JP5127235B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
また、バイポーラトランジスタであるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)においても、荷電粒子を打ち込むことによってドリフト領域内に結晶欠陥を形成し、それによってターンオフ時間を短縮化する技術が知られている。
上記に例示したように、半導体装置(例えば、PNダイオードやIGBT等)を構成する半導体結晶中に意図的に結晶欠陥を形成することによって、半導体装置の特性を調節する技術が知られている。
なお半導体の結晶中には、結晶の成長時(結晶のインゴット製造時)等に意図せずに形成された結晶欠陥が存在している。意図せず形成された結晶欠陥と、荷電粒子等を打ち込むことによって意図的に形成した結晶欠陥とを区別するため、以下の説明では、意図的に形成した結晶欠陥のことを形成欠陥という。
混入不純物が含まれているシリコン結晶中に荷電粒子を打ち込むと、概して2種類の形成欠陥が形成される。すなわち、シリコン結晶中の格子点(サイト)に原子が存在しない空孔型の欠陥と、シリコン結晶中の混入不純物により形成される格子間型の欠陥が形成される。
例えば、炭素と酸素が含まれているシリコン結晶中に荷電粒子を打ち込むと、以下の反応が起こる。まず、荷電粒子の打ち込みにより、格子点に存在していたシリコンが格子間位置にはじき出され、格子点に空孔が形成される。これによって、結晶中に多数の空孔型欠陥と格子間シリコンが生成される。生成された空孔型欠陥は、他の空孔型欠陥と所定の位置関係をとると安定な状態となる。これにより、2つの空孔型欠陥により構成されるVV欠陥が形成される。また、格子間位置にはじき出されたシリコンは、結晶中の格子点に存在していた炭素と位置が入れ替わる。すなわち、格子点にあった炭素が格子間位置に移動し、格子間位置にあったシリコンが格子点に移動する。格子間位置に移動した炭素は、結晶中の格子間位置に存在している酸素と所定の位置関係をとると安定な状態となる。これにより、格子間位置の炭素と格子間位置の酸素によって構成されるCiOi欠陥が形成される。
格子間シリコン生成工程で前記所定範囲にシリコンイオンを打ち込むと、前記所定範囲内に存在するシリコンの数が増加する。このとき、格子点に存在することができるシリコンの数は決まっているので、増加したシリコンの大部分は、格子間シリコンとなる。格子間シリコンは、単独ではエネルギー的に不安定である。しかし、複数の格子間シリコンが集合すると安定となる。したがって、格子間シリコン生成工程を実施した後の前記所定範囲内には、格子間シリコンのクラスタ(集合体)が多数、存在することとなる。
格子間シリコン生成工程の実施後に、結晶欠陥形成工程を実施する。結晶欠陥形成工程では、格子間シリコンのクラスタが多数存在している範囲に荷電粒子を打ち込む。荷電粒子を打ち込むと、シリコン結晶中の格子点に存在していたシリコンが格子間位置にはじき出され、格子間シリコンとなる。この反応によって、格子点に空孔が形成され、シリコン結晶中にVV欠陥が形成される。また、この反応によって生成された格子間シリコンは、シリコン結晶中に多数存在している格子間シリコンのクラスタの一部となって安定な状態となる。したがって、格子間シリコンは、混入不純物と反応(位置が入れ替わる等)し難い。このため、混入不純物による欠陥が形成され難い。例えば、混入不純物として炭素と酸素が存在しているシリコン結晶では、荷電粒子が打ち込まれることによって生成された格子間シリコンと格子点に存在する炭素の位置が入れ替わる反応が起こり難くなるので、CiOi欠陥が形成され難くなる。
以上のように、この製造方法によると、形成される結晶欠陥(形成欠陥)の大部分がVV欠陥となる。上述したように、VV欠陥の形成量は、荷電粒子を打ち込む量によって正確に制御することができる。したがって、この製造方法によれば、シリコン基板に含まれていた混入不純物の濃度のばらつきにもかかわらず、形成される結晶欠陥(形成欠陥)の量を安定化することができる。半導体装置毎の特性のばらつきが少ない半導体装置群を量産することができる。
