JP5154318B2 - 複層塗膜形成方法 - Google Patents
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Description
カチオン電着塗料組成物を電着塗装して、亜鉛、セリウム、ビスマス、錫、アルミニウム、マンガンおよびモリブデンからなる群から選択される1種または2種以上の金属類を含む未硬化の電着塗膜を形成する、電着塗膜形成工程、
金属キレート化剤、染料または金属キレート顔料を含む調色液を用いて、得られた未硬化の電着塗膜の色相を変化させる、調色工程、
調色された未硬化の電着塗膜を加熱硬化させて硬化電着塗膜を得る、電着塗膜硬化工程、
得られた硬化電着塗膜の上に、上塗りベース塗料組成物を塗布して、未硬化の上塗りベース塗膜を形成する工程、
得られた未硬化の上塗りベース塗膜の上にクリヤー塗料組成物を塗布して、未硬化の上塗りクリヤー塗膜を形成する工程、および
この未硬化の上塗りベース塗膜および未硬化の上塗りクリヤー塗膜を同時に加熱硬化させる加熱工程、
を包含する、複層塗膜形成方法、
を提供するものであり、これにより上記目的が達成される。
カチオン電着塗料組成物を電着塗装して、亜鉛、セリウム、ビスマス、錫、アルミニウム、マンガンおよびモリブデンからなる群から選択される1種または2種以上の金属類を含む未硬化の電着塗膜を形成する、電着塗膜形成工程、
金属キレート化剤、染料または金属キレート顔料を含む調色液を用いて、得られた未硬化の電着塗膜の色相を変化させる、調色工程、
調色された未硬化の電着塗膜を加熱硬化させて硬化電着塗膜を得る、電着塗膜硬化工程、
得られた硬化電着塗膜の上に、上塗りベース塗料組成物を塗布して、未硬化の上塗りベース塗膜を形成する工程、
得られた未硬化の上塗りベース塗膜の上にクリヤー塗料組成物を塗布して、未硬化の上塗りクリヤー塗膜を形成する工程、および
この未硬化の上塗りベース塗膜および未硬化の上塗りクリヤー塗膜を同時に加熱硬化させる加熱工程、
を包含する方法である。以下、本発明における各工程について順次記載する。
電着塗膜形成工程においては、被塗物に、カチオン電着塗料組成物を電着塗装して、未硬化の電着塗膜を形成する。本発明の複層塗膜形成方法において使用される被塗物として、電着塗装が可能な任意の基材が含まれる。このような基材として、例えば、鉄、鋼、アルミニウム、錫、亜鉛など、およびこれらの金属を含む合金、並びにこれらの金属のめっきもしくは蒸着製品等が挙げられる。具体的には、これら金属部材を用いて製造された乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車の車体および部品等が挙げられる。また、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂類や各種のFRP等に導電処理を施したプラスチック材料を基材として使用することもできる。本発明の複層塗膜形成方法においては、上記基材をそのまま使用してもよく、あるいは電着塗装前に脱脂や化成処理等の前処理を行ってもよい。
本発明における電着塗膜形成工程で用いるカチオン電着塗料組成物は、アミン変性エポキシ樹脂、ブロックイソシアネート硬化剤および顔料を含む。
カチオン性エポキシ樹脂には、アミンで変性されたエポキシ樹脂が含まれる。カチオン性エポキシ樹脂は、典型的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ環の全部をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環するか、または一部のエポキシ環を他の活性水素化合物で開環し、残りのエポキシ環を、カチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環して製造される。
ブロックイソシアネート硬化剤の調製にはポリイソシアネートが使用される。このポリイソシアネートとは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物をいう。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系および芳香族−脂肪族系等のうちのいずれであってもよい。
本発明の方法に用いられるカチオン電着塗料組成物は、通常用いられる顔料を含んでもよい。使用できる顔料の例としては、カーボンブラックまたは通常使用される無機顔料、例えば、一般的な体質顔料または防錆顔料など、が挙げられる。但し本発明においては、これらの顔料のうち、下記で詳述する金属類に含まれる成分は顔料に含まれないものとする。電着塗料組成物中にこれらの顔料が含まれる場合の顔料の量は、カチオン電着塗料組成物の固形分に対して1〜30重量%であるのが好ましい。
