以下、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態におけるパネルは表示画面サイズが103インチであり、パネルの大きさは、長辺の長さが約2.3m、短辺の長さが約1.3mである。
図1は、本発明の実施の形態1におけるパネル10の構造を示す分解斜視図である。ガラス製の前面基板21上には、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対28が複数形成されている。そして走査電極22と維持電極23とを覆うように誘電体層24が形成され、その誘電体層24上に保護層25が形成されている。背面基板31上にはデータ電極32が複数形成され、データ電極32を覆うように誘電体層33が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁34が形成されている。そして、隔壁34の側面および誘電体層33上には赤色、緑色および青色の各色に発光する蛍光体層35が設けられている。
これら前面基板21と背面基板31とは、微小な放電空間を挟んで表示電極対28とデータ電極32とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着されている。そして放電空間には、例えばネオンとキセノンの混合ガスが放電ガスとして封入されている。放電空間は隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極対28とデータ電極32とが交差する部分に放電セルが形成されている。そしてこれらの放電セルが放電、発光することにより画像が表示される。
なお、パネル10の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。
図2は、本発明の実施の形態1におけるパネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向に長いn本(本実施の形態においてはn=1080)の走査電極SC1〜SCn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SU1〜SUn(図1の維持電極23)が配列され、列方向に長いm本(本実施の形態においてはm=5760)のデータ電極D1〜Dm(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUiと1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。なお、図1、図2に示したように、走査電極SCiと維持電極SUiとは互いに平行に対をなして形成されているために、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとの間に大きな電極間容量Cpが存在する。
図3は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置1の回路ブロック図である。プラズマディスプレイ装置1は、パネル10、画像信号処理回路51、データ電極駆動回路52、走査電極駆動回路53、維持電極駆動回路54、タイミング発生回路55および各回路ブロックに必要な電源を供給する電源回路(図示せず)を備えている。
画像信号処理回路51は、入力された画像信号sigをサブフィールド毎の発光・非発光を示す画像データに変換する。データ電極駆動回路52はサブフィールド毎の画像データを各データ電極D1〜Dmに対応する信号に変換し各データ電極D1〜Dmを駆動する。タイミング発生回路55は水平同期信号H、垂直同期信号Vをもとにして各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、それぞれの回路ブロックへ供給する。走査電極駆動回路53は、維持期間において維持パルスを発生するための維持パルス発生部100、初期化期間において傾斜波形電圧を発生させるための初期化波形発生部300、書込み期間において走査パルスを発生させる走査パルス発生部400を有し、タイミング信号にもとづいて各走査電極SC1〜SCnをそれぞれ駆動する。維持電極駆動回路54は、維持期間において維持パルスを発生するための維持パルス発生部200を有し、タイミング信号にもとづいて維持電極SU1〜SUnを駆動する。
