JP5132585B2 - ボルト締結方法及び該方法に用いる締結用ボルト装置 - Google Patents

ボルト締結方法及び該方法に用いる締結用ボルト装置 Download PDF

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Description

本発明は、重ね合わせ鋼板等の締結対象物をボルトで締結するためのボルト締結方法及び該方法に用いる締結用ボルト装置に関するものである。
鋼橋等の鋼構造物にて鋼板(鋼部材を構成している鋼板を含む)同士を接合する方法としては、高力ボルトを用いた締結方法が広く一般的に用いられている。
この種の高力ボルトを用いた締結として、たとえば、2枚の重ね合わせ鋼板のボルト締結を行う場合は、図11(イ)に示す如く、上記締結対象となる2枚の重ね合わせ鋼板1,2の対応する個所にボルト孔3,4をそれぞれ穿設しておき、該各鋼板1,2のボルト孔3,4に、高力ボルト5を一方の鋼板1の外側より挿通させて配置した後、他方の鋼板2の外側へ突出する上記高力ボルト5の軸部5aの先端部に、ワッシャ7を嵌めてから、ナット6を螺着させて締め込むことで、上記高力ボルト5の軸力により上記2枚の重ね合わせ鋼板1,2に対し両側から締付け力を作用させて、該2枚の重ね合わせ鋼板1,2のボルト締結を行うようにしてある。
ところで、鋼構造物では、防錆を図るためや、景観上の観点等、種々の目的に応じて、鋼構造物表面に全面に亘る塗装を行うことがあるが、上記高力ボルト5を用いた2枚の重ね合わせ鋼板1,2の締結後に上記一方の鋼板1の表面に露出されるようになる上記高力ボルト5のボルト頭5bと、上記一方の鋼板1の表面にて上記ボルト頭5bの周りとなるボルト孔3の周辺は、先行塗装を行うことができず、ボルト締結作業の後で、塗装作業を行わなければならない。
すなわち、上記高力ボルト5のボルト頭5bや、上記一方の鋼板1の表面に全面に亘る先行塗装を施した後に、上記高力ボルト5のボルト頭5bと上記一方の鋼板1の表面との間に塗膜が介在する状態で上記高力ボルト5とナット6による締結を行うと、塗膜のクリープにより上記高力ボルト5の軸力が抜けて、上記2枚の重ね合わせ鋼板1,2のボルト締結部が健全な状態とならない虞が生じる。
そのために、従来は、上記一方の鋼板1のボルト孔3周辺の表面は無塗装か又は無機ジンクリッチペイント塗装までとしておき、上記2枚の鋼板1,2のボルト孔3,4に、一方の鋼板1の外側から無塗装か又はプライマーによる防錆を施した高力ボルト5を挿入して、該高力ボルト5の軸部5aの先端部へのナット6の本締めを行って上記2枚の重ね合わせ鋼板1,2のボルト締結作業を行った後に、図11(ロ)に示すように、上記高力ボルト5のボルト頭5b及び上記一方の鋼板1の表面にて上記ボルト頭5bの周りとなる領域に塗装を行うようにしている。符号8は上記塗装作業により形成される塗膜、5cは上記高力ボルト5にてナット6の本締め時に破断されるピンテールである。
なお、ロボットによるボルト締結作業の自動化を促進できるようにすることを目的として、図12(イ)(ロ)(ハ)に示す如く、ボルト頭9bと接する面と反対側の面の開口端の周縁部に全周に亘ってパッキン係止座ぐり10aを設けた座金10と、該座金10の座ぐり10a内に嵌まり込む形状の環状として、内径がボルト9の軸部9aの外径よりもわずかに小さく設定してある合成樹脂製のパッキン11とを用いて、パッキン11を座ぐり10a内に嵌め込んだ状態の座金10を、座ぐり10aが反ボルト頭9b側に向いた姿勢でボルト9の軸部9aに嵌めることで、該ボルト9に、座金10をパッキン11を介して抜け落ちを防止した状態で保持させる考えは従来提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
又、折板屋根のタイトフレームに設けた剣先ボルトを折板屋根材(折板本体)を貫通させた後、該剣先ボルトにナットを螺着させて締め込むことで、上記タイトフレームへの折板屋根材の取り付けを行う際、上記剣先ボルトの軸部に装着する座金と、上記折板屋根材の表面との間にパッキンを介装させて防水を図ることが広く行われている(たとえば、特許文献2参照)。
特許第2755555号公報 特公平8−16486号公報
ところが、図11(イ)(ロ)に示した従来の高力ボルト5による2枚の重ね合わせ鋼板1,2のボルト締結部にて、高力ボルト5のボルト頭5bとその周りの一方の鋼板1の表面を塗装する作業は、ボルト締結作業後の現場塗装作業として行う必要があるために、上記2枚の重ね合わせ鋼板1,2のボルト締結部の配置に応じて塗装作業姿勢が制限されることがあり、又、温度や湿度等の影響を受けることから、作業環境を一定に保つことが難しい。更に、上記2枚の重ね合わせ鋼板1,2のボルト締結現場への塗装装置の搬入搬出作業に手間と時間を要し、塗装作業が完了するまで足場を架設しておく必要があり、しかも、現場塗装の作業工程が必要とされるために、工期が長くなるというのが実状である。
そのために、上記重ね合わせ鋼板の高力ボルトによるボルト締結部にて、高力ボルト5のボルト頭5bと、締結対象表面としての上記一方の鋼板1の表面にて上記ボルト頭5bの周りとなる区域を先行塗装できるようにして、ボルト締結作業後の現場塗装作業を省略できるようにすることが望まれているが、このような現場塗装作業を省略できる有効な手法は従来提案されていない。
なお、特許文献1には、ボルト9の軸部9aに座金10をパッキン11を介して抜け落ちを防止した状態で保持させることが示されているが、上記ボルト9と座金10の相対的な回転変位を阻止できるようにする考えは全く示されていないことから、上記ボルト9のボルト頭9bと座金10に先行塗装を施しても、ボルト9に対し座金10が相対的に回転変位すると、塗膜が切れてしまう。しかも、上記座金10は、単なる環状としてあることから、たとえ、該座金の締結対象と接する面を除いて上記ボルト9のボルト頭9bの周りに露出される表面と外周面に塗装を施したとしても、締結対象の表面に先行塗装を行うことで形成する塗膜との連続性を得ることはできないという問題がある。