シリコン基板の格子間シリコンの濃度が高い方の表面部分には、多数の格子間シリコンのクラスタが存在している。結晶欠陥形成工程では、荷電粒子を打ち込むことにより、シリコン基板の格子間シリコンの濃度が高い方の表面部分に結晶欠陥を形成する。したがって、その表面部分に形成される形成欠陥の大部分がVV欠陥となる。この製造方法によっても、形成欠陥の量を正確に制御することができ、ばらつきの少ない半導体装置群を量産することができる。
この製造方法によれば、形成欠陥の量を正確に制御することができ、ばらつきの少ないPNダイオード群を量産することができる。
この製造方法によっても、形成欠陥の量を正確に制御することができ、ばらつきの少ないPNダイオード群を量産することができる。
この製造方法によれば、形成欠陥の量を正確に制御することができ、ばらつきの少ないIGBT群を量産することができる。
この製造方法によっても、形成欠陥の量を正確に制御することができ、ばらつきの少ないIGBT群を量産することができる。
この半導体装置では、格子間シリコンの濃度が高い範囲に形成欠陥が形成されている。したがって、その範囲に形成されている形成欠陥の多くはVV欠陥である。したがって、ばらつきの少ない半導体装置群が提供される。
この半導体装置では、結晶欠陥領域が、シリコン基板の格子間シリコンの濃度が高い方の表面部分に形成されている。したがって、その表面部分に形成されている形成欠陥の多くはVV欠陥である。したがって、ばらつきの少ない半導体装置群が提供される。
このPNダイオードでは、格子間シリコンの濃度が高い範囲に形成欠陥が形成されている。したがって、ばらつきの少ないPNダイオード群が提供される。
このPNダイオードでは、結晶欠陥領域がシリコン基板の格子間シリコンの濃度が高い方の表面部分に形成されている。したがって、ばらつきの少ないPNダイオード群が提供される。
このIGBTでは、格子間シリコンの濃度が高い範囲に形成欠陥が形成されている。したがって、ばらつきの少ないIGBT群が提供される。
このIGBTでは、結晶欠陥がシリコン基板の格子間シリコンの濃度が高い方の表面部分に形成されている。したがって、ばらつきの少ないIGBT群が提供される。
このような構成によれば、IGBTの耐圧特性を向上させることができる。
(特徴1)格子間シリコン生成工程を実施したシリコン基板を熱処理することによって、格子間シリコンを安定化させる格子間シリコン安定化工程をさらに備えている。
(特徴2)結晶欠陥形成工程を実施したシリコン基板を熱処理することによって、不安定な結晶欠陥を除去する不安定欠陥除去工程をさらに備えている。
(特徴3)格子間シリコン安定化工程の熱処理は、不安定欠陥除去工程の熱処理よりも高温で行う。
(特徴4)格子間シリコン安定化工程は、不安定欠陥除去工程よりも前に実施する。
本発明の第1実施例に係る半導体装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施例のPNダイオード10aの概略構成を示している。
図示するように、PNダイオード10aは、シリコン基板12と、シリコン基板12の上面12aに形成されたアノード電極20と、下面12bに形成されたカソード電極22により構成されている。シリコン基板12は、主にシリコンからなっている。シリコン基板12の、上面12a側には、p型不純物(本実施例ではボロン)を含有するp型拡散層(アノード層:p+層)14が形成されている。p型拡散層14は、アノード電極20とオーミック接触している。p型拡散層14の下面側には、n型不純物(本実施例ではリン)を含有するn型ドリフト層(n−層)16が形成されている。したがって、p型拡散層14とn型ドリフト層16の界面がpn接合界面30となっている。n型ドリフト層16の下面12b側には、n型不純物を高濃度に含有するn型拡散層(カソード層:n+層)18が形成されている。n型拡散層18は、カソード電極22とオーミック接触している。
