図1には、本発明の実施例1であるビデオカメラ(撮像装置)の構成を示している。なお、本実施例及び後述する他の実施例では、ビデオカメラについて説明するが、本発明は、デジタルスチルカメラ等の他の撮像装置にも適用することができる。
同図において、102は固定されている固定レンズ、103は絞り、104は光軸方向に移動して焦点調節を行うフォーカスレンズである。固定レンズ101、絞り103及びフォーカスレンズ104により撮像光学系が構成される。
111はCCDセンサやCMOSセンサにより構成される光電変換素子としての撮像素子である。被写体からの光束は、固定レンズ102、絞り103及びフォーカスレンズ104を経て撮像素子111上に結像する。被写体像は撮像素子111により光電変換され、撮像素子111からは撮像信号が出力される。
124はフォーカスレンズ104を光軸方向に駆動するフォーカス駆動回路である。フォーカス駆動回路124は、ステッピングモータ、DCモータ、振動型モータ及びボイスコイルモータ等のアクチュエータと、該アクチュエータを駆動する駆動回路とを含む。
112は撮像素子111から出力された撮像信号を、NTSC等の標準ビデオ信号(映像信号)に変換するカメラ信号処理回路である。201は記録部であり、カメラ信号処理回路112から出力されたビデオ信号を、磁気テープ、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
203はLCD等により構成されるモニタであり、カメラ信号処理回路112から出力されたビデオ信号を映像として表示する。
204は表示設定回路であり、該表示設定回路204のメモリ(図示せず)内に用意された文字、図形等のキャラクタを示すキャラクタ表示信号を重畳回路205に出力する。この場合、この場合、映像とキャラクタとがモニタ203に表示される。
121は第1の検出手段としての焦点信号検出回路である。焦点信号検出回路121は、カメラ信号処理回路112から出力されたビデオ信号の輝度信号成分から高周波成分や該高周波信号から生成した輝度差成分(輝度レベルの最大値と最小値の差分)等を抽出して第1の情報としてのAF評価値信号を生成する。AF評価値信号は、撮像素子111からの撮像信号に基づいて生成される映像の鮮鋭度(コントラスト状態)を表すものであるが、鮮鋭度は撮像光学系の焦点状態によって変化するので、結果的に撮像光学系の焦点状態を表す信号となる。
131はAF制御回路であり、マイクロコンピュータ(CPU)130内に構成されている。マイクロコンピュータ130は、ビデオカメラ全体の動作の制御を司る。また、AF制御回路131は、フォーカス駆動回路124を制御してフォーカスレンズ104を移動させるフォーカス制御を行う。
AF制御回路131は、フォーカス制御として、TV−AF方式でのフォーカス制御(以下、単にTV−AFという)と、外測測距(外測位相差検出)方式でのフォーカス制御(以下、単に外測AFという)とを行う。
TV−AFは、フォーカスレンズ104を移動させてAF評価値信号の変化をモニタし、該AF評価値信号が最大となるフォーカスレンズ位置を検出することで、合焦を得るフォーカス制御である。
AF評価値信号としては、一般に、ビデオ信号の輝度信号成分のうちある帯域のバンドパスフィルタにより抽出された高周波成分を用いている。この高周波成分は、特定の距離の被写体を撮像してフォーカスレンズ104を至近位置から無限位置に移動させた場合には、図8に示すように変化する。図8において、AF評価値が最大になるフォーカスレンズ位置が、その被写体に対する合焦位置(合焦点)となる。
さらに、図1において、141は第2の検出手段としての外部測距センサユニットであり、被写体距離を検出し、第2の情報としての被写体距離情報をAF制御回路131に入力する。AF制御回路131は、入力された被写体距離情報に応じて、該被写体距離に対して合焦状態が得られる位置を算出し、該合焦位置にフォーカスレンズ104を移動させる。これが外測AFである。ここで、「算出」には、計算式を用いた演算だけでなく、予め不図示のメモリに記憶された、被写体距離に対する合焦位置のデータを読み出すことも含む。
ここで、外部測距センサユニット141を用いた被写体距離の検出原理について説明する。測距方法としては種々の方式が従来用いられているが、図10及び図11にはそのうちの1つである位相差パッシブ方式による測距原理を示している。
外部測距センサユニット141は、本実施例では、いわゆるパッシブAF方式用の測距センサとして用いられる。この外部測距ユニット141は、撮像光学系とは別に設けられている。すなわち、外部測距ユニット141には、撮像光学系を通らない被写体からの光束が入射する。
