しかしながら、特許文献1に記載の車両衝突防止装置では、対向車両が自車両の走行車線へはみ出すことに伴う衝突の可能性については推定することができない。また、センターラインのある道路では、センターラインの位置を画像処理で認識することが考えられるが、センターラインのない道路を走行している場合には、対向車両と衝突する可能性を推定することが困難である。更に、カーブしている道路(以下、「カーブ路」という)を走行している場合には、対向車両との相対位置を検出するレーダの反射点が対向車の車両の幅方向に変化する(図4(a)参照)ため、対向車両と衝突する可能性を推定することが困難な場合がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、カーブ路等において対向車両と衝突する可能性の有無を適正に推定することの可能な衝突推定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有している。第1の発明は、車両に搭載され、該車両の走行車線に対向する車線である対向車線を走行する対向車両と衝突する可能性の有無を推定する衝突推定装置であって、自車両の進行方向及び進行速度を検出する移動量検出手段と、前記対向車両の自車両からの相対位置を検出する相対位置検出手段と、予め設定された所定のタイミングにおいて、前記移動量検出手段によって検出された進行方向、及び、前記相対位置検出手段によって検出された相対位置に基づいて、座標上に、衝突の可能性の判断基準となる仮想的なセンターラインである仮想センターラインを規定する基準線を、自車両と前記対向車両との間に生成する基準線生成手段と、前記移動量検出手段によって検出された進行方向、進行速度、及び、前記相対位置検出手段によって検出された相対位置に基づいて、前記座標上での前記対向車両の位置を求める第1位置算出手段と、前記第1位置算出手段によって求められた前記対向車両の位置に基づいて、前記対向車両が、前記仮想センターラインを超えて前記走行車線側に進入したか否かを判定する第1進入判定手段と、前記第1進入判定手段によって走行車線側に進入したと判定された場合に、前記対向車両と衝突する可能性があると判定する可能性推定手段と、を備える。前記基準線は、所定のタイミングにおいて、自車両からの第1オフセット量を有するとともに、前記所定のタイミングにおける前記対向車両の前記相対位置に基づく前記対向車両からの第2オフセット量を有するものであってよい。
ここで、仮想センターラインを規定する「基準線」は、直線又は曲線を含む。すなわち、「基準線」は、例えば、直線、折れ線、円弧、2次曲線等を含む。従って、自車両が、本実施形態において説明するカーブ路を走行している場合に限らず、直線路(=直線状の道路)等を走行している場合にも本発明を適用することができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記相対位置検出手段が、レーダセンサを介して、前記相対位置を検出する。
第3の発明は、上記第2の発明において、前記所定のタイミングが、前記レーダセンサによって前記対向車両が捕捉されたタイミングである。
第4の発明は、前記所定のタイミングが、前記レーダセンサによって前記対向車両が捕捉されており、且つ、相対位置検出手段によって検出された相対位置に対応する相対距離が予め設定された所定距離以下となったタイミングである。
第5の発明は、上記第1の発明において、前記基準線生成手段が、前記所定のタイミングにおける自車両の位置を基準とする地上固定座標上に、前記基準線を生成する。
第6の発明は、上記第5の発明において、前記基準線生成手段が、前記基準線として、予め設定された半径を有する円弧を生成する。
第7の発明は、上記第6の発明において、前記基準線生成手段が、前記基準線として、前記所定のタイミングにおける自車両の位置から、自車両の車幅方向の前記対向車線側に、前記第1オフセット量としての予め設定された第1距離だけ離間した位置である自車両側端点を一方端とし、前記所定のタイミングにおける対向車両の位置から、前記対向車両の車幅方向の前記走行車線側に前記第2オフセット量としての予め設定された第2距離だけ離間した位置である対向車両側端点を他方端とする円弧を生成する。
第8の発明は、上記第7の発明において、前記自車両側端点と前記対向車両側端点との距離、及び、前記対向車両側端点から前記座標を規定する幅方向座標軸におろした垂線の足と、前記自車両側端点との距離に基づいて、前記円弧の半径を求める半径算出手段を備え、前記基準線生成手段が、前記基準線として、前記半径算出手段によって求められた半径を有する円弧を生成する。
第9の発明は、上記第7の発明において、前記所定のタイミングにおいて、前記相対位置検出手段によって検出された相対位置に基づいて、前記第2距離を設定する距離設定手段を備え、前記基準線生成手段が、前記基準線として、前記距離設定手段によって設定された第2距離に基づいて前記円弧を生成する。
第10の発明は、上記第9の発明において、前記所定のタイミングにおいて、前記移動量検出手段によって検出された進行方向、進行速度、及び、前記相対位置検出手段によって検出された相対位置に基づいて、前記対向車両の進行方向を求める進行方向算出手段を備え、前記距離設定手段が、前記進行方向算出手段によって求められた対向車両の進行方向に基づいて前記第2距離を設定する。
第11の発明は、上記第10の発明において、前記距離設定手段が、自車両と前記対向車両とを結ぶ線分を基準として、前記進行方向算出手段によって求められた対向車両の進行方向のなす角である対向車両進行角に基づいて、前記第2距離を設定する。
第12の発明は、上記第11の発明において、前記距離設定手段が、前記対向車両進行角が大きい程、前記第2距離として大きな値を設定する。
第13の発明は、上記第6の発明において、前記第1進入判定手段が、前記座標上における前記対向車両の位置と前記円弧の中心位置との距離を求め、求められた距離が前記円弧の半径より大きいか否かに基づいて、前記対向車両が前記仮想センターラインを超えて前記走行車線側に進入したか否かを判定する。
