JP5146680B2 - 固着防止シリコーンゴム - Google Patents

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Description

本発明は、種々の環境下で長期間放置しても被着体、特にガラスに固着しないシリコーンゴム成形品に関し、より具体的には、自動車のフロントガラスと光学センサーの間に介在させる透明な導光体シートに使用される固着防止シリコーンゴムに関するものである。
シリコーンゴムは、耐熱性、耐寒性、耐候性、電気特性等に優れていることから各種分野において広く利用されている。一方、シリコーンゴムは、一般的には離型性を有しているが、高温あるいは高温高湿の環境下で被着体に密着や固着することが知られている。
シリコーンゴムで被覆された電線は内部の銅線、錫メッキ銅線等の芯線とシリコーンゴムが熱処理により密着し、芯線からシリコーンゴムを剥離するのが難しくなる問題があった。この芯線との密着を解決するため、脂肪酸アミド(特開昭57−159850号公報:特許文献1、特開昭57−159851号公報:特許文献2)、脂肪酸金属塩(特開昭59−129259号公報:特許文献3)、N,N’−アルキレンアミド(特開昭64−43563号公報:特許文献4)、オイル状又はワックス状のフッ素樹脂(特開平4−353566号公報:特許文献5)、エステルワックス(特開平11−140321号公報:特許文献6)、フェニル基含有シリコーンオイル(特開2005−89587号公報:特許文献7)を添加する方法が提案されている。
また、シリコーンゴム製のプラグブーツとスパークプラグ碍子が高温放置下で固着することを防ぐため、パーフルオロアルキル基を有するオルガノポリシロキサンを添加する方法(特開平4−345663号公報:特許文献8)やパーフルオロアルキル基を有するオルガノポリシロキサンとフェニル基を有するオルガノポリシロキサンを併用する方法(特開平5−148422号公報:特許文献9)が提案されている。
これらの密着あるいは固着防止の添加剤が固体の場合、融点以下の温度では防止効果が発現しにくくなり、液体の場合は、徐々にブリードアウトするため経時で防止効果が低減してくる可能性がある。
いずれの方法も被着体がガラスの場合、密着あるいは固着防止の効果があるかは記載されていない。
更に、ガラスに密着防止効果があるものとして、フッ素基置換一価炭化水素基とアルカノイルオキシ基を併有するシランあるいはアルカノイルオキシ基又はアルカノイルオキシアルキル基を有するオルガノポリシロキサンを添加する方法(特開平3−134060号公報:特許文献10)が提案されているが、液体であるので徐々に防止効果が低減してくる可能性がある。また、室温放置でのガラスに密着防止効果は例示されているが、高温高湿での環境下での効果については明確ではない。
一方、熱伝導性シリコーンゴム組成物に炭素数6個以上の長鎖アルキル基を有するアルコキシシランを熱伝導性フィラーの分散剤として添加し、組成物の流動性を向上させる方法(特開平11−209618号公報:特許文献11、特開2000−1616号公報:特許文献12)が提案されている。これらはシリコーンゴムの固着防止ではなく、熱伝導性フィラー表面を、長鎖アルキル基を有するアルコキシシランで処理し、高充填しても粘度上昇しない加工性良好な材料にすることにより、低硬度高熱伝導性シリコーンゴム成形品を得ることが目的である。
特開昭57−159850号公報 特開昭57−159851号公報 特開昭59−129259号公報 特開昭64−43563号公報 特開平4−353566号公報 特開平11−140321号公報 特開2005−89587号公報 特開平4−345663号公報 特開平5−148422号公報 特開平3−134060号公報 特開平11−209618号公報 特開2000−1616号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、種々の環境下で長期間放置しても被着体に固着しないあるいは固着しにくいシリコーンゴム成形品、特に高温高湿下でガラスに固着しないシリコーンゴム成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、炭素数6個以上の長鎖アルキル基を有するアルコキシシランを添加したシリコーンゴム組成物を硬化してなるシリコーンゴムを被着体と接触させた場合、経時での固着防止効果がほとんど低減しないことを見出し、本発明をなすに至った。
このような効果が得られる理由は必ずしも明確ではなく、以下の理論に拘束されるものではないが、上記長鎖アルキル基を有するアルコキシシランが、シリコーンゴムよりブリードし、被着体表面の水分によりこの長鎖アルキル基を有するアルコキシシランのアルコキシ基が加水分解して被着体表面に層を形成し、この層はその表面(シリコーンゴム側に接する面)に長鎖アルキル基が存在することにより、シリコーンゴム層と被着体との固着が防止されて容易に剥離するためと思われる。
