JP5116475B2 - 結晶核剤組成物の製造方法及び結晶性高分子組成物 - Google Patents
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Description
また、結晶核剤の凝集防止として、無機物の表面に結晶核剤である環状リン酸エステルの金属塩を担持させる方法が特許文献7及び特許文献8に報告され、特許文献9には、無機の微粒子の凝集防止として、無機の微粒子と無機顔料を湿式の粉砕機で混合粉砕することによって、無機顔料表面に無機微粒子を担持させる方法が報告されている。
特許文献3〜6に記載の結晶核剤と脂肪族カルボン酸金属塩の共粉砕による製造方法は、粉砕槽内で粉砕物が固結し、生産性が低い問題点及び、該結晶核剤を含有してなる結晶性高分子材料にフィッシュアイが多量に発生して外観が損なわれる問題がある。特許文献7〜9に記載の製造方法は湿式での粉砕工程を含むために微粉砕物の乾燥工程を必要とするうえ、乾燥すると微粉砕物が再凝集し粉砕の効果が得られない問題がある。
種類又は2種類以上からなる結晶核剤成分の95質量%以上が、一次粒子径において0.8μm以下まで乾式の媒体攪拌粉砕機で微粉砕される第一工程と、前記工程で得られた結晶核剤成分の微粉砕物と下記一般式(II)で表される脂肪族カルボン酸金属塩1種類又は2種類以上からなる脂肪族カルボン酸金属塩成分を混合粉砕する第二工程を含んでなる結晶核剤組成物の製造方法を提供するものである。
上記結晶核剤成分とは、下記一般式(I)で表される結晶核剤化合物の1種類又は2種
類以上であり、上記脂肪族カルボン酸金属塩成分とは、下記一般式(II)で表される脂肪族カルボン酸金属塩の1種類又は2種類以上からなる脂肪族カルボン酸金属塩である。
ては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル等が挙げられ、R1、R2は同一でもよく、異なってもよい。R3で表される炭素原子数1〜4で表されるアルキル基としては、R1と同様の基が挙げられる。なお、R1及びR2は第三ブチル基であることが好ましく、R3は水素原子であることが最も好ましい。
〜No.6等が挙げられる。
また、金属塩としてMで表されるアルカリ金属は、リチウム、カリウム、ナトリウムが挙げられる。これらの中で、Mがリチウムである脂肪族カルボン酸が、上記一般式(I)
で表される結晶核剤と複合化された結晶核剤組成物を含む結晶性高分子組成物の透明性改善効果が高いので、好ましく使用される。
拌粉砕機で微粉砕する工程である。
等があり、いずれも採用することができる。また、必要に応じて粉砕室を冷却するジャケットを設けても良い。
X線回折条件:X線;Cu−Kα、管電圧/管電流;40kV/40mA、ゴニオメーター;水平ゴニオメーター、モノクロメーター;固定、アタッチメント;標準試料ホルダー、発散スリット;1/2°、発散縦制限スリット;10mm、散乱スリット;開放〜0.73mm、受光スリット;0.3mm、スキャンモード;2Theta/Theta、スキャンタイプ;連続スキャン、スキャンスピード;4°/min、試料;充填部20mm×18mm×深さ0.5mmの試料板に0.1g充填、標準試料;シリコン粉末高純度
単結晶シリコンを粉砕し、1μm以下の粒子径に分粒したものであり、〔図1〕に示すX線回折ピークを有するものである。
カルボン酸金属塩成分が5質量部より少ないと、上記混合粉砕による効果が得られなくなる場合があり、100質量部より多いと、脂肪族カルボン酸が粉砕槽で固着する場合がある。
ただし、一般式(II)で表される脂肪族カルボン酸金属塩は、後述のように第一工程で
存在すると固結などの問題を起こすため、第一工程において配合する場合は、微量の配合量とする必要がある。
アシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ第三ブチルフェ
ノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス (4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2
−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−
4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]
テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3
,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌ
