JP5103747B2 - 水処理装置及び水処理方法 - Google Patents

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本発明は、天然水を原料とする用水処理や、工場排水又は下水等を処理する廃水処理において、原水に凝集剤を添加することにより、原水中の懸濁物質、コロイダル成分や有機物質等を凝結かつ粗大化させた後、精密濾過膜(MF膜)、限外濾過膜(UF膜)、ナノ濾過膜(NF膜)などの分離膜によって膜分離処理する水処理装置及び水処理方法に係り、特に、凝集処理における凝集剤処理条件を適正化することにより、安定かつ効率的な凝集処理を行うと共に、分離膜の洗浄条件を適正化することにより、水回収率を低減することなく、膜の透過流束を高く維持する水処理装置及び水処理方法に関する。
天然水を原料とする用水処理や、工場排水又は下水等を処理する廃水処理においては、原水に凝集剤を添加して、原水中の懸濁物質、コロイダル成分や有機物質等を凝結かつ粗大化させた後、沈殿、浮上、濾過、膜濾過等により固液分離する方法や、膜濾過単独で除濁・除菌して処理水を回収することが行われている。
この除濁・除菌用途に使われる膜分離装置では、処理を継続することにより、膜面に汚れが付着して膜差圧が上昇するため、定期的に処理水(膜透過水)を膜の二次側から一次側に逆流させる逆洗操作により、膜面に捕捉した汚染物を排出して膜性能を維持することが行われている。
しかしながら、天然水や廃水は、多くの場合は、無機粘土鉱物を主体とする濁度成分だけでなく、フミン質や多糖類に代表される生物代謝産物といった有機物が共存するため、これらの有機物により膜が汚染された場合は、処理水を用いる逆洗操作のみでは膜性能を十分に回復し得ない。
これらの有機物汚染に関して、本出願人は、逆洗水に希薄な洗浄薬品を添加し、薬液により逆洗を行う方式を先に提案した(特開平8−243361号公報)。しかしながら、この方法であっても、膜透過流束を大きく設定した場合において、原水中の有機物濃度が上昇すると、急激に膜差圧が増加する問題があった。膜差圧の増加を抑制するために、逆洗頻度を増加させることも考えられるが、逆洗頻度の増加は水回収率の低下につながり、好ましいことではない。
また、有機物による膜汚染を抑制するために、膜分離処理に先立ち凝集処理を行い、凝集処理水を膜分離処理することが知られており、例えば特許第3312507号公報には、このような水処理にあたり、凝集剤の添加量を処理水(膜透過水)の有機物濃度に基いて制御することが記載されている。しかし、このような処理を実施しても、有機物による膜汚染を十分に防止することはできず、原水の有機物濃度が上昇した際には急激に膜差圧が上昇するという問題があった。
ところで、凝集処理は、後段の膜分離効率を高めるためのものであり、凝集剤としては、一般にアルミニウム塩や鉄塩等の無機凝集剤が用いられる。また、無機凝集剤で凝結した粒子を更に粗大化させるための凝集補助剤として高分子凝集剤が併用される場合も多い。
凝集処理における凝集効率の向上のためには、添加した凝集剤や凝集補助剤を原水中に円滑に拡散移動させて、凝集対象物と接触、衝突させる頻度を増加させることが重要であり、このため、一般的には撹拌手段を備える凝集槽(以下「撹拌槽」と称す場合がある。)が用いられ、凝集剤を添加した原水を撹拌下に凝集処理することが行われている。撹拌槽には、一般に原水中の凝集対象物と凝集剤とを接触、衝突させるための撹拌を行う急速撹拌槽と、凝集ないし凝結した粒子を粗大化させるための撹拌を行う緩速撹拌槽とに区分される。撹拌手段としては、撹拌翼を用いるものや水路を迂回させて原水を撹拌する構造のものが一般的である。また、ポンプやスタティックミキサーを用いて配管移送中に撹拌する方法も用いられており、これを撹拌槽と併用する例もある。
無機凝集剤による凝集ないし凝結作用は、原水中に存在するフミン質や、藻類が生産する細胞内外の代謝産物等の天然有機物や界面活性剤等の合成化学物質等により阻害を受け、凝集ないし凝結速度が遅くなったり、凝集不良に到ったりする。
従来、この凝集阻害を防止する方法としてpHの最適化が行われており、pH計と酸やアルカリ剤のpH調整剤の添加ポンプとを連動させて自動的にpH調整することが行われている。しかしながら、pH調整のみでは、安定な凝集処理を行うことはできない。
従来においては、天然水や排水中に含まれるフミン質等の天然有機物や界面活性剤等の合成化学物質が凝集阻害を引き起こす機構は十分には解明されていない上に、これらの阻害物質の同定もなされていない。このため、用水や廃水処理では、最適な凝集条件を設定するために、別途ジャーテスターを用いて凝集剤の添加濃度やpHを決定する操作が必須となるが、このような操作は一般に煩雑な操作と長い時間を要し、このために、原水の水質変動に対応し得ず、決定した凝集剤添加量やpH調整値を即時的に反映することができない結果、凝集不良を招くことが多い。
