JP5083564B2 - フロロシリコーンゴム組成物及びフロロシリコーンゴムとジメチルシリコーンゴムとの積層体 - Google Patents

フロロシリコーンゴム組成物及びフロロシリコーンゴムとジメチルシリコーンゴムとの積層体 Download PDF

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Description

本発明は、特にジメチルシリコーンゴムとの接着に優れるフロロシリコーンゴムを与えるフロロシリコーンゴム組成物、及び該フロロシリコーンゴム組成物の硬化物からなるフロロシリコーンゴムとジメチルシリコーンゴムとの積層体に関する。
フロロシリコーンゴムは、耐熱性、耐寒性、耐油性、耐燃料油性、圧縮復元性等に優れており、自動車、航空機等の輸送機部品や石油海運機器部品として広く使用されている。自動車用、特にターボホース用材として使用される場合に、ジメチルシリコーンゴム組成物とフロロシリコーンゴム組成物の2層構造で成型される事例がある。ホース内層側は、特に耐油性が要求されるためフロロシリコーンゴムが選択され、一方ホース外層側はジメチルシリコーンゴムの持つ高反撥性、耐しごき性がフロロシリコーンゴムよりも優れており、ホース材全体としてジメチルシリコーンゴムとフロロシリコーンゴムの2層構造となる。しかしながら、両ポリマーの相溶性の違いにより、フロロシリコーンゴム組成物とジメチルシリコーンゴム組成物を積層して加硫しても界面での接着具合は非常に悪く、剥離しやすいことが予想される。
この場合、特開2006−328303号公報(特許文献1)では、下記式(8)
Figure 0005083564
(式中、R4は炭素数2〜8の非置換又は置換の一価脂肪族不飽和炭化水素基、炭素数1〜8の非置換の一価脂肪族飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又は水酸基を示し、xは0〜2の整数、m,nは互いに独立な正数である。)
で示されるようなシロキサンをジメチルシリコーンゴム組成物あるいはフロロシリコーンゴム組成物に添加することで接着性を持たせることが推奨されている。しかし、この方法では上記シロキサンを比較的大量に添加することが必要であるため、最終的にゴム自身が目的とする物理的強度や伸びを得られないことがある。
特開2008−156564号公報(特許文献2)では、オルガノハイドロジェンポリシロキサンを含有したジメチルシリコーンゴム組成物とフッ素ゴム組成物の共加硫を提案しているが、これはジメチルシリコーンゴムとフロロシリコーンゴムとの接着ではない。またこの公報中で推奨されているメチル基を主にもっているオルガノハイドロジェンポリシロキサンをフロロシリコーンゴム組成物に添加しても、ジメチルシリコーンゴムとの接着で顕著な効果は得られていない。
特開2006−328303号公報 特開2008−156564号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、ジメチルシリコーンゴム組成物とフロロシリコーンゴム組成物を積層して加硫した場合に、ジメチルシリコーンゴム界面との接着に優れたフロロシリコーンゴムを与えるフロロシリコーンゴム組成物、並びに該フロロシリコーンゴム組成物の硬化物からなるフロロシリコーンゴムとジメチルシリコーンゴムとの積層体(積層構造物)を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、分子内にトリフロロプロピル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン0.1〜30質量部をフロロシリコーンゴム組成物に添加することで、ジメチルシリコーンゴム組成物と共加硫する場合に界面での接着に優れることを見出した。この場合、フロロシリコーンゴム組成物を硬化させてなる成型物が、自動車用、特にターボホース用材として使用される場合に、ジメチルシリコーンゴムと2層構造で成型されることがあり、そのジメチルシリコーンゴムの界面において、非常に剥離しにくく、ジメチルシリコーンゴム組成物との接着に優れることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は下記フロロシリコーンゴム組成物、及び該フロロシリコーンゴム組成物の硬化物からなるフロロシリコーンゴムとジメチルシリコーンゴムとの積層体を提供する。
[請求項1]
(A)下記平均組成式(1)
1 a2 b3 cSiO(4-a-b-c)/2 (1)
(式中、R1はトリフロロプロピル基、R2は炭素数2〜8の非置換又は置換の一価脂肪族不飽和炭化水素基、R3は水酸基、炭素数1〜8の非置換の一価脂肪族飽和炭化水素基、又は炭素数6〜8の一価芳香族炭化水素基を示し、a,b,cは0.96≦a≦1.01、0.0001≦b≦0.005、0.96≦c≦1.06、1.98≦a+b+c≦2.02を満足する正数である。)
で示される、25℃における粘度が10,000mPa・s以上であるオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)シリカ系充填剤:2〜100質量部
(C)下記式(2)及び(3)
Figure 0005083564
