JP5148308B2 - 廃食油の改質反応器 - Google Patents

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Description

本発明は、廃食油の改質反応器に関する。すなわち、廃食油を一酸化炭素,二酸化炭素,水素,メタン,エチレン等に改質する、改質反応器に関するものである。
《技術的背景》
廃食油、例えば使用済の天ぷら油,その他の使用済の植物油の有効利用が、最近注目を集めている。
すなわち、使用済の菜種油,大豆油,コーン油,ひまわり油,その他各種の廃食油(食用廃油)を、排出,廃棄することなく、回収,精製する技術が、脚光を浴びつつある。
《従来技術》
その代表例が、BDF(バイオディーゼル燃料,BIO DIESEL FUEL)に関する技術である。
すなわち、その廃食油の精製プラントでは、原料として収荷,回収された廃食油に、メタノールや水酸化ナトリウム等を加えて反応させる工程の後、中和剤で中和する工程や、複数回の洗浄工程等を経て、BDFが精製される。なお反応時には、グリセリンが副生される。
精製されたBDFは、成分が軽油とほぼ同じ(メチルエステル)であり、軽油代替燃料として軽油に混ぜ、もってディーゼルエンジン用燃料として使用される。そして、このような廃食油の燃料化技術は、化石燃料の代替燃料として、CO削減の一翼を担うものとして、期待されている。
《先行技術文献情報》
BDF精製に関する従来技術としては、例えば、次の特許文献1中に示されたものが、挙げられる。
特開平6−313188号公報
《問題点について》
ところで、このような従来技術については、次の問題が指摘されていた。
すなわち、BDF精製技術に関しては、精製,製造にメタノール,アルカリ,酸等を必要とすると共に手間もかかり、設備コスト,処理コスト,ランニングコスト,メンテナンスコスト等が嵩む、という問題が指摘されていた。
更に、副生するグリセリンの除去についても、作業が面倒であり、この面からもランニングコスト,メンテナンスコスト等が嵩む、という問題が指摘されていた。
《本発明について》
本発明の廃食油の改質反応器は、このような実情に鑑み、上記従来例の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、廃食油を即燃料化可能であり、第2に、諸コスト面にも優れた、廃食油の改質反応器を提案することを目的とする。
《請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次の請求項1のとおりである。
すなわち、請求項1の廃食油の改質反応器は、気化させた廃食油を、高温加熱下において、水蒸気および空気を酸化剤として反応させ、もって、少なくとも一酸化炭素と二酸化炭素と水素からなると共に更にメタン,エチレンも含有した生成ガスに、改質して、ガスエンジンの燃料として使用する。
そして、気化器および混合器を備えている。該気化器は、供給された該廃食油を、液状から気化せしめ、該混合器は、気化された該廃食油が圧入,供給されると共に、該水蒸気および加熱された該空気が圧入,供給され、気化された該廃食油と混合されて、該改質反応器に供給される。
該改質反応器での改質は、触媒のもとで、600℃以上の高温加熱下で、実施される。
これと共に、該廃食油中の炭素と該水蒸気との混合比率、該廃食油中の炭素と該空気中の酸素との混合比率、ガス化された該廃食油と該触媒との間の空間速度が、各々条件設定される。
そして、該廃食油中の炭素と該水蒸気間のモル比は、1:2以上に設定され、ガス化された該廃食油と該触媒間の重量単位での空間速度は、0.25(1/h)以上に設定される。
もって該生成ガスは、タールおよびコークの随伴生成が最小限に抑えられると共に、低位発熱量が2,000kcal/Nm以上のカロリーリッチガスとされて、該ガスエンジンに供給されること、を特徴とする。
