JP5116171B2 - 塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物、及び、該安定剤組成物を含有する塩化ビニル系樹脂組成物からなる玩具 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物、及び、該安定剤組成物を含有する塩化ビニル系樹脂組成物からなる玩具 Download PDF

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Description

本発明は、ペースト状乃至液状の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物に関し、特に、玩具に配合することのできる安全性に優れた塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物、及び、該安定剤組成物を含有する塩化ビニル系樹脂組成物からなる玩具に関する。
塩化ビニル系樹脂は、加熱成形加工を行う際に、主として脱塩化水素に起因する熱分解を起こしやすい。この熱分解に起因する機械的性質の劣化や色調の悪化を防止するために、従来、一種又は数種の熱安定剤が添加され、使用されている。
この塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物の一種の成分として、色調の安定化に優れるβ−ジケトン化合物が用いられており、特にジベンゾイルメタン又はステアロイルベンゾイルメタン(以下、SBMと略記する。)が広く用いられている。このSBMは、FDAによって認可された衛生性に優れた安定剤成分であり、玩具などにも用いられている。玩具に用いられる安定剤成分には安全性が強く求められるため、ステアリン酸カルシウムとステアリン酸亜鉛の併用安定剤など、無毒性又は低毒性の安定剤が前記SBMと併せて用いられる。
一方、ハンドリング性の観点からは、ペースト状又は液状の安定剤組成物が求められている。そこで、粉末の安定剤成分や高粘度の安定剤成分をペースト状又は液状の安定剤組成物にするために、エポキシ化植物油やジ−2−エチルヘキシルフタレートなどの塩化ビニル樹脂用の安定剤、或いは可塑剤として公知の液状物を、前記安定剤成分に配合する方法が用いられている。しかしながら、このようにして得られたペースト状又は液状の安定剤組成物は、長期保存した場合や冬期において、流動性が悪化したり、固化、成分の沈殿、相分離などが生じたりするという問題があった。この内、低温での流動性の低下は加温することによって対処することができるが、この方法は省エネの観点から好ましくない。そこで、低温でも流動性を有して環境負荷が小さい、ペースト状又は液状の安定剤組成物が望まれている。
特にSBMを配合したペースト状安定剤の場合には粘度が高くなる傾向にあるので、従来、流動性を向上させるためには多量のエポキシ化大豆油などを配合する必要があった。このことと対応して、十分な安定化効果を得るためには安定剤組成物を多量に配合しなければならなくなるため、得られる塩化ビニル樹脂組成物の物性が低下する。そこで塩化ビニル樹脂組成物の物性の低下を避けようとすれば安定剤組成物の添加量が制限され、SBMの配合量も少なくなるので、色調の安定化が不十分となるという問題があった。
この問題を解決するために、ヨウ素価が80以上の油脂を使用すること(特許文献1)、或いは、炭素原子数12〜30の脂肪酸のメチルエステルを用いること(特許文献2)が提案されている。しかしながら、メチルエステルの衛生性については未だ十分な評価が行われていないため、実際に玩具などに用いることはできない。また、5℃程度の低温における流動性は維持できるものの、氷点下では流動性が急激に低下するので、保管や移送時には加温が必要である。そこで、更なる低温での流動性の改善が望まれている。
一方、シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルが衛生性に優れた可塑剤であることは知られている(特許文献3)。また、これをペースト状の塩化ビニル樹脂に用いることができること(特許文献4)、及び、ペースト状のアクリル樹脂に用いることができること(特許文献5)も知られている。しかしながら、塩化ビニル系樹脂用安定剤のペースト化に有効であることは知られていない。
特開2007−238669号公報(特許請求の範囲) 特開2008−239849号公報(特許請求の範囲) 特表2003−503526号公報(特許請求の範囲) 特開2003−277561号公報(特許請求の範囲) 特開2005−320407号公報(特許請求の範囲)
従って、本発明の第1の目的は、ペースト状乃至液状であってハンドリング性に優れると共に、塩化ビニル系樹脂に対する色調安定化効果の高い、SBM含有安定剤組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、安全であると共に製造適正にも優れた、塩化ビニル系樹脂組成物からなる玩具を提供することにある。
本発明者らは、上記の諸目的を達成すべく鋭意検討した結果、ペースト状乃至液状である塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物として、シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルと少量のSBMを用いることにより良好な結果が得られることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、少なくとも、(A)シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル及び(B)ステアロイルベンゾイルメタンを含有するペースト状乃至液状の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物であって、前記(A)成分のシクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルの含有量が20〜80質量%、(B)成分のステアロイルベンゾイルメタンの含有量が1〜8質量%であると共に、残部が、(C)炭素原子数8〜30の脂肪族カルボン酸亜鉛塩及び/又は(D)炭素原子数8〜30の脂肪族カルボン酸カルシウム塩であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物、及び、該安定剤組成物を含有する塩化ビニル系樹脂組成物からなる玩具である。
本発明においては、特に、前記(A)成分のシクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルがシクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルであることが好ましく、(C)成分である炭素原子数8〜30の脂肪族カルボン酸亜鉛塩の含有量が3〜20質量%、及び/又は(D)成分である炭素原子数8〜30の脂肪族カルボン酸カルシウム塩の含有量が3〜20質量%であることが好ましい。