本発明で用いられるカチオン電着塗料組成物は、亜鉛、セリウム、ビスマス、錫、アルミニウム、マンガンおよびモリブデンからなる群から選択される1種または2種以上の金属類を含む。カチオン電着塗料組成物が上記金属類を含むことによって、電着塗膜形成工程において形成される未硬化の電着塗膜は上記金属類を含むこととなる。上記金属類は、金属単体であってもよく、または酸化物、水酸化物、塩化物、無機塩または有機塩(例えば、リン酸塩、亜リン酸塩、ケイ酸塩など)またはこれらの複塩であってよい。なお本明細書における「カチオン電着塗料組成物に含まれる金属類の含有量」とは、カチオン電着塗料組成物の調製時における、金属単体または上記酸化物、水酸化物、塩化物、無機塩、有機塩またはこれらの複塩の重量を意味する。
・上記金属類をそのままカチオン電着塗料組成物中に分散させる、
・顔料分散ペースト調製時に、上記金属類を顔料と同様に分散させてペースト状とする、
・上記金属類を酸などに予め溶解させて、カチオン電着塗料組成物に加える、
などの方法が挙げられる。
金属類を溶解することができる酸として、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、スルホン酸、炭酸などの無機酸、および蟻酸、酢酸、スルファミン酸などの有機酸が挙げられる。
上記カチオン電着塗料組成物は、上記成分の他に、上記ブロックイソシアネート硬化剤のブロック剤解離を促進する触媒などを含んでもよい。このような触媒として、例えば、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシドなどの有機錫化合物、N−メチルモルホリンなどのアミン類、ストロンチウム、コバルト、銅などの金属塩などが挙げられる。触媒の濃度は、カチオン電着塗料組成物中のカチオン性エポキシ樹脂とブロックイソシアネート硬化剤合計の100固形分質量部に対し0.1〜6質量部であるのが好ましい。
本発明で用いられるカチオン電着塗料組成物は、上に述べたカチオン性エポキシ樹脂、ブロックイソシアネート硬化剤、及び顔料分散ペーストを水性溶媒中に分散することによって調製される。また、通常、水性溶媒にはカチオン性エポキシ樹脂を中和して、バインダー樹脂エマルションの分散性を向上させるために中和酸を含有させる。中和酸は塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有機酸である。
電着塗装は、被塗物を陰極として陽極との間に、通常、50〜450Vの電圧を印加して行う。印加電圧が50V未満であると電着が不充分となるおそれがあり、450Vを超えると、塗膜が破壊され異常外観となるおそれがある。電着塗装時、塗料組成物の浴液温度は、通常10〜45℃に調節される。
本発明においては、上記電着塗膜形成工程において形成された未硬化の電着塗膜を、調色液を用いて処理することによって、未硬化の電着塗膜の色相および明度が変化することとなる。このように、形成する複層塗膜の色相に従って電着塗膜を調色することによって、1種類の電着塗料組成物のみを用いる中塗りレスの複層塗膜形成方法であっても、様々な色相の複層塗膜形成において良好な意匠性の確保が可能となる。
上述のようにして得られる、調色された未硬化の電着塗膜を、電着過程の終了後、そのまま又は水洗した後、120〜260℃、好ましくは140〜220℃で、10〜30分間焼付けることによって、焼き付け硬化された電着塗膜が形成される。
次に、調色後に焼き付け硬化した硬化電着塗膜の上に、上塗りベース塗膜および上塗りクリヤー塗膜を形成する。以下、本発明の方法に用いることができる上塗りベース塗料組成物および上塗りクリヤー塗料組成物を記載する。
上塗りベース塗料組成物は、上塗りベース樹脂成分、顔料および溶媒を含む。この上塗りベース塗料組成物は、水分散系または有機溶媒分散系を含む、水性型または溶剤型のものである。
上塗りクリヤー塗料組成物は、上塗りクリヤー樹脂成分、各種添加剤および溶媒を含有する。上塗りクリヤー塗料組成物に含まれる上塗りクリヤー樹脂成分は、上塗りクリヤー塗料樹脂と必要に応じた上塗りクリヤー塗料硬化剤とから構成される。上記上塗りクリヤー塗料組成物に含まれる上塗りクリヤー樹脂成分、各種添加剤および有機溶媒としては、上記上塗りベース塗料組成物に関して記載したものがいずれも使用できる。上塗りクリヤー樹脂成分として、酸無水物基含有アクリル樹脂、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、または、水酸基とエポキシ基とを有するアクリル樹脂を用いるのがより好ましい。
