液晶装置はデスクトップ型パソコンやノート型パソコン、液晶テレビなどの中型大型機器、電子手帳や携帯電話、デジタルカメラなどの小型携帯機器等の様々な機器に用いられている。これらの様々な機器の中には薄型、軽量である液晶パネルが用いられる。
液晶装置はパネルに電気光学変換部材としての液晶を注入したものであり、そのパネルは、複数個のパネルを大型基板に形成したものから切り出されて製造される。
ここで、大型基板に複数個のパネルを形成し、それからその形成されたパネルを切り出し、そのパネルに液晶を注入して液晶装置を得る技術について図27及び図28を用いて説明する。
大型下基板1Aと大型上基板2Aとを用意し、その何れか一方にシール7を枠形状に印刷などの製造方法をもちいて形成する。枠形状をもつシール7は一つのパネルに対応し、図27に示すように、それらシール7の枠は大型下基板1Aまたは大型上基板2A上に複数個整列した形で形成される。枠の一部分に切れ目を設けており、その切れ目のシール7の両端には枠の外側に突き出した凸部7eを形成しそこを注入口7fとする。この注入口7fは液晶を注入するための注入口になる。
シール7は樹脂接着剤7mに基板間の間隙の幅を調整するための間隔調整部材(スペーサ)7nを配合したものからなり、間隔調整部材(以降、スペーサと呼ぶ)7nでもって大型下基板1Aと大型上基板2Aとの間の間隙の量(寸法)を設定している。樹脂接着剤7mには熱硬化型接着剤や紫外線硬化型接着剤などが用いられる。
枠形状に配設されるシール7は、4片のシール辺7a、7b、7c、7dから成る。それらシール辺のうち、シール辺7aとシール辺7dとは対向しており、シール辺7bとシール辺7cとは対向している。注入口7fはシール辺7a側に設けられている。
大型下基板1Aまたは大型上基板2Aにシール7を枠形状に複数個形成した後に大型下基板1Aと大型上基板2Aとを対向させ、対向する大型基板の面に平行な方向での位置を合わせる。それから、対向する大型下基板1Aと大型上基板2Aの外側から内側に向って加える加圧の下で加熱処理または紫外線照射処理を行って、大型下基板1Aと大型上基板2Aとを貼合わせる。この貼合わせ処理によって、図27に示すように、大型下基板1Aと大型上基板2Aにパネル10−1、10−2、10−3、・・・が複数個、整列して形成される。
大型下基板1Aと大型上基板2Aとが貼合わせられると、図28に示すように、シール7内に注入領域Bが形成されるが、この注入領域Bに後工程で電気光学変換部材としての液晶が注入される。
また、大型下基板1Aは、図28に示すように、その液晶側の面に個々のパネルに対応するように複数個分の透明電極3とその透明電極3の上に配向膜5がそれぞれ設けられる。同様に、大型上基板2Aにもその液晶側の面に複数個分の透明電極4と配向膜6とが設けられる。
液晶パネルは、枠形状をなすシールの空間に液晶を封入した液晶部と、シールの枠の外側の接続電極形成部Cとから成る。接続電極形成部Cには、液晶部の領域に配設された電極(主に画素電極と配線電極)に電気的接続をして液晶を駆動する信号を伝達する接続電極(または配線電極)が配設される。
図27及び図28には、一のパネルに対応する枠形状をなすシール7と、そのパネルと縦方向に隣接する他のパネルに対応する枠形状をなすシール7との間に接続電極形成部Cが配設された図が示されている。この接続電極形成部Cは、大型下基板1Aに設けた延出部C’に形成されている。
図28に示すように、この接続電極形成部Cは大型下基板1Aにのみ形成されている。この接続電極形成部Cに接続電極9を配設している。この接続電極9は、大型下基板1Aの電気光学変換部材の注入領域B内の透明電極3と接続する引き回し電極(または配線電極)や、大型上基板2Aの透明電極4とトランスファー接続構造で接続される大型下基板1A上の引き回し電極(または配線電極)などの電極からなる。
図27に示す一点鎖線のX1、X2、X3、Yは、大型下基板1Aと大型上基板2Aとから成る大型基板(母基板)から複数個のパネル10−1,10−2,10−3,10−4,10−11,・・・、10−21、・・・(以下、これら複数のパネルのうち、任意のパネル1つを説明するときにはそれを「パネル10」ということにする)を分割するための分割線あるいは切断線である。この切断線に沿って切断することで、単個のパネルが得られる。
まず、切断線X3に沿って大型下基板1Aと大型上基板2Aとを同時に切断することで、パネル10が複数個、横に並んだ短冊形状を形成する。次に、切断線X1に沿っての切断で領域Kを切り落としてシール7の開口部分に形成された注入口7fの両側にある凸部7eの突き出た先端を切り揃える。次に、切断線X2に沿って図28に示す上基板2Aの不要な部分Dを切断する。
このようにして短冊形状の基板を製造した後に、電気光学変換部材である液晶を各パネルの注入口7fより注入する。その後、その注入口7fを封口する。次に、切断線Yに沿って短冊形状パネルを切断することで、液晶が封止されたパネル、すなわち単個の液晶パネル(液晶装置)を得る。
以上のような製造方法で大型基板から複数個の液晶パネルを切り出して単個の液晶パネルを形成する。しかしながら、この製造方法でパネルを製造すると、このパネルを構成する上基板と下基板との間の間隙の量がパネルの部位によりバラツキが現れ、パネルの間隙量が不均一になるという問題が発見された。しかも、そのパネルの間隙が不均一であることにはある傾向があることを本発明者は新たに発見した。
この問題を、上記技術における問題を説明するための透視による部分平面図である図29に示す。
パネル10について、枠形状のシール7を構成するシール辺7a、7b、7c、7dのうち、シール辺7aのうちのE1で示す斜線の領域と、シール辺7dのうちのE2で示す斜線の領域とが、それ以外の領域よりも間隙量が小さくなる傾向が現れていた。
これは、パネル10のシール辺7a、7dは、そのパネル10と隣り合う他のパネル10のシール辺7d、7aとの間に接続電極形成部Cと凸部先端切り落とし領域Kがあるため、パネル10のシール辺7aとそれと隣接する他のパネル10のシール辺7dとの間、及びパネル10のシール辺7dとそれと隣接するさらに他のパネル10のシール辺7aとの間の間隔が大きくなっていることに起因する。
図27の大型基板を用いて説明すれば、パネル10−13のシール辺7aはその上隣のパネル10−3のシール辺7dとそれらの間に接続電極形成部Cと凸部先端切り落とし領域Kとを介在させて隣接しているため、これらシール辺7aとシール辺7dとの距離は離れている。同様に、パネル10−13のシール辺7dはその下隣のパネル10−23のシール辺7aとそれらの間に接続電極形成部Cと凸部先端切り落とし領域Kとを介在させて隣接しているため、これらシール辺7dとシール辺7aとの距離は離れている。
一方、パネル10−13のシール辺7bは、その右隣のパネル10−14のシール辺7cと近接しており、また、パネル10−13のシール辺7cは、その左隣のパネル10−12のシール辺7bと近接している。
このように、大型下基板と大型上基板との間にシール辺が近接して隣り合って配置されている領域とシール辺が離れて隣り合って配設されている領域があると、大型下基板と大型上基板とを貼りあわせのために加圧することで、互いに離れ合って配置されているシール辺の厚み変形が、互いに接近し合って配置されているシール辺の厚み変形よりも大きくなる。すなわち、一のパネルの中でシールの厚みが大きい部位と小さい部位が現われることを発明者は見出した。
シールの部位によって厚み変形量が異なると(すなわち、大型下基板と大型上基板との間隙量のバラツキが大きいと)、液晶表示装置にこのパネルを用いた場合、色むらなどが表示に現れてカラー画像品質あるいは表示品質を悪くすると言う問題が生じる。
従来から大型基板の間隙量のバラツキを小さく抑えるために様々な工夫が行われてきているが、本発明者が発見した前記問題に対処した従来技術は発見できない。
例えば、特開平6−75233号公報に記載された技術では、図30に示すように、大型下基板と大型上基板との中央部の離隔距離を、セル吸着用ポンプによる吸引またはセル加圧用コンプレッサによる加圧などによって、機械的に調整している。さらに、シールの配設パターンを示す平面図である図30に示すように、液晶の注入口304を設けた枠形状の本体シール部材パターン301のそれぞれの枠の外側に、ダミーシール部材パターン303を配設して、基板の押圧工程においてシール材へ加えられた押圧力の偏りを防止している。このシールにはスペーサはまったく混入されない。
また、特開平11−14953号公報に記載された技術は、枠形状大型基板に形成した枠形状のシールを構成するシール辺の外側に、シール辺に沿って平行にダミーシールを設けて、大型基板から分離切断したあとの液晶パネルのセル間隙が均一になるようにしている。
また、特開平4−240621号公報に記載された技術は、一つの液晶パネルの全面に亘って間隙の厚みを均一にするために、長方形をなす枠状のシールの長辺に配設されるスペーサの数と、短辺に配設されるスペーサの数を同じにして、液晶パネルを構成する2枚の基板間の間隔を均一にし、液晶層の間隙の厚みを均一にしている。
さらに、液晶を用いた表示パネルは、一般に透明電極と配向膜などをそれぞれ設けた一対の透明な基板を対向して配置し、これら一対の基板の対向面の周囲には間隙調整部材(スペーサ)を混入した枠形状をなすシール(封止部材)を配設している。シールで囲まれる、対向する基板間の該間隙に電気光学変換部材としての液晶が注入される。
以下、図31〜図35を用いて、液晶装置におけるシールに関して説明を行う。
液晶パネル101は、下基板110とそれと間隙をあけて対向配置された上基板120とから構成される。下基板110は、図32及び図33に示すように、透明部材からなる透明基板111を基材として、上基板120に対向する側の面には透明電極112がパターニングされている。その透明電極112の上面には絶縁膜113が形成されており、ゴミなどによる透明電極112と上基板120の電極との電気的短絡を防止している。この下基板110は、さらに絶縁膜113の上面に配向膜114が形成されている。液晶パネル101が反射型の液晶パネルとして用いられる場合には、その下基板110は不透明あるいは半透明であっても良く、また、TFT、MIM(TFD)等の素子を用いたアクティブ型のパネルの基板としてもよい。
一方、上基板120は、前記下基板110と同様、透明部材からなる透明基板121の下基板110と対向する側の面に、R(赤)、G(緑)、B(青)の画素をストライプ状、あるいはマトリクス状に配設したカラーフィルタ122が配設されている。図32及び図33に示すように、カラーフィルタ122の下面には平坦化膜あるいは保護膜あるいはオーバーコート123が配設されてカラーフィルタ122を保護し、かつカラーフィルタ122の表面を平坦にしている。オーバーコート123は、その下面に透明電極124がパターニングされている。上基板120において、さらに透明電極124の下面に配向膜125が形成されている。