本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物は、低温時(−5〜10℃)に優れた流動性を有するペースト状乃至液状である上、高い色調改善効果と共に長期保存性にも優れ、低温保存後も固化や相分離などの経時変化がないだけでなく安全性も充分であるので、特に塩化ビニル系樹脂からなる玩具に好適である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物は、液体中に微細な固体粒子を懸濁させた流動性を有するものであり、ペースト状乃至液状である。
本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物は、シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルを20〜80質量%とSBM1〜8質量%を必須成分として含有する。
本発明で使用するシクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルにおけるアルキルとしては、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等が挙げられるが、本発明においては、低温時の流動性の観点からイソノニルであることが特に好ましい。
本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物においては、上記のシクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルが少なくとも20〜80質量%含有されることが必要である。20質量%未満では塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物の流動性を改善する効果が小さく、80質量%より多くなると、塩化ビニル系樹脂に対する可塑化効果が大きくなりすぎて、得られる塩化ビニル系樹脂組成物の物性が低下したり、夏場などの高温環境に曝されると、製品表面に粘着性が発現したりするので好ましくない。
本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物には、SBMが少なくとも1〜8質量%含有される。1質量%未満では色調の安定化効果が小さく、8質量%より多くなると、流動性が低下して取り扱い性が悪くなる。
本発明においては、(C)成分として炭素原子数8〜30の脂肪族カルボン酸亜鉛塩を、(D)成分として炭素原子数8〜30の脂肪族カルボン酸カルシウムを使用することが好ましい。これら(C)成分及び/又は(D)成分の脂肪酸金属塩は、各々3〜20質量%用いることが好ましい。これらの脂肪酸金属塩の使用量が3質量%未満では本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物の安定化効果が得られず、20質量%より多くなるとペーストの粘度が高くなって取扱い性が低下する傾向がある。
上記(C)成分として使用する炭素原子数8〜30の脂肪族カルボン酸亜鉛塩や(D)成分として使用する炭素原子数8〜30の脂肪族カルボン酸カルシウムにおける炭素原子数8〜30の脂肪酸としては、例えば、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸等の飽和又は不飽和の脂肪酸や、天然油脂を加水分解して得られる脂肪酸の混合物である大豆油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、桐油脂肪酸、菜種油脂肪酸、綿実油脂肪酸、獣脂脂肪酸、魚油脂肪酸等が挙げられる。
本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物においては、他の成分として、塩化ビニル系樹脂の安定剤として通常用いられる金属系安定剤、及び、通常これらの金属系安定剤と共に用いられる各種添加剤を用いてもよい。上記金属系安定剤としては、例えば、鉛系安定剤、有機酸金属塩、有機スズ安定剤及びこれらの複合安定剤等が挙げられる。上記金属系安定剤の使用量は、本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物中の、20〜50質量%であることが好ましく、特に30〜40質量%であることがより好ましい。
上記鉛系安定剤としては、例えば、鉛白、塩基性珪酸鉛、塩基性硫酸鉛、二塩基性硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、シリカゲル共沈珪酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛、サリチル酸鉛、ステアリン酸鉛、塩基性ステアリン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ラウリン酸鉛、オクチル酸鉛、12−ヒドロキシステアリン酸鉛、ベヘニン酸鉛、ナフテン酸鉛等が挙げられる。
前記有機酸金属塩としては、カルボン酸、有機リン酸類又はフェノール類の金属(Li、Na、K、Mg、Ca、Ba、Sr、Zn、Sn、Al等)塩等が用いられる。該カルボン酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2−エチルヘキシル酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、クロロステアリン酸、12−ケトステアリン酸、フェニルステアリン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ブラシジン酸及び類似酸;並びに、獣脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、桐油脂肪酸、大豆油脂肪酸、菜種油脂肪酸及び綿実油脂肪酸等の天然に産出する酸及びこれらの酸の混合物;安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、エチル安息香酸、イソプロピル安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、サリチル酸、5−t−オクチルサリチル酸、ナフテン酸、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。また、前記有機リン酸類としては、例えば、モノ又はジオクチルリン酸、モノ又はジドデシルリン酸、モノ又はジオクタデシルリン酸、モノ又はジ(ノニルフェニル)リン酸、ホスホン酸ノニルフェニルエステル、ホスホン酸ステアリルエステル等が挙げられ;又、該フェノール類としてはフェノール、クレゾール、エチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール等が挙げられる。これらの金属塩は正塩、酸性塩、塩基性塩或いは過塩基性錯体であってもよい。