図4は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置1の走査電極駆動回路53の詳細を示す回路図である。維持パルス発生部100は、電力回収部110とクランプ部120とを備えている。電力回収部110は、電力回収用のコンデンサC100、スイッチング素子Q111、Q112、逆流防止用のダイオードD101、D102、共振用のインダクタL100を有している。なお、電力回収用のコンデンサC100は電極間容量Cpに比べて十分に大きい容量を持ち、電力回収部110の電源として働くように、後述する電圧値Vsの半分の約Vs/2に充電されている。クランプ部120は、スイッチング素子Q121、Q122を有している。さらに電圧源Vsのインピーダンスを下げるための平滑コンデンサC150を備えている。初期化波形発生部300は、スイッチング素子Q311とコンデンサC310と抵抗R310とを有するミラー積分回路、スイッチング素子Q322とコンデンサC320と抵抗R320とを有するミラー積分回路、スイッチング素子Q312を用いた分離回路およびスイッチング素子Q321を用いた分離回路を備える。走査パルス発生部400は、走査電極SC1〜SCnのそれぞれに走査パルス電圧を出力するスイッチ部OUT1〜OUTnと、スイッチ部OUT1〜OUTnの低電圧側を電圧Vaにクランプするためのスイッチング素子Q401とを備えている。そしてスイッチ部OUT1〜OUTnのそれぞれは、電圧Vcを出力するためのスイッチング素子QH1〜QHnと電圧Vaを出力するためのスイッチング素子QL1〜QLnとを有している。
ここで、スイッチング素子Q121、Q122、Q312、Q321には非常に大きな電流が流れるために、これらのスイッチング素子にはFET、IGBT等を複数並列接続してインピーダンスを低下させている。
図5は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置1の維持電極駆動回路54の詳細を示す回路図である。維持パルス発生部200は維持パルス発生部100と同様の構成である。すなわち、電力回収用のコンデンサC200、スイッチング素子Q211、Q212、逆流防止用のダイオードD201、D202、共振用のインダクタL200を有する電力回収部210と、スイッチング素子Q221、Q222、平滑コンデンサC250を有するクランプ部220とを備え、パネル10の維持電極SU1〜SUnに接続されている。また、図5には、電圧Ve1を維持電極SU1〜SUnに印加するためのスイッチング素子Q231、Q232と逆流防止用のダイオードD231と、電圧Ve1に電圧ΔVeを積み上げた電圧Ve2を維持電極SU1〜SUnに印加するためのスイッチング素子Q241、Q242およびコンデンサC241もあわせて示している。
ここでも、スイッチング素子Q221、Q222には非常に大きな電流が流れるために、これらのスイッチング素子にはFET、IGBT等を複数並列接続してインピーダンスを低下させている。
次に、パネルを駆動するための駆動電圧波形とその動作について説明する。パネルを駆動する方法としてはサブフィールド法を用いている。これは、1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割し、それぞれのサブフィールドで各放電セルの発光・非発光を制御することにより階調表示を行う方法である。そして、サブフィールドのそれぞれは、初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。初期化期間では放電セルで初期化放電を行い、続く書込み動作のために必要な壁電荷を形成する。書込み期間では、走査電極に順次走査パルスを印加するとともにデータ電極には表示すべき画像信号に対応した書込みパルスを印加して書込み放電を行い、選択的な壁電荷形成を行う。続く維持期間では発光させるべき表示輝度に応じた所定の回数の維持パルスを走査電極と維持電極との間に印加し、書込み放電による壁電荷形成を行った放電セルを選択的に放電、発光させる。
以下に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形の詳細とその動作について説明する。図6は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置の駆動電圧波形図である。図6には、第1のサブフィールドと第2のサブフィールドとの駆動電圧波形を示している。
第1のサブフィールドの初期化期間前半部では、データ電極D1〜Dm、維持電極SU1〜SUnにそれぞれ0(V)を印加し、走査電極SC1〜SCnには、維持電極SU1〜SUnに対して放電開始電圧以下の電圧Vi1から、放電開始電圧を超える電圧Vi2に向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧を印加する。この傾斜波形電圧は、図4においてスイッチング素子Q311とコンデンサC310と抵抗R310で構成されるミラー積分回路をオンすることで発生させる。そしてスイッチング素子Q321、QL1を介して走査電極SC1に印加され、スイッチング素子Q321、QL2を介して走査電極SC2に印加され、以下同様に、スイッチング素子Q321、QLnを介して走査電極SCnに印加される。この傾斜波形電圧が上昇する間に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上部に負の壁電圧が蓄積されるとともに、データ電極D1〜Dm上部および維持電極SU1〜SUn上部には正の壁電圧が蓄積される。ここで、電極上部の壁電圧とは電極を覆う誘電体層上、保護層上、蛍光体層上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