第14の発明は、車両に搭載され、該車両の走行車線に対向する車線である対向車線を走行する対向車両と衝突する可能性の有無を推定する衝突推定装置であって、自車両の進行方向及び進行速度を検出する移動量検出手段と、前記対向車両の自車両からの相対位置を検出する相対位置検出手段と、予め設定された所定のタイミングにおいて、前記移動量検出手段によって検出された進行方向、及び、前記相対位置検出手段によって検出された相対位置に基づいて、座標上に、衝突の可能性の判断基準となる仮想的なセンターラインである仮想センターラインを規定する基準線を、自車両と前記対向車両との間に生成する基準線生成手段と、前記移動量検出手段によって検出された進行方向及び進行速度に基づいて、前記座標上での自車両の位置を求める第2位置算出手段と、前記第2位置算出手段によって求められた自車両の位置に基づいて、自車両が、前記仮想センターラインを超えて前記対向車線側に進入したか否かを判定する第2進入判定手段と、前記第2進入判定手段によって対向車線側に進入したと判定された場合に、前記対向車両と衝突する可能性があると判定する可能性推定手段と、を備える。前記基準線は、所定のタイミングにおいて、自車両からの第1オフセット量を有するとともに、前記所定のタイミングにおける前記対向車両の前記相対位置に基づく前記対向車両からの第2オフセット量を有するものであってよい。
第15の発明は、車両の走行車線に対向する車線である対向車線を走行する対向車両と衝突する可能性の有無を推定する衝突推定プログラムであって、該車両に搭載されたコンピュータを、自車両の進行方向及び進行速度を検出する移動量検出手段、前記対向車両の自車両からの相対位置を検出する相対位置検出手段、予め設定された所定のタイミングにおいて、前記移動量検出手段によって検出された進行方向、及び、前記相対位置検出手段によって検出された相対位置に基づいて、座標上に、衝突の可能性の判断基準となる仮想的なセンターラインである仮想センターラインを規定する基準線を、自車両と前記対向車両との間に生成する基準線生成手段、前記移動量検出手段によって検出された進行方向、進行速度、及び、前記相対位置検出手段によって検出された相対位置に基づいて、前記座標上での前記対向車両の位置を求める第1位置算出手段、前記第1位置算出手段によって求められた前記対向車両の位置に基づいて、前記対向車両が、前記仮想センターラインを超えて前記走行車線側に進入したか否かを判定する第1進入判定手段、及び、前記第1進入判定手段によって走行車線側に進入したと判定された場合に、前記対向車両と衝突する可能性があると判定する可能性推定手段、として機能させる。前記基準線は、所定のタイミングにおいて、自車両からの第1オフセット量を有するとともに、前記所定のタイミングにおける前記対向車両の前記相対位置に基づく前記対向車両からの第2オフセット量を有するものであってよい。
第16の発明は、車両の走行車線に対向する車線である対向車線を走行する対向車両と衝突する可能性の有無を推定する衝突推定プログラムであって、該車両に搭載されたコンピュータを、自車両の進行方向及び進行速度を検出する移動量検出手段、前記対向車両の自車両からの相対位置を検出する相対位置検出手段、予め設定された所定のタイミングにおいて、前記移動量検出手段によって検出された進行方向、及び、前記相対位置検出手段によって検出された相対位置に基づいて、座標上に、衝突の可能性の判断基準となる仮想的なセンターラインである仮想センターラインを規定する基準線を、自車両と前記対向車両との間に生成する基準線生成手段、前記移動量検出手段によって検出された進行方向及び進行速度に基づいて、前記座標上での自車両の位置を求める第2位置算出手段、前記第2位置算出手段によって求められた自車両の位置に基づいて、自車両が、前記仮想センターラインを超えて前記対向車線側に進入したか否かを判定する第2進入判定手段、及び、前記第2進入判定手段によって対向車線側に進入したと判定された場合に、前記対向車両と衝突する可能性があると判定する可能性推定手段、として機能させる。前記基準線は、所定のタイミングにおいて、自車両からの第1オフセット量を有するとともに、前記所定のタイミングにおける前記対向車両の前記相対位置に基づく前記対向車両からの第2オフセット量を有するものであってよい。
上記第1の発明、及び、上記第15の発明によれば、自車両の進行方向及び進行速度が検出され、対向車両の自車両からの相対位置が検出される。そして、予め設定された所定のタイミングにおいて、検出された進行方向、及び、検出された対向車両の相対位置に基づいて、座標上に、衝突の可能性の判断基準となる仮想的なセンターラインである仮想センターラインを規定する基準線が、自車両と対向車両との間に生成される。また、検出された進行方向、進行速度、及び、検出された相対位置に基づいて、座標上での対向車両の位置が求められる。そして、求められた対向車両の位置に基づいて、対向車両が、仮想センターラインを超えて走行車線側に進入したか否かが判定され、走行車線側に進入したと判定された場合に、対向車両と衝突する可能性があると判定されるため、カーブ路等において対向車両と衝突する可能性の有無を適正に推定することができる。
すなわち、予め設定された所定のタイミングにおいて、検出された進行方向、及び、検出された対向車両の相対位置に基づいて、座標上に、衝突の可能性の判断基準となる仮想的なセンターラインである仮想センターラインを規定する基準線が、自車両と対向車両との間に生成されるため、センターラインのないカーブ路等を走行している場合であっても、対向車両と衝突する可能性の有無を適正に推定することができるのである。
また、座標上の対向車両の位置に基づいて、対向車両が仮想センターラインを超えて走行車線側に進入したと判定された場合に、対向車両と衝突する可能性があると判定されるため、適正な位置に仮想センターラインを生成することによって、カーブ路等において、対向車両が自車両の走行車線にはみ出すことに起因して対向車両と衝突する可能性の有無を適正に推定することができるのである。
上記第2の発明によれば、レーダセンサを介して対向車両の相対位置が検出されるため、簡素な構成で、正確な相対位置を検出することができる。
上記第3の発明によれば、所定のタイミング(=仮想センターラインを規定する基準線を生成するための進行方向及び相対位置を検出するタイミング)が、レーダセンサによって対向車両が捕捉されたタイミングであるため、対向車両と衝突する可能性の有無を可能な限り早期に推定することができる。
上記第4の発明によれば、所定のタイミング(=仮想センターラインを規定する基準線を生成するための進行方向及び相対位置を検出するタイミング)が、レーダセンサによって対向車両が捕捉されており、且つ、検出された相対位置に対応する相対距離が予め設定された所定距離以下となったタイミングであるため、所定距離として適正な値を設定することによって、対向車両と衝突する可能性の有無を適正なタイミングで推定することができる。
例えば、レーダセンサによって、遠方の(例えば、100m先の)対向車両が捕捉された場合には、レーダセンサによって対向車両が捕捉されたタイミングで仮想センターラインを規定する基準線を生成する場合には、自車両と対向車両との距離が大きすぎることに起因して、仮想センターラインとして適正な基準線を生成することができない場合があるのである。
