請求項1に記載の発明は、冷蔵庫本体内に断熱区画された貯蔵室を照明する照明用光源と、照明用以外の機能を有するとともに280nm以上600nm以下の波長の光を照射する第2の光源とを備え、前記照明用光源と前記第2の光源とを同一基板に実装し、前記同一基板を前記貯蔵室の前後方向の中央より前面側の凹部に配置して照射するもので、前記第2の光源は前記照明用光源とは独立して点灯制御するとともに、前記第2の光源は、前記照明用光源以下の色温度で、前記照明用光源より演色性の良い高輝度光源で照射するものである。
これによって、波長が長く比較的安全な範囲の波長である紫外AおよびB領域である280nmから400nmの範囲の波長を持つものや、400nm以上の可視領域の波長を持つもので、特に400nmから500nm付近にピーク波長を持つ青色および500nmから600nmの波長の緑色を発光するもので構成し、連続照射、あるいは点滅照射すること可能としている。
また、冷蔵庫によく用いられる合成樹脂などの劣化を防ぎ、さらには長期保存食品に対する脂質酸化などの品質劣化を抑えた上で、常に菌や黴の繁殖を抑制し冷蔵庫を清潔に保持する機能を備えた冷蔵庫を提供する。
加えて、第2の光源に例えば庫内に菌やカビなどが存在している場合や汚れが付着している場合に、菌やカビや汚れなどに対して発光するような光源を用いた場合は、庫内の汚れの付着状態を確認することが可能であり、冷蔵庫使用者に対して貯蔵空間内の汚れ状態を知らせることが可能である。また、第2の光源の波長を変えることによって、例えば、青色の場合は冷えているイメージを与え、赤色系の色に変化させた場合は冷蔵庫使用者の視覚に対して、温度上昇異常のイメージを与えるなど、冷蔵庫使用者の視覚に対して貯蔵空間の状態を知らせることが可能である。
請求項2に記載の発明は、照明用光源と第2の光源とが配置されている貯蔵室の扉を開いた場合に、前記照明用光源および第2の光源の光が冷蔵庫使用者の可視範囲内となるように配置されたものである。
これによって、使用者は冷蔵庫の扉を開放した時に、光を視覚で認知できるため、冷蔵庫内における菌やカビなどの繁殖を抑制しているという動作状態を常に確認でき、使用者に視覚的に付加機能を認識させることが可能な為、商品に対する訴求につながるといったような付加価値的な効果を有する冷蔵庫を提供することを目的とする。
また、冷蔵庫使用者の手元を照明用光源によって明るく照射されることに加えて、第2の光源は、低波長領域の紫外線を有さない場合は、人体に対する悪影響が回避できるため、冷蔵庫使用者の可視範囲内で照射することが可能となる。これによって、冷蔵庫使用者は保存物に対して第2の光源が機能している状況を確認することが可能となる。
請求項3に記載の発明は、第2の光源は点滅照射する機能を有することで、例えば、可視領域の光の中で、特に紫外領域をほとんど含まない波長であるにも関わらず、青色を含む波長を点滅照射することで最も効果的に静菌作用を行うことが可能であり、紫外領域の波長の連続照射による、人体への悪影響や、樹脂への劣化などの影響を与えず静菌作用をすることが可能である。また使用者が冷蔵庫の扉を開けた時に、点滅照射されている光を認識し、動作を確認できることから、機能付加による効果を視覚的に訴求でき、商品としても冷蔵庫を常に清潔に保っているというような安心感を提供できる。また、暖かいイメージを与える赤色系の色を点滅照射させた場合は冷蔵庫使用者の視覚に対して、警告ランプとして、温度上昇異常を知らせることが可能である。尚、警告ランプとしての光源の色は特には限定しないが、できるだけ、使用者が抱く色のイメージに忠実である方が望ましい。さらに、第2の光源の種類は特には限定しないが、例えば発光ダイオードを用いている場合、照射寿命は点灯時間に比例するため、連続照射と比較すると点滅照射の場合はさらに長寿命化が図れ、冷蔵庫などの長寿命性能が求められる商品では大変有効的であり、消費電力量や発熱量も小さいため汎用性が高く、望ましい。
請求項4に記載の発明は、照明用光源と第2の光源とは、貯蔵スペース内部の壁に縦型に配置していることを特徴とすることで、全体を満遍なく照射することが可能であり、使用者が冷蔵庫の食品などの保存物を見渡しやすくなり、食品を素早く出し入れできることで、扉開放による冷気の漏れを抑制することも可能となり、食品の劣化を抑制するだけでなく、省エネ効果も得られる。
請求項5に記載の発明は、第2の光源は、冷蔵庫本体の区画内の貯蔵室の貯蔵スペース内部に設置している収納棚の下部側に配置している、区分された特定空間を照射することを特徴とすることで、より庫内を清潔に保つことが可能である。すなわち、冷蔵庫本体の区画内の貯蔵室の貯蔵スペース内部に設置している収納棚の下部側に配置している場所には、冷蔵庫使用者が汚れの根源であるとイメージする食品である卵ケースや常に清潔に保ちたいというニーズの大きい製氷用給水タンクや、肉や魚などの生鮮食品をチルドやパーシャルなどの温度帯で新鮮に保存したいというニーズの大きい特定低温室が配置されており、これらの空間に対して集中的に照射することによって、より効率的に菌やカビなどの雑菌の増殖を抑制することが可能となる。また、第2の光源のみをこれらの空間に対して、固有に配置することによって、光の照射強度は光源から照射対象物への距離に比例する為、より小さい空間においては強い照射強度で照射することが可能である為、効果的に菌やカビなどの雑菌の増殖を抑制することが可能であるため、さらに、効率的に庫内を清潔に保つことが可能である。
