以下、本発明に係るコンバインを図面に基づいて説明する。
〔1.コンバイン100の全体構成について〕
図1〜図3に示すように、コンバイン100は、左右一対の走行クローラ2(走行部)にて支持された走行機体1を備え、走行機体1の前部には、穀稈を刈取る4条刈り用の刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ(図示せず)によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着されており、走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、脱穀後の穀粒を貯留するグレンタンク7とが並列に搭載されている。なお、脱穀装置5は、走行機体1の前進方向に向かって左側に配置され、グレンタンクは、走行機体1の前進方向に向かって右側に配置されている(図3参照)。
グレンタンク7の後方には、グレンタンク7内の穀粒を機体外部に排出するために機体天井部9に沿って穀粒排出コンベヤ8における排出オーガ14が回動自在に配設されている。グレンタンク7の前方で走行機体1の右側前部には、運転部10が設けられ、運転部10の下方の走行機体1には、動力源としてのエンジン20が配置されている。
図1及び図2に示すように、走行機体1の下面側には、左右の走行フレーム21を配置し、走行フレーム21には、走行クローラ2を設けている。しかも、走行クローラ2の前側は、駆動スプロケット22によって支持され、走行クローラ2の後側は、テンションローラ23によって支持され、走行クローラ2の接地側は、トラックローラ24によって支持されている。
刈取装置3には、図1〜図3に示すように、圃場の未刈り穀稈を引起す4条分の穀稈引起装置31と、圃場の未刈り穀稈の株元を切断するバリカン式の刈刃装置32と、穀稈引起装置31からフィードチェン6の前端部(送り始端側)に刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置33とが備えられている。従って、穀稈引起装置31によって圃場の未刈り穀稈が引起され、刈刃装置32によって未刈り穀稈の株元が切断され、穀稈引起装置31によってフィードチェン6の前端部に刈取り穀稈が搬送される。
脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴51と、扱胴51の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別機構としての揺動選別盤52と、揺動選別盤52に選別風を供給する唐箕ファン53と、扱胴51の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴54と、揺動選別盤52の後部の排塵を機外に排出する排塵ファン61とを備えている。
フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、図1及び図2に示すように、排藁チェン62が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン62に受け継がれた排藁は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後方側に設けた排藁カッタ63にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下方に排出される。また、揺動選別盤52の下方側には、揺動選別盤52にて選別された穀粒(一番選別物)を取出す一番コンベヤ55と、穀粒や藁屑や枝梗付き穀粒等が混合した二番選別物を取出す二番コンベヤ56とが設けられている。
揺動選別盤52は、扱胴51の下方に落下した脱穀物を揺動選別するように構成し、揺動選別盤52から落下した穀粒(一番選別物)は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン53からの選別風によって除去され、一番コンベヤ55に落下する。一番コンベヤ55の終端部は、上下方向に延びる一番揚穀筒57に連通連結されており、一番コンベヤ55から取出された穀粒は、一番揚穀筒57に内設された一番揚穀コンベヤ(図示せず)からグレンタンク7内に搬入され、グレンタンク7の内部に貯留される。
揺動選別盤52は、揺動選別(比重選別)によって、枝梗付き穀粒等の二番選別物(穀粒と藁屑等が混在した再選別用の還元再処理物)を二番コンベヤ56に落下させるように構成されている。二番コンベヤ56によって取出された二番選別物は、二番還元筒58及び二番処理部59を介して揺動選別盤52の上面側に戻されて再選別される。また、扱胴51からの脱粒物中の藁屑及び粉塵等は、唐箕ファン53からの選別風と排塵ファン61の吸排塵作用とによって、走行機体1の後部から圃場に向けて排出される。
〔2.穀粒排出コンベヤ8について〕
穀粒排出コンベヤ8は、図2に示すように、グレンタンク7内の底部に配置する横送りオーガ11と、グレンタンク7の後部の外側に立設する縦送りオーガ12及び縦送りオーガ筒13と、縦送りオーガ12の上端側に連結し、機体天井部9に載置された排出オーガ14及び排出オーガ筒15とから構成されている。縦送りオーガ12の略垂直なオーガ軸心線の上端回りには排出オーガ筒15の基端側を中心に先端側を旋回させるオーガ旋回用電動モータ16と、排出オーガ筒15の基端側を支点に排出オーガ筒15の先端側を昇降させるオーガ昇降用油圧シリンダ17とを備える。従って、排出オーガ筒15の先端側はオーガ旋回用電動モータ16又はオーガ昇降用油圧シリンダ17を介して、任意位置に旋回又は昇降することができる。なお、排出オーガ筒15の基端側の旋回及び昇降の作動を行うためには、排出オーガ筒15基端側と縦送りオーガ筒13の上端側とを枢支部mを介して連動連結している。
図1〜図3に示すように、横送りオーガ11は、グレンタンク7内底部の前後方向に敷設し、グレンタンク7の前部から後部にグレンタンク7内の穀粒を移動させるように構成しており、グレンタンク7内から走行機体1の機体天井部9にかけては、縦送りオーガ12を立設し、グレンタンク7内底部の横送りオーガ11の送り終端側と縦送りオーガ12の下端側の送り始端とを穀粒受渡し可能に接続しており、グレンタンク7内の穀粒を機体天井部9方向に搬送可能に構成している。26は横送りオーガ11の後端部と縦送りオーガ12の始端部とを直角方向に連動連結した連結ギヤ部を示し、ベベルギヤ等の歯車を介設して構成している。刈取装置3及び脱穀装置5の上面側、すなわち機体天井部9上には前後方向に排出オーガ14を横架させ、縦送りオーガ12の上端部の送り終端側と排出オーガ14の後端側送り始端とを穀粒受渡し可能に接続して穀粒をグレンタンク7から排出オーガ14の終端まで搬送させる。
かかる各オーガを総称する穀粒排出コンベヤ8には、エンジン20からの動力が動力伝達機構を介して伝達されており、その動力伝達機構の中途には、穀粒排出コンベヤ8への動力の断続を行うためのオーガクラッチ25が介設されている。すなわち、エンジン20からグレンタンク7内の横送りオーガ11へ動力を伝達する個所、例えば、図2に示すように、横送りオーガ11の搬送始端部にオーガクラッチ25としてのクラッチ機構を設けており、オーガクラッチ25の断続作動によって穀粒排出コンベヤ8における下手側最終オーガたる排出オーガ14の穀粒排出動作の入切を行うことができる。
なお、オーガクラッチ25としてのクラッチ機構は、エンジン20からの動力伝達機構の終端に位置する出力軸(図示せず)と横送りオーガ11のオーガ軸11a始端との間に摩擦クラッチ盤(図示せず)を介設し、該クラッチ盤の圧接、離反操作によりクラッチ機構の断続を行うことができるように構成されている。また、クラッチ機構の断続操作は、手動操作やオート運転操作により行われると共に、後述するように先端排出筒69の一定の回動範囲における作動と関連する。
すなわち、オーガクラッチ25としてのクラッチ機構は、図4及び図5に示すように、次のように構成されている。すなわちエンジン20の横突出状の出力軸20-1の先端に駆動プーリ20-2を設け、同駆動プーリ20-2はベルト20-3を介して連動プーリ20-4に動力を伝達すべく構成しており、連動プーリ20-4の連動軸20-5は走行機体1の横方向に延設されており、連動軸20-5の先端はベベルギヤ20-6を介して動力を直角方向に伝達し、直角方向先端にはオーガ駆動プーリ20-7連結しており、オーガ駆動プーリ20-7と横送りオーガ11の始端軸に設けたオーガ受動プーリ20-8との間にはオーガベルト20-9を懸架している。しかもオーガベルト20-9の中途にはテンションプーリ20-10を圧接自在としている。
オーガクラッチ25は、主にオーガ駆動プーリ20-7とオーガ受動プーリ20-8とオーガベルト20-9と圧接自在のテンションプーリ20-10によって構成されており、テンションプーリ20-10の圧接離反作動は、運転部10の操作盤Y等に設けたオーガクラッチスイッチY14の操作により行われる。
すなわち、テンションプーリ20-10の支持アーム20-11の基端は、エンジン20からオーガ駆動プーリ20-7にかけての連動機構をケーシングした連動ケース20-12に枢支されており、この枢支部にはオーガクラッチモータ20-13を装着して、オーガクラッチモータ20-13のON/OFF作動により支持アーム20-11を介したテンションプーリ20-10の圧接或いは離反操作を行うことができるように構成している。なお、図4中20-14は、エンジン20の出力軸20-1と連動プーリ20-4との間に略懸架したベルト20-3に圧接自在のテンションプーリを示す。
上記したようにオーガクラッチ25の断続操作は、後述する運転部10の操作盤Yや穀粒排出コンベヤ8の終端近傍位置に配設した或いは携帯可能とした操作盤YのオーガクラッチスイッチY14により行う。なお、後述する〔7.先端排出筒69の回動とオーガクラッチ25との関係について〕の項で記載する先端排出筒69の回動とこのオーガクラッチ25断続作動との関係は、一定の条件で連動するように制御されており、本発明は、かかる先端排出筒69の一定の回動範囲における作動とオーガクラッチ25の断続操作との連動制御を特徴とする。
脱穀装置5の上面側、すなわち機体天井部9上には、図1〜図3に示すように、オーガスタンド18を立設し、オーガスタンド18を介して収納位置(非排出位置)に排出オーガ筒15を支持する。排出オーガ14及び排出オーガ筒15は、前側排出オーガ14a及び前側排出オーガ筒15aと、後側排出オーガ14b及び後側排出オーガ筒15bとより構成されており、収穫作業中は、後側排出オーガ筒15bにロックレバー19を介して前側排出オーガ筒15aを一直線に連結し、コンバイン100の右側後部から左側前部に向けて排出オーガ筒15が延長された姿勢で支持される。他方、非収穫作業中、例えば、トラックによるコンバインの運搬や納屋への格納時には、ロックレバー19の連結を解除して、前側排出オーガ筒15aを後側排出オーガ筒15bの左側方に二つ折りに折畳み、脱穀装置5の上面に前側排出オーガ筒15aを後側排出オーガ筒15bと共にコンパクトに収納する。
〔3.排出オーガ14及び先端排出筒69について〕
次に、図6〜図8を参照して、穀粒排出コンベヤ8における排出オーガ14の穀粒排出構造を説明する。図6〜図8に示すように、排出オーガ14の送出終端部である前側排出オーガ筒15aの先端部にはガイド筒体66が連設されており、前側排出オーガ筒15aの先端開口部にガイド筒体66の基端側の基端開口部66aが連通状態に形成されている。ガイド筒体66の下端側に形成した下方開口部66bは下向きに開口しており、ガイド筒体66の閉塞前側壁66cにはベアリング軸受67を介して前側排出オーガ14aのオーガ軸先端が回転自在に軸支されている。なお、ガイド筒体66は、四角筒をL形に折り曲げた形状に形成され、基端開口部66aと下方開口部66bとがL形通路66dによって連通されている。
図6〜図8に示すように、穀粒排出コンベヤ8における排出オーガ14の送出終端部には、四角筒形状の先端排出筒69を、支軸68を介して回動可能に連設しており、排出オーガ14の終端部には、先端排出筒69を穀粒排出姿勢と穀粒非排出姿勢とに変位させる穀粒排出操作体としての排出筒駆動用電動モータ70が設けられている。ガイド筒体66の内底面に立設した遮蔽壁66eの外側には、基端開口部66a縁の下端側の延長部分により軸受フック66fを形成し、軸受フック66fに支軸68を回動可能に支持している。
図6〜図8に示すように、先端排出筒69は、水平状態では軸線を排出オーガ14の軸線と略同じくし、水平状態では排出オーガ14の排出口シャッタ69aを形成する。すなわち、先端排出筒69が穀粒非排出姿勢に変位されているときには、排出口シャッタ69aとして機能して、穀粒排出コンベヤ8の送出終端部の排出口である下方開口部66bを閉塞する。
穀粒排出コンベヤ8における排出オーガ14の排出口縁のうち、ガイド筒体66の穀粒排出上手側の排出口縁(下方開口部66b縁)には、図6〜図8に示すように、支軸68が架設されている。そして、先端排出筒69の穀粒受入れ側開口部69b縁のうち、排出口シャッタ69a近傍の穀粒受入れ側開口部69b縁は、支軸68を介してガイド筒体66に回動可能に軸支されている。また、排出口シャッタ69aによって下方開口部66bを閉塞しているときには、穀粒排出コンベヤ8の排出オーガ14の穀粒排出方向にガイド筒体66から先端排出筒69の穀粒放出開口部69c縁が突出するように構成している。穀粒放出開口部69c縁には締結バンド73を介して軟質樹脂製筒状体74が連結されている。
また、前述したようにガイド筒体66の側壁の後端下部には、遮蔽壁66eが垂設されていると共に、ガイド筒体66の前端には閉塞前側壁66cが設けられており、閉塞前側壁66cの上端角隅部は傾斜状に切削して傾斜受板66gを形成している。また、先端排出筒69の後端開口部の上方側壁は、下方に傾斜し、傾斜壁69dを形成しており、ガイド筒体66を支軸68を中心に下方に回動した場合、閉塞前側壁66cの上部角隅部の傾斜受板66gと当接し、ガイド筒体66の回動範囲の規制をするように構成している。
従って、図6及び図8に示すように、ガイド筒体66の一部又は全部が先端排出筒69中に被嵌された状態で、ガイド筒体66中に配置した排出オーガ14の延長方向において、先端排出筒69の穀粒放出開口部69cを変位可能に構成している。即ち、先端排出筒69が穀粒非排出姿勢に支持されているとき、換言すると、排出口シャッタ69aによって下方開口部66bが閉塞されているときには、ガイド筒体66の全部が先端排出筒69に内包される(図6参照)。その結果、穀粒非排出姿勢に先端排出筒69が支持されているときは、排出オーガ14の延長方向に突出する先端排出筒69の長さを短く形成できる。