従って、本発明は、下記固着防止シリコーンゴムを提供する。
〔請求項1〕
(A)下記平均組成式(1)
1 aSiO(4-a)/2 (1)
(式中、R1は置換もしくは非置換の炭素数1〜8の一価炭化水素基、aは1.95〜2.05の正数である。)
で表される1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合するアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B)下記一般式(2)
2 b3 cSi(OR44-b-c (2)
(式中、R2は炭素数6〜15のアルキル基、R3は置換もしくは非置換の炭素数1〜8の一価炭化水素基、R4は炭素数1〜6のアルキル基、bは1〜3の整数、cは0〜2の整数、b+cは1〜3の整数である。)
で表されるアルコキシシラン: 0.1〜5質量部、
(C)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金族系触媒からなる付加反応型硬化剤又は有機過酸化物
硬化に必要な量
を含有する組成物を硬化してなるシリコーンゴムであり、高温高湿85℃×85%RHの環境下で硬化シリコーンゴムが被着体に固着しないことを特徴とする固着防止シリコーンゴム。
〔請求項2〕
更に、成分(D)として、25℃における粘度が0.1〜2Pa・sであり、フェニル基を3〜50モル%含有するフェニル基含有シリコーンオイル: 0.1〜5質量部
を含有する組成物であることを特徴とする請求項1に記載の固着防止シリコーンゴム。
〔請求項3〕
厚さ2mmのシリコーンゴムの光透過率(波長800nm)が85%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の固着防止シリコーンゴム。
〔請求項4〕
JIS K 6253規定のタイプEデュロメータにより測定されるシリコーンゴムの硬さが70以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固着防止シリコーンゴム。
本発明のシリコーンゴム成形品は、種々の環境下で放置しても被着体と固着しないので、装置に組み込まれても保守・点検時に取り外すことができる。特にシリコーンゴムが固着しやすい高温高湿の環境下でのガラスへの固着防止効果が維持できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の固着防止シリコーンゴムは、
(A)下記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサン、
1 aSiO(4-a)/2 (1)
(式中、R1は置換もしくは非置換の炭素数1〜8の一価炭化水素基、aは1.95〜2.05の正数である。)
(B)下記一般式(2)で表されるアルコキシシラン、
2 b3 cSi(OR44-b-c (2)
(式中、R2は炭素数6〜15のアルキル基、R3は置換もしくは非置換の炭素数1〜8の一価炭化水素基、R4は炭素数1〜6のアルキル基、bは1〜3の整数、cは0〜2の整数、b+cは1〜3の整数である。)
(C)硬化剤、
好ましくは更に
(D)25℃における粘度が0.1〜2Pa・sであり、フェニル基を3〜50モル%含有するフェニル基含有シリコーンオイル
を含有するシリコーンゴム組成物を硬化してなるものである。
本発明のシリコーンゴム組成物のうち、(A)成分のオルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(1)で表されるものである。
1 aSiO(4-a)/2 (1)
(式中、aは1.95〜2.05の正数である。)
式中、R1は置換又は非置換の炭素数1〜8の一価炭化水素基を表し、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、あるいはこれらの水素原子が部分的に塩素原子、フッ素原子などで置換されたハロゲン化炭化水素基等が例示される。
一般的には、オルガノポリシロキサンの主鎖がジメチルシロキサン単位からなるもの、あるいはこのオルガノポリシロキサンの主鎖にビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基などを導入したものが好ましい。また、分子鎖末端がトリオルガノシリル基又は水酸基で封鎖されたものとすればよいが、このトリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、トリビニルシリル基などが例示される。
このオルガノポリシロキサンの平均重合度は200以上、特に300以上であることが好ましく、平均重合度が200未満では硬化後の機械的強度が劣り、脆くなる場合がある。また、このオルガノポリシロキサンの25℃における粘度は0.3Pa・s以上、特に0.6Pa・s以上であることが好ましく、0.3Pa・s未満であると同様に硬化後の機械的強度が劣り、脆くなる場合がある。なお、本発明において、粘度は回転粘度計により測定できる(以下、同じ)。
