JP2004109971A - 液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の液晶装置は、液晶50を挟持する一対の基板10,20間にスペーサー25が配置されてなり、これら液晶50及びスペーサー25が、基板面内の領域において閉ざされた枠状のシール材内部に配置され、そのシール材内部におけるスペーサー25の密度が100個/mm2〜300個/mm2とされるとともに、スペーサー25が配設された領域の液晶層の層厚をdとした場合に、スペーサー25の平均粒径Dが0.96d〜1.02dに設定されている。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶装置、液晶装置の製造方法、及びこの液晶装置を備える電子機器に係り、特に、液晶層厚を均一に保つためのスペーサーを基板間に備えた液晶装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の液晶装置として、下側基板と上側基板とがそれぞれの基板の周縁部においてシール材を介して貼着され、これら一対の基板間に液晶層が封入された構成のものがある。この場合、基板間隔を基板面内において均一にするために、一対の基板間にスペーサーを配置する技術が知られている。
【0003】
このような液晶装置は以下のような方法により製造されている。すなわち、下側基板及び上側基板のそれぞれに電極及び配向膜等を積層形成した後、例えば下側基板上において、その基板周縁部に液晶注入口を形成した形で未硬化のシール材を印刷し、同じ基板若しくはもう一方の基板の表面上にスペーサーを散布してから、未硬化のシール材を介して下側基板と一方の上側基板とを貼着することにより液晶セルを得る。そして、該液晶セルの未硬化のシール材を硬化し、さらにシール材に予め形成しておいた液晶注入口から液晶セル内に液晶を注入することにより液晶層を形成した後、注入口を封止材により封止する。最後に、下側基板及び上側基板の外側に位相差板及び偏光板等の光学素子を形成して上記構成を備える液晶装置が製造される。
【0004】
上記のように液晶層にスペーサーを介して構成した液晶装置においては、使用するスペーサーの粒径や面内均一性が、該液晶装置の特性に大きな影響を及ぼすこととなる。そこで、例えば特許文献1では、使用するスペーサーの粒径を、液晶層の厚さに対して、0.2μm〜0.6μm又は4%〜12%小さいものを用いることにより、基板間の液晶層の厚さの均一性を維持しつつ、再位置合わせの際の基板の移動を確実に行うことが出来る旨が記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−106101号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した液晶装置の製造方法では、基板貼合せ後において液晶を注入しているが、この液晶注入工程は手間の掛かる工程であり、より簡便な製造方法が望まれている。また、基板間隔を均一に保つためにスペーサーを一対の基板間に配設するわけであるが、基板表面はTFT素子等が形成されたりして完全に平坦ではないために、スペーサーを配設したにも拘らず基板間隔にバラツキが生じる場合がある。
【0007】
また、上記特許文献1では、液晶層厚のムラが該液晶層厚5μmに対して±0.1μmであり、つまり液晶層厚ムラが±2%に達している。ここで、このような液晶装置を、例えばSTNタイプの液晶装置やアクティブ素子を用いた液晶装置等に適用した場合、コントラストが低下して、表示特性を低下させてしまう場合がある。
【0008】
さらに、液晶装置におけるスペーサーの散布量に関しては、多すぎると低温状態にて保存した場合に液晶層に真空領域が生じる場合があり、また、少なすぎると基板間隔にバラツキが生じる場合もある。
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、簡便に基板間隔を基板面内で一層均一化することが可能であるとともに、好適なスペーサーの配設により低温時あるいは高温時において不具合の生じ難い液晶装置と、その液晶装置の製造方法、さらにはこの液晶装置を備える電子機器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の液晶装置は、液晶層を挟持する一対の基板間にスペーサーが配置されてなる液晶装置であって、前記液晶層及びスペーサーが、前記基板面内に形成された枠状のシール材で囲まれた領域に配置され、該領域における前記スペーサーの密度が100個/mm2〜300個/mm2とされるとともに、前記スペーサーが配設された領域の液晶層の層厚をdとした場合に、前記スペーサーとして、その平均粒径Dが0.96d〜1.02dのものが用いられていることを特徴とする。
【0011】
