JP5136303B2 - キャパシタ用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、キャパシタを構成する正極及び負極を作製するために使用する組成物に関する。
又、本発明は、電極塗膜の安定性に優れるために大電流での放電特性あるいは充電特性、サイクル特性、及び電極合剤の導電性に優れたキャパシタに関する。
近年、環境問題がクローズアップされる中、カソリン車にかわる電気自動車用又はハイブリッド自動車用の蓄電装置として、これまで鉛電池が使用されてきたが、車載用の電気設備や機器の充実によりエネルギー密度、出力密度の点から新しい蓄電装置が求められている。
その中でも電気二重層キャパシタは、リチウムイオン電池にない高い出力特性とメンテナンスフリー性に注目され、様々な分野において用途開発がなされている。特に携帯電話やパソコン等の各種電子機器のメモリバックアップ用電源から従来の鉛蓄電池に代えて、自動車やモーター等の補助電源として用いられるような大容量を必要とする開発も進みその実現が望まれている。
従来、電気二重層キャパシタは、2つの分極性電極間にセパレータを配置し、電解液を含浸して構成される、対称電極キャパシタが一般的である。これらは、従来の2次電池と比較して急速な充放電が可能であり、出力密度が大きく、化学変化を伴わないため充放電の繰り返しによる劣化が少ないといった特徴がある。
一般に電気二重層キャパシタ用電極は集電体に活性炭等の炭素質材料を含有する電極層を積層させた構造を有している。又、電極層は炭素質材料とバインダーからなり、電極材料の製造方法としては押し出し圧延方式やコーティング方式がある。
電気二重層キャパシタ用電極として、例えば文献1には、活性炭粉末とカルボキシメチルセルロース等のバインダー水溶液からなるスラリーを調製し、アルミニウム箔等の集電体に、ロールコーティング、及びドクターブレードコーティング等の手法で付着させて作製した電極が開示されている。
文献2には、カルボキシメチルセルロース樹脂のアンモニウム塩、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース樹脂からなる群から選ばれる一種類以上セルロース系化合物と、四フッ化エチレン樹脂エマルション若しくはラテックスとを含む分散液の中に、活性炭及び導電性付与剤が分散された塗料を導電箔上に塗布したものが開示されている。
又、従来のキャパシタ以外にハイブリッドキャパシタと呼ばれる蓄電装置が注目されている。ハイブリッドキャパシタでは通常、正極に分極性電極、負極に非分極性電極を使用する、いわゆる非対称電極キャパシタであり、さらに負極にリチウム金属と接触させ、予め化学的方法又は電気化学的方法でリチウムイオンを吸蔵、担持(ドーピング)させてエネルギー密度を大幅に大きくすることを意図した提案もなされている。(文献3〜4)
特開平3−280518号公報 国際公開WO1998/058397号 特開平8−107048号公報 特開平9−55342号公報
しかしながら、上記の開示された技術においては種々の問題点がある。すなわち、塗液化工程において電極活物資である活性炭ないしは黒鉛の分散が十分でないために充放電を繰り返すと静電容量が低下しやすくなったり、導電助剤である導電性カーボンが分散不十分であるために直流抵抗やインピーダンスが十分低くならず、キャパシタとして必ずしも満足いくものではなかった。
又、ビーズミル等での分散工程おいて分散が十分出ないために塗液としての固形分濃度が高くならず、乾燥時に溶媒を蒸発させるエネルギーが大きくなり生産効率等が悪化し、地球環境保護の観点からも好ましくない。
更に、電極活物質や導電助剤の分散が不十分なためにしばしば繰り返し充放電を行うと、電極塗膜が集電体と剥がれる等、製品不良が生じる等の問題があった。
本発明は、上記の従来の問題を解決するためになされたものであり、キャパシタ用組成物において、電極活物質又は導電助剤の導電性を阻害せずに分散安定化を図ること、電極活物質の電解液に対する濡れ性を向上させること、並びに、本発明のキャパシタ用組成物を用いて作製されるキャパシタの性能を向上させることを目的とする。
前記課題は、
塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種類以上の誘導体と、炭素材料と、を含んでなるキャパシタ用組成物により解決される。
本発明は、更に、分散樹脂を含んでなる前記キャパシタ用組成物に関する。
本発明は、炭素材料が、活性炭、黒鉛、及び導電性カーボンからなる群から選ばれる1種類以上の炭素材料であることを特徴とする前記キャパシタ用組成物に関する。
本発明の好ましい実施態様によれば、電極活物質又は導電助剤の導電性を阻害することなく、分散安定性に優れたキャパシタ用組成物を得ることができる。更に、本発明の好ましい実施態様に係るキャパシタ用組成物を、電気二重層キャパシタに使用することにより、電極活物質である炭素材料が、キャパシタ組成物中に一次粒子レベルで均一に混合され、集電体とキャパシタ組成物との密着性、電極活物質と導電助剤との密着性、並びにキャパシタ組成物の電解液に対する濡れ性が、改善されて、キャパシタの内部抵抗の低減を促すと共に、充放電の効率を向上することができ、キャパシタ性能を総合的に向上させることができる。
本発明におけるキャパシタ用組成物は、
塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種類以上の誘導体、又は、
酸性官能基を有する有機色素誘導体、及び酸性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体、
と、炭素材料と、を含んでなることを特徴とするが、以下にその詳細を説明する。
<塩基性官能基を有する各種誘導体>
本発明における塩基性官能基を有する誘導体としては、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性基官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から1種類以上選ばれるものである。以下、塩基性官能基を有する各種誘導体、あるいは塩基性官能基を有する誘導体と略す場合がある。
とりわけ、下記一般式(2)で示されるトリアジン誘導体、又は一般式(7)で示される有機色素誘導体の使用が好ましい。
一般式(2):
Figure 0005136303
[一般式(2)中
1は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−、又は−X2−Y1−X3−であり、
2は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−、又は−NHSO2−であり、
3は、それぞれ独立に−NH−、又は−O−であり、
1は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
Pは、下記一般式(3)、(4)、又は(5)のいずれかで示される置換基であり、
Qは、−O−R2、−NH−R2、ハロゲン基、−X1−R1、又は下記一般式(3)、(4)、若しくは(5)のいずれかで示される置換基であり、
2は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
1は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基、又は下記一般式(6)で示される基であり、
1は、1〜4の整数である。
一般式(3):
Figure 0005136303
一般式(4):
Figure 0005136303
一般式(5):
Figure 0005136303
〔一般式(3)〜(5)中、
4は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、−CH2−、又は−X5−Y2−X6−であり、
5は、−NH−、又は−O−であり、
6は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、又は−CH2−であり、
2は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
vは、1〜10の整数であり、
3 及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、又はR3 とR4とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基であり、
5 、R6 、R7 、及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
9は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基である。〕
一般式(6):
Figure 0005136303
〔一般式(6)中、
Tは、−X8−R10、又はW1であり、
Uは、−X9−R11、又はW2であり、
1、及びW2は、それぞれ独立に、−O−R20、−NH−R20、ハロゲン基、又は前記一般式(3)、(4)、若しくは(5)のいずれかで示される置換基であり、
20は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
7は、−NH−、又は−O−であり、
8、及びX9は、それぞれ独立に、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、又は−CH2NHCOCH2NH−であり、
3は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
10、及びR11は、それぞれ独立に、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、又は置換基を有していてもよい芳香族環残基である。〕}
一般式(2)のR1、並びに、一般式(6)のR10、及びR11で表される有機色素残基としては、例えばジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、及び金属錯体系色素等が挙げられる。とりわけ、金属による電池の短絡を抑制する効果を高めるためには、金属錯体系色素ではない有機色素残基の使用が好ましい。