特許文献2には、剣先ボルトの軸部に嵌める座金と、折板屋根材との間にパッキンを介装する考えが示されているが、上記剣先ボルトの軸力が上記パッキンを経て上記折板屋根材へ伝えられる構造となっている。したがって、上記パッキンのクリープにより軸力が逃げるため、上記特許文献2に示された構成は、高力ボルトによる締結個所のように大きな軸力によって締付け力を作用させるようにしてあるボルト締結個所に適用できるものではない。
そこで、本発明は、高力ボルトを用いたボルト締結個所について、高力ボルトのボルト頭と、該ボルト頭が配置される締結対象表面のボルト締結作業後の現場塗装作業を不要にできるようにするためのボルト締結方法、及び、該方法に用いる締結用ボルト装置を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、ボルトの首下部に、締結対象物に接触させる側の面が中心側から所要径まで締結対象物の表面に密着でき且つその外周側は締結対象物の表面との間に隙間を形成できるようにしてなる段付座金を、該段付座金の上記締結対象物に接触させる側の面とは反対側の面をボルト頭の座面に密着させて座金固定治具を介して相対的に回転変位しないように取り付け、次に、上記ボルト頭の外面と、上記ボルト頭より外周側に露出する上記段付座金の露出部分を、ボルト締結前に先行塗装し、しかる後、締結対象物のボルト孔を中心として上記段付座金の外径寸法よりも小さく且つ上記段付座金の締結対象物に密着できる部分の外径よりも大きい径寸法の円形区域を除いた領域に表面塗装してある締結対象物のボルト孔に、上記段付座金を取り付けたボルトの軸部を挿通させて、上記段付座金の締結対象物に密着できる部分を上記締結対象物の表面に密着させると共に、上記段付座金の締結対象物に密着させる部分の外周側における上記先行塗装個所と上記締結対象物の表面塗装個所との間にリング状のパッキンを挟んだ状態で、締結対象物をボルトで締結させるボルト締結方法とする。
又、上記において、ボルト首下部の外周面と段付座金の孔の内周面との間に、座金固定治具を介装させ、該座金固定治具を、上記ボルト首下部の外周面と段付座金の孔の内周面に密着させるようにして、ボルトの首下部に、段付座金を取り付けるようにする方法とする。
更に、上記各構成において、ボルト頭の外面と、上記ボルト頭より外周側に露出する上記段付座金の露出部分を、先行塗装した後、上記段付座金の締結対象物に密着できる部分の外周側における先行塗装個所に、塗膜の上からリング状のパッキンを貼り付けてから、所定領域に表面塗装してある締結対象物のボルト孔に、上記段付座金を取り付けたボルトの軸部を挿通させるようにする方法とする。
又、請求項4に対応して、締結対象物に接触させる側の面が中心側から所要径まで締結対象物の表面に密着でき且つその外周側は締結対象物の表面との間に隙間を形成できるようにしてなる段付座金を、該段付座金の外径よりも小さい外径の頭部を有するボルトの首下部に、該段段付座金の締結対象物に接触させる側の面とは反対側の面をボルト頭の座面に密着させた状態で座金固定治具を介して相対的に回転変位しないように取り付け、且つ上記ボルト頭の外面と上記ボルト頭より外周側に露出する上記段付座金の露出部分を塗装してなる段付座金付きのボルト、及び、上記段付座金の外径寸法と同じか又はやや小さい径のリング状のパッキンを備えてなる構成を有する締結用ボルト装置とする。
更に、上記構成において、座金固定治具を、ボルト首下部の外周面と段付座金の孔の内周面との間に弾性変形させた状態で介装させて、上記ボルト首下部の外周面と、段付座金の孔の内周面に密着させるようにしてなる構成とする。
更に又、上記構成において、座金固定治具を、ボルト首下部の外径寸法よりも大きい内径を有し且つ段付座金の孔の内径寸法よりも大きな外径を有する環状の治具本体の周方向所要間隔個所に、上記ボルト首下部の外径寸法よりも小さい径方向位置まで内向きに突出する内周側突部と、上記段付座金の孔の内径寸法よりも大きい径方向位置まで外向きに突出する外周側突部とを交互に設けてなる構成とする。
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)ボルトの首下部に、締結対象物に接触させる側の面が中心側から所要径まで締結対象物の表面に密着でき且つその外周側は締結対象物の表面との間に隙間を形成できるようにしてなる段付座金を、該段付座金の上記締結対象物に接触させる側の面とは反対側の面をボルト頭の座面に密着させて座金固定治具を介して相対的に回転変位しないように取り付け、次に、上記ボルト頭の外面と、上記ボルト頭より外周側に露出する上記段付座金の露出部分を、ボルト締結前に先行塗装し、しかる後、締結対象物のボルト孔を中心として上記段付座金の外径寸法よりも小さく且つ上記段付座金の締結対象物に密着できる部分の外径よりも大きい径寸法の円形区域を除いた領域に表面塗装してある締結対象物のボルト孔に、上記段付座金を取り付けたボルトの軸部を挿通させて、上記段付座金の締結対象物に密着できる部分を上記締結対象物の表面に密着させると共に、上記段付座金の締結対象物に密着させる部分の外周側における上記先行塗装個所と上記締結対象物の表面塗装個所との間にリング状のパッキンを挟んだ状態で、締結対象物をボルトで締結させるボルト締結方法としてあるので、ボルトの軸力は、ボルト頭より段付座金を介して締結対象物へ、塗膜を介在させることなく伝えることができる。又、段付座金の締結対象物に接触させる側の面における締結対象物の表面に密着させる部分の外周側の部分の先行塗装個所と、締結対象物の表面塗装個所の塗膜同士の間に挟んだリング状のパッキンにより、上記段付座金の無塗装個所及び上記締結対象物の表面におけるボルト孔周辺の無塗装個所が外部に曝露される虞を解消できる。
