JP2005199151A - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大型物体の塗装に有用な複層塗膜形成方法を提供すること。
【解決手段】 被塗物を電着浴に浸漬して電着塗装し、硬化した後、中塗りを塗らないで直接上塗り塗料組成物を塗装し硬化する複層塗膜形成方法であって、この被塗物が完成品ではなく各構成部品であり、この電着浴が複数の浴から構成され、それぞれの浴が色の異なる電着塗料で構成されており、各電着浴で電着塗装された構成部品を完成品に組立てた後に上塗り塗装を施すことを特徴する、複層塗膜形成方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば自動車など大型物体の塗装に有用な複層塗膜形成方法および塗装システムに関する。
自動車などの基材の表面には、種々の役割を持つ複数の塗膜を形成して、基材を保護すると同時に美しい外観が付与されている。自動車車体等の塗装は一般に、導電性基材である被塗物に電着塗装がなされ、次いで中塗り塗装、上塗り塗装がなされている。
しかし近年、省エネルギーおよびコストダウンの要請から、上記塗装工程の1部を省く方法も採用されつつある。この簡略化の1態様として、中塗り塗装を省く方法がある。
電着塗装により得られる電着塗膜は、一般に黒色または灰色などの無彩色である。中塗り塗装を省いて、電着塗膜の上に白色または有彩色の上塗り塗料組成物を直接塗装する場合、上塗り塗膜の隠ぺい性が不十分であるためその下にある電着塗膜の色の影響を受けてしまうことがある。この場合、上塗り塗料組成物を塗装しても、目的とする色彩を有する複層塗膜を得ることができない。
このような不都合を回避すべく、特開2002−35691号公報(特許文献1)および特開2002−79172号公報(特許文献2)には、有彩色の電着塗料を塗装して塗膜を形成し、次いでこの塗膜と同系色の上塗り塗料組成物を塗装することによる、塗膜形成方法が記載されている。この方法によって上塗り塗膜の下地隠ぺい性が改善され、中塗り塗装工程を省略することが可能になると記載されている。
ところで、現在一般的に行なわれている自動車車体用の塗装システムは、搬送装置に沿って複数の塗装工程が配置された形式を有する。一方、現在市販されている自動車などは、消費者のニーズにあわせた多種多様の色彩のものが求められている。このため、上塗り塗料組成物と同系色である電着塗料を使用する上記方法を、現在行なわれている電着塗装工程に用いる場合、求められる色彩と同系色である電着塗装用の塗装システムおよび塗装浴を、求められる色彩の数に応じて新たに設置する必要が生じる。これには巨大なスペースおよび多額の費用を必要とするため、実際に行なうことは困難である。
特開2002−35691号公報 特開2002−79172号公報
本発明は、中塗り塗装工程を行なうことなく、大型物体の塗装を効果的に行なうことができる、自動車など大型物体の塗装に有用な複層塗膜形成方法を提供することにある。
本発明は、被塗物を電着浴に浸漬して電着塗装し、硬化した後、中塗りを塗らないで直接上塗り塗料組成物を塗装し硬化する複層塗膜形成方法であって、この被塗物が完成品ではなく各構成部品であり、この電着浴が複数の浴から構成され、それぞれの浴が色の異なる電着塗料で構成されており、各電着浴で電着塗装された構成部品を完成品に組立てた後に上塗り塗装を施すことを特徴する、複層塗膜形成方法、を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
本発明の方法において、電着塗装により得られる電着塗膜と前記上塗り塗装により得られる上塗り塗膜とが同系色であることが好ましい。
さらに本発明は、それぞれ異なる色の塗膜を形成する複数の電着浴から選択した一色の浴中に構成部品を浸漬して電着塗装し硬化する電着塗装ブースと、電着塗装された構成部品を完成品に組み立てる組み立てブースと、組み立てられた完成品に上塗り塗料組成物を塗装し硬化する上塗り塗装ブースとを有する塗装システムを提供する。ここで「ブース」は「区画」を意味する。「電着塗装ブース」とは、塗装システムにおいて電着塗装およびそれの硬化が行なわれる区画であり、「組み立てブース」とは、構成部品の完成品への組み立てが行なわれる区画であり、「上塗り塗装ブース」とは、塗装システムにおいて上塗り塗装が行なわれる区画である。なお、本願に記載される「中塗り塗装ブース」とは、通常の工程おいて、電着塗装およびその硬化が行なわれた後に、その硬化電着塗膜の上に中塗り塗装が行なわれる区画をいう。