また、前記有機錫系安定剤としては、例えば、メチルスタノイック酸、ブチルスタノイック酸、オクチルスタノイック酸、ジメチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジメチル錫サルファイド、ジブチル錫サルファイド、ジオクチル錫サルファイド、モノブチル錫オキサイド・サルファイド、メチルチオスタノイック酸、ブチルチオスタノイック酸、オクチルチオスタノイック酸、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジオレート、ジブチル錫塩基性ラウレート、ジブチル錫ジクロトネート、ジブチル錫ビス(ブトキシジエチレングリコールマレート)、ジブチル錫メチル・オクチル・ネオペンチルグリコールマレート、ジブチル錫イソオクチル・1,4−ブタンジオールマレート、ジブチル錫ジメタクリレート、ジブチル錫ジシンナメート、ジオクチル錫ビス(オレイルマレート)、ジブチル錫ビス(ステアリルマレート)、ジブチル錫イタコネート、ジオクチル錫マレート、ジメチル錫ジクロトネート、ジオクチル錫ビス(ブチルマレート)、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジラウロキシド、ジオクチル錫エチレングリコキシド、ペンタエリスリトール・ジブチル錫オキシド縮合物、ジブチル錫ビス(ラウリルメルカプタイド)、ジメチル錫ビス(ステアリルメルカプタイド)、モノブチル錫トリス(ラウリルメルカプタイド)、ジブチル錫−β−メルカプトプロピオネート、ジオクチル錫−β−メルカプトプロピオネート、ジブチル錫メルカプトアセテート、モノブチル錫トリス(イソオクチルメルカプトアセテート)、モノオクチル錫トリス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテート)、ジブチル錫ビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、ジオクチル錫ビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテート)、ジメチル錫ビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、ジメチル錫ビス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)、モノブチル錫トリス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)、ビス〔モノブチルジ(イソオクトキシカルボニルメチレンチオ)錫〕サルファイド、ビス〔ジブチルモノ(イソオクトキシカルボニルメチレンチオ)錫〕サルファイド、モノブチルモノクロル錫ビス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)、モノブチルモノクロロ錫ビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、モノブチルモノクロロ錫ビス(ラウリルメルカプタイド) 、ブチル錫ビス(エチルセロソルブマレート)、ビス(ジオクチル錫ブチルマレート)マレート、ビス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)ジサルファイド、ビス(メチル/ジメチル錫モノ/ジイソオクチルチオグリコレート)ジサルファイド、ビス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)トリサルファイド、ビス(ブチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)トリサルファイド、2−ブトキシカルボニルエチル錫トリス(ブチルチオグリコレート)等が挙げられる。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物には、通常塩化ビニル系樹脂に用いられている可塑剤を、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜使用することができる。上記可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ブチルヘキシルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルテレフタレート等のフタレート系可塑剤;ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(ブチルジグリコール)アジペート等のアジペート系可塑剤;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリ(ブトキシエチル)ホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート等のホスフェート系可塑剤;多価アルコールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等と、二塩基酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等とを用い、必要により一価アルコール、モノカルボン酸をストッパーに使用したポリエステル系可塑剤;その他、テトラヒドロフタル酸系可塑剤、アゼライン酸系可塑剤、セバチン酸系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤、クエン酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、ビフェニレンポリカルボン酸系可塑剤等が挙げられる。
上記可塑剤の使用量は、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物中の、20〜80質量%であることが好ましく、特に30〜50質量%であることが好ましい。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物には、更に、通常塩化ビニル系樹脂用添加剤として用いられている各種添加剤、例えば、有機ホスファイト化合物、フェノール系又は硫黄系抗酸化剤、ハイドロタルサイト化合物、エポキシ化合物、ポリオール類、β−ジケトン化合物、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することもできる。