(2)よって、締結に用いたボルトのボルト頭、及び、上記締結対象物の表面のボルト締結作業後の現場塗装作業を不要にできる。したがって、上記ボルト締結工事の現場では、塗装装置の搬入搬出作業が不要になり、上記ボルト締結作業後には足場を速やかに撤去することができて、工期の短縮化を図ることが可能となる。
(3)又、上記ボルトのボルト頭と段付座金の所定個所の塗装作業、及び、上記締結対象物の表面の所定個所の塗装作業は、すべて工場等にて先行塗装で行うことができるため、作業環境を安定させることができて、塗装品質を良好なものとすることが可能になる。
(4)ボルト首下部の外周面と段付座金の孔の内周面との間に、座金固定治具を介装させ、該座金固定治具を、上記ボルト首下部の外周面と段付座金の孔の内周面に密着させるようにして、ボルトの首下部に、段付座金を取り付けるようにすることにより、ボルト首下部への段付座金の相対的な回転変位を防止した状態での取り付けを、容易に実施することができる。
(5)ボルト頭の外面と、上記ボルト頭より外周側に露出する上記段付座金の露出部分を、先行塗装した後、上記段付座金の締結対象物に密着できる部分の外周側における先行塗装個所に、塗膜の上からリング状のパッキンを貼り付けてから、所定領域に表面塗装してある締結対象物のボルト孔に、上記段付座金を取り付けたボルトの軸部を挿通させるようにすることにより、段付座金の締結対象物に接触させる側の面にて締結対象物の表面に密着させる部分の外周側の部分の先行塗装個所と、上記締結対象物の表面の先行塗装個所の塗膜同士の間にパッキンを挟む作業を容易に且つ確実に行なうことができて、上記(1)及び(4)のボルト締結方法を実施する際の手間及び労力の削減化を図る効果が期待できる。
(6)締結対象物に接触させる側の面が中心側から所要径まで締結対象物の表面に密着でき且つその外周側は締結対象物の表面との間に隙間を形成できるようにしてなる段付座金を、該段付座金の外径よりも小さい外径の頭部を有するボルトの首下部に、該段段付座金の締結対象物に接触させる側の面とは反対側の面をボルト頭の座面に密着させた状態で座金固定治具を介して相対的に回転変位しないように取り付け、且つ上記ボルト頭の外面と上記ボルト頭より外周側に露出する上記段付座金の露出部分を塗装してなる段付座金付きのボルト、及び、上記段付座金の外径寸法と同じか又はやや小さい径のリング状のパッキンを備えてなる構成を有する締結用ボルト装置としてあるので、上記(1)のボルト締結方法を容易に実施することが可能となる。
(7)座金固定治具を、ボルト首下部の外周面と段付座金の孔の内周面との間に弾性変形させた状態で介装させて、上記ボルト首下部の外周面と、段付座金の孔の内周面に密着させるようにしてなる構成とすることにより、ボルト首下部への段付座金の相対的な回転変位を防止した状態での取り付けを、容易に実現できる。
(8)座金固定治具を、ボルト首下部の外径寸法よりも大きい内径を有し且つ段付座金の孔の内径寸法よりも大きな外径を有する環状の治具本体の周方向所要間隔個所に、上記ボルト首下部の外径寸法よりも小さい径方向位置まで内向きに突出する内周側突部と、上記段付座金の孔の内径寸法よりも大きい径方向位置まで外向きに突出する外周側突部とを交互に設けてなる構成とすることにより、座金固定治具の環状としてある治具本体が内外方向へ弾性変形されるときの復元力を利用して、ボルト首下部の外周面に内周側突部を、又、段付座金の孔の内周面に外周側突部をそれぞれ密着させることができて、ボルト首下部への段付座金の相対的な回転変位を防止した状態での取り付けを、該座金固定治具を介して容易に実現することができる。
本発明のボルト締結方法に用いる締結用ボルト装置を示すもので、(イ)は各構成部材を分離した状態を、(ロ)は各構成部材を組み立てた状態をそれぞれ示す概略切断側面図である。 図1の装置における座金固定治具の一例を拡大して示すもので、(イ)は外力が作用していない状態を示す平面図、(ロ)は高力ボルトの軸部の外周面と段付座金の孔の内周面との隙間に介装した状態を示す平面図である。 図2の座金固定治具に設けた内周側突部と外周側突部の側面形状を示すもので、(イ)は内周側突部と外周側突部の軸心方向に離反する端縁部に斜めの切り欠きを設けた場合を、(ロ)は内周側突部と外周側突部の軸心方向両端縁部に斜めの切り欠きを設けた場合をそれぞれ示す図2(イ)のA−A矢視方向から見た図である。 図1の装置の製作手順を示すもので、(イ)は高力ボルトの首下部に座金固定治具を取り付けた状態を、(ロ)は高力ボルトの首下部に座金固定治具を介して段付座金を取り付けた状態をそれぞれ示す概略切断側面図である。 図1の装置の製作手順において、図4(ロ)に示す段付座金の取付作業を、高力ボルトの軸部に対するナットの締め付け力を利用して行うようにした場合と、マスキングフィルムにより段付座金の軸心方向一端側中央部の端面とボルト軸部をマスキングした状態を示す概略切断側面図である。 図1の装置の製作手順において、図5に示す状態で、高力ボルトのボルト頭と段付座金の所定個所に塗装を行った状態を示す一部切断概略側面図である。 図1の装置を製作し、この製作された締結用ボルト装置により締結対象物のボルト締結を行うときに、締結対象となる鋼板の表面の所定個所に先行塗装を行った状態を示す概略切断側面図である。 図1の装置を用いて行うボルト締結方法の手順において、図7に続く工程を示すもので、高力ボルトの軸力により2枚の重ね合わせ鋼板を締結した状態を示す概略切断側面図である。 