レート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイル
オキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−
第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレ
ングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
該アシル誘導体化合物としては、酢酸、安息香酸、4−トリフルオロメチル安息香酸、サリチル酸、アクリル酸、メタクリル酸、シュウ酸、マロン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2
−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリト酸、トリメシン酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸モノ又はジアルキルエステル、ペンタン−1,3,5−トリカルボン酸、ペンタン−1,3,5−トリカルボン酸モノ又はジアルキルエステル、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸モノないしトリアルキルエステル、ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタカルボン酸、ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタカルボン酸モノないしテトラアルキルエステル、ヘキサン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボン酸、ヘキサン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボン酸モノないしペンタアルキルエステル等が挙げられる。
モノアルキルカルバモイル基を誘導するイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トランス−1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート等が挙げられる。ジアルキルカルバモイル基としては、ジエチルカルバモイル基、ジブチルカルバモイル基、ジヘキシルカルバモイル基、ジオクチルカルバモイル基等が挙げられる。
上記炭素原子数1〜18のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、イソノニルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ、オクタデシルオキシが挙げられ、炭素原子数1〜8のアルキル基としては、Reと同様の基が挙げられ、式(VI)のZ中のRfで表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、Reと同様の基が挙げられる。
ル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジルメタクリレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン等が挙げられる。
−ステアリルエルカ酸アミド等のN−置換脂肪酸アミド類;N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’−ジステアリルテレフタル酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等のN,N’−置換ジカルボン酸アミド類が挙げられる。これらは、1種類又は2種類以上の混合物で用いてもよい。
特に、フェノール系、リン系の抗酸化剤は、本発明の結晶核剤組成物を含有する結晶性高分子組成物の着色を防止するので、結晶性高分子に対して好適に使用される。
ム、シート等の食品包装材;容器ボトル、ストロー、コップ、保存用容器等の食品用途の成形品;発泡断熱材、発泡緩衝材等の緩衝材;マスク、靴カバー、ガウン、滅菌済みカバー等の繊維等が挙げられる。
分散溶媒は、界面活性剤A(アデカコールEC−4500;旭電化工業(株)製)2.0g、界面活性剤B(ルビスコールK−30;ビー・エー・エス・エフ社製)0.5gを1000mlのメスシリンダーに秤取し、500mlの蒸留水を加え、超音波照射によって界面活性剤A及び界面活性剤Bを完全に溶解させた後に、1000mlまで蒸留水を加え、放置して室温まで冷却したものを用いた。