請求項6に記載の発明は、冷蔵庫本体は断熱区画された複数の貯蔵室を有し、照明用光源と、第2の光源とが配置されている貯蔵室は、前記複数の貯蔵室の中で最上部に位置することを特徴とすることで、冷蔵庫使用者にとって最も使いやすいとされる範囲において、手元が明るくなったり、冷蔵庫内に保存されている保存物が見えやすくなることで使い勝手が向上する。さらに、最上部に位置する貯蔵室には、その他の貯蔵室と比較すると多種多様な食品や薬品など食品以外の収納物も存在している可能性が高い空間であり、また、紙製の牛乳パックに入った牛乳などの液体物や不安定な皿に入った残り物のおかずが収納されている場合なども想定でき、扉開閉時にそれらの食品の一部が飛散することも考えられ、壁面や収納棚に最も汚れが付着しやすい場所であるため、第2の光源として静菌作用を有する場合には、連続して光を照射しながら、冷蔵庫使用者が汚れについて、最も気にかける貯蔵空間に対する静菌効果を高めることが可能である。
請求項7に記載の発明は、照明用光源と、第2の光源とが配置されている貯蔵室は、回転式の扉が備えられており、使用者が前記回転式の扉を開いた場合に、照明用光源と、第2の光源からの光が直接使用者の目に入るものであることを特徴とすることで、冷蔵庫使用者が扉を開ける動作を行いながら光源の点灯状態を確認することが可能である。
請求項8に記載の発明は、照明用光源と、第2の光源とが配置されている貯蔵室において、扉開時は前記照明用の光源と前記照明用以外の機能を併せ持つ第2の光源は点灯し、扉閉時は前記照明用光源は消灯し、前期照明用以外の機能を併せ持つ第2の光源は点灯していることを特徴とすることで、例えば第2の光源が静菌作用を持つ場合には、扉閉時に常に第2の光源が冷蔵庫内に存在する菌やカビなどの雑菌の増殖を抑制することが可能であり、庫内を清潔に保つことが可能である。また、使用者が冷蔵庫扉を開けた場合にも、第2の光源は人体に対する影響度や食品の脂質酸化促進を増加させるなどの悪影響が紫外線と比較するとほとんどないことから、第2の光源は点灯していることによって、扉開時に冷蔵庫外からの菌やカビなどの雑菌の進入を防ぐことが可能であり、さらに効果的である。また、第2の光源は可視領域の波長領域で静菌機能を有している場合には、使用者が冷蔵庫の扉を開けた時に、光を認識し、動作を確認できることから、その機能付加による効果を視覚的に認識することから、冷蔵庫を清潔に保っているというイメージを持ちやすく、店頭における訴求効果にも貢献する。
請求項9に記載の発明は、第2の光源は、前記冷蔵庫本体の区画内の貯蔵室に保存する食品や、前記冷蔵庫本体の区画内の貯蔵室空間に対して静菌機能を有するものであることを特徴とすることで、紫外線とは異なり、照射による食品の脂質酸化促進や、樹脂の劣化促進や、人体影響などの紫外線によってもたらされる悪影響を回避でき、効果的である。
請求項10に記載の発明は、第2の光源に、400nm以上500nm以下の青色を含む波長の光を用いたことで、可視領域の光の中で、特に紫外領域をほとんど含まない波長であるにも関わらず、400nm〜500nm程度にピーク波長を有する青色を含む波長を点滅照射することで最も効果的に静菌作用を行うことが可能であり、400nm〜500nm程度にピーク波長を有する青色を含む波長の連続照射によって人体への悪影響や、樹脂への劣化などの影響を与えず静菌作用をすることが可能である。
請求項11に記載の発明は、第2の光源は、冷蔵庫使用者の可視範囲内に配置し、扉開時に警告を知らせることを特徴とすることで、第2の光源の色は特に限定はしないが、可視領域の波長を有すことによって、例えば、冷蔵庫内の温度上昇が生じた時に、赤色に変化したり、可視領域の波長を点滅照射したりすることによって、視覚的に状態を知らせる
ことが可能である。従って、冷蔵庫使用者に対して扉を素早く閉めて冷蔵庫内の温度の安定を図るなどの動作へと促すことが可能となり、冷蔵庫内に保存されている食品などの品質劣化も抑制することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の扉を開けた状態の正面図である。図2は、同実施の形態における図1のA−A線断面図である。図3は、同実施の形態における実装基板部の断面図である。
図1及び図2において、断熱材で周囲と断熱して構成されている冷蔵庫本体5は複数の区画に区分された貯蔵室を形成しており、最上部の貯蔵室を冷蔵室6、冷蔵室6の直下には断熱されて仕切壁よって区画された製氷室7と切替室8を横並びで配置している。最下段の貯蔵室は冷凍室10、そして製氷室7及び切替室8と冷凍室10との間には野菜室9が配置される構成となっている。
また、これらの貯蔵室の前面開口部には扉(図示せず)が備えられており、扉が閉まることで貯蔵室を略密閉している。
冷蔵室6内には、照明用光源1が冷蔵庫の前後方向における中心よりも前側でかつ収納棚12よりも前側に備えられている。また、照明用光源1に加えて、照明以外の機能を併せ持つ第2の光源2として静菌作用効果のある光源を配置しており、照明用光源1と第2の光源2とを分散させることなく集中させて配置している。