本発明の実施の他の形態として、本発明のボルト締結方法を鋼板の表面に露出されたボルト頭とその周りに既存の塗膜が形成されている状態の高力ボルトの取り替えに適用する場合を示すもので、(イ)は既設の高力ボルトを取り外した状態を、(ロ)は、図1の装置を製作すると共に、鋼板表面の所定領域の塗膜を除去した状態をそれぞれ示す概略切断側面図である。 本発明の実施の他の形態として、本発明のボルト締結方法を鋼板の表面に露出されたボルト頭とその周りに既存の塗膜が形成されている状態の高力ボルトの取り替えに適用する場合の別の例を示すもので、(イ)は既設の高力ボルトを取り外した状態を、(ロ)は軸心方向一端側中央部の外径寸法がボルト頭の外径より細い段付座金を用いて図1の装置を製作した状態を、それぞれ示す概略切断側面図である。 従来一般的に行われている高力ボルトによる2枚の重ね合わせ鋼板のボルト締結状態を示すもので、(イ)は締結部の該略切断側面図、(ロ)は高力ボルトのボルト頭とその周りに塗装を施した状態を示す概略切断側面図である。 ボルトの軸部に座金を予め取り付けるために従来提案されている手法を示すもので、(イ)は概略側面図、(ロ)は座金をボルトの先端側より見た図、(ハ)は(ロ)のB−B方向矢視拡大図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
図1(イ)(ロ)乃至図8は本発明のボルト締結方法及び該方法で用いる締結用ボルト装置の実施の一形態として、図11(イ)(ロ)に示したと同様の2枚の重ね合わせ鋼板1,2を締結対象とする場合の適用例を示すもので、以下のようにしてある。
すなわち、図1(イ)(ロ)乃至図3(イ)(ロ)は上記本発明のボルト締結方法で用いる締結用ボルト装置12を示すもので、締結対象物に接触させる側の面が中心側から所要径まで締結対象物の表面に密着でき且つその外周側は締結対象物の表面との間に隙間を形成できるようにしてある段付座金13として、たとえば、締結対象物に接触させる側となる軸心方向一端側の中央部14aが外周部14bより所要寸法突出する段差を備えた構成を有してなる段付座金13を、該段付座金13の外周部の径よりも小さい外径のボルト頭5bを有する高力ボルト5の首下部の軸部5aの外周に、該段付座金13の上記締結対象物に接触させる側の面とは反対側の面である軸心方向他端面15をボルト頭5bの座面(内面)に密着させて配置させ、該段付座金13を、高力ボルト5に座金固定治具16を介して相対的な回転変位を防止した状態で取り付ける。
更に、上記高力ボルト5のボルト頭5bの外面と、上記段付座金13にて上記ボルト頭5bの周りに露出する軸心方向他端面15と、該段付座金13の外周面及び上記軸心方向一端側外周部14bの表面に、塗装を施して一連の塗膜18を設ける。
更に又、上記段付座金13の軸心方向一端側外周部14bの表面側に、上記塗膜18の上からパッキン17を同心状に取り付けてなる構成とする。
詳述すると、上記段付座金13は、高力ボルト5のボルト頭5bより所要寸法大きな外径で、軸心方向に所要の厚み寸法を有し、軸心方向一端側には、中央部14aの端面より所要寸法軸心方向他端寄りに位置する外周部14bを備え、且つ軸心方向他端面15はフラットな形状としてある。
上記座金固定治具16は、図2(イ)に示す如く、所要の弾性を有する材質、たとえば、ポリプロピレン等の樹脂製として、たとえば、上記段付座金13の軸心方向寸法(厚み寸法)よりもやや小さい軸心方向寸法で、内径寸法xが上記高力ボルト5の首下部の軸部5aの外径寸法a(図1(イ)参照)よりも僅かに大きく(x>a)、外径寸法yが上記段付座金13の孔の内径寸法b(図1(イ)参照)よりも僅かに小さい(y<b)環状の治具本体16aを備え、且つ該治具本体16aの内周面の周方向所要間隔個所(図では4個所)に、上記高力ボルト5の首下部の軸部5aの外径寸法aよりもやや小さな内径寸法x1(x1<a)となる位置まで内向きに突出する内周側突部16bを設けると共に、上記治具本体16aの外周面における上記内周側突部16bとは周方向に位置をずらした周方向所要間隔個所(図では4個所)に、上記段付座金13の孔の内径寸法bよりもやや大きな外径寸法x1(x1>b)となる位置まで外向きに突出する外周側突部16cを設けた構成としてある。これにより、上記座金固定治具16を、図2(ロ)に示すように、上記高力ボルト5の首下部の軸部5aの外周面と、上記段付座金13の孔の内周面との間の隙間に押し込むようにして介装すると、上記治具本体16aにて各内周側突部16bが設けてある部分では、該各内周側突部16bが上記高力ボルト5の首下部の軸部5aの外周面に接することで、環状としてある上記治具本体16aが径方向外向きに弾性変形させられる一方、該治具本体16aにて各外周側突部16cが設けてある部分では、該各外周側突部16cが上記段付座金13の内周面に接することで、上記治具本体16aが径方向内向きに弾性変形させられるようにしてある。したがって、上記内周側及び外周側の各突部16b及び16cが設けてある周方向所定個所で内外方向に交互に弾性変形させられる上記環状の治具本体16aの復元力により、上記各内周側突部16bを上記高力ボルト5の首下部の軸部5aの外周面に強く密着させて、座金固定治具16の上記高力ボルト5に対する相対的な回転変位を防止できるようにすると共に、上記各外周側突部16cを上記段付座金13の孔の内周面に強く密着させて、座金固定治具16の上記段付座金13に対する相対的な回転変位を防止できるようにすることで、上記高力ボルト5の首下部の軸部5aに、上記段付座金13を、座金固定治具16を介して相対的な回転変位を阻止した状態で取り付けることができるようにしてある。