上記の方法で調製した分散溶媒20mlをガラス瓶に秤取し、マグネチックスターラーで攪拌しながら、結晶核剤化合物(微粉砕物)40mgを徐々に加え、更に10分間攪拌して分散液とした。攪拌子を取り除き、ガラス瓶を粒度測定装置の所定の場所に設置して粒度分布(体積分布)を測定し、得られた粒度分布からメジアン径及び0.8μm以下の粒子径の割合を算出した。
尚、使用した装置の粒度測定可能範囲は50〜6000nmである。
広角X線回折測定機(Ultima+;(株)リガク製)を用いて結晶核剤化合物につ
いて下記の条件でX線回折測定を行い、2θ=6.5°〜7.4°におけるX線回折の最大強度を測定し、標準試料;X線回折法角度標準シリコン粉末(RSRP−43275G;(株)リガク製)のミラー指数(111)におけるピーク強度(2θ=28.44°±0.05°)に対する相対強度を算出した。
(X線回折測定条件)
X線回折分析条件:X線;Cu−Kα、管電圧/管電流;40kV/40mA、ゴニオメーター;水平ゴニオメーター、モノクロメーター;固定、アタッチメント;標準試料ホ
ルダー、発散スリット;1/2°、発散縦制限スリット;10mm、散乱スリット;開放
〜0.73mm、受光スリット;0.3mm、スキャンモード;2Theta/Theta、スキャンタイプ;連続スキャン、スキャンスピード;4°/min、試料;充填部20mm×18mm×深さ0.5mmの試料板に0.1g充填、標準試料;X線回折法角度標準シリコン粉末(RSRP−43275G;(株)リガク製)
ヘーズ値は、結晶核剤組成物を結晶性高分子に添加して、下記の加工条件で成形して得られるシート(一辺が60mm四方で1mm厚)の中心を、ISO14782の規格に沿って、ヘイズガードII((株)東洋精機製作所製)で測定した。
(加工条件)
230℃、21.2Nでのメルトフローインデックスが10g/10分であるエチレン/プロピレンのランダム共重合体(エチレン含有量;3質量%、数平均分子量;9.5×104、重量平均分子量;5.8×105)100質量部、フェノール系抗酸化剤;テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.1質量部、リン系抗酸化剤:トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.1質量部、ステアリン酸カルシウム0.1質量部及び表5記載の結晶核剤組成物0.2質量部をヘンシェルミキサー(FM200;三井鉱山(株)製)で1000rpm、1分間混合し、単軸押出機(OEX3024;(株)ディ・ディ・エム製)で、250℃、25rpmの条件で押出加工してペレットを製造し、射出成型機(EC100−2A;東芝機械(株)製)で、ペレットを230℃の射出温度で融かし、50−60MPaの射出圧力で金型に40秒間充填し、50℃の金型内で20秒間冷却後に、金型からシートを取り出す条件で、射出成形して一辺が60mm四方で厚みが1mmのシートを得た。該シートは射出成形後ただちに槽内温度が23℃である恒温槽で48時間以上静置した後に、評価に供した。
上記の加工成形で得たシートについて、ルーペを用いて目視で数え、1平方cm当たりの数を算出した。
第一工程として、定量フィーダーで結晶核剤化合物No.2を25kg/h連続的に媒体攪拌粉砕機(乾式攪拌ミルFK−300型;(株)栗本鐵工所製)に供給し、185Lの粉砕槽に粉砕媒体として直径2mmのアルミナ製のボール200kgを充填し(ボール充填率50%)、攪拌翼の回転速度が180rpm、粉砕室内における被粉砕物の平均滞留時間が14分間となる粉砕条件で結晶核剤化合物No.2を微粉砕し、一次粒子径は、メジアン径が0.16μm、粒子径が0.8μm以下であるものが99質量%以上、X線回折相対強度が0.47である結晶核剤微粉砕物Aを得た。
〔図2〕に、結晶核剤化合物No.2及び結晶核剤微粉砕物AのXRDチャートを示す。
次に第二工程として、前記工程で得た結晶核剤微粉砕物Aを25kg/h及び12−ヒドロキシステアリン酸リチウムを4.4kg/hとなるように乾式攪拌ミルFK−300型に供給し、185Lの粉砕槽に第一工程と同じ粉砕媒体のアルミナ製のボール150kgを充填し(ボール充填率37.5%)、攪拌翼の回転速度150rpmで、平均滞留時間が6分間となる粉砕条件で混合粉砕を行い結晶核剤組成物No.1を得た。
結晶核剤組成物No.1について、二次粒子径を測定したところ、メジアン径は1.17μm、95%粒子径は11μmであった。
本製造方法は第一工程と第二工程の媒体攪拌粉砕機を連結して連続的に結晶核剤組成物を製造することによって、運転開始時を除けば、約29kg/hの生産量であった。