外部測距センサユニット141の構成例を図10に示す。図10において、301は被写体、331は第1の結像レンズ、341は第1の受光素子列(ラインセンサ)、332は第2の結像レンズ、342は第2の受光素子列(ラインセンサ)である。第1及び第2のラインセンサ341,342はそれぞれ、複数の受光素子(画素)を一列に並べて構成されている。第1及び第2のラインセンサ341,342は、基線長Bだけ互いに離れて設置されている。
被写体301からの光のうち第1の結像レンズ331を通った光は、第1のラインセンサ341上に結像し、第2の結像レンズ332を通った光は第2のラインセンサ342上に結像する。
ラインセンサ341,342上に形成された2つの被写体像は、それぞれのラインセンサによって光電変換される。そして、ラインセンサ341,342から読み出された信号(像信号)は、ラインメモリ351,352にそれぞれ蓄積される。図11には、一方のラインセンサ341から読み出されてラインメモリ351に蓄積された像信号451と、他方のラインセンサ342から読み出されてラインメモリ352に蓄積された像信号452とを示している。
ラインメモリ351,352に蓄積された2つの像信号は、相関演算回路361に入力される。相関演算回路361は、該2つの像信号の非相関値を算出する。
具体的には、まずラインセンサ341の画素毎の光量(受光輝度)を、ラインセンサ342において対応する画素毎の光量と比較し、その差分を画素対毎に求める。そして、すべての画素対の光量差を加算して非相関値を得る。
次に、先に光量差を求めた画素対のうち一方の画素を他方の画素に対して1画素分どちらか一方の方向にずらして(シフトさせて)、上記と同様に光量差及び非相関値を求める。こうして、画素対のうち一方の画素を他方の画素に対して1画素ずつ同一方向へ順次シフトさせながら、各シフト量に対する非相関値を演算する。また、同様に、画素対のうち一方の画素を他方の画素に対して反対方向に順次シフトさせながら、各シフト量に対する非相関値を演算する。
上記演算の結果、非相関値が最小、すなわち光量を比較した画素対のうち画素間での輝度差が最も小さい画素対での画素シフト量が、相関値最大シフト量となる。すなわち、図11において、像信号451,452の相関をとった場合に非相関値が最小となる比較画素441,442間の距離Xが、相関最大になるシフト量Xである。また、そのときのシフト量は、「シフトした画素数×画素サイズ」により求めることができる。
次に、この画素シフト量に基づいて、被写体距離演算回路362は、三角測量の原理により被写体までの距離Lを求める。
画素シフト量をX(図10参照)、基線長をB、結像レンズ331,332の焦点距離をfとするとき、被写体距離Lは、以下の式(1)により求められる。
L=B・f/X …(1)。
なお、本発明では、このパッシブ測距方式に限らず、他の測距方式を用いることができる。例えば、アクティブ測距方式として、赤外線を投光して三角測量原理で距離を求める方法式を用いてもよい。また、外部測距ユニットから上記画素ずらし量X(第2の情報)を出力させ、マイクロコンピュータにて該Xに基づいて被写体距離を求めるようにしてもよい。
図1において、輝度信号検波回路181は、カメラ信号処理回路112から出力されたビデオ信号の輝度信号成分に含まれる輝度成分を積分検波する。その演算結果は、マイクロコンピュータ130内のAE制御回路191に入力される。
次に、自動露出(AE)動作について説明する。輝度信号検波回路181より得られた輝度検波信号は、AE制御回路191において予め決められている適正露出となる明るさのレベル(特定露出レベル)と比較される。AE制御回路191は、その差分に応じた絞り制御信号を絞り駆動回路126に出力し、絞り駆動回路126は該絞り制御信号に応じて絞り103を駆動する。これにより、絞り103内における複数の絞り羽根(図示せず)により形成される絞り開口の径が変化し、撮像素子111に到達する光量が調節される。
輝度検波信号の輝度レベルが特定露出レベルより高い場合(被写体輝度が高い場合)は、AE制御回路191は、絞り開口径を小さくする方向に絞り103を駆動するための絞り制御信号を出力する。これにより、撮像素子111への入射光量が低下する。また、輝度検波信号の輝度レベルが特定露出レベルより低い場合(被写体輝度が低い場合)は、AE制御回路191は、絞り開口径を大きくする方向に絞り103を駆動するための絞り制御信号を出力する。これにより、撮像素子111への入射光量が増加する。
こうして、輝度検波信号の輝度レベルが特定露出レベルに一致する(実際には、特定露出レベルを基準とした一定範囲内に収まる)と、その絞り開口径で絞り103の制御が安定し、適正な露出状態が維持される。