このような液晶装置によると、シール材が基板面内の領域において閉ざされた枠状に構成されているため、当該液晶装置の製造時において、基板貼合せ前に液晶をいずれかの基板上に滴下して他方の基板と貼り合わせる工程を採用することができる。この場合、基板貼合せ後において液晶を注入する工程を経なくても良いため、製造工程が簡便となる。一方、このようなシール材を用いた液晶装置において、平均粒径Dが0.96d〜1.02dのスペーサーを用い、シール材内部におけるスペーサーの密度を100個/mm2〜300個/mm2としたため、基板間隔が一層均一となり、例えば基板間隔のバラツキを±1%程度とすることができ、さらには低温保存時に真空領域(気泡)が生じる等の不具合も解消される。
【0012】
すなわち、本発明者が鋭意検討したところ、スペーサーの密度が100個/mm2未満で、スペーサーの平均粒径Dが0.96d未満の場合に特に基板間隔にバラツキが生じやすくなることが判明し、また、スペーサーの密度が300個/mm2を超え、スペーサーの平均粒径Dが1.02dを超えると特に低温保存時の真空領域が生じやすいことが判明したのである。なお、この低温(例えば−30℃)にて保存した場合の真空領域発生は、液晶中に微量に含まれるガスが低温下に集まってできたものであり、室温に戻した後にも消えない場合がある。
【0013】
ここで、上記のように本発明においてスペーサーの密度を比較的少ない100個/mm2〜300個/mm2とできた理由は、シール材の構成によるものと推察される。つまり、本発明の場合、閉ざされた枠状で開口部(液晶注入口)を有しないシール材を適用したため、上述の通り基板上に液晶を滴下し、さらにスペーサーをも散布した状態で基板を貼り合わせるものとすることができる。この場合、基板貼合せの際の圧力をスペーサーのみならず、液晶もが受けることとなり、従来の注入口を設けた構成の液晶装置に比してスペーサーの数を相対的に減らすことが可能となったものと推察される。
【0014】
このように本発明の構成により、製造時において液晶注入口工程及び封止工程が省略され、さらにスペーサーの密度を減らすことが可能となるため、スペーサーの密度を上記のように設定し、且つ用いるスペーサーの平均粒径を上記のように設定することで、基板間隔が基板面内で均一で、さらに液晶中に気泡等も生じ難い液晶装置を提供することが可能となる。ここで、本発明に言うスペーサーが配設された領域の液晶層の層厚dとは、基板間隔を制御するのに有効な部分の層厚のことで、例えば半透過反射型の液晶装置等において、液晶層の層厚を反射領域と透過領域との間で意図的に分布をもたせたものについては、当該スペーサーを配設した場合に、基板間隔を有効に制御できる領域についての液晶層の層厚のことを言うものとする。
【0015】
なお、もし仮に、従来のように注入口のあるシール材を用いて、基板貼合せ前の液晶注入を行った場合には、基板貼合せ時に液晶が外部に漏出する等の不具合が生じるため、注入口を有するシール材を形成した場合には貼合せ前の液晶注入は事実上不可能である。一方、本発明の注入口のないシール材を用いて、基板貼合せ後に液晶注入を行えないことは言うまでもなく、したがって、本発明の構成により確実に基板貼合せ前の液晶注入が可能となり、スペーサー密度を減らすことが可能になるのである。
【0016】
また、上記スペーサーの密度として150個/mm2〜300個/mm2であることが好ましい。この場合、高温時において基板間隔にムラが生じる等の不具合が発生し難くなる。つまり、液晶装置が高温(例えば70℃以上)になった場合、スペーサーの熱膨張に対して液晶の熱膨張の方が非常に大きく、その結果、スペーサーの密度が小さい場合は、液晶層厚を均一に保つスペーサー本来の機能が十分に発現できなくなる場合があるが、上述のようにスペーサーの密度を150個/mm2よりも大きくした場合には、このような高温時の不具合が生じ難くなったのである。なお、この高温時における不具合は、液晶装置を室温に戻せば回復するため、必ずしも不良とは言いがたいもので、上記スペーサー密度はあくまでも好ましい範囲である。
【0017】
次に、本発明の液晶装置において、シール材は詳しくは基板の外縁に露出することなく枠状に形成されているものとすることができる。また、シール材は詳しくは基板の外縁に向けた開口を具備しない閉口枠形状に形成されているものとすることもできる。
【0018】
さらに、本発明の液晶装置において、スペーサーは、その表面が固着層若しくは接着層に覆われ、該固着層若しくは接着層にて基板に固定されているものとすることができる。この場合のスペーサーの基板に対する固定が一層確実なものとなり、基板間においてスペーサーが浮遊する等の不具合が生じ難くなる。
【0019】