上記第5の発明によれば、所定のタイミングにおける自車両の位置を基準とする地上固定座標上に、仮想センターラインを規定する基準線が生成されるため、簡素な構成で仮想センターラインを規定する基準線を生成することができる。
すなわち、自車両の位置を基準(例えば、原点)とする地上固定座標を、例えば、自車両の進行方向を一方の座標軸(例えば、Y軸)とし、自車両の幅方向を他方の座標軸(例えば、X軸)とする地上固定座標とすることによって、簡素な構成で生成することができる(図3参照)ので、簡素な構成で仮想センターラインを規定する基準線を生成することができるのである。
上記第6の発明によれば、仮想センターラインを規定する基準線として、予め設定された半径を有する円弧が生成されるため、簡素な構成で対向車両と衝突する可能性の有無を適正に推定することが可能となる。
すなわち、例えば、対向車両の位置と円弧の中心位置との距離を求め、求められた距離が円弧の半径より大きいか否かに基づいて、カーブ路等において、対向車両が仮想センターラインを超えて走行車線側に進入したか否かを判定することができるのである。
上記第7の発明によれば、仮想センターラインを規定する基準線として、所定のタイミングにおける自車両の位置から、自車両の車幅方向の対向車線側に、予め設定された第1距離だけ離間した位置である自車両側端点を一方端とし、所定のタイミングにおける対向車両の位置から、対向車両の車幅方向の走行車線側に予め設定された第2距離だけ離間した位置である対向車両側端点を他方端とする円弧が生成されるため、第1距離及び第2距離を適正な値に設定することによって、カーブ路等において仮想センターラインを規定する適正な基準線を生成することができる。
すなわち、第1距離は、自車両が車幅方向に仮想センターラインと離間する距離であり、第2距離は、対向車両が車幅方向に仮想センターラインと離間する距離であるため、第1距離及び第2距離を適正な値に設定することによって、カーブ路等において仮想センターラインを規定する適正な基準線を生成することができるのである。
上記第8の発明によれば、自車両側端点と対向車両側端点との距離、及び、対向車両側端点から座標を規定する幅方向座標軸におろした垂線の足と、自車両側端点との距離に基づいて、円弧の半径が求められ、基準線として、求められた半径を有する円弧が生成されるため、カーブ路等において仮想センターラインを規定する適正な基準線(=円弧)を生成することができる。
すなわち、自車両側端点P10と対向車両側端点P3との距離LP、及び、対向車両側端点P3から座標を規定する幅方向座標軸におろした垂線の足と、自車両側端点P10との距離LWに基づいて、次の(1)式によって、半径Rを求めることができるのである(図5参照)。
R=LP2/(2×LW) (1)
上記第9の発明によれば、所定のタイミングにおいて検出された相対位置に基づいて、第2距離が設定されるため、第2距離として適正な値を設定することが可能となる。そして、基準線として、設定された第2距離に基づいて円弧が生成されるため、カーブ路等において仮想センターラインを規定する更に適正な基準線(=円弧)を生成することができる。
すなわち、例えば、レーダを介して検出される対向車両の相対位置は、対向車両の進行方向等によって検出される対向車両の幅方向位置(=レーダの反射点)が変化する(図4参照)ため、対向車両の相対位置に基づいて第2距離を設定することによって、第2距離として適正な値を設定することが可能となるのである。
上記第10の発明によれば、所定のタイミングにおいて、検出された自車両の進行方向、進行速度、及び、検出された対向車両の相対位置に基づいて、対向車両の進行方向が求められ、求められた対向車両の進行方向に基づいて第2距離が設定されるので、第2距離として適正な値を設定することが可能となる。
上記第11の発明によれば、自車両と対向車両とを結ぶ線分を基準として、対向車両の進行方向のなす角である対向車両進行角φに基づいて、第2距離Δaが設定されるため、第2距離Δaとして適正な値を設定することができる(図4参照)。
上記第12の発明によれば、対向車両進行角φが大きい程、第2距離Δaとして大きな値が設定されるため、第2距離Δaとして適正な値を設定することができる(図4参照)。
すなわち、対向車両進行角φが大きい程、仮想センターラインから離間する側がレーダの反射点となる(図4(a)参照)ため、対向車両進行角φが大きい程、第2距離Δaとして大きな値を設定する(図4(b)参照)ことによって、第2距離Δaとして適正な値を設定することができるのである。
上記第13の発明によれば、座標上における対向車両の位置と円弧の中心位置PCとの距離L2が求められ、求められた距離L2が円弧の半径Rより大きいか否かに基づいて、対向車両が仮想センターラインCLを超えて走行車線側に進入したか否かが判定されるため、カーブ路等において簡素な構成で対向車両が仮想センターラインを超えて走行車線側に進入したか否かを判定することができる(図6参照)。
上記第14の発明、及び、上記第16の発明によれば、自車両の進行方向及び進行速度が検出され、対向車両の自車両からの相対位置が検出される。そして、予め設定された所定のタイミングにおいて、検出された進行方向、及び、検出された対向車両の相対位置に基づいて、座標上に、衝突の可能性の判断基準となる仮想的なセンターラインである仮想センターラインを規定する基準線が、自車両と対向車両との間に生成される。また、検出された進行方向及び進行速度に基づいて、座標上での自車両の位置が求められる。そして、求められた自車両の位置に基づいて、自車両が仮想センターラインを超えて対向車線側に進入したか否かが判定される、対向車線側に進入したと判定された場合に、対向車両と衝突する可能性があると判定されるため、カーブ路等において対向車両と衝突する可能性の有無を適正に推定することができる。
すなわち、予め設定された所定のタイミングにおいて、検出された進行方向、及び、検出された対向車両の相対位置に基づいて、座標上に、衝突の可能性の判断基準となる仮想的なセンターラインである仮想センターラインを規定する基準線が、自車両と対向車両との間に生成されるため、センターラインのないカーブ路等を走行している場合であっても、対向車両と衝突する可能性の有無を適正に推定することができるのである。
また、座標上の自車両の位置に基づいて、自車両が仮想センターラインを超えて対向車線側に進入したと判定された場合に、対向車両と衝突する可能性があると判定されるため、適正な位置に仮想センターラインを生成することによって、カーブ路等において自車両が対向車線にはみ出すことに起因して対向車両と衝突する可能性の有無を適正に推定することができるのである。