このようなことから、現状においては、凝集剤添加量を予想される必要添加量の上限値よりも予め高く設定して凝集剤を過剰添加することにより、凝集不良を防止する方法が採用されている。しかしながら、このように凝集剤を過剰に添加することは、薬剤コストを高くすると共に、汚泥発生量を増加させる。
また、凝集剤としてアルミニウム塩を用いる場合、過剰添加して残留アルミニウムが増加すると、凝集処理後の膜分離において、未凝集のアルミニウムが膜汚染を引き起こす一因になる。また、残留アルミニウムの増加によって、濾過分離処理水中に未凝集のアルミニウムが大量に流出してしまう。なお、処理水中の残留アルミニウム濃度は、100μg/L以下とされることが望まれている。
特開平8−243361号公報 特許第3312507号公報
本発明は、原水に凝集処理した後、膜分離処理する水処理において、水回収率を低減することなく、膜の透過流束を高く維持する水処理装置及び水処理方法を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の水処理装置は、原水に凝集剤を添加して凝集処理する凝集処理手段と、該凝集処理手段からの凝集処理水を一次側から供給し、分離膜を透過した透過水を二次側から排出する膜分離手段と、洗浄流体を供給することで該分離膜を洗浄する分離膜洗浄手段と、前記原水中の有機物濃度を、波長230〜300nmの範囲内の紫外光の吸光度と波長600〜700nmの範囲内の可視光の吸光度との差から測定する有機物濃度測定手段と、該波長230〜300nmの範囲内の紫外光の吸光度と波長600〜700nmの範囲内の可視光の吸光度との差に基づいて、前記凝集処理手段における凝集処理条件と前記分離膜洗浄手段における洗浄条件を直接制御する制御手段とを有する、波長260nmの吸光度と波長660nmの吸光度との差が0.3abs以上の原水を、膜の透過流束5.0m/d以上で処理する水処理装置であって、前記制御する凝集処理条件が原水への凝集剤添加量であり、前記制御する洗浄条件が洗浄間隔であり、前記洗浄手段は前記膜分離手段の二次側から前記洗浄流体としての洗浄薬液を供給し、前記分離膜を透過した洗浄薬液を一次側から排出して該分離膜を薬液逆洗するものであり、波長230〜300nmの範囲内の紫外光の吸光度と波長600〜700nmの範囲内の可視光の吸光度との差が所定値以上となった時点で薬液逆洗を行う閾値設定制御を行うことを特徴とする。
本発明(請求項)の水処理方法は、原水に凝集剤を添加して凝集処理する凝集処理工程と、該凝集処理工程からの凝集処理水を膜分離手段の一次側から供給し、分離膜を透過した透過水を膜分離手段の二次側から排出する膜分離工程と、洗浄流体を供給することで該分離膜を洗浄する分離膜洗浄工程とを有する水処理方法において、前記原水中の有機物濃度を、波長230〜300nmの範囲内の紫外光の吸光度と波長600〜700nmの範囲内の可視光の吸光度との差から測定し、該波長230〜300nmの範囲内の紫外光の吸光度と波長600〜700nmの範囲内の可視光の吸光度との差に基づいて前記凝集処理工程における凝集処理条件と前記分離膜洗浄工程における洗浄条件を直接制御する、波長260nmの吸光度と波長660nmの吸光度との差が0.3abs以上の原水を、膜の透過流束5.0m/d以上で処理する水処理方法であって、前記制御する凝集処理条件が原水への凝集剤添加量であり、前記制御する洗浄条件が洗浄間隔であり、前記洗浄工程は前記膜分離手段の二次側から前記洗浄流体としての洗浄薬液を供給し、前記分離膜を透過した洗浄薬液を一次側から排出して該分離膜を薬液逆洗するものであり、波長230〜300nmの範囲内の紫外光の吸光度と波長600〜700nmの範囲内の可視光の吸光度との差が所定値以上となった時点で薬液逆洗を行う閾値設定制御を行うことを特徴とする。
発明によれば、原水の有機物濃度に基いて、凝集処理条件と分離膜の洗浄条件を制御することにより、水回収率を低減することなく、膜の透過流束を高く維持することができる。
即ち、原水の有機物濃度に基いて凝集処理条件を制御することにより、凝集剤添加量の過不足等を防止して、従って、凝集剤の過剰添加による薬剤コストの高騰や汚泥発生量の増大を防止すると共に凝集不足による処理水水質の悪化を防止して、良好な凝集処理を行うことができ、これにより膜分離の給水として好適な膜汚染性の低い良好な凝集処理水を得ることができる。そして、この良好な水質の凝集処理水を膜分離するため、膜汚染を低減することができる上に、分離膜の洗浄条件についても、原水の有機物濃度に基いて制御を行うことにより、洗浄頻度や洗浄薬液濃度等に原水水質に対応した適正な洗浄条件を採用することができ、この結果、水回収率を高く維持した上で膜の透過流束を高い値で安定化させることができる。
本発明において、制御する凝集処理条件は、原水への凝集剤添加量である