一般式(2)のR1、並びに、一般式(6)のR10、及びR11で表される複素環残基及び芳香族環残基としては、例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラジン、トリアジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン、及びアクリドン等が挙げられる。これらの複素環残基、及び芳香族環残基は、アルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、及びジブチルアミノ基等)、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、及びブトキシ基等)、ハロゲン(塩素、臭素、及びフッ素等)、フェニル基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、又はハロゲン等で置換されていてもよい)、並びに、フェニルアミノ基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、又はハロゲン等で置換されていてもよい)等の置換基を有していてもよい。
一般式(3)及び(4)中のR3、及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、又はR3 とR4とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基である。
一般式(2)〜(6)のY1、Y2、及びY3は、それぞれ独立に、炭素数20以下の置換基を有していてもよいアルキレン基、アルケニレン基、又はアリーレン基を表すが、好ましくは置換されていてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、又は炭素数が10以下の側鎖を有していてもよいアルキレン基が挙げられる。
一般式(7):
Figure 0005136303
{一般式(7)中、
Zは、下記一般式(8)、(9)、及び(10)で示される群から選ばれる少なくとも1つのものであり、
2は、1〜4の整数であり、
12は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、又は置換基を有していてもよい芳香族残基である。
一般式(8):
Figure 0005136303
一般式(9):
Figure 0005136303
一般式(10):
Figure 0005136303
〔一般式(8)〜(10)中、
10は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、−CH2−、又は−X11−Y4−X12−であり、
11は、−NH−、又は−O−であり、
12は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、又は−CH2−であり、
4は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
1は、1〜10の整数であり、
13 、及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はR3とR4とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基であり、
15 、R16 、R17 、及びR18は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
19は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基である。〕}
一般式(7)のR12で表される有機色素残基としては、例えばジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、及び金属錯体系色素等が挙げられる。とりわけ、金属による電池の短絡を抑制する効果を高めるためには、金属錯体系色素ではない有機色素残基の使用が好ましい。
又、一般式(7)のR12で表される複素環残基及び芳香族環残基としては、例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン、及びアクリドン等が挙げられる。これらの複素環残基及び芳香族環残基は、アルキル基(メチル基、エチル基、及びブチル基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、及びジブチルアミノ基等)、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、及びブトキシ基等)、ハロゲン(塩素、臭素、及びフッ素等)、フェニル基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、及びハロゲン等で置換されていてもよい)、並びに、フェニルアミノ基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、及びハロゲン等で置換されていてもよい)等の置換基を有していてもよい。
又、一般式(8)及び(9)中のR13 、及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はR13 とR14とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基である。
一般式(3)〜(5)、並びに、一般式(7)〜(9)で示される置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、
ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジ ン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニコペチン酸メチル、イソニコペチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエ チルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、及び1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
本発明の塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、又は塩基性官能基を有する塩基性官能基を有するトリアジン誘導体の合成方法としては、特に限定されるものではないが、特開昭54−62227号公報、特開昭56−118462号公報、特開昭56−166266号公報、特開昭60−88185号公報、特開昭63−305173号公報、特開平3−2676号公報、又は特開平11−199796号公報等に記載されている方法で合成することができる。
例えば、有機色素、アントラキノン、若しくはアクリドンに、式(11)〜式(14)で示される置換基を導入した後、これら置換機とアミン成分(例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチルピペラジン、ジエチルアミン、若しくは4−[4−ヒドロキシ−6−[3−(ジブチルアミノ)プロピルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]アニリン等)を反応させることによって、合成することができる。
一般式(11):
−SO2Cl
一般式(12):
−COCl
一般式(13):
−CH2NHCOCH2Cl
一般式(14):
−CH2Cl
又、例えば、式(11)で示される置換基を導入する場合には、有機色素、アントラキノン、若しくはアクリドンをクロロスルホン酸に溶解して、塩化チオニル等の塩素化剤を反応させるが、このときの反応温度、反応時間等の条件により、有機色素、アントラキノン、若しくはアクリドンに導入する式(11)で示される置換基数をコントロールすることができる。
又、式(12)で示される置換基を導入する場合には、まずカルボキシル基を有する有機色素、アントラキノン、若しくはアクリドンを公知の方法で合成した後、ベンゼン等の芳香族溶媒中で塩化チオニル等の塩素化剤を反応させる方法等が挙げられる。
式(11)〜式(14)で示される置換基とアミン成分との反応時には、式(11)〜式(14)で示される置換基の一部が加水分解して、塩素が水酸基に置換することがある。その場合、式(11)で示される置換基はスルホン酸基となり、式(12)で示される置換基はカルボン酸基となるが、いずれも遊離酸のままでもよく、又、1〜3価の金属若しくは、上記のアミンと塩を形成していてもよい。
又、有機色素がアゾ系色素である場合は、一般式(8)〜(10)、又は下記一般式(15)で示される置換基をあらかじめジアゾ成分又はカップリング成分に導入し、その後カップリング反応を行うことによってアゾ系有機色素誘導体を製造することもできる。
一般式(15):
Figure 0005136303
{一般式(15)中、
13は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−、又は−X14−Y5−X15−であり、
14は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−、又は−NHSO2−であり、
15は、それぞれ独立に、−NH−、又は−O−であり、
5は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
1は、上記一般式(3)、(4)、又は(5)のいずれかで示される置換基であり、
2は、−O−R24、−NH−R24、ハロゲン基、−X1−R25、又は上記一般式(3)、(4)、若しくは(5)のいずれかで示される置換基であり、
24は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
