JP5098231B2 - サイドエアバッグ装置 - Google Patents
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Description
ガス噴出口と対向する位置にシームを形成すると、このガス噴出口から噴出されるガスの噴出圧によってシームに強い応力が作用し、場合によってはシームによる厚み規制構造が維持できないなど、エアバッグの適切な展開が図られないおそれもある。この点、上記傾斜部を所定曲率をもって張り出し形成された凸部の一部として設けることで、同凸部の曲率を通じてシームに作用する応力が分散されることとなり、シームによる厚み規制構造の的確な維持を図ることができるようになる。また、このような凸部の一部として上記機能を有する傾斜部を形成することで、同傾斜部の形成も容易となる。
また、上記シーム自体をガス噴出口側に偏った位置に設けることで、上記噴出されるガス流のコントロールもより容易かつ的確に行うことができるようになる。
同図3に示されるように、筒状のインフレータ21には、その側部に2本の取付用ボルト24が突設されており、この取付用ボルト24がエアバッグ22を貫通した状態でナット等によりケース12に固定され、これによってインフレータ21自体もケース12に固定されている。また、インフレータ21の筒下には、インフレータ21内で発生するガスが噴出されるガス噴出口25が設けられている。このガス噴出口25には、その全周の表面に多数の噴出孔25aが形成されており、この噴出孔25aを通じて上記発生されたガスがインフレータ21の筒下方向および周方向に噴出される。そして本実施の形態にあっては、先の図1に示されるように、このインフレータ21は、このようなガス噴出口25が筒元PBの下方、すなわち筒下に位置する態様でエアバッグ22内に配置されている。
同図4に示されるように、シーム30はエアバッグ22の全領域においてガス噴出口25側に偏った位置に一部変形した楕円状に形成されている。すなわち、同図4中に太い破線にて示すガス噴出口25側の部位が所定の曲率をもって張り出された凸部31となっている。この凸部31は、その頂部を境に上側に位置する、すなわちガス噴出口25と対向する位置(図4において二点鎖線にて示す)に傾斜部31aを有している。この傾斜部31aはその下側の端部(凸部31の頂部)がガス噴出口25よりも下方側に位置する、すなわちガス噴出口25の先端においてインフレータ21の配設方向と直行する軸線Lよりも下方側にオフセットするとともに、その上側の端部(シーム30のうち上記凸部31と他の部位との境界部)がガス噴出口25よりも上方側に位置している。換言すれば、傾斜部31aはそのガス噴出口25寄りに位置する端部がインフレータ21の筒元PB方向とは逆方向に突き出す態様で形成されている。また、傾斜部31aの傾斜の態様は、上述した下側端部から上側端部に向かうにつれてガス噴出口25から離間するように、すなわち同傾斜部31aに当たったガスをインフレータ21の筒元PB方向、いわば上方に指向させるようになっている。
いま、図示しない衝突検出センサが衝突を検出したとすると、図示しない制御手段がインフレータ21を作動させる。これによりインフレータ21からはそのガス噴出口25を通じて高圧ガスがエアバッグ22内に噴出される。ここで上述のように、ガス噴出口25にはその全周に亘って噴出孔25aが形成されているため、この噴出されたガスは同ガス噴出口25からインフレータ21の筒下方向および周方向(側方)に向かって進むようになる。このため、このように噴出されたガスの大部分は、図4に示されるように、エアバッグ22の下方に位置する部位に流入するものの、ガス噴出口25の側方にも噴出孔25aが形成されていることから、同噴出されたガスは、エアバッグ22の車両前方向に位置する部位に向けても相当量のガスが進入する。そして、このように噴出されたガスのうち、図4中に矢印Bにて示すガスは、上記シーム30に設けられた傾斜部31aによって車両前方への流れが遮られるとともに、インフレータ21の筒元PB方向、すなわちエアバッグ22の上方に位置する部位に案内されるようになる。このため、エアバッグ22には、その下方に位置する部位のみならず上方に位置する部位にも上記噴出されたガスが早い時期から流入されるようになり、エアバッグ22全体としての上下の部位間における膨張の速度差が的確に緩和されるようになる。
(1)エアバッグ22には膨張展開時の厚み規制のために縫合された部分であるシーム30を設けるようにしたとともに、同シーム30のガス噴出口25に対向する部分には該ガス噴出口25から噴出されたガスをインフレータ21の筒元PB方向に指向せしめる傾斜部31aを設けるようにした。このため、シート10の背もたれ部10b側部に沿って収納された筒状のインフレータ21の筒下にガス噴出口25が設けられている場合であれ、同ガス噴出口25から車両前方向に向けて噴出されたガスについてはこれをインフレータ21の筒元PB方向、すなわちエアバッグ22の上方に位置する部位に積極的に案内することができるようになる。すなわちこれにより、エアバッグ22には、その上下両方の部位に対して上記噴出されたガスが早期に流入されることとなり、結果として、エアバッグ22の全体が迅速に膨張展開されるようになる。
