JP5103712B2 - ナノホール構造体の製造方法 - Google Patents
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Description
なお、前記陽極酸化アルミナポア中に磁性材料を充填してなる磁気記録媒体は、該陽極酸化アルミナポアが露出面に対して垂直方向に細長く(高アスペクト比で)成長しているため、垂直方向に磁化し易く、この充填された磁性材料の形状異方性により、熱揺らぎに強いという利点がある。また、通常、前記陽極酸化アルミナポアがハニカム型の六方最密格子状に自己組織化的に発生するため、リソグラフィ的手法で1ドットずつドット形成する方法に較べて低コストで製造することができるという利点がある。また、アルミナポアの起点となるパターンを予め形成しておくことにより、任意の理想配列パターンを有する磁性体配列を形成することができるという利点もある。
本発明のナノホール構造体は、金属基材に、ナノホールの規則配列の複数が交互に隣接してなり、隣接する前記規則配列が互いに異なることを特徴とする。
該ナノホール構造体は、前記ナノホールに磁性材料を充填しておけばハードディスク装置等の磁気記録媒体とすることができ、また、前記ナノホールにDNA等を配しておけばDNAチップ等とすることができ、前記ナノホールに抗体等を配しておけば蛋白質検出装置、診断装置等をすることができ、前記ナノホールに例えばカーボンナノチューブ形成用等の触媒金属を充填しておけば、カーボンナノチューブ等の形成基板、電界放出装置等とすることができる。本発明の前記ナノホール構造体は、前記ナノホールの規則配列の複数が交互に隣接してなり、隣接する前記規則配列が互いに異なるので、特に前記磁気記録媒体に応用すると、交互に隣接する前記規則配列の相違により、磁気ヘッドのトラッキングが容易に行われる。
該ナノホール構造体の製造方法においては、前記基材上に凹凸ラインが形成され、該凹凸ライン上に微粒子がパターン状に単層配列された後、該微粒子の配列パターンが前記スタンパ形成材料に転写されると、該微粒子の配列パターンと略同一のパターン状に配列した円形状の凸部を有する前記スタンパが作製される。次に、前記スタンパを用いて前記金属基材上に前記ナノホール形成用起点(前記スタンパの表面形状が転写された凹部であり、ナノホールを形成するための起点として機能するもの)が形成され、更に前記ナノホール形成処理が行われると、ナノホールの規則配列の複数が交互に隣接してなり、隣接する前記規則配列が互いに異なる本発明の前記ナノホール構造体が容易にかつ効率よく製造される。
該磁気記録媒体においては、前記磁性材料が充填されたナノホールの規則配列の複数が交互に隣接してなり、隣接する前記規則配列が互いに異なるので、トラッキングが容易で、磁気ヘッドがトラックの中心を正しくトレースするように、該磁気ヘッドの位置を調整することができ、極めて高品質である。そして、該磁気記録媒体は、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等に好適である。
なお、前記磁気記録媒体が、ナノホールの内部に、軟磁性層と強磁性層とを前記基板側からこの順に有し、該強磁性層の厚みが該軟磁性層の厚み以下である場合には、前記強磁性層が、前記多孔質層におけるナノホールの内部に形成した前記軟磁性層上に積層されており、該多孔質層よりも厚みが薄くなっている。このため、該磁気記録媒体に対し単磁極ヘッドを用いて磁気記録を行った場合には、前記単磁極ヘッドと前記軟磁性層との間の距離が、前記多孔質層の厚みよりも短く、前記強磁性層の厚みと略等しくなるため、前記多孔質層の厚みに拘らず前記強磁性層の厚みだけで、前記単磁極ヘッドからの磁束の集中、使用される記録密度での最適な磁気記録再生特性などが制御可能となり、また、図2B及び図4に示すように、前記単磁極ヘッド(書込兼読取用ヘッド100)からの磁束が前記強磁性層(垂直磁化膜)30に集中する結果、該磁気記録媒体においては、従来の磁気記録媒体に比し、書込み効率が大幅に向上し、書込み電流が小さくて済み、オーバーライト特性が著しく向上する。
該磁気記録媒体の製造方法では、前記ナノホール構造体形成工程において、基板上に、金属層が形成された後、該金属層に対しナノホール形成処理が行われ、該基板面に対し略直交する方向にナノホールが複数形成されてナノホール構造体が形成される。前記磁性材料充填工程において、前記ナノホールの内部に磁性材料が充填される。その結果、本発明の前記磁気記録媒体が、効率的かつ低コストに製造される。なお、前記磁性材料充填工程が、前記軟磁性層形成工程及び前記強磁性層形成工程を含む場合には、前記軟磁性層形成工程において、前記ナノホールの内部に軟磁性層が形成される。前記強磁性層形成工程において、前記軟磁性層上に強磁性層が形成される。
本発明のナノホール構造体としては、金属基材に、ナノホールの規則配列の複数が交互に隣接してなり、隣接する前記規則配列が互いに異なること以外には特に制限はなく、その材料、形状、構造、大きさ等について目的に応じて適宜選択することができる。
なお、前記形状が前記板状、円板状等である場合には、前記ナノホール(細孔)は、これらの一の露出面(板面)に対し、略直交する方向に形成される。
前記ナノホールとしては、前記ナノホール構造体を貫通して孔として形成されていてもよいし、前記ナノホール構造体を貫通せず穴(窪み)として形成されていてもよいが、例えば、前記ナノホール構造体を前記磁気記録媒体として使用する場合には、前記ナノホールが前記ナノホール構造体を貫通する貫通孔として形成されているのが好ましい。
前記大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合には、既存のハードディスク等の大きさに対応した大きさが好ましく、前記ナノホール構造体をDNAチップ等に適用する場合には、既存のDNAチップ等の大きさに対応した大きさが好ましく、前記ナノホール構造体を電解放出装置用のカーボンナノチューブ等の触媒基板に適用する場合には、電解放出装置に対応した大きさが好ましい。