また、AE制御回路191より得られる絞り制御信号は、AE変化判定回路192にも入力される。AE変化判定回路192は、入力された絞り制御信号に所定レベル以上の変化が生じたか否かを判定し、その結果をAF制御回路131に出力する。ここにいう所定レベルは、TV−AFと外測AFとの頻繁な切り替わりを防止するために適当な絞りステップ数に対応する値が設定される。また、AF制御回路131は、AE変化判定回路192を介して絞り制御信号が指示する絞り開口径(絞り値)を検出する。
AF制御回路131は、AE変化判定回路192からの判定結果及び絞り値に応じて、TV−AFと外測AFとを切り替える。AF制御回路131とAE変化判定回路192とにより、請求項にいうフォーカス制御手段が構成される。
また、AF制御回路131は、外部測距センサユニット141のラインセンサ341,342から出力される像信号の輝度成分のレベル(受光状態に関する情報:以下、受光輝度レベルという)を検出する機能も有する。
次に、本実施例におけるAF制御回路131を含むマイクロコンピュータ130によるAF制御について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。このAF制御は、マイクロコンピュータ130内に格納されたコンピュータプログラムに従って実行される。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
まず、図2を用いてAF制御の全体の流れを説明する。
ステップ(以下、Sと記す)800では、マイクロコンピュータ130はAF制御を開始する。本フローに示す処理は、例えば1フィールド画像を生成するための撮像素子111からの撮像信号の読み出し周期にて実行される。
S801では、マイクロコンピュータ130は、合焦状態が得られているか否かを判定する。合焦状態であると判断した場合はS808に進み、合焦状態ではないと判断した場合はS802に進む。ここでの合焦状態の判定は、後述するTV−AFの動作での合焦判定処理と同様に行うことができる。
S802では、外測AFによるフォーカスレンズ104の合焦動作中か否かを判定する。合焦動作中であればS808に進み、合焦動作中でなければS803に進む。
S803では、図9のフローチャートに示すTV−AFの動作を実行する。
図9において、S1001で合焦処理を開始すると、S1002では、焦点信号処理回路121からAF評価値信号を取得する。
S1003では、合焦フラグを確認する。合焦フラグがクリアされている非合焦状態であればS1004へ、合焦フラグがセットされている合焦状態であればS1010へ進む。
S1004では、合焦判定されたか否かを判別する。合焦判定は、後述するS1006とS1007においてフォーカスレンズ104の移動方向が交互に反転した回数が所定回数以上となったことをもって行われる。合焦判定された場合はS1008へ、合焦判定されていない場合はS1005に進む。
S1005では、フォーカスレンズ104の移動方向が正しいか否かを判定する。例えば、前回のルーチンで取り込んだAF評価値に対して今回のルーチンで取り込んだAF評価値が増加した場合は、フォーカスレンズ104の移動方向は合焦位置に向かう方向であるので正しいと判定してS1007に進む。一方、前回取り込んだAF評価値に対して今回取り込んだAF評価値が減少した場合は、フォーカスレンズ104の移動方向は合焦位置とは反対方向であるので誤り(逆)と判定してS1006に進む。
S1006では、フォーカスレンズ104の移動方向を反転させる。
S1007では、フォーカスレンズ104を、これまでと同一方向にさらに移動させる。
S1008では、合焦状態と判定し、フォーカスレンズ104の移動を停止させて合焦状態を維持する。
S1009では、合焦フラグをセットするとともに、合焦状態でのAF評価値を不図示のメモリに記憶する。
S1010では、S1009で前回のルーチンで記憶されたAF評価値と今回のルーチンで取り込んだAF評価値とが所定値以上異なるか否かを判断する。今回取り込んだAF評価値が記憶AF評価値に対して所定値以上減少した場合は、合焦状態から外れたとしてS1011に進む。今回取り込んだAF評価値の記憶AF評価値に対する減少量が所定値未満である場合は、合焦状態が維持されているとしてS1012に進む。
S1011では、合焦フラグをクリアする。
S1012では、前回記憶されたAF評価値に代えて、今回取り込んだAF評価値を不図示のメモリに記憶する。
S1013では、合焦判定処理を終了する。
