JP5093485B2 - 希土類永久磁石及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、希土類を含む金属間化合物を使って、焼結磁石の残留磁束密度の低減を抑制しながら保磁力を増大させたR−Fe−B系永久磁石及びその製造方法に関する。
Nd−Fe−B系永久磁石は、その優れた磁気特性のために、ますます用途が広がってきている。近年、環境問題への対応から、家電をはじめ、産業機器、電気自動車、風力発電へ磁石の応用が広がったことに伴い、Nd−Fe−B系磁石の高性能化が要求されている。
磁石の性能の指標として、残留磁束密度と保磁力の大きさを挙げることができる。Nd−Fe−B系焼結磁石の残留磁束密度増大は、Nd2Fe14B化合物の体積率増大と結晶配向度向上により達成され、これまでに種々の改善が行われてきている。保磁力の増大に関しては、結晶粒の微細化を図る、Nd量を増やした組成合金を用いる、あるいはAl、Gaなど高保磁力化の効果のある元素を添加する等があるが、現在最も一般的な方法はDyやTbでNdの一部を置換した組成合金を用いることである。
Nd−Fe−B磁石の保磁力機構はニュークリエーションタイプであり、結晶粒界面での逆磁区の核生成が保磁力を支配すると言われている。一般に、結晶粒の界面では、結晶構造の乱れが生じるが、磁石の主相であるNd2Fe14B化合物結晶粒の界面近傍では、深さ方向に数nm程度の結晶構造の乱れがあると結晶磁気異方性の低下を引き起こし、逆磁区の生成を助長して保磁力を低下させる(非特許文献1)。Nd2Fe14B化合物のNdをDyやTb元素で置換することで、化合物相の異方性磁界は増大するため、保磁力を増大することができる。しかし、通常の方法でDyやTbを添加した場合、主相の界面近傍だけでなく、主相の内部までDyやTbで置換されるため、残留磁束密度の低下が避けられない。更に、高価なTbやDyを多く使用しなければならないという問題があった。
これに対し、Nd−Fe−B磁石の保磁力を増大させるため、これまでにも様々な試みが行われている。例えば、2種類の組成の異なった合金粉体を混合、焼結してNd−Fe−B磁石を製造することもその1つである(2合金法)。即ち、R2Fe14B主相(ここで、RはNd、Prを主体とする)からなる合金Aの粉末と、DyやTbをはじめとする種々の添加元素(Dy、Tb、Ho、Er、Al、Ti、V、Mo等)を含む合金Bの粉末を混合した後、微粉砕、磁界中成形、焼結、時効処理を経て、Nd−Fe−B磁石を作製する。得られた焼結磁石は、R2Fe14B化合物主相結晶粒の中心部にDyやTbを含まず、結晶粒の粒界部近傍にDy、Tbなどの添加元素が偏在することで、残留磁束密度の低下を抑制しつつ、高い保磁力を得ることができる(特許文献1,2)。しかしこの方法では、焼結中にDyやTbが主相粒内部に拡散していくため、粒界部近傍のDy,Tbが偏在する厚みは1μm程度以上となり、逆磁区の核生成を生じる深さに比べて著しく厚くなってしまい、その効果はまだ十分とはいえない。
最近、特定の元素をR−Fe−B焼結体の表面から内部へ拡散させて特性を向上させる手段がいくつか開発されている。例えば、蒸着やスパッタリング法を用いて、Nd−Fe−B磁石表面にYb、Dy、Pr、Tb、などの希土類金属やAl、Taなどを成膜した後、熱処理を行う方法や(特許文献3〜5、非特許文献2,3)、焼結体表面にフッ化物や酸化物などの希土類無機化合物粉末を塗布した後、熱処理を施す方法などである(特許文献6)。これらの手法を用いると、例えば焼結体表面に設置されたDyやTbなどの元素は、熱処理によって焼結体組織の粒界部を経路として焼結体の内部まで拡散していく。これにより、DyやTbを粒界部や焼結体主相粒内の粒界部近傍に極めて高濃度に濃化させることが可能であり、前述の2合金法の場合と比べてより理想的な組織形態となる。磁石特性もこの組織形態を反映して、残留磁束密度の低下抑制と高保磁力化が更に顕著に発現する。しかし、特に蒸着やスパッタリング法を用いる方法は、設備や工程などの観点から量産するには問題点が多く、生産性が悪いという欠点があった。
なお、本発明に関連する従来技術としては、下記のものが挙げられる。
特公平5−31807号公報 特開平5−21218号公報 特開2004−296973号公報 特開2004−304038号公報 特開2005−11973号公報 国際公開番号WO2006/043348A1 K.−D.Durst and H.Kronmuller,"THE CORCIVE FIELD OF SINTERED AND MELT−SPUN Nd−Fe−B MAGNETS",Journal of Magnetism and Magnetic Materials 68(1987)63−75 K.T.Park,K.Hiraga and M.Sagawa,"Effect of Metal−Coating and Consecutive Heat Treatment on Coercivity of Thin Nd−Fe−B Sintered Magnets",Proceedings of the Sixteen International Workshop on Rare−Earth Magnets and Their Applications,Sendai,p.257(2000) 町田憲一、川嵜尚志、鈴木俊治、伊東正浩、堀川高志、"Nd−Fe−B系焼結磁石の粒界改質と磁気特性"、粉体粉末冶金協会講演概要集平成16年度春季大会、p.202