シリコン基板12には、局所的に格子間シリコンの濃度が高くなっている高濃度化フィールド26が形成されている。図2(a)は、シリコン基板12中の厚み方向(図1の矢印V1の方向)における格子間シリコンの濃度N1の分布を示している。図2(a)の横軸は、シリコン基板12aの厚み方向の位置(深さ)を示しており、原点はシリコン基板12の上面12aの位置、横軸の右端はシリコン基板12の下面12bの位置を示している。また、図2(a)の位置A1は、pn接合界面30の位置を示している。
図示するように、位置A2と位置A3の間の領域の格子間シリコンの濃度は約1014atoms/cm3であり、その領域外よりも格子間シリコンの濃度が高くなっている(領域外の格子間シリコンの濃度は、約1013atoms/cm3)。すなわち、位置A2と位置A3の間の領域は、格子間シリコンの濃度が高い高濃度化フィールド26となっている。高濃度化フィールド26はpn接合界面30近傍のn型ドリフト層16に形成されている。
第1の欠陥は、CiOi欠陥である。CiOi欠陥は、結晶中の格子間位置に存在する酸素(以下では、格子間酸素Oiという)と、格子間位置に存在する炭素(以下では、格子間炭素Ciという)によって構成される。格子間酸素Oiと格子間炭素Ciが特定の位置関係となっているとCiOi欠陥となる。CiOi欠陥は、キャリアの再結合中心となる性質を有する。また、CiOi欠陥は、シリコン基板12中のホールをトラップする性質を有する。
第2の欠陥は、VV欠陥である。VV欠陥は、結晶中の格子点(サイト)の空孔により構成される。2つの空孔が特定の位置関係となっているとVV欠陥となる。VV欠陥は、キャリアの再結合中心となる性質を有する。しかしながら、VV欠陥は、シリコン基板12中の電子をトラップし、ホールをトラップしない性質を有する。
本実施例のPNダイオード10aでは、高濃度化フィールド26に存在する形成欠陥の大部分は、VV欠陥である。高濃度化フィールド26に存在する形成欠陥の量は、適切な量に調整されている。また、PNダイオード10aでは、図2に示すように大部分の形成欠陥が高濃度化フィールド26内に存在しており、高濃度化フィールド26外に存在する形成欠陥は非常に少ない。
PNダイオードの特性は、逆電流のピーク値が低く、逆電流回復時の電流変化率が小さいことが好ましい。逆電流のピーク値が低いと、PNダイオードのターンオフ時の損失を低減させることができる。逆電流回復時の電流変化率が小さいと、その電流変化率と寄生インダクタンスの影響によってpn接合界面30に印加されるサージ電圧を低減させることができる。本実施例のPNダイオード10aは、製造時に適切な量の形成欠陥が形成されている。したがって、逆電流のピーク値は適切な値に抑えられており、逆電流回復時の電流変化率も適切な変化率となっている。したがって、逆電流による損失がそれほど大きくならず、逆電流回復時にpn接合界面30に過大なサージ電圧が印加されることも抑制されている。
第1実施例のPNダイオード10aでは、高濃度化フィールド26に大部分の形成欠陥が形成されており、高濃度化フィールド26に形成されている形成欠陥の大部分がVV欠陥である。すなわち、CiOi欠陥が非常に少ない。したがって、PNダイオード10aは、ターンオフ時にアバランシェ降伏し難い。
(反応1) Sis → V+Sii
(反応2) V+V → VV欠陥
(反応3) Sii+Sii n → Sii n+1
(反応4) Sii+Cs → Ci
(反応5) Ci+Oi → CiOi欠陥
(反応1)では、結晶格子中の格子点に存在するシリコン(Sis)がヘリウムイオンの打ち込みにより格子点から格子間位置にはじき出される。これによって、格子間シリコン(Sii)が生成されるとともに、シリコンがはじき出された後の格子点が空孔(V)となる。シリコンウエハ中で(反応1)が多発することによって、シリコンウエハ中に多数の格子間シリコン(Sii)と多数の空孔(V)が生成される。格子間位置のシリコン(Sii)と空孔(V)は、エネルギー状態が不安定であるので、(反応2)〜(反応5)が起こる。
(反応2)では、(反応1)によって生成された2つの空孔(V)が結晶格子内で所定の位置関係となり、安定した状態となる。すなわち、VV欠陥が形成される。
