JP4346432B2 - 塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、安定化された塩化ビニル系樹脂組成物に関し、詳しくは、二糖類並びに非環状ポリオール化合物及び/又は含窒素ポリオール化合物が併用添加されたことにより、重金属を含有しなくても、優れた耐熱性及び着色性を示す塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
塩化ビニル系樹脂は、可塑剤を使用することで容易に硬さを調整することができるため、農業用のシートから窓枠等の建材用途まで、種々の用途に使用することができる。
しかし、塩化ビニル系樹脂は、光や熱に対する安定性に難があり、加熱成型加工時や製品の使用時に、主として脱ハロゲン化水素に起因する分解を起こしやすいことが知られている。このため、有機酸の金属塩、有機錫化合物、有機ホスファイト化合物、エポキシ化合物、β−ジケトン化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の種々の安定剤を配合して塩化ビニル系樹脂の安定性を改善する試みがなされている。
近年、毒性の問題から、鉛、カドミウム等の重金属の使用が敬遠されていることから、バリウム−亜鉛系の複合系の安定剤が使用される傾向があるが、バリウムも重金属であるため、さらに最近では、より低毒性のカルシウム−亜鉛系あるいはカルシウム−マグネシウム−亜鉛系の複合系の安定剤への置き換えが望まれている。しかし、これらの系の安定剤では、熱安定性、耐候性等の性能が全く不十分である。
また、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリオール化合物は、低毒性の金属安定剤と併用することで熱安定性及び着色性を改善することが知られている。また、特許文献1には、塩化ビニル系樹脂にアルドヘキソース又はケトヘキソースを配合することが提案されているが、その性能は未だ不十分である。また、特許文献2及び3等には、粉体成型用の塩化ビニル系樹脂に糖質類を添加することが提案されているが、そこで実際に使用されているソルビトールの如き還元糖アルコールあるいはグルコースの如き単糖類では未だ満足できる結果のものは得られていない。
さらに、特許文献4には、塩化ビニル系樹脂に、分子中に2個のエーテル環構造を有する二糖類及びハイドロタルサイト化合物を併用添加することが提案されており、特許文献5等には、塩化ビニル系樹脂に、トレハロース、並びに有機酸金属塩、エポキシ化合物、有機亜燐酸塩、フェノール系酸化防止剤、β−ジケトン化合物等を併用添加することが提案されているが、未だ満足できる性能のものは得られていない。
特に可塑剤を全く配合しない硬質塩化ビニル系樹脂組成物あるいは可塑剤を少量しか配合しない半硬質塩化ビニル系樹脂組成物においては、加工時に高温高圧に曝され、成型品の熱安定性あるいは耐候性に関してもより高度な性能が要求されるため、より高性能の安定化助剤が求められている。
特開昭47−36495号公報 特開平5−105793号公報 特開平5−105794号公報 特開平9−176416号公報 特開平9−176420号公報
本発明の目的は、特に可塑剤を少量しか配合しない場合又は全く配合しない場合においても、重金属系安定剤を使用することなく、優れた熱安定性及び着色性を示す塩化ビニル系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、塩化ビニル系樹脂に、2個のエーテル環構造を有するオリゴ糖類並びに非環状ポリオール化合物及び/又は含窒素ポリオール化合物を併用添加してなる塩化ビニル系樹脂組成物が、上記目的を達成し得ることを知見した。
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、塩化ビニル系樹脂100質量部に、(a)分子中に2個のエーテル環構造を有する二糖類の少なくとも一種0.001〜10質量部並びに(b)非環状ポリオール化合物及び含窒素ポリオール化合物からなる群から選ばれたポリオール化合物の少なくとも一種0.001〜10質量部を配合してなる安定化された塩化ビニル系樹脂組成物であって、(a)成分である二糖類と(b)成分であるポリオール化合物との使用比率(a)/(b)が、質量比で20/80〜70/30である塩化ビニル系樹脂組成物を提供するものである。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、特に可塑剤を少量しか配合しない場合又は全く配合しない場合においても、重金属系安定剤を使用することなく、優れた熱安定性及び着色性を示すものである。従って、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、特に可塑剤を全く使用しない建材用途等に好適に使用することができる。
以下、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明に使用される上記(a)成分である分子中に2個のエーテル環構造を有する二糖類としては、例えば、下記〔化1〕に例示する単糖類を、脱水縮合してなる構造を有する二糖類が挙げられる。尚、ここで使用される二糖類に関しては、阿武喜美子、瀬野信子著「糖化学の基礎」(講談社)等に詳しい。
Figure 0004346432