照明用光源と第2の光源とは、貯蔵スペース内部の壁に縦型に配置している。
冷蔵室6内には、保存物を重ならず整理して保存するための複数の収納棚12が設けられ、一部は上下に可動にできるように構成されている。最下段には前面に専用扉を有する特定低温室13が設けられ、主に、選定した肉や魚などの生鮮食品やハムやちくわなどの加工品など特定保存物が最適な温度で保存される。さらに特定低温室13の反対側の壁の横側には製氷装置へ製氷水を供給する光透過性の材料で形成された製氷用給水タンク14が設置されている。
そして、特定低温室13と製氷用給水タンク14の間には、卵ケース15が設置されている。冷蔵室6の庫内には、瓶類やペットボトルに入った調味料やドレッシングや、バターやチーズやジャムといった常備性があり一定期間保存されることの多い食品と、牛乳やジュースなどの飲料、肉類や野菜、サラダ類、残り物のおかずなど保存期間が長くても約1週間以内であるような、比較的使用頻度の高い食品など、多種多様な食品や薬品が複数の収納棚12の上やドア側の収納ケース(図示せず)や最下段に設置している前面に専用扉を有する特定低温室13などに収納されている。
冷蔵室6は野菜室9などとは異なり、多種多様な食品や薬品など食品以外の収納物も存在している可能性が高い空間である。また、紙製の牛乳パックに入った牛乳などの液体物や不安定な皿に入った残り物のおかずが収納されている場合なども想定でき、冷蔵室6のドア開閉時にそれらの食品の一部が飛散することも考えられ、冷蔵室6内の壁面や収納棚12は最も汚れが付着しやすい場所である。また、長期にわたり常備している食品も多く存在している為、使用者が頻繁に棚や壁の汚れを除去するという作業を施しにくい場所でもある。
しかしながら、その反面、使用者は非常に冷蔵室6内の汚れについて、気にかける傾向があり、菌やカビを除去してできるだけ清潔に保ちたいというニーズが高い。また、できる限り汚れにくく、汚れを常に連続して自動的に除去し、安心で清潔な保存空間が得られるような付加機能を冷蔵庫には求められている為、照明用光源1に加えて、照明以外の機能を併せ持つ第2の光源2として静菌作用効果のある光源を配置している。
ここで、照明用光源とは例えば白色の光源のように、貯蔵空間内の食品を冷蔵庫使用者が見やすくなるような色であることとする。尚、本実施の形態1においては、光源として発光ダイオードを用いているが、光源の種類は限定するものではない。すなわち、冷蔵室6の室内側壁には扉開放前面から見て左右に、それぞれ実装基板16が埋設されており、実装基板16の上面はランプカバー11で覆われている。図3において、実装基板16、照明用光源1、通電端子3および断熱板4とで従来例と同様に照明装置を構成している。
照明用光源1の間には任意の位置に複数の第2の光源2が配置され、実装基板16に実装されている。実装基板16は冷蔵室側壁17の室内側凹部にスペーサー18によって保持されており、照明用光源1及び第2の光源2の発光部から一定の距離をおいて、ランプカバー11が各光源の発光部全体を覆うように冷蔵室側壁17の室内側凹部に装着されている。ランプカバー11としては、エポキシ、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどの透明樹脂のうち、一つの材料もしくは複合材料をベース材として形成され、拡散性の持つものがよい。尚、本実施例では照明装置を冷蔵室の側壁に埋設したが、ランプカバー11を通して食品等の保存物が照射できれば、天壁や収納棚12など室内の何処の位置に埋設しても良い。
さらに、光の照射強度については、限定するものではなく、より機能性効果を向上させる為に、強い照射強度が求められる場合は、例えば発光ダイオードの個数を増加したり、輝度の高いものを選定してもよい。本実施の形態1においては、発光源として、発光ダイオードは発熱量が小さく、貯蔵空間内の温度上昇を防ぐことが可能であり、食品の保存性を安定させることができることや、ランニングコストが安く、その上耐久性に優れておりコンパクト設計が可能なことから、汎用性が高く、冷蔵庫の仕様として望ましい。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷蔵室6内を照明用光源1で照明する場合には、通電端子3を通して照明用光源1に順方向電流を流して発光させ、この光がランプカバー11に進光して、ランプカバー11で拡散されて冷蔵室6内が照射されることになる。この照明用の光の波長領域については、一般的に可視光線と呼ばれるものであって、およそ380nmから780nmの領域の中で複合されたものであって、一般的に家庭用で用いられる蛍光灯や白熱灯と同等のものである。また、照明を消灯する場合には、照明用光源1への順方向電流の通電を停止させる。すなわち、照明用光源1は使用者が冷蔵室6の扉を開いて冷蔵室6内に保存している食品を眺める、出し入れをする時に冷蔵室6内を明るく照らすものであり、できる限り冷蔵室6全体に光が遮られることなく照射される方が望ましい。また使用者が冷蔵室6の扉を閉めた後には速やかに消灯される。