また、液晶パネル101の下基板110と上基板120との間にはシール130が枠形状をなして配設されている。そのシール130にはスペーサ131が混入されている。このシール130を介して下基板110と上基板120は互いに貼り合わされている。
このスペーサ131は、下基板110と上基板120との間の間隙(セル間隙)を一定に保つ役目を有する。すなわち、スペーサ131によって、下基板110と上基板120とが所定の間隙をもって配される。枠状のシール130に囲まれた空間が液晶が注入される領域となる。この空間には液晶140が図31に示す注入口132から注入される。液晶が所定量充填した後に注入口132を封止樹脂133でもって封止する。このようにして図32及び図33に示す液晶層140が形成される。また、液晶層140内には基板間の間隙(セル間隙)を一定に保つためのセル内スペーサ141が散布されている。
以上のように構成された液晶パネル101は、図34に示す大型基板(母基板)である液晶パネル多数個取り用の大型液晶セル501を分割切断した後に各液晶セルに液晶を充填し注入孔を封止してから得られる。切断線X−X1に沿ってこの大型液晶セル501を構成する上下の基板を同時に切断する。さらに、切断線X2−X3に沿って上基板のみを切断することで、短冊形状の液晶セルを得る。
複数個の液晶セルが一列に並んでなる短冊形状の液晶セルの、それら液晶セルの各々の注入口から液晶を充填し、その後、注入口を封口するなど所定の工程を経た後に、図34に示す切断線Y−Y1に沿って液晶セルを構成する上下の基板を同時に切断することによって、一つ一つの液晶パネルが製造される。
図34に示す母基板である大型液晶セル501は、図35の(A)に示す大型下基板510と図35の(B)に示す大型上基板520とが重ね合わされて成る。シール130は、大型下基板510上に、複数個の矩形の枠を配列したように形成される。大型上基板520にはシール130は全く形成されない。
図35の(A)に示す大型下基板510の大型上基板520と対向する側の面510Fには、図32及び図33で示す透明電極112、絶縁膜113及び配向膜114(それらは図35の(A)では図示されていない)が配設されている。さらに大型下基板510には、前述したとおり、複数の枠形状を成すシール130が配設されている。
一方、図35の(B)に示す大型上基板520の大型下基板510に対向する側の面520Fには、図32及び図33で示すカラーフィルタ122、オーバーコート123、透明電極124及び配向膜125(それらは図35の(B)には図示されていない)が配設されている。
このような大型液晶セル501から分割し、製造された液晶パネル101にあっては、以下の問題がある。
図31に示すように、下基板110の延出部110Aが上基板120の端面より延出している。その下基板110の延出部110A側のシールの辺130Aと、そのシールの辺130Aと対向するシールの辺130A(注入口132が配設された側の辺)には、粒径約6.0μmのスペーサ131が混入されている。このため、シールの辺130Aの厚さ、すなわち、その位置での対向する基板間の間隙は、スペーサ131の粒径により規定されて平均約6μmとなる。
また、シールの辺130Aに交差するシールの辺130Bにも同じ大きさで同じ材質のスペーサが混入しているので、シールの辺130Bの厚さ、すなわち、その位置での対向する基板間の間隙は、スペーサ131の粒径により規定されて同じく約6μmとなる。
しかし、完成した液晶パネルをバックライトで照明すると、シールの辺130Aとシールの辺130Bとで異なる輝度が観測されることを、本発明者は発見した。そこで、この原因を調べたところ、混入されたスペーサ131の潰れ具合がシールの辺130Aとそれと直角の方向に延びるシールの辺130Bとで異なることによることを発見した。このことをシールの辺130Aの断面を表す図32とシールの辺130Bの断面を表す図33とを用いて以下に説明する。
図32及び図33は、シールの辺130A及び130Bにおいて混入されているスペーサ131の潰れ具合をそれぞれ示している。この図32と図33とを対比すると明らかなように、シールの辺130Aにおいて混入されているスペーサ131の潰れ具合は、シールの辺130Bにおいて混入されているスペーサ131の潰れ具合よりもかなり大きいことが、図32に誇張されて示されている。すなわち、図32のスペーサ131は大きく潰れて、その部位の対向基板間の間隙が約5.5μmとなり、一方、図33のスペーサ131は潰れが小さく、その部位の対向基板間の間隙が約6.0μmとなる。
そして、このシール辺130A、130Bの位置の違いによる間隙差約0.5μmが原因で、図31に示す液晶パネル101の表示領域Z(パネルとして利用する有効領域)の周辺に輝度ムラMが発生して表示品質を悪くしている問題があることが分かった。
そこで、発明者は、このようなシール辺の位置の違いにより、どうしてこのようなパネルのシール周辺の輝度ムラが生じるのか調べた。
図34に示す大型液晶セル501を分割して得られる液晶パネル101のそれを構成している上基板と下基板間の間隙を検査した結果、間隙S2(図32)が発生するのは、図35の(A)に示すシールの辺130Aに対応する部位であり、間隙S3(図33)が発生するのは図35の(A)に示すシールの辺130Bに対応する部位であることが分かった。
このことは、大型液晶セル501に於いて、シールの辺130Aとそれに隣接するシールの辺130Aとは両者間に延出部110Aが介在するため比較的大きく離間していているが、シールの辺130Bとそれに隣接するシールの辺130Bとは両者間に延出部110Aが介在しないため比較的接近していることの違いによる。
すなわち、互いに近接して配置されている(すなわち、密集して配置されている)シールの辺130Bに加圧力がかかると、それらシールの辺130Bの反力は大きくなり、その結果、大型液晶セル501を製造する際に個々のスペーサ131に加えられる加圧力が小さくなって、その結果、そのシールに混入されているスペーサ131は大きく潰れることはないと考えられる。逆に、互いに離間して配置されているシールの辺130Aに加圧力が加えられると、それらシールの辺130Aの反力は小さくなり、その結果、大型液晶セル501を製造する際に個々のスペーサ131に加えられる加圧力が大きくなって、その結果、そのシールに混入されているスペーサ131は大きく潰れることになると考えられる。
このようにしてシールの辺130Aに対応する部位での上基板と下基板間の間隙S2(シールの変形後の厚さ)とシールの辺130Bに対応する部位での上基板と下基板間の間隙S3(シールの変形後の厚さ)とに差異が生じるものと推定される。
本発明の第1実施形態を図1から図10を用いて説明する。
(実施例1)
図1は、対向する2枚の大型基板に形成された複数のパネルを透視によって示す部分平面図であり、この大型基板から複数個の液晶パネルを取り出すことを説明している。
この図1に示すように、貼り合わせられた2枚の対向する大型基板には複数個のパネル(電気光学変換部材が中に入っていない空のパネル)20−3、20−4、20−5、・・・、20−13、20−14、・・・、20−23、20−24、・・・(以下、これら複数のパネルのうち、任意のパネル1つを説明するときにはそれを「パネル20」ということにする)が縦及び横に並べられている。
図1に示す大型基板(母基板)は、図2に示すように、下基板21A(以下大型下基板21Aという)と上基板22A(以下、大型上基板22Aという)の2枚の対向する基板とからなる。
大型下基板21Aと大型上基板22Aとはシールにより貼合わせられる。大型下基板21Aと大型上基板22Aとは、それらの間隙にパネル20に対応して枠形状をなすシールが配されることで、所定の間隙をもって対向する。
シール27で囲まれた枠形状領域の外側の延出部C’には接続電極形成部Cが設けられている。この接続電極形成部Cには引き回し配線や接続電極などが設けられる。一方、シール27で囲まれた枠形状領域の内部には後述する電気光学変換部材が注入される。
一のパネル20を構成する、シール27で囲まれた枠形状領域の内部には、電気光学変換部材としての液晶が注入されて、液晶装置が形成される。大型下基板21Aには、図2に示すように、一のパネル(液晶がまだ注入されていない空のパネル)20毎に透明電極23が配設され、その透明電極23上に配向膜25が配設される。また、大型上基板22Aにも同様に、一のパネル20毎に透明電極24と配向膜28とが積層して設けられている。
さらに、接続電極形成部C上には、大型下基板21Aの透明電極23と接続する引き回し電極や、大型上基板22Aの透明電極24とトランスファー構造で接続された引き回し電極などの接続電極29が設けられている。この接続電極形成部Cは、大型下基板21A側または大型上基板22A側の少なくとも一方に配設されるもので、図1及び図2では大型下基板21A側にのみ設けられている。
図3は、4片のシール辺27a、27b、27c、27dでもって矩形の枠形状のシール27を構成していることを示している。そして、シール辺27aとシール辺27dとが同じ面上で対向して配置されており、シール辺27bとシール辺27cとが同じ面上で対向して配置されている。シール辺27aはその長さ方向中央付近(中央付近以外の部位でも良い。例えば、シール辺27aの端。)で切欠きを有し、その切欠きの両端には枠の外側に突き出た凸部27eを設けて、それら凸部27eと前記切欠きとで注入口27fを形成している。
シール27は、第1のシール部材27−1と第2のシール部材27−2の2種類のシール部材からなる。第1のシール部材27−1と第2のシール部材27−2は共に樹脂接着剤27mに間隙調整部材(スペーサとも呼ぶ)27nを配合したものからなる。本実施例1では、この間隙調整部材27nのシールへの含有割合が異なる2種類のシール部材を用いることを特徴とする。ただし、きめ細かな間隙調整を行うならば、シールの部位の間隙変化、間隙ばらつきなどに対応して、間隙調整部材27nの含有割合が異なる3またはそれ以上の種類のシール部材を適宜選択して、枠形状をなすシール27を構成するようにしてもよい。
枠形状のシール27を構成する4片のシール辺27a、27b、27c、27dのうち、延出部C’に隣接するシール辺27a及び27dは、他の2つのシール辺27b及び27cよりもスペーサ27nの含有割合がより多いシールで形成される。すなわち、図1−図3において、シール27の延出部C’に隣接するシール辺27aに配設される接着材27mに混入されるスペーサ27nの密度は、このシール辺27aと交差する方向に配設されるシール辺27b及び27cに配設される接着材27mに混入されるスペーサ27nの密度よりも高くなっている。この実施例1において、シール辺27a及び27dにはスペーサ27nが3重量%含有されており、シール辺27b及び27cにはスペーサ27nが1重量%含有されている。