従って、本発明において使用される上記(a)成分である二糖類としては、例えば、マルトース(α−Glcp(1→4)β−Glcp)(麦芽糖)、セロビオース(β−Glcp(1→4)α−Glcp)、ラクトース(β−Galp(1→4)α−Glcp)(乳糖)、イソマルソース(α−Glcp(1→6)α−Glcp)、ゲンチオビオース(β−Glcp(1→6)β−Glcp)、スクロース(α−Glcp(1→2)β−Frcf)、トレハロース(α−Glcp(1→1)α−Glcp)等が挙げられるが、これらの中でも、トレハロースは、着色やプレートアウトを生じることなく、優れた耐熱性を付与するため好ましい。
上記(a)成分である二糖類の配合量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部である。上記(a)成分である二糖類の配合量が、0.001質量部未満の場合には、ほとんどその効果は見られず、10質量部を超えた場合には、増量による効果がないばかりでなく、加工時にプレートアウトを生じる等の悪影響を与えるおそれがある。
本発明に使用される上記(b)成分である非環状ポリオール化合物としては、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール又はジペンタリスリトールのステアリン酸ハーフエステル、ビス(ジペンタエリスリトール)アジペート、グリセリン等が挙げられるが、これらの中でも、ジペンタエリスリトールは、特に優れた耐熱性を付与するため好ましい。
本発明に使用される上記(b)成分である含窒素ポリオール化合物としては、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートが好ましく用いられるが、その他に、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、グルタミン酸ジペンタエリスリトールエステル、2−メチルピロリドン−5−カルボン酸ジペンタエリスリトールエステル等を用いることもできる。
上記非環状ポリオール化合物及び上記含窒素ポリオール化合物は、それぞれ単独であるいはこれらを組み合わせて、上記(a)成分であるニ糖類と共に使用される。
上記(b)成分である上記非環状ポリオール化合物及び/又は上記含窒素ポリオール化合物の配合量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部である。該配合量が、0.001質量部未満の場合には、ほとんどその効果は見られず、10質量部を超えた場合には、増量による効果がないばかりでなく、加工時にプレートアウトを生じる等の悪影響を与えるおそれがある。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物においては、上記(a)成分である二糖類と上記(b)成分であるポリオール化合物との使用比率(a)/(b)が、質量比で20/80〜70/30であり、30/70〜60/40であることが好ましい。質量比が20/80未満では、(b)成分として非環状ポリオール化合物を使用した場合には、プレートアウトを生じるおそれがあり、(b)成分として含窒素ポリオール化合物を使用した場合には、動的な熱安定性が不十分となるおそれがある。また、70/30を超えるものは、(b)成分として非環状ポリオール化合物を使用した場合には、耐熱性が不十分となるおそれがあり、(b)成分として含窒素ポリオール化合物を使用した場合には、静的な熱安定性が不十分となるおそれがある。
本発明に使用される上記塩化ビニル系樹脂としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等その重合方法には特に限定されず、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニリトル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体等の塩素含有樹脂、及びこれら相互のブレンド品あるいは他の塩素を含まない合成樹脂、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリリレート共重合体、ポリエステル等とのブレンド品、ブロック共重合体、グラフト共重合体等を挙げることができる。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物においては、さらに(c)β−ジケトン金属塩の少なくとも一種を添加することが、製品の着色性の向上を図ることができるため好ましい。
上記β−ジケトン金属塩を提供し得るβ−ジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン、トリアセチルメタン、2,4,6−ヘプタトリオン、ブタノイルアセチルメタン、ラウロイルアセチルメタン、パルミトイルアセチルメタン、ステアロイルアセチルメタン、フェニルアセチルアセチルメタン、ジシクロヘキシルカルボニルメタン、ベンゾイルホルミルメタン、ベンゾイルアセチルメタン、ジベンゾイルメタン、オクチルベンゾイルメタン、ビス(4−オクチルベンゾイル)メタン、ベンゾイルジアセチルメタン、4−メトキシベンゾイルベンゾイルメタン、ビス(4−カルボキシメチルベンゾイル)メタン、2−カルボキシメチルベンゾイルアセチルオクチルメタン、デヒドロ酢酸、シクロヘキサン−1,3−ジオン、3,6−ジメチル−2,4−ジオキシシクロヘキサン−1カルボン酸メチル、2−アセチルシクロヘキサノン、ジメドン、2−ベンゾイルシクロヘキサン等が挙げられる。また、上記β−ジケトン金属塩を提供し得る金属種としては、リチウム、ナトリウム及びカリウム等の第Ia族金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等の第IIa族金属;亜鉛、アルミニウム、錫、アルキル錫等が挙げられる。これらのβ−ジケトン化合物及び金属種から提供されるβ−ジケトン金属塩の中でも、アセチルアセトン金属塩、特にカルシウムアセチルアセトネートを使用することが、着色の抑制された製品が得られるため好ましい。