次に、冷蔵室6内を第2の光源2で食品保鮮向上させる光を照射する場合には、照明用光源1と同様に、通電端子3を通して第2の光源2に順方向電流を流して発光させ、この照明用以外の光がランプカバー11に進光して、ランプカバー11で拡散されて冷蔵室6内が照射されることになる。また、照射を停止させる場合には、第2の光源2への順方向電流の通電を停止させればよい。
すなわち、食品保鮮向上させることを目的とした第2の光源2は照明用の照明用光源1とは異なり、例えば、扉が開いている時にのみ照射するのではなく、冷蔵室6の扉を閉めている時に、冷蔵室6内に浮遊する菌類やカビ類などの雑菌や、壁面に付着する菌類やカビなどの増殖を抑制する為に、照射し続けていることが望ましい。尚、第2の光源2の波長は、280nmから400nmの範囲で比較的人体や材料に対する悪影響の少ない紫外領域を含むものであるが、冷蔵室6内は温度が10℃以下である為に菌やカビの増殖速度が非常に遅い為、これら比較的安全な紫外領域の照射でも、それを連続照射することによって食品や壁面に付着する菌の増殖が抑制され、保鮮性能が向上する。さらに、280nmから400nmの範囲の波長の場合は、比較的人体に対する悪影響が少ないので、照明用の光源と併用させた本実施の形態のような、冷蔵室6全体領域を照射する仕様にすることが可能であり、ダクトに設置している場合に比べて直接的に菌やカビなどの雑菌に対して照射することが可能な為、保鮮度性能が更に向上する。また、第2の光源2の波長として、可視領域を選定する場合は、さらに人体や樹脂劣化などの懸念される悪影響が払拭される為、非常に汎用性が向上する。
例えば、第2の光源2に400nmから500nmの波長である青色を含む波長を用いた場合はカビや菌の繁殖を抑制することが可能である。
これは、菌の細胞内に存在する、菌の発育の促進に関与する補酵素リボフラビンが光受容体となり、主に350nmから490nmの波長を吸収することによって、菌は増殖困難となり死に至るものと考えられる。
そこで、青色を含む波長の光を照射することにより、菌の増殖抑制効果が得られるのかどうかを確認するために、我々は下記実験を行なった。
まず、150〜200倍に希釈されたニュートリエントブロスからなる培地に、大腸菌(E.Coli NBRC3972)を混釈したシャーレを用意し、これを、蓋にLEDを取り付けた滅菌済みのプラスチック容器を設置し、−1.5度の恒温槽に、中心波長450nmの青色LEDを照射しながら保存した。7日保存した後、シャーレを取り出し、36度の恒温槽に移して、48時間培養後、菌数計測を行い、青色を含む波長の光照射による菌増殖抑制効果を確認した。尚、本実験では、青色を含む波長の光としてLEDを用い、光量は5〜30μmol/m2sの範囲で行なった。
その結果、青色LED照射なしの場合は、菌数が1480個/シャーレであるのに対して、青色照射の場合は、210個/シャーレであった。
次に、シャーレの代わりに食材としてキングサーモンの切り身を用いて、青色LEDを照射しながら−1.5度の恒温槽にて7日間保存を行ない、一般性菌数を測定した結果、保存前の菌数は1.2×104個/gであったが、保存後の生菌数は青色LED照射なしの場合は、3.1×106個/gで100倍程度増加しているのに対して、1.1×105個/gとなり、明らかな青色LEDの照射による菌増殖抑制効果を確認した。
また、青色を含む波長の第2の光源2を点滅照射させて使用した場合、瞬間的な光によって菌の細胞の奥まで光が到達する、若しくは、菌の表面で吸収された光が熱に変換され、急激な温度上昇を生じさせることにより、瞬間的に殺菌効果を得ることが可能である。
このように、細胞内での急激な温度上昇による溶菌作用により瞬間的に殺菌効果を得るものとしては、広い波長領域かつ輝度の大きいキセノンランプを第2の光源2として用いた場合も有効である。
さらに、550nm付近にピークを持つおよそ500nmから600nmの波長である緑色の波長についても同様の効果が期待できるため、使用してもよい。この場合、冷蔵室6の扉を閉めている場合には、照明用の光源は消灯されており、第2の光源2のみ点灯している。
また、第2の光源が点滅点灯していることにより、暗条件のもとで点滅させることによってさらに菌類に対する光刺激が強くなる為効果が向上する。それに加えて、紫外領域を含まないので、より安全で安心な仕様となり、使用者の可視範囲内に設置することが可能となり、より汎用性が高く、さらに、近紫外線領域の波長成分は少ないが紫外線領域の発光ダイオードと比較し低コストであるため、商品設計上でも合理的である。
また、冷蔵室6内を第2の光源2で冷蔵室6の温度状況などを知らせる警告を目的として照射する場合には照明用光源1とは異なり、使用者が扉を開けている間に、冷蔵室6内の温度が急激に上昇した場合などに限定して、冷蔵室6内の温度センサなどと連動することによって、点灯もしくは点滅照射するように設定されている。これによって、使用者は温度上昇を視覚的に感じることが可能となり、冷蔵室6内に保存している食品などの鮮度を保持するために直ちに扉を閉じるなど、行動に移行しやすい。