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みなされたもので、焼結体上に塗布、拡散処理する材料に希土類を含む金属間化合物を主体とする合金粉末を用いることによって、生産性に優れ、高性能で、かつTbあるいはDyの使用量の少ない、又はTbあるいはDyを使用しない、残留磁束密度の低減を抑制しながら保磁力を増大させたR−Fe−B系焼結磁石及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、かかる課題を解決するために、R−Fe−B系焼結体の表面に、粉砕し易い希土類を含む金属間化合物相を主体とする合金粉末を塗布して拡散処理を施すことで、従来の方法に比べて生産性に優れると共に、焼結体内部の主相粒の界面近傍に拡散合金の構成元素を濃化させ、残留磁束密度の低下を抑制しつつ保磁力を増大できることを見出し、この発明を完成したものである。
即ち、本発明は、以下の希土類永久磁石及びその製造方法を提供する。
請求項1:
下記組成
Ra−T1b−Bc(RはY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、T1はFe及びCoのうちの1種又は2種、a、b、cは原子百分率を示し、以下の範囲を満たす。12≦a≦20、4.0≦c≦7.0、残部b。)
からなる焼結体に対し、下記組成
1i−M1j(R1はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、M1はAl、Si、C、P、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Pb、Biから選ばれる1種又は2種以上、i、jは原子百分率を示し、以下の範囲を満たす。15<j≦99、iは残部。)
からなり、かつ金属間化合物相を70体積%以上含む合金を平均粒子径1μm以上500μm以下の粉末に粉砕して、この合金の粉末を有機溶媒もしくは水中に分散させて上記焼結体の表面に塗布し、乾燥させた状態で、当該焼結体及び当該粉末を当該焼結体の焼結温度以下の温度で真空又は不活性ガス中において熱処理を施して、上記粉末に含まれていたR1及びM1の1種又は2種以上の元素を上記焼結体の内部の粒界部、及び/又は、焼結体主相粒内の粒界部近傍に拡散させることを特徴とする希土類永久磁石の製造方法。
請求項2:
1i−M1j(R1、M1、i、jは上記の通り)の組成からなり、かつ金属間化合物相を70体積%以上含む合金の粉末を、上記焼結体の表面に存在させた状態で、当該焼結体及び当該粉末を、当該焼結体の焼結温度TSに対し(TS−10)℃以下200℃以上の温度で1分〜30時間熱処理を施すことを特徴とする請求項1記載の希土類永久磁石の製造方法。
請求項3:
下記組成
Ra−T1b−Bc(RはY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、T1はFe、Coのうちの1種又は2種、a、b、cは原子百分率を示し、以下の範囲を満たす。12≦a≦20、4.0≦c≦7.0、残部b。)
からなる焼結体に対し、下記組成
1xT2yM1z(R1はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、T2はFe及び/又はCo、M1はAl、Si、C、P、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Pb、Biから選ばれる1種又は2種以上、x、y、zは原子百分率を示し、以下の範囲を満たす。5≦x≦85、15<z≦95、yは残部(但し、y>0)。)
からなり、かつ金属間化合物相を70体積%以上含む合金を平均粒子径1μm以上500μm以下の粉末に粉砕して、この合金の粉末を有機溶媒もしくは水中に分散させて上記焼結体の表面に塗布し、乾燥させた状態で、当該焼結体及び当該粉末を当該焼結体の焼結温度以下の温度で真空又は不活性ガス中において熱処理を施して、上記粉末に含まれていたR1及びM1の1種又は2種以上の元素を上記焼結体の内部の粒界部、及び/又は、焼結体主相粒内の粒界部近傍に拡散させることを特徴とする希土類永久磁石の製造方法。
請求項4:
1xT2yM1z(R1、T2、M1、x、y、zは上記の通り)の組成からなり、かつ金属間化合物相を70体積%以上含む合金の粉末を、上記焼結体の表面に存在させた状態で、当該焼結体及び当該粉末を、当該焼結体の焼結温度TSに対し(TS−10)℃以下200℃以上の温度で1分〜30時間熱処理を施すことを特徴とする請求項3記載の希土類永久磁石の製造方法。
請求項5:
熱処理される焼結体の最小部の寸法が20mm以下の形状を有する請求項1乃至4のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
請求項6:
下記組成
Ra−T1b−Bc(RはY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、T1はFe及びCoのうちの1種又は2種、a、b、cは原子百分率を示し、以下の範囲を満たす。12≦a≦20、4.0≦c≦7.0、残部b。)
からなる焼結体に、下記組成
1i−M1j(R1はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、M1、はAl、Si、C、P、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Pb、Biから選ばれる1種又は2種以上、i、jは原子百分率を示し、以下の範囲を満たす。15<j≦99、iは残部。)
からなり、かつ金属間化合物相を70体積%以上含む合金を平均粒子径1μm以上500μm以下の粉末に粉砕して、この合金の粉末を有機溶媒もしくは水中に分散させて上記焼結体の表面に塗布し、乾燥させた状態で、当該焼結体及び当該粉末を当該焼結体の焼結温度以下の温度で真空又は不活性ガス中において熱処理を施すことにより、当該粉末に含まれていたR1、M1のうちの1種又は2種以上の元素を当該焼結体の内部の粒界部、及び/又は、焼結体主相粒内の粒界部近傍に拡散させた、元の焼結体の磁石特性より保磁力を高めたことを特徴とする希土類永久磁石。
請求項7:
下記組成
Ra−T1b−Bc(RはY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、T1はFe、Coのうちの1種又は2種、a、b、cは原子百分率を示し、以下の範囲を満たす。12≦a≦20、4.0≦c≦7.0、残部b。)
からなる焼結体に対し、下記組成
1xT2yM1z(R1はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、T2はFe及び/又Co、M1はAl、Si、C、P、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Pb、Biから選ばれる1種又は2種以上、x、y、zは原子百分率を示し、以下の範囲を満たす。5≦x≦85、15<z≦95、yは残部(但し、y>0)。)
からなり、かつ金属間化合物相を70体積%以上含む合金を平均粒子径1μm以上500μm以下の粉末に粉砕して、この合金の粉末を有機溶媒もしくは水中に分散させて上記焼結体の表面に塗布し、乾燥させた状態で、当該焼結体及び当該粉末を当該焼結体の焼結温度以下の温度で真空又は不活性ガス中において熱処理を施して、上記粉末に含まれていたR1及びM1の1種又は2種以上の元素を上記焼結体の内部の粒界部、及び/又は、焼結体主相粒内の粒界部近傍に拡散させた、元の焼結体の磁石特性より保磁力を高めたことを特徴とする希土類永久磁石。
本発明によれば、粉砕し易い、希土類を含む金属間化合物を主体とする粉末を焼結体上に塗布、拡散処理することによって、生産性に優れると共に、高性能で、かつTbあるいはDyの使用量の少ない、又はTbあるいはDyを使用しない、残留磁束密度の低減を抑制しながら保磁力を増大させたR−Fe−B系焼結磁石を提供することができる。
本発明は、焼結体上に希土類を含む金属間化合物を主体とする粉末を塗布、拡散処理することによって得られる、高性能で、かつTbあるいはDyの使用量の少ない、又はTbあるいはDyを使用しないR−Fe−B系焼結磁石及びその製造方法に関するものである。
本発明において、母材となるRa−T1b−Bc焼結体(以後、焼結体母材と称する)において、RはSc及びYを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上で、具体的にはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb及びLuが挙げられ、好ましくはNd及び/又はPrを主体とする。これらSc及びYを含む希土類元素は、焼結体全体の12〜20原子%、特に14〜18原子%であることが好ましい。T1はFe、Coのうちの1種又は2種である。Bはボロン元素であり、焼結体全体の4〜7原子%が好ましい。特に5〜6原子%のときは、拡散処理による保磁力の向上が大きい。なお、残部はT1である。