本発明の方法において、電着塗料組成物として上塗り塗膜と同系色の電着塗膜が得られる電着塗料組成物を使用することにより、中塗り工程を省いても、上塗り塗膜の隠ぺい性は損なわれない。そして本発明の方法では、完成品ではなく構成部品の状態で電着塗装が行なわれる。そのため本発明において使用される着色された電着塗料組成物の使用量は、一般的な電着塗装において使用される塗料の量より大幅に少ない量とすることができる。
さらに本発明の方法においては、既存の塗装システムに対して、電着浴の部分のみ、複数個の小型電着浴に置きかえて設置することができる。このため、大型物体の塗装における多様な色彩に対する塗装ニーズに対して、低コストで応じることができる。従って、本発明の方法は、中塗り塗装工程を省くことと併せて、塗装コストを低減させることができる。
本発明について、概略工程図を用いながら説明してゆく。本発明の方法における概略工程を図1に示す。本発明では、被塗物として例えば完成品が自動車車体などである物体を組立てる前の、構成部品の段階で、電着塗装を行なう。例えば、被塗物である物体(完成品)が自動車車体である場合、このような構成部品として、例えば、車両ドア、ボンネットなどのパーツ、および自動車車体フレームなどが挙げられる。
現在一般的に行なわれている電着塗装の概略図を図2に示す。完成品である自動車車体の電着塗装を行なう場合、電着塗装に使用される電着浴は、自動車車体が浸漬されるのに十分な大きさのものが必要とされる。このような電着浴として、例えば約300t程の大きさのものが使用されている。
図3は、本発明の方法の概略説明図である。本発明による塗装方法においては、電着塗装に使用される電着層は、自動車車体の構成部品が浸漬されるのに十分な大きさのものでよい。上記の約300t程の電着浴を有する複層塗膜形成用の塗装システムに対して、電着浴の部分を本発明による方法用に置きかえる場合、例えば車両ドア、ボンネットなどのパーツ用の電着浴として50t程の電着浴に、そして自動車車体フレーム用の電着浴として100t程の電着浴に置きかえることができる。これらの電着浴の形態は、それぞれのパーツ等の形態および大きさに応じて変化させることができる。本発明の方法における電着浴は、既存の塗装システム、つまり完成品を塗装するシステムにおける電着浴と比べてかなり小さく、例えば本発明で用いられる電着浴の容積は、完成品を電着塗装する場合の1/5〜1/2ほどの容積である。そのため、既存の1つの塗装システムに含まれる1つの電着浴に置き換えて、複数個の電着浴を設置することができる。この複数個の電着浴は、それぞれ使用される着色された電着塗料組成物に対応させることができる。例えば、既存の電着浴に代えて、複数色の電着浴、例えば赤、青、緑およびグレーなどの電着浴を設置することができる。容積の小さい電着浴を用いることにより、塗装工程における塗料組成物の使用量を減らすことができ、また多様な色彩に対する塗装ニーズに対してもより柔軟に対応できるため、電着塗料組成物の利用性が向上する。既存の電着浴に代えて設置できる電着浴として、設備スペース、設置コストおよび対応する上塗り塗料組成物の色数などを考慮すると、1〜5色ほどの電着浴を設置するのが好ましく、2〜5色ほどの電着浴を設置するのがより好ましい。そして1〜5個の電着浴を設置することができ、より好ましくは2〜5個の電着浴を設置することができる。
また、電着塗料組成物として、上塗り塗膜と同系色の電着塗膜が得られる電着塗料組成物を使用することにより、中塗り工程を省いても、上塗り塗膜の隠ぺい性は損なわれない。ここにいう「同系色」として、例えば上塗り塗膜の工程隠ぺいが成立する色域が挙げられる。この工程隠ぺいとは、電着塗膜上における上塗り塗料組成物の隠ぺい力をいう。本発明では、電着塗膜上に上塗り塗料組成物の塗膜を形成した部分と完全隠ぺい板(白黒隠ぺい膜厚+3μm)との色差△Eが0.5以下であるものが好ましく使用され、△Eが0.1〜0.3であるものがより好ましく使用される。ここの上塗り塗膜の膜厚は、通常の工程で形成される膜厚であって、例えばベースコート塗料について10〜20μm、クリヤー塗料について30〜40μm、モノコート塗料について30〜40μm程である。ここでモノコート塗料とは、1コート上塗り塗料(この塗料の塗装により得られる塗膜)をいい、例えば白ソリッド、黒ソリッドなどが挙げられる。用いられる上塗り塗料組成物(ベースコート塗料)が溶剤型である場合の膜厚は一般に15μm程であり、上塗り塗料組成物(ベースコート塗料)が水性型である場合の膜厚は一般に13μm程である。この測定は、JIS K 5600 4−1、およびJIS K 5600 4−2に準じて行なわれ、色差の測定は分光光度計を用いて行なう。電着塗膜の色域幅が広がることで、上塗り塗料組成物の顔料濃度を低減させることができ、また上塗り塗膜の膜厚を下げることが可能となる。