お、原水の有機物濃度は、波長200〜400nmの範囲内の紫外光の吸光度と波長400〜800nmの範囲内の可視光の吸光度との差から容易に測定することができる。即ち、波長200〜400nmの範囲内の紫外光の吸光度は有機物の吸光度と主として無機粘土鉱物よりなる濁度成分の吸光度との合計値である。また、波長400〜800nmの範囲内の可視光の吸光度は主として無機粘土鉱物よりなる濁度成分による吸光度である。従って、両吸光度の差から原水中の有機物濃度を求めることができる。原水中の有機物濃度はTOC計やCOD計によっても測定することはできるが、上述のように紫外光および可視光の吸光度差であれば、簡便かつ迅速に有機物濃度を求めることができ、好適である。
以下に本発明の水処理装置及び水処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
本発明が処理対象とする原水は、有機物を含むものであり、河川水、地下水などの天然水の他、各種工場排水や農業排水、下水などが例示される。この原水に含まれる有機物は、特に限定されるものではない。なお、天然水中にはフミン酸が含まれることが多いが、当然ながらこのフミン酸も本発明の有機物の一種に当る。
本発明においては、原水を凝集処理した後、膜分離して処理水を得るに当たり、原水中の有機物濃度を測定し、この測定値に基いて凝集処理条件と分離膜の洗浄条件を制御する。
原水中の有機物濃度を、原水の紫外光の吸光度と可視光の吸光度との差から求める場合、紫外光吸光度は、波長230〜300nm、例えば260nmの吸光度とされ、可視光吸光度は、波長600〜700nm、例えば660nmの吸光度とされる。吸光度の測定は、連続的に行っても良く、1〜10分間に1回の間欠的な測定であっても良い。また、30秒〜1日の吸光度測定値の平均値を求め、この値を制御の指標値としても良い。
原水の凝集処理で原水に添加する凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等のアルミニウム塩や、塩化第二鉄等の鉄塩等の無機凝集剤を用いることができ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
なお、一般的に凝集処理は、pH7.5〜8.0程度で行われるが、凝集剤として特にアルミニウム塩を用いる場合、pHを5.0〜7.0、特に5.5〜6.5に低下させると、KMF値(0.45μmメンブレンフィルターを用いて一定量の試料水を濾過するのに要する時間)を良好にできることができる。これは、pHを5.0〜7.0、特に5.5〜6.5に下げることにより、アルミニウムの電荷が高くなり、凝結作用が上がるためと考えられる。ただし、pH5.0未満に低下させると残留アルミニウム濃度が増加してしまう。そこでpH5.0以上好ましくは5.5以上に調整することで残留アルミニウム濃度の増加を抑制する。残留アルミニウム濃度が高くなる原因として、pHを下げすぎると、Alは、電荷は高くなるが、水酸化物をあまり持たないイオンのような極小のサイズになるため、中和が終了しても、架橋が進まず膜を通過してしまう大きさにしか成長できないためと考えられる。
このような凝集処理において、原水の有機物濃度の測定値に基いて制御する凝集処理条件の制御項目としては、
(1) 凝集剤の添加量
(2) (撹拌機を備える凝集処理装置の場合)撹拌機の撹拌速度
などがあり、上記(1),(2)の一方のみを制御しても良く、両方を制御しても良い。好ましくは、凝集剤添加量を制御することが望ましい。
また、原水中の有機物濃度だけでなく、さらに凝集処理水の凝集状態を検出し、有機物濃度の測定値とこの凝集状態の検出値とに基いて凝集剤の添加量や撹拌機の撹拌速度等の凝集処理条件を制御しても良く、これにより、極めて良好な凝集処理を行うことができる。この場合、凝集状態検出センサとしては、凝集槽内液の凝集粒子間の清澄度を検出する光遮断式微粒子センサ又は光散乱式微粒子センサ等を用いることができる。
本発明において、凝集処理水は次いで膜分離に供されるが、凝集処理水は、沈殿槽、加圧浮上槽や、砂、その他の充填材を用いた濾過装置等で、含有される固形物を除去した後、膜分離に供しても良い。
凝集処理水を膜分離する分離膜としては、MF膜、UF膜、NF膜などが例示される。膜分離装置は、クロスフロー方式のものであっても全量濾過方式のものであってもよい。
凝集処理水を膜分離する分離膜の洗浄方式としては、
(1) 通常の逆洗(薬品を添加しない洗浄水(処理水(脱透過水)や市水、工水等)を膜の二次側から供給し、分離膜を透過させて一次側から排出させるもの)
(2) 薬液による逆洗(洗浄薬液を膜の二次側から供給し、分離膜を透過させて一次側から排出させるもの)
(3) 通常の薬品洗浄(洗浄薬液を膜の一次側に循環させるもの)
(4) フラッシング洗浄(膜の一次側及び/又は二次側に気体をフラッシングするもの)
などが挙げられ、これらの2以上を併用しても良い。