(反応3)では、(反応1)によって生成された格子間シリコン(Sii)が、シリコンウエハ中に存在している格子間シリコンのクラスタ(Sii n)に取り込まれ、安定した状態となる。すなわち、格子間シリコンのクラスタ(Sii n)に新たに1つの格子間シリコン(Sii)が加わって、より大きい格子間シリコンのクラスタ(Sii n+1)となる。
(反応4)では、結晶格子中の格子点に不純物として存在する炭素(Cs)と(反応1)で生成された格子間位置のシリコン(Sii)との位置が入れ替わる。これによって、格子間位置に存在する炭素(Ci)が生成される。格子間位置の炭素(Ci)は、エネルギー状態が不安定であるので、(反応5)が起こる。
(反応5)では、(反応4)で生成された格子間位置の炭素(Ci)と、結晶格子中の格子間位置に混合不純物として存在する酸素(Oi)とが所定の位置関係となり、安定した状態となる。すなわち、CiOi欠陥が形成される。
以上に説明したように、シリコンウエハにヘリウムイオンを打ち込むと、シリコンウエハ中にVV欠陥とCiOi欠陥が形成される。
また、(反応1)によって生成された格子間シリコン(Sii)は、(反応3)によって格子間シリコンのクラスタ(Sii n)に取り込まれるもとの、(反応4)及び(反応5)を引き起こすものがある。
上述したように、高濃度化フィールド26内には、格子間シリコンのクラスタが多数、存在している。したがって、(反応3)は非常に起こりやすい。すなわち、(反応1)で生成された格子間シリコンの大部分は、(反応3)によって格子間シリコンのクラスタに取り込まれる。したがって、高濃度化フィールド26では、(反応4)及び(反応5)が起こり難い。すなわち、高濃度化フィールド26内では、CiOi欠陥が形成され難い。したがって、シリコンウエハ中に、CiOi欠陥があまり形成されることなく、多数のVV欠陥が形成される。
なお、シリコンウエハにヘリウムイオンを打ち込むと、VV欠陥及びCiOi欠陥が形成されると共に、エネルギー状態が不安定な種々の形成欠陥も形成される。
また、ステップS8は、ステップS14よりも前に実施される。したがって、ステップS14の実施後に、ステップS14よりも高温の熱処理が実行され、ステップS14後にシリコンウエハに残っているVV欠陥が消滅することが防止されている。
次に、第2実施例のPNダイオード10b及びその製造方法について説明する。なお、PNダイオード10bの各部の説明においては、第1実施例のPNダイオード10aと同様の構成を有するものについては、同じ参照番号を用いて説明する。
但し、第1実施例とは異なり、このシリコンウエハには、格子間シリコンの濃度が下面12bから上面12aに向かうにつれて増加する濃度プロファイルが形成されている。このシリコンウエハは、引き上げ速度を変化させながらシリコンのインゴットを成長させ、そのインゴットから切り出されることにより製造される。すなわち、速い引き上げ速度でインゴットを成長させると、格子間シリコンが少ないシリコン結晶が成長する。遅い引き上げ速度でインゴットを成長させると、格子間シリコンが多いシリコン結晶が成長する。したがって、引き上げ速度を変化させながらインゴットを成長させると、格子間シリコンの濃度が引き上げ方向における位置によって変化しているインゴットができる。このインゴットからシリコンウエハを切り出すことで、上記のシリコンウエハを製造することができる。このシリコンウエハ中の格子間シリコンの厚み方向における濃度プロファイルは、図5(a)に示すシリコン基板12の濃度プロファイルと略同じとなっている。
次に、第3実施例のトレンチゲート電極を有するIGBT50aについて説明する。図6は、IGBT50aの概略構成を示している。図示するように、IGBT50aは、シリコン基板51と、エミッタ電極70と、コレクタ電極72と、により構成されている。コレクタ電極72は、シリコン基板51の下面51bに形成されている。エミッタ電極70は、シリコン基板51の上面51aに形成されている。