図1の大型基板における1つのパネル20−14を透視したのが図3である。このパネル20−14の接続電極形成部Cとなる延出部C’(大型下基板21A上)に隣接するシール辺27dと、パネル20−14に隣接するパネル20−4(図1参照)の延出部C’(大型下基板21A上)に隣接しているシール辺27aは、スペーサ27nの含有割合が高い(単位量の接着材に混入されるスペーサの数が多い)第1のシール部材27−1で形成されている。
一方、シール辺27bとシール辺27cはスペーサ27nの含有割合が低い(単位量の接着材に混入されるスペーサの数が少ない)第2のシール部材27−2で形成されている。
シールへのスペーサの含有割合は0.5〜5重量%の範囲内とすることが望ましい。さらに、スペーサの含有割合が高い第1のシール部材27−1と含有割合の低い第2のシール部材27−2との含有割合の差は2〜3重量%とするのが良い。
スペーサ27nにはシリカ・ボールやファイバー・ガラス、プラスチック・ボールなどの材料が用いられる。このスペーサ27nの粒径でもって大型下基板21Aと大型上基板22Aとの間の間隙の量を調整するのを基本とするが、さらに本実施例1のように、シール辺のスペーサ密度を調整することにより、シールに関わる間隙のムラがほぼ完全に解消できる。
また、樹脂接着剤27mにはエポキシ樹脂などの熱硬化型樹脂やアクリル系のUV硬化型樹脂などを用いる。熱硬化型樹脂を用いた場合は加熱を行ってシール27の硬化を行う。UV硬化型樹脂を用いた場合は紫外線照射を行ってシール27の硬化を行う。本実施例1においては、樹脂接着剤27mに熱硬化型のエポキシ樹脂を用い、スペーサ27nにシリカ・ボールを用いている。
図1及び図2において、一点鎖線のX1、X2、X3、Yは大型基板(母基板)を切断する切断線を示している。
切断線X1、X2、X3は、図1において横方向の切断線である。この切断線X1、X2、X3での大型基板の切断で短冊形状のパネル20(一列に並んだ複数のパネル)が製造される。
切断線X1に沿っての切断で、シール27の注入口27fの両側にある凸部27eの先端が切り揃えられる。切断線X2に沿っての切断で、接続電極形成部Cにおける大型上基板22Aの不要な部分Dが切り落とされる。切断線X3に沿っての切断で延出部C’が所定の寸法に仕上がる。切断線X3及び切断線X1に沿っての切断で注入口の凸部先端切り落とし領域Kが切り落とされる。
切断線X1、X2、X3での大型基板の切断で製造された短冊形状のパネル20のそれぞれには、液晶などの電気光学変換部材が注入され、そして、注入口を封口して電気光学変換部材をシール内に封止する。それからこの短冊形状のパネル20を、切断線Yで一個一個のパネルに切断して液晶装置(電気光学変換部材が注入されたパネル)を得る。
以下、スペーサの含有割合が異なる第1のシール部材27−1と第2のシール部材27−2とを用いたシールを配設した大型基板から、一個一個のパネル及び液晶装置を製造する方法について工程図である図4を中心にして図4及び図5を用いて説明する。
図5は、図3に示す一つのパネル20−14におけるシール27を形成する第1、第2のシール部材の大型下基板及び大型上基板への配設のパターンを示している。
1.母基板形成工程: 配向膜などを、パネルの仕様に基づいて形成すべきパネルの一個一個に対応して大型基板(母基板)に配設する。このようにして大型下基板21Aと大型上基板22Aとを形成する。
これら大型下基板21A及び大型上基板22Aは、大型のガラス基板の上に透明電極23、24を配設する工程(電極パターニングなどの処理を行う)、その上に配向膜25、28を配設しかつラビングする工程、カラーフィルタを配設する工程(必要な場合)、及び絶縁膜や平坦化膜を配設する工程などを経て形成される(母基板の形成工程)。大型下基板21Aと大型上基板22Aはガラス基板に代えてプラスチックの基板を用いることも可能である。
2.第1のシール部材の配設工程: 第1のシール部材27−1を大型下基板21Aの側にのみ形成する。
図5の(A)は、大型下基板21A上の、凸部27eと注入口27fを設けたシール辺27aと、それと向かい合うシール辺27dとを第1のシール部材27−1で形成することを示している。なお、図3を用いて前に説明したように、シール辺27aとシール辺27dとは接続電極形成部Cとなる大型下基板21Aの延出部C’に隣接した部位に配設される。この第1のシール部材27−1はスクリーン印刷、ディスペンサー塗布あるいはインクジェット装置などの方法で配設することができる。本実施例1ではスクリーン印刷方法を用いており、印刷厚みは間隙量の2〜3倍としている。例えば、間隙量が5μmである場合は印刷厚みは10〜15μmの範囲となる。
3.第2のシール部材の配設工程: 第2のシール部材27−2を大型上基板22Aの側にのみ形成する。
図5の(B)は、大型上基板22Aの、シール辺27bとシール辺27cとを第2のシール部材27−2で形成することを示している。この第2のシール部材27−2は前述の第1のシール部材27−1と同じ製造方法で形成される。
4.基板の接着工程: 第1のシール部材27−1を用いてシール辺27a及び27dを形成した大型下基板21Aと、第2のシール部材27−2を用いてシール辺27b及び27cを形成した大型上基板22Aとを、それら第1のシール部材27−1及び第2のシール部材27−2を挟んで貼合わせる。この時、大型下基板21Aと大型上基板22Aとを互いに画素となる電極面が対面するように、位置合わせする。
次に、シール部材27−1、27−2を挟んで重ね合わされた大型下基板21Aと大型上基板22Aとを、対向する大型基板が接着するように外側から基板を加圧すると、図3に示すように、第1のシール部材27−1と第2のシール部材27−2とは繋ぎ合わさり、その結果、シール辺27a、シール辺27b、シール辺27c、シール辺27dも繋ぎ合わさって矩形の枠形状のシール27が形成される。このように形成されたシール27を、加圧した状態で加熱処理を施して硬化させる。これによって、大型下基板21Aと大型上基板22Aとは、その間に所定の間隙を設けた状態で接着し合う。
前記の加圧はエアーバックなどの加圧装置を用いて行い、加圧力は0.2〜1kg/cm2の範囲である。また、前記の加熱処理は、焼成装置を用いて150〜180°Cの加熱温度の下で30〜90分の範囲の時間をかけて、シール27を硬化させている。なお、本実施例1においては、シールとして樹脂接着剤27mよりなる熱硬化型のエポキシ樹脂を用いており、そのための加熱処理を行っている。一方、UV硬化型樹脂を用いる場合には、紫外線照射処理を施してシールの硬化を行う。
5.第1の切断工程: 貼合わせた大型下基板21A及び大型上基板22Aの第1の切断を行う。
貼合わせた大型下基板21Aと大型上基板22Aとを、まず切断線X3に沿って切断することで、パネル20が横に複数個一列に並んだ短冊形状のパネルを製造する。さらに、その切断線X3と隣の切断線X3とで画定される短冊形状のパネルのその一側(凸部27側)を切断線X1に沿って切断することで注入口の凸部27eの先端及び領域Kを切り落とす。次にその短冊形状のパネルの大型上基板22Aのみ切断線X2に沿って切断することで大型上基板22Aの余分な領域D(図2参照)を切り落とす。この大型上基板22Aの領域Dを切り落とすと、大型下基板21Aにはその接続電極形成部Cの接続電極29が露出する。
上の例では大型下基板21Aと大型上基板22Aとをまず切断線X3に沿って同時に切断することで、切断線X3と隣の切断線X3とで画定される短冊形状のパネルを形成し、それからその短冊形状のパネルを切断線X1に沿って切断している。これに代えて、大型下基板21Aと大型上基板22Aとをまず切断線X2を挟んだ切断線X1とX3に沿って切断することで切断線X1と隣の切断線X3とで画定される短冊形状のパネルを形成し、それからその短冊形状のパネルを切断線X2に沿って切断するようにしてもよい。
切断はスクライバー装置やダイシング装置などを用いて行うことができる。これらの切断によって、注入口27fが外側に向いて且つ横に並んで開口した構成の短冊形状のパネル(すなわち、まだ電気光学変換部材が注入されていない空パネル)が形成される。
6.電気光学変換部材の注入・封止工程: 枠形状をなすシール27(シール辺27a、27b、27c、27dで構成)で画定される注入領域Bに注入口27fから電気光学変換部材を注入する。注入が完了したら注入口27fを封口して電気光学変換部材をシール27の枠内に封止する。本実施例1では電気光学変換部材として液晶を用いており、液晶を真空注入装置を用いて一括注入する。液晶の注入後は注入口27fの部位にUV硬化樹脂からなる封口部材を塗布し、それに紫外線照射を行って封口部材を硬化させ、注入口27fを封口して液晶を封止する。
以上の如く、電気光学変換部材が封止された複数のパネル(電気光学変換部材として液晶を用いた場合には液晶が封止された液晶装置)を有する短冊形状のパネルが得られる。
7.第2の切断工程: 液晶などの電気光学変換部材が注入されたパネルが複数個一列に並んだ短冊形状のパネルを第2の切断により切断線Yに沿って切断することでパネル(液晶装置)を一個一個切り出す。
この第2の切断工程における切断線Yに沿っての切断は、前述した第1の切断工程での切断と同様な方法で行う。この切断線Yに沿っての切断によって完成したパネル(液晶装置)一つ一つが得られる。その後、単個のパネルの上下面に偏光板を配設し、接続電極形成部Cの接続電極29又は接続端子にFPC基板(Flexible Printed Circuit Board)や電気光学変換部材を駆動する駆動ICなどを配設(COG)することで、さらなる機能を有する液晶装置が得られる。
本実施形態においては、これまで説明したように、樹脂性接着材27mへのスペーサ27nの含有割合が異なる2種類のシール部材27−1、27−2でもってシール辺を形成している。詳しくは、樹脂性接着材27mへのスペーサ27nの含有割合が高い第1のシール部材27−1を、接続電極形成部Cを有する延出部C’に隣接するシール辺27aとシール辺27dとに配設する。一のパネル(例えば図1に示すパネル20−14)のシール辺27aと、切断線X3を挟んでその隣の他のパネル(図1のパネル20−4)のシール辺27dとの間には、接続電極形成部Cと凸部先端切り落とし領域Kがあるため、それらシール辺27aとシール辺27dとの間隔は比較的離れている。
このため、それらシール辺27aとシール辺27dは加圧接着時に加圧力を比較的強く受けることになる。そこで、シール辺27a及びシール辺27dは、外部からの加圧力に対して対抗するためにスペーサ27nの単位面積当たりの数が多く含有された第1のシールで形成する。