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)廃食油は、気化された後、水蒸気や空気と共に改質反応器に供給される。
(2)改質反応器は、水蒸気および空気を酸化剤とし、600℃以上例えば800℃程度に高温加熱されている。
(3)このような内熱式によらず、廃食油を水蒸気と共に供給して、外部加熱する外熱式も採用可能である。
(4)廃食油は、熱の作用と充填された触媒の作用とに基づき、水蒸気更には空気中の酸素と反応して改質される。
(5)そして、このようなガス化改質により、水素,一酸化炭素,二酸化炭素,更にはメタン,エチレン等の炭化水素が、生成される。
(6)生成された生成ガスは、ガスエンジンの燃料とされる。
(7)なお、燃料としての用途に鑑み、生成ガスは、発熱量の高いカロリーリッチガスであると共に、タール・コークフリーガスであることが望まれる。そこで、水蒸気や空気の供給量設定や空間速度の適切化等が、重要となる。
(8)さて、そこでこのように本発明では、廃食油を改質により、即そのまま効率的に燃料として使用可能となる。
(9)しかもこれは、改質反応器等の簡単な設備を用い容易な工程処理により、実現可能である。
《第1の効果》
第1に、廃食油を即燃料化可能である。すなわち、本発明の廃食油の改質反応器では、廃食油を、一酸化炭素,水素,メタン,エチレン等にガス化改質し、改質された生成ガスを、そのまま直接、燃料として提供可能である。
このように本発明では、廃食油を改質することにより、優れた燃料を効率的に得ることができる。
《第2の効果》
第2に、諸コスト面にも優れている。すなわち、本発明の廃食油の改質反応器では、廃食油を改質により燃料化し、前述したこの種の従来例に比し、設備コスト,処理コスト,ランニングコスト,メンテナンスコスト等に優れている。
すなわち、廃食油を精製してBDF化していた前述したこの種従来例のように、メタノール,水酸化ナトリウム,その他のアルカリや酸の投入を要することなく、又、各種工程を要することもなく、更に、グリセリンの除去作業等も要することなく、簡単容易に廃食油を燃料化可能である。
なお、廃食油の排出現物では、廃食油と共に、ペットボトル,ブラシ,その他のプラスチック成形品,プラスチック製品や、ドライクリーニング溶剤,その他のパラフィン系,石油系の溶剤、等の各種廃材が発生するが、これらも、事前に油化するなどして廃食油と共に改質反応器へと投入することにより、廃食油に準じて改質可能,燃料化可能である。もってこの面からも、更にコスト面に優れるようになる。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
《図面について》
以下、本発明の廃食油の改質反応器を、図面に示した発明を実施するための最良の形態に基づいて、詳細に説明する。図1〜図5は、本発明を実施するための最良の形態の説明に供する。
そして図1は、全体の構成ブロック図である。図2は、実施例1の説明に供するグラフであり、その(1)図〜(3)図は、各改質特性に対する酸素/炭素の影響を示す。
図3および図4は、実施例2の説明に供するグラフであり、それぞれ(1)図〜(3)図は、各改質特性に対する水蒸気/炭素の影響を示す。図5は、実施例3の説明に供するグラフであり、各収率に対する空間速度の影響を示す。
《廃食油1について》
まず、廃食油1について説明する。使用済の植物油である廃食油1は、主成分が植物性脂肪(不飽和脂肪)のトリグリセリドよりなる。
すなわち、オレイン酸(C1733COOH),リノール酸(C1731COOH),その他の不飽和脂肪酸のトリグリセリドよりなる。このトリグリセリドは、例えばリノール酸のトリグリセリドの場合は、3価のアルコールであるグリセリンC(OH)の1モルと、カルボン酸であるリノール酸の3モルとの、エステル化反応の脱水縮合産物よりなる。
