JP5098479B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

この発明は、内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化触媒の劣化度合を判定する劣化判定処理を行う内燃機関の排気浄化装置に関する。
内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化触媒の排気浄化作用を促進するために、同排気浄化触媒に反応物質として未燃燃料成分を添加する燃料添加処理を行うようにしたものが従来提案されている。この燃料添加処理では、例えば、排気通路における排気浄化触媒よりも上流側の部位に設けた燃料添加弁から燃料を噴射する方法や、通常の燃料噴射の後、筒内用燃料噴射弁から排気行程中に燃料を噴射するポスト噴射を実行する方法等により排気に燃料を添加するようにしている。
ところで、一般に排気浄化触媒は、長期間にわたる使用によって次第に劣化し、排気浄化能力が低下する。そして、このように劣化した排気浄化触媒をそのまま使用し続けると排気性状が悪化するため、これを抑制するために劣化した排気浄化触媒を新しいものと交換する等、適切なメンテナンスが行われる。ここで、こうしたメンテナンスを適切なタイミングで行うためには、排気浄化触媒の劣化度合を正確に把握することが必要となる。
上述した燃料添加処理によって排気浄化触媒に未燃燃料成分が供給されているときには、その反応熱によって触媒床温が上昇し、排気浄化触媒を通過する排気の温度がその反応熱の影響によって上昇するようになる。ここで、その反応熱は排気浄化触媒の劣化度合が低いときほど大きくなるため、排気浄化触媒を通過した排気の温度は、排気浄化触媒の劣化度合と相関を有して変化することとなる。
そこで、特許文献1に記載の装置では、燃料添加処理が行われているときに、排気通路における排気浄化触媒よりも下流側の部位に設けられた排気温度センサによって検出される排気温度に基づいて触媒における反応熱の大きさを推定し、その反応熱の大きさに基づいて触媒の劣化度合を判定する劣化判定処理を実行するようにしている。
具体的には、排気浄化触媒を通過した排気の温度を排気温度センサによって検出するとともに、反応熱が全く発生しない状態にまで排気浄化触媒が劣化していると仮定して仮想触媒床温を算出する。そして、これら検出される排気温度と、算出される仮想触媒床温との乖離の大きさに基づいて、この乖離が小さいほど触媒における反応熱が小さく、触媒の劣化度合が大きい旨を判定するようにしている。
このように排気温度センサによって実際に検出される排気温度と、仮想触媒床温とを比較することにより、その乖離に基づいて排気浄化触媒の劣化度合を判定することができるようになる。
特開2005‐69218号公報
ところで、上述のように排気浄化触媒よりも下流側に設けた排気温度センサによって検出される排気温度の値は、触媒の劣化度合と相関を有するものの、その相関の大きさは排気温度センサ近傍の排気流量によって変化する。例えば、排気流量が非常に少ない場合には、排気の流れが不均一であるため、排気温度センサの取付位置や排気通路の形状等によっては、排気浄化触媒の反応熱によって排気が温度上昇しても、その排気が排気温度センサの検出部に接触せずに通過してしまい、排気の温度を正確に検出することができないことがある。こうした場合には、触媒における反応が良好に行われて実際の触媒床温は十分に上昇しているにも関わらず、排気温度センサによって検出される排気温度が上昇しにくくなるため、検出された排気温度と触媒の劣化度合との相関が低下して排気浄化触媒が劣化している旨の誤判定がなされるおそれがある。
この発明は、上記実状に鑑みてなされたものでありその目的は、排気温度センサにより検出される排気温度と排気浄化触媒の劣化度合との相関が排気流量によって低下し排気浄化触媒が劣化している旨の誤判定がなされることを抑制することのできる内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化触媒に反応物質として未燃燃料成分を添加する燃料添加処理を行う燃料添加手段と、前記排気通路における前記排気浄化触媒よりも下流側の部位に設けられる排気温度センサとを備え、前記燃料添加処理が行われているときに、前記排気浄化触媒が所定の劣化度合にまで劣化していると仮定して算出される仮想触媒床温と、前記排気温度センサによって検出される排気温度との乖離の大きさに基づいて前記排気浄化触媒の劣化度合を判定する劣化判定処理を行う内燃機関の排気浄化装置において、前記排気温度センサ近傍の排気流量を推定する排気流量推定手段と、前記排気浄化触媒に流入する排気の温度を機関運転状態に基づいて推定する流入排気温推定手段とを備え、同排気流量推定手段によって推定される排気流量が下限流量値未満であるときに前記劣化判定処理を禁止するとともに、前記流入排気温推定手段によって推定される排気の温度が所定温度未満であるときに前記劣化判定処理を禁止し、前記所定温度は前記推定される排気流量が多いときほど高い温度に設定されることをその要旨とする。
排気流量が非常に少ない場合には、排気の流れが不均一であるため、排気温度センサの取付位置や排気通路の形状等によっては、排気浄化触媒の反応熱によって排気が温度上昇しても、その排気が排気温度センサの検出部に接触せずに通過してしまい、排気の温度を正確に検出することができないことがある。このような場合には、排気温度センサにより検出される排気温度と排気浄化触媒の劣化度合との相関が低下するため、劣化判定処理を通じて得られる判定結果の信頼性が低下することとなる。上記請求項1に記載の発明では、このように排気温度と排気浄化触媒の劣化度合との相関が低下するとき、即ち排気流量推定手段によって推定される排気温度センサ近傍の排気流量が下限流量値未満であるときには、劣化判定処理を禁止するようにしている。その結果、排気浄化触媒が劣化している旨の誤判定がなされることを抑制することができるようになる。
尚、上記下限流量値は、排気温度センサによって検出される排気温度に基づいて排気浄化触媒の劣化度合を十分な精度で判定することのできる排気流量の下限値として排気温度センサの取付位置や排気通路の形状等を考慮して設定される。
