JP5124159B2 - 情報表示用パネルの製造方法 - Google Patents
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また、ドットを分割するために基板に隔壁を形成している場合、隔壁材料(アクリル)やパターニング時の有機物残渣により表示媒体が汚染され、表示媒体の性能が劣化することも分かっている。
さらに、隔壁がアクリル材料のため、好ましくないチャージアップが導入され、表示媒体の貼り付きや流動性低下をもたらす可能性も指摘されている。
また、高速成膜法を導入し、さらにはターゲットの配置を工夫することによって、情報表示用パネルの基板表面に生産性良く、膜質(結晶性・導電性・被覆性)が制御された金属酸化物薄膜を成膜することが可能となる。
金属酸化物材料11で電極5を設けた基板1や隔壁4をコーティングすることで、表示媒体が電極5や隔壁4と直接接触することが防止され、帯電した表示媒体から電極5や隔壁4へと電荷がリークするのを防止できる。
隔壁の材料やレジストの残渣などがあっても、金属酸化物材料11でコーティングするため、表示媒体がこれら残渣で汚染されることがなく、表示媒体の性能の劣化を防止できる。また、コーティングによって隔壁の硬度が上がり、表示媒体と隔壁との衝突による隔壁切削を防止できる。
さらに、隔壁がアクリル材料のため、好ましくないチャージアップが導入され表示媒体の貼り付きや流動性低下をもたらす可能性が排除できる。
金属酸化物材料は、TiO2、Al2O3、あるいはSiO2であることが好適である。
真空チャンバー内に酸素ガスもしくは酸素ガスとアルゴンガスの少なくとも1種類が含まれる雰囲気を導入する。ターゲットの裏に配置した磁石によって、磁力線が生じ、磁力線の周りを電子が移動するため、プラズマがターゲット近傍に集中し、基板へのダメージを低減することができる。隣り合った2つのカソード1とカソード2に図6(b)に示すようなパルス状の電圧を、一定の周期で交互に印加することによって、大電流をターゲットに流し、安定した高速成膜が可能となる。この方法を用いることによって、異常放電を大幅に抑制できることから、安定した長時間の放電が可能となり、ダメージの少ない高品質の膜が作製可能となる。
また、プラズマモニタを用いて、成膜時の金属元素の発光波長と発光量をモニタリングし、プラズマ中金属元素の密度からチャンバー内に導入する酸素量を制御している。
従来、金属酸化物薄膜を作成する場合、金属ターゲットを用いて反応性ガス(酸素)でスパッタする反応性スパッタ法を用いる。このとき、従来の流量計を用いたガス導入量制御で反応性スパッタを行うと、ターゲットの表面が完全に酸化されてスパッタ率が大きく低減し、成膜速度が大幅に低下する。そこで、成膜時の金属元素の発光波長と発光量をモニタリングし、プラズマ中金属元素の密度からチャンバー内に導入する酸素量を制御するPlasma Emission Monitor Control(PEMコントロール)という手法を用いることにより、酸化数が制御された金属酸化物薄膜を安定して高速に供給することが可能となる。
以上より、DUALカソードマグネトロンスパッタ法とPEMコントロールとを併用することによって、金属酸化物の成膜速度を大幅に向上させることができ、生産性良く基板への無機材料成膜が可能となる。
カソード1:金属チタン 150mm×300mm
カソード2:金属チタン 150mm×300mm
成膜時のガス圧力:0.5Pa
成膜時のアルゴン流量:約150sccm
成膜時の酸素流量:約15sccm
カソード1、2の切り替え周波数:50kHz
パルス電圧のパルス幅(オン時間/1周期時間):45%
これに対して、交互パルス電圧や、PEM制御を用いない、いわゆる従来から用いられているDC反応性スパッタ法では、同様のターゲットを用いても、5nm/min.程度の成膜速度しか得ることができない。
ここで、隔壁の形成方法を例示すると、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法が挙げられる。いずれの方法も好適に用いることができるが、これらのうち、レジストフィルムを用いるフォトリソ法や金型転写法が好適に用いられる。
表示用粒子には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、従来と同様に、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。
上記着色剤を配合して所望の色の表示用粒子を作製できる。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、表示媒体としての均一な移動が可能となる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行うことができる。
この空隙部分とは、例えば、図1(a)において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6(電極を基板内側に設けた場合)、表示媒体3の占有部分、隔壁4の占有部分、情報表示用パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール剤、シール方法を施すことが肝要である。
対向する基板間の気体中空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
図9(a)は、実施例の情報表示用パネルの模式図であり、構成を説明する。ガラス基板上にITOを成膜したものを透明電極とする。さらにこのITO電極面にTiO2の絶縁膜を100nmで成膜した。このTiO2付き透明電極パネルを1対用いて、電極が向かい合うように配置し、その対電極間に正帯電の黒色表示媒体と負帯電の白色表示媒体を封入することによって情報表示用パネルを作製した。
図9(b)は、比較例の情報表示用パネルの模式図であり、実施例で行ったTiO2コーティングを行わず、ITO透明電極基板を用いて実施例と同様の情報表示用パネルを作製した。
これらの情報表示用パネルの対電極間に±70Vの電圧を交互に印加し、表示媒体を反転させて白表示と黒表示の画像表示を行う。
(1)耐久促進運転として、実施例および比較例の情報表示用パネルを、1反転/1秒の高頻度で50000回繰り返して反転駆動を行った。このような運転によって、表示媒体から基板への電荷リーク効果を促進させることができる。
(2)実施例および比較例の情報表示用パネルを、1反転/1日の低頻度反転運転を行い、その際の表示媒体の駆動特性をマクベス濃度計RD−19にて、光学濃度特性として評価した。
表示媒体の電荷がリークしている場合には、表示媒体の帯電量が低下しているため、電圧の印加に対して表示媒体が駆動せず、その結果良好な表示を行うことができない。なお、良品、不良品の判定は、白黒表示を行った場合の光学濃度値を用いて、
コントラスト=10^(黒光学濃度値−白光学濃度値)
を定義し、良品はコントラスト>4とした。
実施例の情報表示用パネルでは、コントラストを5付近に保つことができているが、比較例の情報表示用パネルでは、コントラストが2まで低下してしまい、良好な表示が不可能になっている。これは表示媒体の帯電量が低下したために、表示媒体が電圧印加に対して駆動不能となってきているためである。
3 表示媒体
3W 白色表示媒体
3Wa 表示用白色粒子
3B 黒色表示媒体
3Ba 表示用黒色粒子
4 隔壁
5、6 電極
7B 黒色板
11 金属酸化物材料
21−1 第1のセル
21−2 第2のセル
21−3 第3のセル
22R 赤色カラーフィルター
22G 緑色カラーフィルター
22BL 青色カラーフィルター
Claims (3)
- 少なくとも一方が透明な対向する2枚の電極付基板間の隔壁で形成されたセル内に、少なくとも1種類以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電性を有する少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造方法において、
少なくとも2つのカソードを用いたDUALカソードマグネトロンスパッタ法とPEMコントロールとを併用することによって、前記隔壁のセルに露出した表面および前記電極付基板の内表面を金属酸化物材料でコーティングする
ことを特徴とする情報表示用パネルの製造方法。 - 前記DUALカソードマグネトロンスパッタ法において、
2つのカソードが配置される角度を90〜180°にすることを特徴とする請求項1に記載の情報表示用パネルの製造方法。 - 前記金属酸化物材料がTiO2、Al2O3、あるいはSiO2であることを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示用パネルの製造方法。
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