JP5151641B2 - 車両用シートのダブルフォールディング機構 - Google Patents
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Description
図7に図示されるように、このダブルフォールディング機構120は、シートクッション200と車体フロアFとの連結構造であるシートクッション連結構造140、シートバック300と車体フロアFとの連結構造であるシートバック連結構造160から構成されている。
シートクッション連結構造140は、着座部となるシートクッション200が、その前端部に設けられた回動機構330によって、車体フロアFに対して倒伏したシートクッション着座姿勢状態位置200Xから、車体フロアFに対して起立したシートクッション格納姿勢状態位置200Zに起こし上げられるようになっている。
そして、シートバック連結構造160は、背もたれ部となるシートバック300が、その下端部に設けられたリクライニング機構360を回動中心として、シートクッション着座姿勢状態位置200Xの設置スペースに向けて車両前方側に倒し込めるようになっている。したがって、シートの不使用時には、シートクッション200を起こし上げることにより、その設置されていたスペースを空けて、この空いたスペースにシートバック300を倒し込むことにより、全体としてシートをコンパクトな姿勢状態に格納することができる。
二つ目は、シートクッション200の後部下端部に設けたシートクッション側係合部材260と、車体フロアF側のシートバック300の下端部位置の場所に設けられた車体フロア側被係合部材390とを係合させて固定するものである。この両係合部材による係合は、シートクッション200がシートクッション着座姿勢状態位置200Xからの上方移動を規制するものである。以上二つの固定機構によって、回動機構330によるシートクッション200の起倒回動の動きを規制して、シートクッション200をシートクッション着座姿勢状態位置200Xに保持することができるようになっている。
すなわち、この状態でシートクッション200を車体フロアF上の着座姿勢状態の位置に倒伏回動するとシートクッション200は見た目上はシートクッション着座姿勢状態位置200X(図7参照)に戻った位置となっているが、シートクッション側係合部材260が、車体フロア側被係合部材390の上に乗り上げた状態となり両係合部材が係合しない状態となる。そのためシートクッション200の固定機構のうちの一つが有効に働かず、正規のシートクッション着座姿勢状態位置200X(図7参照)に戻らないという問題があった。また、シートクッション200の後端部がシートバック300と干渉して着座姿勢状態の位置に戻すことができないというおそれもあった。
そこで本発明者は、かかる問題について鋭意検討の結果、シートクッション200と回動機構330を保持する保持機構の保持状態を検知することによって、シートクッション200の姿勢位置がシートクッション跳ね上げ状態位置200Yか否か容易に判断することに着目したものである。
本発明の第1の発明は、シートクッションとシートバックから構成されて着座使用可能な姿勢状態に保持されているシートが、該保持状態を解除する解除手段の操作によって、シートクッションが車体フロアに対して倒伏したシートクッション着座姿勢状態位置から、車体フロアに対して起立したシートクッション格納姿勢状態位置に起こし上げられると共に、該起こし上げられる前のシートクッションの設置スペースにシートバックが倒し込まれたシートバック格納姿勢状態位置に作動する車両用シートのダブルフォールディング機構であって、前記シートクッションを前記シートクッション着座姿勢状態位置と前記シートクッション格納姿勢状態位置との間を起倒回動可能とする回動機構が前記シートクッションと前記車体フロアとの間に配設されており、前記回動機構は前記シートクッションと前記車体フロアとの間を連結する連結リンク部材を備え、該連結リンク部材の一端と他端とにおける前記シートクッションと前記車体フロアとの連結は起倒回動可能に枢支された連結とされており、該回動機構により支持されたシートクッションを車体フロアに対してシートクッションの前端部が車両上方側へ浮き上がるシートクッション跳ね上げ状態位置に起こし上げる回動方向に付勢する付勢手段を有しており、該付勢手段により回動付勢されたシートクッションを該付勢手段の付勢力に抗してシートクッション着座姿勢状態位置に保持する保持機構を有しており、前記シートバックの下端部の車体フロア位置には、シートクッションの後端部に設けられたシートクッション側係合部材と係合する車体フロア側被係合部材が設置されており、前記シートクッション跳ね上げ状態位置から前記シートクッション着座姿勢状態位置への倒伏回動過程におけるシートクッション後端部がシートバックの下端部に潜り込み移動するときに、シートクッションの後端部に設けられたシートクッション側係合部材が車体フロア位置に設置された車体フロア側被係合部材に係合して前記シートクッションの起倒回動を規制する構成となっており、前記回動機構には、シートクッションが前記保持機構により保持された保持状態と、シートクッションの保持機構による保持が解除された解除状態を検知することのできる保持機構検知部位が設定されており、前記シートクッションのシートバックとの近接位置には、前記シートクッションが前記シートクッション着座姿勢状態位置と前記シートクッション格納姿勢状態位置との間を起倒回動する際にシートバックに回動不能に接触する突出位置と、回動可能に引っ込められる引っ込み位置との間を作動する突出部材が配設されており、前記保持機構検知部位と前記突出部材とは、前記保持機構検知部位による保持状態の検知で前記突出部材が突出位置となり、前記保持機構検知部位による解除状態の検知で前記突出部材が引っ込み位置となる関係でワイヤーケーブル等の機械的伝達手段で接続されていることを特徴とする。
仮に、シートクッション格納姿勢状態位置からシートクッション着座姿勢状態位置への倒伏回動過程において、シートクッションと回動機構との不要な固定により保持機構が保持状態となると突出部材が突出位置となり、この突出位置ではシートクッションの突出部材がシートバックと干渉するためシートクッション着座姿勢状態位置への倒伏回動ができない状態となる。これにより、事前に車体フロアに対するシートクッションの姿勢が、シートクッション後端部がシートバックの下端部に潜り込む正規のシートクッション跳ね上げ状態位置の姿勢では無いことを把握することができる。またシートクッションと回動機構との不要な固定を防ぐことができる。
そして、シートクッションの姿勢をシートクッション後端部がシートバックの下端部に潜り込ませることのできる正規のシートクッション跳ね上げ状態位置の姿勢位置にした上で、シートクッション着座姿勢状態位置に倒伏することができる。そして、シートバックの下端部の車体フロア位置において、シートクッション側係合部材と車体フロア側被係合部材が確実に係合でき、シートクッションと車体フロアを固定して、シートクッションの起倒回動を規制することができる。
そのため、従来に比べ、より一層ダブルフォールディング機構のシートクッションの倒伏回動過程による操作性が向上する。また、シートクッションとシートバックとの干渉を未然に防ぐことができる。
先ず、上記第1の発明の車両のシートのダブルフォールディング機構によれば、より一層ダブルフォールディング機構のシートクッションの倒伏回動過程による操作性が向上する。また、シートクッションとシートバックとの干渉を未然に防ぐことができる。
次に、上記第2の発明の車両のシートのダブルフォールディング機構によれば、シートクッション格納姿勢状態位置からシートクッション着座姿勢状態位置への倒伏回動過程におけるシートクッションの姿勢変化に伴い保持機構の保持状態と解除状態の検知を把握できるため、シートクッションをより一層、正規のシートクッション跳ね上げ状態位置の姿勢にすることができる。
次に、上記第3の発明の車両のシートのダブルフォールディング機構によれば、複雑な構成にすることなく、突出部材の突出位置と引っ込み位置の切替をすることができる。
図1は、本実施例に係る車両用シートの着座姿勢状態と格納姿勢状態を表した側面図である。図2は、本実施例に係る車両用シートのシートクッションがシートクッション着座姿勢状態位置からシートクッション跳ね上げ状態位置となる状態を表した側面図である。図3は、本実施例に係る車両用シートのシートクッションがシートクッション跳ね上げ状態位置からシートクッション格納姿勢状態位置となる状態を表した側面図である。
このダブルフォールディング機構12は、図1に図示されるように、シートクッション20と車体フロアFとの連結構造であるシートクッション連結構造14、シートバック30と車体フロアFとの連結構造であるシートバック連結構造16から構成されている。以下にダブルフォールディング機構12の構成について詳細に説明する。
図4は、本実施例に係る車両用シート10のシートクッションフレーム22を表した斜視図である。図5は、本実施例に係る車両用シート10の車体フロア側部材37及びシートバックフレーム32を表した斜視図である。なお、図5において、シートバック30のクッションパッドは、図示を省略している。また、中央付近に備えられた保持機構60を図示するためにフレームの中央部の一部を省略している。