一方、先端排出筒69が穀粒排出姿勢に支持されているとき、換言すると、排出口シャッタ69aが下方開口部66b閉塞位置から後方に移動して、下方開口部66bが開放されているときには、ガイド筒体66の一部(下方開口部66b縁)に先端排出筒69の穀粒受入れ側開口部69b縁が被嵌される(図8参照)。その結果、先端排出筒69が穀粒排出姿勢に支持されているときは、ガイド筒体66の下方に突出する先端排出筒69の長さを長く形成できる。
排出オーガ14先端の開閉と先端排出筒69との関連は、上記のように構成されているので、穀粒排出コンベヤ8の排出オーガ14の送出終端側を穀粒送出方向に簡単に延長でき、また、グレンタンク7から穀粒を排出しないときには、穀粒排出コンベヤ8の排出オーガ14送出終端側の開口を簡単に閉塞でき、例えば、収穫作業中(穀粒非排出時)、下向きに開口したガイド筒体66の下方開口部66b排出口が前記排出口シャッタ69aにて閉塞されることによって、穀粒排出コンベヤ8の排出オーガ14排出口側から残留穀粒が漏れ出るのを防止でき、また、長期間格納状態で、ネズミ等が穀粒排出コンベヤ8の排出オーガ14の排出口側から排出オーガ14内に入り込むのを防止できる。
また、図6〜図8に示すように、穀粒排出コンベヤ8の排出口縁のうちガイド筒体66の排出口縁には支軸68を架設し、先端排出筒69の先端の穀粒放出開口部69cは支軸68を中心に回動するように構成されており、穀粒排出コンベヤ8の排出オーガ14の軸線の延長方向(穀粒送出方向)において、先端排出筒69の回動範囲を、0度から125度の範囲に設定できる。即ち、90度の真下向きの穀粒の放出方向を中心に、先端排出筒69の前向き放出角度と、先端排出筒69の後向き放出角度の間で大きな放出角度をそれぞれ設定できることになり、トラックの荷台やコンテナ等への穀粒排出作業性を向上できるようにしている。
〔4.先端排出筒69の開閉構造について〕
次に、図6〜図8を参照して、先端排出筒69が支軸68を中心に回動して排出オーガ14の先端の開閉を行う開閉構造について説明する。すなわち、図7に示すように、排出筒駆動用電動モータ70は、前側排出オーガ筒15aの右外側面にボルト81にて締結されており、前側排出オーガ筒15aの右外側面には、扇形の開閉ギヤ82がギヤ支軸83を介して回動可能に軸支されており、排出筒駆動用電動モータ70の出力軸84に出力ギヤ85を介して開閉ギヤ82を歯合させている。開閉ギヤ82には、長さ調節可能なターンバックル付ロッド86の一端側がピン軸87にて連結されている。支軸68に設けた開閉リンク88にターンバックル付ロッド86の他端側を連結している。排出筒駆動用電動モータ70の正逆転操作によって先端排出筒69が開閉作動するように構成している。
このように、先端排出筒69と排出筒駆動用電動モータ70との間には出力軸84や出力ギヤ85や開閉ギヤ82やターンバックル付ロッド86や開閉リンク88などの各種構成部材からなる連動機構Rが介設されている。
図10、図14に示すように、排出オーガ14や先端排出筒69の操作を行うための機器としては、運転部10に設ける運転側開閉スイッチ91及びタイマ設定器92及びモード切換スイッチ93と、穀粒排出コンベヤ8の送出終端部に設ける先端側開閉スイッチ94と、コンピュータによって形成した穀粒排出コントローラ95とを備える。穀粒排出コントローラ95には、運転側開閉スイッチ91及びタイマ設定器92及びモード切換スイッチ93と、先端側開閉スイッチ94とを入力接続させており、また、穀粒排出コントローラ95には排出筒駆動用電動モータ70を出力接続させており、運転側開閉スイッチ91の操作又は先端側開閉スイッチ94の操作によって排出筒駆動用電動モータ70を正転又は逆転作動させる。すなわち、タイマ設定器92によって設定された時間だけ排出筒駆動用電動モータ70を正転又は逆転作動させる。このように、モード切換スイッチ93の操作によって、排出筒駆動用電動モータ70が正転又は逆転作動して先端排出筒69が所定位置に所定姿勢で停止したり、排出筒駆動用電動モータ70が繰返し正転又は逆転作動して先端排出筒69が所定範囲内(穀粒排出範囲内)で往復(首振り)揺動するように構成している。
本願発明の実施例における先端排出筒69は、上記のように構成されているので、穀粒排出コンベヤ8の延長方向(穀粒送出方向)に先端排出筒69をコンパクトに収納でき、しかも先端排出筒69の折畳み上下幅寸法、即ち先端排出筒69の収納状態で、穀粒排出コンベヤ8たる排出オーガ14の下面側に先端排出筒69の下面側が突出する寸法を小さく形成でき、また、脱穀装置5の上面側カバー等に先端排出筒69の下面側が接触するのを防止できると共に、脱穀装置5の上面側カバー等に穀粒排出コンベヤ8の排出オーガ14を接近させて収納でき、更にはコンバイン100の上下幅寸法をコンパクトに形成できることから、運搬作業性や格納作業性を向上できる。
〔5.連動機構Rにおける摩擦機構Fについて〕
先端排出筒69と排出筒駆動用電動モータ70との間には各種構成部材からなる連動機構Rが介設されていることは前述した通りであり、かかる連動機構Rは、排出筒駆動用電動モータ70から出力ギヤ85、開閉ギヤ82、ターンバックル付ロッド86、開閉リンク88、支軸68を介して先端排出筒69に開閉動力を伝達するように構成されている。
かかる開閉ギヤ82とターンバックル付ロッド86との連結に関する連動機構Rの他の実施例を以下に説明する。かかる連動機構Rの動力伝達過程において、他の実施例では、図9に示すように、開閉ギヤ82とターンバックル付ロッド86との間に、摩擦機構Fを介設しており、摩擦機構Fは多板クラッチより構成しており、具体的には、該ロッド86の基端にピン軸87を介して、長板状の連動リンク82´の先端を連設すると共に、連動リンク82´の後端を開閉ギヤ82のギヤ支軸83に枢支することにより、ピン軸87とギヤ支軸83との間に連動リンク82´を介設している。
また、開閉ギヤ82は、ギヤ支軸83を中心に回動可能に構成し、しかも、連動リンク82´のギヤ支軸83周辺の支軸部分と開閉ギヤ82のギヤ支軸83周辺の支軸部分との間に、摩擦機構Fが介設されている。
摩擦機構Fはギヤ支軸83を支軸機構として開閉ギヤ82に2枚の摩擦板801を当接し、2枚の摩擦板801の間に連動リンク82´を挾持し、連動リンク82´に当接した摩擦板801の外側には2枚の押え板802を配設し、2枚の押え板802の間に皿バネ803を介設し、最外側の押え板802の外側においては、ギヤ支軸83端部にナット804を螺合している。
ナット804を螺進することにより皿バネ803の付勢力は摩擦板801を介して開閉ギヤ82と連動リンク82´とを圧着状態とする。従って、排出筒駆動用電動モータ70の出力軸84から回転動力を受けた開閉ギヤ82は、圧着状態の摩擦板801の摩擦抵抗を介して連動リンク82´に回転力を伝達し、連動リンク82´から連動機構Rを介して先端排出筒69へ回動力を伝達する。
特に、排出筒駆動用電動モータ70からの出力軸84に設けた出力ギヤ85の径を、これに噛合した開閉ギヤ82の径よりも小さくしているので両ギヤ85、82の回転応力の差は出力ギヤ85では小となり、開閉ギヤ82では大となる。
すなわち、排出筒駆動用電動モータ70からの出力ギヤ85は小さな回転力f1で開閉ギヤ82を回転させ、回転力を摩擦機構Fを介して連動リンク82´に伝達することができる。
これに対し、反対方向からの動力伝達、すなわち、連動リンク82´から摩擦機構Fを介して開閉ギヤ82に伝達され、開閉ギヤ82から出力ギヤ85に伝達される動力は大きな回転力f2を要する。