なお、シリコーンゴム組成物を液状タイプの組成物とする場合、上記オルガノポリシロキサンの平均重合度を200〜2,000あるいは25℃における粘度を0.3〜200Pa・sとすることが好ましく、ミラブルタイプの組成物とする場合、平均重合度を6,000〜12,000とすることが好ましい。
また、このオルガノポリシロキサンは、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合するアルケニル基を有することが好ましく、R1のうち0.001〜5モル%、特に0.01〜1モル%のビニル基を含有することが好ましい。
(B)成分のアルコキシシランは、下記一般式(2)で表されるものである。
2 b3 cSi(OR44-b-c (2)
上記式中のR2は炭素数6〜15の長鎖アルキル基であり、具体例としては、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。炭素数が6より小さいと揮発性が高くなりシリコーンゴムの固着防止効果が十分でなくなり、15より大きいとアルコキシシランが常温で固化するので取り扱いが不便な上、被着体との反応性が低下する。
また、上記式中のR3は置換もしくは非置換の炭素数1〜8の一価の炭化水素基であり、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、あるいはこれらの水素原子が部分的に塩素原子、フッ素原子などで置換されたハロゲン化炭化水素基等が挙げられるが、特にメチル基、エチル基が好ましい。R4はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜6の1種もしくは2種以上のアルキル基であり、特にメチル基、エチル基が好ましい。
また、bは1〜3の整数であるが、特に1であることが好ましい。cは0〜2の整数、b+cは1〜3の整数である。
一般式(2)で表されるアルコキシシランの具体例としては、次のものを挙げることができる。
613Si(OCH33、C817Si(OC253
1021Si(OCH33、C1225Si(OCH33
1021Si(CH3)(OCH32、C1021Si(C65)(OCH32
1021Si(CH3)(OC252
1021Si(CH=CH2)(OCH32
1021Si(CH2CH2CF3)(OCH32
(B)成分のアルコキシシランの添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜5質量部である。添加量が0.1質量部未満では固着防止効果が十分発揮されない。一方、5質量部より多くしても固着防止効果が増大せず、また不経済である。より好ましい添加量は0.2〜3質量部である。
(C)成分の硬化剤は特に限定されるものではなく、シリコーンゴムの硬化に使用される公知の硬化剤の中から適宜選択することができる。
上記硬化剤の具体例としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド等のラジカル反応に使用される有機過酸化物、また(A)成分のオルガノポリシロキサンがアルケニル基を有する場合は、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金族系触媒からなる付加反応型硬化剤等が挙げられ、この添加量は通常のシリコーンゴム組成物と同様にすればよい。
更に、(D)成分のフェニル基含有シリコーンオイルは任意成分であり、シリコーンゴム表面にブリードすることにより被着体への固着防止効果を補助するものである。
(D)成分は、25℃における粘度が0.1〜2Pa・sであり、フェニル基を3〜50モル%含有するフェニル基含有シリコーンオイルであり、下記一般式(3)で表されるものであることが好ましい。
Figure 0005146680
上記式中、R5は水酸基又は置換もしくは非置換の炭素数1〜8の一価炭化水素基であり、具体例としては、水酸基又はメチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、あるいはこれらの水素原子が部分的に塩素原子、フッ素原子などで置換されたハロゲン化炭化水素基などが挙げられるが、特に水酸基、メチル基、エチル基が好ましい。R6は置換もしくは非置換の炭素数1〜8の一価炭化水素基であり、上述したR5の一価炭化水素基と同様のものが例示でき、特にメチル基、エチル基が好ましく、かつ全R6のうち3〜50モル%、特に5〜25モル%がフェニル基である。フェニル基が3モル%未満ではシリコーンゴムとの相溶性が良くなり、ブリードしにくくなる場合があり、50モル%より多いと初期のブリード量が多くなり、直ぐに固着防止効果が消失する場合がある。また、mは2〜300の整数である。
