JP5104166B2 - ダイオード - Google Patents
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Description
周辺耐圧領域が形成されているダイオードでは、ダイオードのターンオフ時にアノード領域の端部近傍に電流が集中するという問題がある。すなわち、ダイオードに順電圧が印加されているとき(ダイオードがオンしているとき)には、ホールがカソード領域内に存在している。ダイオードをターンオフすると、カソード領域内のホールが、アノード領域を通ってアノード電極へ排出される。このとき、半導体基板の縁部近傍(すなわち、周辺耐圧領域とその近傍)のカソード領域に存在しているホールは、アノード領域の端部近傍を通ってアノード電極に排出される。すなわち、アノード領域の端部近傍に電流が集中する。このような電流集中は、ダイオードの故障率を増加させたり、ダイオードの使用可能環境が制限される等の問題を引き起こす。
このダイオードでは、アノード領域302の端部(すなわち、低濃度領域302c)の不純物濃度が低い。したがって、ダイオードのオン時に、低濃度領域302cからカソード領域304に流入するホールが少ない。すなわち、オン時に、半導体基板の縁部306近傍(図11の範囲316)のカソード領域304に存在するホールが少なくなる。したがって、ターンオフ時に、アノード領域302の端部近傍(図11の範囲318)への電流集中を抑制することができるとされている。
なお、平均不純物濃度とは、その範囲の高濃度領域と高濃度領域以外のアノード領域(以下では、高濃度領域以外のアノード領域を、通常濃度領域という)の不純物濃度の平均値を意味する。したがって、平均不純物濃度は、高濃度領域の不純物濃度と、通常濃度領域の不純物濃度と、その範囲内で高濃度領域が占める比率等に応じて変化する。
また、内側範囲と外側範囲の各々に形成されている高濃度領域は、互いに繋がっていてもよいし、複数個に分離されていてもよい。
図12では、参照番号202がアノード領域、参照番号206が内側範囲、参照番号207が外側範囲、参照番号202aが内側範囲内の高濃度領域、参照番号202bが外側範囲内の高濃度領域、参照番号208がリサーフ層、参照番号210がアノード電極、参照番号212がカソード電極を示している。なお、図12の例では、アノード領域202の下側全域に、カソード領域204が形成されている。
一方、外側範囲207の下部(図12の範囲220)のカソード領域204には、ダイオードのオン時に、外側範囲207及び内側範囲206からホールが流入する。したがって、ダイオードのオン時に、範囲220のカソード領域204内に存在するホールは比較的多い。ダイオードのターンオフ時には、範囲220内のホールの多くは、外側範囲207の高濃度領域202bを通ってアノード電極310に排出される。このとき、下方から高濃度領域202bにホールが流入するので、1箇所にホールの流れが集中することが抑制される。すなわち、範囲220内のホールによる電流集中も抑制される。また、範囲220内のホールの一部は、内側範囲206の高濃度領域202aへ流れてアノード電極310へ排出される。このように、範囲220からのホールの流れが分散されるので、より電流集中が起こり難い。
このように、このダイオードでは、アノード領域202の端部に平均不純物濃度が低い領域(外側範囲207)が形成されているのに加えて、その外側範囲207内にアノード電極210とオーミック接触している高濃度領域202bが形成されている。したがって、ターンオフ時のホールによる電流集中が抑制される。
なお、不純物濃度が等しいとは、不純物濃度の差が、不純物注入工程等で生じる不純物濃度のバラツキ程度の僅かな差しかないことをいう。例えば、一度の不純物注入工程で2つの範囲に不純物を注入する場合には、両範囲の間に生じる不純物濃度の差は、制御不可能な誤差であり、2つの範囲の不純物濃度は実質的に等しいといえる。
上記の構成によれば、高濃度領域及び通常濃度領域の不純物濃度を、内側範囲と外側範囲とで等しくしたまま、外側範囲の平均不純物濃度を内側範囲の平均不純物濃度より低くすることができる。したがって、ダイオードの製造時に、内側範囲と外側範囲に同時に不純物を注入することができる。ダイオードの製造効率を向上させることができる。
