JP5129068B2 - 複合繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、バイオマス由来のモノマー成分を原料に含むポリオレフィンとポリ乳酸から構成される複合繊維に関する。
ポリエチレン(PE)などのポリオレフィンは、機械的強度、化学的安定性に優れ、かつ、安価であるため、各種の繊維、シート、フィルム、容器等の用途分野において世界中で広く使用されている。
しかしながら、これらの樹脂は、限りある化石資源を原料としたものであり、また廃棄にあたっても、自然環境下ではほとんど分解しないため焼却処理が主流となっており、焼却により発生する二酸化炭素が地球温暖化の一因であるとして、大きな社会問題となっている。
これに対し、バイオマスの起源である植物は、太陽エネルギーと二酸化炭素および水から光合成により澱粉、セルロースやリグニンなどの植物バイオマスを作ることができる。したがって、こういったバイオマス由来の成分を樹脂原料にすれば、化石資源の使用量を抑制することができ、使用後に焼却処理して二酸化炭素と水に分解されても、これらは再び光合成によって植物に取り込まれるものであり、すなわち、これを構成する炭素源については循環系のライフサイクルを構築するものであり、究極のリサイクル素材とすることができる。よって、バイオマス由来成分を原料として用いた分、温室効果ガスとなる二酸化炭素の新たな発生を削減できることになる。このことは最近「カーボンニュートラル」と称されて、将来の望ましい姿であるとされている。(例えば、非特許文献1参照)
例えば、(財)化学技術戦略推進機構では、石油の代わりにサトウキビの搾り汁を発酵させてアルコールを作りこれを化学反応でエチレンやプロピレンに変える「バイオマスコンビナート構想」を提起し、2007年秋より技術開発に着手したことが報告されている。(例えば、 非特許文献2参照。) また、米国、ダウ・ケミカル社とブラジルのアルコール・精糖大手のクリスタルセブ社は、2011年稼動を目指してブラジルでサトウキビを原料とするエタノールからエチレン、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)までの一貫工場を建設することを発表した。(例えば、非特許文献3参照。)
このように、バイオマス由来炭素を含むポリオレフィンについては、小規模製造から工業的生産に向けて検討されている段階にある。
バイオマス・ニッポン総合戦略骨子、農水省・環境省・経産省プレスリリース、平成14年7月30日 毎日新聞2006年12月12日付け記事 石油化学新報、第4168号6〜7ページ(2007年7月27日発行) また、ポリ乳酸についても同様に、バイオマス由来のポリマーであり、自然環境下で最終的に二酸化炭素と水に分解される完全生分解性を有し、排出される二酸化炭素はカーボンニュートラルに適ったものといえる。
本発明は、石油資源の消費量を抑制し、廃棄に当たっては大気中への二酸化炭素の純増を抑制することのできる、ポリオレフィンとポリ乳酸とからなる複合繊維を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を行い、ポリオレフィンの原料モノマーについて所定量以上をバイオマス由来とすればこの目的が達成されることに想到した。すなわち、本発明の複合繊維は以下の構成を要旨とするものである。
(a)バイオマス由来のポリオレフィンとポリ乳酸とを含んでなる複合繊維であって、前記複合繊維は、繊維長5〜150mmの短繊維であり、前記ポリオレフィンにおける放射性炭素(炭素14)測定によるところのバイオマス由来炭素の存在割合が70%以上であり、かつ前記ポリオレフィンが繊維横断面の外周表面の少なくとも一部を構成し、その他の部分がポリ乳酸からなることを特徴とする複合繊維。
(b)前記ポリオレフィンが、ポリエチレン又はその共重合体であることを特徴とする(a)記載の複合繊維。
(c)前記ポリエチレンが、ASTM D1238に記載の方法に準じて、温度190℃、荷重20.2N(2160gf)で測定したMFRが10〜60g/10分である高密度ポリエチレンであることを特徴とする(b)記載の複合繊維。