上記(c)成分であるβ−ジケトン金属塩の添加量は、上記塩化ビニル系樹脂100質量部に対して好ましくは0.001〜10質量部、さらに好ましくは0.001〜5質量部である。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、(d)可塑剤を配合することができる。
上記可塑剤としては、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート等のフタレート系可塑剤、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジ(ブチルジグリコール)アジペート等のアジペート系可塑剤、トリクレジルホスフェート等のホスフェート系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、塩素化パラフィン系可塑剤、トリメリテート系可塑剤、ピロメリテート系可塑剤、ビフェニルテトラカルボキシレート系可塑剤等が挙げられる。
上記(d)成分である可塑剤は、上記塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0〜100質量部の範囲で任意に使用することができるが、特に剛性の要求される用途においては、0〜25質量部、好ましくは0〜10質量部の範囲で使用することが望まれる。
さらに、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物においては、(e)ハイドロタルサイト化合物の少なくとも一種を添加することが、耐熱性の向上を図ることができるため好ましい。
上記ハイドロタルサイト化合物としては、下記〔化2〕の一般式(I)で表される、マグネシウムとアルミニウム、又は亜鉛、マグネシウム及びアルミニウムからなる複塩化合物が好ましく用いられ、また、上記ハイドロタルサイト化合物は結晶水を脱水したものであってもよい。
Figure 0004346432
上記ハイドロタルサイト化合物は、天然物であってもよく、また合成品であってもよい。該合成品の合成方法としては、特公昭46−2280号公報、特公昭50−30039号公報、特公昭51−29129号公報、特公平3−36839号公報、及び特開昭61−174270号公報等に記載の公知の方法を例示することができる。また、本発明においては、上記ハイドロタルサイト化合物は、その結晶構造、結晶粒子径等に制限されることなく使用することが可能である。
また、上記ハイドロタルサイト化合物は、その表面をステアリン酸のごとき高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩のごとき高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のごとき有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル又はワックス等で被覆したものでもよい。
上記(e)成分であるハイドロタルサイト化合物の配合量は、上記塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、さらに好ましくは0.01〜5質量部である。上記(e)成分であるハイドロタルサイト化合物の配合量が、0.001質量部未満では、その効果がほとんどみられず、10質量部を超えても、効果は上がらず、着色性を低下させる等の性能低下をきたすおそれがある。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物においては、さらに(f)有機酸亜鉛塩の少なくとも一種を配合することが、着色が抑制された製品が得られるため好ましい。
上記有機酸亜鉛塩としては、例えば、カルボン酸、有機リン酸類又はフェノール類の亜鉛塩が挙げられる。ここで、上記カルボン酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2−エチルヘキシル酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、クロロステアリン酸、12−ケトステアリン酸、フェニルステアリン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ブラシジン酸及び類似酸並びに獣脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、桐油脂肪酸、大豆油脂肪酸及び綿実油脂肪酸等の天然に産出する上記の酸の混合物、安息香酸、p−第三ブチル安息香酸、エチル安息香酸、イソプロピル安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、サリチル酸、5−第三オクチルサリチル酸、ナフテン酸、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。また、上記有機リン酸類としては、モノ又はジオクチルリン酸、モノ又はジドデシルリン酸、モノ又はジオクタデシルリン酸、モノ又はジ−(ノニルフェニル)リン酸、ホスホン酸ノニルフェニルエステル、ホスホン酸ステアリルエステル等が挙げられる。また、上記フェノール類としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール等が挙げられる。上記有機酸亜鉛塩は、正塩、酸性塩、塩基性塩あるいは過塩基性等のいずれであってもよい。