焼結体母材作製用の合金は、原料金属あるいは合金を真空又は不活性ガス、好ましくはAr雰囲気中で溶解したのち、平型やブックモールドに鋳込む、あるいはストリップキャスト法により鋳造することで得られる。また、本系合金の主相であるR2Fe14B化合物組成に近い合金と焼結温度で補助助剤となる希土類に富む合金とを別々に作製し、粗粉砕後に秤量混合する、いわゆる2合金法も本発明には適用可能である。但し、主相組成に近い合金に対しては、鋳造時の冷却速度や合金組成に依存して初晶のα−Feが残存し易く、R2Fe14B化合物相の量を増やす目的で必要に応じて均質化処理を施す。その条件は真空あるいはAr雰囲気中にて700〜1,200℃で1時間以上熱処理する。又は、ストリップキャスト法により主相組成に近い合金を作ることもできる。液相助剤となる希土類に富む合金については上記鋳造法のほかに、いわゆる液体急冷法や、ストリップキャスト法も適用できる。
上記合金は、通常0.05〜3mm、特に0.05〜1.5mmに粗粉砕される。粗粉砕工程にはブラウンミルあるいは水素粉砕が用いられ、ストリップキャストにより作製された合金の場合は水素粉砕が好ましい。粗粉は、例えば高圧窒素を用いたジェットミルにより通常0.2〜30μm、特に0.5〜20μmに微粉砕される。
微粉末は磁界中圧縮成形機で成形され、焼結炉に投入される。焼結は真空又は不活性ガス雰囲気中、通常900〜1,250℃、特に1,000〜1,100℃で行われる。得られた焼結体は、正方晶R2Fe14B化合物を主相として60〜99体積%、特に好ましくは80〜98体積%含有し、残部は0.5〜20体積%の希土類に富む相、0.1〜10体積%の希土類の酸化物及び不可避的不純物により生成した炭化物、窒化物、水酸化物のうち少なくとも1種あるいはこれらの混合物又は複合物を含む。
得られた焼結体ブロックは所定形状に研削加工することができる。本発明において焼結体内部に拡散するR1及び/又はM1、T2は焼結体表面より供給されるため、焼結体母材の最小部の寸法が大きすぎる場合、本発明の効果を達成できなくなる。そのため、最小部の寸法が20mm以下、好ましくは10mm以下、その下限は0.1mm以上であることが求められる。また、特に焼結体母材の最大部の寸法に上限はないが、200mm以下が望ましい。
次いで、焼結体母材上に塗布して拡散処理させる材料としては、R1i−M1j又はR1xT2yM1zの組成からなる合金(以後、この合金を拡散合金と称する)の粉末を用いる。
ここで、R1はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上で、好ましくはNd、Prを主体とする。M1はAl、Si、C、P、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Pb、Biから選ばれる1種又は2種以上である。T2はFe及び/又はCoである。R1i−M1j合金において、M1は15〜99原子%(j=15〜99)である。なお、R1は残部である。R1xT2yM1z合金においては、M1は15〜95原子%(z=15〜95)、R1は5〜85原子%(x=5〜85)である。なお、T2は残部であり、y>0であるが、0.5〜75原子%が好ましい。
これらの拡散合金は、窒素(N)、酸素(O)等の不可避的な不純物も含み得るが、許容量は合計量で4原子%以下とする。
本発明の要点の一つは、これらの拡散合金材料が、組織中に金属間化合物相を70体積%以上含む点にある。もし拡散材料が単一金属や共晶合金などからなる場合は、粉砕しにくいため、下記に記すような微細粉末とするにはアトマイズ法など特殊な手法を用いなければならない。これに対し、金属間化合物相は一般的に硬く脆い性質を持つため、これを主体とする合金を拡散材料に用いれば、R−Fe−B系焼結磁石における合金作製や粉砕などの手段をそのまま適用して容易に微粉末を得ることができ、生産性の観点から極めて有効である。この拡散合金材料は、粉砕性に優れていることが好ましいため、金属間化合物相を70体積%以上、特に90体積%以上含んでいるのが好ましい。なおこの場合の体積%とは、合金組織断面に占める面積%で代替してよいものとする。
上記R1i−M1jもしくはR1xT2yM1zで表される金属間化合物相を70体積%以上含む拡散合金は、焼結体母材作製用の合金と同じく、原料金属あるいは合金を真空又は不活性ガス、好ましくはAr雰囲気中で溶解したのち、平型やブックモールドに鋳込む、あるいはアーク溶解法ストリップキャスト法により鋳造することで得られる。この合金はブラウンミルや水素粉砕などの手段を用いて通常0.05〜3mm、特に0.05〜1.5mm程度に粗粉砕された後、更に例えばボールミル、振動ミルや高圧窒素を用いたジェットミルにより微粉砕される。この粉末の粒径は小さいほど拡散効率が高くなるので、R1i−M1jもしくはR1xT2yM1zで表される金属間化合物相とも、その平均粒子径は500μm以下、好ましくは300μm以下、更に好ましくは100μm以下であることが好ましい。しかし、粒径が細かすぎる場合は、表面酸化の影響が大きく、取り扱いも危険となるので、その平均粒子径の下限は、1μm以上であることが好ましい。なお、本発明において、平均粒子径は、例えばレーザー回折法などによる粒度分布測定装置等を用いて質量平均値D50(即ち、累積質量が50%になるときの粒子径又はメジアン径)などとして求めることができる。