このうち、特に(2)の薬液による逆洗の場合、当規定濃度近傍の酸とアルカリを交互に逆洗水に添加する方式が好適に用いられる。この場合、酸及びアルカリの一方の洗浄薬液で逆洗した後、一定時間静置し、その後、洗浄薬品を添加しない水(処理水や市水、工水等)で逆洗し、次いで、酸及びアルカリの他方の洗浄薬液で逆洗した後一定時間静置し、最後に薬液を添加しない水(処理水や市水、工水等)で逆洗するようにしても良い。また、後述の実施例に示すように、通常逆洗と薬液逆洗とを交互に行うようにすることもできる。
洗浄薬液のアルカリとしては、次亜塩素酸ナトリウムや水酸化ナトリウムが好適であり、酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、クエン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウム等が例示されるが、これらに限定されない。アルカリ、酸は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
なお、酸とアルカリを併用する場合、各濃度はほぼ同一の規定(N)であることが好ましい。通常、酸、アルカリの濃度は1×10−3〜0.5N程度が好ましい。
このような分離膜の洗浄処理において、制御する洗浄条件の制御項目としては、
(1) 洗浄頻度(洗浄時間、洗浄回数、洗浄間隔等)
(2) 洗浄流体の供給速度
(3) 洗浄薬液の薬品濃度
等が挙げられ、これらの2以上を制御しても良い。
より具体的な洗浄条件の制御方法のうち、洗浄頻度(洗浄間隔)の洗浄方法は次の通りである。
(1)通常の逆洗の場合
薬品を添加しない単なる水逆洗は、通常、30秒から6時間、好ましくは5分〜3時間、特に好ましくは10分〜3時間に1回の割合で実施される。この洗浄間隔を、原水の有機物濃度の変動によって制御する。具体的には、制御の基準となる有機物濃度の閾値を1〜10個程度設定し、それぞれに対して水逆洗の洗浄間隔を設定するのが好ましい。
(2)薬液による逆洗
薬液逆洗は、上記の通常の逆洗と併用して行うことが好ましい。この場合、通常の逆洗は上述の洗浄間隔で実施し、更に0.5〜10日に1回程度の頻度で薬液逆洗を実施する。この薬液逆洗の洗浄間隔を原水の有機物濃度の変動によって制御する。具体的には、制御の基準となる有機物濃度の閾値を1〜3個設定し、それぞれに対して洗浄間隔を設定する。
なお、原水の有機物濃度に基いて、薬液逆洗の洗浄間隔を制御するとともに上記通常の逆洗の洗浄間隔も制御してもよいが、後述の実施例に示すように、通常の水逆洗は一定の洗浄間隔とし、薬液逆洗の洗浄間隔を原水の有機物濃度に基いて制御することが好ましい。これは、薬液逆洗のほうが有機物汚染に対して有効に作用するためである。
また、原水の有機物濃度を積算してゆき、この積算値が所定値以上になった際に薬液逆洗を実施するようにしてもよい。
なお、薬液として次亜塩素酸ナトリウムを用いた場合には、上述した「通常の逆洗」と同じように用いられる場合がある。すなわち、次亜塩素酸ナトリウムを薬液として用いた場合には、その洗浄間隔は30秒から6時間、好ましくは5分〜3時間、特に好ましくは10分〜3時間に1回の割合で実施されたり、或いは他の薬液又は高濃度の次亜塩素酸ナトリウムを用いた薬液逆洗と併用されたりする場合がある。
(3)通常の薬品洗浄
薬品洗浄は基本的には、膜差圧が設定値以上になった時点、或いは、換算膜透過流束(温度、圧力を所定値に設定した場合の膜透過流束)が設定値以下になった時点で実施されるが、本発明では、例えば上述の原水の有機物濃度の積算値が所定値以上になった場合に薬品洗浄を実施するようにしても良い。
(4)フラッシング洗浄
フラッシング洗浄についても上述の通常の逆洗の場合と同様に洗浄間隔を制御すれば良い。
また、(2)薬液逆洗や(3)薬品洗浄において、原水中の有機物濃度に応じて、薬品濃度を制御することもできる。この場合、原水の有機物濃度に比例して薬品濃度を高くしても良く、また、洗浄間隔の制御の場合のように閾値制御としても良い。
また、上述した4種類の洗浄において、洗浄流体を供給して分離膜を洗浄する際に、原水中の有機物濃度に基づいて供給する洗浄流体の供給速度を制御しても良い。この方法は、特に、二次側から洗浄流体を供給するとともに分離膜を透過した洗浄流体を一次側から排出する洗浄手法の場合に有用である。
この場合においても、原水の有機物濃度に比例して洗浄流体の供給速度を上げても良く、閾値制御であっても良い。
本発明において、原水中の有機物濃度が高くなる程、洗浄条件を高い条件に、即ち、例えば、洗浄頻度を高く、洗浄時間を長く、洗浄薬液の薬品濃度を高く、洗浄流体の供給速度を高くなるように制御するが、この場合、原水の有機物濃度と洗浄条件、例えば、薬液濃度や洗浄頻度とを直線的に比例させてもよく、有機物濃度が高くなるのに従って、洗浄条件、例えば薬液濃度や洗浄頻度を段階的に増加させてもよい。例えば、被処理水中の有機物濃度と、濾過性能を十分に回復させる必要最小限の洗浄条件との関係を予め実験により求めておき、この関係を数式化したり、そのままコンピュータのメモリに格納しておき、これに基づいて洗浄条件を決定してもよい。