トリグリセリドをなす脂肪酸が、このように不飽和脂肪酸の場合、そのトリグリセリドは、不飽和脂肪(油,脂肪油)と呼ばれ、常温では液体であり、400℃以上で気化する。廃食油1は、このようなトリグリセリドや、その酸化変質体よりなる。
《改質反応器2等について》
次に、図1により改質反応器2等について、説明する。廃食油1は、気化された後、改質反応器2において、高温加熱下で水蒸気更には空気を酸化剤として反応し、もって、少なくとも一酸化炭素や二酸化炭素と水素とからなる生成ガス3に、改質される。
そして、このような改質反応器2における改質は、600℃以上例えば800℃程度の高温加熱下において、触媒のもとで行われ、生成ガス3には、更にメタン,エチレン等の炭化水素が含有されることが多い。
これらについて、更に詳述する。まず廃食油1は、気化器4に供給されて気化される。気化器4は、図示例ではヒーター5が付設され、もって内部が例えば400℃〜500℃程度にて温度保持されており、液状をなしていた廃食油1は、ここで気化される。
それから、気化された廃食油1は、次に混合器6に圧入,供給され、もって水蒸気7および加熱された空気8と、混合される。
水蒸気7は水蒸気発生器9から、加熱された空気8は、空気予熱器10から、それぞれ圧入,供給されるが、各々、気化された廃食油1に準じた温度にて温度保持されている。図示例の水蒸気発生器9および空気予熱器10は、共に、改質反応器2から排出された生成ガス3の熱量や、ガスエンジン11から排出された排気ガス12の煙送の熱量を、利用する方式よりなる。
そして改質反応器2は、内部が650℃以上例えば700℃や800℃程度に高温加熱保持されている。図示例では、このような加熱方式として、水蒸気7と空気8の酸素とを酸化剤とする内熱式,オートサーマル式が採用されている。
このように図示例の改質は、熱効果に優れた内熱式,オートサーマル式,直接加熱式改質にて行われるが、図示例では更に、ヒーター5が改質反応器2に付設されている。つまり、図示例の改質は、内部燃焼反応の反応熱を利用する内熱式,オートサーマル式,直接加熱式改質にて実施されるが、更に、外熱式,間接加熱式の要素も、補助的に加味されている。
改質反応器2内では、気化された廃食油1が、このように高温加熱された熱の作用と、内部充填された触媒13の作用とに基づき、改質される。
図示例では、廃食油1は水蒸気7と空気8の酸素とを,酸化剤,ガス化剤として反応し、もって水素,一酸化炭素,二酸化炭素,更にはメタン,エチレン等の炭化水素を主成分とする生成ガス3に、水蒸気改質,空気改質される。
反応促進用の触媒13としては、γ−アルミナ,Ni−Al,その他のニッケル系のものが代表的に使用され、粒子状固定反応層として改質反応器2内に充填される。
生成ガス3は、各種燃料として利用され、代表的にはガスエンジン11の燃料として利用に供される。
すなわち、図示例のガスエンジン11はロータリーエンジンよりなり、生成ガス3の水素,一酸化炭素,メタン,エチレン等を燃料として運転される。そして、その主軸が、隣接設置された発電機14に連結されており、その駆動が発電に利用される。
ところで図示例では、水蒸気と空気とを酸化剤とした内熱式,オートサーマル式,直接加熱式改質が採用されており、熱効率に優れているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、外熱式,間接加熱式改質も採用可能である。すなわち、水蒸気のみを酸化剤とすると共に、付設されたヒーター5のみにて、廃食油1の高温加熱そして水蒸気改質を実施することも可能である。
改質反応器2等は、このようになっている。
《反応式等について》
次に、改質の反応式等について検討する。改質反応器2内では、廃食油1が、水蒸気(HO)7、と空気中の酸素(O)8とを酸化剤として、水素(H),一酸化炭素(CO),二酸化炭素(CO),メタン(CH),エチレン(C)等に、改質され変換される。
例えば、廃食油1がリノール酸のトリグリセリドの場合は、次の化1の反応式により、改質が進行する。