すなわち、摩擦機構Fの摩擦応力fをf1よりも大とし、f2よりも小に調整しておくことにより出力ギヤ85から開閉ギヤ82、摩擦機構F、連動リンク82´への動力は小さな回転力でも充分に伝達される。他方、連動リンク82´に先端排出筒69からの不用意なf2以上の衝撃応力がかかった場合は、摩擦機構Fは、摩擦応力fがf2よりも小のために摩擦板801は滑動して連動リンク82´と開閉ギヤ82との動力伝達は切断される。
従って、先端排出筒69に物や作穀が当接して先端排出筒69に不用意な負荷がかかってもこの負荷は、連動機構Rの中途に介設した摩擦機構Fによって吸収されて、出力ギヤ85、出力軸84から排出筒駆動用電動モータ70に伝達されることはなく、排出筒駆動用電動モータ70への異常な負荷伝達を防止し、連動機構の安全性を向上することができる。
なお、先端排出筒69が衝撃により一旦変形回動した場合は、上記のようにその回動動力は摩擦機構Fにより吸収されるが変形回動した先端排出筒69は、作業員が手動で元の位置に復元することにより、その後の自動操作制御、手動操作制御に支障とならないようにする。
〔6.操作盤Yについて〕
運転部10の操作盤Yや穀粒排出コンベヤ8の終端近傍位置に配設した或いは携帯可能とした操作盤Yは、図10に示すように、上段部・中段部・下段部の三段階に分かれており、それぞれにスイッチ類を適宜配設している。
上記の各操作盤の上段部は、排出オーガ14のオートセット及びオートリターン、すなわちオート運転操作に関する各操作スイッチを有する。図10に示すように、自動収納スイッチY11(「前」表示ボタン)は、上段部の上位に配設されており、自動右旋回スイッチY12(「右」表示ボタン)は、上段部の中位に配設されており、自動後旋回スイッチY13(「後」表示ボタン)は、上段部の下位に配設されている。また、最下位には、オーガクラッチ25の断続を操作するオーガクラッチスイッチY14(「クラッチ」表示ボタン)が配設されている。
上記の各操作盤の中段部は、排出オーガ14の手動操作による旋回又は昇降に関する各操作スイッチを有する。中段部の略中央には、図10に示すように、上位には上昇スイッチY21(「上」表示ボタン)、中位には左旋回スイッチY22(「左」表示ボタン)と右旋回スイッチY23(「右」表示ボタン)、下位には降下スイッチY24(「下」表示ボタン)が配設されている。
上記の各操作盤の下段部は、先端排出筒69の開閉作動するための各操作スイッチを有する。下段部の略中央には、図10に示すように、左側に開スイッチY31(「セット」表示ボタン)、右側に閉スイッチY32(「リターン」表示ボタン)がそれぞれ配設されている。
ここで、まず手動操作による排出オーガ14及び先端排出筒69の作動に関して説明する。
まず、手動操作による排出オーガ14及び先端排出筒69の穀粒排出位置までの変位について説明する。上昇スイッチY21を押すことによって、排出オーガ14は、機体天井部9のオーガスタンド18から仰角45度の角度まで上昇する。
次に、例えば、右旋回スイッチY23を押すことによって、仰角45度の角度まで上昇した排出オーガ14は、右旋回することとなり、走行機体1の右側まで変位する。
そして、コンバインのグレンタンク7から排出する穀粒を受け止めるために走行機体1の右側に配置されたトラック荷台やコンテナなどの上方、すなわち排出位置に排出オーガ14が変位したことを確認した後に、先端排出筒69の回動を操作する開スイッチY31を押すことにより、先端排出筒69は回動し真下方向を向いた状態、すなわち傾斜角度が90度の位置まで変位する。なお、先端排出筒69が傾斜角度0度から90度の間を回動中に、先端排出筒69の回動を操作する閉スイッチY32を押すことにより、先端排出筒69を傾斜角度0度から90度の間での所望の位置で停止させることができる。
また、先端排出筒69の変位位置を更に調整したい場合には、再度、開スイッチY31を押すか、閉スイッチY32を押すことによって先端排出筒69を更に回動させて所望の傾斜角度にする。例えば、先端排出筒69が傾斜角度90度の位置にある際に開スイッチY31を押すことによって、先端排出筒69は傾斜角度90度から125度の間で変位させることができる。逆に、先端排出筒69が傾斜角度90度の位置にある際に閉スイッチY32を押すことによって、先端排出筒69は傾斜角度65度から90度の間で所望の位置に変位させることができる。
なお、先端排出筒69が傾斜角度0度から65度の間、或いは傾斜角度125度を越える位置にある場合にはオーガクラッチスイッチY14はONにすることができない。よって、排出オーガ14と連動連結したオーガクラッチ25は接続作動しない。
また、先端排出筒69が傾斜角度65度から125度の位置にある場合には、オーガクラッチスイッチY14をONにすることができるので、オーガクラッチスイッチY14を押すことにより、オーガクラッチ25が入り、穀粒排出コンベヤ8が作動し、グレンタンク7に貯留された穀粒を機体外のトラックの荷台やコンテナ等に排出する。穀粒排出後、オーガクラッチスイッチY14を再度押すことにより、オーガクラッチ25が切れ、穀粒排出コンベヤ8の作動が停止する。
次に、手動操作による排出オーガ14及び先端排出筒69の収納位置までの変位について説明する。例えば、排出オーガ14が走行機体1の右側にある場合には、左旋回スイッチY22を押すことにより、排出オーガ14を左旋回させ、機体天井部9に設けられたオーガスタンド18の位置の上方まで変位させる。なお、このとき、排出オーガ14の仰角の角度及び先端排出筒69の傾斜角度は穀粒排出作業時のままである。
このオーガスタンド18の上方位置、すなわち収納位置に排出オーガ14が変位したことを確認し、閉スイッチY32を押すことにより、傾斜角度が65度から125度の間のいずれかの位置に変位している先端排出筒69を排出オーガ14と軸線を同一とする水平状態、すなわち傾斜角度0度の位置まで戻す。
更に、降下スイッチY24を押すことにより、排出オーガ14は下降してオーガスタンド18上に載置収納される。
次に、オートセット及びオートリターン、すなわちオート運転操作による排出オーガ14及び先端排出筒69の作動に関して説明する。
まず、オートセットについて説明する。例えば、自動右旋回スイッチY12を押すことにより、排出オーガ14は、機体天井部9のオーガスタンド18から自動的に仰角45度の角度まで上昇し、右旋回することにより、走行機体1の右側まで変位する。なお、自動後旋回スイッチY13を押した場合には、排出オーガ14は走行機体1の後側まで変位する。
そして、先端排出筒69は自動的に回動し真下方向を向いた状態、すなわち傾斜角度が90度の位置まで変位する。なお、閉スイッチY32を押すことにより、傾斜角度が65度から90度の間における所望の位置で止めることもできる。
そして、オーガクラッチスイッチY14を押すことにより、オーガクラッチ25が入ることで穀粒排出コンベヤ8が作動し、グレンタンク7に貯留された穀粒を機体外のトラックの荷台やコンテナ等に排出する。穀粒排出後、オーガクラッチスイッチY14を再度押すことにより、オーガクラッチ25が切れ、穀粒排出コンベヤ8の作動が停止する。
次に、オートリターンについて説明する。穀粒の排出が終了した後、操作盤Yの上段部に設けられた自動収納スイッチY11を押すことにより、排出オーガ14は、仰角45度の位置まで自動的に変位し走行機体1の右側や後側の変位位置から機体天井部9に設けられたオーガスタンド18の位置の上方、すなわち収納位置まで自動的に旋回変位する。なお、このとき、先端排出筒69の傾斜角度は穀粒排出作業時のままである。