上記拡散合金の粉末を、当該焼結体母材の表面に存在させ、焼結体母材と拡散合金粉末は真空あるいはAr、He等の不活性ガス雰囲気中で焼結温度以下の温度にて熱処理される。以後、この処理を拡散処理と称する。拡散処理により拡散合金中のR1、M1は焼結体内部の粒界部、及び/又は、焼結体主相粒内の粒界部近傍に拡散される。
上記拡散合金の粉末を焼結体母材の表面上に存在させる方法としては、例えば粉末を有機溶剤あるいは水に分散させ、このスラリーに焼結体母材を浸した後に熱風や真空により乾燥させたり、あるいは自然乾燥させたりすればよい。この他にスプレーによる塗布等も可能である。なお、スラリー中における上記粉末の含有量は、1〜90質量%とすればよく、特に5〜70質量%とするのが好ましい。
本発明の効果を有効に達成させるために、焼結体表面から距離1mm以下の焼結体を取り囲む塗布合金化合物からの元素の占有率は、空間内での平均的な値で、1容積%以上、好ましくは10容積%以上である。その上限は特に制限されないが、通常95容積%以下、特に90容積%以下である。
拡散処理の条件は、拡散合金の種類や構成元素によって異なるが、R1やM1が焼結体内部の粒界部や焼結体主相粒内の粒界部近傍に濃化するような条件が好ましい。拡散処理温度は焼結体母材の焼結温度以下である。処理温度の限定理由は以下の通りである。当該焼結体母材の焼結温度(TS℃と称する)より高い温度で処理すると、(1)焼結体の組織が変質し、高い磁気特性が得られなくなる、(2)熱変形により加工寸法が維持できなくなる等の問題が生じるために、処理温度は焼結温度以下、好ましくは(TS−10)℃以下とする。その下限は200℃以上、特に350℃以上とすることが好ましい。拡散処理時間は1分〜30時間である。1分未満では拡散処理が完了せず、30時間を超えると、焼結体の組織が変質したり、不可避的な酸化や成分の蒸発が磁気特性に悪い影響を与えたり、あるいはM1やM2が粒界部や焼結体主相粒内の粒界部近傍だけに濃化せずに主相粒の内部まで拡散したりする問題が生じる。より好ましくは1分〜10時間、更に好ましくは10分〜6時間である。
焼結体母材の表面に塗布された拡散合金の構成元素R1やM1は、最適な拡散処理を施すことによって、焼結体組織のうち粒界部を主な経路として焼結体内部に拡散していく。これにより、R1やM1が焼結体内部の粒界部、及び/又は、焼結体主相粒内の粒界部近傍に濃化した組織が得られる。
以上のようにして得られた永久磁石は、R1やM1の拡散によって組織内部の主相粒界面近傍の構造が改質され、主相粒界面の結晶磁気異方性の低下が抑制されたり、あるいは粒界部に新たな相が形成されたりすることで、保磁力が向上する。また、これらの拡散合金元素は主相粒の内部までは拡散していないため、残留磁束密度の低下を抑制することができ、高性能な永久磁石として用いることができる。
更に、保磁力の増大効果を増すため、上記の拡散処理を施した磁石体に対して更に200〜900℃の温度で時効処理を施してもよい。
以下、本発明の具体的な内容について実施例及び比較例をもって詳述するが、本発明の内容はこれに限定されるものではない。
[実施例1、比較例1]
純度99質量%以上のNd、Fe、Coメタルとフェロボロンを用いてAr雰囲気中で高周波溶解し、Cu鋳型に鋳込んで磁石合金を作製した。この合金をブラウンミルにて粉砕し、1mm以下の粗粉末とした。
続いて、粗粉は高圧窒素ガスを用いたジェットミルにて、粉末の質量中位粒径5.2μmに微粉砕した。得られた微粉末を20kOeの磁界中で配向させながら、約300kg/cm2の圧力で成形した。次いでこの成形体を真空焼結炉内に投入し、1,060℃で1.5時間焼結して焼結体ブロックを作製した。焼結体ブロックはダイヤモンドカッターにより、4mm×4mm×2mm寸法に全面研削加工した後、アルカリ溶液、純水、硝酸、純水の順で洗浄・乾燥し、焼結体母材とした。その組成は、Nd16.0FebalCo1.05.3であった。
純度99質量%以上のNd、Alメタルを用いて、Ar雰囲気中でアーク溶解し、組成がNd33Al67で、NdAl2の金属間化合物相を主とする拡散合金を作製した。この合金を有機溶媒を用いたボールミルにより、粉末の質量中位粒径7.8μmに微粉砕した。なお、この合金はEPMA観察により、NdAl2金属間化合物相が94体積%であった。
上記拡散合金粉末15gをエタノール45gと混合した混濁液に超音波を印加しながら焼結体母材を30秒間浸した。引き上げた焼結体は温風にて直ちに乾燥した。