上記(f)成分である有機酸亜鉛塩の配合量は、上記塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、更に好ましくは、0.05〜5質量部である。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、(f)有機酸亜鉛塩以外の有機酸金属塩を配合することができる。該有機酸金属塩としては、カルボン酸、有機リン酸類又はフェノール類の金属(Li,Na,K,Ca,Mg,Ba,Sr,Cd,Al)塩等が挙げられる。ここで、上記カルボン酸、有機リン酸類及びフェノール類としては、例えば上記有機酸亜鉛塩に用いられるものとして例示したものが挙げられる。これらの有機酸金属塩は、正塩、酸性塩、塩基性塩あるいは過塩基性等のいずれであってもよい。これらの有機酸金属塩の中でも、非重金属(Li,Na,K,Ca,Mg,Al)の有機酸塩を使用することが、低毒性の組成物が得られるため好ましく、特に、有機酸カルシウム塩及び有機酸亜鉛塩((f)成分)を併用することが、低毒性にもかかわらず、耐熱性、着色性等に一層優れた組成物が得られるため好ましい。
上記有機酸金属塩の配合量は、上記塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、更に好ましくは、0.05〜5質量部である。
本発明においては、上記(a)及び(b)成分、好ましくは上記(a)〜(c)成分に加えて、更に、(d)可塑剤0〜25質量部、(e)ハイドロタルサイト化合物の少なくとも一種0.001〜10質量部及び(f)有機酸亜鉛塩の少なくとも一種0.001〜10質量部を配合することが、特に剛性の要求される用途において、耐熱性、着色性等に優れた組成物が得られるため好ましい。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、更に、通常塩化ビニル系樹脂用添加剤として用いられている各種の添加剤、例えば、有機ホスファイト化合物、フェノール系又は硫黄系抗酸化剤、エポキシ化合物、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、発泡剤、充填剤、ポリオール類等を配合することもできる。
上記有機ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル−4,4'−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C1215混合アルキル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、水素化−4,4'−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス〔4,4'−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)〕・1,6−ヘキサンジオール・ジホスファイト、テトラトリデシル・4,4'−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
上記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4'−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4'−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン−ビス〔β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
上記硫黄系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類等が挙げられる。
上記エポキシ化合物としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化桐油、エポキシ化魚油、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油等のエポキシ化動植物油、エポキシ化ステアリン酸メチル、−ブチル、−2−エチルヘキシル、−ステアリルエステル、エポキシ化ポリブタジエン、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート、エポキシ化トール油脂肪酸エステル、エポキシ化アマニ油脂肪酸エステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロヘキセンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられる。尚、エポキシ化大豆油の如く可塑剤としても使用されるエポキシ化合物を使用する場合、剛性の低下を防止するためには、(d)可塑剤と併せて25質量部を超えて使用しないようにする。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5'−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2'−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4'−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類等が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラエチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