図2において、S804では、外部測距センサユニット141から得られた被写体距離情報に基づいて、該被写体距離に対して合焦が得られるフォーカスレンズ104の位置(以下、外測合焦位置という)を算出する。そして、外測合焦位置と不図示のレンズ位置検出器により検出された現在のフォーカスレンズ104の位置とを比較して、現在のフォーカスレンズ104の位置が外測合焦位置から外れているか否かを判定する。フォーカスレンズ104が外測合焦位置を含む所定範囲外に位置する場合はS805に進み、外測合焦位置に対して所定範囲内に位置する場合はS808に進む。
S805では、AE変化判定回路192からの判定結果が、絞り制御信号に所定レベル以上の変化があった(すなわち、絞りの制御状態に変化があった)ことを示しているか否かを判別する。また、絞り制御信号が指示する絞り値が特定開口径以下の開口径に対応する値か否かを判別する。絞り制御信号に所定レベル以上の変化があった場合又は絞り制御信号が特定開口径以下の開口径を指示している場合はS809に進み、そうでなければS808に進む。
ここで、特定開口径は、例えば開放開口径より小さい開口径である。また、特定開口径を開放開口径としてもよい。この場合、絞り103が開放状態で、さらに絞り103を開く方向の絞り制御信号が出力されている場合は、絞り制御信号が特定開口径以下の開口径を指示していないとしてS808に進む。なお、絞り103が特定開口径以下の開口径に制御されることで、適正露出が得られる。
S809では、外部測距センサユニット141の受光輝度レベルが、絞り制御信号の変化に対応して変化しているか否かを判定する。ここで、受光輝度レベルの変化について、図3を用いて説明する。
図3において、点線のグラフは、絞り制御信号(絞り開口径)の変化の例を示す。一方、実線のグラフは、外部測距センサユニット141の受光輝度レベルの変化の例を示す。時間t0からt1までは、絞り制御信号の変化に対応して外部測距センサユニット141の受光輝度レベルが変化している。つまり、外部測距センサユニット141の検出視野内に、撮像素子111により撮像されている被写体が存在していることを示している。
しかし、時間t1以降では、外部測距センサユニット141の受光輝度レベルがL1より小さくなり、かつほとんど変化しなくなる。つまり、絞り制御信号の変化に対応して外部測距センサユニット141の受光輝度レベルが変化しなくなる。このことは、時間t1において、外部測距センサユニット141の前面が撮影者の手等の障害物で覆われたことを意味している。
外部測距センサユニット141の受光輝度レベルが、絞り制御信号の変化に対応して変化している場合は、正確な被写体距離情報を得るための適正な受光状態であるとしてS806に進む。また、絞り制御信号の変化に対応して変化していない場合は、正確な被写体距離情報を得るための適正な露光状態ではないとしてS810に進む。
S806では、外部測距センサユニット141により得られた被写体距離情報から算出された合焦位置(以下、外測合焦位置という)の方向と、S803のTV−AF(図9のS1005)で判定された合焦方向とが同一か否かを判定する。同一方向である場合は、外測センサによる被写体距離検出結果は正しいとしS807に進む。また、同一でない場合は、S808に進む。
S807では、外測合焦位置にフォーカスレンズ104を移動させる。すなわち、外測AFを行う。
S810では、モニタ203に、表示設定回路204を通じて、例えば「距離センサ情報は用いられません」の文字やこの旨を示す図形等のキャラクタを表示させる。
S808では、AF制御の処理を終了する。
以上説明したように、本実施例では、絞り103の制御状態を参照して外部測距センサユニット141の検出視野内に存在する被写体の変化を検出する。そして、外部測距センサユニット141の受光状態に関する受光輝度レベルが被写体の変化に応じて変化していないことを検出して、該センサユニット141と被写体との間に障害物が存在することを判別する。この場合に外測AFを制限することで、誤ったフォーカス制御を回避することができ、TV−AFにより正確なフォーカス制御を行うことができる。これにより、円滑なフォーカス制御を実現することができる。
なお、本実施例では、外測測距センサユニット141の受光輝度レベルが絞り103の制御状態の変化に対応して変化するか否かを判別する場合について説明した。しかし、後述する実施例のように、外測測距センサユニット141で得られる相関値が絞り103の制御状態の変化に対応して変化するか否かを判別してもよい。
図4には、本発明の実施例2であるビデオカメラの構成を示している。なお、本実施例において、実施例1と同一の構成要素には、実施例1と同符号を付している。