また、上記所定の劣化度合には、排気浄化触媒が全く劣化していない状態や、未燃燃料成分が供給されても反応熱が全く発生しないようになるまで劣化した状態を含むものとする。
また、排気浄化触媒に流入する排気の温度が低い場合には、排気浄化触媒が活性化しにくいため、反応熱が発生しにくい。このように排気浄化触媒の劣化度合に関わらず反応熱が発生しにくい状態にあっては、劣化判定処理を通じて得られる判定結果の信頼性が低下することとなる。上記構成では、このように劣化判定処理を通じて得られる判定結果の信頼度が低下するとき、即ち排気浄化触媒に流入する排気の温度が所定温度未満であるときに、劣化判定処理を禁止するようにしている。これにより、排気浄化触媒が劣化している旨の誤判定がなされることを抑制することができるようになる。
また、排気流量が多くなるほど、排気流速が速くなり、未燃燃料成分を含んだ排気が排気浄化触媒を通過するのにかかる時間が短くなるため、未燃燃料成分が排気浄化触媒において反応する期間が短くなる。そのため、排気浄化触媒に流入する排気の温度が同じ場合であっても排気流量が多くなるほど反応熱が小さくなり、劣化判定処理を通じて得られる判定結果の信頼度が低下する。そこで、上記構成では、劣化判定処理を禁止する上記所定温度を排気流量が多いときほど高い温度に設定するようにしている。これにより、排気流量の変化に伴う劣化判定処理を通じて得られる判定結果の信頼度の変化に合わせた態様にて劣化度合判定処理の実行を禁止する上記所定温度を設定することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記排気流量推定手段によって推定される排気流量が前記下限流量値よりも大きい上限流量値以上であるときに前記劣化判定処理を禁止することをその要旨とする。
排気流量が多くなるほど、排気流速が速くなり、排気が排気浄化触媒を通過するのにかかる時間が短くなるため、排気浄化触媒と排気との間で熱交換が行われる期間が短くなる。そのため、排気流量が非常に多い場合には触媒における反応熱が大きい場合であっても、排気の温度が上昇しにくくなり、触媒の劣化度合と排気温度との相関が低下するため、劣化判定処理を通じて得られる判定結果の信頼性が低下することとなる。上記請求項2に記載の発明では、このように排気温度と排気浄化触媒の劣化度合との相関が低下するとき、即ち排気流量推定手段によって推定される排気流量が上限流量値以上であるときに、劣化判定処理を禁止するようにしている。これにより、排気温度と排気浄化触媒の劣化度合との相関が低下し排気浄化触媒が劣化している旨の誤判定がなされることを抑制することができるようになる。
尚、上記上限流量値は、排気温度センサによって検出される排気温度に基づいて排気浄化触媒の劣化度合を十分な精度で判定することのできる排気流量の上限値として排気浄化触媒の寸法や排気通路の通路面積等を考慮して設定される。
尚、請求項1に記載の発明と同様に上記請求項2に記載の発明の上記所定の劣化度合には、排気浄化触媒が全く劣化していない状態や、未燃燃料成分が供給されても反応熱が全く発生しないようになるまで劣化した状態を含むものとする。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記所定の劣化度合は、燃料添加処理による反応熱が全く発生しない状態にまで前記排気浄化触媒が劣化したときの劣化度合であり、前記劣化判定処理は前記算出される仮想触媒床温と前記排気温度センサによって検出される排気温度との乖離が小さいほど前記排気浄化触媒の劣化度合が大きい旨を判定することをその要旨とする。
上記構成によれば、燃料添加処理による反応熱が全く発生しない状態にまで排気浄化触媒が劣化していると仮定しているため、燃料添加処理による燃料の添加量等によって変化する反応熱の大きさを考慮せずに仮想触媒床温を算出することができ、その仮想触媒床温の算出が容易になるとともにその精度を高めることができる。その結果、排気浄化触媒の劣化度合をより高い精度をもって判定することができるようになる。ちなみに、上記のように燃料添加処理による反応熱が全く発生しない状態にまで排気浄化触媒が劣化していると仮定して仮想触媒床温を算出するようにした場合には、仮想触媒床温と排気温度センサによって検出される排気温度との乖離が小さいほど排気浄化触媒の劣化度合が大きいと判定することができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記劣化判定処理を通じて前記仮想触媒床温と前記排気温度センサによって検出される排気温度との乖離が所定量未満である状態が所定期間以上継続したときに前記排気浄化触媒に異常が生じている旨の判定をなす異常判定手段を備えることをその要旨とする。
更に、上記請求項に記載の発明によるように、仮想触媒床温と検出される排気温度との乖離が所定量未満の状態、即ち触媒の劣化度合が比較的大きい状態が所定期間以上継続したときに排気浄化触媒に異常が生じていることを判定する構成を採用することにより、触媒が劣化して排気性状が悪化するおそれのある異常状態にある旨を的確に判定することができるようになる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記排気浄化触媒に異常が生じている旨の判定がなされたときにその旨を報知する異常報知手段を備えることをその要旨とする。
上記構成によれば、排気浄化触媒に異常が生じている旨の判定に基づいてその旨を報知することができるようになる。これにより、排気浄化触媒を交換する等の処置の実施を促すことができ、ひいては排気浄化触媒の劣化に伴う排気性状の悪化を抑制することができる。
以下、この発明にかかる内燃機関の排気浄化装置を車載ディーゼルエンジンの排気浄化装置に適用した一実施形態について図1〜5を参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかるディーゼルエンジン及びその排気浄化装置の概略構成を示す模式図である。図1に示されるようにディーゼルエンジン10には、吸気通路20と排気通路30とが接続されている。吸気通路20には、モータ21aにより開閉駆動される吸気絞り弁21が設けられており、この吸気絞り弁21の開度を変更することにより燃焼室11に導入される空気の量が調量される。