で示されるシロキサン単位をそれぞれ1分子中に少なくとも1個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:0.1〜30質量部
(D)有機過酸化物加硫剤:触媒量
を含有してなることを特徴とするジメチルシリコーンゴムとの接着用フロロシリコーンゴム組成物。
[請求項2]
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが下記式(4)、(5)又は(6)
Figure 0005083564
で表されるシロキサン単位を1分子中に少なくとも1個有することを特徴とする請求項1記載のフロロシリコーンゴム組成物。
[請求項3]
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが下記式(7)
Figure 0005083564
で表されるシロキサン単位を1分子中に少なくとも1個有することを特徴とする請求項1又は2記載のフロロシリコーンゴム組成物。
[請求項4]
フロロシリコーンゴムが、請求項1〜3のいずれか1項記載のフロロシリコーンゴム組成物の硬化物からなることを特徴とする、フロロシリコーンゴムとジメチルシリコーンゴムとの積層体。
本発明のフロロシリコーンゴム組成物の硬化物は、プレス加硫、更にスチーム加硫、常圧熱気加硫のような成型時の圧力が低い場合においても、ジメチルシリコーン界面との接着に優れるため、自動車用、特にジメチルシリコーンゴムと2層構造で成型されるターボホース用材として使用することができる。また、ジメチルシリコーンゴム組成物との相溶性が、通常のフロロシリコーンゴム組成物よりも優れているため、ジメチルシリコーンゴム組成物とのブレンドにも、層間剥離を発生することなく使用することができる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(1)
1 a2 b3 cSiO(4-a-b-c)/2 (1)
で表されるものである。ここで、R1はトリフロロプロピル基であり、フッ素原子は1位〜3位のどの炭素原子に結合してもよいが、典型的には3,3,3−トリフロロプロピル基が用いられる。R2は炭素数2〜8、好ましくは2〜4の非置換又は置換の一価脂肪族不飽和炭化水素基、特には脂肪族不飽和二重結合を有する炭化水素基であり、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基が挙げられ、特にビニル基であることが好ましい。R3は炭素数1〜8の非置換の一価脂肪族飽和炭化水素基又は炭素数6〜8の一価芳香族炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。a,b,cは正数で、aは0.96〜1.01、bは0.0001〜0.005、cは0.96〜1.06で、a+b+cは1.98〜2.02を満足するものであり、好ましくは、aは0.98〜1.01、bは0.0005〜0.005、cは0.98〜1.01で、a+b+cは1.99〜2.01を満足する正数である。
このオルガノポリシロキサンにおいて、R2としてのアルケニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基は、1分子中に少なくとも2個(通常、2〜50個、好ましくは2〜20個程度)有することが必要であり、またR1〜R3の合計の0.02〜1モル%程度であることが好ましい。R2としてのアルケニル基が1モル%よりも多いと、ゴム硬度が実用以上に上昇したり、脆くなって引張強度、引裂き強度等の機械的強度が低下するといった問題が生じる場合がある。R2の一価脂肪族不飽和炭化水素基は分子鎖の末端に存在するもの(即ち、分子鎖末端のケイ素原子に結合するもの)であっても、分子側鎖に存在するもの(即ち、分子鎖非末端のケイ素原子に結合するもの)であっても、該末端と該側鎖の両方に存在するものであってもよい。なお、(A)成分のオルガノポリシロキサンはR3として水酸基を含んでも含まなくてもよく、水酸基を含む場合、水酸基であるR3の量は全R3の通常0.001〜10モル%、好ましくは0.02〜2モル%程度である。
また、このオルガノポリシロキサンは、25℃における粘度が10,000mPa・s以上のものが好ましい。より好ましくは100,000〜100,000,000mPa・sであり、特に好ましいのは、該粘度の下限が1,000,000mPa・s以上、とりわけ10,000,000mPa・s以上であり、室温(25℃)において自己流動性のない、いわゆる生ゴム状である。なお、この粘度値は、回転粘度計による測定値である。
(A)成分の重合度(即ち、主鎖を構成するジオルガノシロキサン単位の数)は、重量平均重合度として、500以上であることが好ましく、より好ましくは1,000以上である。重合度の上限は、特に制限されないが、重量平均重合度として、例えば100,000以下、好ましくは10,000以下程度であればよい。なお、重量平均重合度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析によるポリスチレン換算値として求めることができる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰返しからなり、分子鎖両末端がシラノール基(即ち、ヒドロキシジオルガノシロキシ基中の水酸基)、又はトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンであることが一般的である。