以下、図面を参照して本発明に係る衝突推定装置の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る衝突推定装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本発明に係る衝突推定ECU(Electronic Control Unit)1(=衝突推定装置に相当する)は、周辺機器としての入力機器2と通信可能に接続されている。
まず、図1を参照して、衝突推定ECU1の入力機器2について説明する。入力機器2は、車速センサ21、ヨーレートセンサ22、ステアリングセンサ23、及び、レーダセンサ24を備えている。車速センサ21は、車速を検出するセンサであって、衝突判定ECU1(ここでは、移動量検出部101)に対して、車速を示す信号を出力する。
ヨーレートセンサ22は、レートジャイロ等からなり、ヨー角の変化する速さ(=車両の重心点を通る鉛直軸廻りの回転角速度)を示すヨーレートを検出するセンサであって、衝突判定ECU1(ここでは、移動量検出部101)に対して、ヨーレート示す信号を出力する。ステアリングセンサ23は、操舵角を検出するセンサであって、衝突判定ECU1(ここでは、移動量検出部101)に対して、操舵角を示す信号を出力する。
レーダセンサ24は、例えば、ミリ波レーダ等を介して、対向車両との相対位置を検出するセンサであって、衝突判定ECU1(ここでは、相対位置検出部102)に対して、相対位置を示す信号を出力する。
図2は、レーダセンサ24の検出範囲の一例を示す平面図である。レーダセンサ24(24R、24L)は、車両の前端部に車幅方向に2個搭載されている。各レーダセンサ24R、24Lは、それぞれ、車両の前後方向の中心線(図の一点鎖線)に対して、予め設定された所定角θ1(例えば、25°)だけ右側(又は、左側)に傾斜した方向を中心(図の二点鎖線)として、予め設定された拡がり角θ2(例えば、40°)の範囲内であって、各レーダセンサ24R、24Lからの距離が検出可能距離LR(例えば、30m)以下の領域(図の扇形の領域)を検出可能に構成されている。
本実施形態においては、車両に、レーダセンサ24が2個搭載されている場合について説明するが、レーダセンサ24が1個だけ搭載されている形態でも良いし、レーダセンサ24が3個以上搭載されている形態でも良い。
次に、図1を用いて、衝突推定ECU1の機能構成について説明する。衝突判定ECU1は、機能的に、移動量検出部101、相対位置検出部102、進行方向算出部103、距離設定部104、半径算出部105、基準線生成部106、第1位置算出部107、第2位置算出部108、第1進入判定部109、第2進入判定部110、及び、可能性推定部111を備えている。
なお、衝突推定ECU1は、衝突推定ECU1の適所に配設されたマイクロコンピュータ(コンピュータに相当する)に、衝突推定ECU1の適所に配設されたROM(Read Only Memory)等に予め格納された制御プログラムを実行させることにより、当該マイクロコンピュータを、機能的に、移動量検出部101、相対位置検出部102、進行方向算出部103、距離設定部104、半径算出部105、基準線生成部106、第1位置算出部107、第2位置算出部108、第1進入判定部109、第2進入判定部110、可能性推定部111等の機能部として機能させる。
移動量検出部101(移動量検出手段に相当する)は、予め設定された所定時間(例えば、100msec)毎に、車速センサ21を介して自車両の車速を検出すると共に、ヨーレートセンサ22及びステアリングセンサ23を介して自車両の進行方向を検出する機能部である。
なお、本実施形態においては、移動量検出部101が、ヨーレートセンサ22及びステアリングセンサ23を介して自車両の進行方向を検出する場合について説明するが、移動量検出部101が、ヨーレートセンサ22又はステアリングセンサ23を介して自車両の進行方向を検出する形態でも良い。
相対位置検出部102(相対位置検出手段に相当する)は、予め設定された所定時間(例えば、100msec)毎に、レーダセンサ24を介して対向車両の自車両からの相対位置を検出する機能部である。このようにして、相対位置検出部102がレーダセンサを介して対向車両の相対位置を検出するため、簡素な構成で、正確な相対位置を検出することができる。
なお、本実施形態においては、相対位置検出部102が、レーダセンサ24を介して対向車両の自車両からの相対位置を検出する場合について説明するが、相対位置検出部102が、その他のセンサ(例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサ等の画像センサ、超音波センサ等)を介して対向車両の自車両からの相対位置を検出する形態でも良い。
基準線生成部106(基準線生成手段に相当する)は、予め設定された所定のタイミングにおいて、移動量検出部101によって検出された進行方向、及び、相対位置検出部102によって検出された相対位置に基づいて、地上固定座標上に、衝突の可能性の判断基準となる仮想的なセンターラインである仮想センターラインを規定する基準線CLを、自車両VC1と対向車両VC2との間に生成する機能部である。
なお、仮想センターラインを規定する「基準線」は、直線及び曲線を含む。すなわち、「基準線」は、例えば、直線、円弧、2次曲線等を含む。従って、自車両VC1が、本実施形態において説明するカーブ路を走行している場合に限らず、直線路(=直線状の道路)等を走行している場合にも本発明を適用することができる。
図3は、基準線生成部106が生成する仮想センターラインを規定する基準線CLの一例を示す平面図である。本実施形態においては、自車両VC1が右カーブを走行している場合について説明する。基準線生成部106は、レーダセンサ24Rによって対向車両VC2が捕捉されたタイミングにおいて、移動量検出部101によって検出された進行方向、及び、相対位置検出部102によって検出された相対位置に基づいて、基準線CLを生成する。また、基準線生成部106は、レーダセンサ24Rによって対向車両VC2が捕捉されたタイミングにおける自車両VC1の位置P0を基準(ここでは、原点)とする地上固定座標(座標に相当する)上に、基準線CLを生成する。
すなわち、本実施形態においては、座標は、自車両VC1の位置P0(ここでは、自車両VC1の両側の後輪の中央位置)を原点とし、自車両VC1の進行方向を一方の座標軸(ここでは、Y軸)とし、自車両VC1の幅方向を他方の座標軸(ここでは、X軸)とする地上固定座標である。
このようにして、所定のタイミングにおける自車両VC1の位置P0を基準とする地上固定座標上に、仮想センターラインを規定する基準線CLが生成されるため、簡素な構成で仮想センターラインを規定する基準線CLを生成することができる。