また、オーガクラッチスイッチY14を再度押すことなく自動収納スイッチY11を押した場合、すなわちオーガクラッチ25が接続作動している際に自動収納スイッチY11を押した場合には、オーガクラッチ25が自動的に切れてから、排出オーガ14が、仰角45度の位置まで自動的に変位し走行機体1の右側や後側の変位位置から機体天井部9に設けられたオーガスタンド18の位置の上方、すなわち収納位置まで自動的に旋回変位する。
排出オーガ14が収納位置に戻った後に、先端排出筒69は自動的に回動し排出オーガ14と軸線を同一とする水平状態、すなわち傾斜角度0度の位置まで変位する。そして、先端排出筒69が水平状態の位置に戻った後に、排出オーガ14は下降してオーガスタンド18上に載置収納される。
以上述べたように、操作盤Yは、上記のように構成されており、操作盤Yによる先端排出筒69や排出オーガ14の各種作動は、上記説明した通りである。
かかる操作盤Yは、運転席29に固設されて配線を介して各種アクチュエータに結線されて作業者が運転席29から操作するように構成されているが、操作盤Yをリモートコントローラ(図10に示す)として使用する場合もある。
すなわち、操作盤Yから無線を介して各種アクチュエータの操作が可能に構成することもできる。
かかるリモートコントローラ式の操作盤Yは、運転席29の所定個所に設置したり、作業者が必要に応じて携帯して穀粒排出現場で特に先端排出筒69の上下回動操作を行うように構成している。
かかるリモートコントローラ式の操作盤Yは、赤外線の発信部を有し、各種操作スイッチを操作することにより発信部からの赤外線を排出筒駆動用電動モータ70の作動スイッチに設けた受信部により受信して電動モータの作動スイッチのON、OFF操作をすることができる。
〔7.先端排出筒69の回動とオーガクラッチ25との関係について〕
先端排出筒69は、上記した構造により排出筒駆動用電動モータ70から動力を受けて支軸68を中心に水平状態から下向き状態に回動する。本発明の特徴とするのは、かかる先端排出筒69の一定角度以外の回動傾斜状態では、排出オーガ14の穀粒排出作動を遮断するべくオーガクラッチ25が接続作動しないように制御することにある。
先端排出筒69は、排出オーガ14と軸線を同一とする水平状態では傾斜角度を0度とし、支軸68を中心に下方へ回動して真下方向を向いた状態では傾斜角度を90度とし、この90度を中心に通常の穀粒排出の許容傾斜角度を65度から125度としている。すなわち、先端排出筒69は、穀粒を機外に排出してトラック荷台やコンテナ等に受渡すのに際し、受渡し状況に応じて先端排出筒69の穀粒排出方向を調節すべく65度から125度の傾斜角度(以下、この範囲の傾斜角度を「許容傾斜角度α」という。)で回動を行うことにより構成されている。
しかし、この許容傾斜角度α以外の傾斜状態において穀粒の排出が行われると、想定外の方向に穀粒が排出され飛散してしまい所望の穀粒の受渡しが不能となる。かかる状態を防止するためにタイマ設定器92のタイマ設定値を65度の角度と125度の角度に回動するためのタイマ設定値としておき、この許容傾斜角度α以外のタイマ設定値においてはオーガクラッチ25の接続が切れるようにする。又、他の実施例として、排出筒駆動用電動モータ70へ通電する電流の周波数をカウントして、先端排出筒69の回動範囲を検出するためのポテンショメータ96を設けており、先端排出筒69の回動による傾斜角度が許容傾斜角度α以外にあるときには、オーガクラッチ25が自動的に接続作動しないようにする。
なお、許容傾斜角度α以外の傾斜角度としては、65度以下、125度以上で説明しているが必ずしもこの角度に限定されるものではなく、水平状態から約50度〜75度までの傾斜角度、あるいは、水平状態から約110度〜135度までの傾斜角度とすることもでき、従って許容傾斜角度αの上限と下限を一定の許容数値とすることができる。
具体的には、ポテンショメータ96により排出筒駆動用電動モータ70の回転数をカウントとして、先端排出筒69が許容傾斜角度α以外の角度に回動した場合には、オーガクラッチ25の接続が切れるように、クラッチアクチュエータとしてのソレノイドに通電してクラッチ機構をOFFに作動させる。
また、他の実施例としては、先端排出筒69の許容傾斜角度αの上限と下限とに上下限リミットスイッチを配設し、許容傾斜角度α内に先端排出筒69が位置しているときに上下限リミットスイッチを待機状態としておき、先端排出筒69が許容傾斜角度α以外の傾斜角度、例えば、0度から65度、あるいは、125度以上の傾斜角度に回動すると、上下限リミットスイッチのいずれかが作動して、オーガクラッチ25のアクチュエータたるソレノイドに通電してオーガクラッチ25の切断を行うように構成することができる。
本実施形態では、前記のように先端排出筒69が下向きの一定角度以外の傾斜状態では排出オーガのオーガクラッチが接続作動しないようにしているが、緊急時においては操作盤Yの開スイッチY31からなるクラッチ手動操作手段により排出オーガのオーガクラッチが接続作動する機構を設けている。すなわち、先端排出筒69が許容傾斜角度α以外の傾斜角度(例えば65度以下、125度以上)においても、クラッチ手動操作手段(例えば操作盤Yの開スイッチY31)によりオーガクラッチ25をオンにすることで、先端排出筒が下向きの一定角度以外においても穀粒の排出を可能としている。
〔8.自動操作手段と手動操作手段について〕
前項で説明したように、排出オーガ14及び先端排出筒69の操作は、操作盤Yの各種スイッチにより行われるものである。これらのスイッチを有する操作盤Yは、運転部10に設けられた操作盤である場合と、無線により運転部10の操作盤Yの各種スイッチを操作する場合と、別途作業者が携帯した操作盤Y(図10に示す)に設定した操作盤Y上の各種スイッチを操作する場合とがある。
そして、かかる操作盤Y上の各種スイッチにより排出オーガ14と先端排出筒69とを操作する場合に、自動操作手段と手動操作手段とに区分し、手動操作手段による排出オーガ14や先端排出筒69の回動速度を自動操作手段による場合よりも遅くしたことにある。
自動操作手段としては、操作盤Yの上段部に自動右旋回スイッチY12と自動後旋回スイッチY13と自動収納スイッチY11が設けられており、自動右旋回スイッチY12を押すことにより、排出オーガ14は機体天井部9から自動的に仰角45度の角度まで上昇し、右旋回することにより、走行機体1の右側まで変位し、さらに、自動後旋回スイッチY13を押すと、排出オーガ14は走行機体1の後側まで変位する。
そして、同時に、先端排出筒69は、自動的に回動して90度の真下方向に向く。なお、この90度の状態で閉スイッチを押すと、先端排出筒69は傾斜角度を65度から90度の間の所望の位置で止めることができるが、これは手動により行われる。
また、穀物の排出が終了した後は、自動収納スイッチY11を押すことにより、排出オーガ14は、仰角45度に上昇し、走行機体1の右側や後側の変位位置から機体天井部9に設けられたオーガスタンド18の位置の上方、すなわち、収納位置まで自動的に旋回変位する。
排出オーガ14が収納位置に戻った後に、先端排出筒69は自動的に回動して水平の収納状態に変位し、その後排出オーガ14は降下してオーガスタンド18上に載置収納される。
手動操作手段としては、操作盤Yの中段部に排出オーガ14を上昇するための上昇スイッチY21、左右旋回スイッチY22、Y23、降下スイッチY24を設け、また、下段部に開スイッチY31と閉スイッチY32とをそれぞれ設けている。