以上のように、本実施の形態の冷蔵庫本体5の最上部に設置する冷蔵室6の室内側壁には、扉開放前面から見て左右に、それぞれ実装基板16が埋設されており、実装基板16の上面はランプカバー11で覆われている。実装基板16、照明用光源1、通電端子3および断熱板4とで従来例と同様に照明装置を構成している。照明用光源1の間には任意の位置に複数の第2の光源2が配置され、実装基板16に実装され、冷蔵室6の照明用の働きをする発光ダイオードに加えて、冷蔵室6内を清潔に保ち、保鮮性を向上させるための第2の光源2を備えていることによって、使用者が冷蔵室6の扉を開放している時は、照明用光源1によって食品や壁面が明るく照射されているため見やすい状態になっており、さらに、人体にも悪影響のない第2の光源2が照射されていることによって、連続して照射し続けることが可能な為、より静菌効果が向上する。
尚、静菌効果は本実施の形態では、菌を殺さないがその増殖を止めることとして用いているが、その効果は従来の冷蔵庫保存と比較して、第2の光源2が照射されている保存対象物の菌の増殖速度が遅くなり、例えば7日保存後に、第2の光源2がない場合は腐敗臭がしているのに対し、第2の光源2を照射している場合は腐敗臭がしないといったように、保存日数が延長していることが望ましい。同時に、生菌数を測定すると、明らかに生菌数が少ないことが望まれる。
また、使用者が第2の光源2の持つ保鮮性を向上させる為の殺菌機能を視覚的に認知することが可能であり、安心感を提供することが可能であり、商品の訴求効果も向上する。尚、照明用光源1と第2の光源2を配置する場所については、特には限定しないが、冷蔵庫を最もよく使用する女性の平均身長が約157cmであり、60cmから160cmが157cmの女性にとっては最も作業のしやすい高さ範囲であり、視野に最も入りやすい高さ範囲であることから、60cmから160cmの位置に配置されることが効率的であり望ましい。
また、本実施の形態では照明用光源1と第2の光源2とを分散させることなく集中させて配置していることで、貯蔵室6内において、照明部分の部材による凹凸を分散させることなく集結させることによって、外観的にすっきりとする。また、貯蔵スペース内部の壁内の凹凸が減少するため、拭き掃除の際の手入れの操作性の向上が可能である。さらに、凹凸部の面積を小さくすることで、凸凹部分に付着する汚れの低減や目詰まり防止することが可能である。また、照明用の光源と、照明用以外の機能を併せ持つ第2の光源を発光する光源を同時に用い、さらにはそれらの光源を発光ダイオードとした場合、照明用の発光ダイオードと照明用以外の機能を併せ持つ第2の発光ダイオードを複数個実装した実装基板を有し、実装基板を貯蔵室6に設けたことにより、照明用の発光ダイオードと照明用以外の機能を併せ持つ第2の発光ダイオードが1枚の実装基板に実装されて、設置スペースが最小に抑えられるので、貯蔵室内の収納スペースを減らすことがないため、非常に使い勝手がよい。また、照明用の発光源として発光ダイオードを使用したことで、発熱量や消費電力量を抑制することが可能となり、照明用の他に第2の機能を持つ光源を併せ持つことを可能とする。さらに、照明用の他に設置した第2の機能を持つ光源も発光ダイオードとすることによって、さらに汎用性が向上する。
また、本実施の形態では照明用光源1と第2の光源とは、貯蔵室6の壁に縦型に配置していることで、全体を満遍なく照射することが可能であり、使用者が冷蔵庫の食品などの保存物を見渡しやすくなり、食品を素早く出し入れできることで、扉開放による冷気の漏れを抑制することも可能となり、食品の劣化を抑制するだけでなく、省エネ効果も得られる。
また、本実施の形態では、照明用光源1と第2の光源2とは、貯蔵室6の前後方向の中央より前面側に配置していることで、使用者の目線や手元付近を明るく照射することが可能であるため、使用者が冷蔵庫の貯蔵室6内の食品などの保存物を見渡しやすい。また、第2の光源2が静菌作用を持つ場合には、中央より前面に配置していることで、冷蔵庫の前面側に配置された扉に近い位置に配置されていることから、扉開閉時に冷蔵庫外からの菌やカビなどの雑菌の進入を防ぐことが可能であり、効果的である。
また、本実施の形態では冷蔵庫本体5は断熱区画された複数の貯蔵室を有し、照明用光源と、第2の光源とが配置されている貯蔵室は、複数の貯蔵室の中で最上部に位置する冷蔵室6であることで、冷蔵庫使用者にとって最も使いやすいとされる範囲において、手元が明るくなったり、冷蔵室6内に保存されている保存物が見えやすくなることで使い勝手が向上する。さらに、最上部に位置する貯蔵室である冷蔵室6には、その他の貯蔵室と比較すると多種多様な食品や薬品など食品以外の収納物も存在している可能性が高い空間であり、また、紙製の牛乳パックに入った牛乳などの液体物や不安定な皿に入った残り物のおかずが収納されている場合なども想定でき、扉開閉時にそれらの食品の一部が飛散することも考えられ、壁面や収納棚に最も汚れが付着しやすい場所であるため、第2の光源として静菌作用を有する場合には、連続して光を照射しながら、冷蔵庫使用者が汚れについて、最も気にかける貯蔵空間に対する静菌効果を高めることが可能である。
さらに、照明用光源と、第2の光源とが配置されている冷蔵室6は、回転式の扉が備えられており、使用者が回転式の扉を開いた場合に、照明用光源1と、第2の光源2からの光が直接使用者の目に入ることで、冷蔵庫使用者が扉を開ける動作を行いながら光源の点灯状態を確認することが可能である。
尚、本実施の形態においては、主要な効果として静菌効果の向上としたが、第2の光源2の波長を多様に変化させることによって機能特徴を変えることも可能である。