本発明の複合繊維は、放射性炭素(炭素14)測定によるところのバイオマス由来炭素の存在割合が70%以上であるポリオレフィンを構成成分として使用しているため、汎用資材として使用するにあたって、石油資源の枯渇の抑制に寄与するところが大きく、また、焼却廃棄に際しても、地球温暖化の原因物質である二酸化炭素の大気中での増加を大幅に抑制することができる。
本発明の複合繊維は、バイオマス由来の成分を原料としたポリオレフィンを使用したものであるにもかかわらず、石油系原料からなるポリオレフィンを用いてなる場合と同等な物性を、安定して保持するものとなる。
加えて、本発明の複合繊維は、ポリオレフィンに対するその他の成分としてバイオマス由来のポリ乳酸を使用しているため、より環境負荷の低いものとすることができる。
また、本発明の複合繊維を用いた不織布は耐毛羽立ち性、風合いや肌触り感に優れたソフト性を有し、吸収性物品、衛生材料、ワイパー等に好適に使用できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の複合繊維としては、バイオマス由来のモノマー成分を原料としてなるポリオレフィンを含んでいることが必要である。
本発明におけるポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられるが、ポリエチレン又はポリエチレンを含んでなる共重合体であることが好ましい。具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンであることが好ましく、基本的には、従来の化石資源由来と同等な物性を有するものである。
また、本発明におけるポリオレフィンの溶融粘度としては、ASTM D 1238に記載の方法に準じて、温度190℃、荷重20.2N(2160gf)で測定したMFRが10〜60g/10分であることが好ましく、20〜40g/10分であることがより好ましい。MFRが10g/10分未満であると、溶融押出が困難となる傾向にあるため好ましくない。一方、MFRが60g/10分を超えても、溶融押出により良好に繊維化しにくくなったり、繊維の機械的強度が低下したりする傾向となるので好ましくない。
本発明におけるバイオマス由来のポリオレフィンとしては、バイオマス由来炭素の存在割合が、ポリオレフィンを構成する全炭素に対し70%以上を占めるものであることが必要であり、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上であり、特に好ましくは100%をバイオマス由来炭素が占める場合である。当該バイオマス由来炭素の存在割合が、70%未満である場合、従来の石油系資源からなる素材をバイオマス由来の素材に置き換えることで、ポリオレフィンについてのカーボンニュートラルを達成するという本発明の主旨にそぐわないものとなる。
本発明におけるバイオマス由来炭素とは、大気中に二酸化炭素として存在していた炭素が植物中に炭酸同化されることで取り込まれ、これを原料として合成されたポリオレフィン中に存在する炭素を示すものであり、放射性炭素(炭素14)の測定により同定することができる。
ここで、本発明におけるバイオマス由来成分の存在割合を特定するにあたって、放射性炭素(炭素14)の測定を行うことの意味について、以下に説明する。大気中の高層部においては、窒素原子に宇宙線(中性子)が衝突して炭素14原子が生成される反応が継続して起こっており、これが大気中全体へと循環しているため、大気中のニ酸化炭素には、炭素14が一定割合[平均として107pMC(percent modern carbon)]で含まれていることが測定されている。一方、地中に閉じ込まれた炭素14原子は、上記の循環からは隔離されているため、放射線を出しながら半減期5,370年で窒素原子に戻っていく反応のみが起こり、現在の石油などの化石原料中には炭素14原子が殆ど残っていない。したがって、対象となる試料中における炭素14の濃度を測定し、大気中の炭素14の含有割合[107pMC]を指標として逆算することで、試料中に含まれる炭素のうちのバイオマス由来炭素の割合を求めることができる。