上記有機ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル−4,4’−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12〜15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、水素化−4,4’−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス〔4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)〕・1,6−ヘキサンジオール・ジホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。上記有機ホスファイト化合物の使用量は、本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物中の、5〜70質量%であることが好ましく、特に10〜50質量%であることがより好ましい。
前記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン−ビス〔β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
上記フェノール系抗酸化剤を添加する場合の使用量は、本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物中の、1〜20質量%であることが好ましく、特に5〜10質量%であることがより好ましい。
前記硫黄系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリルエステル、ジミリスチルエステル、ミリスチルステアリルエステル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等の、ポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類等が挙げられる。
上記硫黄系抗酸化剤を添加する場合の使用量は、本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物中の、1〜20質量%であることが好ましく、特に5〜10質量%であることがより好ましい。
前記ハイドロタルサイト化合物としては、下記一般式(I)で表される、マグネシウムとアルミニウム、または、亜鉛、マグネシウム及びアルミニウムからなる複塩化合物が好ましく用いられる。これらの複塩化合物は、結晶水を脱水したものであってもよい。
Mgx1Znx2Al2・(OH)2(x1+x2)+4・(CO31-y/2(ClO4)y・mH2O
(I)
但し、上式中の、x1、x2及びyは、各々、下記式で表される条件を満足する数を表し、mは0又は任意の整数を表す。
0≦x2/x1<10、2≦x1+x2<20、0≦y≦2
上記ハイドロタルサイト化合物は、天然物であっても合成品であってもよい。ハイドロタルサイト化合物の合成方法としては、特公昭46−2280号公報、特公昭50−30039号公報、特公昭51−29129号公報、特公平3−36839号公報、及び特開昭61−174270号公報などに記載された公知の方法を例示することができる。また、本発明において使用する上記ハイドロタルサイト化合物は、その結晶構造や結晶粒子径等に依らず、使用することが可能である。
また、上記のハイドロタルサイト化合物は、その表面をステアリン酸のような高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩のような高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のような有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル又はワックスなどを用いて被覆したものであっても良い。
上記ハイドロタルサイト化合物の使用量は、本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物中の、1〜20質量%であることが好ましく、特に1〜10質量%であることがより好ましい。ハイドロタルサイト化合物の量が20質量%を超えると、長期保存時に相分離する可能性があるため好ましくない。
前記エポキシ化合物としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化桐油、エポキシ化魚油、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油などのエポキシ化動植物油、エポキシ化ステアリン酸メチル、エポキシ化ステアリン酸ブチル、エポキシ化ステアリン酸−2−エチルヘキシル、エポキシ化ステアリン酸ステアリルエステル、エポキシ化ポリブタジエン、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート、エポキシ化トール油脂肪酸エステル、エポキシ化アマニ油脂肪酸エステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロヘキセンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等のエポキシ化合物等が挙げられる。
上記のエポキシ化合物を添加する場合の使用量は、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物中の、0.5〜20質量%であることが好ましく、特に1〜10質量%であることがより好ましい。
前記ポリオール化合物としては、例えば、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール又はジペンタリスリトールのステアリン酸ハーフエステル、ビス(ジペンタエリスリトール)アジペート、グリセリン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
上記ポリオール化合物を添加する場合の使用量は、本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物中の、1〜50質量%であることが好ましく、特に5〜30質量%であることがより好ましい。