次に、本発明の液晶装置の製造方法は、液晶層を挟持する一対の基板間にスペーサーが配置されてなる液晶装置の製造方法であって、前記一対の基板のうちいずれかの基板上に、該基板面内の領域において閉ざされた枠状のシール材を形成する工程と、前記一対の基板のうちいずれかの基板上にスペーサーを配設する工程と、前記一対の基板のうちのいずれかの基板上に液晶を滴下する工程と、これら一対の基板を貼り合わせる工程とを含み、前記スペーサーの散布密度を、前記シール材の内部領域において100個/mm2〜300個/mm2とするとともに、該スペーサーを配設する領域の液晶層の層厚をdとした場合に、該スペーサーの平均粒径Dを0.96d〜1.02dとしたことを特徴とする。
【0020】
このような方法により上述した本発明の液晶装置が製造でき、特に本発明においては液晶を基板上に滴下した後に基板を貼り合わせるものとしたために、基板貼合せ後の比較的面倒な液晶注入工程及び封止工程を省略することができる。また、いずれかの基板上に液晶及びスペーサーを配設した後に、各基板を貼り合わせるものとしたために、上述の通りスペーサーの散布密度を低減することができ、具体的には100個/mm2〜300個/mm2とし、さらにそのスペーサーの平均粒径Dを0.96d〜1.02dとしたため、基板間隔にバラツキが少なく、また低温保存時の真空領域の発生が少ない液晶装置を提供することが可能となった。なお、この場合も高温時において基板間隔にムラが生じてしまう不具合を解消するために、スペーサーの密度を150個/mm2〜300個/mm2とすることが好ましい。
【0021】
また、前記基板の貼合せを真空中にて行うものとし、該基板の貼り合わせ後、大気解放し前記シール材を硬化させる工程とを含むものとすることができる。
【0022】
次に、本発明の電子機器は上記のような液晶装置を例えば表示装置として備えることを特徴とする。このように本発明の液晶装置を備えることにより、不良発生が少なく信頼性の高い電子機器を提供することが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の液晶装置の一実施の形態としての液晶表示装置について、各構成要素とともに示す対向基板側から見た平面図であり、図2は図1のH−H’線に沿う断面図である。図3は、液晶表示装置の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図で、図4は、液晶表示装置の部分拡大断面図である。なお、以下の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0024】
図1及び図2において、本実施の形態の液晶表示装置100は、TFTアレイ基板10と対向基板20とがシール材52によって貼り合わされ、このシール材52によって区画された領域内に液晶50が封入、保持されている。シール材52は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されてなり、いわゆる液晶注入口を備えず、封止材にて封止された痕跡がない構成となっている。このような液晶表示装置100では、製造時の基板貼合せ工程前に、いずれかの基板上に液晶を滴下しておき、その後、基板貼合せを行うものとし、さらにその後にシール材を硬化させるものとしている。
【0025】
次に、シール材52の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り53が形成されている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路201及び実装端子202がTFTアレイ基板10の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
【0026】
なお、データ線駆動回路201及び走査線駆動回路204をTFTアレイ基板10の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(TapeAutomated Bonding)基板とTFTアレイ基板10の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。なお、液晶表示装置100においては、使用する液晶50の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。
【0027】
また、液晶表示装置100をカラー表示用として構成する場合には、対向基板20において、TFTアレイ基板10の後述する各画素電極に対向する領域に、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
【0028】
このような構造を有する液晶表示装置100の画像表示領域においては、図3に示すように、複数の画素100aがマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素100aの各々には、画素スイッチング用のTFT30が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するデータ線6aがTFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
