JP5129588B2 - 吸気ダクトおよびガスタービン - Google Patents
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Description
本発明の吸気ダクトは、圧縮機の回転軸線に対して交差する方向に開口する吸込み口を有する吸気室と、前記回転軸線を覆って二重管状に配置された略円筒状の内側ケーシングおよび外側ケーシングの間に形成され、前記吸気室から空気を前記圧縮機に導く流入路と、前記内側ケーシングから前記回転軸線に対して径方向に沿って延び、前記外側ケーシングを支持する複数のストラットと、が設けられ、前記流入路の入口を形成する、前記外側ケーシングにおける空気の流れに対する上流側の端部から、前記ストラットにおける空気の流れに対する上流側の端部までの距離である助走距離は、前記ストラットにおける空気の流れに対する上流側の端部から下流側の端部までの長さの約0.6倍の距離よりも長いことを特徴とする。
さらに、空気流れの整流化が図られるため、ストラットにおける圧力損失の低下が抑制される。つまり、ストラットのポテンシャルが吸気室に及んで吸気室の出口における流れの乱れを防止し、ストラットに流入する流れが整えられるため、言い換えると、ストラットに対する空気流れの流入角度が小さくなるため、ストラットにおける圧力損失の低下が抑制される。
さらに、空気が、吸気室から流入路に流入する際の流れの乱れ発生が防止される。
なお、ストラットが設けられた位置における空気の流速は、上述のように約マッハ0.4よりも遅くてもよいし、より好ましくは約マッハ0.35よりも遅く、さらに好ましくは約マッハ0.32よりも遅いことが望ましい。
以下、本発明の第1の実施形態に係るガスタービンについて図1から図6を参照して説明する。
図1は、本実施形態におけるガスタービンの構成を説明する概略断面図である。
本実施形態のガスタービン1は、図1に示すように、側方から空気を吸入するいわゆる片吸込み式のガスタービンである。言い換えると、ガスタービン1の回転軸線RLに対して略直交する方向から空気が流入するガスタービンである。
吸気ダクト2は、図2に示すように、ガスタービン1の回転軸線RLに対して側方から吸入した外部の空気を圧縮機3に導くものであって、圧縮機3に流入する空気流れを整流化するものである。
吸気ダクト2には、外部から空気が流入する吸気室11と、流入路13に流入する空気を整流化するベルマウス12と、吸気室11に流入した空気を圧縮機3に導く流入路13と、圧縮機3に流入する空気を整流化するストラット14と、が設けられている。
吸気室11には、回転軸線RLに対して側方に開口した吸込み口15が設けられている。吸込み口15は、外部から吸気室11に空気が流入する開口である。本実施形態では、吸込み口15が上方(図2の上側)に開口している場合に適用して説明する。
前壁面22は、吸気室11に対して前方(図2の左側)に配置された壁面であって、吸込み口15から離れる方向に向かって、圧縮機3に接近する傾斜を有している。
このようにベルマウス12を設けることにより、吸気室11から流入路13に空気が流入する際の空気流れの乱れを防止し、空気流れの整流化を図ることができる。
外側ケーシング24は、回転軸6の周囲に配置された円筒状の壁面であって、圧縮機3に向かって回転軸6に接近する傾斜を有する壁面である。さらに、外側ケーシング24は、ベルマウス12の内周面と滑らかに接続されている。
ストラット14は、図2に示すように、圧縮機3に流入する空気流れを整流化するとともに、外側ケーシング24を支持するものである。ストラット14は、流入路13における圧縮機3側端部の近傍に配置され、流入路13を横切って回転軸線RLを中心とした径方向に延び、内側ケーシング23と外側ケーシング24とに接続された部材である。さらに、図3に示すように、回転軸線RLを中心とした周方向に等間隔に複数のストラット14が設けられている。
圧縮機3には、回転軸6により回転駆動される複数の動翼31と、固定配置された複数の静翼32と、が設けられている。
なお、圧縮機3としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
なお、燃焼器4としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
タービン5には、回転軸6を回転駆動する複数の動翼51と、固定配置された複数の静翼52と、が設けられている。
なお、タービン5としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
まず、ガスタービン1の基本的な動作について説明し、その後に、本実施形態の特徴である吸気ダクト2における空気流れについて説明する。
排気ガスは、複数の静翼52と複数の動翼51との間を通過する際に、複数の動翼51を回転駆動し、その後、外部に排気される。