また、放射性炭素(炭素14)の測定では、リサイクルされたポリオレフィンに対してもバイオマス由来の成分の含有割合を分析することができるため、バイオマス由来成分のリサイクル用途への循環利用の促進を図る上でも効果的な手法である。したがって、本発明のポリオレフィンとしては、バイオマス由来成分を重合して新たに得られたポリオレフィンのみならず、バイオマス由来のポリオレフィンが含有されてなるリサイクルポリオレフィンも包含するものである。
上記のように本発明におけるポリオレフィンとしては、放射性炭素(炭素14)の測定に依るところのバイオマス由来の炭素の存在割合が、オレフィン骨格を構成する全炭素に対し70%以上を占めるものであり、これにより焼却廃棄にあたって大気中での二酸化炭素の純増を抑制することができる。ここで、二酸化炭素の純増とは、カーボンニュートラルには該当しない、化石資源に起因する二酸化炭素の増加分を意味する。
本発明におけるバイオマス由来のポリオレフィンの製造方法としては、例えばポリエチレンの場合、トウモロコシ、サトウキビ、サツマイモなどから得られる澱粉や糖分を微生物で発酵させてバイオエタノールを製造し、これを脱水反応させることでエチレンを製造し、さらに重合させることでバイオマス由来100%のポリエチレンを得ることができる。
また、バイオマス由来炭素の存在割合が、70%以上100%未満のポリオレフィンの製造方法としては、バイオマス由来のオレフィンと石油系素材のみからなるオレフィンを重合させることで製造してもよいし、また、バイオマス由来のポリオレフィンチップと石油系素材のみからなるポリオレフィンチップをブレンドすることで製造してもよい。
本発明の複合繊維としては、バイオマス由来のポリオレフィンと共に、ポリ乳酸が使用されていることが必要である。
本発明で用いるポリ乳酸としては、ポリD−乳酸、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との共重合体であるポリDL−乳酸、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との混合物(ステレオコンプレックス)、ポリD−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリD−乳酸又はポリL−乳酸と脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールとの共重合体、あるいはこれらのブレンド体が挙げられる。
そして、ポリ乳酸は、上記のようにL−乳酸とD−乳酸が単独で用いられているもの、もしくは併用されているものであるが、中でも融点が120℃以上であることが好ましい。
ポリ乳酸のホモポリマーであるL−乳酸やD−乳酸の融点は約180℃であるが、D−乳酸とL−乳酸との共重合体の場合、いずれかの成分の割合を10モル%程度とすると、融点はおよそ130℃程度となる。
さらに、いずれかの成分の割合を18モル%以上とすると、融点は120℃未満、融解熱は10J/g未満となって、ほぼ完全に非晶性の性質となる。このような非晶性のポリマーとなると、製造工程において特に熱延伸し難くなり、高強度の繊維が得られ難くなるという問題が生じたり、繊維が得られたとしても、耐熱性及び耐摩耗性に劣ったものとなるため好ましくない。
そこで、ポリ乳酸としては、ラクチドを原料として重合する時のL−乳酸やD−乳酸の含有割合で示されるL−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/D又はD/Lが、82/18以上のものが好ましく、中でも90/10以上、さらには95/5以上とすることが好ましい。
また、ポリ乳酸の中でも、上記したようなポリD−乳酸とポリL−乳酸との混合物(ステレオコンプレックス)は、融点が200〜230℃と高く、高温雰囲気下での強度も高くなり、特に好ましい。
本発明の複合繊維としては、上記ポリオレフィンが繊維横断面の外周表面の少なくとも一部を構成し、その他の部分がポリ乳酸からなることが必要である。これにより、本発明の複合繊維においては、柔らかなポリマーであるポリエチレンなどのポリオレフィンが繊維横断面の外周表面の少なくとも一部を構成しているため、これを用いた織物や編物は風合いが柔らかい特徴を有するものとなる。また、これらの複合繊維からなる短繊維不織布やスパンボンド不織布においては、ポリエチレンなどのポリオレフィンを熱融着処理することで、風合い(柔らかさ)や肌触り感、耐毛羽立性等が良好なものとなる。そして、20g/m以下程度の低目付の不織布においては、紙おむつなどの吸収性物品等に好適に使用できるものとなる。