着色された電着塗料組成物を使用することの利点として、中塗り塗装を行なわない塗装工程による、上塗り塗膜の隠ぺい性を高める目的で上塗り塗料組成物中の顔料濃度を高める必要がなくなること、そして顔料濃度を高めることによる不利益、例えばチッピング性の低下などを除くことができること、などが挙げられる。
さらに、一般的に使用される電着塗料組成物は、体質顔料などの無機顔料を含んでいる。このような無機顔料は一般に比重が高く、電着塗料組成物中において沈降しやすい。また、電着塗装中においても沈降が生じやすく、そして塗装中に沈降した沈降物は、被塗物の水平上面上に降り積もることがあり、肌荒れ、塗装ムラ等を有する塗膜をもたらす原因となる。自動車車体等の大型であってそして水平部面積の大きな被塗物の塗装では、これらは特に大きな問題となる。一方、本発明による塗装方法では、被塗物への電着塗装は、より小さな構成部品単位で行なわれる。そのため、電着塗装において、構成部品を任意の方向に容易に向けることができる。例えば、構成部品の最大面積部が、電着塗料組成物の水面に対して垂直方向になるように配置して、沈降物が被塗物の水平面上へ降り積もることを低減させることができる。
以下、本発明による方法における塗装工程および使用することができる塗料組成物などについて説明してゆく。
電着塗料組成物
本発明の方法で使用される電着塗料組成は、カチオン性エポキシ樹脂、硬化剤、および着色顔料を含む顔料、を含有する。
カチオン性エポキシ樹脂
本発明で用いるカチオン性エポキシ樹脂には、アミンで変性されたエポキシ樹脂が含まれる。このカチオン性エポキシ樹脂は、特開昭54−4978号、同昭56−34186号などに記載されている公知の樹脂でよい。
カチオン性エポキシ樹脂は、典型的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ環の全部をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環するか、または一部のエポキシ環を他の活性水素化合物で開環し、残りのエポキシ環をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環して製造される。
ビスフェノール型エポキシ樹脂の典型例はビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂である。前者の市販品としてはエピコート828(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量180〜190)、エピコート1001(同、エポキシ当量450〜500)、エピコート1010(同、エポキシ当量3000〜4000)などがあり、後者の市販品としてはエピコート807、(同、エポキシ当量170)などがある。
特開平5−306327号公報に記載される、下記式
Figure 2005199151
[式中、Rはジグリシジルエポキシ化合物のグリシジルオキシ基を除いた残基、R’はジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた残基、nは正の整数を意味する。]で示されるオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂をカチオン性エポキシ樹脂に用いてもよい。耐熱性及び耐食性に優れた塗膜が得られるからである。
エポキシ樹脂にオキサゾリドン環を導入する方法としては、例えば、メタノールのような低級アルコールでブロックされたブロックポリイソシアネート硬化剤とポリエポキシドを塩基性触媒の存在下で加熱保温し、副生する低級アルコールを系内より留去することで得られる。
特に好ましいエポキシ樹脂はオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂である。耐熱性及び耐食性に優れ、更に耐衝撃性にも優れた塗膜が得られるからである。
二官能エポキシ樹脂とモノアルコールでブロックしたジイソシアネート(すなわち、ビスウレタン)とを反応させるとオキサゾリドン環を含有するエポキシ樹脂が得られることは公知である。このオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の具体例及び製造方法は、例えば、特開2000−128959号公報第0012〜0047段落に記載されており、公知である。
これらのエポキシ樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、および単官能性のアルキルフェノールのような適当な樹脂で変性しても良い。また、エポキシ樹脂はエポキシ基とジオール又はジカルボン酸との反応を利用して鎖延長することができる。