つまり、自車両VC1の位置P0を基準(例えば、原点)とする地上固定座標は、図3に示すように、自車両VC1の進行方向を一方の座標軸(ここでは、Y軸)とし、自車両の幅方向を他方の座標軸(ここでは、X軸)とすることによって、簡素な構成で生成することができるので、簡素な構成で仮想センターラインを規定する基準線CLを生成することができるのである。
なお、本実施形態においては、座標が、地上固定座標である場合について説明するが、座標が、その他の座標である形態でも良い。例えば、座標が、自車両VC1の位置を基準とする座標である形態でも良い。この場合には、基準線生成部106によって生成された基準線CLを、レーダセンサ24Rによって対向車両VC2が捕捉されたタイミング以降における自車両VC1の位置の変化に応じて、座標上で移動させる必要がある。
また、本実施形態においては、基準線生成部106が、レーダセンサ24Rによって対向車両VC2が捕捉されたタイミングにおいて、基準線CLを生成する場合について説明するが、基準線生成部106が、レーダセンサ24Rによって対向車両VC2が捕捉されており、且つ、相対位置検出部102によって検出された相対位置に対応する相対距離が予め設定された所定距離(例えば、20m)以下となったタイミングで、基準線CLを生成する形態でも良い。この場合には、所定距離として適正な値を設定することによって、対向車両と衝突する可能性の有無を適正なタイミングで推定することができる。
更に、基準線生成部106は、基準線CLとして、半径算出部105によって求められた半径Rを有する円弧CLを生成する(図5参照)。加えて、基準線生成部106は、基準線CLとして、レーダセンサ24Rによって対向車両VC2が捕捉されたタイミング(=所定のタイミング)における自車両VC1の位置P0から、自車両VC1の車幅方向の対向車線側に、予め設定されたオフセット量Δb(第1距離に相当する)だけ離間した位置である自車両側端点P10を一方端とし、所定のタイミングにおける対向車両VC2の位置P20から、対向車両VC2の車幅方向の走行車線側に、距離設定部104によって設定されたオフセット量Δa(第2距離に相当する)だけ離間した位置である対向車両側端点P3を他方端とする円弧CLを生成する。
ここで、オフセット量Δb(第1距離に相当する)は、自車両VC1が車幅方向に仮想センターラインを規定する基準線CLと離間する距離であり、オフセット量Δa(第2距離に相当する)は、対向車両VC2が車幅方向に仮想センターラインを規定する基準線CLと離間する距離である。そこで、オフセット量Δbは、例えば、車線幅の半分(例えば、2m)に予め設定されている。
このようにして、所定のタイミング(=仮想センターラインを規定する基準線CLを生成するための進行方向及び相対位置を検出するタイミング)が、レーダセンサ24によって対向車両VC2が捕捉されたタイミングであるため、対向車両VC2と衝突する可能性の有無を可能な限り早期に推定することができる。
本実施形態においては、所定のタイミングがレーダセンサ24によって対向車両VC2が捕捉されたタイミングである場合について説明するが、所定のタイミングがその他のタイミングである形態でも良い。例えば、所定のタイミングが、レーダセンサ24によって対向車両VC2が捕捉され、且つ、移動量検出部101によって検出された進行方向が直進方向から予め設定された所定角度以上傾いている(=自車両VC1が、カーブ路を走行している)と判定されたタイミングである形態でも良い。この場合には、更に適正なタイミングで仮想センターラインを規定する基準線CLを生成することができる。
すなわち、例えば、カーブ路の手前に直線状の道路があり、自車両VC1がこの直線状の道路を走行している際に、レーダセンサ24が斜め前方の対向車両VC2を捕捉した場合には、レーダセンサ24が対向車両VC2を捕捉したタイミングで仮想センターラインを規定する基準線CLを生成すると、適正な基準線CLを生成することができない場合がある。そこで、自車両VC1が、カーブ路に進入したタイミングで仮想センターラインを規定する基準線CLを生成することによって、適正な基準線CLを生成することができるのである。
進行方向算出部103(進行方向算出手段に相当する)は、移動量検出部101によって検出された自車両の進行方向、進行速度、及び、相対位置検出部102によって検出された相対位置に基づいて、対向車両の進行方向を求める機能部である。例えば、進行方向算出部103は、まず、移動量検出部101によって検出された自車両の進行方向及び進行速度から、自車両の進行方向及び進行速度を示すベクトルである進行ベクトルを求める。また、進行方向算出部103は、相対位置検出部102によって検出された相対位置の時間的変化から相対速度ベクトルを求める。そして、進行方向算出部103は、自車両の進行ベクトルと相対速度ベクトルとを加算して対向車両の進行ベクトルを求め、求められた対向車両の進行ベクトルの向きを対向車両の進行方向として求める。
距離設定部104(距離設定手段に相当する)は、移動量検出部101によって検出された自車両VC1の進行方向、進行速度、及び、相対位置検出部102によって検出された対向車両VC2の相対位置に基づいて、オフセット量Δa(第2距離に相当する)を設定する機能部である。具体的には、距離設定部104は、自車両VC1と対向車両VC2とを結ぶ線分を基準として、対向車両VC2の進行方向のなす角である対向車両進行角φに基づいて、オフセット量Δaを設定する。また、距離設定部104は、対向車両進行角φが大きい程、オフセット量Δaとして大きな値を設定する。
図4は、距離設定部104によるオフセット量Δaの設定方法の一例を説明するための説明図である。図4(a)は、対向車両VC2の反射点の変化を示す平面図である。レーダセンサ24Rでは、対向車両VC2におけるレーダセンサ24Rからの距離が最短の位置がレーダ波の反射点(図の黒丸印の位置)として検出されるため、図4(a)に示すように、対向車両VC2の進行に伴って、反射点の位置は、反射点P20、P21、P22のように、対向車両VC2の左側先端部から右側先端部へ向けて幅方向に変化する。
そこで、対向車両VC2が対向車線の幅方向中央を走行している場合であっても、レーダセンサ24を介して相対位置検出部102によって検出される対向車両VC2の相対位置は、自車両VC1の走行車線側へ向かっていると検出される。そこで、レーダ波の反射点の変化に伴う、基準線生成部106によって生成される仮想センターラインを規定する基準線CLの変動を補正するために、距離設定部104は、自車両VC1と対向車両VC2とを結ぶ線分(図の破線)を基準として、対向車両VC2の進行方向のなす角である対向車両進行角φに基づいて、オフセット量Δaを設定する。