【0029】
画素電極9は、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図2に示す対向基板20の対向電極21との間で一定期間保持される。なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、画素電極9と対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量60が付加されている。例えば、画素電極9の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量60により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い液晶表示装置100を実現することができる。
【0030】
図4は液晶表示装置100の部分拡大断面図であって、ガラス基板10’を主体として構成されるTFTアレイ基板10上には、ITO(インジウム錫酸化物)を主体とする透明電極にて構成された画素電極9がマトリクス状に形成されており(図3参照)、これら各画素電極9に対して画素スイッチング用のTFT30(図3参照)がそれぞれ電気的に接続されている。また、画素電極9が形成された領域の縦横の境界に沿って、データ線6a、走査線3aおよび容量線3bが形成され、TFT30がデータ線6aおよび走査線3aに対して接続されている。すなわち、データ線6aは、コンタクトホール8を介してTFT30の高濃度ソース領域1aに電気的に接続され、画素電極9は、コンタクトホール15及びドレイン電極6bを介してTFT30の高濃度ドレイン領域に電気的に接続されている。なお、画素電極9の表層にはポリイミドを主体として構成される膜に対してラビング処理を行った配向膜12が形成されている。
【0031】
一方、対向基板20においては、対向基板側のガラス基板20’上であって、TFTアレイ基板10上の画素電極9の縦横の境界領域と対向する領域に、ブラックマトリクスまたはブラックストライプと称せられる遮光膜23が形成され、その上層側にはITO膜からなる対向電極21が形成されている。また、対向電極21の上層側には、ポリイミド膜からなる配向膜22が形成されている。そして、TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、スペーサー25を介して液晶50がシール材52(図1参照)により基板内に封入されている。
【0032】
ここで、スペーサー25が配設された領域の液晶層の層厚をdとした場合、スペーサー25の平均粒径Dが0.96d〜1.02dとなるように設定している。また、スペーサー25の密度は100個/mm2〜300個/mm2とされ、該スペーサー25の表面には、接着性の高い樹脂からなる固着層(接着層)27が形成され、該固着層27がTFTアレイ基板10の表面に接着することにより当該スペーサー25がTFTアレイ基板10に固定されている。
【0033】
本実施の形態の液晶表示装置100においては、シール材52(図1参照)が基板面内の領域において閉ざされた枠状に構成されているため、当該液晶表示装置の製造時において、基板貼合せ前に液晶をいずれかの基板上に滴下して他方の基板と貼り合わせることができる。この場合、基板貼合せ後において液晶を注入する工程を経なくても良いため、製造工程が簡便となる。一方、このようなシール材を用いた液晶装置において、平均粒径Dが0.96d〜1.02dのスペーサーを用い、シール材内部におけるスペーサーの密度を100個/mm2〜300個/mm2としたため、基板間隔が一層均一となり、例えば基板間隔のバラツキを±1%程度とすることができ、さらには低温保存時に真空領域(気泡)が生じる等の不具合も解消される。なお、スペーサーの密度は150個/mm2〜300個/mm2とするのが好ましく、この場合、高温時におけるスペーサーと液晶との熱膨張差に起因して、基板間隔が不均一となる不具合を解消することが可能となる。
【0034】
次に、液晶表示装置100の製造方法について説明する。特に、製造工程におけるシール材の形成から、液晶滴下、基板貼合せに至る工程について説明する。
まず、図4に示すように、ガラス基板10’上にTFT30を形成し、さらに画素電極9及び配向膜12等を形成してTFTアレイ基板10を得る一方、ガラス基板20’上に遮光膜23、対向電極21、配向膜22等を形成して対向基板20を得る。その後、TFTアレイ基板10及び対向基板20の少なくとも一方の基板(例えばTFTアレイ基板10)上に接着剤を、基板面内において閉ざされた枠状に、いわゆる液晶注入口を有しない形にて形成する。この場合、ディスペンサーを用いた描画法により所定形状に形成するものとしている。