25は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基、又は上記一般式(6)で示される基である。}
又、本発明の塩基性官能基を有するトリアジン誘導体は、例えば、塩化シアヌルを出発原料とし、塩化シアヌルの少なくとも1つの塩素に上記一般式(8)〜(10)、又は一般式(15)で示される置換基を形成するアミン成分(例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、若しくはN−メチルピペラジン等)を反応させ、次いで塩化シアヌルの残りの塩素と種々のアミン又はアルコール等を反応させることによって得られる。
<酸性官能基を有する各種誘導体>
本発明における酸性官能基を有する誘導体としては、酸性官能基を有する有機色素誘導体、又は酸性官能基を有するトリアジン誘導体から選ばれる1種以上のものを使用する。以下、酸性官能基を有する各種誘導体、あるいは酸性官能基を有する誘導体と略す場合がある。
とりわけ、下記一般式(16)で示されるトリアジン誘導体、又は一般式(19)で示される有機色素誘導体の使用が好ましい。
一般式(16):
Figure 0005136303
一般式(1)中、
101は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−、又は−X103−Y101−X104−であり、
102、及びX104は、それぞれ独立に、−NH−、又は−O−であり、
103は、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−、又は−NHSO2−であり、
101は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
101は、−SO3M、−COOM、又は−P(O)(−OM)2であり、
101は、1〜3価のカチオンの一当量であり、
101は、−O−R102、−NH−R102、ハロゲン基、−X101−R101、又は−X102−Y101−Z101であり、
102は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいアルケニル基であり、
101は、1〜4の整数であり、
101は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基、又は下記一般式(17)で表される基である。
一般式(17):
Figure 0005136303
一般式(2)中、
201は、−NH−、又は−O−であり、
202、及びX203は、それぞれ独立に、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、又は−CH2NHCOCH2NH−であり、
201、及びR202は、それぞれ独立に、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基、又は−Y201−Z201であり、
201は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
201は、−SO3201、−COOM201、又は−P(O)(−OM2012であり、
201は、1〜3価のカチオンの一当量である。
一般式(16)のR101、並びに、一般式(17)のR201及びR202で表される有機色素残基としては、例えばジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、又金属錯体系色素等が挙げられる。とりわけ、金属による電池の短絡を抑制する効果を高めるためには、金属錯体系色素ではない有機色素残基の使用が好ましく、中でもアゾ系色素、ジケトピロロピロール系色素、無金属フタロシアニン系色素、キナクリドン系色素、又はジオキサジン系色素の使用が分散性に優れるため好ましい。
一般式(16)のR101、並びに、一般式(17)のR201及びR202で表される複素環残基及び芳香族環残基としては、例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、又はアントラキノン等が挙げられる。とりわけ、少なくともS、N、Oのヘテロ原子のいずれかを含む複素環残基の使用が分散性に優れるため好ましい。
一般式(16)のY101、及び一般式(17)のY201は、炭素数20以下の置換基を有していてもよいアルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表すが、好ましくは置換されていてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、又は炭素数が10以下の側鎖を有していてもよいアルキレン基が挙げられる。
一般式(16)のQ101中に含まれるR102で表される置換基を有してもよいアルキル基、アルケニル基は、好ましくは炭素数20以下のものであり、更に好ましくは炭素数が10以下の側鎖を有していてもよいアルキル基が挙げられる。置換基を有しているアルキル基又はアルケニル基とは、アルキル基又はアルケニル基の水素原子が、フッ素原子、塩素原子、若しくは臭素原子等のハロゲン基、水酸基、又はメルカプト基等に置換されたものである。
一般式(16)のM101及び一般式(17)のM201は、1〜3価のカチオンの一当量を表し、例えば、水素原子(プロトン)、金属カチオン、又は4級アンモニウムカチオンのいずれかを表す。又、分散剤構造中にMを2つ以上有する場合、Mはプロトン、金属カチオン、又は4級アンモニウムカチオンのいずれかひとつのみでも良いし、これらの組み合わせでも良い。
金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、又はコバルト等が挙げられる。
4級アンモニウムカチオンとしては、一般式(18)で示される構造を有する単一化合物又は、混合物である。
一般式(18):
Figure 0005136303
一般式(18)中、R301、R302、R303、及びR304は、水素、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリール基のいずれかである。
一般式(18)のR301、R302、R303、及びR304は、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよい。又、R301、R302、R303、及びR304が、炭素原子を有する場合、炭素数は1〜40、好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。炭素数が40を超えると電極の導電性が低下する場合がある。
4級アンモニウムの具体例としては、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジヒドロキシエチルアンモニウム、2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルアミノプロピルアンモニウム、ラウリルアンモニウム、又はステアリルアンモニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
一般式(19):
Figure 0005136303
一般式(19)中、
401、直接結合、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−、−X402−Y−、又は−X402−Y−X403−であり、
402は、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−、又は−NHSO2−であり、
403は、−NH−、又は−O−であり、
401は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
401は、−SO3401、−COOM401、又は−P(O)(−OM4012であり、
401は、1〜3価のカチオンの一当量であり、
401は、有機色素残基であり、
401は、1〜4の整数である。
一般式(19)のR401で表させる有機色素残基としては、例えばジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、又は金属錯体系色素等が挙げられる。R401で表させる有機色素残基には、一般的には色素と呼ばれていない淡黄色のアントラキノン残基を含む。とりわけ、金属による電池の短絡を抑制する効果を高めるためには、金属錯体系色素ではない有機色素残基の使用が好ましく、中でもアゾ系色素、ジケトピロロピロール系色素、無金属フタロシアニン系色素、キナクリドン系色素、又はジオキサジン系色素の使用が分散性に優れるため好ましい。
一般式(19)のの式中のM401は、1〜3価のカチオンの一当量を表し、例えば、水素原子(プロトン)、金属カチオン、又は4級アンモニウムカチオンのいずれかを表す。又、分散剤構造中にMを2つ以上有する場合、M401はプロトン、金属カチオン、又は4級アンモニウムカチオンのいずれかひとつのみでも良いし、これらの組み合わせでも良い。
金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、又はコバルト等が挙げられる。
4級アンモニウムカチオンとしては、一般式(18)で示される構造を有する単一化合物又は、混合物である。
一般式(18):
Figure 0005136303
一般式(18)中、R301、R302、R303、及びR304は、水素、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリール基のいずれかである。
一般式(18)のR301、R302、R303、及びR304は、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよい。又、R301、R302、R303、及びR304が、炭素原子を有する場合、炭素数は1〜40、好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。炭素数が40を超えると電極の導電性が低下する場合がある。