それらシール辺27aとシール辺27dとはその間の間隔がシール辺27bとシール辺27cとの間隔よりも広いため、そこに配置される第1のシール部材27−1が大きく潰れることがなくなるので、他のシール辺27bとシール辺27cとの厚みの違いが大きくなって1つのパネルの範囲で間隙のばらつきが大きくなるという問題の発生は回避できる。すなわち、シール辺27aとシール辺27dには外部からの加圧力に対して対抗するスペーサ27nの単位面積当たりの数を多くすることで、加圧力に対抗する力を大きくして、シール27が潰れて厚みが小さくなるという問題を回避できる。
一方、一のパネルのシール辺27bはその隣の他のパネルのシール辺27cと接近している。これらシール辺27b及びシール辺27cは、樹脂性接着材へのスペーサ27nの含有割合が低い(すなわち、単位量の接着材に混入するスペーサの数が少ない)第2のシール部材27−2で形成する。
例えば、一のパネル20−14のシール辺27bはその右隣りのパネル20−15のシール辺27cと近接しており、同様に、そのパネル20−14のシール辺27cは左隣りのパネル20−13のシール辺27bと近接している。これら近接して隣り合っている二つのシール辺27b及びシール辺27cは、加圧接着時の加圧力を同時に受けることになり、その結果、各シール辺で受ける加圧力は分散される。このため一のパネルのシール辺27bと隣合う他のパネルのシール辺27cのそれぞれに加わる加圧力は小さくなり、その結果、シール辺のシールの潰れが少なくなる。このため、これらシール辺27bとシール辺27cは、分散するスペーサ27nの単位面積当たりの数が第1のシール部材よりも少ない第2のシール部材で形成しても、外部からの加圧力にシールが対抗できるので、シール辺のシールの潰れが少なくなる。
以上述べたように、シールとして、スペーサ27nを含有する割合が高い第1のシール部材27−1及びスペーサ27nの含有割合が低い第2のシール部材27−2の2種類が用いられる。そして、加圧接着時の加圧力が大きく加わるシール辺はスペーサ27nの含有割合が高い第1のシール部材27−1で形成し、一方、加圧力が小さく加わるシール辺はスペーサ27nの含有割合が低い第2のシール部材27−2で形成するようにすれば、いずれのシール辺でも潰れは同じになり、パネルの間隙のバラツキを小さく抑えることができる。
そして、間隙のバラツキが小さくなることにより、パネルに電気光学変換部材としての液晶を注入した液晶装置では、カラーの表示画像の色ムラ、輝度ムラが防げ、画像品質を良くすることができる。また、従来技術でのダミーシールを配設する必要もないので、ダミーシールの配設スペースを不要としさらに基板を小型にできる、又は基板からのパネルの取り個数を増やしコストダウンが得られる。さらに、シールを削減でき部材のコストダウンの効果も得ることができる。
(実施例2)
次に、大型基板とその大型基板から個々のパネルを得る実施例について図6〜図10を用いて説明する。この実施例2は収差補正用の液晶パネル(液晶装置)を用いた実施例であり、パネルの生産性を高めるために複数個のパネルを大型基板に形成し、その大型基板から一個一個のパネルを切り出すパネル製造方法(多数個取り)を用いている。
電気光学変換部材として液晶を用いたパネルには、液晶表示パネル以外のものとして光ピックアップ装置(光ピックアップ用パネル)に使われる収差補正用の液晶パネル、カメラに使われる液晶シャッターや液晶レンズなどの液晶パネル、を挙げることができる。収差補正用の液晶パネルや液晶シャッター、液晶レンズなどは何れも小型であることから、複数個取り(多数個取り)の製造方法の効果である製造コストの削減がより大きな効果として得られる。
収差補正用の液晶パネルの基本構成を図7に示す。大型基板(母基板)は大型の下基板41A(以下、大型下基板41Aという)と大型の上基板42A(以下、大型上基板42Aという)とから成る。大型上基板42Aと対向する側の大型下基板41Aの面には、透明電極43と配向膜45とを、形成すべき複数個のパネル分形成する。また大型下基板41Aに対向する側の大型上基板42Aの面には透明電極44と配向膜46を、形成すべき複数個のパネル分形成する。
次に大型下基板41Aと大型上基板42Aとの間に各パネルに対応してそれぞれ枠形状をなすシール47を配置する。そして、シール47を介して大型下基板41Aと大型上基板42Aとを貼合わせる。これら大型下基板41Aと大型上基板42Aとの間にあって枠形状をなしているシール47のそれぞれの内部に液晶(例えば、ネマティック液晶)48を封止する。
また、大型下基板41Aの一側端は枠形状をなすシール47の外側に飛び出た延出部C’が形成されている。その延出部C’上に、大型下基板41Aの透明電極43及び大型上基板42Aの透明電極44と接続する引回し配線電極と接続電極49とが配設される。
この大型下基板41Aをパネル単位で切断し、かつ大型上基板42Aもパネル単位で切断することによって、個々のパネルが得られる。
図6は大型の大型下基板41Aと大型上基板42Aとが対向し貼り合せられた大型基板(母基板)から複数の(図6の例では12個の)パネル40−1、40−2、・・・・、40−24を切り出すことを説明するための図である。
パネル40−1、40−2、・・・・、40−24(以後、特定のパネルではなく任意の一個のパネルを指すときには「パネル40」という)の各々に対応して、大型基板(母基板)上には、枠形状に配設したシール47と接続電極形成部Cとが形成されている。また、各パネル40における下基板41の延出部C’には接続電極形成部Cが配設されている。
大型下基板41Aには、図7に示すように、形成すべきパネル40毎に透明電極43を設け、さらにその透明電極43上に配向膜45を設ける。大型上基板42Aにも、形成すべきパネル40毎に透明電極44を設け、さらにその透明電極44の上に配向膜46を設ける。ただし、電気光学変換部材として高分子分散型液晶をパネルに注入して液晶装置を製造する場合には配向膜を用いないこともある。
また、大型下基板41Aは、枠形状をなすシール47の外側に延出部C’の領域を有している。この延出部C’には接続電極形成部Cが設けられている。そして、この接続電極形成部Cには、大型下基板41Aの画素用の透明電極43と接続する引き回し電極及び/または配線電極、大型上基板42Aの透明電極44とトランスファー接続構造で接続された引回し電極及び/または配線電極、パネルに対して外部回路となる制御回路基板や駆動回路基板と電気的接続をするための接続端子などの接続電極49が設けられている。延出部C’及び接続電極形成部Cは、この実施例2では、大型下基板41Aの側にのみ設けられている。
一のパネル40に対応して枠形状をなすシール47は、図6に示すように、長方形または方形をなす四つのシール辺47a、47b、47c、47dから成る。そして、シール辺47aとシール辺47dとが対向しており、かつシール辺47bとシール辺47cとが対向している。また、シール辺47aはその長さ方向中央付近に電気光学変換部材(液晶)を注入するための開口を有する。この開口の両側には前記長方形の枠から外側に突出する凸部47eが配設される。それら凸部47eの開口で液晶を注入するための注入口47fが形成されている。
一のパネル40に対応して形成されたシール47は、他のパネル40のシール47と同じ形状でありかつ同じ大きさをしている。
また、シール47には、前述の実施例1でのシールと同様に、第1のシール部材47−1と第2のシール部材47−2の2種類が使用される。第1のシール部材47−1と第2のシール部材47−2は共に樹脂接着剤47mに間隙調整部材(スペーサ)47nを含有したものからなり、第1のシール部材47−1のスペーサ47nの含有割合は、第2のシール部材47−2のスペーサ47nの含有割合より大きくなっている。
本実施例2においては、前述の実施例1のものと同じスペーサと接着剤との含有割合のものを用いている。すなわち、シールへのスペーサの含有割合は0.5〜5重量%の範囲内としている。さらに、スペーサの含有割合が高い第1のシール部材47−1と含有割合の低い第2のシール部材47−2との含有割合の差は2〜3重量%とするのが良い。
また、図6に示す横方向の切断線X1、X2、X3及び縦方向の切断線Yは、前述の実施例1での切断線X1、X2、X3及びY(図1参照)と同様の役割をもつ。
図6と図7において、切断線X1に沿っての切断でシール部材47の注入口47fの両側にある凸部47eの先端が切り揃えられる。大型下基板41Aと大型上基板42Aとを切断線X1に沿って同時に切断することで、切断線X1と隣の切断線X1とで画定される短冊形状のパネルを得る。切断線X2に沿っての切断で接続電極形成部Cにおける大型上基板42Aの不要な部分Dが切り落とされて除かれる。切断線X3に沿っての切断で延出部C’が所定の寸法に仕上げられる。切断線X3及び切断線X1に沿っての切断で注入口の凸部の先端を切り落とすことで領域Kが切断され切り落とされ除かれる。
次に、切断線Yでは複数パネルが繋がった短冊形状をなす貼り合わされた基板の各々のパネル(空パネル)40に注入口47fから電気光学変換部材である液晶を注入する。
液晶が注入された短冊形状をなすパネル40の個々の注入口47fを封口する。
個々のパネルが複数個一列に繋がった短冊形状をなすパネルを切断線Yに沿っての切断で図10に示す単個のパネルを得る。
このように、切断線X1、X2、X3に沿っての大型基板の切断で製造された短冊形状のパネル40のそれぞれには、液晶などの電気光学変換部材が注入され封止される。それからこの短冊形状のパネル40を、切断線Yに沿って切断し一個一個のパネルに切り分けて液晶装置(電気光学変換部材が注入されたパネル)を得る。
上記の実施例2にかかるパネルの製造方法を説明する。その製造工程は前述の実施例1の製造方法(図4)と基本的には同じである。よって、ここでの製造方法の説明は前述の実施例1の工程と異なっているところを主に説明し、同じ工程をなすところは必要限度の説明にとどめる。
図8は、第1のシール部材47−1を大型下基板41A上に形成したことを示す図である。
第1のシール部材47−1は、下基板41Aの延出部C’(接続電極形成部Cとして使用)に隣接するシール辺47a、47dに形成される。第1のシール部材47−1は、さらに、大型下基板41Aの外側の辺である外辺41aに隣接するシール辺47aと、外辺41bに隣接するシール辺47bと、外辺41cに隣接するシール辺47cと、外辺41dに隣接するシール辺47dとに、形成される。
パネル40−1、40−2、40−3、40−4のそれぞれのシール辺47dと、パネル40−11、40−12、40−13、40−14のそれぞれのシール辺47aは、前記延出部C’を挟んで離れて隣り合っているので、それらのシール辺47d、47aは第1のシール部材47−1で形成される。