ディーゼルエンジン10の燃焼室11には、気筒毎に燃料噴射弁12が設けられている。これら燃料噴射弁12はコモンレール13に接続されており、コモンレール13に充填された燃料を燃焼室11内に噴射する。尚、このコモンレール13には、図示しない燃料タンクに貯留された燃料がサプライポンプ14によって供給される。
また、図1に示されるように吸気通路20及び排気通路30は、ターボチャージャ22に接続されている。ターボチャージャ22は、排気通路30を流れる排気のエネルギによってそのタービン22aを回転させることにより、吸気通路20内の空気を加圧して燃焼室11に送り込む。
また、図1に示されるように排気通路30におけるターボチャージャ22よりも上流側の部位には、吸気通路20に連通し排気通路30内の排気の一部を吸気通路20に還流する排気還流通路43が接続されている。この排気還流通路43には、リニアソレノイド44aによって開閉駆動されるEGR弁44が設けられており、このEGR弁44の開度を変更することにより排気通路30から吸気通路20に還流される排気の量が調量される。
図1に示されるように排気通路30のターボチャージャ22よりも下流側の部分には、触媒コンバータ41及びPMフィルタ42が設けられている。これら触媒コンバータ41及びPMフィルタ42には、各々にNOx吸蔵還元触媒が担持されている。
NOx吸蔵還元触媒は、リーン状態においてNOxを吸蔵する一方で、リッチ状態では、吸蔵したNOxと、排気に含まれるCO及び未燃燃料成分のHCとを反応させてNOxを還元し、これらをN、CO、HOにすることにより排気を浄化する。
PMフィルタ42は、多孔質材料によって形成されたモノリス構造のフィルタであり、排気中の煤等を主成分とする粒子状物質(PM)を捕捉する。上述のようにPMフィルタにもNOx吸蔵還元触媒が担持されているため、PMフィルタ42に捕捉されたPMは、NOx吸蔵還元触媒の酸化作用によって酸化され、除去される。
また、図1に示されるように排気通路30における触媒コンバータ41よりも下流側の部位、より詳しくは触媒コンバータ41とPMフィルタ42との間には第1排気温度センサ55が設けられている。また、排気通路30におけるPMフィルタ42よりも下流側の部位には第2排気温度センサ56が設けられている。これら各排気温度センサ55,56により触媒コンバータ41を通過した排気の温度、PMフィルタ42を通過した排気の温度がそれぞれ検出されるようになっている。
これら各排気温度センサ55,56の出力信号はディーゼルエンジン10を統括的に制御する電子制御装置50に取り込まれる。電子制御装置50は、CPU、ROM、RAM等を備えたデジタルコンピュータと、ディーゼルエンジン10の各装置を駆動するための駆動回路とを含んで構成されている。電子制御装置50には、上述した各排気温度センサ55,56の他、吸気通路20に設けられてディーゼルエンジン10に導入される空気の量及びその温度、即ち吸入空気量GA及び吸気温度THAを検出するエアフロメータ51、アクセルペダルの踏み込み量を示すアクセル開度TAを検出するアクセル開度センサ52、ディーゼルエンジン10の機関冷却水温度THWを検出する水温センサ53、機関回転速度NEを検出する回転速度センサ54等が接続されている。そして、これら各種センサ51〜56の出力信号は電子制御装置50に取り込まれる。
また、電子制御装置50には、運転席のインスツルメントパネルに設けられた触媒異常ランプ60が接続されている。この触媒異常ランプ60は、後述する異常判定処理を通じて、NOx吸蔵還元触媒に異常が生じている旨の異常判定がなされたときに電子制御装置50によって点灯される。
電子制御装置50は、上記各種センサ51〜56の出力信号に基づいて、燃料噴射弁12による燃料噴射時期制御や燃料噴射量制御を実行する。また、EGR弁44の開度及び吸気絞り弁21の開度を調節することにより吸気通路20に還流させる排気の量を調量するEGR制御、また排気浄化処理の一環として、触媒コンバータ41及びPMフィルタ42に反応物質として未燃燃料成分のHCを供給する燃料添加処理等を実行する。
尚、本実施形態のディーゼルエンジン10にあっては、EGR制御に伴う燃焼モードとして、通常燃焼モードと低温燃焼モードの2種類の燃焼モードを切り替えて実行する。ここで低温燃焼モードとは、排気還流通路43を通じて大量の排気を吸気通路20に還流させることより燃焼を緩慢にしてNOxと未燃燃料成分のHCによるスモークとを同時に低減させる燃焼モードであり、本実施形態のディーゼルエンジン10にあっては低負荷、中高回転領域においてこの低温燃焼モードを実行する。これに対して、通常のEGR制御(排気を還流させない場合も含める)を実行するのが通常燃焼モードである。
また、燃料添加処理にかかる制御モードとしては、PM除去制御モード、硫黄被毒回復制御モード、NOx還元制御モード、及び通常制御モードの4種類のモードが存在する。PM除去制御モードとは、PMフィルタ42に堆積したPMを燃焼させてCOとHOにするモードであり、通常の燃料噴射の後、排気行程において燃料噴射弁12から燃料を噴射して排気に燃料を添加するポスト噴射を継続的に繰り返して触媒床温を高温化(例えば600〜700℃)するモードである。また、硫黄被毒回復制御モードとは、触媒コンバータ41及びPMフィルタ42におけるNOx吸蔵還元触媒が硫黄被毒してNOxの吸蔵能力が低下した場合にNOx吸蔵還元触媒から硫黄を放出させるモードであり、ポスト噴射による排気への燃料の添加を継続的に繰り返して触媒床温を高温化(例えば600〜700℃)するとともに、排気にHCが多量に含まれるリッチ状態にするモードである。NOx還元制御モードとは、触媒コンバータ41及びPMフィルタ42におけるNOx吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOxを、Nに還元するモードである。このモードでは、比較的時間をおいて間欠的にポスト噴射を実行することにより触媒床温を比較的低温(例えば250〜500℃)に保持するとともに、排気をリッチ状態にする。これ以外の状態が通常制御モードであり、この通常制御モードではポスト噴射による排気への燃料の添加は行われない。通常制御モードにあっては、排気がリーン状態となるため、排気に含まれるNOxがNOx吸蔵還元触媒に吸蔵されるようになる。