例えば、第2の光源2を照明用光源1と同程度の色温度で、照明用光源1と比べて演色性の良い高輝度光源で照明すると、魚が自然な色に見え、外皮の艶が表現されて新鮮で生き生きと美味しそうに見える。また、周囲よりやや色温度が低い演色性の良い高輝度光源で照明すると、肉が鮮やかに見え、表面に艶が表現されて新鮮で美味しそうに見える。
さらに、果物類は周囲よりやや色温度が低い演色性の良い高輝度光源で照明すると、果物の赤、黄、橙が鮮やかに見え、表面には艶が表現されて、新鮮で美味しそうに見える。これにより、第2の光源2を食品など保存物の色を好ましく見せる効果演色にすることが可能である。
このように、魚や肉や果物を貯蔵する冷蔵室6においては、第2の光源2を照明用光源1と同程度以下の色温度でかつ照明用光源1と同程度以上の輝度で照射することによって、使用者に対して魚や肉がより新鮮で美味しそうに見えるという効果を演出することができる。
ここでいう色温度とは光の色を人間の目に見える感覚に置き換えて表した数値のことであって、K(ケルビン)という単位で表される。一般的に昼間の太陽光は5500K、白熱電球は3500〜3000Kであり、色温度が高いと青っぽく見え、低いと赤っぽく見えるものである。
また、輝度とは単位面積当たりの光束の量であり、単位は、cd/m2(カンデラ毎平方メートル)で表される。この輝度は、平面状の光源から単位面積あたりにどれだけの光を放射できるかを表し、数値が大きいほど、照射部分が明るくなるので、冷蔵庫の貯蔵空間に使用する際には、ドア開放時に輝度を向上させて、保存物を見やすくする。
次に、第2の光源2の波長が280nmから400nmの紫外線領域の波長を含むことによって、きのこ類や魚類には、ビタミンDの前駆物質であるエルゴステロールを多く含むものがあり、それらに紫外線が照射されることで分子が励起され、ビタミンDへと変換されるため、ビタミンD含有量を高めながら保存することができる。また、アントシアニンを含む葡萄やりんごやいちごなどの果物類や野菜類において、ポリフェノールを増加させながら保存することが可能となる。従って、食品の機能性を高めながら保存することが可能となり、冷蔵庫の機能的価値が向上する。また、野菜や果物に付着している残留農薬は紫外線を含む波長の光源を照射することによって、光分解反応を生じ、毒性が低減する効果があることから、より安全に保存することが可能となり、冷蔵庫の機能的価値が向上する。
さらに、第2の光源2を冷蔵室6内の図示しない温度センサに連動させて構成することによって、冷蔵室6内の温度上昇が著しい場合は、温度センサが温度上昇以上を検知し、第2の光源2を例えば、赤色に連続点灯させたり、点滅点灯させるような警告用の照明とする。これによって、冷蔵庫使用者は扉開時における温度上昇を確認することが可能となり、すぐに扉を閉めるなど、温度上昇を防ぐ行動をとり、冷蔵室6内に保存されている食品の劣化を抑制することが可能である。また、第2の光源2は冷蔵室6内ではなく、冷蔵庫本体の外側に設置されていてもよい。これによって、冷蔵室6の扉を開放することなく、冷蔵室6の温度状況を確認することができ、異常の際は速やかに対処することが可能である。
また、第2の光源2を癒し効果の高い波長とすることで、冷蔵庫使用者が扉開放した時に第2の光源2から照射される光によって、ストレスが低減されるなど、心地の良い気持ちを持つことが可能である。また、第2の光源2の強弱を一定とせず、例えば1/fゆらぎの性質を持たせる調光制御をすることによって、冷蔵庫使用者に対して使い心地のよい商品を提供することが可能である。
また、就寝時に、喉が渇いたときなどに、冷蔵庫を開けて飲料を飲むことがあるが、冷蔵庫を扉開放した際に眠気が覚めてしまい、飲料を飲んだ後に眠りにつけないという不眠の要因ともなり得る。そこで、第2の光源の波長の中で、青色を含まないように調光し、人間の体のメカニズムによって暗い夜の時間帯になると分泌されるメラトニンという睡眠・覚醒のリズムを整える作用があり良質な睡眠の素といわれるホルモンを不活性化しないようにし、不眠にならないようにすることも可能である。
第2の光源2を冷蔵庫外に設置することによって、例えばキッチンを照らす間接照明として用いることも可能である。
また、本実施の形態は冷蔵室6への適用例として説明したが、その他の貯蔵室に対しても同様の効果が期待できる。さらに、冷蔵庫のみならず、ショーケース、保存庫など幅広く活用ができる。
また、使用者の可視範囲に設置し、かつ照射された光によって使用者の人体に対して悪影響を与えず、冷蔵庫によく用いられる合成樹脂などの劣化を防ぎ、さらには長期保存食品に対する脂質酸化などの品質劣化も与えず、常に菌や黴の繁殖を抑制し冷蔵庫を清潔に保持する機能を備えた冷蔵庫を提供する。さらに、使用者は冷蔵庫の扉を開放した時に、光を視覚で認知できるため、冷蔵庫内における菌やカビなどの繁殖を抑制しているという動作状態を常に確認でき、使用者に視覚的に付加機能を認識させることが可能な為、商品に対する訴求につながるといったような付加価値的な効果を有する冷蔵庫を提供することを目的とする。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の図1のA−A線断面図である。図4において、基本構成は、実施の形態1と同一であり詳細な説明は省略する。実装基板16には、上方に照明用光源1を集約して実装し、下方すなわち特定低温室13に最も近い位置に第2の光源2を集約して実装している。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
