JP5107582B2 - 画像センサ搭載型航空機用航法計算プログラム - Google Patents
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Description
また、飛行ルートの策定においては、撮影を実施する飛行機固有の速度、燃料搭載量、気象条件、さらには飛行安全確保の観点から帰還飛行場における所要の残燃料量を満足すべく十分注意の上、検討する必要がある。
また同時に、飛行機に搭載可能な燃料には限りがあることから、撮影条件と天候により大きく左右される飛行機の飛行可能距離等を兼ね備えた飛行プランを作成する必要があり、これは非常に熟練を要する作業であり、また時間を要するものであった。
図1は、この発明の実施の形態1による画像センサ搭載型航空機用航法計算プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
図1のステップ1(第一のステップ)で、飛行計画作成に伴うパラメータ入力の煩雑さを低減するため、各種諸元値を事前にファイル化する。次いで、ステップ2で、プログラムに入力する。
図2、図3、図4、図5は、本プログラムへの入力可能な諸元ファイルを示しており、いずれの諸元ファイルも、テーブル構造を有している。プログラムのユーザは、これらの諸元ファイルの編集をプログラムの運用前に実施し、コンピュータに入力する。
また、各カラム内の諸元値について、同様にユーザ独自の編集に対応するものとしている。
ここで、図3に示す機体諸元ファイルは、本発明によるプログラムにおいて対応を想定する航空機種別数に応じて、各機種毎に保有する。
さらに、次のステップ6(第五のステップ)にて、撮影を行う機体の想定位置並びに想定する撮影高度、進行方向を、外部入力機器を用いて入力する。
センサ選択の後、撮影時に想定する航空機の姿勢(機体姿勢)を入力することで、航空機からセンサを用いて撮影を実施した場合の、画像に包括される地表面の範囲(撮影包括範囲)を求めることができる。以下にその手順を示す。
(A1)航空機に関するパラメータ
このパラメータには、航空機位置と、飛行高度と、進行方向と、バンク角がある。
航空機位置y、xは、航空機直下の地点に該当する緯度(y)、経度(x)座標である。
飛行高度H(ft)は、飛行機の飛行高度(対地高度)であり、単位はftである。
進行方向θ(°)は、真北を0度とする進行方向の方位である。
バンク角φ(°)は、水平飛行状態を0度とする機体のバンク角度である。
このパラメータには、俯角と写角がある。
俯角δ(°)は、機体に対するセンサの指向方向を示す。機種方向(水平方向)を0度とする。
写角α(°)×β(°)は、センサのレンズの写角(開口角)を示す。機体方向と機体に対して直交する方向(翼方向)双方で規定する。
(B1)座標系の設定と仮想センサウインドウ
撮影包括範囲を求める上で、図6に示すように座標系を設定する。ここで、X軸は機体原点Oから見て右方向(右翼方向)を示す。また、Y軸は機種方向、Z軸は機体上方を示すものとする。ここで、撮影包括範囲の算出が簡易となるよう、センサの写角により張られる仮想的なウインドウ(センサウインドウ)を想定し、センサウインドウを構成する4点をそれぞれR点、S点、T点、U点と定義する。
また、上記センサウインドウの中点をP点と定義し、OP間距離を1とする。ここで、中点Pは、センサによる撮影画像の中央を示す点と同義である。以上より、点P、R、S、T、Uの座標位置(x,y,z)は以下のとおりである。
点P:(0,1,0)
点R:(tan(β/2),1,tan(α/2))
点S:(−tan(β/2),1,tan(α/2))
点T:(−tan(β/2),1,−tan(α/2))
点U:(tan(β/2),1,−tan(α/2))
次に、センサ固有の俯角δによるセンサウインドウの回転処理を行う。図7にセンサウインドウの回転処理の様子を示す。センサの俯角は、機種方向(Y軸)からの角度として定義しているので、俯角δによる回転処理は、X軸を回転軸とした3次元空間における一次変換処理と同等である。
これを踏まえ、俯角回転処理後の点P、R、S、T、Uの座標位置(x’,y’,z’)は回転前の座標(x,y,z)を用いて、式(1)により求められる。