本発明の複層塗膜形成方法においては、上記のように調色して得られた硬化電着塗膜の上に未硬化の上塗りベース塗膜を形成する。未硬化の上塗りベース塗膜を形成する方法として、スプレー法、ロールコーター法などを用いて上塗りベース塗料組成物を塗装する方法が挙げられる。塗装方法として具体的には、「リアクトガン」といわれるエアー静電スプレーを用いたり、「マイクロ・マイクロ(μμ)ベル」、「マイクロ(μ)ベル」、「メタベル」などといわれる回転霧化式の静電塗装機を用いたりして塗装するのが好ましい。上塗りベース塗料組成物を自動車車体等に対して塗装する場合の具体的な塗装方法として、エアー静電スプレーによる多ステージ塗装、好ましくは2ステージ塗装を行なうことによって、意匠性を高めることができる。または、エアー静電スプレーと上記の回転式霧化式の静電塗装機とを組合せた塗装方法により、塗装してもよい。
攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計および滴下漏斗を装備したフラスコに、2,4−/2,6−トリレンジイソシアネート(重量比=8/2)92部、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略す)95部およびジブチル錫ジラウレート0.5部を仕込んだ。反応混合物を攪拌下、メタノール21部を滴下した。反応は、室温から始め、発熱により60℃まで昇温した。その後、30分間反応を継続した後、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル50部を滴下漏斗より滴下した。更に、反応混合物に、ビスフェノールA−プロピレンオキシド5モル付加体53部を添加した。反応は主に、60〜65℃の範囲で行い、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失するまで継続した。
ジフェニルメタンジイソシアナート1250部およびMIBK266.4部を反応容器に仕込み、これを80℃まで加熱した後、ジブチル錫ジラウレート2.5部を加えた。ここに、ε−カプロラクタム226部をブチルセロソルブ944部に溶解させたものを80℃で2時間かけて滴下した。さらに100℃で4時間加熱した後、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失したことを確認し、放冷後、MIBK336.1部を加えてガラス転移温度が0℃のブロックイソシアネート硬化剤を得た。
まず、攪拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を装備した反応容器に、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略す)222.0部を入れ、MIBK39.1部で希釈した後、ここヘジブチル錫ジラウレート0.2部を加えた。その後、これを50℃に昇温した後、2−エチルヘキサノール131.5部を攪拌下、乾燥窒素雰囲気中で2時間かけて滴下した。適宜、冷却することにより、反応温度を50℃に維持した。その結果、2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI(樹脂固形分90.0%)が得られた。
サンドグラインドミルに製造例3で得た顔料分散用樹脂を84部、二酸化チタン40部、焼成カオリン58部、酸化亜鉛2部、ジブチル錫オキサイド4.2部およびイオン交換水100.0部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペースト(1)を得た(固形分50%)。
サンドグラインドミルに製造例3で得た顔料分散用樹脂を84部、二酸化チタン40部、焼成カオリン58部、三酸化モリブデン2部、ジブチル錫オキサイド4.2部およびイオン交換水100.0部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペースト(2)を得た(固形分50%)。
サンドグラインドミルに製造例3で得た顔料分散用樹脂を84部、二酸化チタン40部、焼成カオリン59部、酸化亜鉛1部、ジブチル錫オキサイド4.2部およびイオン交換水100.0部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペースト(3)を得た(固形分50%)。