更に、上記座金固定治具16の各内周側突部16bと各外周側突部16cには、図3(イ)に示す如く、互いに軸心方向に離反する端縁部、たとえば、図3(イ)では内周側突部16bの下端縁部と、外周側突部16cの上端縁部に、軸心方向より所要角度傾斜した斜めの切り欠きをそれぞれ設けた構成としてある。これにより、上記座金固定治具16を高力ボルト5の軸部5aに嵌めるときには、上記内周側突部16bに切り欠きが設けてある側から嵌めるようにすることで、上記高力ボルト5の軸部5aの外周に上記座金固定治具16の各内周側突部16bをガイドできるようにしてある。更に、上記高力ボルト5の軸部5aに沿って首下部まで移動させた状態の座金固定治具16に対し、各外周側突部16cの切欠きが設けてある側より、上記段付座金13を押し当てることで、上記座金固定治具16の各外周側突部16cを、上記段付座金13の内側へガイドできるようにしてある。よって、上記高力ボルト5の首下部の軸部5aに対する上記座金固定治具16を介した段付座金13の取付作業に要する労力の軽減化を図ることができるようにしてある。
なお、図3(ロ)に示すように、上記座金固定治具16の内周側及び外周側の各突部16b,16cの軸心方向両端縁部に、軸心方向より所要角度傾斜した斜めの切り欠きをそれぞれ設けた構成としてもよい。このようにすれば、高力ボルト5の軸部5aの外周に上記座金固定治具16を嵌める際、該座金固定治具16の軸心方向の向きを考慮する必要がなくなるため、作業性をより向上させることが可能となる。
上記パッキン17は、空気及び水を通さない柔軟な材質、たとえば、シリコンゴム等のゴム製として、該パッキン17に外力が作用しない状態での厚み寸法が、上記段付座金13の軸心方向一端側外周部14bより突出する軸心方向一端側中央部14aの突出寸法よりも大きくなるようにしてある。これにより、上記パッキン17を上記段付座金13の軸心方向一端側外周部14bの表面側に同心状に配置した状態で、該段付座金13の軸心方向一端側中央部14aの端面を締結対象物となる所要の鋼板の表面に密着させると、その外周側で該所要の鋼板の表面と上記段付座金13の軸心方向一端側外周部14bとの間に形成される隙間に上記パッキン17が挟まれて圧縮され、この圧縮されたパッキン17が上記所要の鋼板の表面と上記段付座金13の軸心方向一端側外周部14bの双方に密着することで、該パッキン17の内側の空間を、止水性、気密性を保持した状態で外部より遮断することができるようにしてある。
その他、図11(イ)(ロ)に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
以上の構成としてある本発明の締結用ボルト装置を使用して、図11(イ)(ロ)に示したと同様の2枚の重ね合わせ鋼板1と2のボルト締結を行う場合は、工場等にて、先ず、図4(イ)に示すように、高力ボルト5の首下部の軸部5aの外周に、上記座金固定治具16を嵌める。
次に、上記段付座金13を、軸心方向他端面15側より上記高力ボルト5の軸部5aに遊嵌させるように配置してから、図4(ロ)に示す如く、該段付座金13を、上記高力ボルト5の首下部に取り付けてある座金固定部材16の外周に強制的に嵌めると共に、該段付座金13の軸心方向他端面15を、上記高力ボルト5のボルト頭5bに密着させるようにして、上記高力ボルト5の首下部に、上記段付座金13を、上記座金固定治具16を介して相対的な回転変位を防止した状態で取り付ける。
次いで、上記段付座金13の締結対象物に密着させる面となる軸心方向一端側中央部14aの端面と、上記ボルト5の軸部5aをマスキングする。
なお、上記図4(ロ)に示した工程で高力ボルト5の首下部に取り付けてある座金固定治具16の外周に段付座金13を嵌めて、該段付座金13の軸心方向他端面15を上記高力ボルト5のボルト頭5bに密着させる作業と、上記軸心方向一端側中央部14aの端面及びボルト軸部5aのマスキング作業を同時に且つ容易に行うことができるようにするために、たとえば、図5に示すように、上記座金固定治具16を取り付けた高力ボルト5の軸部5aに、上記段付座金13を遊嵌させるように嵌めて配置した後、該高力ボルト5の軸部5aに、図示しないボルト挿通孔を設けたマスキングフィルム19とワッシャ7を順に嵌めてからナット6を螺着させ、該ナット6を締め込むようにしてもよい。このようにすれば、上記高力ボルト5の軸部5aに締め込むナット6の締め付け力により、上記ワッシャ7及びマスキングフィルム19と一緒に上記段付座金13をボルト頭5b側へ押して、該段付座金13をボルト首下部に取り付けてある上記座金固定治具16の外周に嵌めると共に、段付座金13の軸心方向他端面15を、上記高力ボルト5のボルト頭5bへ容易に密着させることができる。更に、上記段付座金13と上記ワッシャ7との間に挟まれている上記マスキングフィルム19を、該段付座金13の軸心方向一端側中央部14aの端面に密着させてマスキングすることができると共に、上記ワッシャ7及びナット6の外へ拡がる上記マスキングフィルム19によって、上記ボルト軸部5aを包んでマスキングすることができるようになる。
上記のようにして段付座金13の軸心方向一端側中央部14aの端面、及びボルト軸部5aのマスキングを行った後は、図6に示すように、上記高力ボルト5のボルト頭5bと、上記段付座金13の軸心方向他端面15にて上記ボルト頭5bの周りに露出されている部分と、該段付座金13の外周面と、軸心方向一端側外周部14bの表面に、締結対象となる2枚の重ね合わせ鋼板1,2のうち、最終的にボルト頭5bが配される一方の鋼板1(図1(イ)参照)の表面に所望する塗装と同様の塗装を先行塗装する。これにより、上記高力ボルト5のボルト頭5bから、上記段付座金13の軸心方向他端面15の露出部分と、外周面を経て軸心方向一端側外周部14bの表面に達する一連の塗膜18が形成されるようになる。なお、上記段付座金13にて高力ボルト5の軸力が作用することとなる上記軸心方向一端側中央部14aの端面は予めマスキングしてあるため、上記塗装工程の際に、上記軸心方向一端側外周部14bより突出する軸心方向一端側中央部14aの外周面まで塗装が行われても、何ら問題はない。