このシートクッション連結構造14は、概略、シートクッションフレーム22と車体フロア側部材37とが、この間に配設された回動機構40の連結リンク部材46(図1参照)によって連結されている。
そして、左右一対に構成された第1連結リンク部材46a(図4参照)及び第2連結リンク部材46bが連結されることによって、連結リンク部材46(図1参照)として構成されている。よって、シートクッションフレーム22(図4参照)を車体フロアF(図1参照)に対して起倒回動可能にかつ、枢支する連結構成とされている。
サイドフレーム38の後側に配設された補強部材38bの略中央位置には、シートクッション着座姿勢状態位置20X(図1参照)において、シートクッション側係合部材26と係合可能な車体フロア側被係合部材39が配設されている。
このロック爪62は、ストライカ64と係合してシートクッション20と回動機構40(図4参照)を保持するためのものである。このロック爪62は、板部材から形成されており、ストライカ64と係合する係合凹部62aを有しており先端が先細ったテーパー形状に形成されている。このロック爪62の先端部にウェビングストラップ66が接続されている。そして、このロック爪62は、シートクッション20の下面部側のパネル部材24の凹部の略中央位置において、回動軸62cにおいて回動自在に枢支され、垂下状に配設されている。また、回動軸62c位置には捩りばね部材63が備えられており、ロック爪62はこの捩りばね部材63の付勢によって常時は、図示上、時計回転方向に付勢されて、図示しないストッパーによって垂下状の位置に回動規制されている。
ウェビングストラップ66は、保持機構60であるロック爪62とストライカ64の係合状態を解除する解除レバーとして構成されている。このウェビングストラップ66は、繊維体を帯状に形成されたものである。このウェビングストラップ66の一端はロック爪62の先端部に固定されており、他端部は操作部として、車両後方Re側にシートクッション20の下面部に面して延びて、シートバック30の下端部とシートクッション20の後端部の隙間部から車両前側Frに突出して配置されている(図1参照)。そして、図2に図示されるように、このウェビングストラップ66の操作部を車両前側Fr方向に引くとロック爪62が捩りばね部材63の付勢力に抗して車両後方Re側に回動軸62cを中心として回動し、ストライカ64との係合が解除される構成となっている。
ここで、ロック爪62の係合凹部62aにストライカ64が係合して、シートクッション20(図1参照)が回動機構40に保持された状態が保持状態であり、ウェビングストラップ66の解除操作によって、ロック爪62とストライカ64との係合状態が解除されて、シートクッション20(図1参照)が回動機構40との保持状態から解除された状態を解除状態としている。
図4に図示されるように、この突出部材72の取付け構成は、概略、突出部材72、捩りばね部材74、ブラケット75から構成されている。そして、この突出部材72は、シートクッション20の後端部のシートバック30との近接位置に配設されている。突出部材72は、管状のワイヤー構造で略U字形状に形成され両端は平行して同一方向に形成され、両端に設けられた回動軸73が回動支軸42と略平行方向の向きでブラケット75によって取り付けられ、突出部材72全体を回動軸73を中心にシートクッション後端部から車両後側Re方向に回動可能とされている。
そして、ブラケット75と回動軸73の間には、捩りばね部材74が設けられており、この突出部材72は常時は捩りばね部材74の付勢力によって、車両後側Re方向に突き出した位置である突出位置72a(図1参照)に回動付勢される構成となっている。図6に図示されるように、突出部材72がこの突出位置72a(図1参照)に位置している状態は、シートクッション20がシートクッション着座姿勢状態位置20Xとシートクッション格納姿勢状態位置20Zとの間を起倒回動する際にシートバック30に接触して起倒回動を不能とする構成となっている。
図4に図示されるように、この保持機構検知部位80は、回動機構40に設定されており、保持機構60の保持状態と解除状態を検知することができるものである。この保持機構検知部位80による検知は、車体フロアFに対するシートクッション20の姿勢変化の検知によってなされる。