また、本発明の複合繊維としては、バイオマス由来のポリオレフィンとポリ乳酸とを構成成分とした複合繊維であり、その構造はたとえば同心あるいは偏心の芯鞘型、並列型、海島型などのいずれであってもよい。中でも同心芯鞘型構造の複合繊維は熱融着性が良好で、その物性も一定しており好ましい。このほか、異形断面構造や、分割型構造を有するものであってもよい。
本発明の複合繊維におけるポリオレフィンとポリ乳酸の比率としては、特に限定はしないが、操業性、コストの面から、容積比で30/70〜70/30の範囲であることが好ましい。
本発明の複合繊維には、本発明の効果を妨げない範囲において、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、防汚剤等、安定剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤などが添加されていてもよい。
本発明の複合繊維は、千〜数百万本を集合させた繊維束として切断し、繊維長5〜150mm程度の短繊維としてから紡績糸や短繊維不織布用途に用いてもよい。
また、本発明の複合繊維は単独で用いてもよいが、他の繊維と混用する用途にも適しており、混紡、交撚、精紡交撚を行ったり、交織、交編して用いても混合不織布としてもよい。混用する他の繊維としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、アラミド等の合成繊維、ビスコース、キュプラ、ポリノジック等のレーヨン系繊維、リヨセル等の溶剤紡糸セルロース繊維、絹、綿、麻、羊毛その他の獣毛繊維が挙げられる。
次に、本発明の複合繊維を用いた不織布の用途とこれに使用可能な複合繊維の繊度について述べる。繊度としてはバッテリーセパレーターのように非常に細い繊度のものが要求されるものから、高い土圧に耐えられるような土木特殊用途に求められる太繊度のものまで、広い繊度範囲とすることが可能である。一例をあげると、バッテリーセパレーター等では1デシテックス(以下、dtexという)以下の繊度が使われ、オムツ、生理用品、吸汗パット、皮脂除去用シート材、お手拭き等のなどの衛生材料として用いる場合で、約0.2〜6dtex、べたがけシート・防草シート・果実保護袋・保温シート等といった農業資材として用いる場合で約0.5〜100dtex程度である。そのほか、包装材、飛行機や旅客車両の使い捨てシートカバー、便座カバー、衣服の保温材・型どり基材、エアフィルター・油吸着材、ワイパー(家庭用使い捨て雑巾、眼鏡拭き、床拭き材、畳拭き材等)等の一般資材、生活資材、外科用ガウンやマスク・帽子といったメディカル資材として約0.5〜100dtex程度のものが使用できる。
なお、不織布における熱接着処理方法としては、大きく分けて、熱風等を利用し、繊維の交点の大多数を接着させる熱スルーエアー方法と、エンボスロール等を利用し、不織繊維集合体の一部を熱接着させる点熱圧着方法の2種類に区分できる。前者の熱スルーエアー方法としては、例えば、不織繊維集合体を積層した後、熱風循環式回転乾燥機内へ導入して低融点成分を溶融固化し、複合繊維不織布を得るやり方がある。この熱スルーエアー方法は、捲縮の発現する繊維を利用した場合、嵩高な不織布を得るためには良好な熱接着処理方法である 後者の点熱圧着方法としては、例えば特許2103007号に開示されているように、不織繊維集合体を繊維の融点より15〜30℃低い温度でエンボス加工する方法等がある。この点熱圧着方法は、風合いのよい不織布が得られるという効果を有する。
本発明の複合繊維を用いた不織布における目付の範囲は、特に限定されないが、均一な目付の不織布の製造や、点熱圧着の処理のし易さ、該点熱圧着部の上記断面構造の形成をふまえれば、3〜2000g/mである。れらのうち、風合いや柔らかさを考慮すれば、上記範囲の内の3〜100g/mが好ましい。特に、衛生材料では、5〜30g/mが好ましいが該繊度や目付の値は、本発明を限定するものではない。