前記他のβ−ジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン、トリアセチルメタン、2,4,6−ヘプタトリオン、ブタノイルアセチルメタン、ラウロイルアセチルメタン、パルミトイルアセチルメタン、ステアロイルアセチルメタン、フェニルアセチルアセチルメタン、ジシクロヘキシルカルボニルメタン、ベンゾイルホルミルメタン、ベンゾイルアセチルメタン、ジベンゾイルメタン、オクチルベンゾイルメタン、ビス(4−オクチルベンゾイル)メタン、ベンゾイルジアセチルメタン、4−メトキシベンゾイルベンゾイルメタン、ビス(4−カルボキシメチルベンゾイル)メタン、2−カルボキシメチルベンゾイルアセチルオクチルメタン、デヒドロ酢酸、シクロヘキサン−1,3−ジオン、3,6−ジメチル−2,4−ジオキシシクロヘキサン−1−カルボン酸メチル、2−アセチルシクロヘキサノン、ジメドン、2−ベンゾイルシクロヘキサン等が挙げられる。また、これらβ−ジケトン化合物の金属塩も使用することができ、該β−ジケトン金属塩を提供し得る金属種としては、例えば、リチウム、ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等のアルカリ土類金属;亜鉛、アルミニウム、錫、アルキル錫等が挙げられる。
上記β−ジケトン化合物を添加する場合の使用量は、本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物中の、0.5〜10質量%であることが好ましく、特に1〜5質量%であることがより好ましい。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤を添加する場合の使用量は、本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物中の、0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。
前記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラエチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。上記ヒンダードアミン系光安定剤を添加する場合の使用量は、本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物中の、0.5〜10質量%であることが好ましく、特に1〜5質量%であることがより好ましい。
前記充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナけい酸ナトリウム、ハイドロタルサイト、ハイドロカルマイト、けい酸アルミニウム、けい酸マグネシウム、けい酸カルシウム、ゼオライト等のけい酸金属塩、活性白土、タルク、クレイ、ベンガラ、アスベスト、三酸化アンチモン等が挙げられる。
上記充填剤を添加する場合の使用量は、本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物中の、5〜50質量%であることが好ましく、特に10〜30質量%であることがより好ましい。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物には、通常塩化ビニル系樹脂に使用される安定化助剤を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。かかる安定化助剤としては、例えば、ジフェニルチオ尿素、アニリノジチオトリアジン、メラミン、安息香酸、ケイヒ酸、p−第三ブチル安息香酸、ゼオライト、過塩素酸塩等が挙げられる。
その他、本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物には、必要に応じて通常塩化ビニル系樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、帯電防止剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、滑剤、難燃剤、防曇剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、発泡剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物は、塩化ビニル系樹脂の加工方法とは無関係に使用することが可能であり、例えば、ロール加工、押出成型加工、溶融流延法、加圧成型加工等に好適に使用することができる。
本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物は、低温時(−5〜10℃)の流動性に優れ、低温状態で長期保存しても流動性に優れ、固化や相分離することがないだけでなく、高温状態で長期保存しても固化したり相分離を生じたりすることがない。
本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物を添加した本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、種々の用途に用いることができ、例えば、壁材、床材、窓枠、壁紙などの建材;電線被覆材;自動車用内外装材;ハウス、トンネルなどの農業用資材;ラップ、トレイなどの食品包装材;塗料、ホース、パイプ、シート、玩具などの雑貨・日用品;衛生材料等として使用することができる。特に無毒であるシクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルを使用しているため、食品・衛生用途や玩具、日用品等に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例は、本発明及び比較用のペースト状塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物の調製及びそれらの評価並びに該塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物を含有する塩化ビニル系樹脂組成物の調製及びそれらの評価であり、実施例及び比較例中の「部」及び「%」は質量基準によるものである。
〔実施例1〜2及び比較例1〜5〕
下記〔表1〕の配合割合で、本発明のペースト状塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物及び比較用の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物を調製した。
得られた安定剤組成物について、25℃における粘度を測定して流動性を評価した。結果を併せて表1に示した。
低音流動性
室温でペースト状である、実施例及び比較例の安定剤100gを300mlのビーカーに入れて−5℃で1時間保持し、これをミキサーにかけたときの形状、及び、ミキサーにかけた後に形状を維持できるか否かで、低温での流動性を10段階で評価した。ミキサーに移す時点でもペースト状で全く粉砕できないものものを1、キャラメル状でミキサーへ移す時点では固形であるがミキサーにかけると羽根や壁面に固着して粉砕できないものを3、粉状にはならないが複数の一時的に大きな塊にはなるものを5、塊が直ぐに凝集して粉体としては扱えないものを7、ビーカー内で強固な塊となって取り出せなかったものを10として評価した。結果は表1に示したとおりである。