この検知をするために次の構成からなっている。図4に図示されるように、この保持機構検知部位80は、概略、ブラケット47、ブラケット82、ワイヤーケーブル接続端部90aからなる。この保持機構検知部位80は、回動機構40の第1連結リンク部材46aにおけるシートクッション姿勢変更回動軸50の位置にブラケット47が形成されている。このブラケット47は、第1連結リンク部材46aと一体に板状に形成されたものでシートクッション姿勢変更回動軸50の半径方向、かつ、車両上方側に立設されている。そしてこのブラケット47の車両後方側には、パネル部材24位置にブラケット82が設けられてワイヤーケーブル90のアウターケーシングが固定されている。そしてインナーケーブルが車両前側Frに伸びて、ブラケット47の略中央位置にワイヤーケーブル接続端部90aとして接続されている。
そして、図2に図示されるように、シートクッション20が起倒回動されると、車体フロアFに対する姿勢が変化するため、回動機構40の連結リンク部材46がシートクッション姿勢変更回動軸50を中心として回動する。これに伴って、このブラケット47も同時に、図2の図示上反時計回転方向に回動するため、このブラケット47に接続されたワイヤーケーブル90aとブラケット82の距離が長くなる。これにより、この長くなった分が、突出部材72に接続されたワイヤーケーブル90bによって引き方向の作動伝達がされて、突出部材72は、捩りばね部材74の付勢力に抗して突出位置72aから引っ込み位置72bに回動付勢をする構成となっている。
図5に図示されるように、シートバック連結構造16は、シートバック用回動機構33、捩りばね部材35、リクライニング機構36を有する。
詳しくは、シートバック用回動機構33は、車体フロアFと一体に固定された車体フロア側部材37と、この車体フロア側部材37に対しシートバック30の骨格を成すシートバックフレーム32を回動可能に連結する回動軸33bと、を有する。ここで、シートバックフレーム32は、パイプ状の部材と板状の部材とが剛接合されて形成されており、全体が門形状に形成されている。そして、車体フロア側部材37及び回動軸33bは、シートバックフレーム32の両脚部分の下端を回動可能に支持するために、シートバック30の幅方向に一対で設けられている。また、門形状のシートバックフレーム32は、その両脚部分に架け渡された補強部材32aと一体に剛接合されており、補強されている。
また、図5に良く示されるように、両リクライニング機構36は、これらの間に架け渡されるようにして設けられた連結軸36bによって互いに連結されている。この連結軸36bは、両リクライニング機構36の間で前述したロック機構の作動状態を同期させるべく、これらの間で回動力の伝達を行う。したがって、両リクライニング機構36は、リクライニングレバーの操作状態に応じて、常に、ロック作動状態の切換えが同期して行われる。
なお、このリクライニング機構36の構成は、公知のものであり、より詳しい内容は特開2003−9979号公報等の文献に開示されている。
先ず、車両用シート10を着座姿勢状態から格納姿勢状態にする作動構成について説明する。
図1に図示されるように、シートクッション20が車体フロアFに対して倒伏したシートクッション着座姿勢状態位置20X(仮想線)に位置し、シートバック30は車体フロアFに対して起き上がったシートバック起立姿勢状態位置30Xに位置している。
このとき、シートクッション20がシートクッション着座姿勢状態位置20X(仮想線)に位置する状態では、保持機構検知部位80におけるブラケット82とワイヤーケーブル接続端部90aの距離は小さくなる。そのため、シートクッション20の後端部に設けられた突出部材72は、捩りばね部材74の付勢力によって、車両後側Re方向に突き出した位置である突出位置72a(図1参照)に回動付勢された状態を保っている。シートクッション20は、シートクッション着座姿勢状態位置20X(仮想線)に位置している状態では、シートバック30の下端部に潜り込んだ状態のため突出部材72が突出位置72aに位置した状態においてもシートバック30の下端部では干渉しない状態となる。
この状態において、ウェビングストラップ66の操作部を車両前側Frに引っ張ると、ウェビングストラップ66の他端側と接続されたロック爪62が、捩りばね部材63の付勢力に抗して図2の図示上、回動軸62cを中心にして反時計回転方向に回動される。
図2に図示されるように、ロック爪62が回動軸62cを中心にして反時計回転方向に回動されると、ロック爪62の係合凹部62aとストライカ64の係合が解除されて、シートクッション20に備えられたトーションスプリング52(図4参照)の付勢力が働きシートクッション20は、前端部が車両上方側へ浮き上がったシートクッション跳ね上げ状態位置20Yに起こし上げられて回動付勢される。
これと同時に、シートクッション側係合部材26と車体フロア側被係合部材39の両係合部材は、シートクッション着座姿勢状態位置20Xの位置においての係合状態から、シートクッション跳ね上げ状態位置20Yの位置では、シートクッション側係合部材26が車両前側Frに移動し両係合部材の係合状態が解除される。そのため、シートクッション20がシートクッション跳ね上げ状態位置20Yからシートクッション格納姿勢状態位置20Zへ起倒回動可能な状態となる。