(A)成分の具体例としては、
両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖メチルトリフルオロプロピルポリシロキサン、
両末端シラノール基封鎖メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、
両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、
両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、
両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、
両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、
片末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖・片末端シラノール基封鎖メチルトリフルオロプロピルポリシロキサン、
片末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖・片末端シラノール基封鎖メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、
片末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖・片末端シラノール基封鎖メチルトリフルオロプロピルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、
片末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖・片末端シラノール基封鎖メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、
両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、
両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、
両末端シラノール基封鎖メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、
両末端シラノール基封鎖メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、
片末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖・片末端シラノール基封鎖メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、
片末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖・片末端シラノール基封鎖メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体
等が挙げられる。
上記一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサンは、例えば、特開昭62−174260号公報に記載されているように、下記式(9)
Figure 0005083564
で示されるシロキサンオリゴマーを開始剤として、トリ(トリフロロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサンを開環重合することにより製造することができる。
(B)成分のシリカ系充填剤は、機械的強度の優れたシリコーンゴムコンパウンドを得るために必須とされるもの(補強性充填剤)であるが、この目的のためにはBET比表面積が50m2/g以上、好ましくは100〜400m2/gである。このシリカ系充填剤としては煙霧質シリカ(乾式シリカ)、焼成シリカ、沈殿シリカ(湿式シリカ)が例示される。また、これらの表面をオルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等で疎水化処理してもよい。これらのシリカは単独でも2種類以上併用してもよい。なお、このシリカ系充填剤の添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対し2質量部未満では少なすぎて十分な補強効果が得られず、100質量部より多くすると加工性が悪くなり、また、得られるシリコーンゴムの物理特性が低下するので、2〜100質量部、好ましくは5〜60質量部である。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ジメチルシリコーン界面との接着性を発現させるために最も重要な成分であり、下記式(2)及び(3)で示されるユニット(2官能性シロキサン単位)をそれぞれ1分子中に少なくとも1個、好ましくはそれぞれ2個以上(例えば、2〜100個)、より好ましくは3〜50個程度含有するものである。