照明用光源1及び第2の光源2の点灯、消灯は、実施の形態1と同様に各光源の順方向電流を通電もしくは停止して制御させる。この時、第2の光源2は下方に配置されているので、点灯したときの食品保鮮向上させる光は、選択的に特定低温室13に集中して照射される。
以上のように、本実施の形態においては、第2の光源2を実装基板16の中で、特定低温室13に最も近い場所に実装したことにより、特定低温室13は冷蔵室6の中でも最も静菌等の食品保鮮向上作用の強い部位となり、冷蔵庫使用者は選択的に保鮮効果を望む場合に、この特定低温室を利用することができる。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3における冷蔵庫の図1のA−A線断面図である。図5において、実装基板16は特定低温室13の天面に配置されている。実装基板16には第2の光源2が実装されており、特定低温室13内に保存されている主に生鮮食品や、特定低温室13内に浮遊する菌やカビなどに対して、静菌効果を有している。照明用光源1は、冷蔵庫貯蔵空間内の限定しない場所に配置している。第2の光源2の光源の種類は特には限定しないが、発光ダイオードは発熱量が小さく、貯蔵空間内の温度上昇を防ぐことが可能であり、食品の保存性を安定させることができることや、ランニングコストが安く、その上耐久性に優れておりコンパクト設計が可能なことから、汎用性が高く望ましい。また、特定低温室13は使用者の目的や好みに応じて数段階に温度を切り替えることが可能である。本実施の形態では、特定低温室13の温度区分を約3℃の冷蔵温度、約−3℃前後のパーシャルフリージング温度、約0℃のチルド温度に切り換えることができる。
以上のように、構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷蔵室6内を照明用光源1で照明する場合には、通電端子3を通して照明用光源1に順方向電流を流して発光させ、この光がランプカバー11に進光して、ランプカバー11で拡散されて冷蔵室6内が照射されることになる。また、照明を消灯する場合には、照明用光源1への順方向電流の通電を停止させる。すなわち、照明用光源1は使用者が冷¥蔵室6の扉を開いて冷蔵室6内に保存している食品を眺める、出し入れをする時に冷蔵室6内を明るく照らすものであり、できる限り冷蔵室6全体に光が遮られることなく照射される方が望ましい。また使用者が冷蔵室6の扉を閉めた後には速やかに消灯される。
次に、特定低温室13内を第2の光源2で食品保鮮向上させる光を照射する場合には、照明用光源1と同様に、通電端子3を通して第2の光源2に順方向電流を流して発光させ、この照明用以外の光がランプカバー11に進光して、ランプカバー11で拡散されて特定低温室13内が照射されることになる。また、照射を停止させる場合には、第2の光源2への順方向電流の通電を停止させればよい。すなわち、本実施の形態3では、全体照明用の照明光源1に加えて、食品保鮮を目的とした特定低温室13内の静菌効果を向上させる、第2の光源2を特定低温室13内に配置し、より効果を向上させた。特定低温室13は比較的内容積が小さく、ケースによって区分されている為、静菌効果が向上しやすい。尚、本実施の形態3では実装基板16には第2の光源2のみを実装しているが、保存物をより明るく照射したい場合には、扉開時に照明用光源1も実装基板16に合わせて実装してもよい。尚、本実施の携帯3では光源の取り付け位置を天面としているが、特に限定するものではない。
尚、本実施の形態3では特定低温室13にのみ第2の光源2を照射することを特徴としているが、製氷用給水タンク14や卵ケース15に対しても同様である。
以上のように、本実施の形態3においては、第2の光源2を特定低温室13の中に配置したことによって、比較的内容積の小さい保存空間の静菌作用を向上させることが可能となり、より保存性能が向上する。
(実施の形態4)
図6は本発明の実施の形態4における冷蔵庫の側断面図である。
図6において、冷蔵庫本体5は、貯蔵室の区画をつくるための仕切り、それらの区画を閉空間にするための扉により断熱区画され、上から冷蔵室6、切替室8、野菜室9、冷凍室10の異なる温度の貯蔵空間になっている。その中で、野菜室9は扉開閉がなければ湿度約80%R.H以上(食品収納時)、4〜6℃に冷却されている。
また、冷蔵庫本体5を冷却するため、冷凍サイクルが圧縮機19、凝縮器、膨張弁やキャピラリチューブなどの減圧装置(図示せず)、蒸発器20、それら構成部品を連結する配管、冷媒などで構成される。
さらに蒸発器20で生成された低温空気を各貯蔵室空間に搬送、もしくは貯蔵室空間で熱交換された空気を蒸発器20に回収するための風路21があり、風路21は各貯蔵室と仕切り22で断熱されている。