同様に、パネル40−11、40−12、40−13、40−14のそれぞれのシール辺47dと、パネル40−21、40−22、40−23、40−24のそれぞれのシール辺47aは、前記延出部C’を挟んで離れて隣り合っているので、それらのシール辺47d、47aも第1のシール部材47−1で形成される。さらに、パネル40−21、40−22、40−23、40−24のそれぞれのシール辺47dは、その下側にある延出部C’に隣接しているので、そのシール辺47dも第1のシール部材47−1で形成される。
また、パネル40−1、40−2、40−3、40−4のそれぞれのシール辺47aは、大型下基板41Aの外辺41aと隣接して隣に他のパネルのシール辺が近接していないので、第1のシール部材47−1で形成される。パネル40−4、40−14、40−24のそれぞれのシール辺47bは、大型下基板41Aの外辺41bと隣接して隣に他のパネルのシール辺が近接していないので、第1のシール部材で形成される。パネル40−1、40−11、40−21のそれぞれのシール辺47cは、大型下基板41Aの外辺41cと隣接して隣に他のパネルのシール辺が近接していないので、第1のシール部材47−1で形成される。パネル40−21、40−22、40−23、40−24のそれぞれのシール辺47dは、大型下基板41Aの外辺41dと隣接して隣に他のパネルのシール辺が近接していないので第1のシール部材47−1で形成される。
以上のように、大型下基板41Aの外側四辺と隣接しているシール辺も第1のシール部材47−1で形成される。
このように、延出部C’に隣接しているシール辺と大型基板の外側四辺に隣接しているシール辺は第1のシール部材47−1で形成される。
前述の実施例1で説明したように、図8に示すシール辺47c、47a、47dは、その隣にシール辺が存在しないか、あるいは隣にあっても距離が離れたところにある。そのため、大型基板を構成する大型下基板と大型上基板との加圧接着時における加圧力がシール辺47c、47a、47dを形成しているシールにそれぞれ大きく加わってシールの厚み変形を大きくしてしまう。そこで、これらシール辺47c、47a、47dの単位面積当たりのスペーサ47nの数を増して外圧に対する抗力を強めることで、シール辺47c、47a、47dの厚み変形を小さくし、他のシール辺の厚み変形とほぼ等しくする。これにより、大型下基板41A及び大型上基板42Aの間の間隙を場所に拘わらず均一にしている。
図9は、第2のシール部材47−2を大型上基板42A上に配置したことを示す図である。
枠形状のシール47を構成する4片のシール辺47a、47b、47c、47dのうち、大型下基板41A上に配置されるシール辺47a、47c、47d(図8参照)を除くすべてのシール辺が、大型上基板42Aに配設される。そして、図9に示す大型上基板42Aを裏表をひっくり返して、図8に示す大型下基板41Aに重ね合わせる。
具体的には、図9に示すように、大型上基板42A上に配置される第2のシール部材47−2で形成されるシール辺は、パネル40−1、40−11、40−21のそれぞれのシール辺47bと、パネル40−2、40−12、40−22、40−3、40−13、40−23のそれぞれのシール辺47b及びシール辺47cと、さらに、パネル40−4、40−14、40−24のシール辺47cである。
上記した、第2のシール部材47−2で形成されるシール辺は、図9から明らかなように、シール辺同士が互いに近接していて、接着時に加圧される加圧力を受ける面積が大きくなっていることから加圧接着時の加圧力は分散され、各々のシール辺に加わる加圧力は小さくなる。このため、シール部材47−2のスペーサ47nの単位面積当たりの数が少なくても外部からの加圧力に対して所定の抗力あるいは応力が得られ、シールの厚み変形は小さい。
本実施例2において、各々のシール辺の製造方法は、前述の実施例1でのシール辺の製造方法であるスクリーン印刷方法を用いている。
このように、それぞれ面上にシール辺を形成した大型下基板41Aと大型上基板42Aとを対向させて、シールを挟んで対向するそれら基板の間の位置を合わせて、その後、シールを用いて加圧の下で対向する基板を貼合わせる。図6に示すように、継ぎ合わされた枠形状のシール47が得られる。加圧方法や接着方法と条件は前述の実施例1の製造方法と同じである。
次に、貼り合わされた母基板を切断線X1、X2、X3に沿って切断し、短冊形状のパネル(空パネル)を製造する。
複数のパネルを一列に連結した短冊形状パネルのその個々のパネルに、その注入口から液晶を注入し、その後注入口を封口部材で封口することによって液晶を枠形状をなすシールの枠内に封止する。
次に液晶が注入された短冊形状のパネルを切断線Yに沿って切断することで、図10に示す個々の液晶パネルあるいは液晶装置が得られる。
以上述べたように、シール47として、接着材47mにスペーサ47nを含有する割合が高い第1のシール部材47−1と、その混合割合が低い(単位量の接着材に混入するスペーサの数が少ない)第2のシール部材47−2の2種類を用いる。
枠形状をなすシールを構成する4片のシール辺のうち、比較的大きな加圧力が加わるシール辺にはスペーサ47nの含有割合が高い(単位量の接着材に混入するスペーサの数が多い)第1のシール部材を配設する。そして単位面積当たりのスペーサ47nの数を多くし、それらシール辺のシールの潰れを少なくする。一方、比較的小さな加圧力が加わるシール辺にはスペーサ47nの含有割合が低い第2のシール部材47−2を配設する。そして単位面積当たりのスペーサ47nの数を少なくする。このように、枠を構成するどのシール辺においてもその厚み変形が同じ値になるように調整して、全面にわたって均一な間隙量をもったパネルが得られるようにする。このことは、収差補正用の液晶装置においては補正の誤差を減少させて補正の精度を向上させる上で効果的である。
上記実施例2では、シール辺ごとにシール辺を第1のシール部材で形成するかまたは第2のシール部材で形成するかを隣のシール辺との関係で決めていたが、一のシール辺の一部を第1のシール部材で形成し残りの前記シール辺の部分は第2のシール部材で形成するというようにしてもよい。
以上述べたように、上記の実施例2では、シールとしてスペーサ47nを含有する割合が高いシール部材と含有割合が低いシール部材の2種類を用いるとした。これに代えて、シールにスペーサ47nを含有する割合をシール辺のシールの潰れ具合に関連させて三段階またはそれ以上の多段階に設定してもよい。そうすれば、シール辺毎の加圧力の差による間隙変化を防ぎ、より均一な間隙量に調整することができる。
本発明によれば、大型基板を構成する大型下基板と大型上基板との間に配設されるシールのうち、加圧力が大きく加わる部分にはスペーサ47nの含有割合が高いシール部材を用いることで単位面積当たりのスペーサ47nの数を多くする。これによってシールの潰れを少なくする。一方、シールのうち、大きな加圧力が加わらない部分にはスペーサ47nの含有割合が低いシール部材を用いることで単位面積当たりのスペーサ47nの数を少なくする。これによって一定の加圧力のもとでのシールの厚み変形を比較的大きくさせる。このようにすることにより、一のパネルを構成する上基板と下基板の間の間隙量のバラツキをパネルの全面で小さくできる。その結果、収差補正用の液晶装置では補正誤差の精度を向上させることができる。
本発明は円形の枠形状をなすシールにも適用できる。この円形枠形状をなす一つのシールが他の円形枠形状をなす別のシールとの接近度に応じてそれらを前記の第1のシール部材で形成するかそれとも第2のシール部材で形成するかを決めることができる。
以上、実施例1、実施例2は電気光学変換部材に液晶を用いた液晶表示装置と液晶装置であった。一方、本発明のシール部材を有する基板は、タッチパネルにも適用できる。
車載用のカーナビゲーション等に使われるタッチパネルは、耐熱性、耐湿性の観点などから薄板ガラス、あるいはプラスチック基板を用いて10μm前後の間隙量で製作される。間隙量にバラツキが大きいとパネル上の押す位置によって、指での操作に強い力が必要である部位が生じたり、一寸触れただけで接触が起きる部位が生じて、パネル操作の誤動作の問題が生じる。本発明のシールでは間隙量のバラツキが小さく抑えられることで、前記のような問題は解消される。
また、本発明のシールや液晶装置はプラスチック基板やガラス基板を用いた場合にも適用できる。また、対向する基板の間にEL(エレクトロルミネッセンス)を封止したEL表示装置などにも適用できる。
次に、本発明の第2実施形態を図11から図24を用いて説明する。
(実施例3)
図11に示す液晶パネルPは、下基板50と上基板60の2枚の基板からなる。下基板50は、上基板60の外周辺の少なくとも一部より延出した延出部50Aを有する。延出部50Aは、図示しない集積回路(IC)がCOG(Chip On Glass)にて実装される領域であるが、ICは実装されない場合もある。液晶パネルの外の外部回路と液晶パネルを接続するFPC(フレキシブル回路基板)が延出部に引き出された配線電極と異方性導電接着剤で接続される。
液晶パネルPを構成する下基板50と上基板60とはシール30を介して貼り合わされている。シール30は、上基板60の延出部50A側の辺、及びその延出部50A側と対向する辺(注入口32側の辺)に配設される第1のシール部材30Aと、上基板60の残りの2辺に沿って配設される第2のシール部材30Bとから成る。
この図11に示す液晶パネルPを図12及び図13の断面図を用いて詳細に説明する。
液晶パネルPは、完成下基板50にガラスや樹脂などの透明部材からなる透明基板51を基材としている。完成下基板50の完成上基板60に対向する側の面にはITO(酸化インジウムスズ、Indium Tin Oxide)からなる透明電極52がパターニング形成されている(電極配設工程)。その透明電極52の上面には絶縁膜53を配設する。これにより完成下基板50の透明電極52と完成上基板60の透明電極64とがゴミなどにより電気的に短絡することを防止している(絶縁膜配設工程)。さらに、絶縁膜53の上面に配向膜54がラビング処理されて配設されている(配向膜配設工程、ラビング工程)。
完成下基板50と間隙を設けて対向する完成上基板60は、完成下基板50と同様の透明部材からなる透明基板61を基材とし、基板61の下面(下基板50と対向する側の面)にR(赤)色、G(緑)色、B(青)色のカラーフィルタがストライプ状、あるいはマトリクス状あるいは千鳥配列などのパターンで配設されて、カラーフィルタ62の層が形成されている(カラーフィルタ配設工程)。そのカラーフィルタ62の上には平坦化膜63が配設されている(平坦化膜配設工程)。平坦化膜(保護膜)63の上に前記透明電極52と同様の部材からなる透明電極64が配設されている(電極配設工程)。その透明電極64の上に配向膜65がラビング処理されて配設されている(配向膜配設工程)(ラビング工程)。