図4(b)は、オフセット量Δaと対向車両進行角φとの関係の一例を示すグラフである。図の横軸は、対向車両進行角φであって、縦軸はオフセット量Δaである。図に示すように、距離設定部104は、対向車両進行角φが大きい程、オフセット量Δaとして大きな値を設定する。なお、対向車両進行角φは、時計回りの向きを正とし、反時計回りの向きを負としている。
このようにして、対向車両進行角φが大きい程、仮想センターラインから離間する側がレーダの反射点となる(図4(a)参照)ため、対向車両進行角φが大きい程、オフセット量Δaとして大きな値を設定する(図4(b)参照)ことによって、オフセット量Δaとして適正な値を設定することができるのである。
なお、本実施形態においては、距離設定部104が、対向車両進行角φに基づいてオフセット量Δaを設定する場合について説明するが、距離設定部104が、少なくとも対向車両VC2の相対位置に基づいて、オフセット量Δaを設定する形態であれば良い。例えば、距離設定部104が、対向車両VC2の相対位置のX軸方向成分が大きい程、オフセット量Δaとして大きな値を設定する形態でも良い。この場合には、対向車両進行角φを求める必要がないため、処理が簡略化される。
再び、図2に戻って、衝突推定ECU1の機能構成について説明する。半径算出部105(半径算出手段に相当する)は、自車両側端点P10と対向車両側端点P3との距離LP、及び、対向車両側端点P3から座標を規定する幅方向座標軸(ここでは、X軸)におろした垂線の足と、自車両側端点P10との距離LWに基づいて、円弧の半径Rを求める機能部である。具体的には、半径算出部105は、次の(2)式(上述の(1)式を便宜上再掲している)によって、円弧の半径Rを求める。
R=LP2/(2×LW) (2)
図5は、半径算出部105による半径Rの算出方法の一例を説明する平面図である。距離LWは、対向車両側端点P3と円弧の中心点PCとを結ぶ線分のX軸に対してなす角ψを用いて、図に示す幾何学的な関係から次の(3)式で表される。
LW=R×(1−cosψ) (3)
ここで、ψ=0を中心として関数(1−cosψ)をテイラー(Taylor)展開し、2次までの項をとると、(ψ2/2)となるため、角ψが小さい場合には、次の(4)式が成立する。
LW≒R×(ψ2/2) (4)
また、角ψが小さい場合には、次の(5)式が成立する。
ψ≒sinψ=LD/R≒LP/R (5)
この(5)式を(4)式に代入すると、次の(6)式が得られる。
W=R×LP2/(2×R2)=LP2/(2×R) (6)
この(6)式から、上記(2)式が求められるのである。
このようにして、自車両側端点P10と対向車両側端点P3との距離LP、及び、対向車両側端点P3から座標を規定する幅方向座標軸におろした垂線の足と、自車両側端点P10との距離LWに基づいて、上記の(2)式によって、簡単な演算で適正な半径Rを求めることができる。
再び、図2に戻って、衝突推定ECU1の機能構成について説明する。第1位置算出部107(第1位置算出手段に相当する)は、移動量検出部101によって検出された自車両VC1の進行方向、進行速度、及び、相対位置検出部102によって検出された対向車両VC2の相対位置に基づいて、地上固定座標上での対向車両VC2の位置を求める機能部である。
第2位置算出部108(第2位置算出手段に相当する)は、移動量検出部101によって検出された自車両VC1の進行方向及び進行速度に基づいて、地上固定座標上での自車両VC1の位置を求める機能部である。
第1進入判定部109(第1進入判定手段に相当する)は、第1位置算出部108によって求められた対向車両VC2の位置に基づいて、対向車両VC2が、仮想センターラインを超えて走行車線側に進入したか否かを判定する機能部である。
図6は、第1進入判定部109による判定方法の一例を示す平面図である。図に示すように、第1進入判定部109は、地上固定座標上における対向車両VC2の位置P23と円弧CLの中心位置PCとの距離L2を求め、求められた距離L2が円弧CLの半径Rより大きいか否かに基づいて、対向車両VC2が仮想センターラインを超えて走行車線側に進入したか否かを判定する。すなわち、第1進入判定部109は、距離L2が半径Rより大きい場合に、対向車両VC2が走行車線側に進入したと判定する。
このようにして、地上固定座標上における対向車両VC2の位置P23と円弧CLの中心位置PCとの距離L2が半径Rより大きいか否かに応じて、対向車両VC2が仮想センターラインを超えて走行車線側に進入したか否かを判定することができるので、カーブ路等において対向車両VC2が仮想センターラインを超えて走行車線側に進入したか否かを、容易に且つ正確に判定することができる。
再び、図2に戻って、衝突推定ECU1の機能構成について説明する。第2進入判定部110(第2進入判定手段に相当する)は、第2位置算出部108によって求められた自車両VC1の位置に基づいて、自車両VC1が、仮想センターラインを超えて対向車線側に進入したか否かを判定する機能部である。具体的には、第2進入判定部110は、地上固定座標上における自車両VC1の位置と円弧CLの中心位置PCとの距離L1を求め、求められた距離L1が円弧CLの半径Rより大きいか否かに基づいて、自車両VC1が仮想センターラインを超えて対向車線側に進入したか否かを判定する。すなわち、第2進入判定部110は、自車両VC1の位置と円弧CLの中心位置PCとの距離L1が半径Rより小さい場合に、自車両VC1が対向車線側に進入したと判定する。
可能性推定部111(可能性推定手段に相当する)は、第1進入判定部109によって対向車両VC2が走行車線側に進入したと判定された場合に、対向車両VC2と衝突する可能性があると判定する機能部である。また、可能性推定部111は、第2進入判定部110によって自車両VC1が対向車線側に進入したと判定された場合に、対向車両VC2と衝突する可能性があると判定する。
図7は、図1に示す衝突推定ECU1の動作の一例を示すフローチャートである。まず、基準線生成部106によって、レーダセンサ24を介して対向車両VC2が捕捉されたか否かの判定が行われる(S101)。対向車両VC2が捕捉されていないと判定された場合(S101でNO)には、処理が待機状態とされる。対向車両VC2が捕捉されたと判定された場合(S101でYES)には、移動量検出部101によって、自車両VC1の車速及び進行方向が取得される(S103)。そして、相対位置検出部102によって、対向車両VC2の自車両VC1からの相対位置が取得される(S105)。次いで、距離設定部104等によって、オフセット量Δaを設定する処理である距離設定処理が実行される(S107)。次に、基準線生成部106によって、オフセット量Δbが設定される(S109)。そして、半径算出部105によって、仮想センターラインを規定する円弧CLの半径Rを求める処理である半径算出処理が実行される(S111)。次いで、基準線生成部106によって、地上固定座標上に、仮想センターラインを規定する基準線CLが生成される(S113)。次いで、可能性推定部111等によって、対向車両VC2と衝突する可能性の有無を判定する処理である可能性推定処理が実行され(S115)、処理が終了される。