これらのエポキシ樹脂は、開環後0.3〜4.0meq/gのアミン当量となるように、より好ましくはそのうちの5〜50%が1級アミノ基が占めるように活性水素化合物で開環するのが望ましい。
カチオン性基を導入し得る活性水素化合物としては1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩、スルフィド及び酸混合物がある。1級、2級又は/及び3級アミノ基含有エポキシ樹脂を調製するためには1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物として用いる。
具体例としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルエタノールアミン酢酸塩、ジエチルジスルフィド・酢酸混合物などのほか、アミノエチルエタノールアミンのケチミン、ジエチレントリアミンのジケチミンなどの1級アミンをブロックした2級アミンがある。アミン類は複数の種類を併用して用いてもよい。
硬化剤
本発明で使用する硬化剤は、ポリイソシアネートをブロック剤でブロックして得られたブロックポリイソシアネートが好ましい。ここでポリイソシアネートとは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物をいう。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系および芳香族−脂肪族系等のうちのいずれのものであってもよい。
ポリイソシアネートの具体例には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、及びナフタレンジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート等のような炭素数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4´−ジイソシアネート、及び1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、水添TDI、2,5−もしくは2,6−ビス(イソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナンジイソシアネートとも称される。)等のような炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等のような芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、ビューレット及び/又はイソシアヌレート変性物);等があげられる。これらは、単独で、または2種以上併用することができる。
ポリイソシアネートをエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどの多価アルコールとNCO/OH比2以上で反応させて得られる付加体ないしプレポリマーも硬化剤として使用してよい。
ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートであることが好ましく、更に好ましくは脂肪族ポリイソシアネートである。形成される塗膜が耐候性に優れるからである。
脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートの好ましい具体例には、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添TDI、水添MDI、水添XDI、IPDI、ノルボルナンジイソシアネート、それらの二量体(ビウレット)、三量体(イソシアヌレート)等が挙げられる。
ブロック剤は、ポリイソシアネート基に付加し、常温では安定であるが解離温度以上に加熱すると遊離のイソシアネート基を再生し得るものである。
ブロック剤としては、低温硬化(160℃以下)を望む場合には、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムおよびβ−プロピオラクタムなどのラクタム系ブロック剤、及びホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系ブロック剤を使用するのが良い。
カチオン性エポキシ樹脂と硬化剤とを含むバインダーは、一般に、電着塗料組成物の全固形分の25〜85質量%、好ましくは60〜85質量%を占める量で電着塗料組成物に含有される。
顔料