4級アンモニウムの具体例としては、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジヒドロキシエチルアンモニウム、2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルアミノプロピルアンモニウム、ラウリルアンモニウム、又はステアリルアンモニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記酸性官能基を有する各種誘導体の合成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特公昭39−28884号公報、特公昭45−11026号公報、特公昭45−29755号公報、特公昭64−5070号公報、特開2004−217842号公報等に記載されている方法で合成することができる。
<塩基性又は酸性官能基を有する各種誘導体の効果>
上記の塩基性又は酸性官能基を有する各種誘導体(以下、単に誘導体と略す場合がある。)の効果のひとつとして、添加した誘導体が炭素材料表面に作用(例えば吸着)することにより、相乗効果により分散が進むものと考えられる。更に、炭素材料の粒子表面の疎水性の高いため、官能基を有する各種誘導体の吸着作用効果が更に向上するため、より分散効果も発揮すると考えられる。
よって本発明では、上記塩基性又は酸性官能基を有する各種誘導体の使用により、炭素材料表面に直接、官能基を導入(共有結合)せず、良好な分散を得ることができる。これらのことから、炭素材料である電極活物質又は導電助剤の導電性を落とすことなく良好な分散を得ることができる。そして電極活物質が良好に分散した本発明のキャパシタ用組成物を用いることにより、電極活物質及び導電助剤が均一に分散したキャパシタ電極を作製することができる。
又、本発明のキャパシタ用組成物を使用した電極では、炭素材料表面に官能基を有する各種誘導体が存在しているため電極活物質の電解液に対する濡れ性が向上するとともに、上述の均一分散効果とあいまって電極の電解液に対する濡れ性が向上する。
本発明の後述する分散樹脂は、電極活物質及び導電助剤としての炭素材料どうしを結着する、又は、電極活物質及び導電助剤としての炭素材料同士を集電極に結着するためのバインダーとしても機能するが、塩基性又は酸性官能基を有する誘導体と併用することにより、炭素材料の分散安定性及び、電極合剤層の密着性を更に向上させることができる。
すなわち、炭素材料表面に作用(例えば吸着)した前記誘導体と分散樹脂が相互作用しつつ炭素材料表面に吸着することにより、分散樹脂の炭素材料表面への吸着が促進され、炭素材料と分散樹脂との密着性が向上すると共に、分散樹脂の立体障害による反発により、炭素材料の分散安定性が向上するものと考えられる。又、炭素材料とバインダー樹脂である高分子化合物との密着性も向上するため、使用するバインダー量を減らすことも期待できる。
<炭素材料>
[電極活物質]
本発明のキャパシタ用組成物に使用する炭素材料としては特に限定はされないが、電極活物質には非対称電極型キャパシタ等に主に使用され、リチウムイオンをドーピング又はインターカレーション可能な黒鉛、及び黒鉛化カーボン等が挙げられ、通常の対称電極型キャパシタに使用される活性炭等が挙げられる。更に活性炭はその種類としては特に限定されるものではなく例えば、フェノール系、レーヨン系、アクリル系、ピッチ系、ヤシガラ、又は綿花等が使用でき、比表面積が300〜3500m2/g、好ましくは500〜3000m2/gである。粒子径は0.1〜50μm、好ましくは1〜30μmである。
更に上記の活性炭を表面処理することにより、電気容量を上げることができる。例えば有機化合物又は無機化合物による表面処理や、水蒸気賦活処理又はアルカリ賦活処理等の方法が好ましい。
<導電助剤>
本発明における導電助剤としては、炭素材料が最も好ましい。炭素材料としては、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー、及びフラーレン等を単独で、若しくは2種類以上併せて使用することができる。導電性、入手の容易さ、及びコスト面から、カーボンブラックの使用が好ましい。
カーボンブラックとしては、気体若しくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、及び、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラック等の各種のものを単独で、若しくは2種類以上併せて使用することができる。又、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
カーボンの酸化処理は、カーボンを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることより、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基をカーボン表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンの分散性を向上させるために一般的に行われている。しかしながら、官能基の導入量が多くなる程カーボンの導電性が低下することが一般的であるため、酸化処理をしていないカーボンの使用が好ましい。
用いるカーボンブラックの比表面積は、値が大きいほど、カーボンブラック粒子どうしの接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下げるのに有利となる。具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、20m2/g以上、1500m2/g以下、好ましくは50m2/g以上、1500m2/g以下、更に好ましくは100m2/g以上、1500m2/g以下のものを使用することが望ましい。比表面積が20m2/gを下回るカーボンブラックを用いると、十分な導電性を得ることが難しくなる場合があり、1500m2/gを超えるカーボンブラックは、市販材料での入手が困難となる場合がある。
又、用いるカーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡等で測定された粒子径を平均したものである。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、
トーカブラック#4300、#4400、#4500、及び#5500等の東海カーボン社製ファーネスブラック;
プリンテックスL等のデグサ社製ファーネスブラック;
Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA、Conductex SC ULTRA、975 ULTRA、PUER BLACK100、115、及び205等のコロンビヤン社製ファーネスブラック;
#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、及び#5400B等の三菱化学社製ファーネスブラック;
MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、及びBlackPearls2000等のキャボット社製ファーネスブラック;
Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、及びSuperP−Li等のTIMCAL社製ファーネスブラック;
ケッチェンブラックEC−300J、及びEC−600JD等のアクゾ社製ケッチェンブラック、並びに、
デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35等の電気化学工業社製アセチレンブラック等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<分散樹脂>
本発明のキャパシタ用組成物には、分散性を向上させるために、分散樹脂を使用することができる。分散樹脂特に限定はされないが、例えば、酸性官能基を有する分散樹脂、及び塩基性官能基を有する分散樹脂が挙げられる。又、塩基性官能基を有する誘導体、及び酸性官能基のどちらとも併用できる分散樹脂として、ビニルアミド系樹脂も好適に使用することができる。これらを単独で使用しても、2種以上併用しても構わない。
[酸性官能基を有する分散樹脂]
酸性官能基を有する分散樹脂としては、ポリエステル系、ポリビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ホルマリン縮合物、シリコーン系、及びこれらの複合系ポリマー等が挙げられる。又、これらの酸性官能基を有する樹脂は2種類以上を併用することもできる。又、好ましい酸性官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、及び燐酸基である。又、分散安定性の観点から、ポリビニル系樹脂、又はポリエステル系樹脂の二つのタイプが好ましい。
特に、ポリエステル系樹脂又はポリビニル系樹脂の片末端領域に導入した水酸基に、酸無水物を反応させた分散樹脂が、好適に使用できる。
例えば、1個以上の水酸基及び1個チオール基を有する化合物の存在下、1種類以上のビニル系モノマーをラジカル共重合してなる、ビニル系樹脂の片末端領域の水酸基に、酸無水物を反応させてなる、片末端領域にカルボキシル基を有するビニル系樹脂が挙げられる。
又、例えば、モノアルコールを開始剤として、ラクトン類を会館重合してなる、ポリエステル系樹脂の水酸基に、無水物を反応させてなる、片末端領域にカルボキシル基を有するポリエステル系樹脂が挙げられる。
市販の酸性官能基を有する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。
ビックケミー社製の酸性官能基を有する分散樹脂としては、 Anti−Terra−U、U100、203、204、205、Disperbyk−101、102、106、107、110、111、140、142、170、171、174、180、2001、BYK−P104、P104S、P105、9076、及び220S等が挙げられる。