なお、図2は本発明者が原水中のフミン酸濃度と、膜差圧を十分に回復させるのに必要な洗浄条件(例えば洗浄頻度)との関係について研究して得た結果を模式的に示すグラフである。
図2の透過流束Jcは、原水の有機物濃度が同じ濃度の場合に、それ以上の膜透過流束に設定した時に、膜差圧ΔPの増加速度が急激に増大し、膜分離の運転が不可能になる限界値を示す。
,f,fは例えば薬液洗浄の頻度であり、f<f<fである。透過流束がA[m/d]にまで回復してこの透過流束にて濾過運転を行うように膜洗浄を制御する場合、フミン酸濃度が0.8a以下では薬液洗浄の頻度をfとし、0.8a〜0.8bでは薬液洗浄の頻度をfとし、0.8b〜0.8cでは薬液洗浄の頻度をfとする。0.8を安全係数として掛けるのは、フミン酸濃度Cがaであるときに薬液洗浄の頻度をfとすると、逆方向の透過流束が限界膜透過流束となり、急激に差圧が上昇するおそれがあるからである。
図示はしないが、原水中の有機物濃度と、薬液濃度、洗浄流体の供給速度、洗浄時間等の洗浄条件との間にも図2に示す関係があることが認められた。
このように原水中の有機物濃度が高くなるほど洗浄薬液の濃度や洗浄頻度等の洗浄条件を高くすることにより、有機物濃度が高い場合でも分離膜の膜性能を確実かつ十分に回復させることができる。また、原水中の有機物濃度が低い場合には、それに応じて薬液濃度を低くしたり薬液洗浄頻度を低下させたり、洗浄流体の供給速度を小さくするため、洗浄薬液等の洗浄流体の消費量が少なく、洗浄薬液等の洗浄流体を節約することができると共に、膜の劣化を防止できる。なお、薬液洗浄後のリンス用水や洗浄流体として膜透過水を用いるときには、薬液洗浄頻度や洗浄流体の供給速度の低減により水回収率を高くすることができる。
なお、後述の実施例1,2に示す如く、原水中の有機物濃度が高くなることに応じて薬液洗浄の頻度を高くする場合、薬液の濃度を低下させても十分な薬液洗浄効果が得られることが認められた。
以下に図面を参照して本発明の水処理装置及び水処理方法の実施の形態をより詳細に説明する。
図1は、本発明の水処理装置の実施の形態を示す系統図である。
図1において、Iは凝集処理部であり、IIは膜分離部である。
1は原水槽であり、吸光度測定器21を備える。2は凝集撹拌槽であり、撹拌機22とpHセンサ23と凝集状態検出センサ24を備える。11は凝集剤貯槽であり、貯槽11内の凝集剤は、凝集剤薬注ポンプ33Pより配管33を経て凝集撹拌槽2に供給される。12,13は各々酸貯槽、アルカリ貯槽であり、貯槽12内の酸は、酸薬注ポンプ34Pにより配管34,36を経て凝集撹拌槽2に供給される。また、貯槽13内のアルカリは、アルカリ薬注ポンプ35Pにより配管35,36を経て凝集撹拌槽2に供給される。6は凝集処理条件制御装置であり、吸光度測定器21の検出値とpHセンサ23の検出値と凝集状態検出センサ24の検出値が入力され、凝集剤薬注ポンプ33P、酸薬注ポンプ34P及びアルカリ薬注ポンプ35Pの回転数制御信号が出力される。また、この制御装置6に入力された吸光度測定器21の検出値は、後述の薬液逆洗条件制御装置7に出力される。
凝集処理部Iにおいて、原水は、配管31より原水槽1に導入され、吸光度測定器21により、原水中の有機物濃度が検出され、検出結果が制御装置6に入力される。この吸光度測定器21としては、前述の如く、波長200〜400nmの紫外光の吸光度計と、波長400〜800nmの可視光の吸光度計を備えたものが好適である。吸光度測定器21は、浸漬型のものであってもバッヂ型のものであってもよい。
原水槽1内の原水は配管32より凝集撹拌槽2に導入される。凝集撹拌槽2において、原水は、凝集剤貯槽11の凝集剤が薬注ポンプ33Pにより添加されると共に、酸、アルカリの添加によりpH調整され、撹拌機22により撹拌されて凝集処理される。この凝集撹拌槽2内のpHがpHセンサ23により検出され、検出結果が制御装置6に入力される。また、凝集状態検出センサ24の検出値も制御装置6に入力される。
凝集撹拌槽2への凝集剤添加量は、吸光度測定器21の検出値に基いて制御される。即ち、例えば、制御装置6において、入力された吸光度測定器21の検出値を予め設定した凝集剤添加量の決定式に代入し、その算出結果に基いて薬注ポンプ33Pの回転数が制御され、適正量の凝集剤が添加される。この薬注ポンプ33Pとしては、市販の可変式定量ポンプ等が用いられる。
原水の有機物濃度に応じて凝集剤の添加量を制御するには、吸光度測定器21で求められた有機物濃度に係数を乗じて凝集剤添加量を演算してもよいが、有機物濃度は、紫外光吸光度と可視光吸光度との差に比例するので、次式のように、紫外光吸光度と可視光吸光度の差に係数Mを乗じて凝集剤添加量を演算するのが好適である。
凝集剤添加量=M×[(紫外部吸光度)−(可視部吸光度)]