次に、機体の飛行姿勢であるバンク角φによるセンサウインドウの回転処理を行う。図8にセンサウインドウの回転処理の様子を示す。バンク角は、機体の左右方向の傾き(Y軸回転)として定義しているので、バンク角φによる回転処理は、Y軸を回転軸とした3次元空間における一次変換処理と同等である。
これを踏まえ、俯角回転処理後の点P、R、S、T、Uの座標位置(x’’,y’’,z’’)は、バンク回転前の座標(x’,y’,z’)を用いて式(2)により求められる。
次に、機体の飛行方位である方位角θによるセンサウインドウの回転処理を行う。図9にセンサウインドウの回転処理の様子を示す。飛行方位角は、真北方向を基準とした飛行方位として定義しているので、方位角θによる回転処理はZ軸を回転軸とした3次元空間における一次変換処理と同等である。
これを踏まえ、俯角回転処理後の点P、R、S、T、Uの座標位置(x’’’,y’’’,z’’’)は、飛行方位への回転処理前の座標(x’’,y’’,z’’)を用いて、式(3)により求められる。
地上面における撮影包括範囲は、(B1)から(B4)までの一次変換を実施した後の点P、R、S、T、Uを、図10に示すように、地上面へ射影したものとなる。航空機の対地高度はHであるので、原点Oから見た地表面のZ座標値は、−Hに相当する面となる。このことから、センサウインドウ上の点P、R、S、T、Uの地表面への射影点P’、R’、S’、T’、U’は、このZ=−Hに相当する地表面への、ベクトルOP、OR、OS、OT、OUを地表面へ延伸することで得ることができる。
上記ベクトルの延伸率は、各点P、R、S、T、UのZ座標値と地表相当面Z=−Hとの比となることから、地表相当面Z=−H上の各点P’、R’、S’、T’、U’の座標(P’x,P’y,P’z)、(R’x,R’y,R’z)、(S’x,S’y,S’z)、(T’x,T’y,T’z)、(U’x,U’y,U’z)は、以下のとおりとなる。
P’x:−H/z’’’P*x’’’P
P’y:−H/z’’’P*y’’’P
P’z:−H
点R’の座標値
R’x:−H/z’’’R*x’’’R
R’y:−H/z’’’R*y’’’R
Rz:−H
点S’の座標値
S’x:−H/z’’’S*x’’’S
S’y:−H/z’’’S*y’’’S
S’z:−H
点T’の座標値
T’x:−H/z’’’T*x’’’T
T’y:−H/z’’’T*y’’’T
T’z:−H
点U’の座標値
U’x:−H/z’’’U*x’’’U
U’y:−H/z’’’U*y’’’U
U’z:−H
図11に示すように、航空機のバンク角と、センサの左右方向の写角の関係により、−H/z’’’P、−H/z’’’R、−H/z’’’S、−H/z’’’T、−H/z’’’Uのいずれかが負となる場合がある。この場合、撮影包括範囲が正常に描画されないことになる。これは、センサの撮影範囲(視野)が地上面以外に空中を含むことになるからであり、撮影包括範囲の描画の際には例外処理を実施する必要がある。
この場合の実際の撮影包括範囲は、図12に示すように、航空機の高度により定まる工学的な見通し限界線により制約を受ける。この場合の例外処理方法は、以下(C1)〜(C3)のとおりとする。また、本処理の概要を図13に示す。
X座標=x’’’×(D/d)
Y座標=y’’’×(D/d)
Z座標=−H
最終的な算出結果である(B5)にて得られた点R’、S’、T’、U’のX−Y座標値を元にコンピュータの画面上に描画することで、航空機搭載のセンサによる撮影包括範囲を表示することができる。
(D1)撮影中央点に関するパラメータ
撮影中央点は、点P’の位置となり、撮影縮尺は、点P’における縮尺として定義する。
このとき、点P’の座標は、
P’x:−H/z’’’P*x’’’P
P’y:−H/z’’’P*y’’’P
P’z:−H
である。
コンピュータにおいて、撮影目標の種別と、撮影時に必要な分解能を選択する。詳細は以下のとおりである。
目標種別は、撮影目標種別から選択する。(注)所要分解能ファイルに記載された目標種別から選択可能。
所要分解能は、「低分解能」、「中分解能」、「高分解能」から選択する。
焦点距離は、選択された撮影センサに対応する焦点距離である。(注)センサ諸元ファイルに記載の当該センサに対応する焦点距離。
所要分解能を選択することで、所要分解能ファイルに記載された、当該目標の所要分解能に対応する所要撮影縮尺が読み込まれ、最適撮影高度を算出することができる。
(E1)航空機位置(点O)と撮影包括範囲中点(点P’)間距離(スラント距離)の算出
図14に示されるスラント距離は、式(6)により求めることができる。