複数の動翼51の回転駆動力は回転軸6に伝達され、回転軸6は圧縮機3の動翼31を回転駆動するとともに、外部の被駆動機器(図示せず)に得られた回転駆動力を供給する。
まず、空気は、図1および図2に示すように、上方に開口した吸込み口15から吸気室11に流入し、吸気室11内を上方から下方に向かって流れる。
空気は流入路13内をストラット14に向かって流れる間に、空気の流速に含まれる回転軸線RLを中心とする周方向の流速成分が小さくなる。言い換えると、空気の流速は、回転軸線RLに沿う方向の流速成分が大半を占める流速になる。
このように、ストラット14に流入する空気流れが整流化されることにより、ストラット14におけるプロファイル損失の低減が図られ、圧縮機3に流入する空気流れの周方向の歪み(インレットディストーション)の低減が図られる。
図4では、従来の吸気ダクトにおける全圧損失(図4の左側の棒グラフ)に対する本実施形態の吸気ダクト2における全圧損失(図4の右側の棒グラフ)の割合を示している。
両棒グラフにおける下部(右下がりのハッチング部分)は、吸気室11の入口(吸込み口15)からストラット14の入口(前縁)までの全圧損失を示し、上部(右上がりのハッチング部分)は、ストラット14の入口(前縁)からストラット14の出口(後縁)までの全圧損失を示している。
図5では、従来の吸気ダクトのストラットにおけるスパン方向の全圧損失(図5中の◆で表されるグラフ)と、本実施形態の吸気ダクト2のストラットにおけるスパン方向の全圧損失(図5中の○で表されるグラフ)とが示されている。両グラフは、それぞれ複数のストラット14における全圧損失の平均値が示されている。
図5における縦軸は、ストラット14におけるハブ側、つまり径方向内側の端部を0%とし、チップ側、つまり径方向外側の端部を100%として表示するものである。
言い換えると、ストラット14へ流入する空気の流速に含まれる周方向成分が小さくなり、ストラット14への空気の流入角度が小さくなったため、ストラット14の前縁からストラット14の後縁までの全圧損失が低減されていることを示している。
本実施形態の吸気ダクト2では、助走距離EDをとることにより、空気流れにおける周方向成分の割合を全体的に、特にチップ側の領域で減らしているため、ストラット14の前縁からストラット14の後縁までの全圧損失が低減されている。
図6では、本実施形態の流入路13に対するストラット14の配置位置を変更した場合における全圧損失の変化が示されている。
より具体的には、流入路13の入口つまりベルマウス12の突端からストラット14の前縁までの距離、つまり助走距離を変更した場合における全圧損失の変化が示されている。なお、図6の横軸は助走距離を表すものであり、ストラット14のコード長CLを基準とした百分率(%)で示されている。
助走距離が約60%にまで達すると全圧損失の減少が止まり、以後、助走距離をより長くしても全圧損失の値に変化は生じない。
さらに、空気が、吸気室11から流入路13に流入する際の流れの乱れ発生を防止することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について図7および図8を参照して説明する。
本実施形態のガスタービンの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、吸気ダクトの構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図7および図8を用いて吸気ダクトの構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図7は、本実施形態のガスタービンにおける吸気ダクトの構成を説明する図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
言い換えると、吸気ダクト102内における空気の流速分布が、第1の実施形態の吸気ダクト2と異なっている。
吸気ダクト102の吸込み口15(P0)における空気の流速は約マッハ0.04であり、ベルマウス12の突出端12A(P1)では約マッハ0.13となる。流入路13に流入した空気は圧縮機3に向かうにつれて流速が速くなり、外側ケーシング24の上流端近傍(P2)では約マッハ0.17、外側ケーシング24の中央付近(P3)では約マッハ0.23、ストラット14の前縁近傍(P4)では約マッハ0.29、ストラット14の中央付近(P5)では約マッハ0.32、圧縮機3の入口近傍(P6)では約マッハ0.39となる。
図8における横軸は、ストラット14の中央付近における空気流れのマッハ数を示し、縦軸はストラット14における全圧損失を示している。
図8に示すように、ストラット14の中央付近におけるマッハ数が約0.4より大きくなると、ストラット14における全圧損失が急激に大きくなる。