ところで、一般に排気浄化触媒は、長期間にわたる使用によって次第に劣化し、排気浄化能力が低下する。上記NOx吸蔵還元触媒にあっては、劣化が進行するとリーン状態にあってもNOxを吸蔵することができなくなったり、NOx還元制御モードにおいてリッチ状態にあってもNOxを還元することができなくなったりする。そして、このように劣化した触媒をそのまま使用し続けると排気性状が悪化するため、これを抑制するために劣化した触媒を新しいものと交換する等、適切なメンテナンスを行う必要がある。ここで、こうしたメンテナンスを適切なタイミングで行うためには、触媒の劣化状態を正確に把握することが必要となる。
そこで、本実施形態の排気浄化装置にあっては、燃料添加処理によって触媒コンバータ41にHCが供給されているときの反応熱の大きさに基づいてNOx吸蔵還元触媒の劣化状態を判定する劣化判定処理を実行するようにしている。そして、この劣化判定処理を通じて触媒の劣化状態を判定するとともに、その判定結果に基づいて排気浄化触媒に異常が発生している旨の判定を行うようにしている。
以下、このNOx吸蔵還元触媒の劣化判定にかかる制御について図2〜4を参照して説明する。尚、図2は劣化判定処理の実行条件が成立しているか否かを判定する実行条件判定処理にかかる一連の処理の流れを示すフローチャート、図3は正常判定処理にかかる一連の処理の流れを示すフローチャート、図4は異常判定処理にかかる一連の処理の流れを示すフローチャートである。これら図2〜4のフローチャートに示される処理は機関運転中に電子制御装置50によって所定の周期で繰り返し実行される。
まず、図2に示される実行条件判定処理について説明する。この処理が開始されると、まずステップS100〜S160を通じて劣化判定処理を実行するための実行条件が成立しているか否かを判定する。
具体的には、ステップS100において、触媒制御モードがPM除去制御モード又は硫黄被毒回復制御モードであるか否かを判定する。これらのモードにあっては、上述したように継続的にポスト噴射が実行されるため、NOx還元制御モードよりも排気に対する燃料の添加量が多くなるため、反応熱も大きくなる。このようにステップS100では、比較的燃料の添加量が多く、反応熱の大きさに基づいて触媒の劣化状態を判定することのできる触媒制御モードであるか否かを判定する。
ステップS110では、第1排気温度センサ55が正常であるか否かを判定する。ここでは、電子制御装置50が別途実行している第1排気温度センサ55の異常検出処理にて、断線などの異常が検出されていないことを確認する。
ステップS120では、触媒コンバータ41の触媒床温が基準温度以上であるか否かを判定する。ここでは、触媒床温が基準温度以上であることに基づいてNOx吸蔵還元触媒が活性化していることを確認する。尚、ここでは、第1排気温度センサ55によって検出される排気温度を触媒コンバータ41の触媒床温の代替値として用いている。これ以外に、エンジンの運転状態、例えば機関回転速度NEと燃料噴射弁12からの燃料噴射量Qとに基づいて、排気から触媒コンバータ41に与えられる熱量により触媒床温を推定計算しても良い。
ステップS130では、燃焼モードが通常燃焼モードであるか否かを判定する。低温燃焼モードにおいて大量の排気を吸気通路20に還流させることにより理論空燃比近くまで空燃比を低下させた場合には、触媒コンバータ41におけるNOx吸蔵還元触媒の触媒床温が大きく変動することがある。このように触媒床温が大きく変動する状態にあっては、反応熱の大きさに基づく劣化状態の判定精度が低下する。そこで、ステップS130を通じて、燃焼モードが通常燃焼モードにあることを確認する。
ステップS140では、ポスト噴射による燃料添加からの経過時間をカウントする添加後経過カウンタが基準値以下であるか否か、即ちポスト噴射実行から所定期間以内であるか否かを判定する。これは燃料添加後に長期間経過してしまうと、NOx吸蔵還元触媒における反応が終了したり鈍くなったりして、劣化判定処理の判定精度が低下するためである。
ステップS150では、第1排気温度センサ55近傍の排気流量が下限流量値EXmin以上であり、且つ上限流量値EXmax未満である、即ち排気流量が下限流量値EXminから上限流量値EXmaxに亘る所定の流量域内であるか否かを判定する。
排気流量が非常に少ない場合には、排気の流れが不均一であるため、NOx吸蔵還元触媒における反応熱によって排気が温度上昇しても、その排気が第1排気温度センサ55の検出部に接触せずに通過してしまい、排気の温度を正確に検出することができないことがある。また、排気流量が多くなるほど、排気流速が速くなり、排気が触媒コンバータ41を通過するのにかかる時間が短くなるため、排気流量が非常に多い場合には触媒における反応熱が大きい場合であっても、排気の温度が上昇しにくくなる。そこで、ここでは推定される排気流量が下限流量値EXminから上限流量値EXmaxに亘る所定の流量域内であることを実行条件としている。尚、ここでは、エアフロメータ51によって検出される吸入空気量GAの値に基づいて第1排気温度センサ55近傍の排気流量を推定するようにしている。
また、上記下限流量値EXminは、第1排気温度センサ55によって検出される排気温度に基づいて触媒コンバータ41におけるNOx吸蔵還元触媒の劣化度合を十分な精度で判定することのできる排気流量の下限値として第1排気温度センサ55の取付位置や排気通路30の形状等を考慮して設定されている。また、上記上限流量値EXmaxは、第1排気温度センサ55によって検出される排気温度に基づいて触媒コンバータ41におけるNOx吸蔵還元触媒の劣化度合を十分な精度で判定することのできる排気流量の上限値として触媒コンバータ41の寸法や排気通路30の通路面積等を考慮して設定されている。
ステップS160では、触媒コンバータ41に流入する排気の温度である流入排気温度が所定温度THst以上であるか否かを判定する。触媒コンバータ41の触媒床温が高い場合であっても触媒コンバータ41に流入する流入排気温度が低下すると触媒が活性化せずに反応が起こりにくくなることがあり、反応熱の大きさに基づく劣化度合の判定精度が低下するおそれがある。そのため、機関運転状態に基づいて流入排気温度を推定し、それに基づいて反応が起こりにくくなるおそれがあるか否かを判断している。尚、流入排気温度が同じ場合であっても排気流量が多くなると、反応熱が小さくなり、劣化判定処理を通じて得られる判定結果の信頼度が低下するため、ここでは排気流量が多いほど所定温度THstを大きな値に設定することにより劣化判定処理の判定精度を確保するようにしている。