(2)上記傾斜部31aについてはこれを、そのガス噴出口25寄りに位置する端部がインフレータ21の筒下方向とは逆に突き出す態様で設けることとした。このような態様で傾斜部31aを設けることにより、上述したガス流指向(案内)機能をより確実に得ることができるようになる。また、この端部の突き出し度合いを通じてエアバッグ22の上下方向に分留されるガスの流量をコントロールすることも可能となり、より安定して上記態様でのエアバッグ22の膨張展開を図ることができるようになる。
(3)同じく上記傾斜部31aを、シーム30のガス噴出口25に対向する部位に所定曲率をもって張り出し形成された凸部31の一部として設けることとした。一般に、ガス噴出口25と対向する位置にシーム30を形成すると、このガス噴出口25から噴出されるガスの噴出圧によってシーム30に強い応力が作用し、場合によってはシーム30による厚み規制構造が維持できないなど、エアバッグ22としての適切な展開が図られないおそれがある。この点、傾斜部31aを、上記所定曲率をもって張り出し形成された凸部31の一部として設けることで、同凸部31の曲率を通じてシーム30に作用する応力が分散されることとなり、シーム30による厚み規制構造の的確な維持を図ることができるようになる。また、このような凸部31の一部として上記機能を有する傾斜部31aを形成することで、同傾斜部31aの形成も容易となる。
(4)エアバッグ22の全領域中、インフレータ21のガス噴出口25寄りに偏った位置にシーム30を設けることとした。このようにシーム30自体をガス噴出口側に偏った位置に設けることで、ガス噴出口25から噴出されるガス流のコントロールもより容易かつ的確に行うことができるようになる。
・上記実施形態においては、インフレータ21の筒下にガス噴出口25が設けられたサイドエアバッグ装置20のエアバッグ22について、その上下両方の部位にガスを早い時期から流入させる構成を示したが、この構成を適用可能なサイドエアバッグ装置は本実施形態のものに限定されない。例えば、筒上にガス噴出口が位置する態様でインフレータが設けられているサイドエアバッグ装置であっても、ガス噴出口から噴出されたガスを筒元PB方向に指向せしめる傾斜部を有するシームをエアバッグに設けることで、上述したサイドエアバッグ装置に準ずる作用効果を奏することができる。
Claims (3)
- 車両側部への衝撃の印加に伴って車室内のシートに着座している乗員と車室内側壁部との間で膨張展開するエアバッグを備え、このエアバッグを膨張展開させるためのガス発生源となる筒状のインフレータがそのガス噴出口を筒上、筒下のいずれかに有する態様で、エアバッグと共々、前記シートの背もたれ部側部に沿って収納されてなるサイドエアバッグ装置において、
前記エアバッグには膨張展開時の厚み規制のために対向する基布同士を縫合した部分であるシームが設けられてなるとともに、同シームは、前記エアバッグの全領域中、前記インフレータのガス噴出口寄りに偏った位置に設けられてなり、
前記シームの前記ガス噴出口に対向する部分には前記ガス噴出口から噴出されたガスを前記インフレータの筒元方向のみに指向せしめる傾斜部が設けられてなり、
前記傾斜部は、前記シームの前記ガス噴出口に対向する部位に所定曲率をもって張り出し形成された凸部の一部であって、同凸部の頂部から前記インフレータの筒元側に設けられてなり、
前記凸部の頂部は、前記ガス噴出口より前記インフレータの筒元とは反対側に偏った位置に設けられてなり、
前記シームの前記対向する基布の間には、補強布が挟持されてなることを特徴とするサイドエアバッグ装置。 - 前記シームの前記ガス噴出口に対向する傾斜部は、そのガス噴出口寄りに位置する端部が前記インフレータの筒元方向とは逆方向に突き出す態様で設けられてなる
請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。 - 前記インフレータはその筒下に前記ガス噴出口を有して前記エアバッグと共々、前記シートの背もたれ部側部に沿って収納されてなり、前記シームに設けられた傾斜部は、前記ガス噴出口から噴出されたガスを前記エアバッグの上部方向のみに指向させるものである
請求項1または2に記載のサイドエアバッグ装置。
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- 2006-06-22 JP JP2006172418A patent/JP5098231B2/ja active Active
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