日本ルーブリゾール社製の酸性官能基を有する分散樹脂としては、SOLSPERSE3000、21000、26000、36000、36600、41000、41090、43000、44000、及び53095等が挙げられる。
エフカアディティブズ社製の酸性官能基を有する分散樹脂としては、EFKA4510、4530、5010、5044、5244、5054、5055、5063、5064、5065、5066、5070、及び5071等が挙げられる。
味の素ファインテクノ社製の酸性官能基を有する分散樹脂としては、アジスパーPN411、及びアジスパーPA111等が挙げられる。
ELEMENTIS社製の酸性官能基を有する分散樹脂としては、NuosperseFX−504、600、605、FA620、2008、FA−196、及びFA−601等が挙げられる。
ライオン社製の酸性官能基を有する分散樹脂としては、ポリティA−550、及びポリティPS−1900等が挙げられる。
楠本化成社製の酸性官能基を有する分散樹脂としては、ディスパロン2150、KS−860、KS−873SN、1831、1860、PW−36、DA−1200、DA−703−50、DA−7301、DA−325、DA−375、及びDA−234等が挙げられる。
BASFジャパン製の酸性官能基を有する分散樹脂としては、JONCRYL67、678、586、611、680、682、683、690、52J、57J、60J、61J、62J、63J、70J、HPD−96J、501J、354J、6610、PDX−6102B、7100、390、711、511、7001、741、450、840、74J、HRC−1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX−7630、352J、252D、538J7640、7641、631、790、780、及び7610等が挙げられる。
三菱レイヨン製の酸性官能基を有する分散樹脂としては、ダイヤナールBR−60、64、73、77、79、83、87、88、90、93、102、106、113、及び116等が挙げられる。
[塩基性官能基を有する分散樹脂]
塩基性官能基を有する分散樹脂としては、ポリビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ホルマリン縮合物、シリコーン系、及びこれらの複合系ポリマー等が挙げられる。更に、これらの塩基性官能基を有する樹脂は2種類以上を併用することもできる。好ましい塩基性官能基としては、1〜3級のアミノ基である。塩基性官能基を有する樹脂は、分散安定性の観点から、ポリビニル系樹脂、又はポリエステル系樹脂の二つのタイプが好ましい。
例えば、
片末端領域に2個の水酸基を有するビニル重合体の水酸基と、ジイソシアネートのイソシアネート基と、を反応してなる両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのイソシアネート基と、
ポリアミンを含むアミン化合物の一級及び/若しくは二級アミノ基と、
を反応してなる分散樹脂、又は、
片末端領域に1個若しくは2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合体の(メタ)アクリロイル基と、1個以上の一級及び/若しくは二級アミノ基を有する重合体の一級及び/若しくは二級アミノ基と、を反応してなるアミノ基を有する重合体の一級及び/若しくは二級アミノ基と、
2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートのイソシアネート基と、
を反応してなる分散樹脂、
が好適に使用できる。
市販の塩基性官能基を有する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
ビックケミー社製の塩基性官能基を有する樹脂としては、Disperbyk−108、109、112、116、130、161、162、163、164、166、167、168、180、182、183、184、185、2000、2001、2050、2070、2150、又はBYK−9077が挙げられる。
日本ルーブリゾール社製の塩基性官能基を有する樹脂としては、SOLSPERSE9000、13240、13650、13940、17000、18000、19000、20000、24000SC、24000GR、28000、31845、32000、32500、32600、33500、34750、35100、35200、37500、38500、又は39000が挙げられる。
エフカアディティブズ社製の塩基性官能基を有する樹脂としては、EFKA4008、4009、4010、4015、4020、4046、4047、4050、4055、4060、4080、4300、4330、4400、4401、4402、4403、4406、4500、4550、4560、4570、4580、又は4800が挙げられる。
味の素ファインテクノ社製の塩基性官能基を有する樹脂としては、アジスパーPB711、アジスパーPB821、又はアジスパーPB822が挙げられる。
楠本化成社製の塩基性官能基を有する樹脂としては、ディスパロン1850、1860、又はDA−1401が挙げられる。
共栄社化学製の塩基性官能基を有する樹脂としては、フローレンDOPA−15B、フローレンDOPA−17等が挙げられる。
塩基性官能基を有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは1,500〜50,000、特に好ましくは2,000〜30,000である。重量平均分子量が1,000未満であれば、キャパシタ用組成物の塗液安定性が低下する場合があり、100,000を超えると樹脂間の相互作用が強くなり、塗液の増粘が起きる場合がある。又、得られた分散剤のアミン価は、5〜100mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは10〜70mgKOH/g、さらに好ましくは20〜50mgKOH/gである。アミン価が5mgKOH/g未満であれば炭素材料と吸着する官能基が不足し、炭素材料の分散に寄与することが困難になる場合があり、100mgKOH/gを超えると、炭素材料同士の凝集が起こり、粘度低下効果の不足や塗膜外観に不具合を生じさせる場合がある。
[ビニルアミド系樹脂]
ビニルアミド系樹脂としては、ポリビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アルキル化ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンのグラフト共重合体、及びビニルピロリドンとコモノマーとの共重合体等が挙げられる。
ビニルピロリドンと共重合できるコモノマーとしては、酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、エチレン、スチレン、無水マレイン酸、アクリル酸、硫酸ビニルナトリウム、塩化ビニル、ビニルピロリジン、トリメチルシロキシビニルシラン、プロピオン酸ビニル、ビニルカプロラクタム、及びメチルビニルケトン等が挙げられる。
又、前記ビニルアミド系樹脂を、有機酸、又は無機酸で処理した酸変性物等も用いることができる。
前記ビニルアミド系樹脂の中でも、特に、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−1−ブテン共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体等のほぼ中性のビニルアミド系樹脂、又は、有機酸、若しくは無機酸で処理したポリビニルピロリドンの酸変性物が、好適に用いられる。
本発明のキャパシタ用組成物に使用するビニルアミド系樹脂が炭素材料の分散に効果があるのは、使用される溶媒が水又は水系溶媒、溶剤系のいずれにおいても溶媒に対する濡れ性に優れるために、炭素材料と溶媒との相互作用を円滑に進め、炭素材料の凝集が極めて少なくなるためであると推察される。特に極性が高い溶媒を用いる場合、分散効果が極めて高くなる。
又、ビニルアミド系樹脂は、一般式(20)に示すような共鳴構造をとるために、酸性官能基、塩基性官能基どちらとも相互作用することが可能である。このため、先述の通り、炭素材料分散時に、ビニルアミド系樹脂と塩基性官能基を有する各種誘導体とを併用した場合でも、又は、ビニルアミド系樹脂と酸性官能基を有する各種誘導体とを併用した場合でも、ビニルアミド系樹脂と誘導体の官能基とが相互作用し、炭素材料と樹脂成分との密着性が向上するとともに、炭素材料の分散安定性が更に増すと考えられる。
一般式(20):
Figure 0005136303
一般式(20)中、R501、及びR502は、水素、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリール基のいずれかである。
本発明の塩基性官能基又は酸性官能基を有する各種誘導体の効果のひとつとして、添加した誘導体が炭素材料表面に作用(例えば吸着)することにより、分散効果を発揮するものと考えられる。各種誘導体を溶剤中に完全ないしは一部溶解させ、その溶液中に炭素材料を添加、混合することで、これら誘導体の炭素材料への作用(例えば吸着)が進むものと思われる。そして、炭素材料表面に作用(例えば吸着)した誘導体が有する各種官能基の極性により、炭素表面の溶剤に対する濡れが促進され、炭素材料の凝集が解しやすくなるものと思われる。更に、分散樹脂の添加により、分散樹脂の分極した官能基と上記誘導体が有する官能基の相互作用(例えば分子間力による相互作用)により、炭素材料と樹脂成分との密着性が向上するとともに、炭素材料の分散安定性が更に増すものと思われる。又、上記分散樹脂を介して、炭素材料とバインダー樹脂等との密着性も向上するため、電極集電体若しくは電極合材中の活物質との密着性も向上すると考えられる。
<溶剤>
本発明に使用する溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類、及び水等が挙げられる。
バインダー樹脂成分の溶解性や、導電助剤である炭素材料の分散安定性を得るためには、極性の高い溶剤を使用するのが好ましい。