Figure 0005083564
上記式(2)で示されるシロキサン単位(メチルトリフロロプロピルシロキサン単位)はフロロシリコーンとの親和性を高め、式(3)で示されるシロキサン単位(メチルハイドロジェンシロキサン単位)はジメチルシリコーンとの親和性を高めるのに作用する。従って(C)成分をフロロシリコーン中に添加することにより、界面に優先的に下記式(3)
Figure 0005083564
で示される部分が存在するため、フロロシリコーン界面においてジメチルシリコーンとの親和性が大きくなる。特にプレス加硫等、ある一定圧を成型時にかけられる成型方法では、界面が共加硫することで強密着となり、界面での剥離は起こりにくくなる。しかしながら、ホース材を成型するには、スチーム加硫、常圧熱気加硫の方が適しているため、本物質はこの様な成型時の圧力が低い場合にも、界面での剥離を起こりにくくさせ、より効果的である。分子の大きさは25℃における粘度が2,000mPa・s以下となるものが好ましい。これより大きくなると、コンパウンドに添加した場合の分散性が悪くなったり、表面に優先的に一方の官能基を有した部分が存在しなくなることで、界面の接着性に効果を発現しにくくなる。
式(2)で示されるトリフロロプロピル基含有シロキサンユニットの分子中のモル%(即ち、分子中の全シロキサン単位に対する比率、以下同様)は好ましくは1〜90モル%、より好ましくは5〜80モル%である。1モル%未満では接着性に効果が出にくくなるおそれがあり、また90モル%を超えても接着性が出にくくなるおそれがある。また式(3)で示されるハイドロジェンシロキサンユニットの分子中の比率は好ましくは1〜90モル%、より好ましくは5〜80モル%である。これも1モル%未満では接着性に効果が出にくくなるおそれがあり、また90モル%を超えても接着性が出にくくなるおそれがある。更に、接着性を向上させる手段として、下記式(4)、(5)又は(6)の1官能性シロキサン単位(ビニルジメチルシロキシ単位、ジビニルメチルシロキシ単位又はトリビニルシロキシ単位)、あるいは下記式(7)の2官能性シロキサン単位(ビニルメチルシロキサン単位)を分子中に導入し、所定量のビニル基を含有させることも、接着性を向上させる上で有効である。
Figure 0005083564
このビニル基は、フロロシリコーンゴム或いはジメチルシリコーンゴムの架橋の中に取り込まれることでより接着性を高める。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、代表的には、分子鎖両末端が、トリメチルシロキシ基、ビニルジメチルシロキシ基、ジビニルメチルシロキシ基、トリビニルシロキシ基等のトリオルガノシロキシ基で封鎖され、2官能性シロキサン単位の繰返しから構成される主鎖部分が、メチルトリフロロプロピルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位との組合せ、あるいは、メチルトリフロロプロピルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位とビニルメチルシロキサン単位との組合せからなる、直鎖状のシロキサン共重合体が挙げられる。また、これらのシロキサン共重合体は、1分子中のケイ素原子数(又は重合度)が4〜200個、好ましくは8〜100個、より好ましくは20〜100個程度のものであれば好適に使用できる。
(D)成分の有機過酸化物加硫剤は、上記フロロシリコーンゴム組成物成分に添加して常法により加硫硬化させることで硬化物を与える。具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーベンゾエート、オルトメチルベンゾイルパーオキサイド、パラメチルベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)へキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)へキシン等が挙げられる。これらは単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。上記有機過酸化物の配合量は、上記フロロシリコーンゴム組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部とすることが好ましい。
本発明のフロロシリコーンゴム組成物には、必要に応じて粉砕石英、珪藻土等の非補強性シリカ、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック、炭酸カルシウム等の充填剤、着色剤、耐熱向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導向上剤等の添加剤や離型剤、アルコキシシラン、ジフェニルシランジオール、カーボンファンクショナルシラン、両末端シラノール封鎖低分子シロキサン等の分散剤などを添加してもよい。
更に、本発明ではアクリロキシ基、メタクリロキシ基、3−アミノプロピル基、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピル基、エポキシ基等接着に有効とされる官能基を持った公知のアルコキシシランを添加しても良い。