なお、配置規則が異なるとは、半導体基板を平面視したときに、高濃度領域の形状、サイズ等が異なることをいう。高濃度領域が繰り返し形成されている場合には、その繰り返しピッチが異なる場合も、配置規則が異なっているといえる。
すなわち、半導体基板を平面視したときに高濃度領域が線状に伸びており、線状に伸びている高濃度領域の幅が、内側範囲よりも外側範囲で狭くなるように構成することができる。
また、半導体基板を平面視したときに一つ一つの高濃度領域が円形範囲内に形成されており、高濃度領域の直径が、内側範囲よりも外側範囲で小さくなるように構成してもよい。
このような構成によっても、外側範囲の平均不純物濃度を、内側範囲の平均不純物濃度より低くすることができる。また、外側範囲の高濃度領域をより広くすることができるので、電流集中の抑制効果を向上させることができる。
このような構成によれば、ダイオードの耐圧をより向上させることができる。
本発明の第1実施例に係るダイオードについて図面を参照しながら説明する。図1は、ダイオード10の概略断面図を示している。図示するように、ダイオード10は、半導体基板12と、アノード電極14と、カソード電極16と、絶縁膜18と、保護膜20を備えている。アノード電極14は、半導体基板12の上面12aに形成されている。カソード電極16は、半導体基板12の下面12bに形成されている。絶縁膜18は、半導体基板12の縁部22近傍の上面12aに形成されている。保護膜20は、アノード電極14と絶縁膜18を覆っている。なお、アノード電極14は、図示していない箇所で、外部と接続可能となっている。また、図2は、半導体基板12を上面12a側から見た平面図を示している。なお、図2は、半導体基板12の上面12aを示しているので、上面12aに形成されているアノード電極14、絶縁膜18、保護膜20は図示されていない。図1は、図2のI−I線に対応する箇所の断面図である。
アノード領域30には、局所的に不純物濃度が高い高濃度領域32(p++層)が形成されている。図1に示すように、高濃度領域32は、アノード電極14に接している。高濃度領域32は、アノード電極14にオーミック接触している。図2に示すように、高濃度領域32は、半導体基板12を平面視したときに、線状に伸びている。高濃度領域32は、幅が広い第1高濃度領域32aと、幅が狭い第2高濃度領域32bを備えている。
図2に示すように、第1高濃度領域32aは、アノード領域30の中央付近の範囲内に複数個形成されている。各第1高濃度領域32aは、互いに平行に配置されている。以下では、第1高濃度領域32aが形成されている範囲のアノード領域30(すなわち、アノード領域30のうちの中央の範囲)を内側範囲50という。
図2に示すように、第2高濃度領域32bは、アノード領域30の端部(外周縁)30aに沿って、内側範囲50の周囲を一巡するように伸びている。第2高濃度領域32bは、2重のリング状に形成されている。以下では、第2高濃度領域32bが形成されている範囲のアノード領域30(すなわち、アノード領域30のうちの端部30a近傍の範囲)を外側範囲52という。
図1に示すように、高濃度領域32a、32bの深さは、いずれの高濃度領域32a、32bでも略等しい。
また、図2に示すように、内側範囲50では、通常濃度領域34が上面12aに露出している面積が、高濃度領域32aが上面12aに露出している面積より小さい。一方、外側範囲52では、通常濃度領域34が上面12aに露出している面積が、高濃度領域32bが上面12aに露出している面積より大きい。すなわち、半導体基板12を平面視したときに、外側範囲52の面積に占める高濃度領域32bの面積比率は、内側範囲50の面積に占める高濃度領域32aの面積比率より低い。
したがって、外側範囲52の平均不純物濃度は、内側範囲50の平均不純物濃度より低い。なお、平均不純物濃度Naveは、以下の数式により算出される。
Nave=(Va・Na+Vb・Nb)/Vc