第一工程として、結晶核剤化合物No.2を7kg媒体攪拌粉砕機(アトライタMA30D型;三井鉱山(株)製)に供給し、135Lの粉砕槽に、粉砕媒体として直径5mmのアルミナ製のボール220kgで充填し(ボール充填率75%)、攪拌翼の回転速度が150rpmの粉砕条件で、結晶核剤化合物No.2を一次粒子径の95%質量部が0.8μm以下になるまで10分間毎に一次粒子径を測定した。結果として、粉砕時間は1時間で、一次粒子径においてメジアン径が0.2μm、粒子径が0.8μm以下であるものが99質量%以上、X線回折相対強度が0.52である結晶核剤微粉砕物Bを得た。
次に第二工程として、前記工程で得られた結晶核剤微粉砕物Bに12−ヒドロキシステアリン酸リチウム1.23kgを加え、アトライタMA30D型により、回転速度150rpmの条件で10分間混合粉砕し、結晶核剤組成物No.2を得た。
結晶核剤組成物No.2について、二次粒子径を測定したところ、メジアン径は2.12μm、95%粒子径は88μmであった。
本製造方法は第一工程から結晶核剤組成物を得るまでに微粉砕物の排出処理等で合計130分を要したので、生産量は約3.8kg/hであった。
第一工程として、結晶核剤化合物No.2を6kg非媒体攪拌粉砕機(振動ミルFVR−20型;中央化工機(株)製)に供給し、57Lの粉砕槽に、粉砕媒体として直径20mmのアルミナ製のボール100kg充填し(ボール充填率80%)、振動の振幅が9.5mm、振動数が20Hzの粉砕条件で8時間粉砕したが、結晶核剤微粉砕物の95%質量部が粒子径0.8μm以下になるまで微粉砕できなかった。8時間の粉砕で、一次粒子径
において、メジアン径が0.59μm、粒子径が0.8μm以下であるものが68質量%、X線回折相対強度が0.63である結晶核剤微粉砕物Cを得た。
次に第二工程として、前記工程で得た結晶核剤微粉砕物Cに12−ヒドロキシステアリン酸リチウム1.05kgを加え、前記工程と同様の粉砕条件に従って、振動ミルFVR−20型で10分間混合粉砕し、比較用サンプル1を得た。比較用サンプル1について、二次粒子径を測定したところ、メジアン径は4.9μm、95%粒子径は114μmであった。
第一工程として、結晶核剤化合物No.2を0.62kg非媒体攪拌粉砕機(ポットミルPM−7.3型;(株)マキノ製)に供給し、7.3Lの粉砕槽に粉砕媒体として直径5mmのアルミナ製のボール6.5kgを充填し、粉砕槽を70rpm回転させる粉砕条件で、8時間粉砕したが、結晶核剤微粉砕物の95%質量部が粒子径0.8μm以下になるまで微粉砕できなかった。8時間の粉砕で、一次粒子径においてメジアン径が1.01μm、粒子径が0.8μm以下であるものが39質量%、X線回折相対強度が1.14である結晶核剤微粉砕物Dを得た。
次に第二工程として、前記工程で得た結晶核剤微粉砕物Dに12−ヒドロキシステアリン酸リチウム0.11kgを加え、前記工程と同様の粉砕条件に従って、ポットミルPM−7.3型で10分間混合粉砕し、比較用サンプル2を得た。比較用サンプル2について、二次粒子径を測定したところ、メジアン径は14.2μm、95%粒子径は161μmであった。
結晶核剤化合物No.2を7.00kg及び12−ヒドロキシステアリン酸リチウム1.23kgを媒体攪拌粉砕機(アトライタMA30D型;三井鉱山(株)製)に供給し、
135Lの粉砕槽に粉砕媒体として直径5mmのアルミナ製のボール220kg充填し、攪拌翼の回転速度150rpmの粉砕条件で4時間共粉砕した。4時間の共粉砕後、粉砕物の一部が粉砕槽の底部に固結したが、固結した粉砕物も含めて全回収し、比較用サンプル3を得た。該比較用サンプル3について固結により生じた大きな固まりを含まない部分は、一次粒子径において、粒子径が0.8μm以下であるものが99質量%以上であり、二次粒子径において、メジアン径は16μm、95%粒子径は176μmであった。
本製造方法は粉砕物の排出等で比較用サンプル3を得るまでに合計5時間を要し、生産量は約1.65kg/hであった。
本製造方法は特許文献5の実施例1-4に相当する製造方法である。
結晶核剤化合物No.2を0.28kg、ステアリン酸マグネシウム0.14kgを媒体攪拌粉砕機(アトライタMA1D型;三井鉱山(株)製)に供給し、5Lの粉砕槽に、
粉砕媒体として直径5mmのアルミナ製のボール8kgで充填し(ボール充填率75%)、攪拌翼の回転速度が300rpmの粉砕条件で粉砕を実施した。粉砕時間15分ごとに粉砕機を止め、固結した被粉砕物をスパチュラ等で解砕しながら、4時間粉砕し、一次粒子径において、粒子径が0.8μm以下であるものが99質量%以上である比較用サンプル4を得た。粉砕に要した時間は4時間であったが、解砕処理等の作業時間を含めると8時間を要したので、生産量は約0.053kg/hであった。
本製造方法は特許文献5の実施例1-2に相当する製造方法である。
結晶核剤化合物No.2を6g粉砕容器に充填し、ドライアイスで0.5時間粉砕容器ごと冷却した後に、冷却した粉砕容器を非媒体攪拌粉砕機(HEIKO SAMPLE MILL T1