手動操作手段として、無線あるいは操作盤Yにより行う。このように、手動操作手段を無線あるいは操作盤Yにより行うことで、運転部10の操作盤Yのスイッチを操作する必要がなく、常に作業者の手元において操作することができる。
そして、手動操作手段の上昇スイッチY21を押すことにより排出オーガ14は上昇し、右旋回スイッチY23を押すことにより右旋回する。閉スイッチY32を押すことにより、先端排出筒69は90度の真下を向いた状態に変位する。そして、閉スイッチY32を押すことにより、先端排出筒69を傾斜0度から90度の間の所望位置で停止させる。再度、開スイッチY31を押すか、閉スイッチY32を押すことによって、先端排出筒69を更に回動させて所定の傾斜角度とする。
以上のように、自動操作手段と手動操作手段は、操作盤Y上の所定の各種スイッチを操作することにより、オーガ昇降用油圧シリンダ17、オーガ旋回用電動モータ16、排出筒駆動用電動モータ70などのアクチュエータの駆動を制御する。
しかも、手動操作手段による回動速度を自動操作手段による回動速度よりも遅くしている。すなわち、自動操作手段として、自動右旋回スイッチY12、自動後旋回スイッチY13等を操作すると、オーガ旋回用電動モータ16や排出筒駆動用電動モータ70が駆動して、排出オーガ14や先端排出筒69を所定の位置にまで或いは収納位置まで一定の速度で回転・回動させることになる。
前記手動操作手段の各種スイッチを操作することにより、オーガ旋回用電動モータ16や排出筒駆動用電動モータ70を駆動するが、手動操作手段によるかかるモータ関係を駆動する際に、インバータ(オーガ旋回用インバータ71及び排出筒駆動用インバータ72)を介して、オーガ旋回用電動モータ16や排出筒駆動用電動モータ70の回転数を制御して自動操作手段によるモータ関係の回転速度を遅くしている。
具体的には、オーガ旋回用電動モータ16に隣接した箇所に、同オーガ旋回用電動モータ16の回転速度を制御するオーガ旋回用インバータ71が設けられていると共に、排出筒駆動用電動モータ70に隣接した箇所に、同排出筒駆動用電動モータ70の回転速度を制御する排出筒駆動用インバータ72が設けられている。
また、前記オーガ旋回用インバータ71及び前記排出筒駆動用インバータ72の制御は、コンバインの所定箇所(例えば運転部10の後方)に設けられた穀粒排出コントローラ95により行われる。すなわち、穀粒排出コントローラ95は、オーガ旋回用インバータ71及び排出筒駆動用インバータ72に対してモード周波数の切替などの制御を行うことで、オーガ旋回用電動モータ16の回転速度及び排出筒駆動用電動モータ70の回転速度を制御するようにしている。
そして、オートリターン(自動操作)が選択された場合には、穀粒排出コントローラ95は、オーガ旋回用インバータ71を介して、オーガ旋回用電動モータ16を回転速度V1で回転させ、排出オーガ14を走行機体1の右側まで自動的に変位させる。排出オーガ14の変位後、穀粒排出コントローラ95は、排出筒駆動用インバータ72を介して排出筒駆動用電動モータ70を回転速度V2で回転させ、先端排出筒69を65度以上125度未満の角度で自動的に回動させている。
これに対して、手動操作が選択された場合には、前記手動操作ボタンの選択時(ボタンの長押し時)において、穀粒排出コントローラ95は、オーガ旋回用インバータ71を介して、オーガ旋回用電動モータ16を回転速度V3で回転させ、排出オーガ14を走行機体1の排出箇所まで変位させる。排出オーガ14の変位後、穀粒排出コントローラ95は、手動操作の選択時において、排出筒駆動用インバータ72を介して回転速度V4で回転させ、先端排出筒69を所望の角度まで回動させている。
そして、前記したオーガ旋回用電動モータ16は、手動操作時での回転速度V3を自動操作時での回転速度V1よりも遅くしており、また、先端排出筒69の排出筒駆動用電動モータ70は、手動操作時での回転速度V4を自動操作時での回転速度V2よりも遅くしている。
このようにして、自動操作手段による操作を選択することで、排出オーガ14を速やかに排出箇所まで回転速度V1で回転駆動させ、先端排出筒69も自動的に回転速度V2で回転駆動させて、穀粒の排出が可能となる。また、穀粒の排出箇所を任意に設定する場合には、手動操作手段による操作を行い、排出オーガ14の回転速度V3を自動操作手段による操作時の回転速度V1よりも遅くすることで、排出箇所にまで排出オーガ14の位置決めを容易にすることができる。
しかも、無線やリモートコントローラとしての操作盤Yを操作して排出作業を行うことができ、作業者が最も穀粒排出作業に適し、かつ作業状況を視認しながら安全に作業できる先端排出筒69の回動角度を選択できる効果を有し、穀粒排出作業の効率化及び安全性向上に貢献することができる効果を有する。
また、先端排出筒69の手動操作手段による回動速度を自動操作手段による回動速度よりも遅くしたために、手動制御操作による排出操作中に何らかのアクシデントが生じても先端排出筒69の回動速度が遅いため正常な排出方向に修正でき、穀粒の排出を適確に行うことができる。
さらに、オートリターンが選択されて、自動操作手段により先端排出筒69の回動がなされているときに、不測の事態が発生した場合や穀粒排出方向を変更したい場合が生じる。また、穀粒収容ケース内に貯留される穀粒の偏重を防止せんとする場合が生じる。この場合には、手元の操作盤Yなどを用いて、自動操作から手動操作に変更して排出オーガ14の回動を制御するようにしている。
すなわち、操作盤Yのオートリターンが選択されて、排出オーガ14が自動的に旋回中に、前記のような事態が生じると、操作盤Yの上下左右選択ボタンを選択することで、自動操作から手動操作へ変更可能としている。
そして、穀粒排出コントローラ95は、オーガ旋回用インバータ71を介して、オーガ旋回用電動モータ16を回転速度V1で回転させていたのを回転速度V3まで落とすように制御する。これにより、排出オーガ14は、自動操作時の回転速度V3から手動操作時の回転速度V1に低下する。
このように、手動操作に変更された状態では自動操作時よりも速度を落として排出オーガ14を回転させることができるので、収容ケース内に貯留される穀粒の偏重を起こすおそれがある場合には、手動操作による排出オーガ14の排出箇所の微調整を行うことで、収容ケース内に万遍なく貯留させることができ、前記した穀粒の偏重を防止することができる。
このようにして、自動操作がなされている状態でも手動操作をすることができ、この場合は手動操作を優先して自動操作を停止することにより、常に作業者の所望する穀粒排出形態に手動で操作できる。
なお、自動操作と手動操作とが相反する操作である場合には、警報を発するようにしている。すなわち、前記のようにオートリターンから手動操作に変更された場合には、異なる手動操作であることを認識させるように、ブザーなどで警告するようにしている。
特に、オートリターンによる先端排出筒69の回動状態から手動操作による回動に変更されると、オペレータ以外の周辺の作業者に手動操作による変更されたことを認識させるようにしている。このようにして、周辺の作業者に警報を発し、注意を促して作業の安全性を向上できる効果を有する。
〔9.排出オーガ14と先端排出筒69との収納制御について〕