ここで、Vaは内側範囲50(または外側範囲52)の高濃度領域32の体積であり、Naは高濃度領域32の不純物濃度であり、Vbは内側範囲50(または外側範囲52)の通常濃度領域34の体積であり、Nbは通常濃度領域34の不純物濃度であり、Vcは内側範囲50(または外側範囲52)の体積である。
このとき、内側範囲50の平均不純物濃度が高いので、内側範囲50の下部のドリフト領域38には、内側範囲50から多くのホールが流入する。また、外側範囲52の平均不純物濃度が低いので、外側範囲52の下部のドリフト領域38に、外側範囲52から比較的少量のホールが流入する。しかしながら、外側範囲52の下部のドリフト領域38には、内側範囲50からもホールが流入する。したがって、内側範囲50の下部のドリフト領域38に流入するホールは比較的多い。これによって、ドリフト領域38の広い範囲で活発な伝導度変調現象が生じる。ダイオード10の順方向電圧は低い。それに対し、周辺耐圧領域54の下部のドリフト領域38には、外側範囲52からごく少量のホールが流入するにすぎない。したがって、ダイオード10のオン時には、内側範囲50の下部のドリフト領域38に多くのホールが存在し、外側範囲52の下部のドリフト領域38には比較的多くのホールが存在し、周辺耐圧領域54の下部のドリフト領域38には少量のホールが存在する状態となる。
内側範囲50の下部のドリフト領域38内のホールは、内側範囲50の第1高濃度領域32aへ流れ、第1高濃度領域32aからアノード電極14に排出される。このように、下方から高濃度領域32にホールが流入するときには、電流集中はほとんど生じない。
外側範囲52の下部のドリフト領域38内のホールの多くは、外側範囲52の第2高濃度領域32bへ流れ、第2高濃度領域32bからアノード電極14に排出される。この場合も、下方から高濃度領域32にホールが流入するので、電流集中はほとんど生じない。また、外側範囲52の下部のドリフト領域38内のホールの一部は、内側範囲50の第1高濃度領域32aへも流れる。このホールの流れは、第1高濃度領域32aの縁部近傍(図1の範囲60)に集中する。しかし、第1高濃度領域32aへ流れるホールが少量であるために、範囲60に流れる電流はそれほど大きくならない。また、このように、第1高濃度領域32aへ向かう流れと第2高濃度領域32bへ向かう流れに、ホールの流れが分散されるので、より電流集中が抑制される。
周辺耐圧領域54の下部のドリフト領域38内のホールは、外側範囲52の第2高濃度領域32bへ流れ、第2高濃度領域32bからアノード電極14に排出される。このホールの流れは、第2高濃度領域32bの端部近傍(図1の範囲62)に集中する。しかし、上述したように、ダイオード10のオン時に周辺耐圧領域54の下部のドリフト領域38に存在するホールはごく少量である。したがって、範囲62に流れる電流はそれほど大きくならない。
ステップS4では、範囲を選択して上面12aにp型不純物を注入する。これにより、図5に示すように、p型領域48を形成する。
ステップS6では、範囲を選択して上面12aにp型不純物を注入する。これにより、図6に示すように、ステップS6でp型不純物を注入した範囲が、高濃度領域32となる。また、残りのp型領域48が通常濃度領域34となる。
ステップS8では、範囲を選択して上面12aにn型不純物を注入する。これにより、EQR領域44を形成する。
ステップS10では、熱酸化法及びエッチングを利用して、絶縁膜18を形成する。
ステップS12では、蒸着等により、アノード電極14を形成する。
ステップS14では、ポリイミド等からなる保護膜20を形成する。
ステップS16では、下面12bからドリフト領域38にヘリウムを注入する。これにより、ドリフト領域38内のキャリアのライフタイムを制御する。
ステップS18では、蒸着により、カソード電極16を形成する。
以上の工程によって、図1に示すダイオード10が製造される。
次に、第2実施例のダイオード100について説明する。図10は、第2実施例のダイオード100の概略断面図を示している。なお、第2実施例のダイオード100の各部については、第1実施例のダイオード10と同様の機能を有する部分については第1実施例のダイオード10と同様の記号を付している。