係数Mは、予め原水を用いたジャーテストにより測定したKMF値から決定した係数であり、必ずしも原水毎にMを調整する必要はない。
なお、このように吸光度差に比例した凝集剤添加量制御の代わりに閾値制御としてもよい。閾値制御としては、吸光度差が所定値a未満のときには凝集剤添加量をbとし、吸光度差が所定値a〜aのときには凝集剤添加量をbとし、吸光度差が所定値a超のときには凝集剤添加量をbとするものなどが例示されるが、これに限定されない。
酸、アルカリの薬注ポンプ34P,35Pは、凝集攪拌槽2内のpHが5.0〜7.0好ましくは5.0〜6.5となるように制御装置6によって制御される。なお、残留アルミニウム濃度を低減する場合は、前述の如く、pHを5.5〜7.0特に6.0〜7.0とりわけ6.0〜6.5となるように制御するのが好ましい。
なお、凝集状態検出センサ24は、凝集剤添加量を補正したり、凝集不良が発生した際に警報信号を発信するために用いることができる。また、凝集状態検出センサ24の検出値に基いて攪拌機22の撹拌速度を制御するようにしても良い。薬注ポンプ33Pによる凝集撹拌槽2への凝集剤添加量を、吸光度測定器21の検出値と凝集状態検出センサ24の検出値とに基いて制御するには、例えば、制御装置6において、入力された吸光度測定器21の検出値を予め設定した凝集剤添加量の決定式に代入し、その算出結果に基いて薬注ポンプ33Pの回転数を制御すると共に、凝集状態検出センサ24の検出値に基づいて薬注ポンプ33Pの回転数を補正する。
この凝集状態検出センサ24としては、凝集撹拌槽2の液体を別の沈殿槽に移設して、一定時間沈降させた上澄みの濁度を検出する装置とセンサや、凝結ないし凝集した粒子のゼータ電位や流動電位を検出する装置とセンサ等も用いることもできるが、凝集撹拌槽2内にて凝結ないし凝集した粒子間の精澄度を検出する光遮断式微粒子センサや光散乱式微粒子センサが好適に用いられる。
このようにして凝集撹拌槽2内で凝集剤が添加されて撹拌されることにより凝集処理された凝集処理水は、膜分離部IIに送給される。
この膜分離部IIにおいて、3は膜給水槽、4は膜モジュール、5は処理水槽、7は薬液逆洗条件制御装置、14はアルカリ貯槽、15は酸貯槽である。膜給水槽3内の凝集処理水を膜モジュール4に供給する配管38は給水ポンプ38Pとバブル38Vを備える。膜モジュール4の膜透過水を処理水槽5に送給する配管39にはバブル39Vが設けられ、また、この配管39には、アルカリ貯槽14内のアルカリがアルカリ薬注ポンプ43Pより配管43を経て供給され、酸貯槽15内の酸が、酸薬注ポンプ44Pにより配管44を経て供給され、また、処理水槽5内の処理水が逆洗ポンプ42Pにより配管42を経て供給されるように配置されている。
41は逆洗排水の排出配管であり、40は処理水(膜透過水)の排出配管である。各配管39,41,42,43,44には各々バルブ39V,41V,42V,43V,44Vが設けられ、制御装置7からの制御信号が各ポンプ38P,42P,43P,44P、及び各バルブ38V,39V,41V,42V,43V,44Vに出力される。
膜給水槽3内の凝集処理水は、給水ポンプ38Pと、バルブ38Vを介して膜モジュール4の1次側4aへ送られる。この実施の形態では、膜モジュール4は全量濾過方式であるが、クロスフロー方式でもよい。膜を透過して2次側4bに入った膜透過水は、配管39より処理水槽5に導入され、配管40より系外へ排出される。前記膜モジュール4の1次側4aには逆洗排水取出用の配管41が接続されている。
膜モジュール4を水で逆洗したり薬液逆洗後にリンスするために、処理水槽5内の水が配管42を介して、バルブ39Vよりも上流側の配管39へ供給可能とされている。また、膜モジュール4を薬液洗浄するために、バルブ39Vよりも上流側の配管39へ、酸貯槽15内の酸溶液が配管44を介して供給可能とされ、また、アルカリ貯槽14内のアルカリ溶液が配管43を介して供給可能とされている。
膜モジュール4を水で逆洗したり、薬液逆洗後にリンスするときには、ポンプ38Pを停止し、バルブ38V,39V,43V,44Vを閉、バルブ42V,41Vを開とし、ポンプ42Pを作動させる。これにより、処理水槽5内の処理水が配管42,39を介して膜モジュール4の2次側4bに供給され、膜を逆方向に1次側4aへ透過し、配管41から逆洗排水として排出される。
アルカリ又は酸で膜モジュール4を薬液逆洗するときには、ポンプ38Pを停止し、バルブ38V,39Vを閉とし、バルブ43V又は44Vを開とすると共にバルブ41Vを開とし、ポンプ43P又は44Pを作動させ、バルブ42Vを開としてポンプ42Pを作動させ、所定量の水を処理水槽5から配管39へ送り、アルカリ又は酸を希釈しつつ膜モジュール4へ送る。
なお、膜モジュール4に供給するアルカリ又は酸の濃度を変化させるときには、ポンプ43P又は44Pをインバーター又はパルス制御することにより、アルカリ又は酸の注入量を変化させる。