排出オーガ14の穀粒排出及び収納構造と先端排出筒69の穀粒排出及び収納構造とは、上記のように構成されている。従って、排出オーガ14は、穀粒排出時はその基端の枢支部mにおいて、オーガ昇降用油圧シリンダ17を作動させて先端を斜め上方に上昇させた後にオーガ旋回用電動モータ16を作動させて回動して先端に連設した先端排出筒69を機体外のトラック荷台等上方まで変位させる。その後、先端排出筒69を下方に回動して下方を向いた所定の角度にし、穀粒を排出する。
穀粒排出が終了して、排出オーガ14を機体天井部9の上方に載置収納するに際しては、まず、先端排出筒69を穀粒排出時のままの下方回動状態で排出オーガ14の基端の枢支部mからオーガ旋回用電動モータ16を作動させて回動して機体天井部9の本来の収納位置まで変位させる。この状態では、排出オーガ14の先端、すなわち、先端排出筒69は機体天井部9の上方位置にあり、しかも先端排出筒69は、まだ下方回動状態のままとなっている。
このように、排出オーガ14が不使用時の収納位置で機体天井部9から上昇した位置状態にある場合に、操作盤Yの操作により先端排出筒69の上方回動による収納作動をすることができる。或いは、オート操作においては、排出オーガ14が収納位置で上昇した位置状態に来たときに初めて先端排出筒69が上方回動による収納作動をする。
以上のように、排出オーガ14の変位動作と先端排出筒69の収納動作との関連制御を行う。すなわち、先端排出筒69が収納動作をする場合には、基本的に排出オーガ14が、機体天井部9の範囲内に位置していることを条件とし、先端排出筒69は水平状態に収納回動するものであり、このように制御することにより、機体天井部9の範囲外にある物や作業員に先端排出筒69が当接しないようにして物や作業員に損傷を与えるのを防止したり、先端排出筒69自体の故障や損傷を防止したりするものである。
以下、図11〜図13に示すフローチャートに基づいて、排出オーガ14の変位動作と先端排出筒69の収納動作との関連制御について説明する。
(1)第1の関連制御
排出オーガ14が機体天井部9の範囲内において、しかも上昇した位置状態にある場合に、先端排出筒69が上方回動の収納動作を開始する。すなわち、先端排出筒69が収納動作を開始する条件として排出オーガ14が機体天井部9の範囲内に位置していることを条件としている。
従って、穀粒排出を終了して先端排出筒69を収納する場合には、通常は、運転側開閉スイッチ91のオン操作、すなわち操作盤Yの下段部の閉スイッチY32を操作することにより、排出筒駆動用電動モータ70を逆回転して先端排出筒69を閉位置、すなわち収納位置に変位する。
しかし、この関連制御においては、まず排出オーガ14を操作する。すなわち、運転部10の操作盤Yにおいて、操作盤Yの中段部に配設した各操作スイッチのうちの左旋回スイッチY22を操作する(S1)。
左旋回スイッチY22を操作することにより、オーガ旋回用電動モータ16が作動して、機体天井部9の範囲外において穀粒排出作業をしていた排出オーガ14を左旋回させて機体天井部9の範囲内に変位する(S2)。
そして、オーガ旋回用電動モータ16に連設したポテンショメータ96により、該モータ16の回転量を検知し、排出オーガ14の変位状態を検知した検知信号を先端排出筒69を回動作動させる排出筒駆動用電動モータ70の閉スイッチY32に伝達する(S3)。
すなわち、先端排出筒69回動用の排出筒駆動用電動モータ70を逆転させるための閉スイッチY32に排出オーガ14の変位状態を検知した検知信号を送り、閉スイッチY32が有効に作動することができるようにしている。
閉スイッチY32を操作すると先端排出筒69が収納作動し(S4)、その後は、降下スイッチY24の操作をすることにより(S5)、排出オーガ14は機体天井部9上に降下して収納されることになる(S6)。
このように、先端排出筒69を回動するための操作盤Y上の閉スイッチY32は、先端排出筒69の機体天井部9上の変位状態を検知しない限り作動しない。換言すれば、先端排出筒69の機体天井部9上の変位状態を検知しない限り、操作盤Y上の閉スイッチY32は排出筒駆動用電動モータ70の閉駆動をしないように構成している。
(2)第2の関連制御
排出オーガ14がオーガ旋回用電動モータ16により機体天井部9の範囲内で、不使用時の収納位置に変位し、しかもオーガ昇降用油圧シリンダ17によって不使用時の収納位置から上昇した位置状態にある場合に、先端排出筒69が収納動作を開始する。前項では、排出オーガ14が機体天井部9の範囲内のどこの位置に変位しても先端排出筒69の収納動作が開始できるようにしたが、本項では、図12に示すように、排出オーガ14が更に、不使用時の収納位置にあって、かつ、上昇した位置にある場合に(S12)、先端排出筒69の収納動作を開始するようにした(S14)。
従って、排出オーガ14の左旋回スイッチY22を操作し(S11)、オーガ旋回用電動モータ16の回転量をポテンショメータ96により計測し、排出オーガ14が機体天井部9上の不使用時収納位置に変位したことを検知した場合に(S12)、その検知信号を先端排出筒69回動用の排出筒駆動用電動モータ70、すなわち排出筒駆動用電動モータ70を閉駆動操作するための閉スイッチY32に伝達する。
閉スイッチY32に排出オーガ14の変位状態を検知した信号を送信すると閉スイッチY32は有効に操作可能となり、閉スイッチY32の操作により(S13)、先端排出筒69は水平回動して収納状態(S14)となり、その後、排出オーガ14の降下スイッチY24の操作をし(S15)、排出オーガ14の降下収納がなされる(S16)。
(3)第3の関連制御
先端排出筒69の操作開始と同時に、排出オーガ14は、自動的に不使用時の収納位置に戻り、その時点で先端排出筒69が収納動作を行い、その後排出オーガ14は降下するように制御する。先端排出筒69を排出筒駆動用電動モータ70を介して水平状態、すなわち収納位置状態に回動するように操作盤Y上の閉スイッチY32の操作を開始する(S21)と、かかる収納操作と同時に排出オーガ14はオーガ旋回用電動モータ16によって不使用時の収納位置に旋回を開始して(S22)、不使用時の収納位置に達する(S23)。この時点では、先端排出筒69は、収納動作を開始し水平に回動して収納動作を完了する(S24)。その後オーガ昇降用油圧シリンダ17により、降下動作を行い、機体天井部9上に収納される(S25)。
すなわち、閉スイッチY32を操作する(S21)と、スイッチ操作開始の信号がオーガ旋回用電動モータ16の左旋回スイッチY22及びオーガ昇降用油圧シリンダ17の降下スイッチY24に送信され、スイッチONして排出オーガ14は機体天井部9の範囲上方で収納位置上方にまで旋回を開始し(S22)、かつ降下作動して収納状態となる(S25)。
先端排出筒69の収納動作開始操作(S21)と同時に、排出オーガ14が旋回して(S22)降下作動する(S25)ものであるため、少なくとも先端排出筒69は、排出オーガ14の旋回後に収納動作を開始し、排出オーガ14が収納位置上方に来たとき(S23)には、先端排出筒69の収納を開始して収納を完了(S24)する。
〔10.緊急事態の対応について〕
本願のコンバインは、上記のように構成されており、先端排出筒69を操作することにより穀粒の排出に最適の先端排出筒69の回動角度を得ると共に、回動角度の制御とオーガクラッチの断続制御とにより、穀粒排出作業の安全を確保できるように構成している。
しかも、先端排出筒69の作動系統に係る電気配線の切断事故や、先端排出筒69の回動の動力源及び排出オーガ14の作動の動力源であるモータの不良発生事故や特に先端排出筒69を回動するための連動機構の不具合による先端排出筒69の作動不良事故などの各種事故が発生した場合には、緊急事態発生として作業者に警告するための報知手段を設けている。