例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN,N−ジエチルアセトアミド等の様な窒素をジアルキル化したアミド系溶剤、N−メチルピロリドン、ヘキサメチル燐酸トリアミド、並びに、ジメチルスルホキシド、水、アルコール等が挙げられるが、これらに限定されない。二種類以上を併用することもできる。
<バインダー>
本発明のキャパシタ用組成物に使用するバインダーとしては、
エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、又はビニルピロリドン等を構成単位として含む重合体又は共重合体;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂;カルボキシメチルセルロースのようなセルロース樹脂;スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴム類;ポリアニリン、ポリアセチレンのような導電性樹脂等が挙げられる。又、これらの樹脂の変性体や混合物、共重合体、及び水性エマルジョンでも良い。特に、耐性面から分子内にフッ素原子を含む高分子化合物、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン等の使用が好ましい。
又、バインダーとしてのこれら樹脂類の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000が好ましい。分子量が小さいとバインダーの耐性が低下することがある。分子量が大きくなるとバインダーの耐性は向上するものの、バインダー自体の粘度が高くなり作業性が低下するとともに、凝集剤として働き、合剤成分が著しく凝集してしまうことがある。
<本発明のキャパシタ用組成物の用途>
本発明のキャパシタ用組成物は、キャパシタ用電極合剤ペーストとして用いることができる。電極合剤ペーストとして用いる場合は、
塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種類以上の誘導体、又は、
酸性官能基を有する有機色素誘導体、及び酸性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体、
と、炭素材料と、溶剤とを含んでなるペースト、又は更に分散樹脂とを含んでなるペーストに、バインダー成分を含有させ電極合剤ペーストとして使用することが好ましい。
電極合剤ペースト中の総固形分に占める電極活物質の割合は、分散樹脂と塩基性官能基又は酸性官能基を有する誘導体からなる群から選ばれる1種以上と、を合わせて70重量%以上、98.5重量%以下が好ましい。又、電極合剤ペースト中の総固形分に占める、導電助剤としての炭素材料の固形分の割合は、0.1重量%以上、19重量%以下が好ましい。そして、電極合剤ペースト中の総固形分に占める、バインダー成分(分散樹脂以外の樹脂成分)の割合は、1重量%以上、10重量%以下が好ましい。又、電極合剤ペーストの適正粘度は、正極合剤ペーストの塗工方法によるが、一般には、100mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
本発明における電極合剤ペーストは、電極活物質の分散性に優れるだけでなく、電極活物質の凝集を緩和する効果もある。電極活物質の分散性が優れるため、電極活物質及び導電助剤としての炭素材料を溶剤に混合・分散する際のエネルギーが、電極活物質の凝集物に阻害されることなく効率よく導電助剤に伝わり、結果的に導電助剤の分散性も向上させることができるものと考えられる。
本発明の電極合剤ペーストでは、電極活物質の周りに導電助剤を均一に配位・付着させることができ、電極合剤層に優れた導電性及び密着性を付与できる。又、導電性が向上することにより、導電助剤の添加量を減らすことができるため、電極活物質の添加量を相対的に増やすことができ、キャパシタ容量を大きくすることができる。
さらに、本発明の電極合剤ペーストは、炭素材料(電極活物質、導電助剤)の凝集が少ないため、集電体に塗布した際に平滑性の高い均一な塗膜を得ることができ、集電体と電極合剤との密着性が改善される。又、分散樹脂が導電助剤表面に作用(例えば吸着)しているため、電極活物質の表面と導電助剤表面との相互作用が強まり、更に塩基性官能基又は酸性官能基を有する誘導体を使用することで電極活物質と導電助剤との密着性が向上する。
<本発明のキャパシタ用電極合剤ペーストの製造方法>
次に、本発明の電極合剤ペーストの製造方法について説明する。
本発明の電極合剤ペーストは、例えば、塩基性又は酸性性官能基を有する誘導体と、電極活物質と、を溶剤に分散し、該分散体に、必要に応じて導電助剤、又は追加のバインダー成分(分散樹脂以外の樹脂成分)を混合することにより、製造することができる。各成分の添加順序等については、これに限定されるわけではない。又、必要に応じて更に溶剤を追加しても良い。
塩基性又は酸性性官能基を有する誘導体の添加量は、用いる電極活物質の比表面積等により決定される。一般には、塩基性又は酸性官能基を有する誘導体を、電極活物質100重量部に対して、0.01重量部以上、30重量部以下、好ましくは0.05重量部以上、25重量部以下、さらに好ましくは、0.1重量部以上、20重量部以下で添加する。添加量が少ないと十分な分散効果が得られず、過剰に添加しても顕著な分散向上効果は得られないことがある。
又、電極活物質を溶剤に分散するにあたり、塩基性又は酸性性官能基を有する誘導体と、分散樹脂と、を添加することが好ましい。電極活物質を分散する時に添加する分散樹脂としては、電極活物質100重量部に対して0.01重量部以上、30重量部以下、好ましくは0.05重量部以上、25重量部以下、さらに好ましくは、0.1重量部以上、20重量部以下で添加する。
又、上記誘導体、及び分散樹脂を炭素材料に作用(例えば吸着)させつつ溶剤に分散する、又は上記と誘導体を炭素材料に作用(例えば吸着)させつつ溶剤に分散するための装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機が使用できる。
例えば、
ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;
エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;
ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;
湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、若しくは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;又は、
その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。又、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
強い衝撃で粒子が割れたり、潰れたりしやすい正極活物質の場合は、メディア型分散機よりは、ロールミルやホモジナイザー等のメディアレス分散機が好ましい。
導電助剤の添加方法としては、塩基性又は酸性官能基を有する誘導体と、電極活物質と、を溶剤に分散してなる分散体を攪拌しつつ、導電助剤を添加し分散させる、又は導電助剤を前もって溶剤中に分散させた分散体を上記電極活物質分散体に添加し混合する方法が挙げられる。更に、塩基性又は酸性官能基を有する各種誘導体と、電極活物質と、を溶剤に分散する際に、分散樹脂を一緒に添加するとより好ましい。
塩基性又は酸性官能基を有する塩基性又は酸性官能基を有する誘導体と、電極活物質と、を溶剤に分散するときに、導電助剤の一部ないしは全量を、同時に添加して共分散処理を行うこともできる。更に、共分散処理時に、分散樹脂を一緒に添加するとより好ましい。
このときの混合、分散を行うための装置としては、通常の顔料分散等に用いられている上述の分散装置が使用できる。
電極活物質の分散粒径は、使用する電極活物質の一次粒子径の大きさで変化するが、0.05μm以上、100μm以下、好ましくは、0.1μm以上、70μm以下、更に好ましくは0.15μm以上、50μm以下に微細化することが望ましい。電極活物質の分散粒径が0.05μm未満の電極合剤ペーストは、その作製が難しい場合がある。又、電極活物質の分散粒径が100μmを超える組成物を用いた場合には、電極の抵抗分布のバラつきや、低抵抗化のために導電助剤の添加量を増やさなければならなくなる等の不具合が生じる場合がある。ここでいう分散粒径については、グラインドゲージによる判定(JIS K5600−2−5に準ず)より求めることができる。分散粒径が1.0μm以下の場合は、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
本発明の電極合剤ペーストは、上述するように、通常は溶剤を含む分散体(液)、又はペースト等として、製造、流通、使用される。これは、導電助剤や活物質と塩基性又は酸性官能基を有する誘導体や、分散樹脂を乾燥粉体の状態で混合しても、電極活物質や導電助剤に均一に作用させることは難しく、液相法で、電極活物質や導電助剤を溶剤に分散することにより、電極活物質や導電助剤に対して、均一に、誘導体や、分散樹脂、を作用させることができるからである。又、以下に説明するように、集電体に電極合剤層を形成する場合には、液状の分散体をできるだけ均一に塗布してこれを乾燥させることが好ましいからである。
しかしながら、例えば、液相法で作製した分散体を、運搬コスト等の理由から、一度溶剤を除去して乾燥粉体とすることも考えられる。そして、この乾燥粉体を適当な溶剤で再分散させて、電極合剤層の形成に用いることも考えられる。したがって、本発明の正極合剤ペーストは、液状の分散体に限られず、このような、乾燥粉体の状態の組成物であってもよい。
<キャパシタ>
次に、本発明のキャパシタ用電極合剤ペーストを用いたキャパシタについて説明する。