図8は、図7に示すフローチャートのステップS107において実行される距離設定処理の一例を示す詳細フローチャートである。まず、進行方向算出部103によって、対向車両VC2の進行方向が求められる(S201)。そして、距離設定部104によって、自車両VC1と対向車両VC2とを結ぶ線分が求められる(S203)。次いで、距離設定部104によって、ステップS203で求められた線分を基準として、ステップS201で求められた対向車両VC2の進行方向のなす角である対向車両進行角φが求められる(S205)。次に、距離設定部104によって、ステップS205で求められた対向車両進行角φに基づいてオフセット量Δaが設定され(S207)、処理が図7に示すフローチャートのステップS107にリターンされる。
図9は、図7に示すフローチャートのステップS111において実行される半径算出処理の一例を示す詳細フローチャートである。なお、以下の処理は、全て半径算出部105によって実行される。まず、図7に示すフローチャートのステップS109において設定されたオフセット量Δbに基づいて、自車両側端点P10の位置が求められる(S301)。そして、図7に示すフローチャートのステップS107において設定されたオフセット量Δaに基づいて、対向車両側端点P3の位置が求められる(S303)。次いで、ステップS301で求められた自車両側端点P10と、ステップS303で求められた対向車両側端点P3との距離LPが求められる(S305)。次に、ステップS303で求められた対向車両側端点P3から座標を規定する幅方向座標軸(ここでは、X軸)におろした垂線の足と、ステップS301で求められた自車両側端点P10との距離LWが求められる(S307)。そして、ステップS305で求められた距離LPと、ステップS307で求められた距離LWから、上記(2)式を用いて、円弧CLの半径Rが求められる(S309)。次いで、円の中心点PCの位置が求められ(S311)、処理が図7に示すフローチャートのステップS113にリターンされる。
図10は、図7に示すフローチャートのステップS115において実行される可能性推定処理の一例を示す詳細フローチャートである。まず、移動量検出部101によって、自車両VC1の車速及び進行方向が取得される(S401)。そして、相対位置検出部102によって、対向車両VC2の自車両VC1からの相対位置が取得される(S403)。次に、第2位置算出部108によって、地上固定座標上での自車両VC1の位置が求められる(S405)。次いで、第2進入判定部110によって、自車両VC1の位置と円弧CLの中心位置PCとの距離L1が求められる(S407)。そして、第1位置算出部107によって、地上固定座標上での対向車両VC2の位置が求められる(S409)。次に、第1進入判定部109によって、対向車両VC2の位置と円弧CLの中心位置PCとの距離L2が求められる(S411)。
そして、第2進入判定部110によって、ステップS407で求められた距離L1が半径Rより小さいか否かの判定が行われる(S413)。距離L1が半径R以上であると判定された場合(S413でNO)には、第1進入判定部109によって、ステップS411で求められた距離L2が半径Rより大きいか否かの判定が行われる(S415)。距離L1が半径Rより小さいと判定された場合(S413でYES)、又は、距離L2が半径Rより大きいと判定された場合(S415でYES)には、可能性推定部111によって、対向車両VC2と衝突する可能性があると判定される(S417)。距離L2が半径R以下であると判定された場合(S415でNO)には、可能性推定部111によって、対向車両VC2と衝突する可能性がないと判定される(S419)。ステップS417又はステップS419の処理が終了した場合には、相対位置検出部102によって、レーダセンサ24を介して対向車両VC2が継続して捕捉されているか否か(=視野内にあるか否か)の判定が行われる(S421)。視野内にあると判定された場合(S421でYES)には、処理がステップS401に戻され、ステップS401以降の処理が繰り返し実行される。視野内にはないと判定された場合(S421でNO)には、処理が終了される。
このようにして、自車両VC1の進行方向及び進行速度が検出され、対向車両VC2の自車両VC1からの相対位置が検出される。そして、予め設定された所定のタイミングにおいて、検出された進行方向、及び、検出された対向車両の相対位置に基づいて、地上固定座標上に、衝突の可能性の判断基準となる仮想的なセンターラインである仮想センターラインを規定する基準線CLが、自車両VC1と対向車両VC2との間に生成される。また、予め設定された所定時間(ここでは、100msec)毎に、検出された進行方向、進行速度、及び、検出された相対位置に基づいて、地上固定座標上での対向車両VC2の位置が求められる。そして、求められた対向車両VC2の位置に基づいて、対向車両VC2が、仮想センターラインを超えて走行車線側に進入したか否かが判定され、走行車線側に進入したと判定された場合に、対向車両VC2と衝突する可能性があると判定されるため、カーブ路等において対向車両VC2と衝突する可能性の有無を適正に推定することができる。
すなわち、予め設定された所定のタイミングにおいて、検出された進行方向、及び、検出された対向車両VC2の相対位置に基づいて、地上固定座標上に、衝突の可能性の判断基準となる仮想的なセンターラインである仮想センターラインを規定する基準線CLが、自車両VC1と対向車両VC2との間に生成されるため、センターラインのないカーブ路等を走行している場合であっても、対向車両VC2と衝突する可能性の有無を適正に推定することができるのである。
また、地上固定座標上の対向車両VC2の位置に基づいて、対向車両VC2が仮想センターラインを超えて走行車線側に進入したと判定された場合に、対向車両VC2と衝突する可能性があると判定されるため、適正な位置に仮想センターラインを生成することによって、カーブ路等において、対向車両VC2が自車両VC1の走行車線にはみ出すことに起因して対向車両VC2と衝突する可能性の有無を適正に推定することができるのである。