Figure 0005148308
化1の反応式の例において、廃食油1の擬似分子式はC57101となる。COは、一酸化炭素や二酸化炭素であり、一酸化炭素は、シフト反応により水蒸気と反応して、二酸化炭素と水素の混合気体に改質,変換される可能性がある。
HCGは炭化水素であり、メタン,エチレンを主とするが、極く微量のエタン(C),プロパン(C),ブタン(C10)等も、混在する可能性がある。なお、生成される水蒸気については、出発物質の水蒸気と相殺して省略した。
ところで1例として、この廃食油1(擬似分子式:C57101,その分子量:881g)は、その炭素1モル(12g)に対し、水分子4モル(18×4=72g)、酸素分子0.3モル(16×0.3=48g)の条件下において、タール・コークフリーが実現されると共に、反応の発熱・吸熱がバランスする(後述する図2の(1)図,(2)図や、図5を参照)。
この場合、化1の反応式では、廃食油1の炭素のモル数が57モルなので、水分子は、4×57=228モル、酸素分子は、0.3×57=17.1モルとなる。
反応式等は、このようになっている。
《改質反応の留意点》
改質について、更に検討する。廃食油1の生成ガス3は、上述したように、水素,一酸化炭素,メタン,エチレン等の炭化水素等に改質されて、ガスエンジン11等に燃料として供給される。
そこで生成ガス3は、まず、発熱量の高いカロリーリッチガスであることが望まれる。これと共に、改質に伴いタールやコークが随伴生成される可能性があるが、これらの生成が最小限に抑えられたタール・コークフリーガスであることも、望まれる。
生成ガス3のカロリーリッチガス化に関しては、水素や一酸化炭素の生成量も重要であるが、それにも増して、メタン,エチレン等の炭化水素の生成量増加が極めて重要である。
タール・コークフリーガス化に関しては、生成ガス3をガスエンジン11等の燃料として使用する際、タールやコークに起因したコーキングが諸トラブルの発生原因となり、その抑制が必要となる。
上述した生成ガス3のカロリーリッチガス化実現やタール・コークフリーガス化実現のため、更には改質反応の熱的自立実現のためには、改質反応器2に酸化剤として供給される水蒸気7や空気(酸素)8の供給量の条件設定と、空間速度の適切化とが、重要ポイントとなる。
すなわち、まず、改質反応器2に供給される廃食油1、具体的にはその構成中の炭素に対し、水蒸気7や空気(酸素)8をどのような混合比率で供給するか、各々の条件設定および相互関係がポイントとなる。更に、ガス化されて供給される廃食油1について、改質反応器2の触媒13に対する空間速度も、ポイントとなる。
改質反応器2における改質に関しては、これらのポイントへの配慮が必要となり、例えば次の設定が考えられる。すなわち、廃食油1中の炭素と水蒸気7間のモル比を、1:2以上に設定し、廃食油1中の炭素と空気8中の酸素間のモル比を、約0.3程度に設定すると共に、廃食油1と触媒13間の重量単位での空間速度を、0.25(1/h)以上に設定する。
例えば、このような設定により、改質された生成ガス3について、タールやコークの生成がほぼ抑えられると共に、低位発熱量が約2,000kcal/Nm(8,372kJ/Nm)程度以上となる。
これらの裏付けについては、後述する実施例を参照。
《作用等》
本発明の廃食油1の改質反応器2は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)廃食油1は、気化器4で気化された後、水蒸気7および加熱された空気8と共に、改質反応器2に供給される。
(2)改質反応器2は、水蒸気7および空気8を酸化剤とし、内部が600℃以上、例えば800℃程度に高温加熱されている。
(3)このような内熱式,オートサーマル式,直接加熱式によらず、気化した廃食油1および水蒸気7を、改質反応器2に供給すると共に、改質反応器2をヒーター5等による外部加熱にて、高温加熱するようにする外熱式,間接加熱式も、採用可能である。