−500ET;HEIKO SEISAKUSHO社製)に設置し、粉砕を15分間実施し、一次粒子径
において、粒子径が0.8μm以下であるものが99質量%以上である比較用サンプル5を得た。比較用サンプル5の製造に要した時間は0.75時間であるので、生産量は約0.008kg/hであった。
上記実施例1の製造方法の第一工程で得た結晶核剤微粉砕物Aと、表1に記載の脂肪族カルボン酸金属塩を、実施例1の製造方法の第二工程と同様の方法で、媒体攪拌粉砕機(乾式攪拌ミルFK−300型)で混合粉砕し、表1に示す結晶核剤組成物No.3〜No.6及び比較用サンプル6を得た。
ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−第三ブチルフェニル)ホスフェ
ート(以下「リン酸エステルナトリウム塩」とする)、又は、カルシウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−第三ブチルフェニル)ホスフェート](以下「リン酸エステルカルシウム塩」とする)について、実施例1の製造方法の第一工程と同様な方法で、リン酸エステルナトリウム塩、又は、リン酸エステルカルシウム塩を媒体攪拌粉砕機(乾式攪拌ミルFK−300型)で微粉砕した。次に、第二工程として、実施例1に記載の製造方法と同様に、得られた微粉砕物について、該微粉砕物と12−ヒドロキシステアリン酸リチウムを媒体攪拌粉砕機(乾式攪拌ミルFK−300型)で混合粉砕し、表2に示す比較用サンプル7、比較用サンプル8を得た。
粉砕工程で得られる結晶核剤組成物の生産性として、生産量に対し用いた粉砕媒体の質量で除した値を用いた。上記実施例1、2及び比較例3〜5の製造方法による結晶核剤組成物の生産性について表3に示す。
なお、実施例1は粉砕機二台を組み合わせた連続粉砕であるのに対し、他の実施例2及び比較例3〜5は、一の粉砕機(器)で実施したものである。また、表3に記載の作業時間とは、被粉砕物の仕込みや、粉砕物の取り出し等に要した時間であり、生産において粉砕にかかる時間以外に要した結晶核剤組成物の製造時間である。
るが、他の実施例2及び比及び比較例3〜5の媒体当りの生産性の二倍量よりもはるかに多く、実施例1は生産性がきわめて優れた製造方法であることが明らかである。
また、実施例2は比較例3〜5の生産方法よりも媒体量当りの生産性が良好であり、本発明の媒体攪拌粉砕機を用いて二段階の粉砕工程からなる製造方法はきわめて良好な生産性を有することが明らかである。
なお、実施例1は連続運転の製造方法であり、運転開始時を除き生産が安定な時の生産量である。また、比較例5は結晶核剤化合物No.2の単独粉砕のみであり、他の生産方
法には実施される結晶核剤と12−ヒドロキシステアリン酸金属塩の混合粉砕(共粉砕)の工程は含まれていない。
実施例1,2及び比較例1〜5の製造方法で得られた結晶核剤組成物又は結晶核剤微粉砕物について、下記に示す配合で加工成形して得られた1mm厚のシートのヘーズ値、及びフィッシュアイの数を測定した。これらの結果について表4に示す。
(配合)
230℃、21.2Nでのメルトフローインデックスが10g/10分であるエチレン/プロピレンのランダム共重合体(エチレン含有量;3質量%、数平均分子量;9.5×104、重量平均分子量;5.8×105)100質量部、フェノール系抗酸化剤;テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.1質量部、リン系抗酸化剤:トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.1質量部、ステアリン酸カルシウム0.1質量部、及び表4に記載の結晶核剤組成物0.2質量部
内である、本発明の媒体攪拌粉砕機を用いて二段階の粉砕工程からなる製造方法で得られた結晶核剤組成物が優れた透明性付与効果を示し、特異的にフィッシュアイの数が少ないことが明らかである。
また比較例3、比較例4及び比較例5より、本発明の製造方法以外では、フィッシュアイの数が多いことが明らかである。
実施例1、実施例3−1〜3−4及び比較例6で得た結晶核剤組成物No.1、No.3〜No.6及び比較用サンプル6の結晶核剤組成物について、それぞれ参考例2と同様の配合及び加工方法で1mm厚のシートを作成し、ヘーズ値を評価した。結果を表5に示す。
尚、表5に記載の参考例3−7は、結晶核剤組成物として結晶核剤微粉砕物A 0.2
質量部を添加して1mm厚のシートを作成し評価したものであり、参考例3−8は、結晶核剤組成物を添加することなく、1mm厚のシートを作成してヘーズ値を評価したものである。