野菜室9内に保存している果菜類、根菜類等および壁面等に存在する菌やカビの増殖を抑制するための第2の光源2を有する実装基板16には、中心波長が約450nmの青色光を含む光を照射する青色LEDをランプカバー11が第2の光源2の発光部全体を覆うように野菜室9の天面の室内側凹部に装着されている。ランプカバー11としては、エポキシ、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどの透明樹脂のうち、一つの材料もしくは複合材料をベース材として形成され、拡散性の持つものがよい。実装基板16の配置については、保存物や壁面、天面など菌やカビの付着しやすい部分を照射できれば、天面や仕切り22など室内の何処の位置に配置しても良い。
本実施の形態では別途の照明用光源を特に設けず(照明目的で別途光源を設けることは妨げない。)、第2光源として青色光を含むLEDを用いている。さらに、光の照射強度については、限定するものではなく、より機能性効果を向上させる為に、強い照射強度が求められる場合は、例えばLEDの個数を増加したり、輝度の高いものを選定してもよい。本実施の形態4においては、発光源として、LEDは発熱量が小さく、貯蔵空間内の温度上昇を防ぐことが可能であり、食品の保存性を安定させることができることや、ランニングコストが安く、その上耐久性に優れておりコンパクト設計が可能なことから、汎用性が高く、冷蔵庫の仕様として望ましい。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
野菜室9内を第2の光源2で菌やカビの増殖を抑制させる効果のある光を照射する場合には、照明用光源1と同様に、通電端子3を通して第2の光源2に順方向電流を流して発光させ、この照明用以外の光がランプカバー11に進光して、ランプカバー11で拡散されて冷蔵室6内が照射されることになる。また、照射を停止させる場合には、第2の光源2への順方向電流の通電を停止させればよい。ただし、野菜室9は引き出し式となっており、開口部へは冷蔵庫外、すなわち室内空間からの採光が得られるため、照明用としての第1の光源は設置していない場合も考えられる。その場合は、実装基板16には第2の光源2のみが実装されている。第2の光源2に中心波長が約450nmの波長である青色を含む波長を用いた場合は、菌の細胞内に存在する、菌の発育の促進に関与する補酵素リボフラビンが光受容体となり、主に350nmから490nmの波長を吸収することによって、菌は増殖困難となり死に至ると考えられ、その結果、カビや菌の繁殖を抑制することが可能である。
第2の光源2は、扉が開いている時には、冷蔵庫外、すなわち室内空間からの浮遊菌の庫内への侵入を妨げるため、照射していることが好ましいが、照射していなくてもよい。しかし、野菜室9の扉を閉めている時には、野菜室9内に浮遊する菌類やカビ類などの雑菌や、壁面に付着する菌類やカビなどの増殖を抑制する為に、照射し続けていることが望ましい。
尚、第2の光源2の波長は、約450nmを中心波長とする青色だけでなく、280nmから400nmの範囲で比較的人体や材料に対する悪影響の少ない紫外領域を含むものを単独で用いる、あるいは、青色と併用させて用いた場合、食品や壁面に付着する菌の増殖が抑制され、保鮮性能がさらに向上する。さらに、280nmから400nmの範囲の波長の場合は、比較的人体に対する悪影響が少ないので、450nm付近を中心波長とする青色光源と合わせて実装し、本実施の形態4のように、冷蔵室6全体領域を照射する仕様にすることが可能であり、風路21内に設置している場合に比べて直接的に菌やカビなどの雑菌に対して照射することが可能な為、保鮮度性能が更に向上する。
さらに、550nm付近にピークを持つおよそ500nmから600nmの波長である緑色の波長についても同様の効果が期待できるため、使用してもよい。
また、第2の光源を点滅点灯させることにより、暗条件のもとで点滅させることによってさらに菌類に対する光刺激が強くなる為、効果が向上する。
また、第2の光源2の波長として、可視領域を選定する場合は、さらに人体や樹脂劣化などの懸念される悪影響が払拭される為、非常に汎用性が向上する。
さらに、第2の光源2の波長が280nmから400nmの紫外線領域の波長を含むことによって、シイタケなどのきのこ類には、ビタミンDの前駆物質であるエルゴステロールを多く含むものがあり、それらに紫外線が照射されることで分子が励起され、ビタミンDへと変換されるため、ビタミンD含有量を高めながら保存することができる。また、アントシアニンを含む葡萄やりんごやいちごなどの果物類や野菜類において、ポリフェノールを増加させながら保存することが可能となる。従って、食品の機能性を高めながら保存することが可能となり、冷蔵庫の機能的価値が向上する。また、野菜や果物に付着している残留農薬は紫外線を含む波長の光源を照射することによって、光分解反応を生じ、毒性が低減する効果があることから、より安全に保存することが可能となり、冷蔵庫の機能的価値が向上する。
すなわち、本実施の形態4では、野菜室9に果菜類、根菜類等および壁面等に存在する菌やカビの増殖を抑制するための第2の光源2として青色を含む波長を有することによって、保存性が向上する。さらに、青色を含む波長だけでなく、280から600nmの波長を含むことによって、機能性(栄養)成分の増加や品質維持の効果も得られる。