本発明のフロロシリコーンゴム成型物を得るためのフロロシリコーンゴム組成物は、上記した成分を2本ロール、バンバリーミキサー、ドューミキサー(ニーダー)などのゴム混練り機を用いて均一に混合することにより得ることができる。
フロロシリコーンゴム組成物の成型方法に特に制限はなく、圧縮成型、移送成型、射出成型、押出成型、カレンダー成型等の一般のゴム成型法に準じて所望の形状に成型でき、O−リング、ダイヤフラム、パッキン、ガスケット等のゴム成型品とすることができる。この場合、本発明の目的とする成型方法には、押出成型やカレンダー成型による、スチーム加硫、常圧熱気加硫のような加硫方法が適している。また、必要に応じ、180〜250℃で1〜10時間程度二次加硫してもよい。
この場合、本発明のフロロシリコーンゴム組成物は、ジメチルシリコーンゴム組成物を積層して加硫した場合に、ジメチルシリコーンゴムと良好な接着を与えるフロロシリコーンゴムを形成することができ、従って、ジメチルシリコーンゴムとフロロシリコーンゴムとの積層構造物の形成に好適に用いられる。
ここで、ジメチルシリコーンゴム組成物としては、例えば、アルケニル基含有ジメチルポリシロキサンを主剤(ベースポリマー)とし、シリカ系無機質充填剤(補強性充填剤)、有機過酸化物(硬化触媒)を含有する有機過酸化物硬化型ジメチルシリコーンゴム組成物、アルケニル基含有ジメチルポリシロキサン(ベースポリマー)、シリカ系無機質充填剤(補強性充填剤)、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(架橋剤)、白金族金属触媒(ヒドロシリル化触媒)を含有する付加反応硬化型ジメチルシリコーンゴム組成物などを挙げることができ、本発明のフロロシリコーンゴム組成物と積層して加硫する場合、特に有機過酸化物硬化型ジメチルシリコーンゴム組成物が有効である。
また、ジメチルシリコーンゴムとフロロシリコーンゴムとの積層構造物(積層体)を得る方法としては、例えば、ジメチルシリコーンゴム組成物、フロロシリコーンゴム組成物をそれぞれカレンダーロールにてシート状に分出しし、次いでマンドレルに積層して巻きつけ、スチーム加硫あるいは常圧熱気加硫(HAV)する方法が挙げられる。また、別法として、成型用の型内に上記組成物を積層して仕込み(充填し)、これを圧縮成型することもできる。加硫条件は、スチーム加硫の場合、100〜200℃で10分〜2時間、常圧熱気加硫(HAV)の場合、150〜500℃で10秒〜1時間、圧縮成型の場合、100〜200℃で1分〜1時間程度とすることができる、
なお、ジメチルシリコーンゴム層、フロロシリコーンゴム層の厚さは、いずれも特に制限されるものではなく、積層構造物の用途に応じて適宜、任意の厚さを採用し得るものであるが、通常、それぞれの層が0.1〜10cmの範囲の厚さとすることが一般的である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1〜5)
まず、ベースコンパウンドを下記方法で作製した。
ベースコンパウンドA
下記式(10)
Figure 0005083564
(式中、p+q(即ち、重合度)は約4,000であり、q/(p+q)(即ち、全シロキサン単位に対するビニル基含有シロキサン単位)の割合は0.3±0.05モル%である。)
で示される室温(25℃)において生ゴム状のオルガノポリシロキサンAを100質量部、乾式シリカA(日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル200)20質量部、及び分散剤としてジフェニルシランジオール4質量部を加えて均一に混練りし、150℃で4時間熱処理した後、2本ロールで釈解、可塑化し、ベースコンパウンドAを得た。
ベースコンパウンドB
上記式(10)で示されるオルガノポリシロキサンAを100質量部、乾式シリカA(日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル200)25質量部、及び分散剤としてジフェニルシランジオール6質量部を加えて均一に混練りし、150℃で4時間熱処理した後、2本ロールで釈解、可塑化し、ベースコンパウンドBを得た。
次に、上記ベースコンパウンドA,Bに、下記に示す各種オルガノ(ハイドロジェン)ポリシロキサンを表1、表2に示す量で2本ロールで配合した。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン1
Figure 0005083564
オルガノハイドロジェンポリシロキサン2
Figure 0005083564
オルガノハイドロジェンポリシロキサン3
Figure 0005083564
オルガノハイドロジェンポリシロキサン4
Figure 0005083564
オルガノポリシロキサン5
Figure 0005083564
これらの配合物について、初期物性及び接着性の試験を下記方法で行った。
初期物性:上記コンパウンド100質量部に2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)へキサン80%含有ペースト0.8質量部を2本ロールで配合してフロロシリコーンゴム組成物を調製した。物性測定用として165℃で10分間の加圧成型を行った後、200℃で4時間ポストキュアーし、2mm厚のシートを作製した。測定方法はJIS K6249に準じた。