これら完成下基板50と完成上基板60とは、熱硬化性のエポキシ樹脂などからなるシール30を介して貼り付け接合されている。完成下基板50と完成上基板60とはシール30に混入されている間隙調整部材であるスペーサ31によって、それらの間の間隙が所定の値に規制されている(対向基板張合わせ工程)。
図11に示す枠形状のシール30(30A、30B)と図12及び図13に示す完成下基板50及び完成上基板60とで囲まれた空間が形成される。この空間には電気光学変換部材としての液晶が、シール30の一部に設けられた注入口32より注入される(注入工程)。液晶が注入されると、注入口32を封止樹脂33で封口して液晶層70を形成する(封口工程)。液晶層70には、液晶が注入される基板間隙を所定の値とするためのスペーサ71が配設されている(スペーサ散布あるいはスペーサ配設工程)。
液晶パネルPに配設されたシール30には、図14に示すように、シール領域の部位によって粒径を異にする2種類のスペーサ31が配されている。シール30のうち、第1のシール部材30Aには、図15の(A)に示す粒径(平均粒径)dが約9.5μm(カラーフィルタの厚み分とオーバーコート厚み分とを合わせると3μmあり、その分を粒径に加えて9.5μの粒径とした)の第1のスペーサ31Aが混入されている。一方、第2のシール部材30Bには、図15の(B)に示す粒径(平均粒径)d1が約9μm(カラーフィルタの厚み分とオーバーコート厚み分を合わせると3μmあり、その分を加えて9μの粒径とした)の第2のスペーサ31Bが混入されている。第2のスペーサ31Bの平均粒径d1は、例えば、図32における楕円状に変形した従来のスペーサ131のほぼ短軸(間隙S2)に相当する大きさである。
図12及び図13に示すように、上記構成のシール30(30A、30B)を液晶パネルPに適用した場合、第1のスペーサ31Aを混入した第1のシール部材30Aの辺における完成下基板50と完成上基板60との間隙S(図12参照)は、第2のスペーサ31Bを混入した第2のシール部材30Bの辺における完成下基板50と完成上基板60との間隙S1(図13参照)とほぼ同じになる。従って、図11に示す液晶パネルPの表示領域Z(図31参照)の周辺の間隙が一定になり、輝度ムラMが発生せず、表示品質が向上する。液晶パネルPに図示しないバックライトや駆動回路などを備えると輝度ムラMのない、表示品質が向上した表示装置や液晶装置が得られる。
以上のように構成された液晶パネルPは、図16に示す大型基板(母基板)である大型液晶セル101から得られる。まず、大型液晶セル101を切断線X−X1(上基板及び下基板をこのラインで同時に分割)及び切断線X2−X3(上基板のみをこのラインで分割)に沿って切断して短冊形状の液晶セル(すなわち、複数の液晶セルが一列に並んだ連結体)を得る。それから、この短冊形状の複数個の液晶セルに液晶を一括注入する。その後、注入口32(図14参照)を封止樹脂33で塞ぐ。それから、液晶が注入された短冊形状の液晶セル(液晶パネル)を切断線Y−Y1(上基板と下基板を共に分割)に沿って図示しないレーザーカッター装置、ブレイク装置、スクライブ装置などを用いて切断する。この切断によって、図16に示す大型液晶セル101から、所定個数の液晶パネル1−1が得られる。
こうして所定個数の液晶パネル1−1を切り出した後の短冊パネルの一端及び/または他端には、使用されない捨て基板部66が残る。この捨て基板部66での上基板と下基板間の間隙にはダミーシール35(図16参照)が形成されている。また、図17に示す大型液晶セル101の大型完成上基板60の延出部50Aと対向する基板部分にも、使用されない捨て基板部66が所定個数の液晶パネルを切り出した後に残る。
大型液晶セル101は大型完成下基板50と大型完成上基板60とから構成される。大型完成下基板50は、図17及び図18に示すように、透明基板111を基材とする。その透明基板111の大型完成下基板60に対向する側の面110F(図19の(A)参照)上に透明電極52が配設される。その透明電極52の上には絶縁膜53が配設される。その絶縁膜53の上には配向膜54がラビング処理されて配設される。さらに、この大型完成下基板50の面110Fには、粒径dが約9.5μmの第1のスペーサ31Aを混入した第1のシール部材30Aと、この第1のシール部材30Aと同様のシール部材よりなる複数のダミーシール35が図16及び図19の(A)のように配設される。
一方、大型完成上基板60は、図17及び図18に示すように、透明基板121を基材とする。その透明基板121の大型完成下基板50に対向する側の面120F(図19の(B)参照)上にカラーフィルタ62を配設し、平坦化層63を配設し、透明電極64を配設し、ラビング処理された配向膜65を配設する。さらに、この大型上基板60の面120Fには、粒径d1が約9.0μmの第2のスペーサ31Bを混入した第2のシール部材の辺30Bと、この第2のシール部材30Bと同様のシール部材の複数のダミーシール35が図16及び図19の(B)のように配設される。
図19の(A)及び(B)に示すように、大型完成下基板50と大型完成上基板60とがシール30及びダミーシール35を介して貼り合わされて大型液晶セル101を構成している(基板貼り合わせ工程)。ダミーシール35は、大型完成下基板50と大型完成上基板60とを貼り合わせる際に、大型基板の外周において、シール部材の辺30Bの密集度を他のシール部材の辺30Bの箇所と同じようにするために設けている。前記ダミーシール35によって大型完成下基板50と大型完成上基板60の貼り合せ作業において加えられる加圧力を大型基板の中央部と大型基板の周辺部とで同じようにできる効果がある。図11に示す液晶パネルPの表示領域Zの外周周辺の間隙がより均一になり、輝度ムラをより効果的に抑え、表示品質が向上する。
(実施例4)
この実施例4は、モノクロ表示の液晶パネルに係り、大型液晶セルから多数個の液晶セルあるいは液晶パネルを切り出すときのその切り出し個数を実施例3の場合より高めている。そこで、本実施例4を図20から図24を用いて説明する。ここで、前述の実施例3と同一の構成及び同一の部材には同一符号を付して説明を省略することとする。
液晶パネルは図20Aに示す第1の液晶パネル1−1と図20Bに示す第2の液晶パネル1−2とからなる。第1の液晶パネル1−1は下基板50−1と上基板60−1とを有し、第2の液晶パネル1−2は下基板50−2と上基板60−2とを有する。
第1の液晶パネル1−1の上基板60−1の一辺から延出部60Aが延びており、また、第2の液晶パネル1−2の下基板50−2の一辺から延出部50Aが延びている。そして、第1の液晶パネル1−1の上基板60−1の延出部60Aと第2の液晶パネル1−2の下基板50−2の延出部50Aとは、上基板60−1と下基板50−2とを水平方向に隔てた状態で互いに重なりあう。
図20Aを用いて第1の液晶パネル1−1の構成を説明する。
第1の液晶パネル1−1を構成する下基板50−1は、上基板60−1に対向する側の面上に透明電極52がパターニング形成されている。その透明電極52の上には絶縁膜53が配設されている。その絶縁膜53の上には配向膜54がラビング処理されて配設されている。また、第1の液晶パネル1−1を構成する上基板60−1は、下基板50−1に対向する側の面上に透明電極64が配設されている。その透明電極64の上には絶縁膜67が配設される。ただし、この絶縁膜67は、下基板50−1に絶縁膜53があるので、無くても良い。さらに、絶縁膜67の上には配向膜65がラビング処理されて配設されている。
本実施例4では前記したカラー表示ではなくモノクロ表示となっているので、上基板60−1にカラーフィルタを配設していない。液晶層70には間隙を一定にするためのスペーサ71が配設されている。
図20Bを用いて第2の液晶パネル1−2の構成を説明する。
第2の液晶パネル1−2を構成する下基板50−2は、上基板60−2に対向する側の面上に透明電極52がパターニング形成されている。その透明電極52の上には絶縁膜53が配設されている。その絶縁膜53の上には配向膜54がラビング処理されて配設されている。また、第2の液晶パネル1−2を構成する上基板60−2は、下基板50−2に対向する側の面上に透明電極64が配設されている。その透明電極64の上には絶縁膜67が配設される。ただし、この絶縁膜67は、下基板50−2に絶縁膜53があるので、無くても良い。さらに、絶縁膜67の上には配向膜65がラビング処理されて配設されている。
本実施例4では前記したカラー表示ではなくモノクロ表示となっているので、上基板60−2にカラーフィルタを配設していない。液晶層70には間隙を一定にするためのスペーサ71が配設されている。
図20Aの第1の液晶パネル1−1を構成する下基板50−1と上基板60−1とはシール30を介して貼り合わされ接着される。矩形の枠形状をなすシール30の配置パターンに関して、第1の液晶パネル1−1の場合、その延出部60A側の1辺には第1のシール部材30Aが配設され、その1辺を除く他の3辺には第2のシール部材30Bが配設される。
また、第1のシール部材30Aが配設される辺と隣接する2辺のいずれか1つには注入口32が設けられる(図21参照)。この注入口32から液晶を注入し、封止樹脂33で封口して液晶層70を形成する。液晶層70には間隙を一定にするためのスペーサ71が散布されている。本実施形態では液晶の注入口32を延出部60Aに対して液晶パネル1−1の側方に配設している。
図20Bの第2の液晶パネル1−2を構成する下基板50−2と上基板60−2とはシール30を介して貼り合わされ接着される。矩形の枠形状をなすシール30の配置パターンに関して、第2の液晶パネル1−2の場合、その延出部50A側の1辺に第1のシール部材30Aが配設され、その1辺を除く他の3辺には第2のシール部材30Bが配設される。
また、第1のシール部材30Aが配設される辺と隣接する2辺のいずれか1つには注入口32が設けられる。この注入口32から液晶を注入し、封止樹脂33で封口して液晶層70を形成する。
図22は、図21に示す大型液晶セル101−1から取り出される、縦方向に隣り合う2つの液晶パネル(第1の液晶パネル1−1と第2の液晶パネル1−2)のそれぞれの延出部50A、60A付近の断面図である。この図からわかるように、第1の液晶パネル1−1の上基板60−1の延出部60A(切断線X2−X3より左側)は、第2の液晶パネル1−2の下基板50−2の延出部50A(切断線X4−X5より右側)と重なり合っている。したがって、これら延出部60A、50Aでもって隔てられた第1の液晶パネル1−1の辺と第2の液晶パネル1−2の辺には第1のシール部材30Aが配設される。