その後、上記ナット6及びワッシャ7とマスキングフィルム19を撤去し、上記段付座金13の軸心方向一端側外周部14bの表面の塗膜18が硬化した後、図7に示すように、該軸心方向一端側外周部14bの表面側に、塗膜18の上から上記パッキン17を図示しないシールを介し貼り付けて、本発明の締結用ボルト装置12を製作する。上記のように、軸心方向一端側外周部14bの表面に形成された塗膜18上にパッキン17を予め貼り付けるようにすれば、後述するボルト締結作業の際に上記パッキン17を、上記段付座金13の軸心方向一端側外周部14bと、締結対象物の表面との間の所定位置に挟む作業を容易に且つ確実に行なうことができるようになるため、ボルト締結作業時の手間及び労力の削減化に有利になる。
一方、締結対象となる2枚の重ね合わせ鋼板1,2のうち、締結に用いる高力ボルト5のボルト頭5bが露出した状態で配されることとなる一方の鋼板1の表面には、図7に示すように、予め、工場等にて、該一方の鋼板1に設けてあるボルト孔3を中心として、上記段付座金13における軸心方向一端側中央部14aの外径寸法よりも大きく且つ上記パッキン17の内径寸法よりも小さい径の円形の区域を除いた全面に、先行塗装を行うようにしておく。18aは該先行塗装によって形成される塗膜を示す。
その後、上記先行塗装を施した一方の鋼板1は、図8に示すように、他方の鋼板2との締結工事現場にて、該各鋼板1,2をそれぞれのボルト孔3,4の位置を合わせて重ねて配置した状態で、上記ボルト孔3,4に、一方の鋼板1の外側から、上記本発明の締結用ボルト装置12の高力ボルト5の軸部5aを挿通させ、上記他方の鋼板2の外側に突出する上記高力ボルト5の軸部5aの先端部に、ワッシャ7を嵌めてからナット6を螺着し、通常のトルシア形高力ボルトへのナットの締め付けと同様に、所定の工具を用いて上記ナット6を上記高力ボルト5のピンテール5cが破断される所定のトルクで締め付けるようにする。これにより、上記ナット6を締め付けることで上記高力ボルト5の軸力が作用するようになると、上記段付座金13の塗装が行われていない軸心方向一端側中央部14aの端面が、上記一方の鋼板1のボルト孔3の周縁部の無塗装個所の表面に密着するようになるため、上記高力ボルト5の軸力を、ボルト頭5bとナット6より、上記段付座金13とワッシャ7を介して上記2枚の重ね合わせ鋼板1,2に両側から締付け力として作用させることができるため、この締付け力により上記2枚の重ね合わせ鋼板1,2がボルト締結されるようになる。この際、上記軸力の伝達経路には、塗膜が介在していないため、塗膜のクリープにより軸力が抜ける虞はない。
更に、上記段付座金13は、上記高力ボルト5の軸部5aに、座金固定治具16を介して相対的な回転変位が防止された状態で取り付けられているため、先行塗装された該高力ボルト5のボルト頭5bと、上記段付座金13の軸心方向他端面15の露出部、外周面、軸心方向一端側外周部14bの表面に設けた塗膜18に割れ等の破損が生じることはなく、更に、該塗膜18が設けてある上記軸心方向一端側外周部14bの表面と、上記一方の鋼板1の表面にて先行塗装による塗膜18aが形成されている部分との間には、上記パッキン17が圧縮状態で介装され、該パッキン17が上記段付座金13の軸心方向一端側外周部14bの塗膜18と、上記一方の鋼板1の塗膜18aに密着しているため、該パッキン17の内側に位置する上記段付座金13の軸心方向一端側中央部14a、及び、上記一方の鋼板1のボルト孔3の周縁部の無塗装個所は、止水性及び気密性が確保された状態で、上記パッキン17の外部と遮断されるようになることから、該無塗装個所が曝露される虞は解消される。
このように、本発明のボルト締結方法及び該方法に用いる締結用ボルト装置によれば、2枚の重ね合わせ鋼板1,2の締結に用いる高力ボルト5のボルト頭5b、及び、上記一方の鋼板1のボルト孔3周辺部を、ボルト締結作業後に現場塗装する作業を不要にできる。したがって、上記2枚の重ね合わせ鋼板1,2のボルト締結工事現場では、塗装装置の搬入搬出作業が不要になり、上記ボルト締結作業後に足場を速やかに撤去することができて、工期の短縮化を図ることが可能となる。
更に、上記高力ボルト5のボルト頭5bと段付座金13の所定個所の塗装作業、及び、上記一方の鋼板1の所定個所の塗装作業は、すべて工場等にて先行塗装で行うことができるため、作業環境を安定させることができて、塗装品質を良好なものとすることが可能になる。
次に、図9(イ)(ロ)は、本発明の実施の他の形態として、本発明のボルト締結方法及び締結用ボルト装置を、鋼板の表面に露出されたボルト頭に該鋼板の表面に設ける塗膜に連なる塗膜が既に施工されている高力ボルトを交換する場合に適用する例を示すものである。
すなわち、たとえば、図11(ロ)に示したと同様に、2枚の重ね合わせ鋼板1,2が高力ボルト5によりボルト締結され、更に、一方の鋼板1の表面と、該一方の鋼板1の表面に露出されている上記高力ボルト5のボルト頭5bに一連の塗膜8が形成されている状態から、図9(イ)に示すように、上記高力ボルト5を取り外すと、該高力ボルト5のボルト頭5bの周りで、上記既存の塗膜8が切れてしまう。
この場合は、図9(ロ)に示すように、上記図4(イ)(ロ)乃至図7に示したと同様の手順で本発明の締結用ボルト装置12を製作する一方、図9(ロ)に二点鎖線で示す如く、上記一方の鋼板1の表面に残っている既存の塗膜8について、該一方の鋼板1に設けてあるボルト孔3を中心として、上記本発明の締結用ボルト装置12における段付座金13の軸心方向一端側中央部14aの外径寸法よりも大きく且つパッキン17の内径よりも小さい径の円形の区画内の塗膜8を除去して、上記一方の鋼板1の母材表面を露出させるようにする。