前記ナノホールの規則配列は、該ナノホールの規則配列の複数における、一の規則配列と他の規則配列とが交互に配列してなるのが好ましい。この場合、一の前記規則配列をデータ領域とし、該規則配列に隣接する他の規則配列をガードバンド領域として、前記ナノホール構造体をハードディスク等の前記磁気記録媒体に応用すると、前記データ領域に適当する規則配列と前記ガードバンド領域に適当する規則配列とが互いに異なるため、該規則配列の相違を利用してトラッキングを容易に行うことができる。
また、前記ナノホール構造体をハードディスク等の前記磁気記録媒体に応用すると、隣接する前記規則配列において互いに異なる前記ナノホールの配列パターンに起因して、周波数の強度変化、信号の位相変化などが生じ、これらを検出することにより、容易にトラッキングを行うことができる。
前記ナノホールにおける開口径が、ナノホールのピッチの2/3、例えばピッチが30nmのときに20nmを超えると、前記ナノホール構造体を適用した磁気記録媒体が単磁区構造にならないことがある。
前記アスペクト比が、2未満であると、磁気記録媒体の保持力を十分に向上させることができないことがある。
前記ナノホール構造体の厚みが、500nmを超えると、前記ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合、該磁気記録媒体に前記軟磁性下地層を設けたとしても高密度記録を行うことができないことがあり、該ナノホール構造体の研磨が必要になり、この場合、時間を要し高コストであり、品質劣化の原因となることがある。
前記電圧が、3〜40Vであると、前記記録媒体の高密度化を実現することができ、3〜10Vであると、前記ナノホールのピッチを、7〜25nmとすることができ、前記磁気記録媒体の更なる高密度化を図ることができる点で、特に有利である。
なお、前記陽極酸化処理における電解液の種類、濃度、温度、時間等としては、特に制限はなく、形成するナノホールの数、大きさ、アスペクト比等に応じて適宜選択することができる。例えば、前記電解液の種類としては、希釈リン酸溶液、希釈蓚酸溶液、希釈硫酸溶液などが好適に挙げられる。いずれの場合も、前記ナノホールのアスペクト比の調整は、陽極酸化処理後にリン酸溶液に浸漬させて前記ナノホール(アルミナポア)の直径を増加させることにより行うことができる。
本発明のスタンパは、本発明のスタンパの製造方法により得られる。
本発明のスタンパの製造方法は、パターン形成工程とパターン転写工程とを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
以下、本発明のスタンパの製造方法の説明を通じて、本発明のスタンパの詳細も明らかにする。
前記パターン形成工程は、基材上に、凹凸ラインを形成し、該凹凸ライン上に微粒子をパターン状に単層配列させる工程である。
前記基材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、板状であるが、シート状、フィルム状、などであってもよい。
前記凹凸ラインにおける、凹部及び凸部の幅としては、互いに異なる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記微粒子の半径をrとしたとき、前記凹部及び前記凸部のいずれか一方の幅としては、(2n+1)r(ただし、nは1以上の整数である)で表されるのが好ましく、このとき、他方の幅としては、nr(ただし、nは1以上の整数である)で表されるのが好ましい。また、前記凹部及び前記凸部の幅は、ともに(2n+1)r(ただし、nは1以上の整数であり、前記凹部と前記凸とは互いに異なる)で表されてもよい。この場合、前記微粒子を、前記凹部及び前記凸部それぞれの上に、異なる規則配列で集積化させることができる。
前記凹凸ラインにおける、前記凸部の高さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2r未満であるのが好ましい。この場合、前記凹凸ライン上に前記微粒子を六方最密格子状に最密化して配列させることができる。
まず、前記微粒子200の半径をrとしたとき、図5Bに示すように、前記凹部210の幅が、(2n+1)r(ただし、図5Bでは、n=2)であり、前記凸部220の幅が、2nr(ただし、図5Bでは、n=1)であり、かつ前記凸部220の高さが2r未満である場合、又は、図5Cに示すように、前記凹部210の幅が、2nr(ただし、図5Cでは、n=1)であり、前記凸220部の幅が、(2n+1)r(ただし、図5Cでは、n=2)であり、かつ前記凸部220の高さが2r未満である場合、これらは凹凸ライン上に単層配列しており、図5Aに示すように、前記微粒子の規則配列の複数が交互に隣接してなり、隣接する規則配列が互いに異なっている。すなわち、規則配列Aは六方最密格子状に、規則配列Bは直線状に、それぞれ微粒子200が配列している。
前記微粒子200の半径をrとしたとき、図6Bに示すように、前記凹部210の幅が、(2n+1)r(ただし、図6Bでは、n=2)であり、前記凸部220の幅も(2n+1)r(ただし、図6Bでは、n=1)であり、かつ前記凸部220の高さが2r未満である場合、又は、図6Cに示すように、前記凹部210の幅が、(2n+1)r(ただし、図6Cでは、n=1)であり、前記凸部220の幅も(2n+1)r(ただし、図6Cでは、n=2)であり、かつ前記凸部220の高さが2r未満である場合、これらは凹凸ライン上に単層配列しており、図6Aに示すように、前記微粒子200の規則配列の複数が交互に隣接してなり、隣接する規則配列が互いに異なっている。すなわち、規則配列Aは六方最密格子状に、規則配列Bはジグザグ状に、それぞれ微粒子200が配列している。
また、前記基材が、プラスチック等の各種ポリマーである場合には、(1)一定間隔で凸状ラインとスペースとが配列してなる凸状ライン(ナノホール構造体を磁気ディスク等に適用する場合には同心円状又は螺旋状の凸状ライン)を表面形状として有するモールドを、前記基材の表面に熱インプリント転写し、一定間隔で凹状ラインとスペースとが配列してなる凹凸ラインを形成する方法、(2)該(1)に記載のモールドと同様のモールドを用いて射出形成により凹凸ラインを形成する方法、(3)前記(1)及び(2)に記載のモールドと同様のモールド、及び光硬化樹脂を用いてパターンを転写する方法などが挙げられる。