フェニル基含有シリコーンオイルの25℃における粘度は0.1〜2Pa・sであり、好ましくは0.2〜1Pa・sである。粘度が0.1Pa・s未満では初期のブリード量が多くなり、直ぐに固着防止効果が消失する場合があり、2Pa・sより高いとブリードしにくくなる場合がある。
(D)成分の添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましく、より好ましい添加量は0.2〜3質量部である。5質量部より多くしても固着防止効果が増大せず、反対にブリード量増加による周囲の汚染等の問題が生じる場合がある。
本発明に用いるシリコーンゴム組成物には、その他添加成分として、本発明の効果を損なわない程度の親水性シリカ、疎水性シリカ等の補強性シリカ充填剤、クレイ、炭酸カルシウム、けいそう土、二酸化チタン等の充填剤、低分子シロキサンエステル、シラノール、シラザン等の分散剤、強度向上や粘着性を付与させるシリコーン樹脂共重合体、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等の接着付与剤、難燃性を付与させる白金族系触媒、顔料等の着色剤、酸化鉄、酸化セリウム等の耐熱性向上剤、付加反応での組成物の硬化速度、保存安定性を調節する反応制御剤、例えばメチルビニルシクロテトラシロキサン等のビニル基含有オルガノポリシロキサン、トリアリルイソシアヌレート、エチニルシクロヘキサノール、アセチレンアルコール及びそのシロキサン変性物などを配合することができる。
本発明は、最初に(A)成分のオルガノポリシロキサンと(B)成分のアルコキシシラン、任意成分である(D)成分のフェニル基含有シリコーンオイル、更にその他添加成分をプラネタリミキサー、ニーダー、品川ミキサー、二本ロール等の混合機で混練し、成形前に(C)成分である硬化剤を添加配合することにより未硬化の固着防止シリコーンゴム組成物を製造することができる。
固着防止シリコーンゴム組成物の成形硬化方法としては次の方法が例示できる。
モールド成形:金型中に未硬化の組成物を仕込み、金型を締めてから熱プレス機により圧力と熱をかけ組成物を硬化させる。
射出成形:射出成形機上の加熱した金型の中にノズルから未硬化の組成物を射出して金型のキャビティ内に充填する。硬化後金型を開け、成形品を取り出す。
コーティング成形:コーティング装置に連続的にフィルム(例えば、PET)を供給し、この上に未硬化の液状組成物をナイフコータ等により一定の厚さに塗布してから加熱炉を通して液状組成物を硬化させる。
押出し成形:押出し機のダイスとニップルの組み合わせにより未硬化のミラブルタイプの組成物を任意のチューブ形状に成形してから、加熱炉を通して組成物を硬化させる。
カレンダー成形:カレンダーロールにより未硬化のミラブルタイプの組成物を一定の厚さに分出し、フィルム上に組成物を転写してから加熱炉を通して組成物を硬化させる。
なお、上記シリコーンゴム組成物の硬化条件としては、温度100〜400℃で10秒〜30分間加熱すればよいが、成形サイクルやライン速度により温度と時間を調整することが望ましい。
本発明の固着防止シリコーンゴム成形品を被着体の間に挟みパッキンとして使用する場合は、硬さが低いほど気密性が良好となるので、JIS K 6253規定のタイプEデュロメータにより測定されるゴムの硬さが70以下であることが好ましい。より好ましくは硬さ40以下である。ゴムの硬さが70を超えると被着体との密着性が悪くなり界面に空気を取り込むおそれがある。
シリコーンゴムの硬さが低くなると被着体に固着しやすくなるが、本発明においては、(B)成分の長鎖アルキル基を有するアルコキシシランの効果で固着を防ぐことができる。
なお、シリコーンゴムの上記硬さを70以下、特に40以下とするためには、液状タイプのシリコーンゴム組成物とし、付加反応硬化剤中のケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンの添加量を少なくすることが望ましい。
また、光センサーとガラスの間の透明な導光体として使用する場合は、光量の減衰を小さくするため光透過率を高くする必要がある。分光光度計により測定される厚さ2mmのシリコーンゴムの光透過率(波長800nm)が85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。
光透過率を85%以上にするには、(A)成分のオルガノポリシロキサンとの相溶性を良くすることが望ましいため、(D)成分のフェニル基含有シリコーンオイルのフェニル基の含有量やその他添加剤の充填剤の種類や配合量等について十分考慮し、シリコーンゴムの透明性を妨げない配合処方とする。
なお、被着体としては、ガラス、ステンレススチール、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、クロム、セラミック、プラスチック等が例示できる。