臭気
玩具などで使用するためには、臭気の強いものは実用性がない。そこで、実施例、比較例で得られた安定剤1gを、容量20mlのガラス製サンプルビンに入れ、室温で1時間後に、10人による官能検査を行った。下記の基準による10段階評価における各人の評価点の平均点により臭気を評価した。
○ 無臭であるもの:1
○ 明らかに臭気がするもの:5
○ 臭気が強く、不快感を伴うもの:10
結果は〔表1〕に示した通りである。
樹脂組成物の安定性
実施例及び比較例の各安定剤組成物を含有する塩化ビニル系樹脂組成物を、以下の配合でそれぞれ調製した。
<配合>
塩化ビニル樹脂(重合度700) 100質量部
ジオクチルフタレート 40質量部
エポキシ化大豆油 3質量部
安定剤組成物(表1;表1の配合の基準は質量部) 1.5質量部

得られた各塩化ビニル系樹脂組成物を用いて、170℃でカレンダー加工してそれぞれ0.7mm厚のシートを作製した。
(1)得られたシートを190℃のギヤーオーブンに入れて、黒化時間(分)を測定した。結果を表1に示した。
(2)0.7mm厚の上記シートを張り合わせて、180℃で5分間又は30分間プレス加工を行ってそれぞれ2mm厚のシートを作製した。これらのシートについてプレス着色性として黄色度(Y.I)を測定した。この場合、安定剤組成物中の粉末成分の比率を揃えるために、Ca/Zn系粉末安定剤とSBMの合計量を安定剤組成物の43.2質量%と、一定にした。結果を表1に示した。

Figure 0005116171
*1:シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル
表1の結果から明らかなように、実施例1及び2の場合には粘度が7000以下でペーストとして取扱いが容易であるが、SBMを多量に配合した比較例1の場合、及び、本発明で使用したシクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルの代わりに汎用可塑剤であるエポキシ化大豆油を用いた比較例4の場合には粘度が実施例2の2倍前後となって流動性が乏しく、ペースト状の安定剤として取扱うことは困難である。このことから、液状成分として本発明で使用する特定のシクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルを十分に配合することが、流動性に優れたペースト状安定剤を得るために必須であることが確認された。また、実施例1と比較例1との比較から、本発明の場合と液状成分が同じであっても、SBMの配合量が多くなると流動性が急激に低下することが確認された。
更に、樹脂組成物の190℃での黒化時間及びプレス着色でも比較例1の場合は実施例1の本発明に劣っている。また、比較例5の結果から、SBMが少な過ぎると着色性が低下することが明らかであり、特定範囲の配合量でSBMを用い、シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルを十分に配合した本発明の場合のみに、優れた流動性と着色改良効果を持つペースト状安定剤組成物を得ることができることが確認された。
更に、シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルを使用せずに低音流動性を良好にしようとすると、臭気がひどいために玩具等の用途には使用することができない(比較例2,3)ことも確認された。
なお、大豆油脂肪酸メチルは流動性には優れるものの臭気の点で実用性に乏しい。また、低温流動性ではシクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルには及ばないため冬場の取扱いなどで不利である。一方、シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルは衛生性に優れる材料であり、塩ビ食品衛生協議会のポジティブリストや玩具などへの使用が認められた可塑剤であるので、本発明のペースト状安定剤組成物を用いた塩化ビニル樹脂組成物は玩具などに好適に用いることができることは明らかである。
本発明の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物は、低温時(−5〜10℃)に優れた流動性を有するペースト状乃至液状である上、高い色調改善効果を有すると共に長期保存性にも優れ、低温保存後も固化や相分離などの経時変化がないので、種々の樹脂部品等の成形材料として用いられる。更に、安全性も充分であり、塩化ビニル系樹脂からなる玩具に特に好適であるので、産業上極めて有用である。

Claims (5)

  1. 少なくとも、(A)シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル及び(B)ステアロイルベンゾイルメタンを含有するペースト状乃至液状の塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物であって、前記(A)成分のシクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルの含有量が20〜80質量%、(B)成分のステアロイルベンゾイルメタンの含有量が1〜8質量%であると共に、残部が、(C)炭素原子数8〜30の脂肪族カルボン酸亜鉛塩及び/又は(D)炭素原子数8〜30の脂肪族カルボン酸カルシウム塩であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物。
  2. 前記(A)成分のシクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルがシクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルである、請求項1に記載された塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物。
  3. (C)成分である炭素原子数8〜30の脂肪族カルボン酸亜鉛塩の含有量が3〜20質量%である、請求項1又は2に記載された塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物。
  4. (D)成分である炭素原子数8〜30の脂肪族カルボン酸カルシウム塩の含有量が3〜20質量%である、請求項1〜3の何れかに記載された塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載された塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物を含有する、塩化ビニル系樹脂組成物からなることを特徴とする玩具。
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