なお、上記一方の鋼板1の上記ボルト孔3を中心とする所定区画内の塗膜8を除去する作業は、通常は上記一方の鋼板1の塗膜8が設けられている表面側から作業すればよいが、橋梁の下面側等、上記一方の鋼板1の表面側から作業個所に接近することが困難な場合は、上記2枚の重ね合わせ鋼板1,2のボルト孔3,4を挿通させた工具、たとえば、上記ボルト孔3,4を挿通可能なL字形やJ字形のアームの先端部にやすりを取り付けた工具等を用いて、上記一方の鋼板1の背面側となる他方の鋼板2側から上記所定区画内の塗膜8の除去作業を行うようにしてもよい。
上記のようにして一方の鋼板1のボルト孔3の周りに塗膜8が除去された所定の無塗装区画を形成した後は、図8に示したと同様に、上記2枚の重ね合わせ各鋼板1,2のボルト孔3,4に、一方の鋼板1の外側から、上記本発明の締結用ボルト装置12の高力ボルト5の軸部5aを挿通させた後、上記他方の鋼板2の外側に突出する上記高力ボルト5の軸部5aの先端部に、ワッシャ7を嵌めてからナット6を螺着し、該ナット6を所定のトルクで締め付けるようにすればよい。これにより、上記本発明の締結用ボルト装置12の段付座金13の塗装が行われていない軸心方向一端側中央部14aの端面が、上記一方の鋼板1のボルト孔3周辺の無塗装区画の表面に対して、塗膜を介在することなく密着するようになるため、上記高力ボルト5の軸力を、上記2枚の重ね合わせ鋼板1,2に両側から締付け力として作用させることができるようになる。
更に、上記本発明の締結用ボルト装置12の段付座金13の軸心方向一端側外周部14bの裏面に設けた塗膜18と、上記一方の鋼板1の表面の既存の塗膜8との間にパッキン17が介装されて、該各塗膜18,8の双方に密着するようになるため、該パッキン17の内側に位置する上記段付座金13の軸心方向一端側中央部14aと、上記一方の鋼板1のボルト孔3の周縁部に設けた無塗装個所は、止水性及び気密性が確保された状態で、上記パッキン17の外部と遮断することができて、該無塗装個所が曝露される虞を解消することができる。
次いで、図10(イ)(ロ)は、本発明の実施の更に他の形態として、図9(イ)(ロ)に示したと同様に鋼板の表面に露出されたボルト頭に既存の塗膜が施工されている高力ボルトを交換する場合に適用するときの応用例を示すもので、図10(イ)に示す如く、図9(イ)に示したと同様に、2枚の重ね合わせ鋼板1,2のうちの一方の鋼板1の表面に露出されたボルト頭5bに既存の塗膜が施工されている高力ボルト5を取り外した後、図10(ロ)に示す如く、上記図4(イ)(ロ)乃至図7に示したと同様の手順で本発明の締結用ボルト装置12を製作する際に、段付座金13として、軸心方向一端側中央部14aの外径寸法が上記高力ボルト5のボルト頭5bの外径寸法よりも所要寸法小さい段付座金13を用いて本発明の締結用ボルト装置12を製作するようにする。これにより、上記段付座金13では、軸心方向一端側中央部14aの端面を、上記一方の鋼板1の表面にて上記既設の高力ボルト5のボルト頭5bが接していたために既存の塗膜8が存在していない無塗装のボルト孔3の周縁部に密着させることができるようになる。
なお、上記段付座金13の外径寸法及び上記本発明の締結用ボルト装置12を構成するパッキン17の内径寸法は、上記高力ボルト5のボルト頭5bの外径寸法よりも所要寸法大きくなるようにして、上記既設の高力ボルト5が撤去された後に上記一方の鋼板1の表面に残る既設の塗膜8と、上記段付座金13の軸心方向一端側外周部14bの表面の塗膜18との間に上記パッキン17を挟むことができるようにしてあるものとする。
よって、その後、図8に示したと同様に、上記2枚の重ね合わせ鋼板1,2のボルト孔3,4に、一方の鋼板1の外側から、上記本発明の締結用ボルト装置12の高力ボルト5の軸部5aを挿通させた後、上記他方の鋼板2の外側に突出する上記高力ボルト5の軸部5aの先端部に、ワッシャ7を嵌めてからナット6を螺着し、該ナット6を所定のトルクで締め付けるようにすると、上記本発明の締結用ボルト装置12の段付座金13の塗装が行われていない軸心方向一端側中央部14aの端面が、上記一方の鋼板1の元々既存の塗膜8が存在していないボルト孔3の周縁部の表面に密着するようになるため、上記高力ボルト5の軸力を、塗膜を介することなく、上記2枚の重ね合わせ鋼板1,2に両側から締付け力として作用させることができるようになる。
更に、上記本発明の締結用ボルト装置12の段付座金13の軸心方向一端側外周部14bに設けた塗膜18と、上記一方の鋼板1の表面の既存の塗膜8との間にパッキン17が介装されて、該各塗膜18,8の双方に密着するようになるため、該パッキン17の内側に位置する上記段付座金13の軸心方向一端側中央部14aと、上記一方の鋼板1のボルト孔3の周縁部にて、既設の高力ボルト5を取り外す際に既存の塗膜8が切れることで形成される無塗装個所は、止水性及び気密性が確保された状態で、上記パッキン17の外部と遮断することができて、該無塗装個所が曝露される虞を解消することができる。
なお、本発明は上記各実施の形態のみに限定されるものではなく、段付座金13は、締結対象物に接触させる側の面が中心側から所要径までは締結対象物の表面に密着でき且つその外周側は締結対象物の表面との間に隙間を形成できるようにしてあれば、たとえば、締結対象物に密着できる軸心方向一端側中央部14aの外側の軸心方向一端側外周部14bを、軸心方向他端側へ向けて傾斜したテーパー形状とする等、図示した以外の形状としてもよく、更には、軸心方向他端側の形状は、締結に用いる高力ボルト5のボルト頭5bより軸力を受けられる形状であればよく、たとえば、軸心方向他端側の中央部を外周部より突出させた形状とする等、図示した以外の形状としてもよい。