本発明の複合繊維の製造方法について、上記したような数千〜数百万本を集合させた繊維束とし、短繊維とする場合の製造例を用いて説明する。バイオマス由来炭素の存在割合が70%以上であるポリオレフィンとポリ乳酸を通常の複合紡糸装置(同心芯鞘型の複合紡糸装置)を用いて溶融紡糸し、冷却、油剤を付与した後、延伸することなく一旦巻取る。この未延伸糸を数十万〜二百万dtexのトウに集束して、延伸倍率2〜5倍、延伸温度40〜80℃で延伸を行い、80〜120℃で熱処理を施す。続いて、押し込み式クリンパーにより機械捲縮を施した後、仕上げ油剤付与、乾燥機で乾燥を行い、さらにECカッター等のカッターで目的とする長さに切断して短繊維とする。
以下、実施例によって本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例における特性値等の測定法は、次の通りである。また、ポリオレフィンのMFRの測定法は前記したとおりである。
(1)融点(℃)
パーキンエルマ社製の示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。
(2)単糸繊度(dtex)
JIS L−1015 7−5−1−1Aの方法により測定した。
(3)不織布の引張強力(cN/25mm幅)
不織布を幅25mm、長さ150mmの短冊状に切断し、試料を作成した。この試料をオリエンテック社製UTM−4型のテンシロンを用いて、つかみ間隔100mm、引張速度100mm/分の条件で伸長切断し、最大強力を読み取った。本発明においては、引張強力1000cN以上を実用的な強力を有するものとした。
(4)不織布の剛軟度(cm)
JIS L−1096記載の45度カンチレバー法に基づき、不織布の先端が45度の
斜面に接触するまでの移動距離(cm)を測定した。本発明においては剛軟度(移動距離)が10cm未満を柔軟性が良好、10cm以上を柔軟性が不良とした。
(5)不織布の風合い
不織布を10人のパネラーによる手触り試験により、風合いのソフト性を官能評価した。10人中9人以上が風合いについてソフトであると評価した場合は○、5〜8人が風合いについてソフトであると評価した場合は△、同じく4人以下である場合は×とした。○の場合を合格とした。
(6)毛羽立ち性
不織布を10人のパネラーが目視で検査した。10人中9人以上が毛羽について全くあるいは殆どないと評価した場合は○、10人中9人以上が毛羽について明らかに認められると評価した場合は×、その他の場合は△と評価した。○の場合を合格とした。
(7)放射性炭素(炭素14)の測定によるバイオマス由来炭素の存在割合
試料を加速機質量分光計(AMS)にかけて炭素14の含有量を測定した。なお、大気中のニ酸化炭素には炭素14が一定割合含有される(これは高層大気中で窒素に中性子が衝突して炭素14生成されるため。)が、石油などの化石原料には炭素14が殆ど含まれない(炭素14は地中では放射線を出しながら半減期5,370年で窒素に変わっていくため。)。一方、現在の大気中における炭素14の存在割合は、特定値[平均として107pMC(percent modern carbon)]であることが測定されており、光合成を行う現存の植物にはこの比率で炭素14が取り込まれていることが知られている。従って、試料中の全炭素と炭素14の含有量を測定することにより、試料中に含まれる炭素のうちのバイオマス由来炭素の割合を求めることができる。(下記式参照)
バイオマス由来炭素の含有割合(%)=(試料中のバイオマス由来の炭素量/試料中の全炭素量)×100
(実施例1)
ポリ乳酸(融点;170℃)を芯部とし、バイオマス由来炭素のみを有する高密度ポリエチレン(MFR;20.4、融点;130℃)を鞘部とし、孔数1014、円形断面同心芯鞘複合紡糸口金を用い、芯:鞘=50:50となるように計量し、紡糸温度230℃、紡糸速度700m/minで溶融紡糸し、複合繊維の未延伸糸を得た。次いで、得られた未延伸糸を延伸温度65℃、延伸倍率3.20倍で延伸を行い、次いで、押し込み式の捲縮機により捲縮を付与した後、仕上げ油剤付与後に65℃で乾燥させ、繊維長51mmに切断し、繊度が2.2dtexである芯鞘型複合繊維を得た。
得られた芯鞘型複合繊維100%をカード機にかけ、ランダムウエバーで、目付け18g/cmのウェブを作成した。このウェブを連続熱処理機に通し、135℃にて1分間