前記微粒子の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機ポリマー、金属、金属酸化物、及び金属水酸化物から選択される少なくとも1種を含むのが好ましい。具体的には、シリカ、ITO、及び金から選択される少なくとも1種を含むのが好ましい。
なお、各種有機ポリマー微粒子、金属酸化物微粒子、金属水酸化物微粒子などの表面に前記ITOや前記金を被覆して使用してもよい。
前記微粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ナノホール形成用起点を形成しうる点、及び最密化した状態の単粒子層を形成し易い点で、球状が好ましい。
前記平均粒子径が、7nm未満であると、最終的に陽極酸化によって所望のピッチのナノホールを得ることが困難になることがあり、100nmを超えると、磁気ディスクとして利用する上で容量不足となることがある。
前記微粒子の粒度分布としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、変動係数が小さいほど好ましく、例えば、変動係数が10%以下が好ましく、5%以下が好ましく、0%が特に好ましい。
前記変動係数が10%を超えると、粒子の面内での結晶性が低下し、最終的に前記ナノホール構造体がハードディスク等の前記磁気記録媒体に適当する場合、各孤立磁性体からの磁気信号パルスの周期性が低下し、S/N比の悪化につながることがある。
前記変動係数は、平均値に対する測定値のばらつきの程度を示し、下記式に基づいて算出することができる。
変動係数(%)=標準偏差σ/平均<X>×100・・・式
前記引き上げ法は、前記微粒子を溶媒に溶解させて得られた溶液中に、前記基材を垂直に浸した後、該基材を機械的に引き上げることにより、微粒子の膜を形成する方法である。
前記基材の引き上げ速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、平均粒子径60nmの微粒子の濃度が1質量%の溶液を用いた場合、0.1〜0.2mm/min程度であるのが好ましい。この場合、微粒子を単層配列させることができ、しかも、より完全な結晶を得ることができる。
なお、前記遠心法は、成膜に異方性がないため、得られる微粒子の膜がドメイン構造になり易く、単結晶膜が得られ難いという問題あるが、本発明のスタンパの製造方法では、前記金属基材に予め前記凹凸ラインを形成し、該凹凸に沿って前記微粒子を配列させるので、単結晶膜を効率的に得ることができる。
前記回転数が、15,000rpm未満であると、前記微粒子の単粒子層の配列状態が最密化されにくくなることがある。
前記遠心機の回転時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜120分が好ましく、5〜60分がより好ましい。
前記回転時間が5分未満であると、前記単粒子層の配列状態が最密化されにくいことがあり、120分を超えると、その時点で既に前記分散液中に存在する前記微粒子の大半が沈降してしまうことがあり、スループット上、余計な時間を費やすこととなる。
なお、前記遠心法により前記微粒子を配列させた後に、メタノール等のアルコール中に前記基材を浸漬することにより、余分に吸着した微粒子を除去するのが好ましく、該除去後は、室温下にて自然乾燥するのが好ましい。
前記パターン転写工程は、前記パターン形成工程により得られた微粒子の配列パターンをスタンパ形成材料に転写する工程である。
前記微粒子の配列パターンは、前記パターン形成工程により得られ、凸部(前記微粒子の半球面))が六方最密格子状に最密化してなる凸部の規則配列の複数が交互に隣接してなり、隣接する前記凸部の規則配列が互いに異なる。前記微粒子の配列パターンは、六方最密格子状に配列した凸部を有するため、ナノホール形成用起点(ナノホールを形成するための起点として機能するもの)として好適に用いることができる。
前記光硬化ポリマーとしては、光が照射されて硬化するものである限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系光硬化樹脂、エポキシ系光硬化樹脂、等が挙げられる。これらの中でも、転写性能、流動性等に優れる点で、アクリル系光硬化樹脂が好ましい。
前記熱インプリントによるナノホール形成用起点の形成方法は、図7Bに示すように、前記金属基材300上に、レジスト、PMMA等の熱可塑性ポリマー層320を設け、該熱可塑性ポリマー層320に対し、本発明のスタンパ310を、前記ポリマーの軟化点(100〜200℃程度)以上、かつ中圧(50kg〜1Ton/cm2)でプレスすることにより凹部を形成する方法である。この場合、前記スタンパ形成材料としては、高硬度乃至中硬度で熱耐性を有するものが好ましく、例えば、金属、Si、SiC、SiO2等を使用するのが好ましい。これらの中でも、複製が容易な点で、金属が特に好ましい。
前記光インプリントによるナノホール形成用起点の形成方法は、図7Cに示すように、前記金属基材300上に、フォトポリマー層330を設け、該フォトポリマー層330に対し、本発明のスタンパ310をマスクとして、該スタンパ310を介して紫外線を照射し、パターニングすることにより凹部を形成する方法である。この場合、前記スタンパ形成材料としては、紫外線を透過可能なであることが必要であるため、透明であるものが好ましく、例えば、SiO2、ポリマー等を使用するのが好ましい。これらの中でも、複製が容易な点で、ポリマーが特に好ましい。
なお、前記熱インプリント及び前記光インプリントによる方法においては、図7Dに示すように、スタンパ310を剥離した後、図7Eに示すように、O2プラズマアッシング等により残渣処理などを行った後、図7Fに示すように、塩素系ドライ処理又は塩酸系ウェット処理を用いたエッチングを行うことにより、前記金属基材300上に凹部が形成される。
更に、前記電極を蒸着した前記光硬化ポリマーの前記微粒子の配列パターンが転写された面に対し、200〜10,000μm程度の金属厚メッキを行った後、前記光硬化ポリマー層を剥離することにより、本発明の金属製(Ni製)のスタンパを作製することができる。該金属としては、Ni、Cr等メッキで作製しやすく、高硬度なものが好適に用いられるが、容易に厚メッキが可能である点で、Niが特に好ましい。
本発明のスタンパの製造方法により得られる本発明のスタンパは、円形状の凸部の規則配列の複数が交互に隣接してなり、隣接する前記規則配列が互いに異なる。