初期化期間後半部では、維持電極SU1〜SUnにスイッチング素子Q231、Q232を介して正の電圧Ve1を印加する。なお、このときスイッチング素子Q242をオンし、コンデンサC241の電圧が電圧Ve1になるように充電しておく。走査電極SC1〜SCnには、維持電極SU1〜SUnに対して放電開始電圧以下となる電圧Vi3から放電開始電圧を超える電圧Vi4に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧を印加する。この傾斜波形電圧は、図4においてスイッチング素子Q322とコンデンサC320と抵抗R320で構成されるミラー積分回路をオンすることで発生させる。そしてスイッチング素子Q321およびスイッチング素子QL1〜QLnを介して走査電極SC1〜SCnに印加される。この間に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上部の負の壁電圧および維持電極SU1〜SUn上部の正の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜Dm上部の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整される。
以上により、初期化動作が終了する。なお、初期化期間の駆動電圧波形としては、図6の第2のサブフィールドの初期化期間に示したように、初期化期間後半部の電圧波形だけを印加してもよく、この場合には直前のサブフィールドの維持期間において維持放電を行った放電セルで選択的に初期化放電が発生する。
続く書込み期間では、スイッチング素子Q401をオンにし、スイッチング素子QH1〜QHnをオンにすることにより、走査電極SC1〜SCnに電圧Vcを印加する。そしてスイッチング素子Q242をオフにし、スイッチング素子Q231、Q232、Q241をオンにして、維持電極SU1〜SUnに電圧Ve1+ΔVe、すなわち電圧Ve2を印加する。次に、スイッチング素子QH1をオフにしスイッチング素子QL1をオンにすることにより、1行目の走査電極SC1に負の走査パルス電圧Vaを印加する。そして、データ電極D1〜Dmのうち1行目に発光させるべき放電セルのデータ電極Dk(k=1〜m)に正の書込みパルス電圧Vdを印加する。するとデータ電極Dk上と走査電極SC1上との交差部の電圧差は、外部印加電圧の差(Vd−Va)にデータ電極Dk上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧との差が加算されたものとなり放電開始電圧を超える。そして、データ電極Dkと走査電極SC1との間および維持電極SU1と走査電極SC1との間に書込み放電が起こり、走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。このようにして、1行目に発光させるべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。一方、書込みパルス電圧Vdを印加しなかったデータ電極D1〜Dmと走査電極SC1との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。以上の書込み動作をn行目の放電セルにいたるまで行い、書込み期間が終了する。
維持期間では、スイッチング素子Q212をオンにする。すると維持電極SU1〜SUn側の電荷はインダクタL200、ダイオードD202、スイッチング素子Q212を通してコンデンサC200に流れ始め、維持電極SU1〜SUnの電圧が下がり始める。そして、維持電極SU1〜SUnの電圧が0(V)付近まで低下したときスイッチング素子Q222をオンにする。すると維持電極SU1〜SUnはスイッチング素子Q222を通して0(V)にクランプされる。