座金固定治具16は、治具本体16aの周方向に設ける内周側と外周側の各突部16b,16cの設置数を適宜変更してもよい。又、段付座金13の厚み寸法以内で、高力ボルト5の首下部の外周面と、段付座金13の孔の内周面との間に弾性変形させた状態で介装することで、その復元力により上記高力ボルト5の首下部の外周面と段付座金13の孔の内周面の双方に密着して、該高力ボルト5の首下部に段付座金13を相対的な回転変位を防止した状態で取り付けることができるようにしてあれば、ポリプロピレン以外の樹脂製としてもよく、更には、弾性を有する任意の材質を用いるようにしてもよい。更に又、図2(イ)(ロ)及び図3(イ)(ロ)に示した以外の構造としてもよい。
パッキン17は、空気及び水を通さない柔軟な材質で、段付座金13の軸心方向一端側外周部14bと、締結対象物の表面との間に挟まれて圧縮されるときに、その復元力により該段付座金13の軸心方向一端側外周部14bと、締結対象物の表面の双方に密着することで、該パッキン17の内側の空間を、止水性、気密性を保持した状態で外部より遮断することができれば、任意の材質のものを用いるようにしてもよい。
段付座金13の厚み寸法や径寸法、軸心方向一端側中央部14a径寸法や軸心方向一端側外周部14bからの突出量、パッキン17の厚み寸法や径寸法、塗膜8,18,18aの厚み寸法はいずれも図示するための便宜的な寸法であり、実際に用いる高力ボルト5のサイズや、塗料の性状等に応じて適宜変更してよい。
高力ボルト5のボルト頭5bと段付座金13の所定個所の塗装を行う際に、該段付座金13の締結対象物に密着させる面となる軸心方向一端側中央部14aの端面及びボルト軸部5aをマスキングできれば、ボルト軸部5aに螺着させるナット6により上記段付座金13の軸心方向一端側中央部14aにマスキングフィルム19を密着させる手法以外のいかなる手法でマスキングを行うようにしてもよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
1 一方の鋼板(締結対象物)
3 ボルト孔
5 ボルト
5a 軸部
5b ボルト頭
6 ナット
8 塗膜
13 段付座金
14a 軸心方向一端側中央部
14b 軸心方向一端側外周部
15 軸心方向他端面
16 座金固定治具
16a 治具本体
16b 内周側突部
16c 外周側突部
17 パッキン
18,18a 塗膜

Claims (6)

  1. ボルトの首下部に、締結対象物に接触させる側の面が中心側から所要径まで締結対象物の表面に密着でき且つその外周側は締結対象物の表面との間に隙間を形成できるようにしてなる段付座金を、該段付座金の上記締結対象物に接触させる側の面とは反対側の面をボルト頭の座面に密着させて座金固定治具を介して相対的に回転変位しないように取り付け、次に、上記ボルト頭の外面と、上記ボルト頭より外周側に露出する上記段付座金の露出部分を、ボルト締結前に先行塗装し、しかる後、締結対象物のボルト孔を中心として上記段付座金の外径寸法よりも小さく且つ上記段付座金の締結対象物に密着できる部分の外径よりも大きい径寸法の円形区域を除いた領域に表面塗装してある締結対象物のボルト孔に、上記段付座金を取り付けたボルトの軸部を挿通させて、上記段付座金の締結対象物に密着できる部分を上記締結対象物の表面に密着させると共に、上記段付座金の締結対象物に密着させる部分の外周側における上記先行塗装個所と上記締結対象物の表面塗装個所との間にリング状のパッキンを挟んだ状態で、締結対象物をボルトで締結させることを特徴とするボルト締結方法。
  2. ボルト首下部の外周面と段付座金の孔の内周面との間に、座金固定治具を介装させ、該座金固定治具を、上記ボルト首下部の外周面と段付座金の孔の内周面に密着させるようにして、ボルトの首下部に、段付座金を取り付けるようにする請求項1記載のボルト締結方法。
  3. ボルト頭の外面と、上記ボルト頭より外周側に露出する上記段付座金の露出部分を、先行塗装した後、上記段付座金の締結対象物に密着できる部分の外周側における先行塗装個所に、塗膜の上からリング状のパッキンを貼り付けてから、所定領域に表面塗装してある締結対象物のボルト孔に、上記段付座金を取り付けたボルトの軸部を挿通させるようにする請求項1又は2記載のボルト締結方法。
  4. 締結対象物に接触させる側の面が中心側から所要径まで締結対象物の表面に密着でき且つその外周側は締結対象物の表面との間に隙間を形成できるようにしてなる段付座金を、該段付座金の外径よりも小さい外径の頭部を有するボルトの首下部に、該段段付座金の締結対象物に接触させる側の面とは反対側の面をボルト頭の座面に密着させた状態で座金固定治具を介して相対的に回転変位しないように取り付け、且つ上記ボルト頭の外面と上記ボルト頭より外周側に露出する上記段付座金の露出部分を塗装してなる段付座金付きのボルト、及び、上記段付座金の外径寸法と同じか又はやや小さい径のリング状のパッキンを備えてなる構成を有することを特徴とする締結用ボルト装置。
  5. 座金固定治具を、ボルト首下部の外周面と段付座金の孔の内周面との間に弾性変形させた状態で介装させて、上記ボルト首下部の外周面と、段付座金の孔の内周面に密着させるようにしてなる請求項4記載の締結用ボルト装置。
  6. 座金固定治具を、ボルト首下部の外径寸法よりも大きい内径を有し且つ段付座金の孔の内径寸法よりも大きな外径を有する環状の治具本体の周方向所要間隔個所に、上記ボルト首下部の外径寸法よりも小さい径方向位置まで内向きに突出する内周側突部と、上記段付座金の孔の内径寸法よりも大きい径方向位置まで外向きに突出する外周側突部とを交互に設けてなる構成とした請求項5記載の締結用ボルト装置。
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