上記発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチルニトリル、ジアゾアミノベンゼン、ジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、アゾビス(ヘキサヒドロベンゾニトリル)等のアゾ系発泡剤、N,N'−ジニトロペンタメチレンテトラミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロテレフタルアミン等のニトロソ系発泡剤、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、3,3'−ジスルホンヒドラジドフェニルスルホン、トルエンジスルホニルヒドラゾン、チオビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンエスルホニルアジド、トルエンスルホニルセミカルバジド、p,p'−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)エーテル等のヒドラジド系発泡剤、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、4,4'−オキシビズ(スルホニルセミカルバジド)等のカルバジド系発泡剤、トリヒドラジノトリアジン、1,3−ビス(o−ビフェニルトリアジン)等のトリアジン系発泡剤等が挙げられる。
上記充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナケイ酸ナトリウム、ハイドロタルサイト、ハイドロカルマイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、活性白土、タルク、クレイ、ベンガラ、アスベスト、三酸化アンチモン等が挙げられる。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、通常塩化ビニル系樹脂に使用される安定化助剤を添加することができる。かかる安定化助剤としては、例えば、ジフェニルチオ尿素、アニリノジチオトリアジン、メラミン、安息香酸、ケイヒ酸、p−第三ブチル安息香酸、デヒドロ酢酸、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、ゼオライト、過塩素酸塩等が挙げられる。
その他、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、必要に応じて通常塩化ビニル系樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、帯電防止剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、滑剤、難燃剤、防曇剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤等を配合することができる。
(a)〜(f)成分以外の上述した各種添加剤の使用量は、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の用途等に応じて適宜選択することができるが、好ましくは上記塩化ビニル系樹脂100質量部に対して合計で100質量部以下とする。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、加工方法に制限されることなく使用することが可能であり、例えば、カレンダー加工、ロール加工、押出成型加工、射出成型加工法、溶融流延法、加圧成型加工、粉体成型等に好適に使用することができる。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、壁材、床材、窓枠、壁紙等の建材;自動車用内装材;電線用被覆材;農業用資材;食品包装材;塗料;ホース、パイプ、シート、玩具等の雑貨として好適に使用することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明の塩化ビニル系樹脂組成物を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1及び比較例1〕
下記配合物をプラストミル試験機(190℃、50rpm、65g/60cc)に投入し、3分後、6分後及び9分後にサンプリングしてコイン状サンプルを作成し、黄色度を測定した。また、同条件にて分解時間を測定した(動的熱安定性)。
また、下記配合物を190℃で3分間ロール混練した後のロール表面を目視により観察してプレートアウトの大小を評価した(評価基準;○:付着物なし、△:わずかに付着物あり、×:付着物大)。
これらの結果を下記〔表1〕及び〔表2〕に示す。
(配合) 質量部
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1000) 100
軽質炭酸カルシウム 3
アクリル系改質剤 6
アクリル系加工助剤 2
酸化チタン(ルチル型) 3
ポリエチレンワックス 0.3
グリセリンモノステアレート 0.3
亜鉛ステアレート 1.0
カルシウムステアレート 0.3
カルシウムアセチルアセトネート 0.15
ハイドロタルサイト 0.5
ステアロイルベンゾイルメタン 0.2
試験化合物(〔表1〕、〔表2〕参照) 〔表1〕、〔表2〕参照
Figure 0004346432
Figure 0004346432