の熱融着処理を行い、22g/cmの不織布を作製した。この不織布の引張強力、剛軟性および風合いを評価した結果を表1に示した。
(実施例2〜3)
芯鞘型複合繊維の鞘部のバイオマス由来のポリオレフィンとして、表1に示すものを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2〜3の不織布を作製した。得られた結果を表1に示した。
(実施例4)
芯鞘型複合繊維の鞘部をバイオマス由来炭素のみを有する低密度ポリエチレン(MFR;38.0、融点;110℃)とし、不織布作製の際の熱融着温度を変更した以外は、実施例1と同様にして実施例4の不織布を作製した。得られた結果を表1に示した。
(実施例5〜6)
ポリ乳酸を芯部とし、バイオマス由来炭素のみを有する高密度ポリエチレン(MFR;20.4、融点;130℃)を鞘部とし、芯鞘比率を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして実施例5〜6の不織布を作製した。得られた結果を表1に示した。
(比較例1)
芯鞘型複合繊維の鞘部を石油系由来の高密度ポリエチレン(MFR;20.1、融点;130℃)とした以外は、実施例1と同様にして比較例1の不織布を作製した。得られた結果を表1に示した。
(比較例2〜3)
ポリ乳酸を芯部とし、石油系由来の高密度ポリエチレン(MFR;20.4、融点;130℃)を鞘部とし、芯鞘比率を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして比較例2〜3の不織布を作製した。得られた結果を表1に示した。
(比較例4)
芯鞘型複合繊維の鞘部のバイオマス由来のポリオレフィンとして、表1に示すものを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例4の不織布を作製した。得られた結果を表1に示した。
(比較例5)
芯鞘型複合繊維の鞘部をバイオマス由来炭素のみを有する高密度ポリエチレン(MFR;80.4、融点;130℃)とした以外は、実施例1と同様にして比較例5の不織布を作製した。得られた結果を表1に示した。
表1より明らかなように、本発明の要件を満たす実施例1〜6は、不織布の強力も十分高く、また、風合いも非常にソフトであり、毛羽立ちも無く良好であった。かつ、バイオマス由来の成分を所定量以上に含有するため、環境負荷が少なく、カーボンニュートラルの主旨に則したものであった。
一方、比較例1〜3では、従来の石油系素材のみからなる複合繊維であるため、物性的には遜色のないものであった。しかしながら、バイオマス由来の成分を全く含んでいないため、環境負荷の低減効果を全く有さないものであった。
また、比較例4に関しても、物性的には遜色ないものであった。しかしながら、バイオマス由来の成分を所定量未満しか含有していないため、環境負荷の低減効果を十分に有さないものであった。
比較例5に関しては、鞘部のポリエチレンのMFRが適正値の範囲内ではないため、繊維の機械的強度が低下し、不織布の引張り強力が著しく低い値をとった。












Claims (3)

  1. バイオマス由来のポリオレフィンとポリ乳酸とを含んでなる複合繊維であって、前記複合繊維は、繊維長5〜150mmの短繊維であり、前記ポリオレフィンにおける放射性炭素(炭素14)測定によるところのバイオマス由来炭素の存在割合が70%以上であり、かつ前記ポリオレフィンが繊維横断面の外周表面の少なくとも一部を構成し、その他の部分がポリ乳酸からなることを特徴とする複合繊維。
  2. 前記ポリオレフィンが、ポリエチレン又はその共重合体であることを特徴とする請求項1記載の複合繊維。
  3. 前記ポリエチレンが、ASTM D 1238に記載の方法に準じて、温度190℃、荷重20.2N(2160gf)で測定したMFRが10〜60g/10分である高密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項2記載の複合繊維。









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