前記凸部の高さが10nm未満であると、アルミ膜表面への転写時に前記ナノホールの起点の限定が不十分になり易く、得られるナノホール配列に乱れが生じ易い。一方、凸部の高さと凸部の間隔との比(アスペクト比)が大きすぎると、転写時にスタンパ凸部の変形、折損等が起き易くなる。したがって、アスペクト比は1.2以下、即ちナノホールのピッチを10〜50nmとしたとき、前記凸部の高さは20〜100nmであるのが好ましい。
本発明のナノホール構造体の製造方法は、本発明の前記ナノホール構造体を製造する方法であり、
スタンパ作製工程と、ナノホール形成工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
前記スタンパ作製工程は、基材上に、凹凸ラインを形成し、該凹凸ライン上に微粒子をパターン状に単層配列させた後、該微粒子の配列パターンをスタンパ形成材料に転写してスタンパを作製する工程である。
前記スタンパ作製工程は、本発明の前記スタンパの製造方法により好適に行うことができる。
なお、前記基材、前記凹凸ライン、前記微粒子、前記スタンパ形成材料などの詳細については、上述した通りである。
前記ナノホール形成工程は、前記スタンパ作製工程により得られたスタンパを用いて前記金属基材上にナノホール形成用起点を形成した後、該金属基材上にナノホール形成処理を行う工程である。
前記ナノホール形成工程において、前記ナノホール形成用起点の形成は、低コスト及び製造容易性の点で、本発明の前記スタンパ用いるのが好ましいが、例えば、EB描画装置を用いて前記ナノホール形成用起点を描画してもよい。
なお、前記スタンパを用いた前記ナノホール形成用起点の形成方法は、本発明の前記スタンパの製造方法において、前記スタンパ形成材料の選択と共に詳述した通りである。
なお、前記ナノホール、前記陽極酸化処理の方法等については、前記ナノホール構造体の説明において詳述した通りである。
本発明の磁気記録媒体は、基板上に多孔質層を有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の層を有してなる。
前記多孔質層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、500nm以下が好ましく、5〜200nmがより好ましい。
前記多孔質層の厚みが、500nmを超えると、ナノホール内への磁性材料の充填が困難になることがある。
前記磁性層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、強磁性層、軟磁性層、などが挙げられる。本発明においては、前記ナノホールの内部に、前記軟磁性層と前記強磁性層とが前記基板側からこの順に積層されており、更に必要に応じて非磁性層(中間層)が形成されているのが好ましい。
なお、前記基板は、適宜製造したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記強磁性層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、Fe、Co、Ni、FeCo、FeNi、CoNi、CoNiP、FePt、CoPt及びNiPtから選択される少なくとも1種、などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記強磁性層は、前記材料により垂直磁化膜として形成されていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、Ll0規則構造を有し、C軸が前記基板と垂直方向に配向しているもの、fcc構造あるいはbcc構造を有し、C軸が前記基板と垂直方向に配列しているもの、などが好適に挙げられる。
なお、ここでの前記「強磁性層」の厚みは、該強磁性層が、積層構造、又は複数層に分割された構造(例えば、非磁性層等の中間層により分割され連続層になっていない構造)を有する場合には、各強磁性層の厚みの合計を意味する。また、前記「軟磁性層」の厚みは、該軟磁性層が、積層構造、又は複数層に分割された構造(例えば、非磁性層等の中間層により分割され連続層になっていない構造)を有する場合には、各軟磁性層の厚みの合計を意味する。また、前記「軟磁性層及び軟磁性下地層の厚みの合計」は、該軟磁性層及び該軟磁性下地層の少なくともいずれかが、積層構造、又は複数層に分割された構造(例えば、非磁性層等の中間層により分割され連続層になっていない構造)を有する場合には、各軟磁性層の厚みの合計を意味する。
前記強磁性層の形成は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、電着(電着法)等により行うことができる。
前記軟磁性層としては、前記基板面に略直交する方向に磁化容易軸を有しているのが好ましい。この場合、垂直磁気記録用ヘッドで記録を行うと、該垂直磁気記録用ヘッドからの磁束の集中、使用される記録密度での最適な磁気記録再生特性などが制御可能となり、磁束が前記強磁性層に集中する結果、従来の磁気記録装置に比し、書込み効率が大幅に向上し、書込み電流が小さくて済み、オーバーライト特性が著しく向上する。
前記軟磁性層の形成は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、電着(電着法)等により行うことができる。
前記非磁性層の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、Cu、Al、Cr、Pt、W、Nb、Ru、Ta及びTiから選択される少なくとも1種、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記非磁性層の形成は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、電着(電着法)等により行うことができる。
前記軟磁性下地層の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、前記軟磁性層の材料として上述したものが好適に挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、前記軟磁性層の材料と互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記軟磁性下地層の形成は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、電着(電着法)や無電界メッキ等により行うことができる。