このとき、図2に図示されるように、シートクッション20がシートクッション跳ね上げ状態位置20Yに起こし上げられると、回動機構40の連結リンク部材46がシートクッション姿勢変更回動軸50を中心として回動する。これに伴って、このブラケット47も同時に、図2の図示上反時計回転方向に回動するため、このブラケット47に接続されたワイヤーケーブル90aとブラケット82の距離が大きくなる。これにより、この大きくなった分が、突出部材72に接続されたワイヤーケーブル90bによる引き方向の作動伝達となり、突出部材72は、突出位置72aから引っ込み位置72bに回動移動をする構成となっている。
これにより、シートクッション20がシートバック30に接触しないで起倒回動を可能とする構成となっている。
次に図3に図示されるように、更にウェビングストラップ66の操作部を車両前側Frに引っ張ると、シートクッション20がシートクッション起倒回動軸48を中心に起倒回動されて、シートクッション格納姿勢状態位置20Zに回動移動する。
そして、図1に図示されるように、シートバック30のリクライニング機構36を解除して、シートクッション20を起こし上げる前の設置スペースP内に倒し込み、シートバック格納姿勢状態位置30Zに倒伏させる。これにより、車両用シート10をコンパクトな姿勢状態として格納することができ、車両用シート10の設置されていたスペースを空けて荷室スペースLとして利用できるようになる。
図1に図示されるように、先ず、シートバック格納姿勢状態位置30Zに位置しているシートバック30をシートバック起立姿勢状態位置30X(仮想線)に起こし上げて、リクライニング機構36によって固定する。
次に、図3に図示されるように、シートクッション格納姿勢状態位置20Zに位置するシートクッション20をシートクッション起倒回動軸48を中心に車両後側Re方向に倒伏回動させて、シートクッション跳ね上げ状態位置20Yまで回動移動させる。このとき、シートクッション20がシートクッション格納姿勢状態位置20Zからシートクッション跳ね上げ状態位置20Yに回動移動完了するまでの間は、ロック爪62とストライカ64との係合状態が解除されて、シートクッション20と回動機構40の保持が解除された解除状態を保って回動させる。そうすると、保持機構検知部位80におけるブラケット82とワイヤーケーブル接続端部90aの距離は大きい状態を保つため、シートクッション20の後端部に設けられた突出部材72は捩りばね部材74の付勢力に抗して、シートクッション20の下方方向に回動されてシートクッション20の後端部に引っ込められる引っ込み位置72bに回動付勢された状態を維持する。この突出部材72がこの引っ込み位置72bに位置している状態においては、シートクッション20がシートバック30に接触しないでシートクッションの倒伏回動が可能となるため、シートクッション20をシートクッション側係合部材26と車体フロア側被係合部材39の両係合部材が係合可能な正規のシートクッション跳ね上げ状態位置20Yの姿勢位置に回動移動させることができるため、両係合部材が係合可能な状態に位置させることができる。
図6に図示されるように、仮に、シートクッション20がシートクッション格納姿勢状態位置20Zからシートクッション跳ね上げ状態位置20Yに回動移動完了するまでの間に、ロック爪62の係合凹部62aにストライカ64が係合されて、シートクッション20と回動機構40(図4参照)が保持された保持状態となると、保持機構検知部位80におけるブラケット82とワイヤーケーブル接続端部90aの距離は小さい状態となる。そのため、シートクッション20の後端部に設けられた突出部材72は、捩りばね部材74の付勢力によって、車両後側Re方向に突き出した位置である突出位置72aに回動付勢された状態となる。そうすると、突出部材72がシートバック30に回動不能に接触することとなり、シートクッション20を正規のシートクッション跳ね上げ状態位置20Yまで回動移動することができなくなる。