これらの実行条件が全て成立している場合(ステップS100〜S160:全てYES)には、ステップS200へと進み、実行条件成立カウンタを所定量、例えば「1」だけカウントアップする。次にステップS210において、実行条件成立カウンタが基準値以上であるか否かを判定する。ステップS210において、実行条件成立カウンタが基準値未満である旨判定された場合(ステップS210:NO)には、ステップS225へと進み、判定実行フラグを「OFF」に設定してこの処理を一旦終了する。一方、ステップS210において、実行条件成立カウンタが基準値以上である旨判定された場合(ステップS210:YES)には、ステップS220へと進み判定実行フラグを「ON」に設定し、この処理を一旦終了する。
一方で、上記の実行条件のうち1つでも成立していないものがある場合(ステップS100〜S160:いずれか1つでもNO)には、ステップS205へと進み、実行条件成立カウンタを「0」にリセットする。そして、ステップS225において、判定実行フラグを「OFF」に設定し、この処理を一旦終了する。
こうして上記実行条件判定処理を繰り返し実行することにより、実行条件が全て成立している状態が継続していれば、実行条件成立カウンタのカウントアップが継続し、判定実行フラグが「ON」に設定されるとともに、その後判定実行フラグが「ON」に設定されている状態が継続するようになる。
一方、実行条件が一つでも成立しなくなると、前提条件成立カウンタが「0」にリセットされるとともに、判定実行フラグが「OFF」に設定される。
次に図3に示される正常判定処理について説明する。この処理が開始されると、まずステップS300及びステップS310を通じて正常条件が成立しているか否かを判定する。
具体的には、ステップS300において、判定実行フラグが「ON」に設定されているか否かを判定する。ステップS300において、判定実行フラグが「ON」に設定されている旨判定された場合(ステップS300:YES)には、ステップS310へと進む。そして、第1排気温度センサ55によって検出される排気温度TH1と仮想触媒床温THcatとの差「TH1−THcat」を算出し、この差「TH1−THcat」が正常時基準温度差ΔTHn以上であるか否かを判定する。ここで、仮想触媒床温THcatは、以下に示す式1の計算により機関運転状態に基づいて所定の周期で繰り返し算出されている触媒コンバータ41の触媒床温である。ただし、ここでは反応熱が全く発生しない状態にまでNOx吸蔵還元触媒が劣化していると仮定してこの仮想触媒床温THcatを推定計算している。即ち、このステップS310にあっては、反応熱が全く発生しない場合を仮定して算出した仮想触媒床温THcatと、実際に第1排気温度センサ55によって検出された排気温度TH1との乖離の大きさに基づいて触媒の劣化度合を判定する劣化判定処理を実行する。
THcat ←
THcatold + (THex − THcatold)× Kth …[式1]
上記式1の右辺における前回仮想触媒床温THcatoldは、前回の周期で算出された仮想触媒床温THcatを示している。ここで推定排気温度THexは、機関回転速度NEと、燃料噴射量Qとから演算マップを参照して求められる値である。なまし係数Kthは、触媒コンバータ41の熱容量に起因して生じる排気温度の応答遅れを反映した「1.0」未満の係数であり、予め行う実験の結果に基づいて設定されている。
こうして算出された仮想触媒床温THcatと第1排気温度センサ55によって検出される排気温度TH1との差「TH1−THcat」が正常時基準温度差ΔTHn以上である旨判定された場合(ステップS310:YES)には、触媒コンバータ41における反応熱が十分に大きくNOx吸蔵還元触媒の劣化度合が低い旨が判断される。
そして、ステップS320では、正常条件が成立していると判断し、正常条件成立カウンタを所定量だけ、例えば「1」だけカウントアップする。次にステップS330へと進み、正常条件成立カウンタが基準値以上であるか否かを判定する。
ステップS330において、正常条件成立カウンタが基準値未満である旨判定された場合(ステップS330:NO)には、そのままこの処理を一旦終了する。一方、ステップS330において、正常条件成立カウンタが基準値以上である旨判定された場合(ステップS330:YES)には、ステップS340へと進み、触媒コンバータ41におけるNOx吸蔵還元触媒が正常である旨の正常判定を行い、触媒異常ランプ60を消灯してこの処理を一旦終了する。尚、このとき触媒異常ランプ60が点灯されていない場合には触媒異常ランプ60を消灯したままこの処理を一旦終了する。
一方、ステップS300において判定実行フラグが「OFF」である旨判定された場合(ステップS300:NO)には、ステップS310における劣化判定処理を実行せずにステップS325へと進む。また、ステップS310において、第1排気温度センサ55によって検出される排気温度TH1と仮想触媒床温THcatとの差「TH1−THcat」が正常時基準温度差ΔTHn未満である旨判定された場合(ステップS310:NO)にも、ステップS325へと進む。
ステップS325では、正常条件成立カウンタを「0」にリセットし、この処理を一旦終了する。
このように上記正常判定処理を繰り返し実行することにより、正常条件が成立している期間が所定期間以上継続していることに基づいてNOx吸蔵還元触媒が正常である旨の正常判定が行われるようになる。
次に図4に示される異常判定処理について説明する。この処理が開始されると、まずステップS400及びステップS410を通じて異常条件が成立しているか否かを判定する。
具体的には、ステップS400において、判定実行フラグが「ON」に設定されているか否かを判定する。ステップS400において、判定実行フラグが「ON」に設定されている旨判定された場合(ステップS400:YES)には、ステップS410へと進む。そして、第1排気温度センサ55によって検出される排気温度TH1と仮想触媒床温THcatとの差「TH1−THcat」を算出し、この差「TH1−THcat」が異常時基準温度差ΔTHt未満であるか否かを判定する。尚、仮想触媒床温THcatは、上述したように式1に示される計算によって反応熱が全く発生しない場合を仮定して算出した仮想触媒床温THcatである。即ちステップS410では、上述した正常判定処理におけるステップS310と同様に反応熱が全く発生しない場合を仮定して算出した仮想触媒床温THcatと実際に第1排気温度センサ55によって検出された排気温度TH1との乖離の大きさに基づいて触媒の劣化度合を判定する劣化判定処理を実行する。