拡散合金粉末により覆われた焼結体に対し、真空中800℃で1時間という条件で拡散処理を施し、実施例1の磁石を得た。更に拡散合金粉末を存在させずに焼結体母材のみを同じく真空中800℃で1時間熱処理して比較例1とした。
実施例1及び比較例1における焼結体母材と拡散合金の組成、拡散合金中に主として含まれる金属間化合物相、及び拡散処理温度、時間を表1に、またそれらの磁気特性を表2に示した。本発明による実施例1の磁石の保磁力は比較例1の磁石と比べて1300kAm-1の増大が認められた。また、残留磁束密度の低下は15mTであった。
Figure 0005093485
Figure 0005093485
[実施例2、比較例2]
純度99質量%以上のNd、Fe、Coメタルとフェロボロンを用いてAr雰囲気中で高周波溶解し、Cu鋳型に鋳込んで磁石合金を作製した。この合金をブラウンミルにて粉砕し、1mm以下の粗粉末とした。
続いて、粗粉は高圧窒素ガスを用いたジェットミルにて、粉末の質量中位粒径5.2μmに微粉砕した。得られた微粉末を20kOeの磁界中で配向させながら、約300kg/cm2の圧力で成形した。次いでこの成形体を真空焼結炉内に投入し、1,060℃で1.5時間焼結して焼結体ブロックを作製した。焼結体ブロックはダイヤモンドカッターにより、4mm×4mm×2mm寸法に全面研削加工した後、アルカリ溶液、純水、硝酸、純水の順で洗浄・乾燥し、焼結体母材とした。その組成はNd16.0FebalCo1.05.3であった。
純度99質量%以上のNd、Fe、Co、Alメタルを用いて、Ar雰囲気中でアーク溶解し、組成がNd35Fe25Co20Al20の拡散合金を作製した。この合金を有機溶媒を用いたボールミルにより、粉末の質量中位粒径7.8μmに微粉砕した。
なお、この合金は、Nd(FeCoAl)2、Nd2(FeCoAl)、Nd2(FeCoAl)17金属間化合物相などを含み、これらの金属間化合物相の合計が、87体積%であることを、EPMA観察により確認した。
上記拡散合金粉末15gをエタノール45gと混合した混濁液に超音波を印加しながら焼結体母材を30秒間浸した。引き上げた焼結体は温風にて直ちに乾燥した。
拡散合金粉末により覆われた焼結体に対し、真空中800℃で1時間という条件で拡散処理を施し、実施例2の磁石を得た。更に拡散合金粉末を存在させずに焼結体母材のみを同じく真空中800℃で1時間熱処理して比較例2とした。
実施例2及び比較例2における焼結体母材と拡散合金の組成、拡散合金中に主として含まれる金属間化合物相、及び拡散処理温度、時間を表3に、またそれらの磁気特性を表4に示した。本発明による実施例2の磁石の保磁力は比較例2の磁石と比べて1150kAm-1の増大が認められた。また残留磁束密度の低下は18mTであった。
Figure 0005093485
Figure 0005093485
[実施例3]
純度99質量%以上のNd、Fe、Coメタルとフェロボロンを用いてAr雰囲気中で高周波溶解し、Cu鋳型に鋳込んで磁石合金を作製した。この合金をブラウンミルにて粉砕し、1mm以下の粗粉末とした。
続いて、粗粉は高圧窒素ガスを用いたジェットミルにて、粉末の質量中位粒径5.2μmに微粉砕した。得られた微粉末を20kOeの磁界中で配向させながら、約300kg/cm2の圧力で成形した。次いでこの成形体を真空焼結炉内に投入し、1,060℃で1.5時間焼結して焼結体ブロックを作製した。焼結体ブロックをダイヤモンドカッターにより、50mm×50mm×15mm寸法(実施例3−1焼結体)と、50mm×50mm×25mm寸法(実施例3−2焼結体)に全面研削加工した後、アルカリ溶液、純水、硝酸、純水の順で洗浄・乾燥し、焼結体母材とした。その組成はNd16.0FebalCo1.05.3であった。
次に、純度99質量%以上のNd、Alメタルを用いて、Ar雰囲気中でアーク溶解し、組成がNd33Al67で、NdAl2の金属間化合物相を主とする拡散合金を作製した。この合金を有機溶媒を用いたボールミルにより、粉末の質量中位粒径7.8μmに微粉砕した。なお、この合金はEPMA観察により、NdAl2金属間化合物相が93体積%であった。
上記拡散合金粉末30gをエタノール90gと混合した混濁液に超音波を印加しながら実施例3−1、実施例3−2の焼結体母材を30秒間浸した。引き上げた焼結体は熱風にて直ちに乾燥した。
拡散合金粉末により覆われた焼結体に対し、真空中850℃で6時間という条件で実施例3−1、実施例3−2の焼結体に拡散処理を施し、実施例3−1、実施例3−2を得た。
実施例3−1及び実施例3−2における焼結体母材と拡散合金の組成、拡散合金中に主として含まれる金属間化合物相、及び拡散処理温度、時間、母材最小部寸法を表5に、またそれらの磁気特性を表6に示した。実施例3−1の母材最小部が15mmの場合は、拡散処理の効果が大きく、保磁力は1584kAm-1であったが、実施例3−1の母材最小部が20mmを超えて25mmのときには、拡散処理の効果が少ないものだった。