図2に図示されるように、シートクッション20を正規のシートクッション跳ね上げ状態位置20Yに回動移動完了後、シートクッション20に備えられたトーションスプリング52(図4参照)の付勢力に抗して、シートクッション20の上部を下方に押圧してシートクッション着座姿勢状態位置20Xまで沈み込ませるように回動移動させる。そうすると、連結リンク部材46がシートクッション起倒回動軸48を中心に時計回転方向に回動すると共に、シートクッション20がシートクッション姿勢変更回動軸50を中心に回動してシートクッション20の前端部が車両下方に移動し、後端部がシートバックの下端部に潜り込み移動する。そして、ロック爪62の係合凹部62aと、ストライカ64が自動的に係合されて、シートクッション20と回動機構40(図4参照)の固定がされる。すなわち、シートクッション20がシートクッション着座姿勢状態位置20Xにまで回動移動されると、ストライカ64は、ロック爪62の先端テーパー部に接触し、捩りばね部材63の付勢力に抗してロック爪62を反時計回転方向に回動させて係合凹部62aとの係合をする。このとき、このロック爪62とストライカ64の係合と共に、シートクッション側係合部材26が、車両後側Re方向に移動をして車体フロア側被係合部材39との係合位置で係合を完了する。このとき、保持機構検知部位80におけるブラケット82とワイヤーケーブル接続端部90aの距離は小さい状態となる。そのため、シートクッション20の後端部に設けられた突出部材72は、捩りばね部材74の付勢力によって、車両後側Re方向に突き出した位置である突出位置72aに回動付勢された状態となる。図1に図示されるように、シートクッション20は、シートクッション着座姿勢状態位置20X(仮想線)に位置している状態では、シートバック30の下端部に潜り込んだ状態のため突出部材72が突出位置72aに位置した状態においてもシートバック30の下端部では干渉しない状態となる。そうして、シートクッション20と回動機構40(図4参照)が固定が完了し、シートクッション20は、正規のシートクッション着座姿勢状態位置20Xに倒伏回動をすることができる。
仮に、シートクッション格納姿勢状態位置20Zからシートクッション着座姿勢状態位置20Xへの倒伏回動過程において、シートクッション20と回動機構40との不要な固定により保持機構60が保持状態となると突出部材72が突出位置72aとなり、この突出位置72aではシートクッション20の突出部材72がシートバック30と干渉するためシートクッション着座姿勢状態位置20Xへの倒伏回動ができない状態となる。これにより、事前に車体フロアFに対するシートクッション20の姿勢が、シートクッション20の後端部がシートバック30の下端部に潜り込む正規のシートクッション跳ね上げ状態位置20Yの姿勢では無いことを把握することができる。またシートクッション20と回動機構40との不要な固定を防ぐことができる。
そして、シートクッション20の姿勢をシートクッション20の後端部がシートバック30の下端部に潜り込ませた正規のシートクッション跳ね上げ状態位置20Yの姿勢位置にした上で、シートクッション着座姿勢状態位置20Xに倒伏することができる。そして、シートバック30の下端部の車体フロアF位置において、シートクッション側係合部材26と車体フロア側被係合部材39が確実に係合でき、シートクッション20と車体フロアFを固定して、シートクッション20の起倒回動を規制することができる。
そのため、従来に比べ、より一層ダブルフォールディング機構12のシートクッション20の倒伏回動過程による操作性が向上する。また、シートクッション20とシートバック30との干渉を未然に防ぐことができる。
また、突出部材72は、回動軸73、捩りばね部材74からの比較的簡単な構成によって達成することができる。そのため、複雑な構成にすることなく、突出部材72の突出位置と引っ込み位置72bの切替をすることができる。
例えば、本実施例においては、シートクッションフレーム22について、管状のワイヤー構造のフレーム構成を示したが他の構成も適用できる。例えば、合成樹脂製等の材料を用いてパネル形状に形成されたものでもよい。
また、ワイヤーケーブル90について、プル式(引張りタイプ)のワイヤーケーブル90について示したが、押し引き両用のプッシュプル形式のワイヤーケーブル90であってもよい。また、機械的伝達手段の代表例としてワイヤーケーブル90の構成について説明したが、リンク伝達により伝達する構成であってもよい。
12 ダブルフォールディング機構
14 シートクッション連結構造
16 シートバック連結構造
20 シートクッション
20X シートクッション着座姿勢状態位置
20Y シートクッション跳ね上げ状態位置
20Z シートクッション格納姿勢状態位置
22 シートクッションフレーム
23 クッションパッド
24 パネル部材
26 シートクッション側係合部材
30 シートバック
30X シートバック起立姿勢状態位置
30Z シートバック格納姿勢状態位置
32 シートバックフレーム
32a 補強部材
32b 掛合部材
33 シートバック用回動機構
33b 回動軸
35 捩りばね部材
35a 支持部
35b 附勢部
36 リクライニング機構