本発明のシリコーンゴムは、種々の環境下で長期間放置しても被着体に固着しないあるいは固着しにくいものであり、特に高温高湿(85℃×85%RH)の環境下でも被着体に固着しないあるいは固着しにくいものであり、とりわけ高温高湿下でガラスに固着しないあるいは固着しにくいものである。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
[実施例1、比較例1]
(A)成分として25℃における粘度が30Pa・sのジメチルビニルシロキシ基で両末端を封止したジメチルポリシロキサン65質量部、25℃における粘度が0.7Pa・sのメチルビニルシロキサン単位1mol%、ジメチルシロキサン単位99mol%からなるメチルビニルポリシロキサン23質量部、25℃における粘度が1Pa・sのジメチルポリシロキサン12質量部からなる合計100質量部のオルガノポリシロキサンに、BET法による比表面積300m2/gの補強性シリカ充填剤であるエアロジル300(商品名、日本アエロジル株式会社製)25質量部、分散剤としてヘキサメチルジシラザン5質量部、水1.2質量部を添加し、プラネタリミキサーにて室温で30分間混合した後、温度150℃まで加熱してから3時間熱処理混合した(シリコーンゴムベースI)。
冷却後、(B)成分として下記構造式(4)
1021Si(OCH33 (4)
の長鎖アルキル基を有するアルコキシシラン1.2質量部を添加混合してから、(C)成分の硬化剤として触媒である塩化白金酸のビニルシロキサン錯体(白金含有量1質量%)0.1質量部と、反応制御剤であるエチニルシクロヘキサノール0.05質量部を添加混合し、更に下記構造式(5)
Figure 0005146680
のオルガノハイドロジェンポリシロキサン0.6質量部と下記構造式(6)
Figure 0005146680
のオルガノハイドロジェンポリシロキサン3質量部を均一に混合して固着防止シリコーンゴム組成物を調製した。
この固着防止シリコーンゴム組成物をモールド成形により150℃で10分間加熱して厚さ2mmのシートを作製し、タイプEデュロメータ硬度計で硬さを測定した。また、分光光度計により波長800nmでの光透過率を測定し、更に下記に示す方法で被着体に対する固着性を評価した(実施例1)。
また、比較のため、長鎖アルキル基を有するアルコキシシランを添加しない以外は上記と同様な方法で厚さ2mmのシートを作製し、各特性を評価した(比較例1)。
[実施例2]
実施例1の長鎖アルキル基を有するアルコキシシランの添加量を3質量部に変更した以外は同様な方法で厚さ2mmのシートを作製し、各特性を評価した。
[実施例3、比較例2]
(A)成分として25℃における粘度が30Pa・sのジメチルビニルシロキシ基で両末端を封止したジメチルポリシロキサン35質量部、25℃における粘度が0.7Pa・sのメチルビニルシロキサン単位1mol%、ジメチルシロキサン単位99mol%からなるメチルビニルポリシロキサン15質量部、25℃における粘度が1Pa・sのジメチルポリシロキサン50質量部からなる合計100質量部のオルガノポリシロキサンに、BET法による比表面積300m2/gの補強性シリカ充填剤であるエアロジル300(前出)15質量部、分散剤としてヘキサメチルジシラザン3質量部、水0.8質量部を添加し、プラネタリミキサーにて室温で30分間混合した後、温度150℃まで加熱してから3時間熱処理混合した(シリコーンゴムベースII)。
冷却後、(B)成分として上記構造式(4)の長鎖アルキル基を有するアルコキシシラン0.7質量部を添加混合してから、(C)成分の硬化剤として触媒である塩化白金酸のビニルシロキサン錯体(白金含有量1質量%)0.1質量部と、反応制御剤であるエチニルシクロヘキサノール0.05質量部を添加混合し、更に上記構造式(5)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン0.3質量部と上記構造式(6)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン1.6質量部を均一に混合して固着防止シリコーンゴム組成物を調製した。実施例1と同様な方法で厚さ2mmのシートを作製し、各特性を評価した(実施例3)。
また、比較のため、長鎖アルキル基を有するアルコキシシランを添加しない以外は上記と同様な方法で厚さ2mmのシートを作製し、各特性を評価した(比較例2)。
[実施例4、比較例3]
実施例3の固着防止シリコーンゴム組成物に、(D)成分の25℃における粘度が1Pa・sのジフェニルシロキサン単位5mol%、ジメチルシロキサン単位95mol%からなるフェニル基含有シリコーンオイル0.7質量部を添加した以外は同様な方法で厚さ2mmのシートを作製し、各特性を評価した(実施例4)。