さらに、スイッチング素子Q111をオンにする。すると電力回収用のコンデンサC100からスイッチング素子Q111、ダイオードD101、インダクタL100、スイッチング素子Q312、Q321およびスイッチング素子QL1〜QLnを介して電流が流れ始め、走査電極SC1〜SCnの電圧が上がり始める。そして、走査電極SC1〜SCnの電圧がVs付近まで上昇したときスイッチング素子Q121をオンにする。すると走査電極SC1〜SCnはスイッチング素子Q121、スイッチング素子Q312、Q321およびスイッチング素子QL1〜QLnを通して平滑コンデンサC150の電圧Vsにクランプされる。
このようにして、維持電極SU1〜SUnに0(V)を印加するとともに走査電極SC1〜SCnに正の維持パルス電圧Vsを印加する。すると書込み放電を起こした放電セルでは、走査電極SCi上と維持電極SUi上との電圧差が維持パルス電圧Vsに走査電極SCi上の壁電圧と維持電極SUi上の壁電圧との差が加算されたものとなり放電開始電圧を超える。そして、走査電極SCiと維持電極SUiとの間に維持放電が起こり、このとき発生した紫外線により蛍光体層35が発光する。
そしてこの放電により、走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。さらにデータ電極Dk上にも正の壁電圧が蓄積される。書込み期間において書込み放電が起きなかった放電セルでは維持放電は発生せず、初期化期間の終了時における壁電圧が保たれる。
続いて、詳細は省略するが、走査電極SC1〜SCnには0(V)を、維持電極SU1〜SUnには維持パルス電圧Vsをそれぞれ印加する。すると、維持放電を起こした放電セルでは、維持電極SUi上と走査電極SCi上との電圧差が放電開始電圧を超えるので再び維持電極SUiと走査電極SCiとの間に維持放電が起こり、維持電極SUi上に負の壁電圧が蓄積され走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。
以降同様に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとに交互に輝度重みに応じた数の維持パルスを印加し、表示電極対の電極間に電位差を与えることにより、書込み期間において書込み放電を起こした放電セルで維持放電が継続して行われる。
そして、維持期間の最後には、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとの間にいわゆる細幅パルス状の電位差を与えて、データ電極Dk上の正の壁電圧を残したまま、走査電極SCiおよび維持電極SUi上の壁電圧を消去している。こうして維持期間における維持動作が終了する。
なお、上述した維持放電に伴い、放電を起こした放電セルの数に応じた放電電流が流れる。例えばすべての放電セルで放電が発生したとすると、瞬間的に100Aを超える非常に大きな電流が流れる。しかしながら本実施の形態においては、詳細は後述するが、平滑コンデンサC150から各走査電極SCiにいたる電流経路のインピーダンスが非常に小さくなるように駆動回路の配置を工夫しているため、大きな電圧降下を発生させることなく所望の維持パルスを表示電極対に印加することができる。
続くサブフィールドの動作は第1サブフィールドの動作とほぼ同様であるため説明を省略する。
なお、本実施の形態において各電極に印加する電圧値は、例えば、電圧Vi1=電圧Vi3=電圧Vs=200(V)、電圧Vi2=440(V)、電圧Vi4=−80(V)、電圧Va=−85(V)、電圧Ve1=150(V)、電圧Ve2=155(V)である。ただしこれらの電圧値は、単に一例を挙げたに過ぎず、パネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等に合わせて、適宜最適な値に設定することが望ましい。
図7は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置1の構造を示す分解斜視図である。プラズマディスプレイ装置1は、パネル10と、パネル10を保持するシャーシ80と、パネル10で発生した熱をシャーシ80に伝達するとともに、パネル10とシャーシ80とを接着するための熱伝導シート82と、電源回路、走査電極駆動回路、維持電極駆動回路、タイミング発生回路等、パネル10を駆動するための回路ブロック84と、これらを収納する前面枠86およびバックカバー88とを備える。
なお、上述したように103インチのパネルでは短辺の長さがほぼ1.3mであるが、通常使用できるプリント基板の大きさは大きくとも一辺が50cm程度であるため、複数枚のプリント基板を用いて走査電極駆動回路53、維持電極駆動回路54を構成している。
図7には、回路ブロック84のうち、走査電極駆動回路53を搭載した4枚のプリント基板531〜534と、これら4枚のプリント基板531〜534を電気的に接続する導電板900と、導電板900を絶縁するための絶縁シート910、912を示している。