撮影縮尺とスラント距離は、以下の関係がある。
撮影縮尺=センサ焦点距離/スラント距離
この式と、(E1)にて算出したスラント距離の関係から、最適撮影高度は、式(7)により算出することができる。
ここでも入力した高度が、ステップ6にて入力した高度と異なる場合には、ステップ12にて入力した高度に対応する撮影包括範囲が自動的に表示される。
−90°(注:右旋回)<旋回バンク角 θ<+90°(注:左旋回)
ここで、旋回半径は、以下の式から算出する。ただし、式中のgは重力加速度を示す。
旋回半径=航空機の対地速度/g×tanθ
一方、図17に示すように、通過点がステップ14にて策定した飛行線オブジェクトの延長線上に存在しない場合は、ステップ16で、旋回経路による経路選定を自動的に実施する。なお、旋回経路の策定に用いられる旋回半径は、ステップ13にて算出された値を用いる。
旋回半径rは、ステップ13にて算出した値である。
旋回方向 右/左は、飛行線から通過点に至る旋回経路上の旋回方向で、「右」、「左」から選択入力する。
飛行線開始点:B(xB,yB)は、旋回経路と接続するステップ14にて選定した飛行線の始点座標である。
飛行線終了点:E(xE,yE)は、旋回経路と接続する、ステップ14にて選定した飛行線の終点座標である。
通過点座標:W(xw,yw)は、ステップ15にて設定した通過点の座標値である。
ここで、飛行線方位が真北方向または東西方向にある場合は、その手順は非常に簡易であるので、以下では、飛行線方位が上記以外の向きにある場合を想定し、旋回方向として右旋回するものとして説明する。
図18に示すように、旋回中心点は、飛行線終点を通る半径rの円として定義される。ここで飛行線の傾きは、式(8)により算出される。
図18に示すとおり、旋回終了点Nは、旋回経路上に存在し、通過点Wと直線にて接続される点であり、文字とおり旋回運動の終了点である。点Nは、式(12)による条件を満足する点である。
ステップ16にて、旋回中心点C、旋回終了点Nを算出することで、点Eを始点、点Nを終点とする半径rの円弧と、点Nと通過点Wを直線で結び、これを図19に示すように描画することにより、旋回経路の自動選定が可能となる。
ここで、本プログラムにおける飛行経路選定時の始点は、出発飛行場位置、終点は、帰投飛行場位置を前提とする。
また、機体諸元ファイルに記載の燃料消費量は、一般に飛行速度別に異なる値をとるが、以下では、すべてこの飛行速度は、機体諸元ファイルにて対地速度を元に記載されているものとして説明を行う。
(G1)総飛行経路長の算出
本プログラムにおいて策定した飛行線の飛行線長及び本発明に係るプログラムにおいて自動策定された旋回経路長を総和することで、総飛行経路を算出することができる。したがって、総飛行経路長は、以下の式にて算出される。
総飛行経路長=Σ飛行線長+Σ旋回経路における円弧長
総飛行時間は、総飛行経路長を飛行速度(対地速度)にて除算することで可能となるため、式(13)にて算出することができる。
航空機の燃料消費量を、ステップ14にて策定した飛行線及びステップ16にて自動選定した旋回経路における円弧状の経路毎に算出し、その総和をとることで、総飛行経路における燃料消費量を算出することが可能となる。
図3に示す機体諸元ファイルでは、機体重量、飛行高度、速度毎に、飛行距離1NMあたりの燃料消費量が記載されているので、各飛行線長に対応する燃料消費量を積算することで、総燃料消費量を算出することができる。
ここで、燃料を消費するに従い、機体重量は減少することを勘案し、各飛行線及び旋回経路における円弧の始点における機体重量の減算処理を行う。これは、当該飛行線に至るまでの飛行経路における燃料消費量を算出し、算出した燃料消費量を機体重量から減算することで可能となる。したがって、算出式は、式(14)のとおりである。
=(初期機体重量+初期燃料量)−当該飛行線・円弧に至るまでの燃料消費量
飛行経路の終点における残燃料量は、以下の式から算出できる。
残燃料量=初期燃料量−燃料消費量
また、航法計算に必要な各種諸元は、個々にテーブル形式の電子データでコンピュータ内に保有させ、使用者の意思により、その編集/追加/修正/削除を容易に行え、例えばセンサや航法援助施設に係る各種諸元の追加、削除、変更が容易になっている。