比較のため、比較例2の長鎖アルキル基を有するアルコキシシランを添加しないシリコーンゴム組成物に上記フェニル基含有シリコーンオイル0.7質量部を添加してから上記と同様な方法で厚さ2mmのシートを作製し、各特性を評価した(比較例3)。
[実施例5、比較例4]
(A)成分として25℃における粘度が5Pa・sのジメチルビニルシロキシ基で両末端を封止したジメチルポリシロキサン60質量部、25℃における粘度が1Pa・sのジメチルポリシロキサン40質量部からなる合計100質量部のオルガノポリシロキサンに、シリコーンゴムの強度を向上させる(CH33SiO1/2単位、(CH2=CH)(CH32SiO1/2単位及びSiO2単位からなるシリコーン樹脂共重合体([(CH33SiO1/2単位と(CH2=CH)(CH32SiO1/2単位の合計]/SiO2単位=0.8(モル比)、ビニル基含有量=0.0008モル/g)20質量部、シリコーンゴムに粘着性を付与する(CH33SiO1/2単位とSiO2単位からなるシリコーン樹脂共重合体((CH33SiO1/2単位/SiO2単位=0.75(モル比))40質量部を添加し、プラネタリミキサーにて室温で30分間混合した(シリコーンゴムベースIII)。
次に(B)成分として上記構造式(4)の長鎖アルキル基を有するアルコキシシラン1質量部を添加混合してから、(C)成分の硬化剤として触媒である塩化白金酸のビニルシロキサン錯体(白金含有量1質量%)0.1質量部と、反応制御剤であるエチニルシクロヘキサノール0.05質量部を添加混合し、更に上記構造式(5)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン2.3質量部を均一に混合して固着防止シリコーンゴム組成物を調製した。実施例1と同様な方法で厚さ2mmのシートを作製し、各特性を評価した(実施例5)。
また、比較のため、長鎖アルキル基を有するアルコキシシランを添加しない以外は上記と同様な方法で厚さ2mmのシートを作製し、各特性を評価した(比較例4)。
[固着性の評価方法]
厚さ2mmで大きさ25mm×34mm角のシリコーンゴムシートを厚さ5mmの被着体2枚の間に挟み、締め付け力10Nのクリップ2ヶで固定した。これらのサンプルを85℃×85%RHの恒温恒湿機中に放置して、500時間及び1,000時間後に取り出してシリコーンゴムと被着体の固着状態を確認した。被着体及び評価基準を下記に示す。
被着体
ガラス:フロートガラス
ステンレススチール:SUS304
アルミニウム:A5052
固着性評価
◎:被着体との離型性良好。剥離が軽い。
○:被着体との離型性OK。剥離は◎より重い。
△:部分的な接着あり。
×:接着。
××:全面接着。シートが破壊。
Figure 0005146680

Claims (4)

  1. (A)下記平均組成式(1)
    1 aSiO(4-a)/2 (1)
    (式中、R1は置換もしくは非置換の炭素数1〜8の一価炭化水素基、aは1.95〜2.05の正数である。)
    で表される1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合するアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
    (B)下記一般式(2)
    2 b3 cSi(OR44-b-c (2)
    (式中、R2は炭素数6〜15のアルキル基、R3は置換もしくは非置換の炭素数1〜8の一価炭化水素基、R4は炭素数1〜6のアルキル基、bは1〜3の整数、cは0〜2の整数、b+cは1〜3の整数である。)
    で表されるアルコキシシラン: 0.1〜5質量部、
    (C)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金族系触媒からなる付加反応型硬化剤又は有機過酸化物
    硬化に必要な量
    を含有する組成物を硬化してなるシリコーンゴムであり、高温高湿85℃×85%RHの環境下で硬化シリコーンゴムが被着体に固着しないことを特徴とする固着防止シリコーンゴム。
  2. 更に、成分(D)として、25℃における粘度が0.1〜2Pa・sであり、フェニル基を3〜50モル%含有するフェニル基含有シリコーンオイル: 0.1〜5質量部
    を含有する組成物であることを特徴とする請求項1に記載の固着防止シリコーンゴム。
  3. 厚さ2mmのシリコーンゴムの光透過率(波長800nm)が85%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の固着防止シリコーンゴム。
  4. JIS K 6253規定のタイプEデュロメータにより測定されるシリコーンゴムの硬さが70以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固着防止シリコーンゴム。
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