Figure 0005093485
Figure 0005093485
[実施例4〜52]
実施例1と同様に、種々の焼結体母材に種々の拡散合金を塗布し、種々の拡散処理温度、時間を施した。そのときの焼結体母材と拡散合金の組成、拡散合金中に主に含まれる金属間化合物相、金属間化合物量及び拡散処理の条件を表7,8に、磁気特性を表9,10に示す。なお、拡散合金中に含まれる金属間化合物相の量は、EPMA観察により確認している。
Figure 0005093485
Figure 0005093485
Figure 0005093485
Figure 0005093485
[実施例53〜60、比較例3]
純度99質量%以上のNd、Fe、Coメタルとフェロボロンを用いてAr雰囲気中で高周波溶解し、Cu鋳型に鋳込んで磁石合金を作製した。この合金をブラウンミルにて粉砕し、1mm以下の粗粉末とした。
続いて、粗粉は高圧窒素ガスを用いたジェットミルにて、粉末の質量中位粒径4.2μmに微粉砕した。得られた微粉末の酸化を抑制するため、雰囲気を不活性ガスに置換した状態で、20kOeの磁界中で配向させながら、約300kg/cm2の圧力で成形した。次いでこの成形体を真空焼結炉内に投入し、1,060℃で1.5時間焼結して焼結体ブロックを作製した。焼結体ブロックはダイヤモンドカッターにより、4mm×4mm×2mm寸法に全面研削加工した後、アルカリ溶液、純水、硝酸、純水の順で洗浄・乾燥し、焼結体母材とした。その組成は、Nd13.8FebalCo1.06.0であった。
純度99質量%以上のDy、Tb、Nd、Pr、Co、Ni、Alメタルを用いて、Ar雰囲気中でアーク溶解し、種々の組成の拡散合金を作製した(表11)。これらの合金を有機溶媒を用いたボールミルにより、粉末の質量中位粒径7.9μmに微粉砕した。なお、これらの合金はEPMA観察により、それぞれ拡散合金の主な金属間化合物相(表11)が94体積%であった。
上記拡散合金粉末15gをエタノール45gと混合した混濁液に超音波を印加しながら焼結体母材を30秒間浸した。引き上げた焼結体は温風にて直ちに乾燥した。
拡散合金粉末により覆われた焼結体に対し、真空中840℃で10時間という条件で拡散処理を施し、実施例53〜60の磁石を得た。更に拡散合金粉末を存在させずに焼結体母材のみを同じく真空中840℃で10時間熱処理して比較例3とした。
実施例53〜60及び比較例3における焼結体母材と拡散合金の組成、拡散合金中に主として含まれる金属間化合物相、及び拡散処理温度、時間を表11に、またそれらの磁気特性を表12に示した。本発明による実施例53〜60の磁石の保磁力は比較例3の磁石と比べてそれぞれ大幅な増大が認められた(表12)。また、残留磁束密度の低下はそれぞれ10mT程度のわずかな量であった(表12)。
Figure 0005093485
Figure 0005093485

Claims (7)

  1. 下記組成
    Ra−T1b−Bc(RはY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、T1はFe及びCoのうちの1種又は2種、a、b、cは原子百分率を示し、以下の範囲を満たす。12≦a≦20、4.0≦c≦7.0、残部b。)
    からなる焼結体に対し、下記組成
    1i−M1j(R1はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、M1はAl、Si、C、P、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Pb、Biから選ばれる1種又は2種以上、i、jは原子百分率を示し、以下の範囲を満たす。15<j≦99、iは残部。)
    からなり、かつ金属間化合物相を70体積%以上含む合金を平均粒子径1μm以上500μm以下の粉末に粉砕して、この合金の粉末を有機溶媒もしくは水中に分散させて上記焼結体の表面に塗布し、乾燥させた状態で、当該焼結体及び当該粉末を当該焼結体の焼結温度以下の温度で真空又は不活性ガス中において熱処理を施して、上記粉末に含まれていたR1及びM1の1種又は2種以上の元素を上記焼結体の内部の粒界部、及び/又は、焼結体主相粒内の粒界部近傍に拡散させることを特徴とする希土類永久磁石の製造方法。
  2. 1i−M1j(R1、M1、i、jは上記の通り)の組成からなり、かつ金属間化合物相を70体積%以上含む合金の粉末を、上記焼結体の表面に存在させた状態で、当該焼結体及び当該粉末を、当該焼結体の焼結温度TSに対し(TS−10)℃以下200℃以上の温度で1分〜30時間熱処理を施すことを特徴とする請求項1記載の希土類永久磁石の製造方法。
  3. 下記組成