【0035】
次に、その閉口枠状接着剤の内側にスペーサー25を散布し、さらに液晶50を滴下する。この場合、スペーサー25の散布密度は、接着剤の内部領域において100個/mm2〜300個/mm2(好ましくは150個/mm2〜300個/mm2)とするとともに、スペーサー25の平均粒径Dを0.96d〜1.02d(d:液晶層の層厚)とした。
【0036】
その後、TFTアレイ基板10と対向基板20とを真空中にて貼り合わせ、該基板10,20の貼り合わせ後、大気解放し接着剤を硬化させ、図1に示したような液晶表示装置100に係る液晶パネルが製造される。この場合、接着剤は、光照射により硬化する光硬化性成分(光硬化性基)と、加熱により硬化する熱硬化性成分(熱硬化性基)とを有し、光照射により仮硬化させた後、加熱することにより本硬化を行うものとしている。光照射時においては、光照射量を1000mJ/cm2〜6000mJ/cm2(例えば5000mJ/cm2)とする一方、加熱時においては、加熱温度を60℃〜160℃(例えば100℃)、加熱時間を20分〜300分(例えば120分)とした。
【0037】
以上のように、本実施形態の液晶表示装置100は、液晶を滴下した後に基板貼合せを行う方法により製造することができ、この場合、基板貼合せの際の圧力をスペーサー25のみならず、液晶50もが受けることとなり、従来の液晶注入口を設けた場合の製造方法、つまり基板を貼り合わせた後に液晶を注入する方法に比して、スペーサー25の数(散布密度)を相対的に減らすことが可能となる。したがって、上述したようにスペーサーの密度を100個/mm2〜300個/mm2と比較的少なくすることが可能となった。さらに、このようなスペーサーの密度のもと、スペーサーの平均粒径Dを0.96d〜1.02d(d:液晶層の層厚)としたため、基板間隔を一層均一化することができ、また当該液晶装置を低温下に設置した場合にも液晶中に気泡等も生じ難い液晶装置を提供することが可能となった。また、スペーサーの密度を150個/mm2〜300個/mm2とした場合には、高温下に設置した場合にも、コントラスト低下等の不具合が生じ難い液晶装置を提供することが可能となる。その結果、表示特性に優れ、不良発生も少なく信頼性の高い液晶表示装置を提供することが可能となった。
【0038】
[電子機器]
次に、上記実施形態で示した液晶表示装置を備えた電子機器の具体例について説明する。
図5は携帯電話の一例を示した斜視図である。図5において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記実施形態の液晶装置を備えた液晶表示部を示している。
【0039】
図6は腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図6において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記実施形態の液晶装置を備えた液晶表示部を示している。
【0040】
図7はワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図7において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理本体、符号1206は上記実施形態の液晶装置を備えた液晶表示部を示している。
【0041】
このように、図5〜図7に示すそれぞれの電子機器は、上記実施形態の液晶装置のいずれかを備えたものであるので、表示品質に優れた、信頼性の高い電子機器となる。
【0042】
[実施例]
次に、本発明に係る液晶装置の特性を確認するために以下の実施例を行った。
(実施例1)
まず、実施例1の液晶表示装置は、平均粒径D=3μmの樹脂製のスペーサー25を用いた場合のものである。具体的には、370mm×470mmのガラス基板(下側基板)上に、上記接着剤をディスペンサーにて閉口枠形状に描画後、上記スペーサーを表1に示すように密度80〜350個/mm2で散布し、100℃で10分加熱することにより基板表面に該スペーサーを固着させ、さらにディスペンサーを用いて液晶(スーパーツイステッドネマチックタイプ)を滴下した。
【0043】
その後、液晶を滴下した基板と他方の基板(上側基板)とを貼り合わせ、大気解放後基板表面に対して、UV照射器として出力100mW/cm2(365nm)の高圧水銀灯を用いUV照射を行った。次に、オーブン内で加熱を行い、接着剤を完全に硬化させた。このような硬化処理後、パネルを切り出し、図1に示すような構成の液晶表示装置を得た。なお、液晶の滴下量を変化させることで、その液晶層厚dが表1のように種々異なるものを用意した。
【0044】