(4)さて廃食油1は、改質反応器2内において、このような熱の作用と、内部充填された触媒の作用とに基づき、水蒸気7更には空気8と反応して、改質される。
(5)廃食油1は、このように水蒸気改質更には空気改質され、もって、水素,一酸化炭素,二酸化炭素,更にはメタン,エチレン等の炭化水素が、生成される。
(6)このように、ガス化改質により生成された生成ガス3は、ガスエンジン11に供給され、燃料として使用される。
(7)なお、このような燃料としての用途に鑑み、生成ガス3は、発熱量の高いカロリーリッチガスであると共に、タール・コークフリーガスであることが望まれる。そこで、これらを実現するポイントとしては、水蒸気7や空気8の供給量設定や、改質反応器2への廃食油1供給時の空間速度適切化等が、重要となる。
(8)さて、このように本発明の廃食油1の改質反応器2では、廃食油1を、改質により即そのまま効率的に、燃料として使用可能となる。
(9)しかもこれは、改質反応器2等の簡単な設備を用いると共に、容易な工程処理により、実現される。
本発明の作用等は、このようになっている。
以下、本発明の廃食油1の改質反応器2の実施例について、説明する。各実施例共に、気化した廃食油1を改質反応器2に供給して、生成ガス3への改質についてテストした。供給時間は、60〜120minでの連続供給。
まず図2を参照して、実施例1について述べる。そのテスト条件は次の通りであり、廃食油1の完全改質を仮定してシュミレーションした。
・廃食油1の炭素転換率 : 100%
・生成ガス3の成分 : CO,CO,H,CH
・これらの相対分圧 : 化学平衡によって決定
・触媒13 : Ni−Al(水蒸気改質触媒)
・改質温度 : 973K(700℃),1,073K(800℃)
・空間速度 : WHSV 0.25〜1.0
(g−oil/g−cat h)
・水蒸気/炭素モル基準供給比: 2.0
(mol−HO/mol−C)
・改質反応器2 : 完全断熱
このような条件のもと、各改質特性に対する酸素/炭素のモル基準供給比(mol−O/mol−C)の影響、略してO/C比の影響(つまり、供給される空気8中の酸素を、廃食油1中の炭素と比較した増減の影響)を、シュミレーションした。その結果、図2が得られた。
まず、図2の(1)図(改質反応器2周りの熱収支)に示したように、改質反応器2が熱的に自立するのは、O/C比が、0.37以上(改質温度973K)や、0.40以上(改質温度1,073K)の場合であった。
そして、図2の(2)図(生成ガス3の発熱量)に示したように、その時の生成ガス3の発熱量は、1,370kcal/Nm(5,734kJ/Nm)未満であるが、図2の(3)図(生成ガス3全体の冷ガス効率)に示したように、冷ガス効率が90%近い改質も可能と判断された。
なお、改質温度が973Kや1,073Kよりも低いO/C比の領域では、改質反応器2への熱供給が不足し、結果が得られなかった。
さて、このテストでは、生成ガス3の発熱量が比較的低かった。そして、発熱量の10%に相当する熱量の余裕を持たせると、つまり熱量的に余裕をもって加熱すると、空気8の投入量が増え、その結果、生成ガス3の発熱量は、1,100kcal/Nm(4,604kJ/Nm)未満となってしまう。
このように、生成ガス3が低カロリーである原因は、メタン,エチレン等の炭化水素をほとんど含まない点(炭化水素収率の低下)、および、吸熱量が大きいので空気8の投入量を増やさざるを得ず、その結果、空気8による生成ガス3の希釈が著しくなる点や、一酸化炭素の二酸化炭素へのシフト反応が促進される点、等にある。
一般的なNi系の触媒13を用いた場合の炭化水素の改質特性に基づくと、事後のコーキングを阻止可能な条件下で廃食油1の改質を実施した場合、炭化水素はほぼ完全に再改質されてしまい、生成ガス3の発熱量が低くなる。これに対し、炭化水素を含有した発熱量の高いカロリーリッチガスを生成ガス3として生成可能な条件下では、事後のコーキングが抑制できないと考えられる。