本発明で使用される電着塗料組成物には顔料として着色顔料を含み、さらに必要に応じて体質顔料などを含む。着色顔料として、
白系;二酸化チタン、酸化亜鉛、リン酸(Zn、Al)、モリブデン酸(Zn、Ca)、
黒系;カーボンブラック、黒鉛(グラファイト)、鉄黒(アイアンブラック)、
青系;無機系として、紺青、群青、コバルトブルー、有機系として、銅フタロシアニンブルー、インダンスロンブルー、
黄系;無機系として、合成黄色酸化鉄、透明べんがら(黄)、ビスマスバナデート、チタンイエロー、亜鉛黄(ジンクエロー)、クロム酸ストロンチウム、有機系として、モノアゾイエロー、モノアゾイエロー、ジスアゾ、モノアゾイエロー、イソインドリノンイエロー、金属錯塩アゾイエロー、キノフタロンイエロー、イソインドリンイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、
赤系;無機系として、べんがら、透明べんがら(赤)、有機系として、モノアゾレッド、モノアゾレッド、無置換キナクリドンレッド、アゾレーキ(Mn塩)、キナクリドンマゼンダ、アンサンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、キナクリドンマゼンダ、ペリレンレッド、ジケトピロロピロールクロムバーミリオン、
緑系;無機系として、酸化クロム、有機系として、塩素化フタロシアニングリーン、臭素化フタロシアニングリーン、
その他;ピラゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンオレンジ、ジオキサジンバイオレット、ペリレンバイオレットなどが挙げられる。また、被塗物の素地を隠ぺいする面から、着色顔料と併せてカーボンブラックなどを使用する場合もある。他に、アルミニウム粉、アルミニウムフレーク、パールマイカ等を添加し、メタリック調やパール調の電着塗膜とすることができる。
体質顔料は塗装分野で一般的に使用されるもの、例えばケイ酸アルミニウム、硫酸バリウムなどを使用することができる。
顔料は、電着塗料組成物の全固形分の5〜25質量%を占める量で電着塗料組成物に配合される。
顔料を電着塗料の成分として用いる場合、一般に顔料を顔料分散樹脂といわれる樹脂と共に予め高濃度で水性媒体に分散させてペースト状にする。顔料は粉体状であるため、電着塗料組成物で用いる低濃度均一状態に一工程で分散させるのは困難だからである。一般にこのようなペーストを顔料分散ペーストという。本発明では、硬化触媒を予め顔料分散樹脂を用いて分散しておきペースト状にした後、顔料と顔料分散樹脂の混合物に添加してさらに分散させて、塗料中に錫触媒を均一に分散安定化させる。
顔料分散樹脂ワニスとしては、一般に、カチオン性又はノニオン性の低分子量界面活性剤や4級アンモニウム基及び/又は3級スルホニウム基を有する変性エポキシ樹脂等のようなカチオン性重合体を用いる。水性媒体としてはイオン交換水や少量のアルコール類を含む水等を用いる。一般に、顔料分散樹脂ワニスは固形分中で20〜40質量部、顔料および触媒は60〜80質量部の比率で用いる。
触媒
本発明で使用される電着塗料組成物は、上記成分の他に、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシドなどの有機錫化合物、N−メチルモルホリンなどのアミン類、ストロンチウム、コバルト、銅などの金属塩を触媒として含んでもよい。これらは、硬化剤のブロック剤解離のための触媒として作用し得る。触媒の濃度は、電着塗料組成物中のカチオン性エポキシ樹脂と硬化剤合計の100固形分質量部に対して0.1〜6質量部であるのが好ましい。
電着塗料組成物の調製および塗装
本発明で使用される電着塗料組成物は、カチオン性エポキシ樹脂および硬化剤を水性媒体中に分散させたもの、顔料分散ペースト、脱イオン水を所定の割合で混合することによって調製される。また、通常、水性媒体にはカチオン性エポキシ樹脂の分散性を向上させるために中和剤を含有させる。中和剤は塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有機酸である。その量は少なくとも20%、好ましくは30〜60%の中和率を達成する量である。
硬化剤の量は、硬化時にカチオン性エポキシ樹脂中の1級、2級又は/及び3級アミノ基、水酸基等の活性水素含有官能基と反応して良好な硬化塗膜を与えるのに十分でなければならず、一般にカチオン性エポキシ樹脂の硬化剤に対する重量比で表して一般に90/10〜50/50、好ましくは80/20〜65/35の範囲である。
電着塗料は、水混和性有機溶剤、界面活性剤、酸化防止剤、および紫外線吸収剤などの常用の塗料用添加剤を含むことができる。また上記樹脂成分の以外に、例えばアクリル樹脂などを含むこともできる。