    Ra−T1b−Bc(RはY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、T1はFe、Coのうちの1種又は2種、a、b、cは原子百分率を示し、以下の範囲を満たす。12≦a≦20、4.0≦c≦7.0、残部b。)
    からなる焼結体に対し、下記組成
    1xT2yM1z(R1はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、T2はFe及び/又はCo、M1はAl、Si、C、P、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Pb、Biから選ばれる1種又は2種以上、x、y、zは原子百分率を示し、以下の範囲を満たす。5≦x≦85、15<z≦95、yは残部(但し、y>0)。)
    からなり、かつ金属間化合物相を70体積%以上含む合金を平均粒子径1μm以上500μm以下の粉末に粉砕して、この合金の粉末を有機溶媒もしくは水中に分散させて上記焼結体の表面に塗布し、乾燥させた状態で、当該焼結体及び当該粉末を当該焼結体の焼結温度以下の温度で真空又は不活性ガス中において熱処理を施して、上記粉末に含まれていたR1及びM1の1種又は2種以上の元素を上記焼結体の内部の粒界部、及び/又は、焼結体主相粒内の粒界部近傍に拡散させることを特徴とする希土類永久磁石の製造方法。
  4. 1xT2yM1z(R1、T2、M1、x、y、zは上記の通り)の組成からなり、かつ金属間化合物相を70体積%以上含む合金の粉末を、上記焼結体の表面に存在させた状態で、当該焼結体及び当該粉末を、当該焼結体の焼結温度TSに対し(TS−10)℃以下200℃以上の温度で1分〜30時間熱処理を施すことを特徴とする請求項3記載の希土類永久磁石の製造方法。
  5. 熱処理される焼結体の最小部の寸法が20mm以下の形状を有する請求項1乃至4のいずれか1項記載の希土類永久磁石の製造方法。
  6. 下記組成
    Ra−T1b−Bc(RはY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、T1はFe及びCoのうちの1種又は2種、a、b、cは原子百分率を示し、以下の範囲を満たす。12≦a≦20、4.0≦c≦7.0、残部b。)
    からなる焼結体に、下記組成
    1i−M1j(R1はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、M1、はAl、Si、C、P、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Pb、Biから選ばれる1種又は2種以上、i、jは原子百分率を示し、以下の範囲を満たす。15<j≦99、iは残部。)
    からなり、かつ金属間化合物相を70体積%以上含む合金を平均粒子径1μm以上500μm以下の粉末に粉砕して、この合金の粉末を有機溶媒もしくは水中に分散させて上記焼結体の表面に塗布し、乾燥させた状態で、当該焼結体及び当該粉末を当該焼結体の焼結温度以下の温度で真空又は不活性ガス中において熱処理を施すことにより、当該粉末に含まれていたR1、M1のうちの1種又は2種以上の元素を当該焼結体の内部の粒界部、及び/又は、焼結体主相粒内の粒界部近傍に拡散させた、元の焼結体の磁石特性より保磁力を高めたことを特徴とする希土類永久磁石。
  7. 下記組成
    Ra−T1b−Bc(RはY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、T1はFe、Coのうちの1種又は2種、a、b、cは原子百分率を示し、以下の範囲を満たす。12≦a≦20、4.0≦c≦7.0、残部b。)
    からなる焼結体に対し、下記組成
    1xT2yM1z(R1はY及びScを含む希土類元素から選ばれる1種又は2種以上、T2はFe及び/又Co、M1はAl、Si、C、P、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Pb、Biから選ばれる1種又は2種以上、x、y、zは原子百分率を示し、以下の範囲を満たす。5≦x≦85、15<z≦95、yは残部(但し、y>0)。)
    からなり、かつ金属間化合物相を70体積%以上含む合金を平均粒子径1μm以上500μm以下の粉末に粉砕して、この合金の粉末を有機溶媒もしくは水中に分散させて上記焼結体の表面に塗布し、乾燥させた状態で、当該焼結体及び当該粉末を当該焼結体の焼結温度以下の温度で真空又は不活性ガス中において熱処理を施して、上記粉末に含まれていたR1及びM1の1種又は2種以上の元素を上記焼結体の内部の粒界部、及び/又は、焼結体主相粒内の粒界部近傍に拡散させた、元の焼結体の磁石特性より保磁力を高めたことを特徴とする希土類永久磁石。
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