また、予め設定された所定時間(ここでは、100msec)毎に、検出された進行方向及び進行速度に基づいて、地上固定座標上での自車両VC1の位置が求められる。そして、求められた自車両VC1の位置に基づいて、自車両VC1が仮想センターラインを超えて対向車線側に進入したか否かが判定される、対向車線側に進入したと判定された場合に、対向車両VC2と衝突する可能性があると判定されるため、カーブ路等において対向車両VC2と衝突する可能性の有無を適正に推定することができる。
すなわち、地上固定座標上の自車両VC1の位置に基づいて、自車両VC1が仮想センターラインを超えて対向車線側に進入したと判定された場合に、対向車両VC2と衝突する可能性があると判定されるため、適正な位置に仮想センターラインを生成することによって、カーブ路等において自車両VC1が対向車線にはみ出すことに起因して対向車両VC2と衝突する可能性の有無を適正に推定することができるのである。
更に、仮想センターラインを規定する基準線CLとして、予め設定された半径Rを有する円弧CLが生成されるため、簡素な構成で対向車両VC2と衝突する可能性の有無を適正に推定することが可能となる。
すなわち、対向車両VC2の位置と円弧CLの中心位置PCとの距離L2を求め、求められた距離L2が円弧CLの半径Rより大きいか否かに基づいて、カーブ路等において、対向車両VC2が仮想センターラインを超えて走行車線側に進入したか否かを判定することができるのである。また、自車両VC1の位置と円弧CLの中心位置PCとの距離L1を求め、求められた距離L1が円弧CLの半径Rより小さいか否かに基づいて、カーブ路等において、自車両VC1が仮想センターラインを超えて対向車線側に進入したか否かを判定することができるのである。
加えて、仮想センターラインを規定する基準線CLとして、所定のタイミングにおける自車両VC1の位置P0から、自車両VC1の車幅方向の対向車線側に、予め設定されたオフセット量Δbだけ離間した位置である自車両側端点P10を一方端とし、所定のタイミングにおける対向車両VC2の位置P20から、対向車両VC2の車幅方向の走行車線側に予め設定されたオフセット量Δaだけ離間した位置である対向車両側端点P3を他方端とする円弧CLが生成されるため、オフセット量Δb及びオフセット量Δaを適正な値に設定することによって、カーブ路等において仮想センターラインを規定する適正な基準線CLを生成することができる。
すなわち、オフセット量Δbは、自車両VC1が車幅方向に仮想センターラインと離間する距離であり、オフセット量Δaは、対向車両VC2が車幅方向に仮想センターラインと離間する距離であるため、オフセット量Δb及びオフセット量Δaを適正な値に設定することによって、カーブ路等において仮想センターラインを規定する適正な基準線CLを生成することができるのである。
なお、本発明に係る衝突推定装置は、上記実施形態に係る衝突推定ECU1に限定されず、下記の形態でも良い。
(A)本実施形態においては、衝突推定ECU1が、機能的に、移動量検出部101、相対位置検出部102、進行方向算出部103、距離設定部104、半径算出部105、基準線生成部106、第1位置算出部107、第2位置算出部108、第1進入判定部109、第2進入判定部110、可能性推定部111等を備える場合について説明したが、移動量検出部101、相対位置検出部102、進行方向算出部103、距離設定部104、半径算出部105、基準線生成部106、第1位置算出部107、第2位置算出部108、第1進入判定部109、第2進入判定部110、及び、可能性推定部111の内、少なくとも1つの機能部が、電気回路等のハードウェアによって構成されている形態でも良い。
(B)本実施形態においては、基準線生成部106が、基準線CLとして予め設定された半径Rを有する円弧CLを生成する場合について説明したが、基準線生成部106が、基準線CLとしてその他の形状の曲線、又は、直線を生成する形態でも良い。例えば、基準線生成部106が、基準線CLとして2次曲線、3次曲線等の形状の曲線を生成する形態でも良い。また、例えば、基準線生成部106が、基準線CLとして直線(又は、折れ線)を生成する形態でも良い。
(C)本実施形態においては、基準線生成部106が、移動量検出部101によって検出された自車両VC1の進行方向、及び、相対位置検出部102によって検出された対向車両VC2の相対位置に基づいて、地上固定座標上に、衝突の可能性の判断基準となる仮想的なセンターラインである仮想センターラインを規定する基準線CLを、自車両VC1と前記対向車両VC2との間に生成する場合について説明したが、基準線生成部106が、自車両VC1の進行方向、対向車両VC2の相対位置に換えて(又は、加えて)、その他の情報に基づいて仮想センターラインを規定する基準線CLを生成する形態でも良い。
例えば、基準線生成部106が、自車両VC1が走行している道路上に描かれたセンターラインをCCD(Charge Coupled Device)カメラ等を介して検出し、検出されたセンターラインに基づいて仮想センターラインを規定する基準線CLを生成する形態でも良い。この場合には、現実のセンターラインに近い仮想センターラインを規定する基準線CLを生成することが可能となる。
また、例えば、基準線生成部106が、自車両VC1が走行している道路上の歩道と車道との境界線をCCD(Charge Coupled Device)カメラ等を介して検出し、検出された境界線に基づいて仮想センターラインを規定する基準線CLを生成する形態でも良い。すなわち、基準線生成部106が、例えば、仮想センターラインを規定する基準線CLとして、自車両VC1が走行している道路の両側に存在する2本の境界線の中心線を生成する。この場合には、仮想センターラインを規定する基準線CLを適正に生成することが可能となる。
(D)本実施形態においては、カーブ路が右カーブである場合について説明したが、カーブ路が左カーブである形態でも良い。この場合には、第1進入判定部109は、距離L2が円弧CLの半径Rより小さいときに、対向車両VC2が仮想センターラインを超えて走行車線側に進入したと判定する。また、第2進入判定部110は、距離L1が円弧CLの半径Rより大きいときに、自車両VC1が対向車線側に進入したと判定する。
(E)本実施形態においては、基準線生成部106が、レーダセンサ24Rによって対向車両VC2が捕捉されたタイミングにおいて、基準線CLを生成する場合について説明したが、基準線生成部106が、レーダセンサ24Rによって対向車両VC2が捕捉されたタイミングに換えて(又は、加えて)、他のタイミングにおいて、基準線CLを生成する形態でも良い。例えば、基準線生成部106が、レーダセンサ24Rによって対向車両VC2が捕捉されたタイミングで基準線CLを生成し、その後予め設定された所定期間(例えば、500msec)毎に、基準線CLを修正する(=補正する)形態でも良い。この場合には、更に適正な基準線CLを生成することができる。