一方、図23は、図21に示す大型液晶セル101−1から取り出される、横方向に隣り合う2つの第1の液晶パネル1−1の連接部付近の断面図である。左側の液晶パネル1−1の上基板60−1と右側の液晶パネル1−1の上基板60−2とは切断線Y−Y1に沿って切り離され、また、左側の液晶パネル1−1の下基板50−1と右側の液晶パネル1−1の下基板50−2とは同じ切断線Y−Y1に沿って切り離される。このように、切断線Y−Y1を挟んだ第1の液晶パネル1−1の辺と第2の液晶パネル1−2の辺とは(間に延出部が介在しないため)互いに接近しており、したがって、それらの辺には第2のシール部材30Bがそれぞれ配設される。
以上のように構成された第1の液晶パネル1−1及び第2の液晶パネル1−2は、以下のようにして製造される。
大型液晶セル101−1を構成する下基板及び上基板をそこに設けた電極が対向するようにして貼り合わせる。その基板貼り合わせ工程を経たあと、図21に示すように、大型液晶セル101−1を切断線Y−Y1に沿って図示しないレーザー装置またはスクライブ装置またはブレイク装置などを用い大型液晶セル101−1を構成する下基板と上基板とを同時に切断する。この切断(分割)により短冊形状(長方形状)の液晶セル(すなわち、複数の液晶セルが一列に並んだ連結体)を得る。
この短冊形状の液晶セルにおいて、その一辺に複数個の注入口32が並んでいる。この注入口32を液晶溜めに接触させて、真空一括注入をなして、短冊形状の液晶セルに液晶を注入して液晶注入工程を終える。液晶を注入した後に液晶注入孔を封口するための封口工程で注入口32を封止樹脂33で塞ぐ。
短冊形状の液晶パネル(液晶セルに液晶を注入することにより液晶パネルとなる)から液晶パネルを一つ一つ得るために、切断線Y−Y1方向に延びる短冊形状の液晶パネルをそれと垂直の方向の切断線X−X1、X2−X3及びX4−X5に沿って、短冊形状の液晶パネルを構成する上下の基板を同時に切断するX方向切断工程を実施する。この切断には、レーザーカッター装置、スクライブ装置、ブレイク装置、ダイシング装置などの切断装置を用いる。
このようにして、大型液晶セル101−1から複数個の第1、第2の液晶パネル1−1、1−2が製造される。
図21に示す大型液晶セル101−1が切断により分割されて複数個の液晶セル(液晶セルに液晶が注入されると第1の液晶パネル1−1または第2の液晶パネル1−2になる)が得られるが、この時に、大型液晶セル101−1の外周には、液晶パネルの一部とならずに残される捨て基板部66−1が発生する。この捨て基板部66−1の部位に対応する上基板と下基板の間には、実施例3で説明したダミーシール35が配される。
図21の大型液晶セル101−1は、図24の(A)に示す下基板(以下、これを大型下基板101−2という)と図24の(B)に示す上基板(以下、これを大型上基板201−2という)とから成る。
図24の(A)に示す大型下基板101−2の、大型上基板201−2と対向する側の面101−2Fには、平均粒径dが約6.0μmの第2のスペーサ31Bを混入した第2のシール部材30Bが配設される。さらに、この面101−2Fに配置されるダミーシール35にも第2のシール部材30Bと同じものを用いる。
一方、図24の(B)に示す大型上基板201−2の、大型下基板101−2と対向する側の面201−2Fには、平均粒径dが約6.5μmの第1のスペーサ31Aを混入した第1のシール部材30Aが配設される。さらに、この面201−2Fに配置されるダミーシール35にも第1のシール部材30Aと同じものを用いる。
このように、大型下基板101−2と大型上基板201−2とでシール内スペーサの粒径を異ならせている。本実施例4では、大型上基板に配設されるシール内スペーサの粒径を、大型下基板に配設されるシール内スペーサの粒径より小さくしている。
以上のように構成された本実施例4にかかる液晶パネル1−1及び液晶パネル1−2は、上記実施例3の効果に加え液晶パネル1−1の延出部60Aと液晶パネル1−2の延出部50Aが上下に互い違いに形成されているので、液晶パネルの大型基板あるいは大型基板からの液晶パネルの取り個数が増える効果を有する。なぜなら、パネルとして使用されない捨て基板部が、実施形態1に比べ格段に少なくなるためである。このことで、生産コストの削減、パネルの低価格が得られる効果を有する。
さらに輝度ムラなる課題が解決され表示品質あるいはパネルの品質が向上する効果も有する。
上記実施例4では、シールを印刷法による製造方法で配設したので、上基板と下基板のそれぞれにシール部材30Aとシール部材30Bを分けて配設した。しかし、本実施形態では、シールをディスペンサー法による製造方法で配設するならば、上基板と下基板それぞれにシールを分けなくても、一方の基板にのみシール部材30Aとシール部材30Bを配設することができる。例えば、一方の基板にのみシール部材30Aとシール部材30Bを配設するとすると、図35の(A)及び図35の(B)に示されるようなパターンで配設することになる。この時、シールの所定の部位によりスペーサの粒径を使い分けるためにスペーサ散布において散布マスクをセットする。このマスクにより所定の部位に所定のスペーサを散布する。
上記実施例4では、液晶セルとして、配向膜を用いているが、PN(ポリマーネットワーク)液晶に本発明を用いるときには、配向膜が無くても良い。
完成液晶パネルとしては、液晶パネルに追加して偏光板などを用いるが、完成PN液晶パネルならば、偏光板が無くても良い。
以上、第2実施形態では、電気光学変換部材として液晶を用いた例を説明したが、それ以外に、電気光学変換部材としてEL(エレクトロルミネッセンス)を用いることもでき、その場合、液晶を用いる場合と同様の効果が期待できる。
さらに、第2実施形態は以下の液晶パネルまたは液晶装置にも適用できる。
基板はガラス基板のほかにプラスチック基板も用いることができる。液晶装置は透過型に限らず、それ以外の反射型あるいは半透過型の液晶装置であってもよい。また、パッシブ方式のマトリックス液晶装置のほかに、TFT、MIM等の素子を用いたアクティブ型の液晶装置であってもよい。マトリックス形式の液晶装置のほかにスタティック形式の液晶装置であってもよい。
また、本実施形態では、枠形状をなすシールの一辺におけるスペーサの粒径はその辺全体にわたって同じものにしているが、一辺の一部と残りの部分とでそこに含まれるスペーサの粒径を変えるようにしてもよい。
次に、本発明の第3実施形態を図25A、図25B及び図26を用いて説明する。
前述した第1実施形態及び第2実施形態では、大型下基板と大型上基板との間隙の量を球状のスペーサでもって規制している。
当第3実施形態では間隙調整部材として図25Aまたは図25Bに示すような断面が長方形、四角形状、台形、三角形状をなす柱状の間隙調整部材であるスペーサ57を、少なくともシールが配設される部位に配設し、柱状の間隙調整部材を覆う如くシール部材として絶縁性接着材を配設した。
柱状の間隙調整部材は、必ずしも柱状に限られるものではないので、以下固定スペーサと称する。一方、製造上の観点からは、柱状の間隙調整部材が好ましい。
すなわち、シールを配設する部位に、まず固定タイプの柱状のスペーサを形成する。それから、かく形成した固定スペーサを覆う如くシールの機能を有する絶縁性接着樹脂を、前記シール配設部位に、配設する。これにより固定スペーサが内在したシールを形成できる。固定スペーサはシールを配設する部位以外にも配設して良い。
(実施例5)
当実施例5では、大型下基板21Aと大型上基板22Aとの間隙(図2参照)の量を、図25Aまたは図25Bに示すような柱状のスペーサ57の高さでもって調整した。
また、シールを配設する部位に固定スペーサの数をいかほど配設するかであるところの、シールの部位における固定スペーサの密度を用いて前記の調整をなすことができる。前記密度としては、シールが配設される部位の単位面積に配設された固定スペーサの数に固定スペーサの断面積を掛けたものをシールの前記単位面積で割ることで、シールの部位における固定スペーサの密度なる対比基準を得ることができる。
シールの部位における固定スペーサの密度なる対比基準以外にも、シールが配設される部位の単位面積に配設された固定スペーサの数あるいはシールが配設される部位の単位面積に配設された固定スペーサの高さ(この高さを変えることは、接着前の固定スペーサの高さを変えることである)あるいはシールが配設される部位の単位面積に配設された固定スペーサの断面積(この断面積を変えることは、接着前の固定スペーサの断面積を変える場合と、接着後の固定スペーサの断面積が変わるように接着前の固定スペーサの条件を設定する場合とがある)を対比基準とすることができ、これら個々の対比基準を組み合わせても良い。
このように所定の配設で固定スペーサを少なくともシールが配設する部位に配設することで、パネルを構成する上基板と下基板間の間隙のムラを解消して、パネルの部位による厚さのバラツキが現われないとの効果を得た。
この実施例5を、図1の大型基板における1つのパネル20−14を透視した図である図3を用いて説明する。
このパネル20−14の接続電極形成部Cとなる延出部C’(大型下基板21A上)に隣接するシール辺27dと、パネル20−14に隣接するパネル20−4の延出部C’に隣接しているシール辺27aは、配設される固定スペーサ57の密度が高い(シールが配設される面積の単位面積に配設される固定スペーサの数が多い)第1のシール部材27−1で形成する。
一方、シール辺27bとシール辺27cは、配設される固定スペーサ57の密度が低い(シールが配設される面積の単位面積に配設される固定スペーサの数が少ない(第1のシール部材27−1に対して第2のシール部材27−2は、単位面積に配設される固定スペーサの数が少ない))第2のシール部材27−2で形成する。
このように固定スペーサを配設することで、第1実施形態で述べたのと同じ理由によって、パネルの部位による上基板と下基板間の間隔(間隙)のバラツキを防ぐことができる。すなわち、シール辺27aとシール辺27aに隣り合う他のパネルのシール辺27dとの間隔は比較的離れているため、前記シール辺27aと前記シール辺27dは、上基板と下基板を加圧し接着する時に加わる加圧力が比較的大きくなるが、この加圧に対して、前記の如く固定スペーサの配設密度を高く及び/または固定スペーサの高さを高く及び/または固定スペーサの断面積の大きさを大きくした、前記第1のシール部材をシール辺27a及びシール辺27dに用いることで、外部からの強い圧力に対して比較的大きな対抗力が与えられることになる。
その結果、シール辺27aとシール辺27dが一のパネルを構成するそれ以外のシール辺(シール辺27bとシール辺27c)よりも大きく潰れて間隙が小さくなりそれらシール辺27bとシール辺27cとの間隙量との違いが大きくなって、1つのパネルの範囲で間隙のばらつきが大きくなる、という問題が生じるのを解決する効果を得ることができる。