前記電極層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Cr、Co、Pt、Cu、Ir、Rh、これらの合金、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、該電極層は、これらの材料以外に、W、Nb、Ti、Ta、Si、Oなどを更に含有していてもよい。
前記電極層の形成は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、スパッタ法、蒸着法等により行うことができる。
前記保護層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、などが挙げられる。
前記保護層の形成は、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法に従って行うことができるが、例えば、プラズマCVD法、塗布法、などにより行うことができる。
本発明の磁気記録媒体は、本発明のナノホール構造体を有し、トラッキングが容易で、クロスリードやクロスライト等の問題がなく、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録・高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、均一な特性を有し、高品質である。このため、該磁気記録媒体は、各種の磁気記録媒体として設計し使用することができ、例えば、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置、などに設計し使用することができ、ハードディスク等の磁気ディスクに特に好適に設計し使用することができる。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、本発明の前記磁気記録媒体を製造する方法であり、ナノホール構造体形成工程(多孔質層形成工程)、磁性材料充填工程を含み、好ましくは研磨工程を含み、更に必要に応じて適宜選択した、軟磁性下地層形成工程、電極層形成工程、非磁性層形成工程、保護層形成工程、などのその他の工程を含む。
前記基板としては、上述したものが挙げられる。
前記軟磁性下地層の形成は、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、スパッタ法(スパッタリング)、蒸着法等の真空成膜法、電着(電着法)などで形成してもよいし、あるいは無電解メッキで形成してもよい。
前記軟磁性下地層形成工程により、前記基板上に所望の厚みの前記軟磁性下地層が形成される。
前記電極層の形成は、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、スパッタ法(スパッタリング)、蒸着法などにより好適に行うことができる。該電極層の形成条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記電極層形成工程により形成された前記電極層は、軟磁性層、非磁性層及び強磁性層の少なくともいずれかを電着により形成する際の電極として使用される。
前記金属材料としては、上述したものが挙げられ、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、アルミニウム、などが好適に挙げられる。これらの中でも、アルミニウムが特に好ましい。
前記電圧が、3〜40Vであると、前記磁気記録媒体の高密度化を実現することができ、3〜10Vであると、前記ナノホールのピッチを7〜25nmとすることができ、前記磁気記録媒体の更なる高密度化を図ることができる点で、特に有利である。
なお、前記陽極酸化処理における電解液の種類、濃度、温度、時間等としては、特に制限はなく、形成するナノホールの数、大きさ、アスペクト比等に応じて適宜選択することができる。例えば、前記電解液の種類としては、希釈リン酸溶液、希釈蓚酸溶液、希釈硫酸溶液などが好適に挙げられる。いずれの場合も、前記ナノホールのアスペクト比の調整は、陽極酸化処理後にリン酸溶液に浸漬させて前記ナノホール(アルミナポア)の直径を増加させることにより行うことができる。
前記ナノホール構造体形成工程(多孔質層形成工程)により、前記基板上又は前記軟磁性下地層上に前記ナノホール構造体(多孔質層)が形成される。
前記軟磁性層の形成は、上述した軟磁性層の材料を電着等により前記ナノホールの内部に堆積乃至充填させることにより行うことができる。
前記電着の方法、条件等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記軟磁性下地層又は前記電極層を電極として、前記軟磁性層の材料を含む溶液を1種又は2種以上用い、電圧を印加させることにより、前記電極上に析出乃至堆積させる方法、などが好適に挙げられる。
前記軟磁性層形成工程により、前記多孔質層におけるナノホールの内部であって、前記基板上、前記軟磁性下地層上又は前記電極層上に前記軟磁性層が形成される。
前記強磁性層の形成は、上述した強磁性層の材料を電着等により前記ナノホールの内部に形成した前記軟磁性層上に堆積乃至充填させることにより行うことができる。
前記電着の方法、条件等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記軟磁性下地層又は前記電極層(シード層)を電極として、前記強磁性層の材料を含む溶液を1種又は2種以上用い、電圧を印加させることにより、前記ナノホール内に析出乃至堆積させる方法、などが好適に挙げられる。
前記強磁性層形成工程により、前記多孔質層におけるナノホールの内部であって、前記軟磁性層上又は前記非磁性層上に前記強磁性層が形成される。
前記非磁性層の形成は、上述した非磁性層の材料を電着等により前記ナノホールの内部に形成した前記軟磁性層上に堆積乃至充填させることにより行うことができる。