航空機の速度は、一般に対地速度(GS)以外にも、対地速度(GS)に対して風力を考慮した真対気速度(TAS)、真対気速度(TAS)に対して大気密度比を考慮した指示対気速度(IAS)、真対気速度(TAS)に対して音速を考慮したMACH数等、多種存在し、図21に示すように、相互に密接な関係を有する。
このことから、実施の形態2によるプログラムでは、速度の相互変換に対応し、気象条件を踏まえた飛行計画の作成を可能とする。このため、以下の機能を有する。
MACH=TAS(真対気速度 単位:kt)/Vs
Vs=20.04×{(t0−0.00198×HA)+273}1/2×3600/1852 (kt)
上式において、HAは航空機の大気高度、t0は地表面温度(°C)を示す。
2 諸元ファイルの入力ステップ
3 航空機の選択ステップ
4 撮影目標の選択ステップ
5 撮影目標位置の設定ステップ
6 撮影位置/高度の設定ステップ
7 センサの選択/撮影包括範囲の表示ステップ
8 目標を捕捉可能/不可能の判定ステップ
9 最適高度の算出ステップ
10 撮影包括範囲の表示ステップ
11 最適高度の選定判定ステップ
12 希望高度の入力ステップ
13 旋回バンク角の設定ステップ
14 飛行経路の策定ステップ
15 経路の直線/旋回判定ステップ
16 自動旋回経路策定ステップ
17 経路選定終了判定ステップ
18 航法計算実行ステップ
19 終了
Claims (6)
- 撮影対象となる撮影目標を画像センサによって撮影する航空機の飛行経路を策定する画像センサ搭載型航空機用航法計算プログラムにおいて、
上記画像センサのデータを有するセンサ諸元ファイルと、上記撮影目標毎に所要分解能が規定された所要分解能ファイルとを予め作成する第一のステップ、
上記航空機の機種を入力する第二のステップ、
上記所要分解能ファイルを参照して上記撮影目標を入力する第三のステップ、
上記撮影目標の位置を入力する第四のステップ、
上記撮影目標を撮影する航空機の位置及び進行方向を入力する第五のステップ、
上記センサ諸元ファイルを参照して、上記撮影目標の撮影に用いる上記画像センサの種別を選択することにより、この選択された画像センサによって撮影された画像に包括される地表面の範囲である撮影包括範囲を求める第六のステップ、
上記撮影目標を撮影する上記航空機の最適撮影高度を算出する第七のステップ、
上記航空機の旋回バンク角を入力し、上記航空機の飛行経路の策定に用いる旋回半径を算出する第八のステップ、
上記航空機の通過点を入力し、上記第八のステップにより算出された旋回半径を用いて、上記航空機の飛行経路の策定を行う第九のステップ、
及びこの第九のステップにより策定された上記航空機の飛行経路について、航法計算を行う第十のステップを含むことを特徴とする画像センサ搭載型航空機用航法計算プログラム。 - 上記第一のステップは、上記各ファイルを編集可能にしたことを特徴とする請求項1記載の画像センサ搭載型航空機用航法計算プログラム。
- 上記第九のステップでの飛行経路の策定において、画面上にて上記航空機の通過点を外部入力インターフェースを用いて指定するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像センサ搭載型航空機用航法計算プログラム。
- 上記第九のステップでの飛行経路の策定において、上記航空機の旋回半径及び通過点から、自動的に航空機の旋回経路を策定し、描画することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項記載の画像センサ搭載型航空機用航法計算プログラム。
- 上記第一のステップは、上記航空機の機種に応じた上記航空機の燃料消費量がファイルされた機体諸元ファイルの作成を含み、
上記第十のステップの航法計算には、上記機体諸元ファイルを参照して上記航空機の総飛行経路長、総飛行時間、燃料消費量、及び飛行経路の終点における残燃料量の算出を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項記載の画像センサ搭載型航空機用航法計算プログラム。 - 上記第二のステップ〜上記第九のステップのいずれかで入力値を変更した場合には、上記第十のステップの航法計算結果に反映させることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項記載の画像センサ搭載型航空機用航法計算プログラム。
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