シリコン基板51は、主にシリコンからなっている。シリコン基板51のコレクタ電極72と接する領域には、p型コレクタ層52が形成されている。p型コレクタ層52は、コレクタ電極72とオーミック接触している。p型コレクタ層52の上面側には、n型ドリフト層54が形成されている。n型ドリフト層54は、n型不純物の濃度が高い第1ドリフト層(バッファ層)54aと、n型不純物の濃度が低い第2ドリフト層54bにより形成されている。第1ドリフト層54aは、p型コレクタ層52の上面側に形成されており、第2ドリフト層54bは、その第1ドリフト層54aの上面側に形成されている。n型ドリフト層54の上面側には、p型ボディ層56が形成されている。p型ボディ層56の上面側には、n型エミッタ領域58とp型ボディコンタクト領域60が形成されている。シリコン基板51の上面51aには複数のトレンチが形成されている。各トレンチは、シリコン基板51の上面51aからn型ドリフト層54の上端に接する深さまで伸びている。各トレンチの壁面(側面、底面)には、SiO2の絶縁膜が形成されている。各トレンチ内には、ゲート電極74が形成されている。n型エミッタ領域58は、シリコン基板51の上面51a側の表面部分のうち、各トレンチ(トレンチの絶縁膜)と接する領域にそれぞれ形成されている。n型エミッタ領域58は、エミッタ電極70とオーミック接触している。p型ボディコンタクト領域60は、シリコン基板51の上面51a側の表面部分のうち、n型エミッタ領域58が形成されていない領域に形成されている。p型ボディコンタクト領域60は、p型ボディ層56よりもp型不純物の濃度が高い。p型ボディコンタクト領域60は、エミッタ電極70とオーミック接触している。
図示するように、位置A7と位置A8の間の領域の格子間シリコンの濃度は約1014atoms/cm3であり、その領域外よりも格子間シリコンの濃度が高くなっている。すなわち、位置A2と位置A3の間の領域が高濃度化フィールド26となっている。高濃度化フィールド26は界面53近傍のn型ドリフト層54内に形成されている。より詳細には、界面55近傍の第1ドリフト層54aから界面55近傍の第2ドリフト層54bにわたって形成されている。
本実施例のIGBT50aでは、高濃度化フィールド66内の形成欠陥は大部分がVV欠陥であり、CiOi欠陥が非常に少ない。したがって、IGBT50aは、アバランシェ降伏し難い。
ステップS32では、シリコンウエハの下面51b側から、注入深さを調整してボロンを注入する。これによって、p型コレクタ層52に対応する領域に、ボロンが注入される。
また、ステップS36の熱処理を実施すると、ステップS34で生成された格子間シリコンが拡散し、格子間シリコンのクラスタが分散して存在する状態となる。これによって、格子間シリコンがより安定した状態となる。格子間シリコンが拡散した範囲は、高濃度化フィールド66となる。図6に示すように、高濃度化フィールド66は、界面55近傍のn型ドリフト層54に形成される。
次に、第4実施例のIGBT50b及びその製造方法について説明する。なお、IGBT50bの各部の説明においては、第3実施例のIGBT50aと同様の構成を有するものについては、同じ参照番号を用いて説明する。
但し、第3実施例とは異なり、このシリコンウエハには、格子間シリコンの濃度が上面51aから下面51bに向かうにつれて増加する濃度プロファイルが形成されている。このシリコンウエハ中の格子間シリコンの厚み方向における濃度プロファイルは、図10(a)に示すシリコン基板51の濃度プロファイルと略同じとなっている。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10b:PNダイオード
12:シリコン基板
12a:上面
12b:下面
14:p型拡散層
16:n型ドリフト層
18:n型拡散層
20:アノード電極
22:カソード電極
26:高濃度化フィールド
30:pn接合界面
50a:IGBT
50b:IGBT
51:シリコン基板
51a:上面
51b:下面
52:p型コレクタ層
54:n型ドリフト層
54a:第1ドリフト層
54b:第2ドリフト層
56:p型ボディ層
58:n型エミッタ領域
60:p型ボディコンタクト領域
66:高濃度化フィールド
70:エミッタ電極
72:コレクタ電極
74:ゲート電極
Claims (6)