仮想触媒床温THcatと第1排気温度センサ55によって検出される排気温度TH1との差「TH1−THcat」が異常時基準温度差ΔTHt未満である旨判定された場合(ステップS410:YES)には、触媒コンバータ41における反応熱が非常に小さくNOx吸蔵還元触媒が劣化している旨が判断される。尚、異常時基準温度差ΔTHtは、正常時基準温度差ΔTHnよりも小さな値に設定されている。
そして、ステップS420では、異常条件が成立していると判断し、異常条件成立カウンタを所定量だけ、例えば「1」だけカウントアップする。次にステップS430へと進み、異常条件成立カウンタが基準値以上であるか否かを判定する。ステップS430において、異常条件成立カウンタが基準値未満である旨判定された場合(ステップS430:NO)には、そのままこの処理を一旦終了する。一方、ステップS430において、異常条件成立カウンタが基準値以上である旨判定された場合(ステップS430:YES)には、ステップS440へと進み、触媒コンバータ41におけるNOx吸蔵還元触媒に異常が発生している旨の異常判定を行い、触媒異常ランプ60を点灯してこの処理を一旦終了する。尚、このときすでに触媒異常ランプ60が点灯されている場合には触媒異常ランプ60を点灯したままこの処理を一旦終了する。
一方、ステップS400において判定実行フラグが「OFF」である旨判定された場合(ステップS400:NO)には、ステップS410における劣化判定処理を実行せずにステップS425へと進む。また、ステップS410において、第1排気温度センサ55によって検出される排気温度TH1と仮想触媒床温THcatとの差「TH1−THcat」が異常時基準温度差ΔTHt以上である旨判定された場合(ステップS410:NO)にも、ステップS425へと進む。
ステップS425では、異常条件成立カウンタを「0」にリセットし、この処理を一旦終了する。
こうしてこの異常判定処理を繰り返し実行することにより、異常条件が成立している期間が所定期間以上継続していることに基づいてNOx吸蔵還元触媒に異常が発生している旨の異常判定が行われ、触媒異常ランプ60が点灯されるようになる。
本実施形態の排気浄化装置にあっては、図2〜図4を参照して説明した処理を繰り返し実行することによりNOx吸蔵還元触媒の異常を判定する。
本実施形態の排気浄化装置にあっては、図2を参照して説明したように第1排気温度センサ55近傍の排気流量が所定の流量域内にあること(ステップS150)及び触媒コンバータ41に流入する排気の温度が所定温度THst以上であること(ステップS160)が劣化判定処理の実行条件に含まれている。そのため、図5に示されるように排気流量と触媒コンバータ41に流入する流入排気温度とに基づいて、劣化判定処理を実行する判定実行領域が制限されるようになる。具体的には、排気流量が下限流量値EXminから上限流量値EXmaxにわたる所定の流量域外にある場合、また流入排気温度が所定温度THst未満であるときには、劣化判定処理が禁止されるようになる。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)排気流量が非常に少ない場合には、排気の流れが不均一になり、第1排気温度センサ55により検出される排気温度TH1とNOx吸蔵還元触媒の劣化度合との相関が低下するため、劣化判定処理を通じて得られる判定結果の信頼性が低下することとなる。上記実施形態の排気浄化装置では、このように排気温度TH1とNOx吸蔵還元触媒の劣化度合との相関が低下するとき、即ち推定される第1排気温度センサ55近傍の排気流量が下限流量値EXmin未満であるときには、劣化判定処理を禁止するようにしている。そのため、NOx吸蔵還元触媒が劣化している旨の誤判定がなされることを抑制することができるようになる。
(2)排気流量が多くなるほど、排気流速が速くなり、排気が触媒コンバータ41を通過するのにかかる時間が短くなるため、触媒コンバータ41と排気との間で熱交換が行われる期間が短くなる。そのため、排気流量が非常に多い場合にはNOx吸蔵還元触媒における反応熱が大きい場合であっても、排気の温度が上昇しにくくなり、触媒の劣化度合と排気温度TH1との相関が低下するため、劣化判定処理を通じて得られる判定結果の信頼性が低下することとなる。上記実施形態の排気浄化装置では、このように排気温度TH1とNOx吸蔵還元触媒の劣化度合との相関が低下するとき、即ち推定される排気流量が上限流量値EXmax以上であるときに、劣化判定処理を禁止するようにしている。これにより、排気温度TH1とNOx吸蔵還元触媒の劣化度合との相関が低下しNOx吸蔵還元触媒が劣化している旨の誤判定がなされることを抑制することができるようになる。
(3)上記実施形態では、燃料添加処理による反応熱が全く発生しない状態にまでNOx吸蔵還元触媒が劣化していると仮定して仮想触媒床温THcatを算出している。そのため、燃料添加処理による燃料の添加量等によって変化する反応熱の大きさを考慮せずに仮想触媒床温THcatを算出することができ、その算出が容易になるとともにその精度を高めることができる。その結果、NOx吸蔵還元触媒の劣化度合をより高い精度をもって判定することができる。
(4)仮想触媒床温THcatと検出される排気温度TH1との差が異常時基準温度差ΔTHt未満の状態、即ち触媒の劣化度合が比較的大きい状態が所定期間以上継続したときにNOx吸蔵還元触媒に異常が生じていることを判定するようにしている。そのため、触媒が劣化して排気性状が悪化するおそれのある異常状態にある旨を的確に判定することができる。
(5)運転席のインスツルメントパネルに触媒異常ランプ60を設け、異常判定に基づいて同触媒異常ランプ60を点灯させるようにしているため、NOx吸蔵還元触媒に異常が生じている旨の判定に基づいてその旨を報知することができるようになる。これにより、触媒を交換する等の処置の実施を促すことができ、ひいては触媒の劣化に伴う排気性状の悪化を抑制することができる。