36a 回動軸
36b 連結軸
37 車体フロア側部材
38 サイドフレーム
38a 補強部材
38b 補強部材
39 車体フロア側被係合部材
40 回動機構
42 回動支軸
44 連結軸
46 連結リンク部材
46a 第1連結リンク部材
46b 第2連結リンク部材
47 ブラケット
48 シートクッション起倒回動軸
50 シートクッション姿勢変更回動軸
52 トーションスプリング
60 保持機構
62 ロック爪
62a 係合凹部
62c 回動軸
63 捩りばね部材
64 ストライカ
66 ウェビングストラップ
72 突出部材
72a 突出位置
72b 引っ込み位置
73 回動軸
74 捩りばね部材
75 ブラケット
80 保持機構検知部位
82 ブラケット
90 ワイヤーケーブル
90a ワイヤーケーブル接続端部
90b ワイヤーケーブル接続端部
Fr 車両前側
Re 車両後側
F 車体フロア
L 荷室スペース
P 設置スペース
Claims (3)
- シートクッションとシートバックから構成されて着座使用可能な姿勢状態に保持されているシートが、該保持状態を解除する解除手段の操作によって、シートクッションが車体フロアに対して倒伏したシートクッション着座姿勢状態位置から、車体フロアに対して起立したシートクッション格納姿勢状態位置に起こし上げられると共に、
該起こし上げられる前のシートクッションの設置スペースにシートバックが倒し込まれたシートバック格納姿勢状態位置に作動する車両用シートのダブルフォールディング機構であって、
前記シートクッションを前記シートクッション着座姿勢状態位置と前記シートクッション格納姿勢状態位置との間を起倒回動可能とする回動機構が前記シートクッションと前記車体フロアとの間に配設されており、
前記回動機構は前記シートクッションと前記車体フロアとの間を連結する連結リンク部材を備え、該連結リンク部材の一端と他端とにおける前記シートクッションと前記車体フロアとの連結は起倒回動可能に枢支された連結とされており、
該回動機構により支持されたシートクッションを車体フロアに対してシートクッションの前端部が車両上方側へ浮き上がるシートクッション跳ね上げ状態位置に起こし上げる回動方向に付勢する付勢手段を有しており、
該付勢手段により回動付勢されたシートクッションを該付勢手段の付勢力に抗してシートクッション着座姿勢状態位置に保持する保持機構を有しており、
前記シートバックの下端部の車体フロア位置には、シートクッションの後端部に設けられたシートクッション側係合部材と係合する車体フロア側被係合部材が設置されており、
前記シートクッション跳ね上げ状態位置から前記シートクッション着座姿勢状態位置への倒伏回動過程におけるシートクッション後端部がシートバックの下端部に潜り込み移動するときに、シートクッションの後端部に設けられたシートクッション側係合部材が車体フロア位置に設置された車体フロア側被係合部材に係合して前記シートクッションの起倒回動を規制する構成となっており、
前記回動機構には、シートクッションが前記保持機構により保持された保持状態と、シートクッションの保持機構による保持が解除された解除状態を検知することのできる保持機構検知部位が設定されており、
前記シートクッションのシートバックとの近接位置には、前記シートクッションが前記シートクッション着座姿勢状態位置と前記シートクッション格納姿勢状態位置との間を起倒回動する際にシートバックに回動不能に接触する突出位置と、回動可能に引っ込められる引っ込み位置との間を作動する突出部材が配設されており、
前記保持機構検知部位と前記突出部材とは、前記保持機構検知部位による保持状態の検知で前記突出部材が突出位置となり、前記保持機構検知部位による解除状態の検知で前記突出部材が引っ込み位置となる関係でワイヤーケーブル等の機械的伝達手段で接続されていることを特徴とする車両用シートのダブルフォールディング機構。 - 請求項1に記載の車両用シートのダブルフォールディング機構であって、
前記保持機構検知部位による保持状態と解除状態の検知は、車体フロアに対するシートクッションの姿勢変化によって検知することを特徴とする車両用シートのダブルフォールディング機構。 - 請求項2に記載の車両用シートのダブルフォールディング機構であって、
前記シートクッション後端部のシートバックとの近接位置には、前記突出部材を回動させるための回動軸を有し、
該回動軸には、弾性部材を有しており、
前記突出部材が、常時は、該弾性部材の付勢力によって突出位置方向に付勢されていることを特徴とする車両用シートのダブルフォールディング機構。
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