サンドグラインドミルに製造例3で得た顔料分散用樹脂を84部、二酸化チタン40部、焼成カオリン60部、ジブチル錫オキサイド4.2部およびイオン交換水100.0部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペースト(4)を得た(固形分50%)。
サンドグラインドミルに製造例3で得た顔料分散用樹脂を84部、二酸化チタン38.96部、カーボンブラック1.04部、焼成カオリン60部、酸化亜鉛2部、ジブチル錫オキサイド4.2部およびイオン交換水100.0部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペースト(5)を得た(固形分50%)。
カチオン電着塗料組成物の調製
製造例1で得られたアミン変性エポキシ樹脂と製造例2で得られたブロックイソシアネート硬化剤とを固形分比で80/20で均一になるよう混合した。これに樹脂固形分100g当たり酸のミリグラム当量(MEQ(A))が30になるよう氷酢酸を添加し、さらにイオン交換水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIBKを除去することにより、固形分が36%のエマルションを得た。
リン酸亜鉛処理した合金化溶融亜鉛めっき鋼板5枚(150×70×0.8mm)に、製造例4より得られたカチオン電着塗料組成物を、乾燥塗膜が15μmとなるように電着塗装し、未硬化の電着塗膜を形成した。洗浄水を用いて、付着した余剰の電着塗料組成物を取り除いた(電着塗膜形成工程)。
得られた未硬化の電着塗膜を有する鋼板のうち、後にアクアレックス2000(赤、シルバーメタリック、黒)を塗装する鋼板のみ、キシレノールオレンジ調色液(濃度0.1%、pH3.4)中に、室温で、表中に記載される時間浸漬した。次いで、洗浄水を用いて、付着した余剰の調色液を取り除いた(調色工程)。キシレノールオレンジ調色液中に浸漬した未硬化の電着塗膜の色相は、調色工程によって白色からオレンジ色へと変化した。
希釈溶媒:イオン交換水、45秒/No.4フォードカップ/20℃(水性上塗りベース塗料組成物)
希釈溶媒:EEP(エトキシエチルプロピオネート)/S−150(エクソン社製芳香族系炭化水素溶剤)=1/1、30秒/No.4フォードカップ/20℃(上塗りクリヤー塗料組成物)
製造例4の顔料分散ペースト(1)の代わりに、製造例5の顔料分散ペースト(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
またBPA(N−ベンゾイル−N−フェニルヒドロキシルアミン)調色液(濃度0.1重量%、pH3の水溶液)を調製した。
これらのカチオン電着塗料組成物および調色液を用いて、実施例1と同様にして複層塗膜を形成した。但し調色工程は、表中に示される条件で行った。なおBPA(N−ベンゾイル−N−フェニルヒドロキシルアミン)調色液に浸漬した未硬化の電着塗膜の色相は、調色工程によって白色から赤紫色へと変化した。
製造例4の顔料分散ペースト(1)の代わりに、製造例6の顔料分散ペースト(4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
次いで、実施例1と同様にして複層塗膜を形成した。但し調色工程は、表中に示される条件で行った。なおキシレノールオレンジ調色液中に浸漬した未硬化の電着塗膜の色相は、調色工程によって白色からオレンジ色へと変化した。
製造例4の顔料分散ペースト(1)の代わりに、比較製造例1の顔料分散ペースト(4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
得られたカチオン電着塗料組成物そして実施例1の調色液を用いて、実施例1と同様にして複層塗膜を形成した。
調色液を用いた調色工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、複層塗膜を形成した。
製造例4の顔料分散ペースト(1)の代わりに、比較製造例2の顔料分散ペースト(5)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、グレーのカチオン電着塗料組成物を調製した。
得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、調色工程を行うことなく、比較例2と同様にして複層塗膜を形成した。