実施例1については、以上の通り。
次に、図3,図4を参照して、実施例2について述べる。まず、そのテスト条件は、次のとおりである。
・生成ガス3の主成分 : CO,H,HCG
・触媒13 : γ−アルミナ触媒
・改質温度 : 1,073K(800℃)
・空間速度 : WHSV 1.0g−oil/g−cat h
(WHSV 1.0g−廃食油/g−触媒 h)
・酸素/炭素モル基準供給比 : 0.3(図4については、0.4も)
(mol‐O/mol‐C)
・収率単位 : 重量%
(廃食油1の炭素を100%重量%とした場合)
なおHのみは、mol−H/mol−C(廃食油)
このようなテスト条件のもと、その生成ガス3について、各改質特性に対する水蒸気/炭素のモル基準供給比(mol−HO/mol−C)、略してS/C比の影響(つまり、供給される水蒸気7を、廃食油1中の炭素と比較した増減の影響)を、計測した。その結果、図2,図3のグラフに示したデータが得られた。なおタールは、BTXより高沸点の成分と定義した。
まず、この実施例2では、前述した実施例1でのテスト結果に鑑み、生成ガス3について、コークやタールの生成を最小限としつつ、メタン,エチレン等の低級炭化水素を多く含有し、単位体積当たりの発熱量の高いカロリーリッチガスの生成について、検討した。
すると、まず図3の(1)図,(3)図に示したように、炭化水素(HCG)ガスの収率は、付随生成されるBTX(ベンゼン,トルエン,キシレン)を含めると、最大で50%に達した。
そして、図3の(1)図,(2)図,(3)図に示したように、S/C比の増加は、コーク(Coke),タール(Tar),BTX,水(HO)の収率を低下させた。特に、コークとタールの収率は、S/C比を4.0まで増加させると、ほぼ検出下限未満まで低下し、タール・コークフリーガスの実現が可能となった。
水(HO)収率は、図3の(3)図中に示したように、いずれのS/C比においても正であり、水蒸気7に関し、供給量と生成量間での正味の水蒸気7消費は起こらない。しかし、S/C比が0から4まで増加することによる水収率の著しい低下と、これに伴うCO(CO+CO)収率は、触媒13表面における改質の進行を示唆している。
又、上述したように炭化水素収率の高いこの実施例2の改質は、前述した実施例1の場合よりも吸熱量が少ない。そこで、図4の(1)図に示したように、S/C比が4.0と高い場合であっても、改質反応は熱的に自立しており、80%を越える冷ガス効率が得られた。更に、水蒸気7の供給添加量を増加させた場合の生成ガス3の発熱量は、図4の(2)図に示したように、2,100〜2,400kcal/Nm(8,790〜10,046kJ/Nm)に達し、カロリーリッチガスが実現された。
なお、図4の各図中では、O/C比を0.4とした場合のテスト結果も示した。供給される酸素の増加は、図4の(3)図に示したように、改質の熱的余裕を増すものの、投入される空気8による窒素量増加(窒素による生成ガス3の希釈)や、炭化水素収率の低下や、一酸化炭素の二酸化炭素へのシフト反応、等による生成ガス3の発熱量低下をもたらすことになる。又、酸素の増加が、コークやタールの生成を抑える訳でもなかった。
結論として、この実施例2の改質において、熱的自立とタール・コークフリーガスとカロリーリッチガス等の実現のためには、水蒸気/炭素供給(S/C)比と、酸素/炭素(O/C)供給比とが、重要ポイントとなることが、検証された。
実施例2については、以上のとおり。
次に、図5を参照して、実施例3について述べる。まず、そのテスト条件は、次のとおり。
・触媒13 : γ−アルミナ触媒
・改質温度 : 1,073K(800℃)
・酸素/炭素モル基準供給比 : 0.3
(mol−O/mol−C)
・水蒸気/炭素モル基準供給比: 3.0
