも良い)をもってDPNR床温Tdpnrとしても良い。また、NSR51およびDPNR52を各部位に分ける際の分割数は本実施例において例示した数に限られるものではない。
また、本実施例では、NSR床温TnsrとDPNR床温Tdpnrとを温度センサを用いて直接検出しているが、触媒温度推定モデルや、排気温度を検出する排気温度センサの出力値等に基づいて推定しても良いのは勿論である。
以下、NSR51および、DPNR52の各部位の温度を推定する場合に用いることのできる触媒温度推定モデルの一例について簡単に説明する。以下に説明する触媒温度推定モデルでは、まず、各部位の温度を上昇させる要因として、触媒コンバータ5に流入するエネルギー量が算出される。触媒コンバータ5に流入するエネルギーとは、エンジン1から排出される排気自体が持つ熱エネルギーや、排出中に含まれる燃料の未燃成分が持つ熱量などである。
触媒コンバータ5に流入するエネルギー量は、エンジン1の運転状態(機関回転数NE、機関負荷、空燃比、点火時期等)に基づいて、公知の手法により算出することができる。次いで、触媒温度推定モデルでは、各部位の温度を低下させる要因として、走行風などの影響による触媒コンバータ5からの放熱量が算出される。触媒コンバータ5からの放熱量は、外気温や車速などに基づいて、公知の手法により算出することができる。
また、触媒温度推定モデルでは、NSR51、DPNR52内部での伝熱量が算出される。NSR51、DPNR52内部では、熱伝導や熱伝達の作用により、上流側の部位から下流側の部位に向かって、熱が順次伝わっていく。このような伝熱量は、公知の伝熱モデルにより算出することができる。触媒温度推定モデルでは、以上の各算出値に基づいて、NSR51、DPNR52において所望の部位における推定温度を算出することができる。
また、図6に示すように、触媒コンバータ5におけるNSR51の上流側、NSR51およびDPNR52の間、DPNR52の下流側の各部位に、排気ガスの温度を検出する排気温度センサ(上流側から、第一排気温度センサ31、第二排気温度センサ32、第三排気温度センサ33)を設け、これらのセンサと吸入空気量Gaとの関係に基づいて、NSR床温TnsrおよびDPNR床温Tdpnrを推定しても良い。ここでは、NSR51では1番の部位の温度(温度T1)、DPNR52では5番の部位の温度(温度T5)を推定する場合を例に説明する。
上記推定方法の場合、NSR床温Tnsr(温度T1)は、第一排気温度センサ31の出力値、第二排気温度センサ32の出力値、およびエアフローメータ4の出力値に基づいて推定できる。また、DPNR床温Tdpnr(温度T5)は、第二排気温度センサ32
の出力値、第三排気温度センサ33の出力値、およびエアフローメータ4の出力値に基づいて推定できる。
具体的には、NSR51(DPNR52)に流出入する排気温度、吸入空気量Ga、温度T1(温度T5)との関係を予め実験的に求めておき、これらの関係が格納されたNSR床温マップ、DPNR床温マップをECU10のROMに記憶させておく。そして、NSR51における温度T1を推定する場合には、第一排気温度センサ31の出力値、第二排気温度センサ32の出力値、およびエアフローメータ4の出力値をパラメータとしてNSR床温マップにアクセスすることで、温度T1を推定することができる。
同様に、DPNR52における温度T5を推定する場合には、第二排気温度センサ32の出力値、第三排気温度センサ33の出力値、およびエアフローメータ4の出力値をパラメータとしてDPNR床温マップにアクセスすることで、温度T5を推定することができる。なお、NSR51、DPNR52の部位毎に上記パラメータとの関係を求めておき、各部位の温度を求めるマップを用意しておくことで、所望の部位の温度を推定することができる。
以上説明した本実施の形態は、本発明の本旨を逸脱しない範囲内で種々の変更、追加等を加え得る。例えば、本実施の形態にかかるエンジン1はエコラン車に搭載しているが、ハイブリッド車に搭載しても良いのは勿論である。また、ハイブリッド車の場合には、車両の動力源をエンジン1のみ、或いはエンジン1および電気モータの併用としている運転条件から電気モータのみを動力源とする運転条件に移行する場合にもエンジン1の自動停止が行われる。つまり、本発明における自動停止条件が成立することになる。従って、車両の走行中においてもエンジン1が自動停止され、再始動される場合に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、NSR51およびDPNR52に対するNOx還元制御を実行する際に本発明を適用する場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、NSR51、DPNR52へのSOx被毒回復制御の実行に際して、本発明を適用することで燃料添加弁6の目標燃料添加量Qadtを調整すると好適である。
また、本実施の形態では、NSR51およびDPNR52に還元剤としての燃料を供給する方法として、燃料添加弁6からの燃料添加を行う方法を採用しているが、その他の方法によって還元剤を供給しても良い。例えば、燃料噴射弁8からエンジン1への主噴射とは異なるタイミングでの燃料噴射(いわゆる副噴射)を行うことで、還元成分をNSR51およびDPNR52に供給しても良い。副噴射としては、主噴射を行った後の膨張行程若しくは排気行程中に再度燃料を噴射するポスト噴射等が例示できる。また、このような副噴射と燃料添加弁6からの燃料添加を併用することで、還元成分をNSR51およびDPNR52に還元剤を供給しても良いのは勿論である。
また、触媒コンバータ5内部に配置される排気浄化装置は、酸化機能を有していれば他種のものであっても良く、例えば、酸化触媒、三元触媒等、いかなるものであっても良い。
実施例1におけるエンジン1とその吸排気系の概略構成を示した図である。 代表温度Trepと添加燃料補正係数Crとの関係を示した添加燃料補正係数マップの一例を示した図である。 アイドリングストップ解除条件が成立する前後におけるNSR床温Tnsr、DPNR床温Tdpnrのタイムチャートを例示した図である。 図1における触媒コンバータの周辺詳細図である。 実施例1における制御ルーチンを示したフローチャートである。 排気温度センサの配置例を示す説明図である。
符号の説明
1・・・エンジン
2・・・吸気通路
3・・・排気通路
4・・・エアフローメータ
5・・・触媒コンバータ
6・・・燃料添加弁
8・・・燃料噴射弁
10・・ECU
51・・NSR
52・・DPNR

Claims (3)

  1. 自動停止条件が成立したときに内燃機関を自動停止させ且つ自動始動条件が成立したときに該内燃機関を自動的に再始動させる自動制御手段と、
    前記内燃機関の排気通路に設けられ且つ酸化能を有する前段排気浄化装置と、
    前記前段排気浄化装置よりも下流の排気通路に設けられ且つ酸化能を有する後段排気浄化装置と、
    前記前段排気浄化装置よりも上流を流れる排気に還元剤を添加することにより、前記前段排気浄化装置および前記後段排気浄化装置に還元剤を供給する還元剤供給手段と、
    前記前段排気浄化装置または前記後段排気浄化装置の何れかの温度に基づいて前記還元剤供給手段が供給する還元剤の供給量を調整する調整手段と、
    を備え、
    前記調整手段は、前記自動制御手段が前記内燃機関を再始動させてから、前記前段排気浄化装置と前記後段排気浄化装置との温度差が所定の許容値を超えた後に再び当該許容値以下となるまでの期間において、前記前段排気浄化装置の温度に基づいて還元剤の供給量を調整することを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
  2. 前記前段排気浄化装置の温度とは、当該前段排気浄化装置の前端近傍部位の温度であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  3. 前記調整手段は、前記所定期間が経過した後において前記後段排気浄化装置の温度に基づいて還元剤の供給量を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化システム。
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