本実施例では、自動ホワイトバランス(AWB)の制御状態の変化に応じて外測測距センサユニット141の受光状態に関する情報が変化しているか否かによって外測AFを制限するか否かを決定する。また、外測測距センサユニット141の受光状態に関する情報として、外測測距センサユニット141で得られる相関値を用いる。
図4において、195はホワイトバランス制御回路であり、カメラ信号処理回路112でのホワイトバランス(色バランス)を制御する。具体的には、ホワイトバランス制御回路195は、カメラ信号処理回路112から得られるビデオ信号に含まれるRGBの色信号の総和が白となるように、該各色信号の利得を制御する。
196はマイクロコンピュータ130内に設けられたホワイトバランス変化判定回路である。該ホワイトバランス変化判定回路196は、ホワイトバランス制御回路195で制御される各色信号の利得(すなわち、ホワイトバランスの制御状態)に所定レベル以上の変化があったか否かを判定する。ここにいう所定レベルは、TV−AFと外測AFとの頻繁な切り替わりを防止するために適当な利得幅に対応する値が設定される。
外部測距センサユニット141における非相関値の演算方法及び被写体距離の算出方法は、実施例1で説明した通りである。すなわち、図10に示したラインセンサ341,342から読み出されてラインメモリ351,352に蓄積された2つの像信号は、相関演算回路361に入力され、ここで該2つの像信号の非相関値が算出される。また、ラインセンサ341,342上の画素のうち、非相関値が最小となる(相関値が最大となる)光量比較画素間のシフト量に基づいて被写体距離が算出される。
ここで、相関値について図12を用いて説明する。図12において、451′は一方のラインセンサ341から読み出されてラインメモリ351に蓄積された像信号、452′は他方のラインセンサ342から読み出されてラインメモリ352に蓄積された像信号である。図12では、像信号451′,452′を、これらの相関値が最大となるようにシフト量Xだけずらした状態で重ねて示している。
454,455は予め定められた相関比較エリアで相関値を求める際の最大シフト量を示している。一般的には、該最大シフト量を、ラインセンサの長さの1/2以上に相当するシフト量に設定することで、精度良く相関値を得ることができる。
ハッチングで示す部分453は、実施例1でも説明した2つの像信号の非相関値に相当する。この非相関値453が小さい、すなわち相関値が大きいほど、被写体距離を正確に得ることができる。この相関値(最大相関値)は、外部測距センサユニット141の検出視野内に撮像されている被写体が存在する状態では、ホワイトバランスの制御状態の変化に応じて変化する。
しかし、外部測距センサユニット141と被写体との間に障害物が存在する状態では、相関値はホワイトバランスの制御状態の変化に応じて変化しなくなる。本実施例では、このことを利用して、障害物の存在を判別する。
次に、本実施例におけるAF制御回路131を含むマイクロコンピュータ130によるAF制御について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。
S1200では、マイクロコンピュータ130はAF制御を開始する。本フローに示す処理は、例えば1フィールド画像を生成するための撮像素子111からの撮像信号の読み出し周期にて実行される。
S1220では、マイクロコンピュータ130は、ホワイトバランス制御回路195に、ホワイトバランス制御を行わせる。
S1201では、マイクロコンピュータ130は、合焦状態が得られているか否かを判定する。合焦状態であると判断した場合はS1208に進み、合焦状態ではないと判断した場合はS1202に進む。ここでの合焦状態の判定は、後述するTV−AFの動作での合焦判定処理と同様に行うことができる。
S1202では、外測AFによるフォーカスレンズ104の合焦動作中か否かを判定する。合焦動作中であればS1208に進み、合焦動作中でなければS1203に進む。
S1203では、図9のフローチャートに示したTV−AFの動作を実行する。
S1204では、レンズ位置検出器により検出されたフォーカスレンズ位置と外部測距センサユニット141により得られた被写体距離情報に基づいて算出された合焦位置とを比較して、これらの差が所定値より大きいか否かを判別する。差が所定値より大きい場合は、フォーカスレンズ104が合焦位置から外れているとしてS1205に進み、差が所定値以下の場合は合焦位置にあるとしてS1208に進む。
S1205では、ホワイトバランス変化判定回路196での判定結果により、ホワイトバランス制御状態が変化したか否かを判定する。ホワイトバランス制御状態が変化した場合はS1209に進み、ホワイトバランス制御状態が変化していない場合はS1208に進む。