報知手段75としては、図14に示すように、運転席29の操作盤Y上で警報ランプ77の点灯を行うように構成したり、運転席29に設けたブザー78を鳴らすようにしたりすることができる。
報知手段75が緊急事態を検知する方法としては、例えば、配線の切断事故やモータの不良発生の場合には、モータに付設したポテンショメータ96や配線中途に付設した電流計の異常を検知して報知手段75に異常信号を送信して報知するように構成することができる。
また、上記した報知手段75の対象となる緊急事態が発生した場合は、点検作業員が緊急事態の原因の究明と補修のための各種作業が行える緊急回避操作機構76を設けている。
すなわち、上記した緊急事態が発生した場合には、点検作業員は手動で先端排出筒69や排出オーガ14のケース部分を手動で開蓋して内部点検をし、緊急事態の原因究明を行い可能な補修作業を行うことができるように構成している。
そのためには、図8に示すように、ケース部分15cが本来は電動ロック15dにて強制閉蓋されて手動で不用意に開蓋しないように構成されているが、緊急事態の発生時には、自動的に、すなわち、モータの不良事故の場合には、ポテンショメータ96からの不良検出信号により電動ロック15dを解除して手動でケース部分15cを開蓋できるように構成している。
また、緊急事態として例えば、先端排出筒69の傾斜角度操作による回動が緊急に停止した場合には、点検作業員が先端排出筒69を手動で回動させて適宜の傾斜角度となるように変位させる。
この際には、本明細書の〔5.連動機構Rにおける摩擦機構Fについて〕の項で説明した多板クラッチによる摩擦機構Fを有効に利用することができるものであり、先端排出筒69側からの強制回動変位作業による回動応力は、摩擦機構Fにより吸収されて排出筒駆動用電動モータ70の出力側には伝導されず先端排出筒69を支障なく人手により所定の傾斜角度に変位させることができる。
〔11.穀粒排出制御について〕
図15に示すように、排出筒駆動用電動モータ70の穀粒排出制御は次のように実行される。即ち、タイマ設定器92のタイマ設定値が読込まれ(S41)、運転部10のオペレータによって操作盤Yの運転側開閉スイッチ91がオン操作され(S42)、排出筒駆動用電動モータ70が正回転したときに、タイマ設定器92のタイマ設定値に基づき設定時間だけ排出筒駆動用電動モータ70が正回転動作し、その結果、図7に示すように、先端排出筒69が閉位置Aから斜め前方位置Bに移行し、穀粒排出コンベヤ8の穀粒送り方向で斜め前方に向けて先端排出筒69から穀粒が排出される。なお、排出筒駆動用電動モータ70の穀粒排出制御は、図示しないトラックの荷台又はコンテナの上方に先端排出筒69を支持している状態で実行される。
また、運転側開閉スイッチ91のオン操作によって、排出筒駆動用電動モータ70が再び正回転したとき(S43)に、タイマ設定器92のタイマ設定値に基づき設定時間だけ排出筒駆動用電動モータ70がさらに正回転動作し、先端排出筒69が斜め前方位置Bから下向き位置Cに移行し、穀粒排出コンベヤ8の穀粒送り方向と直交する下向き方向に先端排出筒69から穀粒が排出される。
さらに、運転側開閉スイッチ91のオン操作によって、排出筒駆動用電動モータ70が再び正回転したとき(S43)に、タイマ設定器92のタイマ設定値に基づき設定時間だけ排出筒駆動用電動モータ70がさらに正回転動作し、先端排出筒69が下向き位置Cから斜め後方位置Dに移行し、穀粒排出コンベヤ8の穀粒送り方向で斜め後方に向けて先端排出筒69から穀粒が排出される。
即ち、排出筒駆動用電動モータ70が開動する運転側開閉スイッチ91のオン操作回数によって、先端排出筒69が、閉位置Aから斜め前方位置Bに移行し、斜め前方位置Bから下向き位置Cに移行し、下向き位置Cから斜め後方位置Dに移行することによって、先端排出筒69から穀粒が広範囲にばら撒かれるように排出される。
一方、運転側開閉スイッチ91のオン操作によって、排出筒駆動用電動モータ70が逆回転したとき(S45)に、タイマ設定器92のタイマ設定値に基づき設定時間だけ排出筒駆動用電動モータ70が逆回転動作し、先端排出筒69が斜め後方位置Dから下向き位置Cに移行する。また、運転側開閉スイッチ91のオン操作によって、排出筒駆動用電動モータ70が再び逆回転したときに、タイマ設定器92のタイマ設定値に基づき設定時間だけ排出筒駆動用電動モータ70がさらに逆回転動作し、先端排出筒69が下向き位置Cから斜め前方位置Bに移行する。さらに、運転側開閉スイッチ91のオン操作によって、排出筒駆動用電動モータ70が再び逆回転したときに、タイマ設定器92のタイマ設定値に基づき設定時間だけ排出筒駆動用電動モータ70が再び逆回転動作し(S46)、先端排出筒69が斜め前方位置Bから閉位置Aに移行し、穀粒の排出作業を終了する。
他方、運転側開閉スイッチ91のオン操作と同様に、先端側開閉スイッチ94のオン操作(S49)によって、排出筒駆動用電動モータ70が正回転し(S50)、タイマ設定器92のタイマ設定値に基づき設定時間だけ排出筒駆動用電動モータ70が正回転動作した場合(S51)、先端排出筒69が、閉位置Aから斜め前方位置Bに移行したり、斜め前方位置Bから下向き位置Cに移行したり、下向き位置Cから斜め後方位置Dに移行し、先端排出筒69から穀粒が広範囲にばら撒かれるように排出される。また、排出筒駆動用電動モータ70が逆回転し(S52)、タイマ設定器92のタイマ設定値に基づき設定時間だけ排出筒駆動用電動モータ70が逆回転動作した場合(S53)、先端排出筒69が、斜め後方位置Dから下向き位置Cに移行したり、下向き位置Cから斜め前方位置Bに移行したり、斜め前方位置Bから閉位置Aに移行し、穀粒の排出作業を終了する。
また、運転側開閉スイッチ91とモード切換スイッチ93がオン操作された場合(S47)、排出筒駆動用電動モータ70の正回転と逆回転の各動作が連続的に繰返し行われる(S48)。即ち、先端排出筒69が、斜め前方位置Bと斜め後方位置Dとの間を往復するように揺動し、図示しないトラックの荷台又はコンテナ等の内部に先端排出筒69から穀粒が広範囲にばら撒かれるように排出される。
そして、穀粒排出筒コントローラ95は、先端排出筒69の回動による傾斜角度が許容傾斜角度α以外にあるか否かを検出する(S54)。先端排出筒69の回動による傾斜角度が許容傾斜角度α以外にあるときは、オーガクラッチスイッチY14を操作してもオーガクラッチ25が接続作動しないようにしている(S55)。このようにして、穀粒の排出穀粒が予定外の方向に飛散することを防止している。
図6〜図8に示すように、穀粒排出操作体を排出筒駆動用電動モータ70によって形成し、排出筒駆動用電動モータ70の作動時間によって先端排出筒69の開閉動作位置を設定し、排出筒駆動用電動モータ70によって先端排出筒69を開閉可能に構成している。このようにタイマ設定値による先端排出筒69の開閉角度の制御を行うことにより、先端排出筒69の開閉位置を検知して先端排出筒69の回動角度を検出する必要がなく、前記先端排出筒69の開閉位置検出のためのリミットスイッチやスイッチ配線設備としてのハーネス等が不要になり、先端排出筒69の回動位置を制御するための排出筒駆動用電動モータ70の制御構造を簡単に構成でき、またハーネス等の設置数を低減して排出筒駆動用電動モータ70等の組立作業性やメンテナンス作業性を向上できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。