図8は、本発明の実施の形態1における各電極駆動回路を搭載したプリント基板の配置を示す図であり、プラズマディスプレイ装置1のバックカバー88を外した状態で、各電極駆動回路を搭載したプリント基板とその配置を模式的に示す図である。図8には、シャーシ80、データ電極駆動回路52を搭載した12枚のプリント基板521と32枚のフレキシブル基板(以下、「FPC」と略記する)529、走査電極駆動回路53を搭載した4枚のプリント基板531〜534、維持電極駆動回路54を搭載した3枚のプリント基板541〜543を示している。さらに走査電極駆動回路53の出力電圧を走査電極SC1〜SCnのそれぞれに印加するためのFPC539、維持電極駆動回路54の出力電圧を維持電極SU1〜SUnに印加するためのFPC549も示している。ここで、走査電極駆動回路53を搭載した4枚のプリント基板は、走査電極に駆動電圧を供給するための3枚の電圧供給用プリント基板532〜534と、電圧供給用プリント基板532〜534のそれぞれに供給する維持パルスを発生させる維持パルス発生用プリント基板531である。
また、維持パルス発生用プリント基板531および電圧供給用プリント基板532〜534とシャーシ80との間に、絶縁シート910、912で覆われた導電板900を設けているが、図8には絶縁シート912のみを示している。
図9は、本発明の実施の形態1における維持パルス発生用プリント基板531および電圧供給用プリント基板532〜534に搭載されている走査電極駆動回路の回路図であり、図10は本発明の実施の形態1における維持パルス発生用プリント基板531、電圧供給用プリント基板532〜534および導電板900の配置を示す分解斜視図である。
維持パルス発生用プリント基板531には維持パルス発生部100および初期化波形発生部300が搭載されている。電圧供給用プリント基板532には走査パルス発生部400の走査電極SC1〜SC360に対応する部分が搭載され、電圧供給用プリント基板533には走査パルス発生部400の走査電極SC361〜SC720に対応する部分が搭載され、電圧供給用プリント基板534には走査パルス発生部400の走査電極SC721〜SC1080に対応する部分が搭載されている。
導電板900は、本実施の形態においては厚さ1mmのアルミ板で形成され、維持パルス発生用プリント基板531および電圧供給用プリント基板532〜534のそれぞれと対向する面を有する大きさの形状に形成され、シャーシ80と4枚のプリント基板531〜534との間に配置されている。さらにシャーシ80と導電板900との間には導電板900とほぼ同一の形状をした絶縁シート910が配置され、導電板900とプリント基板531〜534との間にも絶縁シート912が配置されている。絶縁シート910、912は絶縁耐圧を保証でき、ある程度の耐熱性を持つ材料であれば使用することができる。このような材料としては、例えば、変性PPE(ポリフェニレンエーテル)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS樹脂、ポリイミド等がある。本実施の形態においては、厚さ0.3〜0.5mmの変性PPEシートを絶縁シート910、912として用いている。
維持パルス発生用プリント基板531および電圧供給用プリント基板532〜534のそれぞれは絶縁シート912を挟んで導電板900にビスを用いて固定されている。ここで維持パルス発生用プリント基板531は、導電板900の電圧がプリント基板531の出力であるP1点の電圧と等しくなるように、プリント基板531の出力の配線部分で金属製のビス631を用いて導電板900に固定されている。また、電圧供給用プリント基板532は維持パルス発生用プリント基板531の出力電圧を基準電圧として走査パルスを発生するが、この基準電圧であるP2点の電圧の配線部分で金属製のビス632を用いて導電板900に固定されている。電圧供給用プリント基板533、534についても同様に、それぞれの電圧供給用プリント基板533、534の基準電圧であるP3点、P4点の電圧の配線部分でそれぞれ金属製のビス633、634を用いて導電板900に固定されている。なお、絶縁シート912のビス固定に対応する位置には導通を妨げないように貫通孔が設けられている。
このようにして導電板900は維持パルス発生用プリント基板531および電圧供給用プリント基板532〜534を固定するための補助シャーシとして働くだけでなく、維持パルス発生用プリント基板から電圧供給用プリント基板へ維持パルスを供給する供給経路としても作用する。そしてインピーダンスの低い導電板900を用いて維持パルスを供給することにより、3枚の電圧供給用プリント基板532〜534へ大きなリンギングや電圧降下を生じることなく、かつ3枚の電圧供給用プリント基板532〜534間で大きなバラツキが生じることなく駆動電圧波形を供給することができる。その結果、表示画面サイズの大きいパネルを用い、走査電極駆動回路を複数のプリント基板に分割して搭載した場合であっても、輝度むら、色むら等の少ない画像表示装置を実現することができる。