図10に示すように、第2実施例のダイオード100では、第2高濃度領域32bの幅が、第1高濃度領域32aと略等しくなっている。したがって、外側範囲52の面積に占める第2高濃度領域32bの面積の比率が、内側範囲50の面積に占める第1高濃度領域32aの面積の比率と略等しくなっている。
また、第2実施例のダイオード100では、第2高濃度領域32bの不純物濃度が、第1高濃度領域32aの不純物濃度よりも低くなっている。これによって、外側範囲52の平均不純物濃度が、内側範囲50の平均不純物濃度より低くなっている。
なお、第2実施例のダイオード100では、第1高濃度領域32aと第2高濃度領域32bとで不純物濃度が異なるので、製造工程において第1高濃度領域32aと第2高濃度領域32bを1工程で形成することはできない。しかしながら、第2高濃度領域32bの面積(半導体基板12を平面視したときの面積)を広くすることができるので、電流集中の抑制効果が高まる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
12:半導体基板
14:アノード電極
16:カソード電極
18:絶縁膜
20:保護膜
22:縁部
30:アノード領域
32:高濃度領域
32a:第1高濃度領域
32b:第2高濃度領域
34:通常濃度領域
36:カソード領域
38:ドリフト領域
40:バッファ領域
42:FLR領域
44:EQR領域
50:内側範囲
52:外側範囲
54:周辺耐圧領域
Claims (7)
- 半導体基板と、前記半導体基板の第1表面に形成されているアノード電極と、前記半導体基板の第2表面に形成されているカソード電極を有するダイオードであって、
前記半導体基板の前記第1表面側であって前記半導体基板を平面視したときに前記半導体基板の縁部から離れている範囲に形成されているとともに、前記アノード電極と接しているアノード領域と、
そのアノード領域と前記半導体基板の縁部の間に形成されている周辺耐圧領域、
を有しており、
前記アノード領域は、前記半導体基板を平面視したときに前記アノード領域の外周縁から離れている内側範囲と、その内側範囲を囲んでいる外側範囲に区画されており、
前記内側範囲と前記外側範囲の各々には、局所的に不純物濃度が高く、前記アノード電極とオーミック接触している高濃度領域が形成されており、
前記外側範囲の平均不純物濃度が、前記内側範囲の平均不純物濃度よりも低いことを特徴とするダイオード。 - 前記高濃度領域の不純物濃度が前記内側範囲と前記外側範囲で等しく、
前記高濃度領域以外の前記アノード領域の不純物濃度が前記内側範囲と前記外側範囲で等しく、かつ、
前記半導体基板を平面視したときに、前記外側範囲の面積に占める前記高濃度領域の面積の比率が、前記内側範囲の面積に占める前記高濃度領域の面積の比率よりも低いことを特徴とする請求項1に記載のダイオード。 - 前記半導体基板を平面視したときに、前記外側範囲に配置されている高濃度領域の配置規則と前記内側範囲に配置されている高濃度領域の配置規則が異なっていることを特徴とする請求項2に記載のダイオード。
- 前記半導体基板を平面視したときに前記高濃度領域が線状に伸びており、
線状に伸びている前記高濃度領域の幅が、前記内側範囲よりも前記外側範囲で狭くなっていることを特徴とする請求項3に記載のダイオード。 - 前記半導体基板を平面視したときに一つ一つの高濃度領域が円形範囲内に形成されており、
前記高濃度領域の直径が、前記内側範囲よりも前記外側範囲で小さいことを特徴とする請求項3に記載のダイオード。 - 前記高濃度領域の不純物濃度が、前記内側範囲よりも前記外側範囲で低く、
前記高濃度領域以外のアノード領域の不純物濃度が前記内側範囲と前記外側範囲で等しいことを特徴とする請求項1に記載のダイオード。 - 前記半導体基板の前記第2表面側に形成されているカソード領域を備えており、
そのカソード領域が、前記アノード領域に接している不純物低濃度領域と、前記カソード電極に接している不純物高濃度領域を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のダイオード。
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