前記電着の方法、条件等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記軟磁性下地層又は前記電極層を電極として、前記非磁性層の材料を含む溶液を1種又は2種以上用い、電圧を印加させることにより、ナノホール内に析出乃至堆積させる方法、などが好適に挙げられる。
前記非磁性層形成工程により、前記多孔質層におけるナノホールの内部であって、前記軟磁性層上等に前記非磁性層が形成される。
前記研磨工程は、前記磁性層形成工程(前記強磁性層形成工程、前記軟磁性層形成工程を含む)の後に行われるのが好ましい。前記磁性層形成工程の前に前記研磨処理を行うと、前記ナノホール構造体の破壊、前記ナノホール内部にスラリー、削り滓等が充填されてしまい、メッキ不良が生ずることがある。
前記研磨工程における研磨の方法としては、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、CMP、イオンミリングなどが好適に挙げられる。
本発明の磁気記録装置は、本発明の前記磁気記録媒体と、垂直磁気記録用ヘッドとを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段乃至部材等を有してなる。
本発明の磁気記録方法は、本発明の前記磁気記録媒体に対し、垂直磁気記録用ヘッドを用いて記録を行うことを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の処理乃至工程を含む。本発明の磁気記録方法は、本発明の前記磁気記録装置を用いて好適に実施することができる。なお、前記その他の処理乃至工程は、前記その他の手段乃至部材等により行うことができる。以下、本発明の磁気記録装置の説明と共に、本発明の磁気記録方法について説明する。
なお、前記磁気記録媒体に前記軟磁性下地層が形成されている場合には、前記垂直磁気記録用ヘッドと、該軟磁性下地層との間で磁気回路が形成されるので好ましい。この場合、高密度記録が可能となる点で有利である。
なお、該強磁性層における前記磁束の収束の程度(拡散の程度)としては、本発明の効果を害さない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記トラッキングの方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記磁性材料が充填されたナノホールの規則配列の複数における、交互に配列する一の規則配列と他の規則配列との相違に起因する、周波数の強度変化及び信号の位相変化のいずれかを検出することにより行うのが好ましい。
−ナノホール構造体の作製−
図8Aに示すように、r−θ型のEB露光装置を用い、ガラス基板400上にスピンコートした厚み40nmのレジスト層に、同心円状にラインを描画して、凹凸パターン410を形成した。なお、凹凸パターン410における、凹部420の幅は150nmであり、凸部430の幅は90nmであり、凸部430の高さは30nmである。
次いで、図8Bに示すように、平均粒径60nmの微粒子の分散液が入った容器に、ガラス基板400を浸漬し、遠心法により遠心分離を行うことにより、図8Cに示すように、ガラス基板400の表面に微粒子450を単層配列させた。なお、微粒子450は、六方最密格子状に最密化した規則配列を形成し、隣接する凹部420及び凸部430における微粒子450の規則配列(規則配列C及び規則配列D)は互いに異なっていた。
その後、図10Bに示すように、アルミニウム膜610を、希釈硫酸浴を用いて陽極酸化処理を行った。陽極酸化処理における電圧条件は、25Vとした。すると、ガラス基板600に対して略直交する方向に、ナノホール(アルミナポア)620が複数形成された多孔質層(アルマイトポア)630が形成された。得られた多孔質層630は、本発明のナノホール構造体に相当し、図10Cに示すように、ナノホール(アルミナポア)620の規則配列の複数が交互に隣接してなり、また、ナノホール620の規則配列の複数における、一の規則配列(規則配列C)と他の規則配列(規則配列D)とが交互に配列してなり、隣接する規則配列が互いに異なっていた。以上の工程が、本発明の前記ナノホール構造体の製造方法における前記ナノホール形成工程に相当する。
本発明のナノホール構造体を磁気記録媒体(磁気ディスク)に適用し、以下のようにして磁気記録媒体(磁気ディスク)を製造し、その特性を以下のようにして評価した。
前記軟磁性下地層形成工程を、ガラス基板に、軟磁性下地層としてのFeCoNiBを無電解メッキ法により500nmの厚みに形成(積層)することにより、行った。
前記ナノホール構造体形成工程を以下のようにして行った。即ち、前記軟磁性下地層上に、スパッタ法により、Nbを5nmの厚みに、Alを200nmの厚みに、それぞれ積層した。この積層された基板を、3枚用意し、実施例1で作製したNiスタンパ(凸部の径:60nm、凸部の高さ40nm)を用いて、表面に位置するアルミニウム(Al)層に、微粒子の配列パターンをインプリント転写した。
次に、インプリント転写後のサンプルを、0.3mol/l濃度の硫酸溶液中(浴温16℃)、25Vの電圧にて陽極酸化処理を行い、ナノホール(アルミナポア)を形成した。この陽極酸化処理後に、更に、各サンプルを5質量%リン酸浴(浴温30℃)中に浸漬して、前記ナノホール(アルミナポア)の開口径を40nmに拡大させてそのアスペクト比を調整した。以上により、前記ナノホール構造体形成工程を行った。
前記ナノホール内に、5質量%硫酸銅溶液と、2質量%ホウ酸とを含有するメッキ浴(浴温:35℃)を用い、電着を行うことにより、前記強磁性材料としてのコバルト(Co)を充填させ、該ナノホール内に強磁性層を形成することにより、前記磁性材料充填工程を行った。以上により、磁気ディスクを製造した。
前記研磨工程を以下のようにして行った。即ち、磁気ヘッドを浮上させる目的で、ラッピングテープを用いて表面研磨を行った。前記ラッピングテープとしては、アルミナ3μm粒度のテープを用いて、前記ナノホールが開口する面に存在する凸部のアルミナを荒研磨した後、アルミナ0.3μm粒度のテープを用いて、仕上げ研磨を行った。この研磨工程後の多孔質層(アルミナ層)の厚みは、約150nmであり、前記コバルト(Co)が充填されたナノホール(アルミナポア)のアスペクト比は、約2.5であった。