(6)触媒コンバータ41に流入する排気の温度が低い場合には、排気浄化触媒が活性化しにくいため、反応熱が発生しにくい。このようにNOx吸蔵還元触媒の劣化度合に関わらず反応熱が発生しにくい状態にあっては、劣化判定処理を通じて得られる判定結果の信頼性が低下することとなる。上記実施形態では、このように劣化判定処理を通じて得られる判定結果の信頼度が低下するとき、即ち触媒コンバータ41に流入する排気の温度が所定温度Thst未満であるときに、劣化判定処理を禁止するようにしている。これにより、NOx吸蔵還元触媒が劣化している旨の誤判定がなされることを抑制することができるようになる。
また、排気流量が多くなるほど、排気流速が速くなり、未燃燃料成分を含んだ排気が触媒コンバータ41を通過するのにかかる時間が短くなるため、未燃燃料成分がNOx吸蔵還元触媒において反応する期間が短くなる。そのため、触媒コンバータ41に流入する排気の温度が同じ場合であっても排気流量が多くなるほど反応熱が小さくなり、劣化判定処理を通じて得られる判定結果の信頼度が低下する。そこで、上記実施形態では、劣化判定処理を禁止する所定温度THstを排気流量が多いときほど高い温度に設定するようにしている。これにより、排気流量の変化に伴う劣化判定処理を通じて得られる判定結果の信頼度の変化に合わせた態様にて劣化度合判定処理の実行を禁止する上記所定温度THstを設定することができるようになる。
尚、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・触媒コンバータ41に流入する流入排気温度が所定温度THst以上であることを劣化判定処理の実行条件の1つとし、所定温度THstを排気流量が多いときほど高い温度に設定する構成を示したが、排気流量によらず、所定温度THstを一定の値として設定する構成を採用することもできる。
・上記実施形態では、第1排気温度センサ55近傍の排気流量を推定し、推定された排気流量が下限流量値EXmin以上、且つ上限流量値EXmax未満の所定の流量域にあることを劣化判定処理の実行条件の1つとする構成を示した(図2におけるステップS150)。これに対して、少なくとも第1排気温度センサ55近傍の排気流量が下限流量値EXmin未満のとき、又は上限流量値EXmax以上のときに劣化判定処理の実行を禁止する構成であれば、排気流量の変化に伴う劣化判定処理の判定精度の低下によってNOx吸蔵還元触媒が劣化している旨の誤判定がなされることを抑制することができる。そのため、少なくとも第1排気温度センサ55近傍の排気流量が下限流量値EXmin未満のとき、又は上限流量値EXmax以上のときに劣化判定処理の実行を禁止する構成であれば、図2を参照して説明した実行条件判定処理におけるその他の実行条件は、適宜変更することができる。例えば、ステップS160を省略し、触媒コンバータ41に流入する排気の流入排気温度に関わらず劣化判定処理を実行する構成を採用することもできる。また、図2に示されるように本実施形態にあっては、ステップS100〜S160において、それぞれの実行条件が成立しているか否かを順番に判定する処理を示したが、この発明は実行条件の判定順序によって限定されるものではない。そのため、これらの判定をその他の順序で行う構成や、全ての条件が成立しているか否かを一度に判定する構成を採用することもできる。
・排気浄化触媒としてNOx吸蔵還元触媒を例示したが、この発明は、燃料添加処理によって反応熱を発生する触媒であれば、その他の触媒を備える排気浄化装置にあっても適用することができる。例えば、燃料添加処理による未燃燃料成分の供給により、酸化熱を発生させる酸化触媒を備える排気浄化装置においてこの発明を適用することもできる。
・燃料添加手段として、ポスト噴射を実行し排気に燃料を添加する構成を示したが、その他、排気通路30に燃料添加弁を設け、この燃料添加弁から燃料を噴射することにより未燃燃料成分を排気浄化触媒に供給する構成を採用することもできる。また、通常の燃料噴射における燃料噴射量Qを理論空燃比となる燃料噴射量よりも増大させることにより排気に含まれる未燃燃料成分を増量させ、その未燃燃料成分を排気浄化触媒に供給するリッチスパイクを行う構成等を採用することもできる。
・上記実施形態のように反応熱が全く発生しない状態にまで排気浄化触媒が劣化していると仮定して算出した仮想触媒床温THcatを基準にして触媒の劣化度合を判定する構成の他、燃料添加処理に伴う反応熱の大きさが既知であれば、排気浄化触媒が任意の劣化度合にあると仮定して仮想触媒床温THcatを算出することもできる。そしてこの場合には、仮想触媒床温THcatと第1排気温度センサ55によって検出される排気温度TH1との乖離が小さいときほど実際の排気浄化触媒の劣化度合が仮定した劣化度合に近い旨を判定することができる。例えば、排気浄化触媒が全く劣化していない状態であると仮定して算出した仮想触媒床温THcatと、第1排気温度センサ55によって検出される排気温度TH1との乖離の大きさに基づいて触媒の劣化度合を判定する場合には、その乖離が小さいときほど排気浄化触媒の劣化度合が小さい旨を判定することができる。
・算出される仮想触媒床温THcatと第1排気温度センサ55によって検出される排気温度TH1との差に基づいて触媒の劣化度合を判定する構成を示したが、算出される仮想触媒床温THcatと第1排気温度センサ55によって検出される排気温度TH1との乖離の大きさを求める方法としては、この他にも、仮想触媒床温THcatと検出される排気温度TH1との比、例えば「仮想触媒床温THcat/排気温度TH1」を算出し、この比の大きさに基づいて触媒の劣化度合を判定するといった構成を挙げることができる。こうした構成を採用した場合にあっては、この値が大きいときほど劣化が進行している旨を判定することができ、この値が「1.0」であれば、実際の触媒の劣化度合が仮定された所定の劣化度合に略等しい旨を判定することができる。
・上記実施形態では、異常判定手段として、第1排気温度センサ55によって検出される排気温度TH1と仮想触媒床温THcatとの差が異常時基準温度差ΔTHt未満である状態が所定期間以上継続したときに異常判定を行う構成を示した。これに対して、仮想触媒床温THcatと排気温度TH1との乖離が所定量未満である状態が所定期間以上継続したか否かに関わらず、劣化判定処理を通じて算出される仮想触媒床温と検出される排気温度との乖離が所定量未満であるときに、排気浄化触媒に異常が生じていることを判定する構成を採用することもできる。