キャパシタは、集電体上に正極合剤層を有する正極と、集電体上に負極合剤層を有する負極と、電解質とを具備する。前記正極合剤層と前記集電体との間や、前記負極合剤層と前記集電体との間には、電極下地層が形成されていてもよい。又一般的には正極、負極とも同一の電極活物質からなる対称電極キャパシタ等があるが、静電容量の向上を目的とした非対称電極キャパシタにも本発明の電極合剤ペーストは好適に用いることが出来る。
例えば、リチウムイオンドーピングによる所謂リチウムイオンキャパシタには、正極の電極活物質に活性炭、負極の活物質に黒鉛(グラファイト)等が用いられるが、これに制限されるものではない。
電極については、使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はステンレス等の金属や合金が用いられるが、特に正極材料としてはアルミニウムが、負極材料としては銅が、好ましい。又、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、及びメッシュ状のものも使用できる。
集電体上に電極下地層を形成する方法としては、導電性材料でカーボンブラックとバインダー成分が溶剤中に分散させた電極下地ペーストを電極集電体に塗布、乾燥する方法が挙げられる。電極下地層の膜厚としては、導電性及び密着性が保たれる範囲であれば特に制限されないが、一般的には0.05μm以上、20μm以下であり、好ましくは0.1μm以上、10μm以下である。
集電体上に電極合剤層を形成する方法としては、集電体上に上述の電極合剤ペーストを直接塗布し乾燥する方法、及び集電体上に電極下地層を形成した後に電極合剤ペーストを塗布し乾燥する方法等が挙げられる。又、電極下地層の上に電極合剤層を形成する場合、集電体上に電極下地ペーストを塗布した後、湿潤状態のうちに電極合剤ペーストを重ねて塗布し、乾燥を行っても良い。電極合剤層の厚みとしては、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。
塗布方法については、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、又は静電塗装法等が挙げられる。又、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。
<電解液>
本発明のキャパシタを構成する電解液としては、水系電解液と非水系電解液の2種類がある。水系電解液としては硫酸水溶液、非水系の溶剤としては特に限定はされないが、例えば、
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、及びγ−オクタノイックラクトン等のラクトン類;
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−メトキシエタン、1,2−エトキシエタン、及び1,2−ジブトキシエタン等のグライム類;
メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;並びに、
アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。又これらの溶剤は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
非水系電解質としては、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、LiC49SO3、Li(CF3SO23C、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF2、LiSCN、又はLiBPh4等が挙げられるがこれらに限定されない。
更に上記電解液を、ポリマーマトリクスに保持しゲル状とした高分子電解質とすることもできる。ポリマーマトリクスとしては、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するアクリレート系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリホスファゼン系樹脂、及びポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリシロキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の電極合剤ペーストを用いたキャパシタの構造については特に限定されないが、通常、正極及び負極と、必要に応じて設けられるセパレータとから構成される。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。実施例中、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ表す。電極活物質分散体、及び電極合剤ペーストの分散粒度については、マイクロトラックUPA−EX150(日機装製)又はグラインドゲージによる判定(JIS K5600−2−5に準ず)より求めた。又、電極活物質分散体及び導電助剤分散体の粘度は、E型粘度計(東機産業社製「RE80型粘度計」)で、50rpmの回転速度における25℃での粘度を測定した。
<電極活物質分散体の調製>
[電極活物質分散体1〜
表5に示す組成に従い、容器に各種溶剤、又は水と、場合によって、分散樹脂を仕込み、分散樹脂を完全ないしは一部溶解させた。次に、表1〜表に示す塩基性官能基を有する各種誘導体(A)〜()のいずれかを仕込み、混合攪拌して誘導体を完全ないしは一部溶解させた。次に、電極活物質を加え、メディアレス分散機であるフィルミックスで分散し、電極活物質分散体(固形分40%)を得た。得られた電極活物質分散体の分散評価結果を、表5に示した。
実施例及び比較例で使用した電極活物質、分散樹脂及び酸性又は塩基性官能基を有する誘導体を以下に示す。
<電極活物質>
・活性炭粉末(「ファイン活性炭RP20」クラレケミカル製):平均粒径5.0μm、比表面積2000m2/g。
・メソフェーズカーボン(MCMB 6−28、大阪ガスケミカル社製):平均粒径5〜7μm、比表面積4m2/g
<塩基性官能基を有する誘導体(A)〜(H)>
・塩基性官能基を有する色素誘導体:(A)、(B)、(C)
・塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体:(F)
・塩基性官能基を有するアクリドン誘導体:(G)
・塩基性官能基を有するトリアジン誘導体:(D)、(E)、(H)
参考例:酸性性官能基を有する誘導体(I)〜(P)>
・酸性官能基を有する色素誘導体:(M)、(N)、(O)
・酸性官能基を有するトリアジン誘導体:(I)、(J)、(K)、
・酸性官能基を有するトリアジン誘導体の造塩物:(L)
Figure 0005136303
Figure 0005136303
Figure 0005136303
Figure 0005136303
<分散樹脂>
・PVP K−30(ISPジャパン製):ポリビニルピロリドン(PVPと略) 重量平均分子量約4〜8万。
・PNVA GE191 (昭和電工製):ポリN−ビニルアセトアミド(PNVAと略)重量平均分子量約1〜3万。
・BYK111(ビックケミー製):酸性分散樹脂(BYKと略)
・ソルスパーズ2400(ルーブリゾール製):塩基性分散樹脂(ソルスパースと略)
<バインダー>
・(1)KFポリマーW#1100(クレハ社製):
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、重量平均分子量約28万。
・(2)PTFE 30−J(三井・デュポンフロロケミカル社製):
60%ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)水系分散体
<導電助剤用カーボンブラック>
・デンカブラックHS−100(電気化学工業社製):
アセチレンブラック、一次粒径48nm、比表面積48m2/g。
<電極活物質分散体の分散評価>
電極活物質分散体の分散粒径はマイクロトラックUPA−EX150(日機装製)で測定し、分散粒径が1μm以下のものを「○」、1μm以上、5μm未満であったものを「△」、5μm以上であったものを「×」とした。
粘度は電極活物質分散体及び導電助剤分散体の粘度は、E型粘度計(東機産業社製「RE80型粘度計」)で、50rpmの回転速度における25℃での粘度を測定した。
電極活物質分散体の分散評価の結果を表5に示した。
<表面処理の有無による電極活物質の濡れ性評価>
分散剤で処理した各種電極活物質分散体を80℃で10時間減圧乾燥した。続いて乾燥物をメノウ製の乳鉢で粉砕した後、更に80℃で12時間減圧乾燥した。得られた乾燥物を再度メノウ製乳鉢で粉砕した後、錠剤成型器(Specac社製)にて500kgf/cm2で荷重をかけ、電極活物質のペレットを作製(直径10mm、厚0.5mm)した。このペレットにマイクロシリンジにて、テトラエチルアンモニウムのテトラフルオロボレートの1モル/Lのプロピレンカーボネート溶液の液滴を落とし、液滴がペレットに浸透する時間を測定した。この測定を各サンプルとも5回行い、それらの平均浸透時間が1秒未満であったものを「◎」、1秒以上、5秒未満であったものを「○」、5秒以上、10秒未満であったものを「△」、10秒以上であったものを「×」とした。
尚、電極活物質分散体(8)、(12)、(16)は1モル/Lの硫酸水溶液の液滴を落とし上記と同様に液滴の浸透時間を測定した。
電極活物質の濡れ性評価の結果を表6に示した。
Figure 0005136303

NMP:N−メチル−2−ピロリド
YK:BYK111
PVP:ポリビニルピロリドン
PNVA:ポリN−ビニルアミド
Figure 0005136303

<導電助剤用カーボンブラック分散体の調整>
[カーボン分散体(1)]
ガラス瓶にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、塩基性官能基を有する誘導体(A)0.5部を仕込み、混合攪拌して誘導体を完全ないしは一部溶解させた。次に、導電助剤となるカーボンブラックHS−100(アセチレンブラック、一次粒径48nm、比表面積48m2/g、電気化学工業社製)10部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカーで分散し、カーボン分散体(固形分10.5%)を得た。