また、スタンパを用いたインプリント転写を行わずに同様の工程で作製した特性評価用磁気ディスクサンプルBを比較とした。この特性評価用磁気ディスクサンプルBにおいては、ナノホール(アルミナポア)700は、図13に示すように、六方細密格子状に2次元的に配列しており、ナノホールの規則配列の複数が交互に隣接していなかった。
Write Core Width:60nm
Write Pole Length:50nm
Read Core Width:50nm
Read Gap Length:60nm
図14Aに、磁気ディスクサンプルAにおける磁性体(磁性材料が充填されたナノホール)配置を、図14Bに、磁気ディスクサンプルBにおける磁性体配置を、それぞれ示す。図14A及び図14Bにおいて、磁性体ドットサイズは半径20nmであり、ドットピッチは60nmであり、磁気ヘッド650が検知する領域のサイズは70×210nm2である。また、一度に約5個の磁性体ドットで1ビットの記録再生を行った。
図15Aより、磁気ディスクサンプルAでは、磁気ヘッド650のずれる(オフトラックする)方向によってシグナル強度の大小が変化し、磁気ヘッド650のずれる方向をも同時に検出することができるため、磁気ヘッド650のずれ方向に基づいてトラッキングを容易に行うことができることが判った。一方、図15Bより、磁気ディスクサンプルBでは、磁気ヘッドが+及び−のいずれの方向にずれてもシグナル強度が低下するだけで、x軸に対してオントラック状態と略同形状のグラフであるため、磁気ヘッド650のずれる方向を検出することができないことが判った。
次いで、磁気ヘッド650の進行方向をx軸方向とし、該x軸方向に沿って磁気ヘッド650を移動させ、磁気ヘッド650をオントラック状態(図18A及びB中、領域P)から、+側にドットピッチの35%ずれた領域(図18A及びB中、領域Q)及び、−側にドットピッチの35%ずれた領域(図18A及びB中、領域R)にオフトラックさせたときの、X位置におけるシグナル強度を測定した。その結果を、磁気ディスクサンプルAについては図19Aに、磁気ディスクサンプルBについては図19Bに、それぞれ示した。図19A及び図19Bより、一度に約5個の磁性体ドットで1ビットの記録再生を行った場合と同様、磁気ディスサンプルAでは、磁気ヘッド650のずれる(オフトラックする)方向によってシグナル強度の大小が変化し、磁気ヘッド650のずれる方向をも同時に検出することができるため、磁気ヘッド650のずれ方向に基づいてトラッキングを容易に行うことができることが判った。
また、磁気ヘッド650のオフトラック率に対するシグナル強度の変化を図20に、シグナル強度のピーク位置における位相変化を図21に、それぞれ示した。図20及び図21より、一度に約5個の磁性体ドットで1ビットの記録再生を行った場合と同様、磁気ディスクサンプルAでは、シグナル強度の変化及び位相変化ともに、磁気ヘッド650のずれる(オフトラックする)方向に応じて大小変化が観られ、磁気ヘッドのずれ方向をも検出することができることが判った。
なお、実施例2における磁性体のドットサイズ等は、本発明の磁気記録媒体の一例であり、ドットサイズ等との比例関係を有する限り、ドットサイズ、磁気ヘッドサイズ等が変化しても、スケーリング可能である。
本発明の磁気記録媒体を以下のようにして製造した。即ち、前記基板としてのシリコン基板に、前記軟磁性下地層の材料としてのCoZrNbをスパッタ法により厚みが500nmとなるように成膜して、前記軟磁性下地層を形成した。以上が本発明の磁気記録媒体の製造方法における前記軟磁性下地層形成工程である。
なお、前記多孔質層(ナノホール構造体)としてのアルミナポアの底部にはバリア層が存在していたので、これをリン酸を用いてエッチングして除去し、前記軟磁性下地層(CoZrNb)が露出させてスルーホール化させた。以上が、本発明の磁気記録媒体の製造方法における前記ナノホール構造体形成工程である。
その結果を図22に示した。図22の上の部分Aは、60nmピッチに相当する400kBPIでの書込電流と再生信号S/Nとの関係を示したグラフである。図22の横軸よりも下の部分Bは、200kBPIの信号を書いた後(大きなビットで書き込んだ後)、400kBPIの信号を重書きし(小さなビットで書込みし)、200kBPI信号の消え残り(大きなビットの消え残り)の程度を評価したオーバーライト特性を、書込電流の関数として示したグラフである。
図22に示されるように、サンプルディスクCは、S/N及びオーバーライト特性がいずれも、サンプルディスクDよりも優れていた。
(付記1) 金属基材に、ナノホールの規則配列の複数が交互に隣接してなり、隣接する前記規則配列が互いに異なることを特徴とするナノホール構造体。
(付記2) ナノホールの規則配列の複数における、一の規則配列と他の規則配列とが交互に配列してなる付記1に記載のナノホール構造体。
(付記3) 隣接する規則配列における少なくとも一方が、ナノホールが六方最密格子状に最密化して形成された付記1から2のいずれかに記載のナノホール構造体。
(付記4) 金属基材が、アルミニウム基材である付記1から3のいずれかに記載のナノホール構造体。
(付記5) 金属基材が、ディスク状である付記1から4のいずれかに記載のナノホール構造体。
(付記6) ナノホールの規則配列が、同心円状及び螺旋状の少なくともいずれかに位置する付記5に記載のナノホール構造体。
(付記7) ナノホールの規則配列が、金属基材上に、前記規則配列を形成するためのパターンを形成した後、陽極酸化処理して形成される付記1から6のいずれかに記載のナノホール構造体。
(付記8) 基材上に、凹凸ラインを形成し、該凹凸ライン上に微粒子をパターン状に単層配列させた後、該微粒子の配列パターンをスタンパ形成材料に転写することを少なくとも含むことを特徴とするスタンパの製造方法。
(付記9) 凹凸ラインにおける凹部及び凸部の幅が、微粒子の半径をrとしたとき、(2n+1)r(ただし、前記凹部の幅は、nが1以上の整数であり、前記凸部の幅は、nが0以上の整数である)で表され、かつ凸部の高さが2r未満である付記8に記載のスタンパの製造方法。
(付記10) 微粒子の配列パターンが、引き上げ法及び遠心法のいずれかにより形成される付記8から9のいずれかに記載のスタンパの製造方法。