〔実施例2及び比較例2〕
下記配合物を用いて、実施例1と同様にして、黄色度及び分解時間の測定並びにプレートアウトの大小の評価を行なった。
また、下記配合物を190℃で3分間ロール混練して得られるシートを190℃ギヤーオーブン中に入れて黒化時間を測定した(静的熱安定性)。
これらの結果を下記〔表3〕に示す。
(配合) 質量部
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1000) 100
重質炭酸カルシウム 5
酸化チタン(ルチル型) 0.4
ジペンタエリスリトールヘキサステアレート 0.2
モノステアリン酸グリセライド 0.2
ステアリン酸カルシウム 0.5
ステアリン酸亜鉛 1.0
テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル 0.1
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン
ジベンゾイルメタン 0.1
Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O 0.5
試験化合物(〔表3〕参照) 〔表3〕参照
Figure 0004346432
上記〔表1〕〜〔表3〕の結果から、以下のことが明らかである。
可塑剤を全く使用しないかあるいは少量使用しかつ重金属系の安定剤を使用せず有機酸カルシウム塩及び有機酸亜鉛塩を使用した塩化ビニル系樹脂組成物においては、2個のエーテル環構造を有する二糖類を使用した場合でも非環状ポリオール化合物又は含窒素ポリオール化合物を使用しないとき(比較例1-2、比較例2-2)には、その熱安定性が不十分である。2個のエーテル環構造を有する二糖類を使用することなく、非環状ポリオール化合物(トレハロース)を使用したとき(比較例1-3、比較例2-3)には、熱安定性は優れるもののプレートアウトが大きい。2個のエーテル環構造を有する二糖類を使用することなく、含窒素ポリオール化合物(トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート)を使用したとき(比較例2-4)には、動的熱安定性が不十分である。1個のエーテル環構造を有する単糖類あるいは3個のエーテル環構造を有する三糖類と非環状ポリオール化合物を併用した場合(比較例1-8、1-9)には、着色が大きく、熱安定性もまったく不十分で、プレートアウトを生じる欠点がある。
また、2個のエーテル環構造を有する二糖類、及び非環状ポリオール化合物又は含窒素ポリオール化合物を併用した場合であっても、特定の使用比率に含まれない場合(比較例1-4、1-5、2-6、2-7)には、プレートアウトが生じたり、静的あるいは動的な熱安定性が不十分といった欠点がある。
これに対して、可塑剤を全く使用しないかあるいは少量使用しかつ重金属系の安定剤を使用せず有機酸カルシウム塩及び有機酸亜鉛塩を使用した塩化ビニル系樹脂組成物において、2個のエーテル環構造を有する二糖類、並びに非環状ポリオール化合物及び/又は含窒素ポリオール化合物を特定の使用比率にて併用した場合(実施例1-1〜1-3、2-1〜2-4)には、プレートアウトすることもなく、かつ熱安定性及び着色性に極めて優れた改善効果を示す。

Claims (7)

  1. 塩化ビニル系樹脂100質量部に、(a)分子中に2個のエーテル環構造を有する二糖類の少なくとも一種0.001〜10質量部並びに(b)非環状ポリオール化合物及び含窒素ポリオール化合物からなる群から選ばれたポリオール化合物の少なくとも一種0.001〜10質量部を配合してなる安定化された塩化ビニル系樹脂組成物であって、(a)成分である二糖類と(b)成分であるポリオール化合物との使用比率(a)/(b)が、質量比で20/80〜70/30である塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. 上記(a)成分である二糖類が、トレハロースである請求項1記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  3. 上記(b)成分である非環状ポリオール化合物が、ジペンタエリスリトールである請求項1又は2記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  4. 上記(b)成分である含窒素ポリオール化合物が、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートである請求項1〜3のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  5. さらに(c)β−ジケトン金属塩の少なくとも一種0.001〜10質量部を配合してなる請求項1〜4のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  6. 上記(c)成分であるβ−ジケトン金属塩が、カルシウムアセチルアセトネートである請求項5記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  7. さらに、(d)可塑剤0〜25質量部、(e)ハイドロタルサイト化合物の少なくとも一種0.001〜10質量部及び(f)有機酸亜鉛塩の少なくとも一種0.001〜10質量部を配合してなる請求項1〜6のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
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