[カーボン分散体(2)]
ガラス瓶にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、ポリビニルピロリドン(PVP)固形分で0.5部を仕込み、樹脂を完全ないしは一部溶解させた。次に、酸性官能基を有する誘導体(M)0.5部を仕込み、混合攪拌して誘導体を完全ないしは一部溶解させた。次に、導電助剤となるカーボンブラックHS−100(アセチレンブラック、一次粒径48nm、比表面積48m2/g、電気化学工業社製)10部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカーで分散し、カーボン分散体(固形分11.0%)を得た。
[カーボン分散体(3)]
ガラス瓶に精製水と、PNVA0.125部を仕込み、完全に混合させた。次に、酸性官能基を有する誘導体(J)0.375部を仕込み、混合攪拌して誘導体を完全ないしは一部溶解させた。次に、導電助剤となるカーボンブラックHS−100(アセチレンブラック、一次粒径48nm、比表面積48m2/g、電気化学工業社製)10部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカーで分散し、カーボン分散体(固形分10.5%)を得た。
<キャパシタ用電極合剤ペーストの調製>
[実施例1、3、比較例1]
先に調製した電極活物質分散体(活性炭量として90部)に対して、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンPVDF(KFポリマーW#1100、クレハ社製)、N−メチル−2−ピロリドンをプラネタリーミキサーで混合した後に、導電助剤としてカーボンブラック又はカーボン分散体(カーボンブラック量として5部)を加え、更にプラネタリーミキサーにより混練し、電極合剤ペースト(固形分比率;実施例は35%、比較例1は25%、固形分組成比率;活物質/カーボンブラック/バインダーと分散剤=90/5/5)とした。(表7を参照)
[実施例9]
活性炭粉末(「ファイン活性炭RP20」クラレケミカル製:平均粒径5.0μm、比表面積2000m2/g)90部に対して、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンPV
DF(KFポリマーW#1100、クレハ社製)、N−メチル−2−ピロリドンをプラネタリーミキサーで混合した後に、導電助剤としてカーボン分散体(カーボンブラック量として5部)を加え、更にプラネタリーミキサーにより混練し、電極合剤ペースト(固形分比率;35%、固形分組成比率;活物質/カーボンブラック/バインダーと分散剤=90/5/5)とした。(表7を参照)
[実施例2、比較例2]
先に調製した電極活物質分散体(黒鉛量として95部)に対して、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンPVDF(KFポリマーW#1100、クレハ社製)、N−メチル−2−ピロリドンをプラネタリーミキサーで混合した後に、導電助剤としてカーボンブラック又はカーボン分散体(カーボンブラック量として2部)を加え、更にプラネタリーミキサーにより混練し、電極合剤ペースト(固形分比率;実施例2は35%、比較例2は25%、固形分組成比率;活物質/カーボンブラック/バインダーと分散剤=95/2/3)とした。(表7を参照)
[比較例4]
先に調製した電極活物質分散体(黒鉛量として95部)に対して、バインダーとして60%ポリテトラフルオロエチレンPTFE水系分散体(PTFE 30−J、三井・デュポンフロロケミカル社製)、精製水をプラネタリーミキサーで混合した後に、導電助剤としてカーボンブラック又はカーボン分散体(カーボンブラック量として2部)を加え、更にプラネタリーミキサーにより混練し、電極合剤ペースト(固形分比率;実施例8は35%、比較例4は25%、固形分組成比率;正極活物質/カーボンブラック/バインダーと分散剤=95/2/3)とした。(表7を参照)
[実施例4、比較例3]
先に調製した電極活物質分散体(活性炭量として90部)に対して、バインダーとして60%ポリテトラフルオロエチレンPTFE水系分散体(PTFE 30−J、三井・デュポンフロロケミカル社製)、精製水をプラネタリーミキサーで混合した後に、導電助剤としてカーボンブラック又はカーボン分散体(カーボンブラック量として5部)を加え、更にプラネタリーミキサーにより混練し、電極合剤ペースト(固形分比率;実施例4は35%、比較例3は25%、固形分組成比率;正極活物質/カーボンブラック/バインダーと分散剤=90/5/5)とした。(表7を参照)
Figure 0005136303

NMP:N−メチル−2−ピロリドン
PVP:ポリビニルピロリドン
PNVA:ポリN−ビニルアミド
PVDF:ポリフッ化ビニリデン
PEFE:ポリテトラフルオロエチレン
<キャパシタ用対称電極の作製>
[実施例1、3、4、9、比較例1、3]
先に調製した各種電極合剤ペーストを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥し、ロールプレス等による圧延処理を行い、厚さ100μmの正極合剤層を作製した。更に同様の各種電極合剤ペーストを、集電体となる厚さ20μmの銅箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥し、ロールプレス等による圧延処理を行い、厚さ100μmの負極合剤層を作製した。
(表8を参照)
<キャパシタ用非対称電極の作製>
先に調製した実施例2、比較例2、4の電極合剤ペーストを、集電体となる厚さ20μmの銅箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥し、ロールプレス等による圧延処理を行い、厚さ100μmの負極合剤層を作製した。更に同様の各種電極合剤ペーストを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥し、ロールプレス等による圧延処理を行い、厚さ100μmの正極合剤層を作製した。
<キャパシタ用対称電極評価用セルの組み立て>
先に作製した正極及び負極を、直径9mmに打ち抜き作用極と対極として、作用極及び対極の間にポリプロピレン不織布からなるセパレーターを挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1に混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝泉社製 HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立てはアルゴンガス置換したグロ−ボックス内で行い、セル組み立て後、所定のキャパシタ特性評価を行った。
<キャパシタ用非対称電極評価用セルの組み立て>
先に作製した実施例2、比較例2、4で作製した負極を、直径9mmに打ち抜き作用極とし、実施例1の正極合剤ペーストで作製した厚さ100μmの正極合剤層を対極として、作用極及び対極の間にポリプロピレン不織布からなるセパレーターを挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1に混合した混合溶媒にL
iPF6 を1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝泉社製 HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立てはアルゴンガス置換したグロ−ボックス内で行い、セル組み立て後、所定のキャパシタ特性評価を行った。
<キャパシタ電極特性評価>
[充放電サイクル特性 実施例1〜4、9、比較例1〜4]
作製したキャパシタ評価用セルを室温(25℃)で、充電を10Cで2.5V定電流定電圧で20分間行い、放電はレート1C、50Cの0V定電流とした時の放電容量(mAh/g)と1Cを100%とした時の50C放電容量の維持率(%)を求めた。更に50Cで0−2.5V間の充放電を繰り返し、このサイクルを合計2000サイクル行った。充放電サイクル特性評価は評価装置(北斗電工社製SM−8)で行った。又、評価後のセルを分解し、電極塗膜の外観を目視にて確認した。評価結果を表8に示した。
[直流内部抵抗測定 実施例1〜4、9、比較例1〜4]
作製したキャパシタ評価用セルを室温(25℃)、電流休止法により電圧低下の値と定電流値を割ることで直流の内部抵抗値を測定した(3C充放電;休止時間20秒)。評価結果を表8に示すが、正極活物質として活性炭を用いた場合については、実施例1の内部抵抗測定値を100としたときの相対値として示した。正極活物質として黒鉛を用いた場合については、実施例2の内部抵抗測定値を100としたときの相対値として示した。
Figure 0005136303

表5〜8から分かるように、実施例では、塩基性官能基を有する誘導体を使用することで、電極活物質の分散性が向上したため、比較例に比べて電極合剤ペーストでの分散性及び経時安定性が向上した。又、比較例に比べて、内部抵抗の低下傾向が見られるとともに、キャパシタの静電容量の維持率が向上した。更に、充放電2000サイクルおいての耐久性を示した。

Claims (4)

  1. 塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種類以上の誘導体と、炭素材料と、を含んでなるキャパシタ用組成物。
  2. 更に、分散樹脂を含んでなる請求項1記載のキャパシタ用組成物。
  3. 炭素材料が、活性炭、黒鉛、及び導電性カーボンからなる群から選ばれる1種類以上の炭素材料であることを特徴とする請求項1〜2記載のキャパシタ用組成物。
  4. 前記請求項1〜3いずれか記載のキャパシタ用組成物を使用して形成されてなるキャパシタ。
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