(付記11) 微粒子の配列パターンが、六方最密格子状である付記8から10のいずれかに記載のスタンパの製造方法。
(付記12) スタンパ形成材料が、Niである付記8から11のいずれかに記載のスタンパの製造方法。
(付記13) 微粒子の配列パターンを転写した後、スタンパ形成材料の前記配列パターンが転写された面に対して金属を蒸着することを含む付記8から12のいずれかに記載のスタンパの製造方法。
(付記14) 付記8から13のいずれかに記載のスタンパの製造方法により製造されたことを特徴とするスタンパ。
(付記15) 付記1から7のいずれかに記載のナノホール構造体を製造する方法であって、
基材上に凹凸ラインを形成し、該凹凸ライン上に微粒子をパターン状に単層配列させた後、該微粒子の配列パターンをスタンパ形成材料に転写してスタンパを作製し、該スタンパを用いて金属基材上にナノホール形成用起点を形成した後、該金属基材にナノホール形成処理を行うことを特徴とするナノホール構造体の製造方法。
(付記16) 基板上に、該基板面に対し略直交する方向にナノホールが複数形成された多孔質層を有し、該ナノホールの内部に磁性材料を有してなり、
前記多孔質層が付記1から7のいずれかに記載のナノホール構造体であることを特徴とする磁気記録媒体。
(付記17) 付記16に記載の磁気記録媒体を製造する方法であって、
基板上に、金属層を形成した後、該金属層に対しナノホール形成処理を行うことにより、該基板面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成するナノホール構造体形成工程、及び該ナノホールの内部に磁性材料を充填する磁性材料充填工程を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(付記18) 付記16に記載の磁気記録媒体と、垂直磁気記録用ヘッドとを有することを特徴とする磁気記録装置。
(付記19) 付記16に記載の磁気記録媒体に対し、垂直磁気記録用ヘッドを用いて記録を行うことを含むことを特徴とする磁気記録方法。
(付記20) 磁性材料が充填されたナノホールの配列に起因する、周波数の強度変化及び信号の位相変化のいずれかを検出することによりトラッキングを行う付記19に記載の磁気記録方法。
本発明のナノホール構造体の製造方法は、本発明のナノホール構造体の製造に好適に使用することができる。
本発明のスタンパは、本発明のナノホール構造体の製造に好適に使用することができ、本発明のナノホール構造体を効率的に製造可能である。
本発明のスタンパの製造方法は、本発明のスタンパの製造に好適に使用することができる。
本発明の磁気記録媒体は、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等に好適に使用することができる。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、本発明の磁気記録媒体の製造に好適に使用することができる。
本発明の磁気記録装置は、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等として好適に使用することができる。
本発明の磁気記録方法は、トラッキングが容易で、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録及び高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、極めて高品質な記録に好適に使用することができる。
11 基板
12 下地電極層
13 アルミナ層
14 強磁性金属
20 中間層(非磁性層)
30 記録層
100 書込兼読取用ヘッド(単磁極ヘッド)
102 主磁極
104 後半部
110 基板
120 下地電極層
130 陽極酸化アルミナポア
140 強磁性層
200 微粒子
210 凹部
220 凸部
300 金属基材
310 スタンパ
320 熱可塑性ポリマー層
330 フォトポリマー層
340 フォトポリマースタンパ
400 基材
410 凹凸ライン
420 凹部
430 凸部
450 微粒子
460 光硬化ポリマー層
500 凹部
510 Cr
520 Niメッキ
530 凸部
550 スタンパ
600 基板
610 アルミニウム膜
620 ナノホール(アルミナポア)
630 多孔質層(アルマイトポア)
650 磁気ヘッド
Claims (4)
- ナノホールの規則配列の複数が交互に隣接してなり、隣接する前記規則配列が互いに異なるナノホール構造体の製造方法であって、
基材上に凹凸ラインを形成し、該凹凸ライン上に微粒子をパターン状に単層配列させた後、該微粒子の配列パターンをスタンパ形成材料に転写してスタンパを作製し、
該スタンパを用いて金属基材上にナノホール形成用起点を形成した後、該金属基材にナノホール形成処理を行うことを特徴とするナノホール構造体の製造方法。 - 前記ナノホール形成処理により、前記金属基材に、ナノホールの規則配列の複数が交互に隣接した状態で形成される請求項1に記載のナノホール構造体の製造方法。
- 前記金属基材がディスク状であり、ナノホールの規則配列が、該金属基材において、同心円状及び螺旋状の少なくともいずれかに位置するように形成された請求項1から2のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
- 基材上に凹凸ラインを形成し、該凹凸ライン上に微粒子をパターン状に単層配列させた後、該微粒子の配列パターンをスタンパ形成材料に転写してスタンパを作製し、
該スタンパを用いて金属基材上にナノホール形成用起点を形成した後、該金属基板にナノホール形成処理を行うことにより、該金属基板面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成するナノホール構造体形成工程、及び該ナノホールの内部に磁性材料を充填する磁性材料充填工程を含み、
前記ナノホール構造体が、ナノホールの規則配列の複数が交互に隣接してなり、隣接する前記規則配列が互いに異なるナノホール構造体であることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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