そして、得られた各液晶表示装置について、セルギャップ不良発生率(表1)、低温時真空領域発生率(表2)、高温時セルギャップ不良発生率(表3)を測定した。
【0045】
セルギャップ不良発生率は、パネル面内のセルギャップの最大値と最小値とを測定し、最大値が狙いセルギャップの101%を超えるもの、若しくは最小値が狙いセルギャップの99%未満のものを不良として、作製したパネル400枚のうちの不良発生率(%)を測定した。結果を表1に示す。なお、狙いセルギャップとは、液晶の滴下量から算出される理論値のセルギャップのこと言う。
【0046】
また、低温時真空領域発生率は、作製したパネル200枚を−30℃に10時間放置後、液晶の収縮に基づく真空領域が発生した割合(%)について測定した。結果を表2に示す。
また、高温時セルギャップ不良発生率は、70℃におけるセルギャップの不良発生率(%)である。結果を表3に示す。
【0047】
さらに、これらセルギャップ不良発生率、低温時真空領域発生率及び高温時セルギャップ不良発生率について好ましい条件を検討した。結果を表4に示す。表4において、空欄はセルギャップ不良及び低温時真空領域のいずれかが発生したこと、○はセルギャップ不良及び低温時真空領域は発生しないが高温時セルギャップ不良が発生したこと、◎はセルギャップ不良、低温時真空領域及び高温時セルギャップ不良のいずれも発生しなかったことを示すものである。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
表1に示すように、スペーサーの平均粒径Dが、0.96d未満の場合、セルギャップについて不良発生率が高いことが分かる。また、スペーサーの密度に関しては、密度が小さい程、特に100個/mm2未満の場合にセルギャップの不良発生率が高いことが分かる。
【0053】
一方、表2に示すように、スペーサーの平均粒径Dがdを超える場合、真空領域の発生率が高いが、スペーサーの密度を300個/mm2未満とすることで、該発生率を低減できることが分かる。逆に、スペーサーの密度を350個/mm2とした場合には、スペーサーの平均粒径Dによらず、高い確率で真空領域が発生することが分かる。また、表3に示すように、スペーサーの密度が150個/mm2未満の場合に、高温時の不良発生率が高いことが分かる。
【0054】
以上の結果から、表4に示すように、閉口枠状のシール材を用いた液晶装置において、スペーサーの密度を100個/mm2〜300個/mm2とするとともに、スペーサーの平均粒径Dを0.96d〜1.02dとすることで、表示不良が生じ難く、信頼性の高い液晶装置を提供可能であることが分かる。さらに、スペーサーの密度を150個/mm2〜300個/mm2とすることで、高温時の不良発生を抑制することも可能となることが分かる。なお、本実施例において、パネル切り離し後のパターンのズレは全て1μm以下であった。
【0055】
(実施例2)
使用するスペーサーの平均粒径を6μmとして、上記実施例1と同様の液晶装置を作製し、これについてセルギャップ不良発生率(表5)、低温時真空領域発生率(表6)、及び高温時セルギャップ不良発生率(表7)を測定した。また、実施例1と同様に、これらセルギャップ不良発生率、低温時真空領域発生率、及び高温時セルギャップ不良発生率について好ましい条件を検討し、結果を表8に示した。
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】
この結果から、スペーサーの平均粒径Dの固有の値によらず、液晶層の層厚dとの関連において、平均粒径Dを設定し、スペーサー密度を好ましい条件とすることで、セルギャップ不良発生、低温時真空領域発生、さらには高温時セルギャップ不良発生を防止ないし抑制することができることが分かる。なお、液晶装置としてTFD(Thin Film Diode)やTFT(Thin Film Transistor)を用いたアクティブ素子タイプのものに、本発明のスペーサーを用いた場合にも同様の効果が得られた。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の液晶装置によれば、シール材が基板面内の領域において閉ざされた枠状(閉口枠形状)に構成されているため、当該液晶装置の製造時において、基板貼合せ前に液晶をいずれかの基板上に滴下して他方の基板と貼り合わせることができる。この場合、基板貼合せ後において液晶を注入する工程を経なくても良いため、製造工程が簡便となる。
【0062】
また、このような閉口枠形状のシール材を用いた液晶装置において、平均粒径Dが0.96d〜1.02d(d:スペーサーを配設する液晶層の層厚)のスペーサーを用い、シール材内部におけるスペーサーの密度を100個/mm2〜300個/mm2としたため、基板間隔が一層均一となり、例えば基板間隔のバラツキを±1%程度とすることができ、さらには低温保存時に真空領域(気泡)が生じる等の不具合も解消された。さらにスペーサーの密度を150個/mm2〜300個/mm2とした場合には、高温時における基板間隔のバラツキ発生を防止ないし抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の液晶表示装置を各構成要素とともに対向基板の側から見た平面図である。