上記電着塗料組成物は、被塗物である物体の構成部品に電着塗装され、硬化塗膜を形成する。この電着塗料組成物を用いて電着塗装を行う場合の被塗物は、予め、浸漬、スプレー方法等によりリン酸亜鉛処理等の表面処理の施された導体であることが好ましいが、この表面処理が施されていないものであってもよい。また、導体は、電着塗装を行うに当り陰極になり得るものであれば特に制限はなく、金属基材が好ましい。
電着が実施される条件は一般的に他の型の電着塗装に用いられるものと同様である。印加電圧は大きく変化してもよく、1ボルト〜数百ボルトの範囲であってよい。電流密度は通常約10アンペア/m〜160アンペア/mであり、電着中に減少する傾向にある。
電着塗装後、塗膜を昇温下に通常の方法、例えば焼付炉中、オーブン中あるいは赤外ヒートランプで焼付ける。焼付け温度は変化してもよいが、通常約140℃〜180℃である。
構成部品の組立て
次いで電着塗装された構成部品を完成品に組み立てる。ここで、部品の組み立て操作に通常用いられる装置を用いてもよい。こうして組み立てられた完成品に、上塗り塗料組成物を塗装する。
上塗り塗料組成物および塗装
本発明の方法で使用できる上塗り塗料組成物として、塗装分野で一般的に使用される上塗り塗料組成物を使用することができる。上塗り塗料組成物として例えば、ビヒクル、光輝性顔料および/または着色顔料、体質顔料、各種添加剤および溶剤を含有する上塗り塗料組成物を使用することができる。ここで使用される着色顔料として、電着塗料組成物で使用できる着色顔料を使用することができる。
上記の上塗り塗料組成物を、得られた電着塗膜の上に塗装する。上塗り塗料組成物の塗装方法として、例えばスプレー法、ロールコーター法などが挙げられる。
上塗り塗料組成物の塗装により形成された塗膜を、例えば120〜160℃で所定時間焼付けて、複層塗膜を形成することができる。こうして、塗装された完成品が得られる。
本発明の方法における概略工程を示す図である。 一般的な電着塗装の概略図である。 本発明の方法の概略説明図である。
符号の説明
1…電着浴、2…被塗物、3…構成部品。

Claims (9)

  1. 被塗物を電着浴に浸漬して電着塗装し、硬化した後、中塗りを塗らないで直接上塗り塗料組成物を塗装し硬化する複層塗膜形成方法であって、該被塗物が完成品ではなく各構成部品であり、該電着浴が複数の浴から構成され、それぞれの浴が色の異なる電着塗料で構成されており、各電着浴で電着塗装された構成部品を完成品に組立てた後に上塗り塗装を施すことを特徴する複層塗膜形成方法。
  2. 前記電着塗装により得られる電着塗膜と、上塗り塗装により得られる上塗り塗膜とが、同系色であることを特徴とする請求項1記載の複層塗膜形成方法。
  3. 前記電着塗装により得られる電着塗膜上に上塗り塗料組成物による塗膜を形成した部分と、完全隠ぺい板との色差△Eが、0.5以下である、請求項2記載の複層塗膜形成方法。
  4. 前記電着浴の容積が、完成品を電着塗装する場合の1/5〜1/2である請求項1記載の複層塗膜形成方法。
  5. それぞれ異なる色の塗膜を形成する複数の電着浴から選択した一色の浴中に構成部品を浸漬して電着塗装し硬化する電着塗装ブースと、電着塗装された構成部品を完成品に組み立てる組み立てブースと、組み立てられた完成品に上塗り塗料組成物を塗装し硬化する上塗り塗装ブースとを有する、塗装システム。
  6. 電着塗装し硬化した後、中塗り塗装ブースを介さずに上塗り塗料組成物を塗装することを特徴とする、請求項5記載の塗装システム。
  7. 前記電着塗装により得られる電着塗膜と、上塗り塗装により得られる上塗り塗膜とが、同系色であることを特徴とする請求項5記載の塗装システム。
  8. 前記電着塗装により得られる電着塗膜上に上塗り塗料組成物による塗膜を形成した部分と、完全隠ぺい板との色差△Eが、0.5以下である、請求項7記載の塗装システム。
  9. 前記電着浴の容積が、完成品を電着塗装する場合の1/5〜1/2である請求項5記載の塗装システム。
JP2004007040A 2004-01-14 2004-01-14 複層塗膜形成方法 Pending JP2005199151A (ja)

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JP2009114468A (ja) * 2007-11-01 2009-05-28 Nippon Paint Co Ltd 電着塗膜形成方法および複層塗膜形成方法
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