- 所定範囲に結晶欠陥を形成した結晶欠陥領域を備えている半導体装置を製造する方法であって、
シリコン基板の表面から前記所定範囲に打ち込まれるエネルギーでシリコンイオンを打ち込むことによって前記所定範囲に格子間シリコンを生成させる格子間シリコン生成工程と、
シリコン基板の表面から前記所定範囲に打ち込まれるエネルギーで荷電粒子を打ち込むことによって前記所定範囲に結晶欠陥を形成する結晶欠陥形成工程
を備えている半導体装置の製造方法。 - インゴット製造時に引き上げ速度を変化させながら結晶成長させることによって、格子間シリコンの濃度が一方の表面から他方の表面に向かうにつれて増加する濃度プロファイルが形成されたシリコン基板を使用して、結晶欠陥を形成した結晶欠陥領域を備えている半導体装置を製造する方法であって、
前記シリコン基板の格子間シリコンの濃度が高い方の表面からその表面部分に留まるエネルギーで荷電粒子を打ち込むことによってその表面部分に結晶欠陥を形成する結晶欠陥形成工程を備えている半導体装置の製造方法。 - 所定範囲に結晶欠陥を形成した結晶欠陥領域を備えているPNダイオードを製造する方法であって、
シリコン基板にドーパント不純物を導入して、前記所定範囲内にpn接合を形成するpn接合形成工程と、
シリコン基板の表面から前記所定範囲に打ち込まれるエネルギーでシリコンイオンを打ち込むことによって前記所定範囲に格子間シリコンを生成させる格子間シリコン生成工程と、
格子間シリコン生成工程を実施したシリコン基板の表面から前記所定範囲に打ち込まれるエネルギーで荷電粒子を打ち込むことによって前記所定範囲に結晶欠陥を形成する結晶欠陥形成工程
を備えているPNダイオードの製造方法。 - インゴット製造時に引き上げ速度を変化させながら結晶成長させることによって、格子間シリコンの濃度が一方の表面から他方の表面に向かうにつれて増加する濃度プロファイルが形成されたシリコン基板を使用して、結晶欠陥を形成した結晶欠陥領域を備えているPNダイオードを製造する方法であって、
前記シリコン基板にドーパント不純物を導入して、前記シリコン基板の格子間シリコンの濃度が高い方の表面部分にpn接合を形成するpn接合導入工程と、
前記シリコン基板の格子間シリコンの濃度が高い方の表面からその表面部分に留まるエネルギーで荷電粒子を打ち込むことによってその表面部分に結晶欠陥を形成する結晶欠陥形成工程を備えているPNダイオードの製造方法。 - 所定範囲に結晶欠陥を形成した結晶欠陥領域を備えているIGBTを製造する方法であって、
シリコン基板の上面側からドーパント不純物を導入してボディ領域とエミッタ領域を形成する上面側導入工程と、
前記シリコン基板の下面側からドーパント不純物を導入してコレクタ領域を形成することによって、下面側の表面部分にコレクタ領域とドリフト領域の界面を形成する下面側導入工程と、
シリコン基板の表面から前記所定範囲に打ち込まれるエネルギーでシリコンイオンを打ち込むことによって前記所定範囲に格子間シリコンを生成させる格子間シリコン生成工程と、
格子間シリコン生成工程を実施したシリコン基板の表面から前記所定範囲に打ち込まれるエネルギーで荷電粒子を打ち込むことによって前記所定範囲に結晶欠陥を形成する結晶欠陥形成工程
を備えているIGBTの製造方法。 - インゴット製造時に引き上げ速度を変化させながら結晶成長させることによって、格子間シリコンの濃度が上面から下面に向かうにつれて増加する濃度プロファイルが形成されたシリコン基板を使用して、結晶欠陥を形成した結晶欠陥領域を備えているIGBTを製造する方法であって、
前記シリコン基板の上面側からドーパント不純物を導入してボディ領域とエミッタ領域を形成する上面側導入工程と、
前記シリコン基板の下面側からドーパント不純物を導入してコレクタ領域を形成することによって、下面側の表面部分にコレクタ領域とドリフト領域の界面を形成する下面側導入工程と、
前記シリコン基板の下面側からその表面部分に留まるエネルギーで荷電粒子を打ち込むことによってその表面部分に結晶欠陥を形成する結晶欠陥形成工程を備えているIGBTの製造方法。
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