前述の原水槽1内の吸光度測定器21の検出値が制御装置6を介して制御装置7に入力されている。この制御装置7は、吸光度測定器21の検出値に応じ、薬液逆洗の頻度及び/又は膜モジュール4へ供給する薬液濃度(槽14又は15からのアルカリ又は酸の注入量)を制御する。
なお、水逆洗又は薬液逆洗の際の逆洗流体の供給速度を制御しても良く、その場合には所定の供給速度となるように各ポンプ42P,43P,44Pの回転速度を制御装置7によって制御する。
なお、図1は本発明の実施の形態の一例を示すものであって、本発明はその要旨を超えない限り、図1の態様に何ら限定されるものではない。
例えば、凝集撹拌槽は急速撹拌槽と、この急速撹拌槽からのの流出水が導入される緩速撹拌槽との2槽構成であっても良く、この場合において、前段の急速撹拌槽に無機凝集剤を添加して後段の緩速撹拌槽に有機高分子凝集剤を添加しても良い。また、前述の如く、凝集処理水は、沈殿槽、加圧浮上槽や、砂、その他の充填材を用いた濾過装置等で、含有される固形物を除去した後、膜分離に供しても良く、この場合には、図1の凝集撹拌槽2の後段に沈殿槽や濾過装置が設けられる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1
原水槽、急速撹拌槽及び緩速撹拌槽、沈殿槽、砂濾過槽、並びにUF膜モジュールから構成される実験装置を用い、本発明に従って、原水を原水槽→急速撹拌槽→緩速撹拌槽→沈殿槽→砂濾過槽→膜モジュールの順で通水して処理を行った。
砂濾過槽には有効径0.45mmの濾過砂を600mm積層したカラムを用いた。急速撹拌槽は、有効容量30Lのパドル式撹拌機(200r.p.m.,40W)付きの角型急速撹拌槽であり、緩速撹拌槽は、有効容量100Lのパドル式攪拌機(15r.p.m.,40W)付きの緩速撹拌槽を直列に2槽連結したものである。膜モジュールとしては、クラレ社製の内圧中空糸限外濾過膜(親水化ポリスルフォン、分画分子量150,000)の小型ラボモジュール(膜面積:0.14m)を用いた。
原水としては、水道水にフミン酸を0.5、3.2および4.5mg/Lとなるように各々溶解させたものを用い、それぞれのフミン酸添加濃度は1週間ごとに変化させた。原水は600L/hで処理し、急速撹拌槽には凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC)を添加し、また、急速撹拌槽のpHが6.5となるように酸又はアルカリを添加してpH調整を行った。
原水槽には吸光度測定器として、波長200nm〜700nm近傍の紫外〜可視光領域を走査できるS::CANセンサ(S::CAN MESSTECHNIK GMBH(オーストリア)製、セル幅50mm)を浸漬し、紫外光の吸光度は波長260nmで測定し、可視光の吸光度は波長660nmで測定した。
急速撹拌槽へのPAC添加量は、吸光度測定器で測定された紫外光の吸光度E260と可視光の吸光度E660との差(E260−E660)に基いて制御し、PAC添加量(mg/L)=100×(E260−E660)(abs)とした。なお、砂濾過水についても同様にして吸光度差(E260−E660)を調べた。
また、膜モジュールにおける膜透過流束は各フミン酸濃度で通水する前半の3.5日を4.5m/dで、後半の3.5日を5.5m/dで一定とし、通水29分毎に通常の水逆洗を1分間行う運転を行うと共に、薬液逆洗を1週間毎に定期的に実施する他に、前記吸光度差(E260−E660)が0.3abs以上となった時点で行う閾値設定制御として、1日1回(薬液逆洗間隔24時間)実施するように設定した。
薬液逆洗の工程は下記表1の通りとした。なお、アルカリとしては水酸化ナトリウムを用い、酸としては硫酸を用いた。
Figure 0005103747
各々の原水及び膜透過流束条件における分離膜の膜差圧の増加速度を調べ、結果をPAC添加量、砂濾過水の吸光度差、薬液逆洗の有無と共に表4に示した。なお、表中の膜差圧増加速度は平均値である。
実施例2
実施例1において、前記吸光度差(E260−E660)が0.3abs以上となった時点で行う薬液逆洗の工程を下記表2の通りとし、実施例1の場合よりも薬液濃度を半減する一方で、薬液逆洗頻度を2倍とし、12時間間隔で薬液逆洗を行ったこと以外は同様に水処理を行い、結果を表4に示した。
Figure 0005103747
実施例3
実施例1において、前記吸光度差(E260−E660)が0.3abs以上となった時点で行う薬液逆洗の工程を下記表3の通りとし、実施例1の場合よりも薬液濃度を半減する一方で、洗浄液の供給速度を2倍の10m/dにした以外は同様に水処理を行い、結果を表4に示した。
Figure 0005103747
比較例1
実施例1において、閾値設定制御での薬液逆洗を行わなかったこと以外は同様に水処理を行い、結果を表4に示した。
Figure 0005103747
表4より次のことが分かる。