なお、本実施の形態における走査電極駆動回路53は維持パルス発生用プリント基板531および電圧供給用プリント基板532〜534を用いて構成するものとして説明したが、維持パルス発生用プリント基板531と電圧供給用プリント基板533とを接続して1枚のプリント基板で構成してもよい。
また、本実施の形態においては、維持パルス発生用プリント基板から電圧供給用プリント基板へ導電板だけを通して維持パルスを供給する構成について説明した。しかし、維持パルス発生用プリント基板と電圧供給用プリント基板とを電気的に接続するカプラ等を用いて、導電板の供給経路に加えてカプラ等を通して維持パルスを供給する構成としてもよい。
(実施の形態2)
図11は、本発明の実施の形態2における各電極駆動回路を搭載したプリント基板の配置を示す図であり、図12は本発明の実施の形態2における維持パルス発生用プリント基板741、電圧供給用プリント基板742〜744および導電板950の配置を示す分解斜視図である。
実施の形態1と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。本実施の形態が実施の形態1と異なるのは、維持電極駆動回路54を維持パルス発生用プリント基板741および電圧供給用プリント基板742〜744に分割し、それら4枚のプリント基板741〜744と対向するように、シャーシ80とプリント基板741〜744との間に絶縁シート960、962で覆われた導電板950を設けた点である。
維持パルス発生用プリント基板741には維持パルス発生部200が搭載されている。電圧供給用プリント基板742〜744には能動部品は特に搭載されていないが、維持電極に接続するFPC549が設けられている。
導電板950は、実施の形態1と同様に厚さ1mmのアルミ板で形成され、維持パルス発生用プリント基板741および電圧供給用プリント基板742〜744のそれぞれと対向する面を有する形状に形成され、シャーシ80と4枚のプリント基板741〜744との間に配置されている。さらにシャーシ80と導電板950との間には導電板950とほぼ同一の形状をした絶縁シート960が配置され、導電板950とプリント基板741〜744との間にも絶縁シート962が配置されている。
維持パルス発生用プリント基板741および電圧供給用プリント基板742〜744のそれぞれは絶縁シート962を挟んで導電板950にビスを用いて固定されている。もちろん絶縁シート962のビス固定に対応する位置には導通を妨げないように貫通孔を設けている。維持パルス発生用プリント基板741は、導電板950の電圧が維持パルス発生用プリント基板741の出力電圧と等しくなるように、出力の配線部分で金属製のビス841を用いて導電板950に固定されている。また、電圧供給用プリント基板742はFPC549が接続された配線部分で金属製のビス842を用いて導電板950に固定されている。電圧供給用プリント基板743、744についても同様に、FPC549が接続された配線部分でそれぞれ金属製のビス843、844を用いて導電板950に固定されている。
このようにして導電板900は維持パルス発生用プリント基板741および電圧供給用プリント基板742〜744を固定するための補助シャーシとして働くだけでなく、維持パルス発生用プリント基板から電圧供給用プリント基板へ維持パルスを供給する供給経路としても作用する。そしてインピーダンスの低い導電板950を用いて維持パルスを供給することにより、大きなリンギングや電圧降下を生じることなく、かつ3枚の電圧供給用プリント基板742〜744間で大きなバラツキが生じることなく、3枚の電圧供給用プリント基板742〜744へ駆動電圧波形を供給することができる。その結果、表示画面サイズの大きいパネルを用い、走査電極駆動回路を複数のプリント基板に分割して搭載した場合であっても、輝度むら、色むら等の少ない画像表示装置を実現することができる。
なお、本実施の形態における維持電極駆動回路54は4枚のプリント基板741〜744を用いて構成するものとして説明したが、維持パルス発生用プリント基板741と電圧供給用プリント基板743とを接続して1枚のプリント基板で構成してもよい。
また、本実施の形態においては、維持パルス発生用プリント基板から電圧供給用プリント基板へ導電板だけを通して維持パルスを供給する構成について説明した。しかし、維持パルス発生用プリント基板と電圧供給用プリント基板とを電気的に接続するカプラ等を用いて、導電板の供給経路に加えてカプラ等を通して維持パルスを供給する構成としてもよい。