S1209では、外部測距センサユニット141で得られた相関値が、ホワイトバランス制御状態に対応して変化しているか否かを判定する。相関値とホワイトバランス制御状態との対応関係は、図3に示した絞り制御信号と受光輝度レベルとの対応関係と同様である。
相関値がホワイトバランス制御状態の変化に対応して変化している場合は、外部測距センサユニット141は正確な被写体距離情報を得るための適正な受光状態であるとしてS1206に進む。また、相関値がホワイトバランス制御状態の変化に対応して変化していない場合は、外部測距センサユニット141は正確な被写体距離情報を得るための適正な露光状態ではないとしてS1208に進む。
S1206では、外部測距センサユニット141により得られた被写体距離情報から算出された外測合焦位置の方向と、S1203のTV−AF(図9のS1005)で判定された合焦方向とが同一か否かを判定する。同一方向である場合は、外測センサによる被写体距離検出結果は正しいとしS1207に進む。また、同一でない場合は、S1208に進む。
S1207では、外測合焦位置にフォーカスレンズ104を移動させる。これにより、外測AFによる合焦状態又は合焦に近い状態が得られる。
S1208では、本フローを終了する。
以上説明したように、本実施例では、ホワイトバランスの制御状態を参照して外部測距センサユニット141の検出視野内に存在する被写体の変化を検出する。そして、外部測距センサユニット141の受光状態に関する相関値が被写体の変化に応じて変化していないことを検出して、該センサユニット141と被写体との間に障害物が存在することを判別する。この場合に外測AFを制限することで、誤ったフォーカス制御を回避することができ、TV−AFにより正確なフォーカス制御を行うことができる。これにより、円滑なフォーカス制御を実現することができる。
また、ホワイトバランスの制御状態に変化がない、すなわち被写体又は被写体像(撮影映像)に変化がない場合にも外測AFを制限し、TV−AFを行うことで、上記障害物がある場合以外の状況でも、円滑なフォーカス制御が可能となる。
なお、本実施例では、外測測距センサユニット141で得られる相関値がホワイトバランスの制御状態の変化に対応して変化するか否かを判別する場合について説明した。しかし、実施例1で説明したように、外測測距センサユニット141の受光輝度レベルがホワイトバランスの制御状態の変化に対応して変化するか否かを判別してもよい。
図6には、本発明の実施例3であるビデオカメラの構成を示している。なお、本実施例において、実施例1と同一の構成要素には、実施例1と同符号を付している。
本実施例では、手振れ等によるカメラの振れの検出状態の変化に応じて外測測距センサユニット141の受光状態に関する情報が変化しているか否かによって外測AFを制限するか否かを決定する。また、実施例2と同様に、外測測距センサユニット141の受光状態に関する情報として、外測測距センサユニット141で得られる相関値を用いる。
図6において、211は該カメラの振れを検出する振れ検出センサであり、角速度センサや角加速度センサにより構成されている。なお、振れ検出センサ211に代えて、ビデオ信号における動きベクトルを算出することで、該カメラの振れを検出してもよい。
105は防振レンズであり、撮像光学系内において光軸に直交する方向に移動して撮像素子111上での像位置を移動させる。防振レンズ105としては、これ以外に、光軸上の特定位置を中心として回動するタイプのものや、いわゆる可変頂角プリズムを用いてもよい。
212はマイクロコンピュータ130内に設けられた防振制御回路であり、振れ検出センサ211からの出力に基づいて防振レンズ駆動回路213を通じて防振レンズ105の駆動を制御する。具体的には、防振制御回路212は、振れ検出センサ211からの振れ信号(例えば、角速度信号)を積分してカメラの振れ量とその方向を算出する。そして、防振制御回路212は、該振れによる被写体像の変位を打ち消すために必要な防振レンズ105の駆動量と駆動方向を求め、これらを示す防振信号を防振レンズ駆動回路213に出力する。これにより、防振レンズ105が光軸直交方向等に駆動され、像振れが抑制される。
また、防振制御回路212は、振れ検出センサ211により検出される振れの有無をAF制御回路131に伝える。
外部測距センサユニット141の相関値(最大相関値)は、外部測距センサユニット141の検出視野内に撮像されている被写体が存在する状態では、検出視野と被写体との相対的な振れ、すなわち振れ検出センサ211の検出状態の変化に応じて変化する。