(mol−HO/mol−C)
・空間速度の単位 : WHSV(g−oil/g−cat h)
・空間速度の変化 : 触媒13充填量による変化
このようなテスト条件のもと、その生成ガス3について、水素(H),炭化水素(HCG),コーク(Coke)等の各収率に対する空間速度の影響を、計測した。その結果、図5のグラフに示したデータが得られた。
すなわち、空間速度を変化させた場合、各収率も変化したが、これを廃食油1中の炭素1モルに対比させて、データ化した。そして注目すべきは、空間速度の低下が、コーク析出の増加と、これに伴う水素生成の増加とを助長すると共に、コーク生成源となる炭化水素の収率低下をもたらした点である。。空間速度がWHSVで1.00から0.25に低下すると、生成ガス3の発熱量は、2,170kcal/Nm(9,083kJ/Nm)から、1,730kcal/Nm(7,241kJ/Nm)に、低下した。
このように、触媒13へのガス滞留時間を必要以上に延長することは、一旦改質生成された炭化水素のコークへの再改質,転化をもたらすことになる。
結論として、この実施例3の改質において、タール・コークフリーガス実現およびカロリーリッチガス実現のためには、前述した実施例2のS/C比およびO/C比のみならず、空間速度の最適化も重要ポイントとなることが、検証された。
実施例3については、以上のとおり。
本発明に係る廃食油の改質反応器について、発明を実施するための最良の形態の説明に供し、全体の構成ブロック図である。 同発明を実施するための最良の形態の説明に供し、実施例1の説明に供するグラフである。そして、その(1)図〜(3)図は、各改質特性に対する酸素/炭素の影響を示す。 同発明を実施するための最良の形態の説明に供し、実施例2の説明に供するグラフである。そして、その(1)図〜(3)図は、各改質特性に対する水蒸気/炭素の影響を示す。 同発明を実施するための最良の形態の説明に供し、実施例2の説明に供するグラフである。そして、その(1)図〜(3)図は、各改質特性に対する水蒸気/炭素の影響を示す。 同発明を実施するための最良の形態の説明に供し、実施例3の説明に供するグラフであり、各収率に対する空間速度の影響を示す。
符号の説明
1 廃食油
2 改質反応器
3 生成ガス
4 気化器
5 ヒーター
6 混合器
7 水蒸気
8 空気
9 水蒸気発生器
10 空気予熱器
11 ガスエンジン
12 排気ガス
13 触媒
14 発電機

Claims (1)

  1. 気化させた廃食油を、高温加熱下において、水蒸気および空気を酸化剤として反応させ、もって、少なくとも一酸化炭素と二酸化炭素と水素からなると共に更にメタン,エチレンも含有した生成ガスに、改質して、ガスエンジンの燃料として使用する、廃食油の改質反応器であって、
    気化器および混合器を備えており、該気化器は、供給された該廃食油を液状から気化せしめ、該混合器は、気化された該廃食油が圧入,供給されると共に、該水蒸気および加熱された該空気が圧入,供給され、気化された該廃食油と混合されて、該改質反応器に供給され、
    該改質反応器での改質は、触媒のもとで、600℃以上の高温加熱下で、実施されると共に、
    該廃食油中の炭素と該水蒸気との混合比率、該廃食油中の炭素と該空気中の酸素との混合比率、ガス化された該廃食油と該触媒との間の空間速度が、各々条件設定され、
    該廃食油中の炭素と該水蒸気間のモル比は、1:2以上に設定され、ガス化された該廃食油と該触媒間の重量単位での空間速度は、0.25(1/h)以上に設定されており、
    もって該生成ガスは、タールおよびコークの随伴生成が最小限に抑えられると共に、低位発熱量が2,000kcal/Nm以上のカロリーリッチガスとされて、該ガスエンジンに供給されること、を特徴とする廃食油の改質反応器。
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