実施例1ないし実施例3では、フミン酸添加濃度を4.5mg/Lに設定した場合に、原水の有機物濃度(E260−E660)が0.3absを超えた時点で閾値設定制御による薬液逆洗が実施されたため、膜透過流束を5.5m/dと高く設定した場合にも膜差圧の増加速度の上昇は観察されなかった。
薬液逆洗を行わなかった比較例1でも、フミン酸を4.5mg/L添加して砂濾過水の有機物濃度(E260−E660)が0.044absとなった場合にも、膜透過流束を4.5m/dに設定した場合は、膜差圧の増加速度は1.0kPa以下で安定であった。しかし、膜透過流束を5.5m/dに設定すると共に、原水にフミン酸を4.5mg/L添加した場合には、膜差圧の増加速度は2kPa/d以上となり安定運転の継続が不可能となった。ただし、原水のフミン酸添加濃度を0.5mg/Lおよび3.2mg/Lと低くした場合には、膜差圧は自然に回復し、膜差圧の増加速度の上昇は認められなかった。
これらの結果から、原水の有機物濃度を測定し、その結果に基いて凝集条件(凝集剤の添加量)を制御すると同時に、分離膜の洗浄条件(薬液逆洗の頻度、薬液の薬品濃度及び洗浄流体の供給速度)を制御することにより、高い膜透過流束で安定して運転を継続することができることが分かる。
また、このような本発明による効果は、特に原水の有機物濃度(E260−E660)が0.3abs以上で、膜の透過流束を5.0m/d以上と高く設定する場合に有効であることが分かる。
本発明の水処理装置の実施の形態を示す系統図である。 フミン酸濃度と洗浄条件(逆洗頻度)との関係を模式的に示すグラフである。
I 凝集処理部
II 膜分離部
1 原水槽
2 凝集撹拌槽
3 膜給水槽
4 膜モジュール
5 処理水槽
6 凝集処理条件制御装置
7 薬液逆洗条件制御装置
11 凝集剤貯槽
12,15 酸貯槽
13,14 アルカリ貯槽
21 吸光度測定器
22 撹拌機
23 pHセンサ
24 凝集状態検出センサ

Claims (2)

  1. 原水に凝集剤を添加して凝集処理する凝集処理手段と、
    該凝集処理手段からの凝集処理水を一次側から供給し、分離膜を透過した透過水を二次側から排出する膜分離手段と、
    洗浄流体を供給することで該分離膜を洗浄する分離膜洗浄手段と、
    前記原水中の有機物濃度を、波長230〜300nmの範囲内の紫外光の吸光度と波長600〜700nmの範囲内の可視光の吸光度との差から測定する有機物濃度測定手段と、
    該波長230〜300nmの範囲内の紫外光の吸光度と波長600〜700nmの範囲内の可視光の吸光度との差に基づいて、前記凝集処理手段における凝集処理条件と前記分離膜洗浄手段における洗浄条件を直接制御する制御手段と
    を有する、波長260nmの吸光度と波長660nmの吸光度との差が0.3abs以上の原水を、膜の透過流束5.0m/d以上で処理する水処理装置であって、
    前記制御する凝集処理条件が原水への凝集剤添加量であり、
    前記制御する洗浄条件が洗浄間隔であり、
    前記洗浄手段は前記膜分離手段の二次側から前記洗浄流体としての洗浄薬液を供給し、前記分離膜を透過した洗浄薬液を一次側から排出して該分離膜を薬液逆洗するものであり、
    波長230〜300nmの範囲内の紫外光の吸光度と波長600〜700nmの範囲内の可視光の吸光度との差が所定値以上となった時点で薬液逆洗を行う閾値設定制御を行うことを特徴とする水処理装置。
  2. 原水に凝集剤を添加して凝集処理する凝集処理工程と、
    該凝集処理工程からの凝集処理水を膜分離手段の一次側から供給し、分離膜を透過した透過水を膜分離手段の二次側から排出する膜分離工程と、
    洗浄流体を供給することで該分離膜を洗浄する分離膜洗浄工程とを有する水処理方法において、
    前記原水中の有機物濃度を、波長230〜300nmの範囲内の紫外光の吸光度と波長600〜700nmの範囲内の可視光の吸光度との差から測定し、該波長230〜300nmの範囲内の紫外光の吸光度と波長600〜700nmの範囲内の可視光の吸光度との差に基づいて前記凝集処理工程における凝集処理条件と前記分離膜洗浄工程における洗浄条件を直接制御する、波長260nmの吸光度と波長660nmの吸光度との差が0.3abs以上の原水を、膜の透過流束5.0m/d以上で処理する水処理方法であって、
    前記制御する凝集処理条件が原水への凝集剤添加量であり、
    前記制御する洗浄条件が洗浄間隔であり、
    前記洗浄工程は前記膜分離手段の二次側から前記洗浄流体としての洗浄薬液を供給し、前記分離膜を透過した洗浄薬液を一次側から排出して該分離膜を薬液逆洗するものであり、
    波長230〜300nmの範囲内の紫外光の吸光度と波長600〜700nmの範囲内の可視光の吸光度との差が所定値以上となった時点で薬液逆洗を行う閾値設定制御を行うことを特徴とする水処理方法。
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