しかし、外部測距センサユニット141と被写体との間に障害物が存在する状態では、相関値は振れの検出状態の変化に応じて変化しなくなる。本実施例では、このことを利用して、障害物の存在を判別する。
次に、本実施例におけるAF制御回路131を含むマイクロコンピュータ130によるAF制御について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
S1300では、マイクロコンピュータ130はAF制御を開始する。本フローに示す処理は、例えば1フィールド画像を生成するための撮像素子111からの撮像信号の読み出し周期にて実行される。
S1320では、マイクロコンピュータ130は、振れ検出センサ211を起動し、防振制御回路212に防振レンズ105の駆動を制御させる。
S1301では、マイクロコンピュータ130は、合焦状態が得られているか否かを判定する。合焦状態であると判断した場合はS1308に進み、合焦状態ではないと判断した場合はS1302に進む。ここでの合焦状態の判定は、後述するTV−AFの動作での合焦判定処理と同様に行うことができる。
S1302では、外測AFによるフォーカスレンズ104の合焦動作中か否かを判定する。合焦動作中であればS1308に進み、合焦動作中でなければS1303に進む。
S1303では、図9のフローチャートに示したTV−AFの動作を実行する。
S1304では、レンズ位置検出器により検出されたフォーカスレンズ位置と外部測距センサユニット141により得られた被写体距離情報に基づいて算出された合焦位置とを比較して、これらの差が所定値より大きいか否かを判別する。差が所定値より大きい場合は、フォーカスレンズ104が合焦位置から外れているとしてS1305に進み、差が所定値以下の場合は合焦位置にあるとしてS1308に進む。
S1305では、振れ検出センサ211からの出力により振れが生じているか否かを判別する。振れが生じている(すなわち、振れの検出状態が変化した)場合はS1309に進み、振れが生じていない場合はS1308に進む。なお、ここでの振れが生じたか否かの判別は、振れ検出センサ211かの出力が所定レベル以上変化したか否かにより行ってもよい。TV−AFと外測AFとの頻繁な切り替わりを防止するためである。
S1309では、外部測距センサユニット141で得られた相関値が、振れの検出状態に対応して変化しているか否かを判定する。相関値と振れの検出状態との対応関係は、図3に示した絞り制御信号と受光輝度レベルとの対応関係と同様である。
相関値が振れの検出状態の変化に対応して変化している場合は、外部測距センサユニット141は正確な被写体距離情報を得るための適正な受光状態であるとしてS1306に進む。また、相関値が振れの検出状態の変化に対応して変化していない場合は、外部測距センサユニット141は正確な被写体距離情報を得るための適正な露光状態ではないとしてS1308に進む。
S1306では、外部測距センサユニット141により得られた被写体距離情報から算出された外測合焦位置の方向と、S1303のTV−AF(図9のS1005)で判定された合焦方向とが同一か否かを判定する。同一方向である場合は、外測センサによる被写体距離検出結果は正しいとしS1307に進む。また、同一でない場合は、S1308に進む。
S1307では、外測合焦位置にフォーカスレンズ104を移動させる。これにより、外測AFによる合焦状態又は合焦に近い状態が得られる。
S1308では、本フローを終了する。
以上説明したように、本実施例では、振れの検出状態を参照して外部測距センサユニット141の検出視野と被写体との相対的振れを検出する。そして、外部測距センサユニット141の受光状態に関する相関値が検出視野と被写体との相対的振れに応じて変化していないことを検出して、該センサユニット141と被写体との間に障害物が存在することを判別する。この場合に外測AFを制限することで、誤ったフォーカス制御を回避することができ、TV−AFにより正確なフォーカス制御を行うことができる。これにより、円滑なフォーカス制御を実現することができる。
また、カメラの振れがない、すなわち被写体像(撮影映像)に変化がない場合にも外測AFを制限し、TV−AFを行うことで、上記障害物がある場合以外の状況でも、円滑なフォーカス制御が可能となる。
なお、本実施例では、外測測距センサユニット141で得られる相関値が振れの検出状態の変化に対応して変化するか否かを判別する場合について説明した。しかし、実施例1で説明したように、外測測距センサユニット141の受光輝度レベルが振れの検出状態の変化に対応して変化するか否かを判別してもよい。