次に、本発明の第3の実施形態について図9から図11を参照して説明する。
本実施形態のガスタービンの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、吸気ダクトが異なっている。よって、本実施形態においては、図9から図11を用いて吸気ダクトの構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図9は、本実施形態のガスタービンにおける吸気ダクトの構成を説明する図である。図10は、図9の吸気ダクトの構成を説明する部分拡大図である。図11は、図9の吸気ダクトにおける流路断面積を説明する部分断面図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
言い換えると、吸気ダクト202のストラット14に流入する空気の流入角が、第1の実施形態の吸気ダクト2と異なっている。
さらに、本実施形態の吸気室211における流路断面積比(2A/Aref)は、吸込み口15の流路断面積を基準((1/2)Aref)とし、基準となる流路断面積((1/2)Aref)と、回転軸線RLから径方向に延びる断面からみた流路断面積(A)との比を用いて説明する。
前壁面222は、図10に示すように、第1の実施形態における前壁面22と比較して、流入路13側(図10の右側)に接近して配置されている。
より具体的には、吸気室211における流路断面積比(2A/Aref)が、図12の実線および●で示されるグラフとなるように前壁面222などが配置されている。
図12における点線および◆で示されるグラフは、従来の吸気室における流路断面積比(2A/Aref)を示すグラフである。
吸込み口15から吸気室211に流入した空気は、吸気室211から流入路13に流入する。ことのとき、吸気室211における流路断面積比の変化が、従来の吸気ダクトと比較して、流入路13に一定流速で空気を流入させる場合の理論値TLに近いため、より均一な流速で空気が流入路13に流入する。
言い換えると、空気は回転軸線RLを中心とする周方向にわたって均一な流量で流入路13に流入する。
2,102,202 吸気ダクト
3 圧縮機
4 燃焼器
5 タービン
11,211 吸気室
12 ベルマウス
13 流入路
14 ストラット
15 吸込み口
23 内側ケーシング
24 外側ケーシング
ED 助走距離
CL コード長
RL 回転軸線
Claims (6)
- 圧縮機の回転軸線に対して交差する方向に開口する吸込み口を有する吸気室と、
前記回転軸線を覆って二重管状に配置された略円筒状の内側ケーシングおよび外側ケーシングの間に形成され、前記吸気室から空気を前記圧縮機に導く流入路と、
前記内側ケーシングから前記回転軸線に対して径方向に沿って延び、前記外側ケーシングを支持する複数のストラットと、が設けられ、
前記流入路の入口を形成する、前記外側ケーシングにおける空気の流れに対する上流側の端部から、前記ストラットにおける空気の流れに対する上流側の端部までの距離である助走距離は、前記ストラットにおける空気の流れに対する上流側の端部から下流側の端部までの長さの約0.6倍の距離よりも長いことを特徴とする吸気ダクト。 - 前記吸気室における前記外側ケーシングとの接続部には、前記回転軸線に沿って前記圧縮機から遠ざかる方向に突出したベルマウスが設けられ、
前記助走距離は、前記ベルマウスにおける突出端から、前記ストラットにおける空気の流れに対する上流側の端部までの距離であることを特徴とする請求項1記載の吸気ダクト。 - 前記流入路の前記ストラットが設けられた位置における空気の流速は、音速に対して約0.4倍の流速よりも遅いことを特徴とする請求項1または2に記載の吸気ダクト。
- 前記回転軸線を含み、前記吸込み口から流入する空気流れに対して略直交する断面における前記吸気室の流路断面積は、前記吸込み口の面積と比較して、約0.5倍の面積であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の吸気ダクト。
- 前記回転軸線を含み、前記吸込み口から流入する空気流れに沿って延びる断面における前記吸気室の流路断面積は、前記吸込み口の面積と比較して、約0.2倍から約0.3倍の面積であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の吸気ダクト。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載の吸気ダクトと、
該吸気ダクトにより導かれた空気を圧縮する圧縮機と、
燃料と圧縮された空気とを燃焼させ、排気ガスを排出する燃焼器と、
該燃焼器から排出された排気ガスにより回転駆動されるタービンと、
が設けられていることを特徴とするガスタービン。
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