さらに、本発明による当実施例5の液晶パネルは、枠形状をなし間隙調整部材を有するシールを介して接着された対向する基板の少なくとも一方の基板の少なくとも1辺が他方の基板の1辺より延出した延出部を有し前記シールの内側に液晶を封止した構成をなす液晶パネルにおいて、前記延出部を形成する前記基板の辺に隣接する前記シールの辺に配設される固定スペーサの配設密度より低い配設密度を有する他の前記シール辺を有する、前記の液晶パネルであり、この特徴を得るための基本構成としては、以下の内容が一体系として整理できる。
1−1.シール部位の違いによりスペーサの配設密度を変えた。1−1−1.単位面積当たりのシールに配設する球状スペーサの数を変えた。1−1−1−1.複数の前記球状スペーサが、同じ径を有するスペーサである。さらに前記球状スペーサは、弾性スペーサまたは可トウ性スペーサよりなる。1−1−1−2.複数の前記球状スペーサが、異なる径を有するスペーサである。さらに前記球状スペーサは、弾性スペーサまたは可トウ性スペーサよりなる。
1−2.シール部位における固定スペーサの配設密度を変えた。1−2−1.シールの単位面積当たりに配設される固定スペーサの数を変えることで、シール部位における固定スペーサの配設密度を変るとした。1−2−1−1.対向基板を接着する前の状態で、スペーサを基板の面方向に切断したとするときの断面積が同じである固定スペーサを用いて、前記1−2−1項の如くスペーサの配設する数を変えた。1−2−1−2.対向基板を接着する前の状態で、スペーサを基板の面方向に切断したとするときの断面積が異なる固定スペーサを用いて、前記1−2−1項の如くスペーサの配設する数を変えた。
1−2−1−3.対向基板を接着する後の状態で、スペーサを基板の面方向に切断したとするときの断面積が同じである固定スペーサを用いて、前記1−2−1項の如くスペーサの配設する数を変えた。1−2−1−4.対向基板を接着する後の状態で、スペーサを基板の面方向に切断したとするときの断面積が異なる固定スペーサを用いて、前記1−2−1項の如くスペーサの配設する数を変えた。
1−2−2.シールの単位面積当たりに配設した固定スペーサの断面積(スペーサを基板の面に沿って切断したとするときの断面積)の合計を面積密度として、この面積密度を変えることで、シール部位における固定スペーサの配設密度を変えるとした。1−2−2−1.前記1−2−2項で用いた固定スペーサは、対向基板を接着する前の状態で、スペーサを基板の面に沿って切断したとするときの断面積が略同じである(あるいは実質的に同じである)スペーサを用いた。この固定スペーサの断面積としては、対向基板を接着する前の断面積を用いるときと、対向基板を接着した後の断面積を用いる場合とがあるが、実験などで適宜決めるのがよい。このとき、製造コストの削減を得るためには対向基板を接着する前の断面積を用いて、スペーサを基板の面に沿って切断したとするときの断面積が略同じである(あるいは実質的に同じである)スペーサを用いるとするのが好ましい。
1−2−2−2.前記1−2−2項で用いた固定スペーサは、対向基板を接着する前の状態で、スペーサを基板の面に沿って切断したとするときの断面積が異なる(あるいは実質的に異なる)スペーサを用いた。この固定スペーサの断面積としては、対向基板を接着する前の断面積を用いるときと、対向基板を接着した後の断面積を用いる場合とがあるが、実験などで適宜決めるのがよい。このとき、製造コストの削減を得るためには対向基板を接着する前の断面積を用いて、スペーサを基板の面に沿って切断したとするときの断面積が異なる(あるいは実質的に異なる)スペーサを用いるとするのが好ましい。
この第3の実施形態の第5の実施例によるパネルは、第1の実施形態で説明したところの図4を参照して説明した方法と同様の方法でもって製造することができる。
この実施例5では、第1、第2実施形態と同様に、大型基板を構成する大型上基板か大型下基板の一方に第1のシール部材(シールが配設される面積の単位面積に配設される固定スペーサの数を比較的多数にしたシール。或いは固定スペーサの配設密度を比較的大きくしたシール)と第2のシール部材(シールが配設される面積の単位面積に配設される固定スペーサの数を比較的少数にしたシール。或いは固定スペーサの配設密度を比較的小さくしたシール)とを一度に配設して大型基板を製造することができ、製造コストの削減に効果がある。
(実施例6)
実施例6では、間隙調整部材として固定のスペーサを用いる。
前述した第2実施形態の図22に示すように、第1の液晶パネル1−1の辺とその辺に対向する第2の液晶パネル1−2の辺とが互いに離れている場合には、それらの辺には断面積の大きな固定スペーサを配設した第1のシール部材を配設する。一方、図23に示すように、第1の液晶パネル1−1の辺とその辺に対向する第2の液晶パネル1−2の辺とが互いに近接している場合には、それらの辺には断面積の小さな固定スペーサを配設した第2のシール部材を配設する。
図22の場合のようにシールとその隣のシールとの間隔が比較的離れていると、それらシールは加圧接着時に加圧力を比較的強く受けることになる。
しかし、本実施例6では、それらのシールに配設される固定スペーサはその断面積が比較的大きいものであるため、潰れに対する抵抗力が大きい。
したがって、図23の場合のようにシールとその隣のシールとが比較的接近している場合に配設する断面積が比較的小さい固定スペーサを有するシールにおける固定スペーサの潰れの量とほぼ等しくなる。その結果、均一な厚さをもった個々のパネルが製造される。
本実施例6では、大型基板を構成する大型上基板か大型下基板のいずれか一方に第1のシール部材(シールの所定の部位に配設する固定スペーサ57の断面積を比較的大にしたシール)と第2のシール部材(シールの所定の部位に配設する固定スペーサ57の断面積を比較的小にしたシール)とを一度に配設して大型基板を製造することができ、製造コストの削減に効果が大きく得られる。
一方、大型基板を構成する大型上基板か大型下基板のいずれか一方に第1のシール部材(シールの所定の部位に配設される固定スペーサ57の断面積を比較的大にしたシール)を配設し、他方の基板に第2のシール部材(シールに混入される固定スペーサ57の断面積を比較的小にしたシール)を配設した大型基板を用いて単個の液晶パネル製造することもでき、製造コストの削減に効果が得られる。
以下に固定スペーサの製造方法を説明する。
(1)一個のパネルに対応する複数のパネル要素を有する大型下基板(下母基板)21A(図2参照)に、マトリクス状に配置した薄膜トランジスタ(TFT)などのスイッチング素子や、このスイッチング素子に結線されるゲート電極、ソース電極、画素電極が形成されたアクティブマトリクス基板を形成する。
(2)固定スペーサのための感光性樹脂をスピナー法により上記アクティブマトリクス基板上に塗布する。感光性樹脂としてはポジ型アクリル系樹脂、ポリイミド系の感光樹脂などを用いることができる。また、固定スペーサは表示領域外のシールを配設する部位に形成する。なお、固定スペーサを表示領域内に配設してもよい。
(3)マスクパターンを用いた紫外線によるパターン露光を行う。
(4)現像液により不要な樹脂を取り除き、アクティブマトリクス基板を加熱することにより、樹脂により形成された固定スペーサ57を硬化させる。
上記(1)から(4)までの工程により、感光樹脂の塗布量、感光性樹脂の膜厚、前記マスクパターンのマスク開口の大きさ、形状で固定スペーサの高さ、平面方向の断面積の大きさ(固定スペーサの太さ)が調整できるので、一回の露光で固定スペーサ57が製造できる。さらには、いろいろな形状の固定スペーサが一度に製造することができ、前記の上基板と下基板の間の間隙のムラ、液晶層の厚みムラ、シール厚みムラなる問題を、容易に低コストで精細に解消できる効果を有する。
次に、固定スペーサ57を有するアクティブマトリクス基板の上にポリイミドタイプの配向膜を印刷法、スピナー法などにより配設する。
次に、配向膜を180°Cで焼成し、その後配向膜をラビングする。
この後の、液晶パネルを製造する工程は、大型上基板あるいは大型下基板のいずれか一方に、シールのための樹脂接着剤を配設し、対向して配設された大型上基板と大型下基板とをシールで接着し貼り合わせ大型基板を形成する。
貼り合わせ大型基板から個々の液晶パネルが注入口を長辺に並ぶようにして、個々のパネルが複数個一列に繋がった短冊形状をなすパネルを得るように、貼り合わせ大型基板を切断する。(貼り合わされた大型基板で一つのパネルを得る場合、また貼り合わされた大型基板で2つ或いは3つのパネルを得る場合には、短冊形状にする切断を採用しなくてもよい。)
個々のパネルが複数個一列に繋がった短冊形状をなすパネルの注入口から液晶を注入する。
液晶が注入された短冊形状をなすパネルの個々の注入口を封口する。
個々のパネルが複数個一列に繋がった短冊形状をなすパネルを切断により単個のパネルを得る。
上記説明では、大型下基板に固定スペーサを配設した説明を行ったが、大型上基板に固定スペーサを配設してもよい。
配向膜の硬化温度、固定スペーサのための感光性樹脂の硬化温度、紫外線の照射温度と時間などは、使用する材料の仕様によって決めるのがよい。
本発明による液晶パネルの第四の態様を前に説明した図10及び図15から説明すると、スペーサは加圧されると図15の(A)の状態から図15の(B)の状態にわずかながら弾性変形する。それ故弾性を有するスペーサを介して2枚の基板が対向して重なることで形成された隙間にシールにより封入された液晶層を備えた液晶パネルにおいて、対向する上基板と下基板の前記2枚の基板の下基板の他方の側端が上基板の一方の基板の側端から延出した延出部C’が形成された第1端部(上基板と下基板とが貼り合わされた状態で一方の基板が他方の基板から突出して延出部を生じているところの基板側端であり、上基板と下基板を重ねて対向する互いの基板側端が略一致することがない基板端部のこと)と、前記一方の基板の側端と前記他方の基板の側端が一致することで2枚の基板が重なった状態で端部を形成する第2端部(上基板と下基板とが貼り合わされた状態で一方の基板が他方の基板から突出していない(すなわち、延出部を生じていない)ところの基板側端であり、上基板と下基板を重ねて対向する互いの基板側端が略一致したところの基板端部のこと)とを有し、前記シールは前記2枚の基板の内の一方の基板の側端に沿って配置され、前記スペーサは前記シールの領域またはその近傍に配置され、スペーサは前記第一端部近傍に配置されて第1スペーサ構造体を形成すると共に前記第二端部近傍に配置されて第2スペーサ構造体を形成し、前記第1スペーサ構造体は前記第2スペーサ構造体に比べ前記2枚の基板に加えられる押圧力に前記隙間を潰れにくくする構成としたことを特徴とする液晶パネルであり、図10と同じような形態をなすの液晶パネルである。