【図2】図1のH−H’線に沿う断面図である。
【図3】同、液晶表示装置の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
【図4】同、液晶表示装置の部分拡大断面図である。
【図5】本発明の電気光学装置を用いた電子機器の一例を示す斜視図である。
【図6】同、電子機器の他の例を示す斜視図である。
【図7】同、電子機器のさらに他の例を示す斜視図である。
【符図号の説明】
10 下側基板(TFTアレイ基板)
20 上側基板(対向基板)
25 スペーサー
27 固着層
50 液晶層
52 シール材
100 液晶表示装置(液晶装置)
Claims (9)
- 液晶層を挟持する一対の基板間にスペーサーが配置されてなる液晶装置であって、前記液晶層及びスペーサーが、前記基板面内に形成された枠状のシール材で囲まれた領域に配置され、該領域における前記スペーサーの密度が100個/mm2〜300個/mm2とされるとともに、前記スペーサーが配設された領域の液晶層の層厚をdとした場合に、前記スペーサーとして、その平均粒径Dが0.96d〜1.02dのものが用いられていることを特徴とする液晶装置。
- 液晶層を挟持する一対の基板間にスペーサーが配置されてなる液晶装置であって、前記液晶層及びスペーサーが、前記基板面内に形成された枠状のシール材で囲まれた領域に配置され、該領域における前記スペーサーの密度が150個/mm2〜300個/mm2とされるとともに、前記スペーサーが配設された領域の液晶層の層厚をdとした場合に、前記スペーサーとして、その平均粒径Dが0.96d〜1.02dのものが用いられていることを特徴とする液晶装置。
- 前記シール材が、前記基板の外縁に向けた開口を具備しない閉口枠形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
- 前記スペーサーは、その表面が固着層若しくは接着層に覆われ、該固着層若しくは接着層にて前記基板に固定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液晶装置。
- 液晶層を挟持する一対の基板間にスペーサーが配置されてなる液晶装置の製造方法であって、
前記一対の基板のうちいずれかの基板上に、該基板面内の領域において閉ざされた枠状のシール材を形成する工程と、
前記一対の基板のうちいずれかの基板上にスペーサーを配設する工程と、
前記一対の基板のうちのいずれかの基板上に液晶を滴下する工程と、
これら一対の基板を貼り合わせる工程とを含み、
前記スペーサーの散布密度を、前記シール材の内部領域において100個/mm2〜300個/mm2とするとともに、該スペーサーを配設する領域の液晶層の層厚をdとした場合に、該スペーサーの平均粒径Dを0.96d〜1.02dとしたことを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 液晶層を挟持する一対の基板間にスペーサーが配置されてなる液晶装置の製造方法であって、
前記一対の基板のうちいずれかの基板上に、該基板面内の領域において閉ざされた枠状のシール材を形成する工程と、
前記一対の基板のうちいずれかの基板上にスペーサーを配設する工程と、
前記一対の基板のうちのいずれかの基板上に液晶を滴下する工程と、
これら一対の基板を貼り合わせる工程とを含み、
前記スペーサーの散布密度を、前記シール材の内部領域において150個/mm2〜300個/mm2とするとともに、該スペーサーを配設する領域の液晶層の層厚をdとした場合に、該スペーサーの平均粒径Dを0.96d〜1.02dとしたことを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 前記基板の貼合せを真空中にて行うものとし、該基板の貼り合わせ後、大気解放し前記シール材を硬化させる工程とを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の液晶装置の製造方法。
- 前記スペーサーは、その表面が固着層若しくは接着層に覆われたものを用いていることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載の液晶装置の製造方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液晶装置を備えることを特徴とする電子機器。
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