実施例1の電着塗膜形成工程で得られた未硬化の電着塗膜を、150℃で15分間焼き付けて硬化電着塗膜を得た。得られた硬化電着塗膜を実施例1の調色液に浸漬したが、硬化電着塗膜の変色は生じなかった。
実施例および比較例で得られた複層塗膜の色相について、色彩色差計(ミノルタCR300、ミノルタ社製)を用いて、L値、a値、b値を測色し、標準塗色(基準板)との△Eを求めた。△Eは下記式より求めた。
グレー色の中塗り塗料「オルガP−2グレー」(日本ペイント社製、ポリエステル・メラミン樹脂系塗料)を、乾燥膜厚が30μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で20分間焼き付けて、中塗り塗膜を形成した。
得られた中塗り塗膜上に、各実施例または比較例で用いた上塗りベース塗料組成物(アクアレックス2000(ホワイト、パールホワイト、赤、シルバーメタリック、黒)および上塗りクリヤー塗料組成物を、各実施例または比較例と同様に塗装および焼き付け硬化を行い、基準板である、複層塗膜を有する標準塗装塗板を作製した。
得られた複層塗膜と基準板との数値間の差が小さい程、つまり△E値が小さい程、基準板との色差が小さく良好である事を示す。評価基準を下記に示す。
○ :△Eが1以下である。
△ :△Eが1を超え3以下である。
× :△Eが3を超える。
一方で本発明の実施例で用いた電着塗料組成物においては、淡色の複層塗膜を形成する場合は、調色工程を経ることなく複層塗膜を形成することによって、良好な外観の複層塗膜を形成できることが確認できた。従って、本発明の方法を用いることにより、形成する複層塗膜の色相に応じて調色工程を行うことによって、電着塗料組成物を1種類のみ用いて、かつ、中塗り塗膜を形成しない場合であっても、様々な色相の上塗り塗料組成物を用いた複層塗膜の形成に対応できることが確認できた。
また、本発明の実施例1〜3に示されるように、調色工程における浸漬時間の長短によって、明度L値の値を変化させることができ、調色度合いを調整することができる。従って浸漬時間を調整することによって、形成する複層塗膜の色相に応じた、電着塗膜の調色ができることとなる。
一方、比較例1のように、未硬化の電着塗膜が、亜鉛、セリウム、ビスマス、錫、アルミニウム、マンガンおよびモリブデンからなる群から選択される1種または2種以上の金属類を含んでいない場合は、未硬化の電着塗膜に調色を施した場合であっても、色相はほとんど変化しなかった。
比較例2は、白色の硬化電着塗膜の上に、上塗り塗料組成物を塗装して、複層塗膜を形成した実験例である。この場合は、濃色の複層塗膜の形成において、基準板との△E値が大きくなることが確認された。
比較例3は、グレーの硬化電着塗膜の上に、上塗り塗料組成物を塗装して、複層塗膜を形成した実験例である。この場合は、特に白色およびパールホワイトの複層塗膜の形成において、基準板との△E値が大きくなることが確認された。
比較例4は、焼き付け硬化させた硬化電着塗膜に調色を施した実験例である。この場合は、焼き付け硬化した電着塗膜が、亜鉛、セリウム、ビスマス、錫、アルミニウム、マンガンおよびモリブデンからなる群から選択される1種または2種以上の金属類を含んでいる場合であっても、塗膜の変色はみられなかった。
Claims (3)
- カチオン電着塗料組成物を電着塗装して、亜鉛、セリウム、ビスマス、錫、アルミニウム、マンガンおよびモリブデンからなる群から選択される1種または2種以上の金属類を含む未硬化の電着塗膜を形成する、電着塗膜形成工程、
金属キレート化剤、染料または金属キレート顔料を含む調色液を用いて、得られた未硬化の電着塗膜の色相を変化させる、調色工程、
調色された未硬化の電着塗膜を加熱硬化させて硬化電着塗膜を得る、電着塗膜硬化工程、
得られた硬化電着塗膜の上に、上塗りベース塗料組成物を塗布して、未硬化の上塗りベース塗膜を形成する工程、
得られた未硬化の上塗りベース塗膜の上にクリヤー塗料組成物を塗布して、未硬化の上塗りクリヤー塗膜を形成する工程、および
該未硬化の上塗りベース塗膜および未硬化の上塗りクリヤー塗膜を同時に加熱硬化させる加熱工程、
を包含する、複層塗膜形成方法。 - 前記電着塗膜形成工程で用いられるカチオン電着塗料組成物は、前記金属類を、塗料組成物の樹脂固形分100重量部に対して0.01〜10重量部含む、請求項1記載の複層塗膜形成方法。
- 請求項1または2記載の複層塗膜形成方法により得られる複層塗膜。
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