たはマグネシウム原子である脂肪族カルボン酸金属塩の混合粉砕によって得られる結晶核剤組成物は優れた透明性付与効果を示し、フィッシュアイが少ないことが明らかであり、脂肪族カルボン酸金属塩が12ーヒドロキシステアリン酸リチウムである結晶核剤組成物は特に良好な効果を奏する。
実施例1で得た結晶核剤組成物No.1、比較例7−1,7−2で得た比較用サンプル7および比較サンプル8の結晶核剤組成物を、参考例2と同様の配合及び加工方法で1mm 厚のシートを作成し、ヘーズ値を測定した。結果を表6に示す。
核剤化合物の微粉砕物と脂肪族カルボン酸金属塩の混合粉砕によって得られる結晶核剤組成物のみ、優れた透明性付与の効果を示し、特異的にフィッシュアイが少ないことが明らかである。よって、本発明の粉砕方法により、たんなる混合物とは異なる複合化が起きていると推察される。
金属塩が複合化された結晶核剤組成物を極めて高い生産性をもって製造する方法、及び得られた結晶核剤組成物と結晶性高分子を含有して透明性が改善され、且つフィッシュアイの少ない結晶性高分子組成物を提供するものである。
Claims (14)
- 上記媒体攪拌粉砕機が、粉砕室に被粉砕物を供給するための供給口及び微粉砕物を排出するための排出口を個別に備えており、連続運転して微粉砕することを特徴とする請求項1に記載の結晶核剤組成物の製造方法。
- 上記一般式(I)で表される化合物のR1 及びR2 が第三ブチル基であり、R3 が水素原子である請求項1に記載の結晶核剤組成物の製造方法。
- 上記一般式(II)で表される脂肪族カルボン酸金属塩のMがリチウム原子である請求項1に記載の結晶核剤組成物の製造方法。
- 上記一般式(II)で表される脂肪族カルボン酸金属塩のR4 がヒドロキシル基を有するものである請求項1に記載の結晶核剤組成物の製造方法。
- 上記一般式(II)で表される脂肪族カルボン酸金属塩が、12−ヒドロキシステアリン酸リチウムである請求項1に記載の結晶核剤組成物の製造方法。
- 上記一般式(I)で表される化合物がR1 及びR2 が第三ブチル基で、R3 が水素原子である化合物であり、上記一般式(II)で表される脂肪族カルボン酸金属塩が12−ヒドロキシステアリン酸リチウムであり、かつ上記媒体攪拌粉砕機が、粉砕室に被粉砕物を供給するための供給口及び微粉砕物を排出するための排出口を個別に備えており、連続運転して微粉砕することを特徴とする請求項1に記載の結晶核剤組成物の製造方法。
- 上記媒体攪拌粉砕機で微粉砕された上記結晶核剤成分が、下記条件によるX線回折分析で2θ=6.5°−7.4°の範囲内におけるX線回折強度の最大値に係る相対強度が0.25〜0.75の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の結晶核剤組成物の製造方法。
X線回折条件:X線;Cu−Kα、管電圧/管電流;40kV/40mA、ゴニオメーター;水平ゴニオメーター、モノクロメーター;固定、アタッチメント;標準試料ホルダー、発散スリット;1/2°、発散縦制限スリット;10mm、散乱スリット;開放〜0.73mm、受光スリット;0.3mm、スキャンモード;2Theta/Theta、スキャンタイプ;連続スキャン、スキャンスピード;4°/min、試料;充填部20mm×18mm×深さ0.5mmの試料板に0.1g充填、標準試料;シリコン粉末高純度 単結晶シリコンを粉砕し、1μm以下の粒子径に分粒したものであり、〔図1〕に示すX線回折ピークを有するものである。 - 上記第二工程で用いられる結晶核剤成分の微粉砕物100質量部に対して、上記一般式(II)で表される脂肪族カルボン酸金属塩1種類又は2種類以上からなる脂肪族カルボン酸金属塩成分を5〜100質量部用いることを特徴とする請求項1に記載の結晶核剤組成物の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法で得られる結晶核剤組成物を含有してなるポリオレフィン系高分子組成物。
- ポリオレフィン系高分子100質量部に対し、結晶核剤組成物を0.001〜10質量部含有してなる請求項10に記載のポリオレフィン系高分子組成物。
- 上記ポリオレフィン系高分子がポリプロピレン系樹脂である請求項10に記載のポリオレフィン系高分子組成物。
- フェノール系抗酸化剤を含有させることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のポリオレフィン系高分子組成物。
- リン系抗酸化剤を含有させることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のポリオレフィン系高分子組成物。
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