接着性試験:下記方法で上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンを配合した配合物に加硫剤を配合し、これを2本ロールにて1.0〜1.2mm厚、25mm×175mmの短冊状に分出ししたフロロシリコーンゴム組成物の上に、0.2mm厚、25mm×90mmのテフロン(ポリテトラフルオロエチレン樹脂)製シートを一方の端部を揃えて置き、更に1.0〜1.2mm厚、25mm×175mmの短冊状に分出しした下記ジメチルシリコーンゴム組成物を置いた。これを表1、表2に示した成型条件においてプレス加硫を行い、フロロシリコーンゴムとジメチルシリコーンゴムとの2層構造の積層体(試験片)を得た。得られた試験片は、シートを介した部分がフロロシリコーンゴム層とジメチルシリコーンゴム層に分かれているので、フロロシリコーンゴム部とジメチルシリコーンゴム部を固定し、両方向に50mm/minの定速で引っ張った時の強度を接着力とした。
加硫剤の配合は、フロロシリコーンコンパウンド100質量部に対し、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)へキサン80%含有ペーストを0.8質量部の割合で用い、これを2本ロールで配合した。
(ジメチルシリコーンゴム組成物)
ジメチルシリコーンコンパウンド(コンパウンドC)をジメチルシロキサン単位を主体に、メチルビニルシロキサン単位、ジメチルビニルシロキサン単位に由来するビニル量約0.11モル%からなり、平均重合度が約5,000であるゴム状オルガノポリシロキサン100質量部に、分散剤としてメトキシシラン5質量部及びジメチルポリシロキサン2質量部、充填剤として乾式シリカ(日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル200)35質量部を添加し、170℃で2時間熱処理して得た。このコンパウンドC100質量部に対し2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)へキサン80%含有ペースト0.6質量部を2本ロールで配合し、ジメチルシリコーンゴム組成物を得た。
Figure 0005083564
Figure 0005083564
表1、表2中、剥離の様子:○は一部凝集破壊、◎は全部凝集破壊(○及び◎のいずれも接着性良好)、×は界面剥離(接着性不良)を示す。
表1、表2の結果より、本発明のフロロシリコーンゴム組成物は、ジメチルシリコーンゴム組成物と共加硫する際に、同一成型条件において本発明の(C)成分を全く含まないフロロシリコーンゴム組成物と比較した場合の少なくとも2倍以上の接着力となり、ジメチルシリコーンゴムとの界面における接着性が良好なフロロシリコーンゴムを与えるフロロシリコーンゴム組成物を提供できることが確認された。

Claims (4)

  1. (A)下記平均組成式(1)
    1 a2 b3 cSiO(4-a-b-c)/2 (1)
    (式中、R1はトリフロロプロピル基、R2は炭素数2〜8の非置換又は置換の一価脂肪族不飽和炭化水素基、R3は水酸基、炭素数1〜8の非置換の一価脂肪族飽和炭化水素基、又は炭素数6〜8の一価芳香族炭化水素基を示し、a,b,cは0.96≦a≦1.01、0.0001≦b≦0.005、0.96≦c≦1.06、1.98≦a+b+c≦2.02を満足する正数である。)
    で示される、25℃における粘度が10,000mPa・s以上であるオルガノポリシロキサン:100質量部
    (B)シリカ系充填剤:2〜100質量部
    (C)下記式(2)及び(3)
    Figure 0005083564
    で示されるシロキサン単位をそれぞれ1分子中に少なくとも1個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:0.1〜30質量部
    (D)有機過酸化物加硫剤:触媒量
    を含有してなることを特徴とするジメチルシリコーンゴムとの接着用フロロシリコーンゴム組成物。
  2. (C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが、下記式(4)、(5)又は(6)
    Figure 0005083564
    で表されるシロキサン単位を1分子中に少なくとも1個有することを特徴とする請求項1記載のフロロシリコーンゴム組成物。
  3. (C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが下記式(7)
    Figure 0005083564
    で表されるシロキサン単位を1分子中に少なくとも1個有することを特徴とする請求項1又は2記載のフロロシリコーンゴム組成物。
  4. フロロシリコーンゴムが、請求項1〜3のいずれか1項記載のフロロシリコーンゴム組成物の硬化物からなることを特徴とする、フロロシリコーンゴムとジメチルシリコーンゴムとの積層体。
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