・上記実施形態では、第1排気温度センサ55によって検出される触媒コンバータ41を通過した排気の排気温度TH1に基づいて触媒コンバータ41におけるNOx吸蔵還元触媒の劣化度合を判定する構成を示した。これに対して、第2排気温度センサ56によって検出されるPMフィルタ42を通過した排気の排気温度に基づいてPMフィルタ42におけるNOx吸蔵還元触媒の劣化度合を判定する構成や、第2排気温度センサ56によって検出される排気の温度に基づいて触媒コンバータ41及びPMフィルタ42におけるNOx吸蔵還元触媒の劣化度合をまとめて推定する構成を採用することもできる。
・異常判定がなされた場合ときに運転席のインスツルメントパネルに設けた触媒異常ランプ60を点灯させることにより、運転者に異常が発生している旨を報知する構成を示したが、異常が発生している旨を報知する報知手段の構成は適宜変更することができる。例えば、カーナビゲーションシステムのモニタに触媒異常の警告を表示する方法や、音声案内により異常の発生を報知する方法、その他、警告音によって異常の発生を報知する方法等を採用することもできる。
・また、このように異常が発生している旨を報知する報知手段を備えていなくてもよい。例えば、報知手段を備えていない場合であっても、異常判定の結果を電子制御装置50のメモリ等に保持しておき、ディーラーや修理工場等において、車両状態のチェックが行われたときに触媒に異常が生じている旨の判定結果が出力されるようになっていればよい。
・上記実施形態では、本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置を車載ディーゼルエンジンの排気浄化装置に適用した例を示したが、本発明は車載エンジンに限定されるものではない。また、ディーゼルエンジンの他、ガソリンエンジン等においても適用することができる。
この発明の一実施形態にかかるディーゼルエンジン及びその排気浄化装置の概略構成を示す模式図。 同実施形態の実行条件判定処理にかかる一連の処理の流れを示すフローチャート。 同実施形態の正常判定処理にかかる一連の処理の流れを示すフローチャート。 同実施形態の異常判定処理にかかる一連の処理の流れを示すフローチャート。 同実施形態にかかる劣化判定処理の判定実行領域と排気流量及び流入排気温度との関係を示すグラフ。
符号の説明
10…ディーゼルエンジン、11…燃焼室、12…燃料噴射弁、13…コモンレール、14…サプライポンプ、20…吸気通路、21…吸気絞り弁、21a…モータ、22…ターボチャージャ、22a…タービン、30…排気通路、41…触媒コンバータ、42…PMフィルタ、43…排気還流通路、44…EGR弁、44a…リニアソレノイド、50…電子制御装置、51…エアフロメータ、52…アクセル開度センサ、53…水温センサ、54…回転速度センサ、55…第1排気温度センサ、56…第2排気温度センサ、60…触媒異常ランプ。

Claims (5)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化触媒に反応物質として未燃燃料成分を添加する燃料添加処理を行う燃料添加手段と、前記排気通路における前記排気浄化触媒よりも下流側の部位に設けられる排気温度センサとを備え、前記燃料添加処理が行われているときに、前記排気浄化触媒が所定の劣化度合にまで劣化していると仮定して算出される仮想触媒床温と、前記排気温度センサによって検出される排気温度との乖離の大きさに基づいて前記排気浄化触媒の劣化度合を判定する劣化判定処理を行う内燃機関の排気浄化装置において、
    前記排気温度センサ近傍の排気流量を推定する排気流量推定手段と、前記排気浄化触媒に流入する排気の温度を機関運転状態に基づいて推定する流入排気温推定手段とを備え、
    同排気流量推定手段によって推定される排気流量が下限流量値未満であるときに前記劣化判定処理を禁止するとともに、前記流入排気温推定手段によって推定される排気の温度が所定温度未満であるときに前記劣化判定処理を禁止し、
    前記所定温度は前記推定される排気流量が多いときほど高い温度に設定される
    ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置において、
    前記排気流量推定手段によって推定される排気流量が前記下限流量値よりも大きい上限流量値以上であるときに前記劣化判定処理を禁止する
    ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  3. 請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置において、
    前記所定の劣化度合は、燃料添加処理による反応熱が全く発生しない状態にまで前記排気浄化触媒が劣化したときの劣化度合であり、
    前記劣化判定処理は前記算出される仮想触媒床温と前記排気温度センサによって検出される排気温度との乖離が小さいほど前記排気浄化触媒の劣化度合が大きい旨を判定する
    ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  4. 請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置において、
    前記劣化判定処理を通じて前記仮想触媒床温と前記排気温度センサによって検出される排気温度との乖離が所定量未満である状態が所定期間以上継続したときに前記排気浄化触媒に異常が生じている旨の判定をなす異常判定手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  5. 請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置において、
    前記排気浄化触媒に異常が生じている旨の判定がなされたときにその旨を報知する異常報知手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
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